日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年1月 1級 学科(応用編)の概要
健康保険の傷病手当金の支給要件・支給額・支給期間・併給調整
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 傷病手当金 / 待期期間 / 併給調整
健康保険の被保険者であるAさんに対する傷病手当金について、Mさんが説明した文章中の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を求めなさい。 「Aさんが私傷病による療養のために連続して長期間労務に服することができず、その期間について事業主から給与が支払われない場合、Aさんは、( ① )日目以降の労務に服することができない日について、全国健康保険協会の都道府県支部に対し、傷病手当金を請求することができます。 仮に、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近の継続した12カ月間のAさんの各月の標準報酬月額の平均額が36万円であり、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われないとした場合、Aさんが受給することができる傷病手当金の額は、1日につき( ② )円となります。傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関しては、その支給開始日から最長( ③ )です。 なお、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われる場合であっても、その支払われる給与の額が傷病手当金の額よりも少ないときには、その差額が傷病手当金として支給されます。また、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病によって傷病手当金と障害厚生年金のいずれの支給要件も満たすときには、そのうち( ④ )は支給されません。ただし、受けることができる金額が( ④ )の額よりも少ないときには、その差額が( ④ )として支給されます」
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解答
① 4(日目) ② 8,000(円) ③ 1年6カ月 ④ 傷病手当金
解説
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の事由による病気やケガのために労務不能となり、給与の支払いを受けられない場合に、生活保障として支給される給付です。連続3日間の待期を経て4日目から支給され、同一傷病による公的年金等との重複受給には併給調整が行われます。
解き方
- 待期期間のルールを確認し、連続して3日休業した後の支給開始日となる「4日目」を導きます。
- 1日当たりの支給額の算式(標準報酬月額平均額÷30×2/3)に36万円を代入して日額8,000円を計算します。
- 支給期間(本問基準日時点では支給開始日から最長1年6カ月)および障害厚生年金との併給調整により支給停止となる給付(傷病手当金)を判定します。
答えの内訳
- ①:4(日目)
- 療養のため労務に服することができない期間について、連続して3日間休んだ後の4日目以降の労務不能日に対して傷病手当金が支給されます(3日間の待期完成が必要です)。
- ②:8,000(円)
- 傷病手当金の1日当たりの支給額は、支給開始日以前の直近継続12カ月間の各月の標準報酬月額の平均額を30で除した額の3分の2相当額です。360,000円÷30×(2/3)=8,000円となります。
- ③:1年6カ月
- 試験基準日(2020年10月1日)現在における傷病手当金の支給期間は、同一の傷病に関して支給開始日から起算して最長で1年6カ月です。
- ④:傷病手当金
- 同一の傷病によって傷病手当金と障害厚生年金を同時に受給できる場合、公的年金が優先され、傷病手当金は原則として支給停止(不支給)となります。ただし、年金額を360で除した日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が傷病手当金として支給されます。
覚えるポイント
- 傷病手当金の支給開始要件:連続3日間の待期完了後の4日目から支給。
- 1日あたりの支給額計算:直近12カ月間の標準報酬月額平均額÷30×2/3。
- 同一傷病の障害厚生年金と傷病手当金が併給される場合、障害厚生年金が優先され傷病手当金が調整(差額受給)される。
間違えやすいところ
- 待期期間は飛び石ではなく「連続3日間」の休業が必要である点を見落としやすい。
- 障害厚生年金と傷病手当金の併給調整において、どちらが優先されてどちらが差額支給となるかを逆に解答してしまうミスが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
障害厚生年金および障害手当金の支給要件・額・加算・最低保障
ライフプランニングと資金計画 · 障害厚生年金 / 障害手当金 / 保険料納付要件 / 障害認定日 / 加給年金 / 最低保障額
障害厚生年金および障害手当金について、Mさんが説明した文章中の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を求めなさい。 「厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病によって、( ① )において厚生年金保険法に規定される障害等級1級から3級までのいずれかに該当する程度の障害の状態にあり、保険料納付要件を満たしている者は、障害厚生年金を請求することができます。保険料納付要件とは、『初診日の前日において初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の( ② )以上あること』または『初診日に65歳未満の者で、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの( ③ )年間が保険料納付済期間または保険料免除期間であり、保険料を滞納した期間がないこと』です。 障害厚生年金の額は、原則として、受給権者の厚生年金保険の被保険者記録を基に計算された報酬比例の額となります。ただし、障害等級1級に該当する者に支給される障害厚生年金の額は、報酬比例の額の( ④ )倍相当額となります。また、障害等級1級または2級に該当する者によって生計を維持している所定の要件を満たす( ⑤ )がいるときは、加給年金額が加算されます。 障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の額には最低保障額が設けられています。その額は、国民年金法に規定される障害等級2級に該当する者に支給される障害基礎年金の額の( ⑥ )相当額となっています。 なお、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日のある傷病が初診日から( ⑦ )年以内に治り、治った日に障害厚生年金を受け取ることができる障害の程度より軽度の障害の状態にあり、保険料納付要件を満たしている者は、障害手当金を請求することができます。障害手当金は一時金として支給され、その額は、障害厚生年金の報酬比例の額の( ⑧ )倍相当額で、所定の最低保障額が設けられています」
