日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年5月 1級 学科(基礎編)の概要
FP業務と関連法規および独占業務
ライフプランニングと資金計画 · FP関連法規 / 独占業務 / 税理士法 / 土地家屋調査士法
ファイナンシャル・プランニング業務を行うにあたって遵守すべき各士業法および関連法規における独占業務の規定に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
FP業務では他士業の独占業務を侵害しないよう留意する必要があります。有償・無償を問わず独占とされる業務(税理士業務など)と、報酬を得て行うことが制限される業務(社労士や行政書士など)の違い、登記における権利(司法書士)と表示(土地家屋調査士)の分担を正確に把握することが重要です。
解き方
- 各士業法(税理士法、社会保険労務士法、不動産の鑑定評価に関する法律、土地家屋調査士法、司法書士法)が規定する独占業務の対象範囲を確認する。
- 不動産の「権利に関する登記」は司法書士の業務であり、「表示に関する登記」が土地家屋調査士の業務であることを確認し、肢4の誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 税理士法第52条により、税務代理、税務書類の作成、税務相談の税理士業務は、有償・無償を問わず税理士以外の者が業として行うことが禁止されています。
- 選択肢 2不正解
- 社会保険労務士法第2条および第27条により、報酬を得て業として行う申請書等の作成・代行・代理等は社会保険労務士の独占業務とされています。
- 選択肢 3不正解
- 不動産の鑑定評価に関する法律第2条および第3条等により、報酬を得て業として不動産の鑑定評価を行うことは不動産鑑定士(または業者)の独占業務です。
- 選択肢 4正解
- 不動産の権利に関する登記の手続代理等は司法書士の独占業務であり、土地家屋調査士の業務は不動産の表示に関する登記等であるため不適切です。
覚えるポイント
- 権利に関する登記は司法書士、表示に関する登記・測量は土地家屋調査士の業務です。
間違えやすいところ
- 税理士業務は無償であっても資格のない者が業として個別具体的な相談を行うと法令違反になります。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の被扶養者の認定要件
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 被扶養者 / 生計維持 / 同居要件
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)における被扶養者の認定基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
健康保険の被扶養者は、被保険者の親族のうち生計維持関係にある一定範囲の者が認定されます。直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹は同居が要件とされませんが、配偶者の父母などそれ以外の対象親族は同一世帯(同居)であることが必須要件となります。また、年収判定には非課税の年金等も算入されます。
解き方
- 被扶養者の親族要件において同一世帯(同居)が不要な範囲(直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹)と同居が必要な範囲を整理する。
- 被扶養者判定における年間収入基準(130万円未満、60歳以上や障害者は180万円未満)における非課税給付の取扱いを確認する。
- 選択肢 1正解
- 健康保険法上の被扶養者となる配偶者には、戸籍上の届出をしていない事実婚(内縁関係)の配偶者も含まれるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 被保険者の配偶者の父母(義父母)を被扶養者とするためには、生計維持関係だけでなく被保険者と同一世帯に属していること(同居)が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 兄弟姉妹は2016年10月の法改正により同居要件が撤廃されたため、同一世帯でなくても主として生計を維持されていれば認定されます。
- 選択肢 4不正解
- 被扶養者認定における年間収入の算定においては、税法上非課税とされる遺族年金や障害年金、傷病手当金などもすべて含まれます。
覚えるポイント
- 兄弟姉妹は別居でも被扶養者になれますが、配偶者の父母は同一世帯(同居)が必須です。
間違えやすいところ
- 税制上の扶養親族では非課税所得を除外しますが、健康保険の被扶養者認定では非課税年金や手当金も収入に含めます。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の基本手当の受給要件と給付日数
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 基本手当 / 特定受給資格者 / 所定給付日数
雇用保険の一般被保険者に係る基本手当の受給要件、受給手続きおよび給付日数等に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
雇用保険の基本手当は、離職理由によって受給資格要件が異なります。自己都合退職などの一般受給資格者は原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12カ月以上必要ですが、倒産・解雇等の特定受給資格者や特定理由離職者は緩和されており、離職前1年間に通算6カ月以上あれば受給資格を満たします。
解き方
- 倒産・解雇等による特定受給資格者の被保険者期間要件(離職前1年間に通算6カ月以上)を確認する。
- 肢1の「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して6カ月以上」という期間設定が誤りであることを判定する。
- 選択肢 1正解
- 倒産により離職した特定受給資格者の被保険者期間要件は「離職の日以前1年間に通算して6カ月以上」であるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 基本手当は原則として4週間に1回行われる失業認定日において失業の認定を受けた日数分が支給されます。
- 選択肢 3不正解
- 一般離職者(就職困難者を除く)の所定給付日数は年齢に関係なく、算定基礎期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日となります。
- 選択肢 4不正解
- 賃金日額は退職前6カ月の賃金総額(賞与除く)を180で除して計算され、年齢区分に応じた上限額および下限額が定められています。
覚えるポイント
- 特定受給資格者・特定理由離職者の受給要件は離職前「1年間」に「6カ月以上」です。
間違えやすいところ
- 一般離職者の受給要件「2年間に12カ月以上」と特定受給資格者の「1年間に6カ月以上」を混同しないように注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢厚生年金の繰下げ支給と加給年金額
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 繰下げ支給 / 加給年金額 / 他の公的年金との関係
老齢厚生年金の繰下げ支給に関する手続き、制限および年金額の計算に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
老齢厚生年金および老齢基礎年金は66歳以後70歳(法改正後は75歳)までの間で繰下げが可能です。老齢厚生年金に加算される加給年金額は、繰下げ待機期間中は受給できず、繰下げによる増額の対象にもなりません。また、繰下げ申出は受給開始を希望する時点で行い、公務員等の異なる実施機関の厚生年金は同時に繰り下げる必要があります。
解き方
- 繰下げ申出における加給年金の取扱い(待機中は不支給、増額対象外)を確認する。
- 繰下げ申出書の提出時期(66歳以降の受給請求時)や複数種別の厚生年金の一括繰下げ原則を確認し、各肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 障害基礎年金の受給権者は他の公的年金受給権を有するため老齢厚生年金の繰下げはできませんが、65歳からの年金受給は本人の裁定請求に基づいて行われるため当然に受給することになるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 繰下げを希望する場合、65歳到達時に手続きを行う必要はなく、66歳到達以降に実際に受給を開始したい時点で繰下げ請求書を提出します。
- 選択肢 3正解
- 老齢厚生年金を繰り下げた場合、本体部分の報酬比例部分等は増額されますが、加給年金額は増額の対象にならず待機期間中の給付も受けられません。
- 選択肢 4不正解
- 厚生年金保険法の一元化により、複数の種別(第1号〜第4号)に係る老齢厚生年金がある場合、繰下げの申出は原則として同時に行わなければなりません。
覚えるポイント
- 加給年金額は繰下げ待機中にはもらえず、繰下げによって増額もされません。
間違えやすいところ
- 繰下げの申出は65歳到達時ではなく、受給を開始したい66歳以降の受給請求時に行います。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度における障害給付の要件と給付額
ライフプランニングと資金計画 · 障害厚生年金 / 障害認定日 / 初診日要件 / 加給年金 / 最低保障額
公的年金制度における障害給付の受給要件、障害認定日および年金額の計算等に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
障害厚生年金は、初診日に被保険者であり一定の保険料納付要件を満たしていることが必要です。初診日に厚生年金被保険者であれば、障害認定日に既に退職して被保険者資格を喪失していても、認定日に障害等級1級〜3級の状態にあれば受給権が発生します。
解き方
- 障害厚生年金の受給要件(初診日被保険者要件、保険料納付要件、障害認定日における障害等級該当要件)を確認する。
- 肢1では「障害認定日において厚生年金保険の被保険者であり」とされている点が誤りであると判断する。
- 選択肢 1正解
- 厚生年金保険の被保険者である必要があるのは「初診日」であり、「障害認定日」において被保険者である必要はないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 障害認定日は原則として初診日から1年6カ月経過日ですが、その前に症状が固定(切断等)した場合はその固定した日となります。
- 選択肢 3不正解
- 障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が事後的に婚姻等により配偶者を有するに至った場合、届出のあった日の属する月の翌月分から加給年金が加算されます。
- 選択肢 4不正解
- 障害等級3級の障害厚生年金には、障害基礎年金2級の額の4分の3に相当する最低保障額が設定されています。
覚えるポイント
- 障害年金で被保険者要件・納付要件が問われるのは「初診日」であり、障害認定日ではありません。
間違えやすいところ
- 障害厚生年金の事後加算は認められています(受給権発生後に結婚した配偶者も加給年金の対象になります)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定給付企業年金制度の仕組みと給付要件
ライフプランニングと資金計画 · 確定給付企業年金 / 老齢給付金 / リスク分担型企業年金 / 支給要件
確定給付企業年金法に基づく確定給付企業年金(DB)の給付要件、支給期間および制度形態等に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
確定給付企業年金は、加入者期間や受給開始年齢などの給付要件を規約で定めますが、加入者保護のために受給要件期間は最長でも20年以内としなければなりません。またリスク分担型企業年金では、あらかじめ労使合意に基づくリスク対応掛金を拠出することで、積立不足が生じても事業主の追加拠出は行わず給付額の調整等で対応する仕組みです。
解き方
- 確定給付企業年金における老齢給付金の加入者期間要件の上限(20年以下)を確認する。
- 支給開始年齢(原則60〜70歳、退職時受給の下限も60歳等)やリスク分担型の特徴(事業主の追加補填なし)と照らして判定する。
- 選択肢 1正解
- 確定給付企業年金法施工規則第24条等により、老齢給付金の支給要件として規約で定める加入者期間は20年を超えることができないため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 退職時に支給開始する場合であっても、規約で定める支給開始年齢は60歳以上(一定の特例でも50歳以上)であり、「40歳以上」ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 確定給付企業年金の給付は、毎年少なくとも1回定期的に支給すればよく、「2カ月に1回」に限定されているわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- リスク分担型企業年金は、事前にリスク対応掛金を拠出しておくことで、運用悪化による積立不足が生じても事業主が追加補塡を行わない(給付額の減額等で調整する)仕組みです。
覚えるポイント
- 確定給付企業年金の受給要件となる加入者期間は最長でも20年までしか設定できません。
間違えやすいところ
- リスク分担型企業年金は事業主に追加拠出義務が発生しない(積立不足を補填しない)点が従来型と異なります。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等に係る所得税の課税関係と源泉徴収
タックスプランニング · 公的年金等控除 / 源泉徴収税率 / 未支給年金 / 一時所得
居住者が受給する公的年金等に係る所得税の源泉徴収、雑所得の計算および未支給年金の課税関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
公的年金等の雑所得に係る源泉徴収税額は、受給者の扶養親族等申告書の提出がある場合は、年金支給額から各種控除額を差し引いた残額に5.105%を乗じて計算されます。一方、未支給年金は遺族自身の固有の権利として受け取るため、相続税ではなく遺族の一時所得として所得税の対象となります。
解き方
- 公的年金の源泉徴収税率(扶養親族等申告書提出時は5.105%、未提出時は10.21%)を確認する。