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解答
① 障害認定日 ② 3分の2 ③ 1(年間) ④ 1.25(倍) ⑤ 配偶者 ⑥ 4分の3 ⑦ 5(年) ⑧ 2(倍)
解説
厚生年金保険の障害給付には、重度の障害に対する年金給付(1級~3級の障害厚生年金)と、軽度の障害に対する一時金給付(障害手当金)があります。初診日要件や保険料納付要件(原則3分の2以上、特例直近1年滞納なし)を満たすことで受給権が発生します。
解き方
- 障害厚生年金の受給要件である基準日(障害認定日)と保険料納付要件(原則2/3以上、直近1年間未納なし)を確認します。
- 1級の年金給付乗数(1.25倍)、1級・2級の加算対象(配偶者)、および3級の最低保障額(障害基礎年金2級の3/4)を整理します。
- 障害手当金の治癒期間要件(初診日から5年以内)と一時金の支給額(報酬比例部分の2倍)を導きます。
答えの内訳
- ①:障害認定日
- 初診日から起算して1年6カ月を経過した日、またはその期間内に傷病が治った(症状固定)日を障害認定日といい、この日において所定の障害状態にあることが受給要件です。
- ②:3分の2
- 原則的な保険料納付要件は、初診日の前日において初診日の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上あることです。
- ③:1(年間)
- 保険料納付要件の直近要件(特例)は、初診日に65歳未満であり、初診日の前々月までの直近1年間に保険料の滞納がないことです。
- ④:1.25(倍)
- 障害等級1級の障害厚生年金の額は、報酬比例部分の計算額の1.25倍に相当する額となります。
- ⑤:配偶者
- 障害厚生年金(1級・2級)の受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金額が加算されます(子は障害基礎年金の加算対象です)。
- ⑥:4分の3
- 障害厚生年金3級の最低保障額は、障害等級2級の障害基礎年金の額の4分の3に相当する額です。
- ⑦:5(年)
- 障害手当金(一時金)は、厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある傷病が、初診日から5年以内に治り(症状固定)、所定の障害状態にある場合に支給されます。
- ⑧:2(倍)
- 障害手当金の額は、報酬比例の年金額の計算式で算定した額の2倍に相当する一時金として支給されます(最低保障額あり)。
覚えるポイント
- 障害基礎年金の子の加算に対し、障害厚生年金(1級・2級)は「配偶者加給年金」が加算される。
- 障害等級3級の最低保障額は、障害基礎年金2級の「4分の3」。
- 障害手当金(一時金)は「初診日から5年以内に治った(症状固定した)」場合が対象で、額は報酬比例額の「2倍」。
間違えやすいところ
- 障害厚生年金の加算対象を「子」と混同しやすい(子は障害基礎年金の加算対象)。
- 障害等級3級の最低保障割合(3/4)を、遺族厚生年金の3/4(報酬比例額の3/4)などと混同せず、障害基礎年金2級の額に対する4分の3と正確に押さえること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の厚生年金保険法および国民年金法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金からの遺族給付(遺族基礎年金・遺族厚生年金・遺族年金生活者支援給付金)の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 遺族年金生活者支援給付金 / 中高齢寡婦加算
X社に勤務するAさん(42歳)が現時点(2021年1月24日)で死亡し、同居・生計維持関係にある妻Bさん(38歳)、長男Cさん(13歳)、二男Dさん(10歳)が遺族となった。妻Bさんが遺族基礎年金、遺族厚生年金および遺族年金生活者支援給付金の受給権を取得した場合における妻Bさんに係る遺族給付について、与えられた〈条件〉に基づき、次の①~③の年金額(年額、2020年度価額)を求めなさい(円未満四捨五入)。 ① 遺族基礎年金の年金額 ② 遺族厚生年金の年金額(本来水準による価額) ③ 遺族年金生活者支援給付金の額(年額) 〈条件〉 ・被保険者期間:総報酬制導入前24月、総報酬制導入後213月(300月みなし計算を適用) ・平均標準報酬月額(導入前):21万円、平均標準報酬額(導入後):32万3,000円 ・給付乗率:導入前 7.125/1,000、導入後 5.481/1,000 ・中高齢寡婦加算額:58万6,300円(要件を満たす場合のみ加算)
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解答
① 1,231,500円 ② 392,086円 ③ 60,360円
解説
被保険者が死亡した際、生計を維持されていた配偶者等に対して遺族基礎年金や遺族厚生年金が支給されます。子のいる配偶者には基本額に加えて子の加算額が付され、被扶養期間中の被保険者期間が300月未満の場合には短期要件として300月とみなして報酬比例部分の4分の3を計算します。
解き方
- 遺族基礎年金の基本額に、対象となる子2人分の加算額を加算して年金額を算出する。
- 厚生年金の被保険者月数が300月未満であるため300月みなしを適用し、報酬比例部分の年額を算出してその4分の3を求める。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額5,030円に12月を乗じて給付金の年額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,231,500円
- 遺族基礎年金の年金額は、基本額781,700円に子の加算額(第1子・第2子は各224,900円)を加算して求めます。長男Cさん(13歳)と二男Dさん(10歳)の2人が加算対象となるため、781,700円+224,900円×2=1,231,500円となります。
- ②:392,086円
- 厚生年金の被保険者期間の合計は24月+213月=237月であり、300月未満のため300月みなし計算を適用します。報酬比例部分の計算式は、(210,000円×7.125/1,000×24月+323,000円×5.481/1,000×213月)×(300月/237月)=(35,910円+377,087.319円)×(300/237)=412,997.319円×(300/237)=522,781.41...円となります。遺族厚生年金はその4分の3相当額となるため、522,781.41...円×3/4=392,086.06...円となり、円未満を四捨五入して392,086円となります。なお、妻Bさんは遺族基礎年金を受給できるため、中高齢寡婦加算は加算されません。
- ③:60,360円
- 遺族年金生活者支援給付金の月額は5,030円(2020年度価額)です。年額として計算するため、5,030円×12月=60,360円となります。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の短期要件における被保険者期間の最低保障(300月みなし計算)。
- 遺族基礎年金受給中は中高齢寡婦加算が加算されない(支給停止)点。
間違えやすいところ
- 300月みなし計算の際に、分子を300、分母を実月数(237月)とするのを逆に誤認すること。
- 遺族基礎年金を受け取れる期間に誤って中高齢寡婦加算を二重加算してしまうこと。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額投資非課税制度(NISA)の仕組みと改正内容
金融資産運用 · 一般NISA / 株式数比例配分方式 / 非課税投資枠 / 新NISA(2階建て)
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した、少額投資非課税制度(NISA)の仕組みに関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「NISAは、NISA口座の非課税管理勘定に受け入れた上場株式や公募株式投資信託等について、本来は課税される配当金や譲渡益等が非課税となる制度です。当該非課税管理勘定に2021年中に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は( ① )万円であり、その配当金や譲渡益等について非課税となる期間(非課税期間)は、当該非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長( ② )年間です。NISA口座の非課税管理勘定に受け入れた上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として( ③ )方式を選択する必要があります。 仮に、Aさんが2021年中にNISA口座の非課税管理勘定を通じて株価800円のX社株式を1,000株購入し、同年中に株価850円で全株を売却した後の2021年中の非課税枠の残額は( ④ )万円となります。 なお、2020年度税制改正により、2024年1月1日から、NISAは2階建ての新たな制度に組み替えられ、原則として、1階部分で非課税の積立投資を行っている場合に2階部分での非課税投資を行える仕組みとなる予定です。1階部分に相当する特定累積投資勘定における非課税枠は年間( ⑤ )万円とされ、2階部分に相当する特定非課税管理勘定における非課税枠は年間( ⑥ )万円とされています」
解答・解説を表示
解答
① 120(万円) ② 5(年間) ③ 株式数比例配分(方式) ④ 40(万円) ⑤ 20(万円) ⑥ 102(万円)
解説
一般NISAは上場株式や株式投信の譲渡益・配当金を最長5年間非課税にする制度で、年120万円の枠が設けられています。上場株式の配当金を非課税にするには株式数比例配分方式の選択が必須であり、一度消費した枠は同一年中に売却しても再利用できません。
解き方
- 一般NISAの基本スペック(年間投資枠120万円、非課税期間5年、株式数比例配分方式の要件)を確認する。
- 購入時の簿価基準で非課税枠が消化され、売却後も非課税枠は復活しない性質から残額(120万円-80万円=40万円)を導く。
- 2020年度税制改正における新NISAの制度設計(1階20万円、2階102万円)を当てはめる。
答えの内訳
- ①:120(万円)
- 一般NISAにおける年間の非課税投資枠の限度額は120万円です。
- ②:5(年間)
- 一般NISAの非課税管理勘定における非課税保有期間は最長5年間です。
- ③:株式数比例配分(方式)
- NISA口座内で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、証券会社の取引口座で配当金を受領する「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
- ④:40(万円)
- 株価800円の株式を1,000株購入すると買付金額は80万円となります。年間の非課税投資枠120万円から80万円が消費され、売却しても投資枠の再利用はできないため、非課税枠の残額は120万円-80万円=40万円となります。
- ⑤:20(万円)
- 2020年度税制改正で創設が予定されていた2階建て新NISAにおいて、つみたて投資を対象とする1階部分(特定累積投資勘定)の非課税枠は年間20万円です。
- ⑥:102(万円)
- 同様に、2階建て新NISAにおいて、上場株式等への投資が可能な2階部分(特定非課税管理勘定)の非課税枠は年間102万円(1階と合わせて年122万円)です。
覚えるポイント
- 上場株式の配当金をNISAで非課税にするには「株式数比例配分方式」が必須であること。
- NISAの年間投資枠は買付ベースで管理され、売却しても枠の再利用・復活はできないこと。
間違えやすいところ
- 配当金受取方式で「登録配当金受領口座方式」などを選択してしまうと、配当金が非課税にならず課税されてしまう点。
- 株式を売却した際に売却額分や購入額分の非課税枠が同一年内に復活すると誤解すること。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2020年度税制改正事項含む)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析(ROEおよびインタレスト・カバレッジ・レシオの計算)
金融資産運用 · 財務諸表分析 / ROE / 自己資本当期純利益率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ
《設例》の〈X社の財務データ等〉に基づき、次の①および②を求めなさい。計算にあたっては表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。なお、自己資本当期純利益率の計算において、自己資本は2019年3月期と2020年3月期の平均を用いること。 ① X社の2020年3月期の自己資本当期純利益率(ROE) ② X社の2020年3月期のインタレスト・カバレッジ・レシオ
解答・解説を表示
解答
① 9.93(%) ② 27.06(倍)
解説
自己資本当期純利益率(ROE)は株主資本等の自己資本を活用していかに効率的に利益を生み出したかを示す収益性指標であり、連結ベースでは純資産合計から新株予約権と非支配株主持分を控除して自己資本を算出します。インタレスト・カバレッジ・レシオは本業等の事業活動から得られる利益(事業利益)が金融費用(支払利息等)の何倍あるかを示し、借入金の利息支払いに対する安全性を測定する指標です。
解き方
- ROEの計算のため、各期の純資産合計から非支配株主持分等を控除して自己資本を求め、その2期平均自己資本を計算する。
- 親会社株主に帰属する当期純利益を平均自己資本で除して100を乗じ、四捨五入してROEを算出する。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの計算のため、営業利益に受取利息および受取配当金を加算して事業利益を求める。
- 事業利益を支払利息で除し、小数点以下第3位を四捨五入して倍率を算出する。
答えの内訳
- ①:9.93(%)