- 源泉徴収対象外限度額(65歳以上は年158万円未満、65歳未満は108万円未満)および未支給年金の課税関係(相続人の一時所得)を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 65歳以上の公的年金等受給者で源泉徴収されないのは、支払を受けるべき金額が158万円未満(65歳未満は108万円未満)の場合であり、180万円ではありません。
- 選択肢 2正解
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出した場合の源泉徴収税率は、基準所得税率5%に復興特別所得税を加算した5.105%となるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 過去に遡って一括受給した年金は一時所得ではなく、本来各年において受給すべきであった年分の「公的年金等に係る雑所得」として取り扱われます。
- 選択肢 4不正解
- 受給権者の死亡により相続人(遺族)が受け取った未支給年金は、相続財産ではなく遺族の一時所得として所得税の課税対象となります。
覚えるポイント
- 未支給年金は相続税の対象ではなく、受け取った遺族の「一時所得」になります。
間違えやすいところ
- 公的年金の源泉徴収基準額は、65歳未満が108万円、65歳以上が158万円です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
経営者保証に関するガイドラインと特則
ライフプランニングと資金計画 · 経営者保証に関するガイドライン / 事業承継特則 / 信用情報機関 / 債務整理
「経営者保証に関するガイドライン」および「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
経営者保証に関するガイドラインは、中小企業の経営者による個人保証の弊害を解消し、事業承継や再チャレンジを円滑化するための自主的ルールです。ガイドラインに基づく保証債務の整理が成立するには全債権者の同意が必要ですが、信用情報登録機関への事故情報登録は行われない配慮がなされています。また、事業承継時特則では後継者に漫然と保証を求めないことが求められています。
解き方
- ガイドラインに基づく債務整理の手続き要件(私的整理における全対象債権者の同意要件)を確認する。
- 信用情報機関への登録が不要である点や、事業承継時に後継者への保証の安易な引き継ぎを否定している点と照合する。
- 選択肢 1不正解
- ガイドラインの対象には、中小企業基本法に定める中小企業者のほか、主たる債務者である個人事業主も含まれます。
- 選択肢 2正解
- ガイドラインに基づく私的整理手続における保証債務の整理は、原則としてすべての対象債権者の同意を得ることによって成立します。
- 選択肢 3不正解
- 保証人の再チャレンジを支援するため、ガイドラインに基づいて債務整理を行った事実を信用情報機関に登録しないこととされています。
- 選択肢 4不正解
- 特則において、金融機関は前経営者の保証を後継者に当然に引き継がせるのではなく、個別の状況を踏まえて保証の要否を慎重に判断すべきとされています。
覚えるポイント
- ガイドラインに基づく債務整理では、信用情報機関(ブラックリスト)への登録は行われません。
間違えやすいところ
- 後継者への保証引き継ぎは当然認められるものではなく、特則では安易な二重徴求や当然の引き継ぎが明確に禁止・牽制されています。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険契約者保護機構の補償内容
リスク管理 · 保険契約者保護機構 / 生命保険契約者保護機構 / 損害保険契約者保護機構
保険契約者保護機構に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
保険契約者保護機構は、保険会社が破綻した際に責任準備金の一定割合を補償するセーフティネットです。生命保険と損害保険で補償限度や対象契約の範囲、補償割合がそれぞれ詳細に定められています。
解き方
- 生命保険会社破綻時の保険料支払義務や変額年金の補償対象を確認する。
- 損害保険契約者保護機構における火災保険および自動車保険(法人契約等)の補償割合・対象条件を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 破綻処理の手続き期間中であっても、契約者は保険料の支払を継続する必要があり、支払義務が免除されるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 変額個人年金保険において補償対象となるのは「責任準備金等の90%」であり、「年金原資保証額の90%」が補償されるわけではありません。
- 選択肢 3正解
- 個人が締結した火災保険は、保険会社破綻後3カ月以内に生じた保険事故について、支払われるべき保険金の全額(100%)が補償されます。
- 選択肢 4不正解
- 損害保険契約者保護機構の補償対象契約は、原則として「個人および小規模法人・マンション管理組合等」が締結した契約に限られ、大企業等の一般法人が契約した任意自動車保険は保護機構の補償対象外です。
覚えるポイント
- 損保保護機構の火災保険:破綻後3カ月以内は保険金100%補償、3カ月経過後は責任準備金等の80%補償。
間違えやすいところ
- 自動車保険(任意)の保険金は期間にかかわらず80%補償だが、法人(大企業等)契約は補償対象外である点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建終身保険の仕組みと特徴
リスク管理 · 外貨建終身保険 / 市場価格調整(MVA) / 為替変動リスク
外貨建終身保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
外貨建終身保険は外貨建てで資産を運用する保険商品です。積立金・解約返戻金には為替リスクや、市場金利の変動を反映させる市場価格調整(MVA)の仕組みが導入されている場合があります。
解き方
- 積立利率の定義(支払保険料全体に対する利回りではなく積立金に対する付利割合であること)を確認する。
- MVAの金利変動メカニズム(金利上昇=債券価格下落=返戻金減少)を判定する。
- 平準払いにおけるドルコスト平均法の適用条件(円建て定額拠出が必要)および円換算支払特約の効果を検証する。
- 選択肢 1不正解
- 積立利率は、支払保険料から各種経費(契約締結費用や保険金支払費用等)を差し引いた後の「積立金」に付利される利率であり、支払保険料全体に対する運用利回りではありません。
- 選択肢 2正解
- MVAは市場金利の変動を解約返戻金に反映させる仕組みであり、契約時より解約時の市場金利が上昇すると保有債券の価格が下落するため、解約返戻金額が減少します。
- 選択肢 3不正解
- ドルコスト平均法による為替リスク軽減効果を得るには、毎回「一定額の円貨」を支払って外貨を購入・充当する必要があります。毎回一定額の「外貨」を充当する場合は該当しません。
- 選択肢 4不正解
- 円換算支払特約は、外貨建ての保険金を支払時の為替レートで円換算して受け取る特約であり、受取時の為替レートの影響をそのまま受けるため、為替変動リスクを回避することはできません。
覚えるポイント
- MVA(市場価格調整):解約時金利上昇は返戻金減少要因、解約時金利低下は返戻金増加要因。
間違えやすいところ
- 積立利率を支払保険料全体の運用利回りと誤認しやすい。手数料が控除された後の積立金に対する利率である。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の年金受取時に係る雑所得の計算
リスク管理 · 個人年金保険 / 雑所得の計算 / 必要経費の計算 / 余命年数
契約者Aさん(加入時30歳、年金受取人、年金開始時60歳)、被保険者妻Bさん(加入時30歳、年金開始時60歳)、10年保証期間付終身年金(年額60万円)、既払込正味保険料総額700万円の契約について、2020年中に受給した年金60万円に係る雑所得の金額として最も適切なものはどれか。なお、所得税法施行令第82条の3の余命年数表によると、60歳女性の余命年数は23年、60歳男性の余命年数は19年である。
解答・解説を表示
解答
3
解説
公的年金等以外の年金に係る雑所得の金額は、「総収入金額(受取年金額)- 必要経費」で計算します。終身年金(保証期間付含む)の場合、必要経費の計算に用いる余命年数は「被保険者」の年齢および性別に基づいて判定し、保証期間と余命年数のいずれか長い方を年金見込期間とします。また、必要経費割合の端数処理は小数点以下第3位を切上げます。
解き方
- 被保険者である妻Bさん(女性・60歳)の余命年数を表から読み取る(23年)。保証期間10年と比較し、長い方の23年を支給見込期間とする。
- 年金の総支給見込額を計算する:60万円 × 23年 = 1,380万円。
- 必要経費割合を計算する:700万円 ÷ 1,380万円 = 0.50724... → 小数点以下第3位切上げで0.510。
- 必要経費を計算する:60万円 × 0.510 = 306,000円。
- 雑所得を計算する:60万円 - 306,000円 = 294,000円。
- 選択肢 1不正解
- 22万8,000円は誤った計算結果です(契約者である男性の余命年数19年を用いると総受取見込額が1,140万円、経費割合が0.615となり、60万-36.9万=23万1,000円になるなど整合しません)。
- 選択肢 2不正解
- 27万6,000円は誤った計算結果です。
- 選択肢 3正解
- 被保険者(女性60歳)の余命年数23年を用いて計算した必要経費割合は0.510、必要経費は30万6,000円となるため、雑所得は29万4,000円です。
- 選択肢 4不正解
- 30万6,000円は控除される必要経費の金額そのものであり、雑所得の金額ではありません。
覚えるポイント
- 個人年金の余命年数は「被保険者」を基準にする。必要経費割合の端数は小数点以下第3位を切上げ。
間違えやすいところ
- 年金受取人・契約者の性別・年齢表を見てしまうミスや、求めた必要経費そのものを解答欄に選んでしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する定期保険の経理処理
リスク管理 · 法人契約の生命保険 / 定期保険 / 経理処理 / 最高解約返戻率
X社が契約者・死亡保険金受取人となり、代表取締役社長Aさん(50歳)を被保険者として加入した定期保険(2020年10月1日契約、100歳満了、年払保険料300万円、最高解約返戻率70%)の第1回保険料払込時の経理処理として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人を契約者とする定期保険等の保険料税務取扱(2019年7月8日以後契約)では、最高解約返戻率に応じて資産計上割合が定められています。最高解約返戻率が50%超70%以下の場合は「資産計上40%・損金算入60%」となります。
解き方
- 対象契約の最高解約返戻率(70%)を確認し、適用される税務区分(50%超70%以下)を特定する。
- 資産計上割合が40%、損金算入割合が60%であることを適用する。
- 年払保険料300万円を按分し、前払保険料=300万円×40%=120万円、定期保険料=300万円×60%=180万円の仕訳を特定する。
- 選択肢 1正解
- 最高解約返戻率70%の定期保険は、支払保険料の40%(120万円)を前払保険料(資産)に計上し、残りの60%(180万円)を定期保険料(損金)に算入します。
- 選択肢 2不正解
- 50%ずつ損金・資産計上とする処理は、旧ルールの長期平準定期保険等の処理などであり、現行税制の区分(70%以下)には適合しません。
- 選択肢 3不正解
- 最高解約返戻率が70%超85%以下の区分(資産計上60%、損金算入40%)の処理です。
- 選択肢 4不正解
- 最高解約返戻率が85%超の区分等の処理であり、本問(70%)には適合しません。
覚えるポイント
- 最高解約返戻率50%超70%以下:資産計上40%、損金算入60%(保険期間前半4割期間)。
間違えやすいところ
- 70%超85%以下(資産計上60%)の区分と混同し、資産計上と損金算入の割合を逆にしてしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級別割引・割増制度
リスク管理 · 自動車保険 / ノンフリート等級 / ノーカウント事故 / 等級据え置き・ダウン
任意の自動車保険(保険期間1年)のノンフリート等級別割引・割増制度の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
自動車保険のノンフリート等級制度では、事故の種類によって翌年の等級が「3等級ダウン」「1等級ダウン」「ノーカウント」に分かれます。ノーカウント事故のみが発生した場合は無事故として扱われ、次期契約では等級が1等級上がります。
解き方
- 事故の種類と等級変動のルールを整理する(人身傷害保険のみの支払いはノーカウント事故)。
- ノーカウント事故の翌年の等級処理を確認する(無事故と同様に1等級進行する)。
- 8等級の契約者がノーカウント事故を起こした場合、据え置きではなく「9等級」になるため誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 事故を起こして7等級になった者には「事故有係数」が適用され、無事故で7等級になった者の「無事故係数」よりも割引率が低くなります。
- 選択肢 2正解
- 人身傷害保険のみの支払いはノーカウント事故ですが、ノーカウント事故は事故件数に数えないため、他の事故がなければ無事故と同様に「1等級アップ」して9等級になります。8等級のまま据え置かれるわけではありません。
- 選択肢 3不正解
- 飛び石による窓ガラス破損事故で車両保険を使った場合は「1等級ダウン事故」となり、9等級の契約者は翌年8等級になります。
- 選択肢 4不正解
- 廃車等に伴い中断証明書を取得した場合、その有効期間内(原則10年以内)であれば他の保険会社を含めて以前の等級を引き継ぐことができます。
覚えるポイント
- ノーカウント事故は無事故と同じ扱いになり、翌年の等級は「1等級アップ」する。
間違えやすいところ
- ノーカウント事故を「等級据え置き(変動なし)」と混同してしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任特約の補償対象
リスク管理 · 個人賠償責任保険 / 損害賠償責任 / 免責事由