- 自己資本当期純利益率(ROE)=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本(前期・当期平均)×100 自己資本=純資産合計-新株予約権-非支配株主持分 2019年3月期自己資本:275,000百万円-10,000百万円=265,000百万円 2020年3月期自己資本:289,000百万円-10,000百万円=279,000百万円 平均自己資本:(265,000百万円+279,000百万円)÷2=272,000百万円 ROE=27,000百万円÷272,000百万円×100=9.9264…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して9.93%となる。
- ②:27.06(倍)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益(営業利益+受取利息+受取配当金)÷金融費用(支払利息) 分子(事業利益):41,000百万円+400百万円+1,900百万円=43,300百万円 分母(金融費用):1,600百万円 インタレスト・カバレッジ・レシオ=43,300百万円÷1,600百万円=27.0625倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して27.06倍となる。
覚えるポイント
- ROEの分母となる自己資本は、純資産合計から新株予約権・非支配株主持分を差し引いて算出する。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子(事業利益)は「営業利益+受取利息+受取配当金」で求める。
間違えやすいところ
- 純資産合計をそのまま分母に代入し、非支配株主持分の控除を忘れてしまうミスに注意する。
- 期首・期末の平均自己資本を用いる指示を見落とし、当期末の自己資本だけで計算してしまう誤りに注意する。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に経常利益を代入してしまう間違いが多い。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等および出題資料の財務データに基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオ理論(シャープ・レシオおよびポートフォリオの標準偏差の計算)
金融資産運用 · 現代ポートフォリオ理論 / シャープ・レシオ / 2資産の標準偏差 / リスク・リターン
《設例》の〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・相関係数〉に基づき、次の①および②を求めなさい。計算にあたっては表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。なお、シャープ・レシオについては安全資産利子率を0.10%として計算すること。 ① Yファンドのシャープ・レシオ ② YファンドとZファンドをそれぞれ6:4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差
解答・解説を表示
解答
① 0.42 ② 3.11(%)
解説
シャープ・レシオはリスク(標準偏差)1単位あたりの超過リターン(安全資産利子率を上回る超過リターン)を測る投資効率指標であり、数値が大きいほど優れています。また、相関係数が1未満の複数資産を組み合わせることで分散投資効果が働き、ポートフォリオ全体のリスク(標準偏差)は加重平均した標準偏差よりも低減されます。
解き方
- シャープ・レシオの算式「(実績収益率-安全資産利子率)÷標準偏差」に数値を代入して計算し、小数点以下第3位を四捨五入する。
- ポートフォリオの分散の算式に基づき、各資産のウェイト、標準偏差の二乗、および共分散項(2×ウェイト積×相関係数×標準偏差積)を計算・合算する。
- 計算した分散の平方根を算出し、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入して標準偏差を求める。
答えの内訳
- ①:0.42
- シャープ・レシオ=(ファンドの実績収益率-無リスク資産利子率)÷ファンドの標準偏差 Yファンドのシャープ・レシオ=(2.00%-0.10%)÷4.50%=1.90÷4.50=0.4222…となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.42となる。
- ②:3.11(%)
- 2資産からなるポートフォリオの分散σp^2=(wY^2×σY^2)+(wZ^2×σZ^2)+(2×wY×wZ×ρYZ×σY×σZ) 各数値を代入すると: 0.6^2×4.50^2+0.4^2×8.50^2+2×0.6×0.4×(△0.50)×4.50×8.50 =(0.36×20.25)+(0.16×72.25)+2×0.24×(△0.50)×38.25 =7.29+11.56-9.18=9.67 ポートフォリオの標準偏差σp=√9.67=3.10966…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して3.11%となる。
覚えるポイント
- シャープ・レシオの分子では超過リターンを求めるため「無リスク資産利子率(安全資産利子率)」を差し引く。
- ポートフォリオの分散計算における共分散項には「2」を乗じることを忘れない。
間違えやすいところ
- シャープ・レシオ計算時に、安全資産利子率0.10%の減算を忘れて「収益率÷標準偏差」としてしまうミスに注意する。
- ポートフォリオの分散の公式における共分散項で、相関係数のマイナス符号を掛け忘れて加算してしまう計算ミスに注意する。
- ポートフォリオの分散(9.67)を求めた後、平方根(ルート)を取り忘れて標準偏差として解答してしまうミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等および出題資料の投資信託データに基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除および所得金額調整控除
タックスプランニング · 扶養控除 / 基礎控除 / 所得金額調整控除
所得税の所得控除(扶養控除・基礎控除)および所得金額調整控除に関する以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な数値を解答しなさい。 〈所得控除〉 Ⅰ 所得控除のうち、扶養控除は、納税者が控除対象扶養親族を有する場合に適用される。控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち年齢( ① )歳以上の者をいい、扶養親族とは、納税者と生計を一にする親族等で合計所得金額が( ② )万円以下である者をいう。Aさんの場合、長女Cさん(20歳)に係る扶養控除額は( ③ )万円であり、同居の母Dさん(80歳)に係る扶養控除額は( ④ )万円である。 一方、基礎控除は合計所得金額に応じて控除額が定まり、Aさんの場合は( ② )万円である。基礎控除は、合計所得金額が( ⑤ )万円以下である納税者に適用され、( ⑤ )万円を超える納税者には適用されない。 〈所得金額調整控除〉 Ⅱ 「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」は、給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)から( ⑥ )万円を控除した金額の( ⑦ )%相当額を給与所得の金額から控除する。その対象者は、年齢( ⑧ )歳未満の扶養親族を有する納税者等とされている。