各種損害保険に付帯することができる個人賠償責任(補償)特約の被保険者が被った次の損害(a)~(d)のうち、一般に同特約の補償の対象となるものはいくつあるか。 (a) 賃貸アパートを所有する被保険者が当該賃貸アパートの管理に起因する偶然な事故により法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害 (b) 被保険者が業務中にその職務の遂行に起因する偶然な事故により法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害 (c) 被保険者が趣味のゴルフをプレー中に打球が他人に当たり、ケガをさせたことにより法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害 (d) 被保険者が休日に自転車を走行中、駐車していた自動車に誤って衝突し、自動車を破損したことにより法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害
解答・解説を表示
解答
2
解説
個人賠償責任特約は、日常生活において生じた偶然な事故によって他人の身体や財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。「業務の遂行に起因する損害」「自動車や原動機付自転車の所有・使用・管理に起因する損害」などは免責とされています。
解き方
- (a)は賃貸アパート(不動産賃貸事業)の管理に起因する事故であるため、業務起因として対象外と判断する。
- (b)は業務中の職務遂行に起因する事故であるため、業務起因として対象外と判断する。
- (c)は趣味のスポーツ(ゴルフ)中の事故であり、日常生活における事故として対象内と判断する。
- (d)は自転車(軽車両)の運転中の事故であり、日常生活における対物事故として対象内と判断する。
- 対象となる項目数を数えると、(c)と(d)の2つである。
- 選択肢 1不正解
- 対象となるものは(c)と(d)の2つあるため、1つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (c)と(d)の2つが個人賠償責任特約の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 対象となるものは2つのため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 対象となるものは2つのため、4つとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 個人賠償責任特約は「日常生活の事故」が対象。職務・業務の遂行に起因する賠償責任は免責。
間違えやすいところ
- 賃貸物件の所有・管理に伴う事故を「個人の所有物だから」と個人賠償の対象と勘違いしやすい(施設所有管理者賠償責任保険等の対象)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の仕組みと特徴
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険 / 保険料精算
労働災害総合保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
労働災害総合保険は、政府の労働者災害補償保険(労災保険)の上乗せ保険です。法定給付に上乗せして定額等の給付を行う「法定外補償保険条項」と、安全配慮義務違反等で使用者が被用者等から損害賠償請求された場合の損害を補償する「使用者賠償責任保険条項」から構成されます。
解き方
- 法定外補償と使用者賠償責任は単独契約またはセット契約の選択が可能であるか確認する(使用者賠償単独加入等も可能)。
- 法定外補償保険の支払条件(労災保険給付が認定されることが原則前提)を確認する。
- 使用者賠償責任保険の対象(第三者に対する賠償ではなく、被用者自身やその遺族に対する損害賠償責任)を確認する。
- 保険料算出方法(期首暫定払い・期末確定精算方式の存在)を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険は、セットで加入するだけでなく、どちらか一方のみを単独で契約することも可能です。
- 選択肢 2不正解
- 法定外補償保険は、被用者の業務災害等について政府の労災保険の給付が行われることを前提として、上乗せして保険金を支払うものです。労災給付が行われない場合に支払われるものではありません。
- 選択肢 3不正解
- 使用者賠償責任保険は、業務災害を被った「被用者本人またはその遺族」に対して使用者が法律上の損害賠償責任を負った場合に補償するものであり、第三者に対する損害を補償するものではありません(第三者への賠償は請負業者賠償責任保険等の対象)。
- 選択肢 4正解
- 平均被用者数や賃金総額の見込額により契約時に暫定保険料を支払い、満了時に確定した実績値によって保険料を精算する契約方式が一般に用意されています。
覚えるポイント
- 使用者賠償責任保険の賠償相手は「被用者(従業員)およびその遺族」。第三者への賠償ではない。
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任を、民法715条の使用者責任(従業員が他人に損害を与えた場合の責任)と混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
日本銀行の金融政策と金融調節
金融資産運用 · 日本銀行 / 金融調節 / 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール) / マネタリーベース
日本銀行が実施している金融政策および金融調節に関する次の記述のうち、2021年1月現在の「当面の金融政策運営について」に照らし、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
日本銀行は金融政策決定会合で金融市場調節方針等を決定します。「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」において、消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続(オーバーシュート型コミットメント)するとされているのは「マネタリーベース」です。
解き方
- 金融市場調節方針の決定方法(政策委員会の多数決)を確認する。
- 日銀が操作・コミットメントの対象としている指標を検証する(中央銀行が直接供給するのはマネタリーベース、市中に流通する通貨量はマネーストック)。
- イールドカーブ・コントロール(短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度)および買入対象資産(ETF、J-REIT、CP、社債等)の内容を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 金融市場調節方針は、日本銀行政策委員会の金融政策決定会合において、総裁・副総裁・審議委員計9名の政策委員による多数決で決定されます。
- 選択肢 2正解
- 消費者物価指数(生鮮食品を除く)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続するとされているのは「マネタリーベース(日銀当座預金+紙幣・硬貨流通高)」であり、「マネーストック」ではありません。
- 選択肢 3不正解
- イールドカーブ・コントロールでは、日銀当座預金の一部(政策金利残高)にマイナス0.1%を適用し、10年物長期国債利回りがゼロ%程度で推移するよう国債買入れを行っています。
- 選択肢 4不正解
- 長短国債の買入れのほか、リスクプレミアムの圧縮や市場の安定を目的として、ETF、J-REIT、CP、社債などの買入れが実施されています。
覚えるポイント
- 日銀のオーバーシュート型コミットメントの対象は「マネタリーベース」(マネーストックではない)。
間違えやすいところ
- 日銀が直接供給・コントロールできる「マネタリーベース」と、市中に出回る預金通貨を含めた「マネーストック」の用語を取り違えやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2021年1月公表方針照らし)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種信託商品の一般的な特徴
金融資産運用 · 信託商品 / 暦年贈与信託 / 特定贈与信託 / 後見制度支援信託 / 遺言代用信託
各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
信託を活用した資産承継商品には様々な形態があり、暦年贈与の非課税枠を活用する信託では定期金給付契約と判定されて一括課税されるリスクを防ぐため、毎年の贈与契約手続きを前提として設計されています。
解き方
- 各信託商品(暦年贈与信託、特定贈与信託、後見制度支援信託、遺言代用信託)の目的と法的仕組みを確認する。
- 暦年贈与信託において、毎年の贈与意思確認を不要とする定期給付契約とみなされないための要件と記述を比較して誤りを判定する。
- 選択肢 1正解
- 暦年贈与信託は、定期金給付契約とみなされて初年度に一括して贈与税が課税されるのを防ぐため、あらかじめ定期給付契約を締結するのではなく、毎年の贈与意思を確認・合意したうえで給付が行われます。
- 選択肢 2不正解
- 特定贈与信託は障害者の生活安定のための信託であり、特別障害者は6,000万円、それ以外の特定障害者は3,000万円まで信託受益権の価額が贈与税非課税となります。
- 選択肢 3不正解
- 後見制度支援信託は成年後見制度を利用する本人の財産保護を図るもので、契約締結や解約等は家庭裁判所の指示書に基づき行われ、対象財産は金銭に限られます。
- 選択肢 4不正解
- 遺言代用信託は、生前は委託者本人が受益者となり、死亡後は指定された第二受益者が権利を承継する信託で、一時金給付または定期定額給付を選択できます。
覚えるポイント
- 暦年贈与信託は定期給付契約とみなされないよう毎年の贈与契約手続きが行われる。
- 特定贈与信託の非課税限度額は特別障害者6,000万円、その他特定障害者3,000万円。
間違えやすいところ
- 暦年贈与信託と定期金給付契約を混同し、自動的に毎年均等給付される仕組みと誤認しやすいです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
商品分類に関する指針に基づく交付目論見書の記載
金融資産運用 · 投資信託 / 交付目論見書 / 商品分類に関する指針 / 絶対収益追求型
投資信託説明書(交付目論見書)に「追加型投信/内外/資産複合(株式、債券、不動産投信)資産配分変更型/特殊型(絶対収益追求型)」と記載されているX投資信託に関する次の記述のうち、投資信託協会の「商品分類に関する指針」に照らし、適切なものはいくつあるか。 (a) X投資信託は、当初設定後、追加設定が行われ、従来の信託財産とともに運用されるファンドである。 (b) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、国内および海外の資産による投資収益を実質的に源泉とする旨の記載があるファンドである。 (c) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、株式、債券および不動産投信を投資対象とし、組入比率については、機動的な変更を行う旨の記載があるファンドまたは固定的とする旨の記載がないファンドである。 (d) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、仕組債への投資またはその他特殊な仕組みを用いることにより、あらかじめ定められた一定の投資成果を保証する旨の記載があるファンドである。
解答・解説を表示
解答
3
解説
一般社団法人投資信託協会の「商品分類に関する指針」では、単位型・追加型の区分、投資対象地域、投資対象資産、独立した分類(特殊型など)の定義が厳格に定められています。なお、金融商品取引法上、投資成果を保証する投資信託は存在しません。
解き方
- 商品分類コードの各構成要素(追加型投信、内外、資産複合・資産配分変更型、特殊型・絶対収益追求型)の意味を照合する。
- (a)追加型投信、(b)内外、(c)資産配分変更型の定義がそれぞれ正しいことを確認する。
- (d)の「投資成果を保証する」という記述が投資信託の運用原則および定義に反することを見抜き、適切な記述が3つであることを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つ存在するため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つ存在するため、2つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 3正解
- (a)、(b)、(c)の3つが正しく、(d)のみが誤りであるため、適切なものは「3つ」となります。
- 選択肢 4不正解
- (d)は絶対収益追求型であっても投資成果を保証するものではないため不適切であり、4つすべてが適切とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 投資信託において元本や一定の投資成果を「保証」するものは法令上認められない。
- 「資産配分変更型」は機動的な変更を行う旨の記載があるか、配分比率を固定的とする記載がないファンド。
間違えやすいところ
- 「絶対収益追求型」を元本確保や収益保証の意味と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の最終利回りの計算(単利・複利)
金融資産運用 · 債券投資 / 最終利回り / 単利最終利回り / 複利最終利回り / 割引債券
以下の表に記載されている固定利付債券の単利計算による最終利回り(空欄①)と割引債券の1年複利計算による最終利回り(空欄②)の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。なお、税金や手数料等は考慮せず、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〔条件〕 ・固定利付債券:単価 100.80円、償還価格 100.00円、表面利率 0.65%、残存期間 4年 ・割引債券:単価 98.25円、償還価格 100.00円、表面利率 ―、残存期間 4年
解答・解説を表示
解答
1
解説
固定利付債券の単利最終利回りは毎年のクーポン収入と年換算した償還差損益の合計を購入価格で除して求めます。割引債券の1年複利利回りは購入価格から償還価格への幾何平均収益率として計算します。
解き方
- 固定利付債券の単利最終利回りを計算する:[0.65 + (100.00 - 100.80) / 4] / 100.80 × 100 = [0.65 - 0.20] / 100.80 × 100 = 0.45 / 100.80 × 100 ≒ 0.4464% → 四捨五入して0.45%。
- 割引債券の1年複利最終利回りを計算する:(100.00 / 98.25)^(1/4) - 1 ≒ (1.0178117)^(0.25) - 1 ≒ 1.004423 - 1 = 0.4423% → 四捨五入して0.44%。