解答・解説を表示
解答
① 16、② 48、③ 63、④ 58、⑤ 2,500、⑥ 850、⑦ 10、⑧ 23
解説
所得税の所得控除は納税者の実情に応じた税負担の公平を図る制度であり、基礎控除や扶養控除の要件は2020年分税制改正により合計所得金額要件が基礎控除引き上げに伴い10万円引き上げられ48万円基準となりました。また、給与所得控除の上限引き下げに伴う負担増を緩和するため、23歳未満の扶養親族等を有する給与収入850万円超の給与所得者に対して所得金額調整控除が新設されています。
解き方
- 扶養控除における対象年齢(16歳以上)、合計所得要件(48万円以下)、特定扶養(63万円)・同居老親等(58万円)の区分を確認する。
- 基礎控除の上限適用所得(2,500万円以下)および給与所得金額調整控除の算式(850万円超、控除率10%、23歳未満の扶養親族等)を適用する。
答えの内訳
- ①:16
- 控除対象扶養親族とは、扶養親族のうちその年の12月31日現在の年齢が16歳以上の者をいいます。
- ②:48
- 2020年分以降、扶養親族等の所得要件および合計所得金額2,400万円以下における基礎控除額は48万円です。
- ③:63
- 長女Cさん(20歳)は19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当するため、扶養控除額は63万円となります。
- ④:58
- 母Dさん(80歳)は70歳以上で納税者と同居している同居老親等に該当するため、扶養控除額は58万円となります。
- ⑤:2,500
- 基礎控除は合計所得金額が2,500万円を超える納税者には適用されません(2,400万円超から段階的に減額)。
- ⑥:850
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の控除額計算式は「(給与等の収入金額-850万円)×10%」です。
- ⑦:10
- 給与等の収入金額(上限1,000万円)から850万円を控除した残額に乗じる割合は10%(上限15万円)です。
- ⑧:23
- 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用対象となる扶養親族の年齢要件は23歳未満です。
覚えるポイント
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、同居老親等は58万円(同居以外は48万円)。
- 子ども・特別障害者等の所得金額調整控除は「給与収入(上限1,000万円)-850万円」の10%。
間違えやすいところ
- 老親等の扶養控除額について、同居老親等の58万円と同居老親等以外の48万円を混同しやすい。
- 所得金額調整控除の対象となる扶養親族の年齢(23歳未満)を特定扶養親族(19歳以上23歳未満)と混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の税法基準(2020年分税制改正対応)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業所得および退職所得の計算
タックスプランニング · 事業所得 / 売上原価の計算 / 専従者控除 / 退職所得控除
設例の〈Aさんの2020年分の収入等に関する資料〉に基づいて、Aさんの2020年分の①事業所得の金額および②退職所得の金額をそれぞれ求めなさい。なお、事業所得の金額の計算上、妻Bさんが事業専従者の要件を満たしている場合は事業専従者控除額を控除すること。
解答・解説を表示
解答
① 2,000,000円、② 4,650,000円
解説
事業所得の金額は「総収入金額-売上原価-必要経費-事業専従者控除額」により算出します。棚卸資産の評価方法を税務署長に届け出ていない場合は法定評価方法である最終仕入原価法が適用されます。白色申告者の事業専従者控除を受けるには、事業主と生計を一にする配偶者その他の親族がその年を通じて6カ月を超える期間専らその事業に従事している必要があります。退職所得は「(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2」により計算します。
解き方
- 事業所得の計算:総収入金額(純売上高=1,700万円-100万円=1,600万円)を求め、法定評価方法(最終仕入原価法)により売上原価(0円+1,500万円-600万円=900万円)を算出する。妻Bさんの従事期間が6カ月以下(2カ月)のため専従者控除の適用がないことを確認し、経費500万円を差し引いて事業所得200万円を求める。
- 退職所得の計算:勤続期間30年7カ月を31年に切り上げ、勤続年数20年超の算式(800万円+70万円×11年=1,570万円)から退職所得控除額を算定する。収入2,500万円から控除額を差し引いた930万円に1/2を乗じて465万円を算出する。
答えの内訳
- ①:2,000,000(円)
- 売上高1,700万円-売上値引・返品100万円=総収入金額1,600万円。届出がない場合の棚卸資産評価方法は「最終仕入原価法」となるため、期末棚卸高は600万円。売上原価=年初0円+仕入高1,500万円-年末600万円=900万円。妻Bさんは11月からの従事(2カ月)であり白色申告の事業専従者要件(その年中6カ月を超える期間従事)を満たさないため事業専従者控除額は0円。したがって事業所得=1,600万円-売上原価900万円-必要経費500万円=2,000,000円です。
- ②:4,650,000(円)
- 勤続年数は30年7カ月のため端数切り上げにより31年。勤続年数20年超の退職所得控除額=800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円。退職手当等の収入金額2,500万円から退職所得控除額を差し引いた額を1/2とするため、退職所得の金額=(2,500万円-1,570万円)×1/2=4,650,000円となります。
覚えるポイント
- 棚卸資産の法定評価方法は「最終仕入原価法」による原価法。
- 白色申告者の事業専従者控除の要件は「その年を通じて6月を超える期間専ら事業に従事すること」。
- 退職所得控除額の勤続年数は1年未満の端数を切り上げる。
間違えやすいところ
- 棚卸資産評価方法の届出がない場合に先入先出法を採用してしまうミス。
- 妻Bさんが11月から事業に従事していることから、白色申告の専従者控除(上限86万円等)を誤って適用・月割控除してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額および所得税額の計算
タックスプランニング · 給与所得 / 一時所得 / 所得金額調整控除 / 損益通算の制限 / 所得税の速算表
設例のAさんの2020年分の収入等の情報に基づき、前問《問58》の事業所得の金額(2,000,000円)を踏まえて、Aさんの2020年分の課税総所得金額に対する算出所得税額(税額控除前の金額)を求めなさい。なお、所得控除の合計額は300万円とし、100円未満を切り捨てて円単位で解答すること。
解答・解説を表示
解答
802,500(円)
解説
居住者の総合課税の所得税額は、各総合所得の金額を合算して総所得金額を算出し、所得控除合計額を差し引いた課税総所得金額に累進税率を適用して算出します。給与収入850万円超で扶養親族を有する場合の所得金額調整控除や、生活に通常必要でない資産であるゴルフ会員権等の譲渡損失の損益通算制限に留意する必要があります。
解き方
- 給与所得控除後の金額(7,050,000円)から、23歳未満の扶養親族がいることによる所得金額調整控除50,000円を差し引き、給与所得金額7,000,000円を求めます。
- 一時所得の金額(480万円-400万円-50万円=30万円)の2分の1である15万円を求め、事業所得200万円および給与所得と合算して総所得金額9,150,000円を算出します。
- 総所得金額から所得控除額3,000,000円を控除して課税総所得金額6,150,000円を求め、所得税速算表を適用して税額802,500円を計算します。
覚えるポイント
- 給与等の収入金額が850万円超で23歳未満の扶養親族を有する場合、(給与収入-850万円)×10%(上限15万円)が給与所得から控除されます。
- ゴルフ会員権の譲渡損失は他の所得との損益通算が認められていません。
間違えやすいところ
- 2020年分の給与所得控除額の上限改定(195万円)および所得金額調整控除の適用を反映し忘れるミスに注意が必要です。
- 一時所得の金額を総所得金額に合算する際に、2分の1にする処理を失念する間違いが多いです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法の規定および特定の居住用財産の買換え特例
不動産 · 用途制限(複数地域にまたがる敷地) / 延べ面積不算入(自動車車庫等・地階住宅) / 特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例
建築基準法の規定および「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」に関する次の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈建築基準法の規定〉 Ⅰ 甲土地上の第一種中高層住居専用地域に属する部分および第一種住居地域に属する部分にまたがって建築物を建築する場合、その全部について、( ① )地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 Ⅱ 容積率の算定の基礎となる延べ面積の計算にあたって、専ら自動車または自転車の停留または駐車のための施設の用途に供する部分(自動車車庫等部分)の床面積は、その敷地内の建築物の各階の床面積の合計の( ② )を限度として、延べ面積に算入しない。また、建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅の用途に供する部分の床面積は、原則として、当該建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の( ③ )を限度として、延べ面積に算入しない。 〈特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例〉 Ⅲ 「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」(以下、「本特例」という)は、居住用財産を買い換えた場合に、所定の要件を満たせば、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができる特例である。 Aさんが、居住の用に供していた家屋を取り壊してその敷地である土地を譲渡し、本特例の適用を受けるためには、その土地について、その家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が( ④ )年を超えるものであり、その土地の譲渡に関する契約がその家屋を取り壊した日から( ⑤ )年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供さなくなった日以後( ⑥ )年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡したものでなければならず、その譲渡に係る対価の額が( ⑦ )円以下でなければならない。また、買換資産として取得する土地については、その面積が( ⑧ )㎡以下でなければならない。
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解答
① 第一種住居(地域) ② 5分の1 ③ 3分の1 ④ 10(年) ⑤ 1(年) ⑥ 3(年) ⑦ 100,000,000(円) ⑧ 500(㎡)
解説
建築基準法では、複数用途地域にわたる敷地の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用され、容積率算定上の延べ面積には自動車車庫(上限1/5)や地階住宅(上限1/3)の不算入規定が設けられています。また、特定の居住用財産の買換え特例では、所有期間10年超、譲渡対価1億円以下、買換土地面積500㎡以下など厳格な要件が定められています。
解き方
- 建築基準法第91条に基づき、甲土地の各地域の面積(128㎡と192㎡)を比較し、過半(192㎡)を占める用途地域を特定します。
- 建築基準法施行令第2条第1項・第3項に基づき、自動車車庫等の延べ面積不算入限度(1/5)および地階住宅の不算入限度(1/3)を当てはめます。
- 租税特別措置法第36条の2(居住用財産の買換え特例)の要件である所有期間(10年超)、解体後契約期間(1年以内)、居住終了後の譲渡期限(3年後の年末)、譲渡対価限度(1億円以下)、買換土地面積限度(500㎡以下)を確認します。
答えの内訳
- ①:第一種住居(地域)
- 敷地が用途地域の異なる2以上の区域にまたがる場合、建築物の用途制限はその敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。甲土地320㎡のうち第一種住居地域が192㎡で過半を占めるため、第一種住居地域が適用されます。
- ②:5分の1
- 自動車車庫等部分の床面積は、建築物の各階の床面積の合計の5分の1を限度として延べ面積に算入しない緩和措置があります。
- ③:3分の1
- 地階で天井が地盤面から高さ1m以下にある住宅用途部分の床面積は、住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1を限度として延べ面積に算入されません。
- ④:10(年)
- 特定の居住用財産の買換え特例の適用を受けるためには、譲渡資産の家屋および敷地の所有期間が譲渡した年の1月1日時点で10年を超えている必要があります。
- ⑤:1(年)
- 家屋を取り壊して敷地を譲渡する場合、家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約が締結されていることが適用要件とされています。