- ①が0.45%、②が0.44%となる選択肢1を選択する。
- 選択肢 1正解
- ①の単利最終利回りは0.45%、②の複利最終利回りは0.44%となり、計算結果と一致します。
- 選択肢 2不正解
- ②の割引債券の利回りが0.89%となっており誤りです(0.89%は2年などの異なる前提値)。
- 選択肢 3不正解
- ①の固定利付債券の利回りが0.84%となっており誤りです(償還差損を減算せず加算した誤り)。
- 選択肢 4不正解
- ①が0.84%、②が0.89%となっており、いずれの計算値も誤りです。
覚えるポイント
- 単利最終利回り = [表面利率 + (償還価格 - 購入価格) / 残存年数] / 購入価格 × 100。
- 割引債の1年複利利回り = (償還価格 / 購入価格)^(1 / 残存年数) - 1。
間違えやすいところ
- パーより高い価格で購入している場合、償還差損となるため分子から差し引く必要がありますが、符号を間違えて加算してしまうミスに注意してください。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
海外の主要株価指標
金融資産運用 · 海外株価指数 / ダウ工業株30種平均 / CAC40 / DAX / FTSE100
海外の株価指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
世界の主要株式市場の代表的株価指標について、算出対象市場(取引所・国)、採用銘柄数、および算出方法(株価平均型か時価総額加重型か)を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 各選択肢に記載された指数名・上場取引所(国)・銘柄数・算出方式を照合する。
- ダウ平均(株価平均型、NASDAQ含む)、CAC40(フランス・パリ)、DAX(ドイツ・フランクフルト)の誤りを確認する。
- FTSE100(英国・ロンドン証券取引所、時価総額上位100銘柄、時価総額加重型)が正しいことを判定する。
- 選択肢 1不正解
- ダウ工業株30種平均は、時価総額加重型ではなく株価平均型(修正平均株価)の指数であり、NASDAQ上場銘柄も含まれています。
- 選択肢 2不正解
- CAC40指数はドイツではなくフランス(ユーロネクスト・パリ)の主要40銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数です。
- 選択肢 3不正解
- DAX指数は香港ではなくドイツ(フランクフルト証券取引所)の主要銘柄を対象とする株価指数です。
- 選択肢 4正解
- FTSE100指数は、ロンドン証券取引所に上場している時価総額上位100銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数であり、適切です。
覚えるポイント
- FTSE100は英国(ロンドン)、CAC40はフランス(パリ)、DAXはドイツ(フランクフルト)。
- ダウ工業株30種平均は「株価平均型(単純平均をダウ乗数で除算)」、S&P500やFTSE100は「時価総額加重型」。
間違えやすいところ
- ダウ30種平均を時価総額加重型と混同したり、欧州各国の代表指数(ドイツDAXとフランスCAC40)の国名を逆にして覚えるミスが多いです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の信用取引に関する規制と権利
金融資産運用 · 信用取引 / 制度信用取引 / 委託保証金 / 代用有価証券 / 株主優待
株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
信用取引における買建玉は証券会社等から資金を借りて購入している状態であり、株式の名義人は投資家本人ではなく証券会社や証券金融会社等になります。そのため、株主としての直接の権利(議決権や株主優待等)は得られません。
解き方
- 信用取引のルール(返済期限、委託保証金率・最低額、代用有価証券の評価)を確認する。
- 買い建玉の権利関係(配当金そのものではなく配当落調整額である点、株主優待は付与されない点)を照合する。
- 選択肢4が「株主優待を受け取ることができる」としている誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 制度信用取引の弁済期限(決済期日)は、取引所規則により最長6カ月と定められています。
- 選択肢 2不正解
- 委託保証金率は約定価額の30%以上ですが、最低委託保証金額として30万円が定められているため、約定価額60万円の場合は30万円以上が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 委託保証金には上場株式等の有価証券を代用することができ、差入れ前日の時価に所定の代用掛目(上場株式は80%等)を乗じて評価されます。
- 選択肢 4正解
- 信用取引の買建玉の名義人は顧客本人ではないため株主優待を受け取ることはできず、配当も配当落調整額としての精算となるため不適切です。
覚えるポイント
- 委託保証金は30%以上かつ最低30万円。
- 信用買い建てでは株主優待は得られず、配当は「配当落調整額」として授受される。
間違えやすいところ
- 約定金額が小さくても最低委託保証金30万円のルールが適用されることを見落としがちです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
デリバティブを活用したリスクヘッジ
金融資産運用 · デリバティブ / リスクヘッジ / 先物ヘッジ / 為替予約 / 通貨オプション / 金利オプション
デリバティブを活用したリスクヘッジの提案に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
現物資産や将来のキャッシュフローが持つ価格変動リスク(下落、上昇、為替変動、金利変動)に対して、逆の損益が発生するポジションをデリバティブで構築することがリスクヘッジの基本原理です。
解き方
- 保有株式の下落リスクには先物の「売建て」が必要であるため選択肢1を不適切と判断する。
- 輸出企業の円高(ドル安)リスクには「ドル売り/円買い」の為替予約が必要であるため選択肢2を不適切と判断する。
- 輸入企業の円安(ドル高)リスクには「ドル買い(コール)/円売り(プット)」の権利購入が適合するため選択肢3を適切と判断する。
- 変動金利借入人の金利上昇リスクには上限を設定する「キャップの購入」が必要であるため選択肢4を不適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 保有株式の下落リスクに対するヘッジとしては、先物の買建てではなく「売建て(ショート・ヘッジ)」を行います。
- 選択肢 2不正解
- 米ドル建て輸出企業はドルを受け取って円に換えるため、円高(ドル安)ヘッジには「米ドル売り/円買い」の為替予約を行います。
- 選択肢 3正解
- 輸入業者は将来ドルを購入して支払うため、円安(米ドル高)ヘッジとして米ドルを買う権利である「米ドル・コール/円・プット」の購入が適切です。
- 選択肢 4不正解
- 借入金の金利上昇ヘッジとして購入すべきなのは金利上限を固定する「キャップ」であり、「フロア」は金利下落に対するヘッジです。
覚えるポイント
- 輸入業者:円安(ドル高)リスク → ドル・コール(円・プット)の買い、ドル先物買い。
- 借入人:金利上昇リスク → キャップ(金利コール)の買い、金利スワップ(変動受取・固定支払)。
間違えやすいところ
- コール(買う権利)とプット(売る権利)、キャップ(上限)とフロア(下限)の対象関係を取り違えやすいです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座の制度と仕組み
金融資産運用 · 特定口座 / 簡易申告口座 / 源泉徴収選択口座 / 損益通算 / 上場株式等の配当等
特定口座に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における簡易申告口座とは、特定口座のうち、源泉徴収がされない口座をいう。
解答・解説を表示
解答
1
解説
特定口座制度には「源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)」と「簡易申告口座(源泉徴収なし)」があります。口座内での配当等と譲渡損失の自動損益通算は、源泉徴収選択口座でのみ行われる機能です。
解き方
- 特定口座における簡易申告口座と源泉徴収選択口座の相違点(配当受入の可否、年間取引報告書の作成、口座数制限)を整理する。
- 簡易申告口座には配当等や特定公社債利子を受け入れられない規定を確認し、選択肢1が適切であることを判定する。
- 他の選択肢(報告書作成の有無、金融機関ごとの開設可否、通算のタイミング)の誤りを確認する。
- 選択肢 1正解
- 上場株式等の配当等や利子等を受け入れて譲渡損益と通算できるのは源泉徴収選択口座に限られ、簡易申告口座には受け入れることができません。
- 選択肢 2不正解
- 簡易申告口座であっても、確定申告を容易にするために年間の譲渡損益が記載された「特定口座年間取引報告書」が作成・交付されます。
- 選択肢 3不正解
- 源泉徴収選択口座は、1金融機関につき1口座開設できるため、異なる金融機関であれば複数開設することが可能です(1人1口座の制限ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 配当等を受け入れた後の譲渡損失との損益通算は、都度ではなく年間の計算(年末に一括精算・還付)で行われます。
覚えるポイント
- 特定口座(源泉徴収あり)のみ配当等の受入れ・自動損益通算が可能。
- 特定口座年間取引報告書は源泉徴収の「あり」「なし(簡易申告)」のいずれでも作成される。
間違えやすいところ
- NISA口座(原則1人1口座)と混同し、特定口座の源泉徴収選択口座も全金融機関を通じて1人1口座しか作れないと思い込まないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金保険制度の対象と保護の仕組み
金融資産運用 · 預金保険制度 / 名義貸し預金 / 付保預金 / 外貨預金 / 担保預金
わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
預金保険法における名寄せ・保護対象額の算定では実質主義が取られており、単に名義を借りた預金は名義上の名義人ではなく実質的な権利者(真の預金者)の預金として合算されます。
解き方
- 預金保険制度の保護対象外預金(外貨預金、譲渡性預金、海外支店、外国銀行在日支店等)を確認する。
- 借名預金の取扱いについて、名義人ではなく「実質的預金者(真の預金者)」に帰属して名寄せされる法令ルールを確認する。
- 選択肢3において「名義の借主(形式上の名義人)」と合算するとしている誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 外貨預金は、国内銀行の国内支店に預け入れられたものであっても預金保険制度の保護対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 国内銀行の海外支店や、外国銀行の在日支店(日本法人として設立された子会社等を除く)への預金は預金保険制度の保護対象外です。
- 選択肢 3正解
- 他人名義預金や架空名義預金は、名義上の名義人ではなく「真の預金者(実質的所有者)」の預金として他の預金等と合算されるため、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 担保権の目的となっている預金とそうでない預金がある場合、担保権の目的となっていない預金が優先して1,000万円の保護対象預金として特定されます。
覚えるポイント
- 他人名義預金は実質的預金者(真の預金者)の預金として名寄せされる。
- 外貨預金・譲渡性預金・海外支店預金・外国銀行在日支店預金は保護の対象外。
間違えやすいところ
- 借名預金について、形式上の名義人の預金として名寄せされると誤認しないように注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業所得の計算と取扱い
タックスプランニング · 事業所得 / 自家消費 / 少額減価償却資産 / 交際費 / 生計を一にする親族間の対価
居住者に係る所得税の事業所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税法における事業所得の計算では、棚卸資産の自家消費は販売価額の70%以上(または仕入価額のいずれか高い額)を総収入金額に算入し、業務に直接必要な費用のみが必要経費として認められます。
解き方
- 各選択肢の所得税法における規定(自家消費の算入額、少額資産の売却、交際費、親族間取引)を確認する。
- 選択肢1の棚卸資産の自家消費に係る総収入金額算入割合が「50%相当額」と誤っていることを見出す。
- 選択肢 1正解
- 棚卸資産を家事のために消費した場合、その棚卸資産の仕入価額(取得価額)または通常の販売価額の70%相当額のいずれか高い金額を総収入金額に算入するため、50%とする本記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の減価償却資産(少額減価償却資産等として業務の用に供した年に全額経費算入されたもの)を譲渡した場合の対価は、事業所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 個人事業主の場合、法人税のような交際費等の損金不算入の制限はなく、事業遂行上直接必要と認められる支出であれば全額が必要経費に算入されます。
- 選択肢 4不正解
- 生計を一にする親族に対して支払う家賃等の対価は、所得税法第56条の規定により必要経費に算入することはできません(当該親族のその建物に係る減価償却費や固定資産税等の実費が必要経費となります)。
覚えるポイント
- 棚卸資産の自家消費は通常の販売価額の70%または仕入価額のいずれか高い方を総収入金額に算入する。
間違えやすいところ
- 個人事業主の交際費に法人税のような損金不算入限度額があると思い込んでしまう誤りに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得の計算と各種控除
タックスプランニング · 通勤手当 / 給与所得控除 / 特定支出控除 / 所得金額調整控除
居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
給与所得は、給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算され、特定支出が一定額を超える場合の特例控除や、一定の高所得・子育て層等に対する所得金額調整控除が設けられています。
解き方