- ⑥:3(年)
- 家屋を取り壊して敷地を譲渡する場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡しなければなりません。
- ⑦:100,000,000(円)
- 特定の居住用財産の買換え特例の適用を受けるためには、譲渡資産の対価の額が1億円以下でなければなりません。
- ⑧:500(㎡)
- 特定の居住用財産の買換え特例において、買換資産として取得する土地の面積要件は500㎡以下と規定されています。
覚えるポイント
- 建築物の用途制限は敷地の「過半」の地域の規定が全体に適用されます(建蔽率・容積率は加重平均計算です)。
- 特定の居住用財産の買換え特例の譲渡対価上限は1億円、買換資産の土地面積上限は500㎡です。
間違えやすいところ
- 建蔽率や容積率の地域またがり(加重平均)と用途制限(過半の地域が適用)のルールの違いを混同しないようにしてください。
- 買換え特例の所有期間要件(10年超)と、居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率の要件(所有期間不問や10年超)を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(建蔽率および容積率の上限面積の計算)
不動産 · 建築基準法 / 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 2項道路(セットバック)
甲土地上の第一種中高層住居専用地域に属する部分(128㎡)および第一種住居地域に属する部分(192㎡)にまたがって準耐火建築物を建築する場合における、①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。なお、甲土地は西側で幅員6m公道、南側で幅員2m公道(建築基準法第42条第2項道路、中心線は道路中心にあり反対側は宅地)に接しており、角地の指定は受けていないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 198(㎡) ② 612(㎡)
解説
幅員4m未満の2項道路に接する敷地は道路中心線から2m後退(セットバック)が必要で、後退部分は敷地面積に算入されません。敷地が異なる用途地域にまたがる場合、建蔽率と容積率は各地域ごとの有効敷地面積に応じて按分計算します。準防火地域内外にまたがる建築物が準耐火建築物である場合、法第65条および緩和規定により敷地全体で建蔽率が10%加算されます。また、2面以上接道している敷地では、最も広い道路幅員を基準として前面道路制限数値を判定します。
解き方
- 南側の2項道路について甲土地側の後退幅を算出し、各用途地域の実質的な有効敷地面積(中高層120㎡、住居180㎡)を求めます。
- 建築物全体が準防火地域の規制(準耐火建築物)を受けるため、建蔽率の10%緩和を各地域に適用し、建築面積の上限合計(72㎡+126㎡=198㎡)を計算します。
- 西側の幅員6mを前面道路として幅員制限(240%)を算定し、指定容積率との比較により各地域の適用容積率を決定して延べ面積の上限合計(180㎡+432㎡=612㎡)を計算します。
答えの内訳
- ①:198(㎡)
- 南側道路(2項道路)の後退幅は(4m-2m)÷2=1mです。敷地面積からセットバック部分を減じると、第一種中高層住居専用地域部分は128㎡-(8m×1m)=120㎡、第一種住居地域部分は192㎡-(12m×1m)=180㎡となります。準防火地域と無指定区域にまたがって準耐火建築物を建築する場合、建築基準法第65条および第53条第3項第1号により、両地域ともに建蔽率が10%緩和されます。したがって、建築面積の上限は、中高層部分が120㎡×(50%+10%)=72㎡、住居地域部分が180㎡×(60%+10%)=126㎡となり、合計72㎡+126㎡=198㎡です。
- ②:612(㎡)
- 建築物の敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路幅員は最大のものが適用されます(法第52条第2項)。本問では西側道路の幅員6mが前面道路幅員となります。前面道路幅員による容積率制限は、住居系地域であるため幅員6m×4/10=240%です。中高層部分の容積率は、指定容積率150%<240%より150%が適用され、住居地域部分は指定容積率300%>240%より240%が適用されます。したがって、延べ面積の上限は、中高層部分が120㎡×150%=180㎡、住居地域部分が180㎡×240%=432㎡となり、合計180㎡+432㎡=612㎡です。
覚えるポイント
- 建築基準法第42条第2項道路のセットバック部分は敷地面積から除外して計算します。
- 複数道路に接道している場合、前面道路幅員による容積率制限は最も広い道路幅員を採用します。
- 準防火地域内の準耐火建築物は建蔽率が指定建蔽率+10%に緩和されます。
間違えやすいところ
- セットバック面積を差し引かずに全体の320㎡をベースに計算してしまうミス。
- 2つの道路に接している場合に、それぞれの地域に接する狭い道路幅員を個別に適用してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の建築基準法に基づく出題条件
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡所得の特例と税額計算
不動産 · 特定の居住用財産の買換え特例 / 居住用財産の3,000万円特別控除 / 所有期間10年超の軽減税率の特例 / 長期譲渡所得の税額計算
Aさんが自宅を譲渡し買換資産を取得した場合において、①「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」を適用した場合、および②「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」と「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」を重複適用した場合の、譲渡所得に係る所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額をそれぞれ求めなさい。譲渡資産の譲渡価額6,000万円、取得費不明、譲渡費用200万円、買換資産の取得価額4,500万円とする。
解答・解説を表示
解答
① 2,793,300(円) ② 3,552,500(円)
解説
特定の居住用財産の買換え特例では、買換資産の取得価額を上回る差額部分のみが当期の譲渡所得として課税繰延べが行われ、必要経費も収入金額の割合に応じて按分計算されます。一方、居住用財産の3,000万円特別控除および所有期間10年超の軽減税率の特例では、譲渡益から3,000万円を控除した後の金額に対し、6,000万円以下の部分について所得税10%(別途復興特別所得税2.1%)・住民税4%の軽減税率が適用されます。
解き方
- 買換え特例を適用した場合の収入金額(1,500万円)と按分後の取得費・譲渡費用(125万円)から課税長期譲渡所得金額(13,750,000円)を求め、長期譲渡所得税率(所得税15%+復興2.1%、住民税5%)により合計税額を算出します。