- 通勤手当の非課税限度額(月額15万円)や給与所得控除の改正後の最低額(55万円)・上限額(195万円)を確認する。
- 所得金額調整控除の最高限度額(最大15万円)と特定支出控除の適用要件を照合し、選択肢3が正しいと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 交通機関等を利用して通勤する者に支給される通勤手当の非課税限度額は、1か月当たり15万円(月額15万円)までです。
- 選択肢 2不正解
- 2020年分以後の給与所得控除額は、収入金額162万5,000円以下では55万円、収入金額850万円超で上限195万円となっています。
- 選択肢 3正解
- 特定支出の合計額がその年分の給与所得控除額の2分の1を超える場合、確定申告によりその超える部分の金額を給与所得の金額の計算上控除できます。
- 選択肢 4不正解
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、「(給与等の収入金額-850万円)×10%」で計算され、給与等収入金額の上限が1,000万円であるため、最大控除額は15万円です。
覚えるポイント
- 2020年分以後の給与所得控除の最低額は55万円、上限額は195万円(年収850万円超)。
間違えやすいところ
- 所得金額調整控除(子ども等)の最大控除額は(1,000万円-850万円)×10%=15万円である。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
損益通算と総所得金額の計算
タックスプランニング · 損益通算 / 不動産所得の損失 / 土地取得のための負債利子 / 一時所得 / 雑所得の損失
居住者であるAさんの2020年分の各種所得の金額が次のとおりであった場合の総所得金額として、最も適切なものはどれか。 ・不動産所得:▲100万円(不動産賃貸業。必要経費に土地取得に要した負債利子20万円を含む) ・事業所得:50万円(個人商店、青色申告特別控除後) ・一時所得:180万円(変額個人年金保険(終身年金)の解約返戻金) ・雑所得:▲40万円(外貨預金の為替差損)
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産所得の損失のうち土地取得のための負債利子に相当する部分は損益通算の対象外となり、雑所得の損失は他の所得と通算できません。また、他の所得の損失を一時所得から控除する場合、一時所得の2分の1にする前の金額から損失を控除した後に2分の1を乗じます。
解き方
- 不動産所得の損失▲100万円から土地取得負債利子20万円を除外した▲80万円を損益通算対象とする。外貨預金の為替差損(雑所得の損失)▲40万円は損益通算できない。
- 経常所得グループにおいて事業所得50万円から不動産所得の損失▲80万円を控除し、控除しきれない損失▲30万円を算出する。
- 控除しきれない損失▲30万円を一時所得の金額(2分の1にする前の金額)180万円から差し引くと150万円となり、これに2分の1を乗じて総所得金額75万円を求める。
- 選択肢 1不正解
- 計算手順および損益通算のルールを誤って適用した結果の金額です。
- 選択肢 2不正解
- 土地負債利子や一時所得の控除前・控除後の計算順序を誤っています。
- 選択肢 3不正解
- 一時所得を先に2分の1(90万円)にしてから残余損失30万円を控除した場合の誤りです。損失の控除は2分の1にする前の一時所得の金額から行います。
- 選択肢 4正解
- 不動産の通算可能損失▲80万円を事業所得50万円から控除した残額▲30万円を、一時所得の金額180万円から控除して150万円とし、その2分の1である75万円が総所得金額となります。
覚えるポイント
- 損益通算において一時所得から損失を控除するときは、2分の1にする前の金額から控除する。
間違えやすいところ
- 一時所得をあらかじめ2分の1にしてから他の所得の損失を控除してしまう計算ミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得控除(配偶者控除・扶養控除・ひとり親控除・基礎控除)
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / ひとり親控除 / 基礎控除
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述(a)~(d)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 合計所得金額が1,000万円を超える納税者は、配偶者の合計所得金額の多寡にかかわらず、配偶者控除および配偶者特別控除のいずれの適用も受けることができない。 (b) 扶養控除の対象となる扶養親族は、納税者と生計を一にする親族(納税者の配偶者を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下で、16歳以上の者である。 (c) ひとり親控除は、現に婚姻をしていない納税者で、生計を一にする子を有し、合計所得金額が500万円以下である者が適用を受けることができ、その控除額は38万円である。 (d) 基礎控除は、すべての納税者が適用を受けることができ、その控除額は、納税者の合計所得金額の多寡にかかわらず、一律48万円である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得控除では、納税者本人の合計所得金額に応じた制限や、対象となる親族等の合計所得金額要件(2020年分以後は基礎控除等の見直しに伴い48万円以下へ引上げ)が定められています。
解き方
- 記述(a)~(d)の各要件を2020年分以後の税法規定に照らして正誤判定する。
- (a)は適切、(b)は所得要件が誤り、(c)は控除額が誤り、(d)は所得制限があるため誤りとなり、適切な記述は1つであると導く。
- 選択肢 1正解
- 適切なものは(a)の1つのみであるため、選択肢1が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述が2つあるとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述が3つあるとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が4つあるとする本選択肢は不適切です。
覚えるポイント
- 2020年分以後、扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件は48万円以下(給与収入103万円以下)。ひとり親控除額は35万円。
間違えやすいところ
- 基礎控除は2,500万円超で適用なしとなるため、一律適用ではないことに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当控除の税額控除額の計算
タックスプランニング · 配当控除 / 総合課税 / 課税総所得金額 / 1,000万円超の計算
居住者であるAさんの2020年分の所得の金額等が下記のとおりであった場合の所得税の配当控除の額として、最も適切なものはどれか。 ・配当所得の金額:255万円(東証上場の国内株式配当、総合課税選択) ・不動産所得の金額:890万円 ・所得控除の額の合計額:135万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
総合課税を選択した上場国内株式の配当所得に係る配当控除は、課税総所得金額等のうち1,000万円以下の部分に対応する配当所得に対しては10%、1,000万円を超える部分に対応する配当所得に対しては5%を乗じて計算します。
解き方
- 総所得金額(255万円+890万円=1,145万円)から所得控除135万円を控除し、課税総所得金額1,010万円を算出する。
- 課税総所得金額のうち1,000万円を超える部分である10万円を把握する。
- 1,000万円超の部分10万円に5%を乗じ(5,000円)、1,000万円以下の部分(255万円-10万円=245万円)に10%を乗じて(24万5,000円)、合算して25万円を算出する。
- 選択肢 1不正解
- 配当所得全額に5%を乗じた場合の誤った計算(255万円×5%=12万7,500円)です。
- 選択肢 2不正解
- 課税総所得金額の境界計算や控除率の区分を誤った金額です。
- 選択肢 3正解
- 課税総所得金額1,010万円のうち、1,000万円以下の部分に属する配当所得245万円×10%=24万5,000円と、1,000万円超の部分に属する配当所得10万円×5%=5,000円の合計で25万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 配当所得全額に10%を乗じた場合の誤った計算(255万円×10%=25万5,000円)です。
覚えるポイント
- 配当控除は課税総所得金額等が1,000万円超の部分は5%、1,000万円以下の部分は10%の税率を適用する。
間違えやすいところ
- 課税総所得金額の計算時に所得控除を差し引くのを忘れて総所得金額のままで判定してしまう誤り。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業税の仕組みと計算
タックスプランニング · 個人事業税 / 第1種・第2種・第3種事業 / 青色申告特別控除の不適用 / 標準税率と制限税率 / 賦課課税方式
個人事業税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
個人事業税は地方税(道府県税)であり、所得税の青色申告特別控除は適用されず、原則として普通徴収(賦課課税方式)により都道県から送付される納税通知書で納付します。
解き方
- 個人事業税の対象事業、所得計算のルール(青色申告特別控除の控除不可)、徴収方法(普通徴収で原則8月・11月納付)を確認する。
- 地方税法における個人事業税の制限税率が標準税率の1.1倍である規定と照らし、選択肢3が適切であると判断する。
- 選択肢 1不正解
- 個人が行う農業(林業も含む)は、地方税法上の個人事業税の課税対象となる法定業種に含まれておらず、非課税です。
- 選択肢 2不正解
- 個人事業税の所得の計算上、青色申告特別控除は適用されません(事業専従者給与は必要経費に算入されます)。
- 選択肢 3正解
- 地方税法第72条の24の7等の規定により、個人事業税の制限税率はそれぞれの事業の標準税率の1.1倍と定められています。
- 選択肢 4不正解
- 所得税の確定申告書等を提出した場合は個人事業税の申告書を別途提出する必要はなく、原則として8月と11月の年2回、都道府県からの納税通知書によって納付(普通徴収)します。
覚えるポイント
- 個人事業税の所得計算において、青色申告特別控除は控除できない。
間違えやすいところ
- 所得税の青色申告特別控除が住民税や個人事業税でも同様に引けると混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の地方税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における役員給与の損金算入要件
タックスプランニング · 役員給与 / みなし役員 / 定期同額給与 / 事前確定届出給与 / 業績連動給与
内国法人に係る法人税における役員給与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法人税法上、役員に対する給与はみなし役員も含めて規制され、原則として定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当する一定のもののみが損金算入されます。
解き方
- みなし役員の規定(使用人でも実質的に経営に従事していれば役員に含まれる)から選択肢1を誤りと判定する。
- 定期同額給与の期中増額改定時の損金不算入額(増額された部分のみ不算入)から選択肢2を誤りと判定する。
- 新設法人の事前確定届出給与の提出期限(設立の日以後2か月以内)から選択肢3が正しいと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 法人税法上、登記上の役員だけでなく、使用人であっても法人の経営に従事している一定の者(みなし役員)に支給する給与も役員給与に含まれます。
- 選択肢 2不正解
- 通常改定期間外の増額改定であっても、損金不算入となるのは「増額改定前の給与額を超える部分(増額された部分)」であり、支給した全額が損金不算入となるわけではありません。
- 選択肢 3正解
- 新設法人が設立時に開始する役員の職務について事前確定届出給与の損金算入を受けるための届出期限は、設立の日以後2カ月を経過する日です。
- 選択肢 4不正解
- 業績連動給与は、有価証券報告書に記載される利益等の指標を基礎に客観的に算定される給与であり、全額支給か全額不支給かといった条件を設定するものではありません。
覚えるポイント
- 新設法人の事前確定届出給与の届出期限は、設立の日以後2カ月を経過する日。
間違えやすいところ
- 定期同額給与の事業年度途中の増額改定で、支給額全額が否認されると勘違いしない(増額部分のみ損金不算入)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法人税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における貸倒損失の計上要件
タックスプランニング · 貸倒損失 / 形式上の貸倒れ / 法律上の貸倒れ / 事実上の貸倒れ / 少額債権
内国法人に係る法人税における貸倒損失の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
貸倒損失には、法律上の貸倒れ(更生計画等)、事実上の貸倒れ(全額回収不能)、形式上の貸倒れ(1年以上取引停止、取立費用超過の少額債権)の3類型があり、それぞれの要件を満たす必要があります。
解き方
- 各選択肢の債権の種類、相手方の状態、手続き(口頭か書面か、担保物の有無、継続的取引か否か)を分析する。
- 少額債権の取立費用超過による形式上の貸倒れ要件を満たす選択肢1を適切と判断する。
- 選択肢 1正解
- 債務者の同一地域にある売掛債権等の総額が取立費用に満たない場合で督促しても弁済がないときは、備忘価額(1円)を控除した額を貸倒れとして損金経理することができます。
- 選択肢 2不正解
- 法律上の貸倒れとして債務免除により損金算入するためには、書面(内容証明郵便等)により債務免除を通知する必要があり、口頭の申し出では認められません。
- 選択肢 3不正解
- 担保物がある場合は、その担保物を処分した後でなければ、事実上の貸倒れとして全額回収不能による損金算入を行うことはできません。
- 選択肢 4不正解
- 1年以上経過による形式上の貸倒れは「継続的な取引を行っていた者」に対する売掛債権が対象であり、単発の取引や不動産売買代金等の債権には適用されません。
覚えるポイント
- 取引停止後1年以上経過による貸倒れは継続的取引の売掛債権が対象で、貸付金や単発取引には適用されない。
間違えやすいところ
- 事実上の貸倒れは担保物がある場合には担保処分前には計上できない点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法人税法・法人税基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の簡易課税制度におけるみなし仕入率の適用
タックスプランニング · 消費税 / 簡易課税制度 / みなし仕入率
消費税の簡易課税制度において、納付すべき消費税額が最も低くなるようにみなし仕入率を適用する場合の記述として、次のうち最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
簡易課税制度で2種類以上の事業を営む事業者は、原則として事業区分ごとにみなし仕入率を適用して計算します。1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合はその事業のみなし仕入率を全体に適用する特例も選択できますが、納付税額が最も低くなる方法を選択する場合は、より高いみなし仕入率を有利に適用できる区分計算を行います。
解き方
- 各選択肢の事業構成比率を確認し、原則的な区分計算と75%特例適用のどちらが控除税額を大きくできるかを比較する。
- 選択肢3では第3種が80%を占めるが、全体に70%を適用するより第1種に90%・第3種に70%を区分適用した方が納付税額が低くなるため、誤りであると判定する。
- 選択肢 1不正解
- いずれの事業区分も75%未満であるため、原則どおり第1種事業に90%、第3種事業に70%のみなし仕入率を区分して適用します。
- 選択肢 2不正解
- 第1種事業の割合が95%(75%以上)を占めており、全体に最も高い第1種のみなし仕入率90%を適用することで納付税額が最も低くなります。
- 選択肢 3正解
- 第3種事業が80%(75%以上)を占めますが、全体に70%を適用すると第1種(90%)部分の控除が減り税額が高くなるため、第1種に90%・第3種に70%を区分適用するのが最も有利です。
- 選択肢 4不正解
- 上位2区分の合計(第1種50%+第2種35%=85%)が75%以上を占める場合、第1種に90%を適用し、残りの第2種および第5種(15%)に第2種のみなし仕入率80%を適用することができ、これが最も有利になります。
覚えるポイント
- 簡易課税の75%特例は納税者に有利な場合にのみ適用し、区分計算の方が有利なら区分計算を行う。
間違えやすいところ
- 75%以上を占める事業区分があれば強制的に全体へその率が適用されると誤解しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の消費税法
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記制度の基本的仕組み
不動産 · 不動産登記法 / 登記記録 / 登記事項証明書 / 登記識別情報
不動産登記に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
不動産登記記録は表題部と権利部に分かれて編成されます。表題部には土地や建物の物理的現況が記録され、権利部の甲区には所有権に関する登記事項、乙区には抵当権や地上権などの所有権以外の権利に関する登記事項が記録されます。
解き方
- 登記記録の甲区と乙区に記録される権利の内容を整理する。
- 登記事項要約書の性質、住所変更登記の申請義務の有無(基準日時点)、登記識別情報の再交付不可の原則を確認し、適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 登記事項要約書には登記官の認証文や職印は付されません。認証文や職印が付されるのは登記事項証明書です。
- 選択肢 2正解
- 権利部甲区には所有権に関する事項、権利部乙区には抵当権や地上権など所有権以外の権利に関する事項がそれぞれ記録されます。
- 選択肢 3不正解
- 本試験基準日現在、所有権の登記名義人の住所変更登記は任意であり、1カ月以内に申請する義務はありません。
- 選択肢 4不正解
- 登記識別情報は一度交付されると紛失等を理由に再交付を受けることはできません。事前通知制度や本人確認情報等を利用して申請します。
覚えるポイント
- 甲区は所有権に関する事項、乙区は所有権以外の権利に関する事項。登記識別情報は再交付不可。
間違えやすいところ
- 登記事項証明書と登記事項要約書の違い(認証文・職印の有無)を混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の不動産登記法
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における不動産売買契約上の責任と危険負担
不動産 · 民法 / 売買契約 / 契約不適合責任 / 危険負担 / 契約解除
民法における不動産の売買に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
2020年4月施行の改正民法により危険負担の規定が見直され、目的物の引渡し前に当事者双方の責めに帰することができない事由によって目的物が滅失・損傷した場合、買主は代金の支払を拒むことができます。一方で引渡しがあった後は危険が買主に移転するため代金の支払を拒むことはできません。
解き方
- 不動産の滅失が目的物の引渡し前か引渡し後かを確認する。
- 引渡し前の滅失では買主に代金支払拒絶権が認められ、引渡し後の滅失では買主は代金支払を拒絶できないという危険負担の原則を適用する。
- 選択肢 1不正解
- 目的物が契約内容に適合しない場合、買主の帰責事由によるものでない限り、買主は追完請求(修補、代替物・不足分の引渡し等)を請求できます。
- 選択肢 2正解
- 引渡し前に双方の帰責事由なく目的物が滅失した場合、買主は代金の支払を拒むことができるため、「拒むことはできない」とする本記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 目的物が引き渡された後は危険が買主に移転しているため、双方の帰責事由なく滅失しても買主は代金支払を拒むことはできません。
- 選択肢 4不正解
- 債務不履行において相当期間を定めて催告しても履行がない場合、不履行が軽微なときを除き買主は契約を解除することができます。
覚えるポイント
- 危険の移転時期は「引渡し時」。引渡し前の不可抗力滅失は代金支払拒絶が可能、引渡し後は代金支払拒絶不可。
間違えやすいところ
- 旧民法の債権者主義(契約成立時に危険が移転する規定)と混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の民法(2020年4月施行改正民法)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における普通借家契約と定期借家契約の異同
不動産 · 借地借家法 / 普通建物賃貸借 / 定期建物賃貸借 / 法定更新 / 中途解約
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、定期建物賃貸借契約を定期借家契約、それ以外を普通借家契約という。
解答・解説を表示
解答
2
解説
借地借家法において、普通借家契約の法定更新が成立すると、賃料等の条件は従前の契約と同一になりますが、契約期間については法律上「期間の定めのない賃貸借」となります。従前と同じ期間で更新されるわけではありません。
解き方
- 普通借家契約の更新拒絶通知期間(満了の1年前から6カ月前まで)と法定更新の効果を確認する。
- 法定更新後の期間の定めについて「期間の定めのないもの」となる規定を照合し、誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 普通借家契約において賃貸人からの解約申入れには、双方の使用必要性や立退料などを総合考慮した正当事由が必要です。
- 選択肢 2正解
- 通知をしなかったことにより法定更新された場合、従前と同じ期間ではなく「期間の定めのないもの」として更新されたとみなされます。
- 選択肢 3不正解
- 定期借家契約の締結前には、契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付して事前に説明しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 床面積200㎡未満の居住用建物の定期借家契約では、転勤・療養・介護等のやむを得ない事情があれば、賃借人からの中途解約申入れが認められます。
覚えるポイント
- 普通借家契約の法定更新では「期間の定めのない賃貸借」になる。定期借家の法定中途解約は床面積200㎡未満の居住用。
間違えやすいところ
- 普通借地契約の更新(当初20年、以降10年)と普通借家契約の法定更新(期間の定めなし)のルールの違いを混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の借地借家法
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
都市計画法における区域区分・地域地区・開発許可制度
不動産 · 都市計画法 / 市街化区域 / 市街化調整区域 / 用途地域 / 開発許可
都市計画法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
都市計画法において、市街化区域は既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であるため用途地域を必ず指定します。市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるため原則として用途地域を指定しません。
解き方
- 都市計画区域・準都市計画区域で定められる地域地区・区分を確認する。
- 市街化区域には用途地域が必須、市街化調整区域には原則不指定という基本原則を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 市街化区域と市街化調整区域の区分(区域区分)を定めることができるのは都市計画区域内であり、準都市計画区域に区域区分を定めることはできません。
- 選択肢 2正解
- 市街化区域には用途地域を定めなければならず(必要的指定)、市街化調整区域には原則として用途地域を定めないものとされています。
- 選択肢 3不正解
- 防火地域や準防火地域は都市計画において必要に応じて指定するものであり、用途地域内の全域にいずれかを定める義務はありません。
- 選択肢 4不正解
- 市街化区域内で行う開発行為で開発許可が不要となる規模は、原則として「1,000㎡未満」です(2,000㎡未満ではありません)。
覚えるポイント
- 市街化区域は用途地域を必ず定める。開発許可の面積基準は市街化区域で原則1,000㎡以上から要許可。
間違えやすいところ
- 準都市計画区域で指定できる地域地区と、都市計画区域でしか指定できない区域区分(線引き)を混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の都市計画法
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
区分所有法における決議要件と建替え決議
不動産 · 区分所有法 / 規約の変更 / 共用部分の変更 / 敷地利用権の分離処分禁止 / 建替え決議
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
建替え決議(区分所有者および議決権の各5分の4以上)が可決された場合、賛成者等は不参加の区分所有者に対してその持分等を時価で売り渡すよう請求できる形成権(売渡請求権)を与えられていますが、買取りを強制される義務規定ではありません。
解き方
- 区分所有法における各特別決議要件(規約変更3/4、重大変更3/4、建替え5/4)と規約での緩和可否を確認する。
- 建替え決議後の不参加者に対する手続において、賛成者側にある権利が「売渡請求権(買い取ることができる権利)」であり義務ではないことを確認して判定する。
- 選択肢 1不正解
- 規約の設定・変更・廃止は区分所有者および議決権の各4分の3以上の多数で決議し、特別の影響を受ける者の承諾が必要です。
- 選択肢 2不正解
- 共用部分の重大変更は各4分の3以上の多数決が必要ですが、区分所有者の定数のみ規約で過半数まで引き下げることができます(議決権割合は減らせません)。
- 選択肢 3不正解
- 区分所有法上、規約に別段の定めがある場合を除き、専有部分と敷地利用権の分離処分は禁止されています。
- 選択肢 4正解
- 建替えに賛成した区分所有者は、不参加者に対し時価で売り渡すことを請求できる(売渡請求権を行使できる)のであって、買い取らなければならない義務はありません。
覚えるポイント
- 建替え決議(5分の4以上)後は「売渡請求権」であり、賛成者の買い取り義務ではない。
間違えやすいところ
- 売渡請求を「不参加者が賛成者に買い取りを請求する権利(買取請求権)」や「賛成者の義務」と取り違えないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の建物の区分所有等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例と取得費の計算
相続・事業承継 · 所得税 / 譲渡所得 / 概算取得費 / 相続税の取得費加算の特例
Aさんが2019年4月に相続により取得した自宅敷地(土地)を2021年3月に売却した場合、譲渡所得の計算上最も多額となる取得費として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、取得費加算の特例の要件を満たし、土地の譲渡価額は6,000万円、先代の取得費は不明、相続税評価額は2,000万円、Aさんの課税価格は5,000万円、納付相続税額は600万円、相続登記関係費用は40万円とする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
被相続人の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として控除できます。概算取得費を用いる場合、実際の登記費用等の実費を上乗せすることはできません。また、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算の特例)」により、納付した相続税額のうち譲渡した土地に対応する金額を取得費に加算できます。
解き方
- 概算取得費を計算する:6,000万円 × 5% = 300万円。概算取得費には相続登記費用(40万円)を加算できない。
- 相続税の取得費加算額を計算する:納付相続税額600万円 × (譲渡土地の相続税評価額2,000万円 ÷ 相続税の課税価格5,000万円) = 240万円。
- 合計取得費を求める:300万円 + 240万円 = 540万円。
- 選択肢 1不正解
- 500万円は計算過程の誤りです(概算取得費300万円に取得費加算額240万円が正しく合算されていません)。
- 選択肢 2正解
- 概算取得費300万円(6,000万円×5%)に、取得費加算額240万円(600万円×2,000万円/5,000万円)を加算した540万円が最も適切な取得費です。
- 選択肢 3不正解
- 580万円は、概算取得費300万円に登記関係費用40万円を二重に加算してしまった場合の金額であり誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 700万円は計算式や配分比率の適用が誤っています。
覚えるポイント
- 概算取得費(5%)を選択した場合、登録免許税等の実費は加算不可。ただし取得費加算の特例による加算額は上乗せできる。
間違えやすいところ
- 概算取得費(5%)に登録免許税や司法書士費用を上乗せして計算してしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の租税特別措置法第39条、所得税法第38条
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
タックスプランニング · 所得税 / 譲渡所得 / 損益通算 / 繰越控除 / 住宅借入金等特別控除
自己の居住用財産を譲渡して新たに居住用財産を取得したAさんに係る「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
居住用財産を買い換えて譲渡損失が生じた場合の損益通算及び繰越控除(租税特別措置法41条の5)では、譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年超であることが要件です。また、買換資産の取得に伴う住宅ローンがある場合、一定の要件を満たせば本特例と住宅借入金等特別控除を重複して適用することができます。
解き方
- 譲渡資産の所有期間要件(1月1日現在で5年超)を確認する。
- 2020年の譲渡損失(2,000万円-5,000万円=▲3,000万円)から2020年の給与所得780万円を通算し、繰越額が2,220万円であることを確認する。
- 繰越要件(買換資産に係る年末残高が必要)と住宅ローン控除との重複適用の可否を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 本特例の適用要件となる譲渡資産の所有期間は、譲渡の年の1月1日において「5年超」であり、10年超ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 譲渡損失3,000万円から2020年分の給与所得780万円を通算控除した後の繰越控除可能額は2,220万円(220万円ではない)です。
- 選択肢 3不正解
- 繰越控除を受ける年の年末において住宅借入金の残高が必要とされるのは「買換資産」に係る借入金であり、譲渡資産に係るものではありません。
- 選択肢 4正解
- 買換え等による譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例は、買換資産に係る住宅借入金等特別控除と併せて適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 買換えの譲渡損失の特例は所有期間「5年超」。買換資産の住宅借入金等特別控除と重複適用が可能。
間違えやすいところ
- 3,000万円の特別控除や軽減税率の特例が住宅ローン控除と重複適用できないことと、譲渡損失の特例(重複可能)を混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の租税特別措置法第41条の5
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地等の収用に伴う課税の特例
不動産 · 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例 / 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除
公共事業のために土地建物を収用等により譲渡した場合における「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」および「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除」に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
公共事業等のために土地建物を収用された場合の課税特例には、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べる「代替資産を取得した場合の課税の特例」と、譲渡益から最高5,000万円を控除できる「収用交換等の場合の5,000万円特別控除の特例」があり、いずれか一方を選択して適用します。
解き方
- 各特例の適用要件および繰延べ割合や控除限度額を確認します。
- 代替資産の取得価額・取得時期の引継ぎルールおよび確定申告要件を照合して正誤を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 代替資産の取得価額が譲渡対価以上であるときは譲渡がなかったものとみなされ、譲渡益の全額(100%)に対する課税の繰延べが認められます。80%ではありません。
- 選択肢 2正解
- 課税繰延べの特例の適用を受けた場合、代替資産の取得時期は収用等により譲渡した従前の資産の取得時期が引き継がれます。
- 選択肢 3不正解
- 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例における控除限度額は、最高5,000万円です。3,000万円ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 所得税法上、特別控除を適用した結果として納付すべき税額がゼロとなる場合、確定申告書の提出義務自体は課されません(特例の適用証明書類等の提出は必要ですが、申告義務があるとする記述は不適切です)。
覚えるポイント
- 収用等の特別控除額は最高5,000万円(居住用財産譲渡の3,000万円特別控除等と混同しない)
- 代替資産を取得したときは譲渡資産の取得時期が引き継がれる
間違えやすいところ
- 特定事業用資産の買換え特例(課税割合20%=繰延べ80%)と収用等の代替資産取得特例(全額繰延べ可能)を混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
暦年課税における贈与税額の計算
相続・事業承継 · 贈与税の計算 / 特例贈与財産 / 一般贈与財産
28歳のAさんが2020年中に、58歳の父から事業資金として現金350万円、33歳の兄から現金150万円の贈与を受けた場合の贈与税額として、最も適切なものはどれか。なお、暦年課税を選択し、他の贈与はないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であり、直系尊属(父母や祖父母)からの贈与である場合は「特例贈与財産」、それ以外の兄弟間等の贈与は「一般贈与財産」となります。双方の財産がある場合は、合計贈与額から基礎控除110万円を差し引いた課税価格につき、それぞれの税率で計算した税額を各財産の価額比で按分して合計します。
解き方
- 贈与財産の区分:父からの350万円は直系尊属からの贈与(受贈者28歳)なので特例贈与財産、兄からの150万円は一般贈与財産。合計贈与価額は500万円。
- 基礎控除後の課税価格の計算:500万円 - 基礎控除110万円 = 390万円。
- 特例税率による税額按分:(390万円 × 15% - 10万円) × (350万円 / 500万円) = 48.5万円 × 0.7 = 339,500円。
- 一般税率による税額按分:(390万円 × 20% - 25万円) × (150万円 / 500万円) = 53万円 × 0.3 = 159,000円。
- 納付すべき贈与税額の算出:339,500円 + 159,000円 = 498,500円。
- 選択肢 1不正解
- 計算手順および特例・一般の按分計算が正しく反映されていません。
- 選択肢 2不正解
- 全額を特例贈与財産として計算した場合などの誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 課税価格390万円に対する特例税率計算上の税額(485,000円)等を取り違えた誤りです。
- 選択肢 4正解
- 特例贈与財産分339,500円と一般贈与財産分159,000円を合算した498,500円が正しい贈与税額です。
覚えるポイント
- 特例贈与財産:贈与年の1月1日において20歳以上の者が直系尊属から受贈した財産
- 特例財産と一般財産が混在する場合、基礎控除後の課税価格全体にそれぞれの税率を適用した上で各財産の割合で按分合算する
間違えやすいところ
- 特例財産と一般財産それぞれから基礎控除を別々に引いてしまう計算誤り
- 兄弟間の贈与は直系尊属からの贈与ではないため一般贈与財産になることを見落とすミス
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における普通養子制度
相続・事業承継 · 普通養子縁組 / 養親の要件 / 養子の要件 / 相続権
民法上の普通養子に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
普通養子縁組は、成年者であれば独身であっても単独で養親となることができます(特別養子縁組とは異なり、原則として夫婦共同縁組が義務付けられているわけではありません)。養子は養親の嫡出子の身分を取得しつつ、実親との法的な親子関係・親族関係も継続します。
解き方
- 普通養子縁組と特別養子縁組における養親要件(成年の有無、配偶者の有無)を比較します。
- 養子となる者の制限(尊属・年長者禁止、未成年養子の家裁許可要件)および身分・相続権の帰属を確認して不適切な記述を特定します。
- 選択肢 1正解
- 普通養子縁組では、成年者であれば配偶者のいない単身者でも養親になることができます。配偶者を有している必要はありません。
- 選択肢 2不正解
- 民法第793条により、自己の尊属または年長者はこれを養子とすることができないと定められており、記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 民法第798条により、未成年者を養子とするには原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合は許可不要とされており、記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 普通養子は養子縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得し、実親との親族関係も終了しないため、養親・実親の双方について相続権を有し、記述は適切です。
覚えるポイント
- 普通養子の養親:成年者であれば単独でも可能(特別養子縁組は原則配偶者のある夫婦共同)
- 尊属および年長者は養子にできない
- 普通養子は養親・実親の双方から相続可能
間違えやすいところ
- 特別養子縁組(配偶者があり原則夫婦共同で縁組、実親との親族関係終了)の要件と混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
任意後見制度の仕組みと効力
相続・事業承継 · 任意後見制度 / 任意後見契約 / 任意後見人の権限
任意後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
任意後見制度は、本人が十分な判断能力を有している間に、将来に備えて任意後見受任者と公正証書による任意後見契約を結んでおく制度です。本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで効力が発生します。任意後見人には契約で定めた代理権のみが認められ、法定後見のような同意権や取消権は認められません。
解き方
- 任意後見受任者の資格(複数人・法人可能)および契約締結・登記手続を確認します。
- 任意後見契約の効力発生要件(家庭裁判所による任意後見監督人の選任)を確認します。
- 任意後見人に付与される権限(代理権のみ。取消権・同意権の有無)を確認して不適切な記述を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 任意後見受任者には、自然人だけでなく社会福祉法人などの法人や、複数の者を受任者として指定することが可能です。
- 選択肢 2不正解
- 任意後見契約は公正証書によって締結され、公証人の嘱託により法務局の後見登記等ファイルに登記されます。
- 選択肢 3不正解
- 本人の判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点から任意後見契約の効力が発生します。
- 選択肢 4正解
- 任意後見人は任意後見契約で定めた事項について代理権を有しますが、取消権や同意権は有していません。
覚えるポイント
- 任意後見人の権限:契約で定めた代理権のみ(同意権・取消権はない)
- 任意後見契約は公正証書で締結し、公証人の嘱託により登記される
- 家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から契約の効力が発生する
間違えやすいところ
- 法定後見人(成年後見人等)には広範な取消権が認められるのに対し、任意後見人には取消権が認められない点を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特別の寄与制度の概要と要件
相続・事業承継 · 特別の寄与 / 特別寄与料 / 民法第1050条
被相続人に対する特別の寄与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
2019年7月施行の民法改正により創設された「特別の寄与」制度では、被相続人の親族(相続人、包括受遺者、相続放棄者等を除く)が無償で療養看護等を行った場合、相続人に対して「特別寄与料」という金銭の支払を請求できます。各相続人は自らの相続分に応じてその支払義務を分担します。
解き方
- 特別寄与者の範囲(被相続人の親族=6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)を確認します。
- 特別寄与者の権利性質(金銭債権であり、遺産分割協議への参加権や遺産そのものの分割請求権ではない)を確認します。
- 複数相続人への請求における負担割合(法定相続分または指定相続分に応じた負担)を確認して正解肢を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 特別寄与料を請求できる特別寄与者は、被相続人の「親族」(民法第725条の親族:6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)に限られます。内縁の配偶者は親族に含まれないため請求できません。
- 選択肢 2不正解
- 特別寄与料の請求は金銭債権の行使であり、特別寄与者が遺産分割協議に参加したり遺産自体の分割を請求したりすることはできません。
- 選択肢 3正解
- 民法第1050条第5項により、各相続人は特別寄与料の額にその者の法定相続分(指定相続分がある場合は指定相続分)を乗じた額を負担します。
- 選択肢 4不正解
- 相続人に特別寄与料請求の催告義務はありません。特別寄与料の請求期限は、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6カ月以内、または相続開始の時から1年以内と定められています。
覚えるポイント
- 特別寄与者の範囲:被相続人の親族(内縁の配偶者は対象外)
- 特別寄与料は金銭請求権であり遺産分割協議には参加できない
- 相続人が複数いる場合は法定相続分・指定相続分で按分負担する
間違えやすいところ
- 長男の妻(1親等の姻族)は親族に該当するため対象となりますが、内縁の妻や友人は親族ではないため対象外となる点に注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
死亡保険金の非課税金額の規定
相続・事業承継 · みなし相続財産 / 生命保険金の非課税枠 / 積立配当金 / 前納保険料
契約者および被保険者を被相続人とする生命保険契約に基づく死亡保険金の非課税金額の規定に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金を受取人である相続人が取得した場合、「500万円 × 法定相続人の数」を限度として非課税となります。死亡保険金に付随して受取人に支払われる積立配当金や前納保険料相当額も死亡保険金と一体として非課税枠の対象となります。
解き方
- 死亡保険金と併せて支払われる積立配当金や前納保険料の相続税法上の取扱いを確認します。
- 生前給付金(リビング・ニーズ特約等)、受取人固有の権利としての性質、および申告要件を照合して各選択肢の正誤を判定します。
- 選択肢 1不正解
- リビング・ニーズ特約等により生前に受取った保険金で死亡時に預貯金等として残っていたものは本来の相続財産(現金・預貯金)となり、死亡保険金の非課税規定は適用されません。
- 選択肢 2不正解
- 死亡保険金は受取人固有の財産であり、受取人である相続人が他の遺産を取得しなかった場合でも死亡保険金の非課税規定が適用されます。
- 選択肢 3正解
- 死亡保険金とともに受け取った積立配当金や前納保険料の返還金は、保険金と一体として死亡保険金の非課税枠の対象に含まれます。
- 選択肢 4不正解
- 非課税金額を控除した後の課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告書を提出する必要はありません。
覚えるポイント
- 死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数(相続を放棄した者も人数に含む)
- 積立配当金や前納保険料の返還金も死亡保険金と合算して非課税の対象となる
- 基礎控除以下であれば申告書の提出は不要(小規模宅地等の特例とは異なる)
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減とは異なり、生命保険金の非課税控除を適用した結果が基礎控除以下であれば申告不要である点を取り違えやすいので注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の延納および物納の要件
相続・事業承継 · 延納 / 物納 / 物納の順位 / 還付金
相続税の延納および物納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続税は金銭による一括納付が原則ですが、金銭納付が困難な理由がある場合には「延納」、延納によっても金銭納付が困難な場合には「物納」が認められます。分割不適な財産等で納付税額を超える価額の物納が許可されたときは、超過額が国から還付されます。
解き方
- 延納の担保要件(税額100万円超かつ延納期間3年超で担保提供が必要。相続取得財産に限定されない)を確認します。
- 物納に充てる財産の順位(第1順位:国債・地方債、不動産、船舶、上場株式等)を確認します。
- 物納超過額の金銭還付の規定および延納から物納への変更(変更物納の要件)を照合して適切な記述を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 延納の担保が必要となるのは、延納税額が100万円超「かつ」延納期間が3年を超える場合です。また、担保財産は相続取得財産に限られず、相続人の固有財産や保証人の提供でも可能です。
- 選択肢 2不正解
- 物納の第1順位は、不動産、船舶、国債、地方債、上場株式等です。国債や地方債、上場株式は第2順位ではなく第1順位に分類されます。
- 選択肢 3正解
- 一筆の土地など分割できない財産を物納する場合で、収納価額が納付すべき相続税額を上回るときは、その差額が金銭で還付されます。
- 選択肢 4不正解
- 延納から物納への変更(変更物納)について「申告期限から5年以内」という要件はありません。延納条件の変更等を行ってもなお困難な場合に申請できます。
覚えるポイント
- 延納の担保要件:延納税額100万円超かつ延納期間3年超
- 物納の第1順位:不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等
- 物納収納価額が税額を上回る場合は差額が金銭還付される
間違えやすいところ
- 上場株式は第1順位、非上場株式等は第2順位であるという順位の区別を誤認しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価における中心的な同族株主の判定
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 同族株主 / 中心的な同族株主
発行済株式総数100株(普通株式)のX社において、株主A~Hの所有株式数が与えられている場合、株主E(Aの弟、3株)、株主F(Cの弟・叔父、3株)、株主G(Eの長男・甥、3株)が中心的な同族株主に該当するか否かの判定として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
同族株主のいる会社において、「中心的な同族株主」とは、同族株主の1人並びにその配偶者、直系血族、兄弟姉妹および1親等の姻族(これらの者の同族会社を含む)の有する議決権の合計が25%以上である場合におけるその株主をいいます。
解き方
- 全体の同族株主グループの確認:A族全体(A~H)で89株(89%)を保有しているため、同族株主グループに該当します。
- E(弟)の判定:E本人(3株)+配偶者(0)+直系血族(子G:3株、父C:20株)+兄弟姉妹(兄A:30株)+1親等の姻族(0) = 56株(56% ≧ 25%)となり、中心的な同族株主に該当します。
- F(叔父)の判定:F本人(3株)+配偶者(0)+直系血族(0)+兄弟姉妹(兄C:20株)+1親等の姻族(0) = 23株(23% < 25%)となり、中心的な同族株主に該当しません。
- G(甥)の判定:G本人(3株)+配偶者(0)+直系血族(父E:3株、祖父C:20株)+兄弟姉妹(0)+1親等の姻族(0) = 26株(26% ≧ 25%)となり、中心的な同族株主に該当します。
- 判定結果を総合し、「EおよびGは該当し、Fは該当しない」を正答として選びます。
- 選択肢 1不正解
- Eグループ(56%)およびGグループ(26%)はそれぞれ25%以上となるため、該当しないとする記述は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- Eは中心的な同族株主に該当し、Fは該当しないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- Fは本人と兄Cを合わせても23%にとどまり中心的な同族株主には該当しないため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 判定基準である25%以上の保有割合を満たすのはE(56株)とG(26株)であり、F(23株)は満たさないため、記述は適切です。
覚えるポイント
- 中心的な同族株主の判定基準:本人+配偶者+直系血族+兄弟姉妹+1親等の姻族で議決権25%以上
- 直系血族には親だけでなく祖父母や子・孫も含まれる
- 叔父・甥の関係は兄弟姉妹や直系血族には含まれない点に注意
間違えやすいところ
- G(甥)から見て祖父Cが直系血族に含まれることを見落として25%未満と誤判定してしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:特に指示のない限り、2020年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の相続税評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 類似業種比準方式 / 純資産価額方式 / 配当還元方式
取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
取引相場のない株式は原則として大株主が原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式等)、同族株主以外の少数株主が特例的評価方式(配当還元方式)により評価します。類似業種比準方式における比準要素数や、配当還元方式における最低配当金額の規定などのルールを正しく把握することが不可欠です。
解き方
- 類似業種比準方式における比準要素の判定および比準割合の計算方法を確認する。
- 比準要素数0の会社に対する類似業種比準方式の適用の可否を整理する。
- 純資産価額方式における取得後3年以内の土地・家屋の評価方法(通常の取引価額)を確認する。
- 配当還元方式における直前2年間の無配時等の法定下限額(2円50銭)の取扱いを照合して正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 類似業種比準価額の計算において、3つの比準要素のうち1つがゼロであっても、比準割合を算出する際の分母は「3」のまま計算します。
- 選択肢 2不正解
- 直前期末を基準にした3つの比準要素がいずれもゼロである会社(比準要素数0の会社)は、直前々期の比準要素を用いるのではなく、純資産価額方式によって評価します。
- 選択肢 3不正解
- 課税時期前3年以内に取得した家屋等の不動産は、純資産価額の計算上、取得価額ではなく課税時期における「通常の取引価額」によって評価します。
- 選択肢 4正解
- 配当還元方式において、直前期末以前2年間において無配である場合、1株(50円ベース)当たりの年配当金額は2円50銭として計算するため適切です。
覚えるポイント
- 配当還元方式の年配当金額が2円50銭未満(無配を含む)の場合は2円50銭とする規定を押さえる。
- 取得後3年以内の土地・家屋の相続税評価額は「通常の取引価額」とする規定を押さえる。
間違えやすいところ
- 類似業種比準方式で1つの要素がゼロのときに分母を要素数の2に減らすと誤認しないように注意する。
- 比準要素数0の会社で直前々期の数値に遡って比準方式を適用できると混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除
相続・事業承継 · 個人版事業承継税制 / 特定事業用資産 / 納税猶予 / 小規模宅地等の特例
「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(個人版事業承継税制)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
個人版事業承継税制(個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除)は、青色申告を行っていた個人事業者の事業用資産を後継者が包括的に承継することを支援する制度です。対象資産の範囲、猶予割合(100%)、一括贈与要件、他制度との関係を正確に理解することが求められます。
解き方
- 特定事業用資産を一括して承継すべき全量要件(一部贈与の不可)について確認する。
- 特定事業用資産の範囲に対象外となる棚卸資産が含まれているか検証する。
- 納税猶予割合が全額(100%)であるか80%であるかを確認する。
- 受贈者死亡時の相続における小規模宅地等の特例の適用関係(選択適用が可能)を整理する。
- 選択肢 1正解
- 本制度の適用を受けるためには、贈与者が事業の用に供している特定事業用資産のすべてを一括取得する必要があり、一部のみの贈与では適用を受けられません。
- 選択肢 2不正解
- 対象となる特定事業用資産は、宅地等(400㎡まで)、建物(床面積800㎡まで)、減価償却資産などであり、棚卸資産は対象に含まれません。
- 選択肢 3不正解
- 個人版事業承継税制において納税猶予される贈与税額は、特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の「100%(全額)」であり、80%ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 受贈者死亡により猶予税額が免除され相続が発生した際、相続税の納税猶予制度を選択しない場合等において、要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 個人版事業承継税制の特定事業用資産はすべてを一括贈与する必要がある点を覚える。
- 対象資産は宅地等・建物・減価償却資産であり、棚卸資産は対象外であることを覚える。
間違えやすいところ
- 法人版事業承継税制の一般措置(80%)と混同して、個人版の猶予割合を80%と勘違いしやすい。
- 棚卸資産が事業用資産に含まれると誤認しないように注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年5月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年5月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