- 3,000万円特別控除および軽減税率を適用した場合の課税長期譲渡所得金額(2,500万円)を求め、軽減税率(所得税10%+復興2.1%、住民税4%)により合計税額を算出します。
答えの内訳
- ①:2,793,300(円)
- 買換え特例において譲渡価額(6,000万円)>買換取得価額(4,500万円)の場合、差額1,500万円が課税対象の収入金額となります。取得費不明のため概算取得費は6,000万円×5%=300万円、譲渡費用200万円の計500万円を按分控除します。按分必要経費は500万円×(1,500万円÷6,000万円)=125万円です。課税長期譲渡所得金額は1,500万円-125万円=13,750,000円となります。所得税は13,750,000円×15%=2,062,500円、復興特別所得税は2,062,500円×2.1%=43,312.5円となり、合計2,105,800円(100円未満切捨て)です。住民税は13,750,000円×5%=687,500円です。総税額は2,105,800円+687,500円=2,793,300円となります。
- ②:3,552,500(円)
- 3,000万円特別控除前の譲渡所得金額は6,000万円-(6,000万円×5%+200万円)=5,500万円です。特別控除3,000万円を差し引いた課税長期譲渡所得金額は5,500万円-3,000万円=2,500万円となります。2,500万円は6,000万円以下のため全額に軽減税率(所得税10%・住民税4%)が適用されます。所得税は2,500万円×10%=2,500,000円、復興特別所得税は2,500,000円×2.1%=52,500円となり、合計2,552,500円です。住民税は2,500万円×4%=1,000,000円です。総税額は2,552,500円+1,000,000円=3,552,500円となります。
覚えるポイント
- 買換え特例において譲渡価額>買換取得価額の場合、必要経費は差額収入の割合(収入金額÷譲渡価額)で按分します。
- 所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例は、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分について所得税10%・住民税4%となります。
- 復興特別所得税は基準所得税額の2.1%であり、所得税額と合算後に100円未満を切り捨てます。
間違えやすいところ
- 買換え特例における必要経費全額(500万円)をそのまま差額1,500万円から差し引いてしまう按分漏れのミス。
- 取得費不明時の概算取得費(譲渡価額の5%)の算定を忘れてしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の租税特別措置法および所得税法等に基づく出題条件
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の評価
設例の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。なお、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。また、類似業種比準価額の算定にあたり複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択すること。
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解答
1,235円
解説
類似業種比準方式は、事業内容が類似する上場会社の株価を基に、配当・利益・簿価純資産の3要素を比準して評価額を算定する方式です。中会社の小区分では斟酌割合として0.60を乗じ、最後に実際の1株当たりの資本金等の額に応じて50円基準から換算します。
解き方
- 類似業種株価として選択可能な候補(当月、前月、前々月、前年平均、2年間平均)の中から最も低い価額(248円)を選択する。
- 直前2年の配当実績から記念配当等の特別配当を除外して1株(50円)当たりの配当金額を求め、10銭未満を切り捨てる。
- 直前期単年または直前2年平均の利益のうち低い方を選択して1株(50円)当たりの利益金額を計算し、円未満を切り捨てる。
- 配当・利益・純資産の各比準割合を計算して小数点第2位未満を切り捨て、その平均である比準割合(小数点第2位未満切捨て)を算出する。
- 類似業種株価×比準割合×斟酌割合(0.60)により50円ベースの比準価額を求め、500円/50円を乗じて1株当たりの類似業種比準価額を求める。
覚えるポイント
- 類似業種株価の選択肢に「前々年の平均株価」は含まれないため誤って選択しないよう注意が必要です。
- 記念配当や特別配当は非経常的な配当であるため、1株当たり配当金額の計算から除外します。
間違えやすいところ
- 類似業種株価の候補にある前々年平均株価(242円)を最も低い値として誤って選んでしまうミス。
- 各比準割合の端数処理(小数点第2位未満切捨て)を忘れて一括計算してしまい、端数ずれを起こすミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(国税庁財産評価基本通達)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額および併用方式による株式評価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 純資産価額方式 / 併用方式
設例の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの①純資産価額および②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい。なお、答は円未満を切り捨てて円単位とし、複数の方法がある場合は最も低い価額となる方法を選択すること。
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解答
① 2,072円 ② 1,569円
解説
1株当たりの純資産価額は、課税時期における各資産・負債を相続税評価額で評価し、帳簿価額との差額(含み益)から37%の法人税等相当額を控除して求めます。中会社は、類似業種比準価額に規模別のL値を乗じたものと純資産価額に(1-L)を乗じたものを合算する併用方式、または純資産価額方式のいずれか低い方を選択できます。
解き方
- 相続税評価ベースの純資産額から帳簿価額ベースの純資産額を差し引き、評価差額(含み益)を算出する。
- 評価差額に法人税等相当額の割合(37%)を乗じて控除額を求め、相続税評価純資産額から差し引いた金額を発行済株式総数で除して1株当たりの純資産価額(円未満切捨て)を求める。
- 中会社の小のL値(0.60)を用い、「類似業種比準価額×0.60+純資産価額×0.40」を計算し、円未満を切り捨てる。
答えの内訳
- ①:2,072円
- 相続税評価額による純資産価額は、資産合計16,420万円-負債合計6,900万円=9,520万円です。帳簿価額による純資産価額は、資産合計13,100万円-負債合計6,900万円=6,200万円です。評価差額に対する法人税等相当額は、(9,520万円-6,200万円)×37%=1,228.4万円となります。差引純資産額は9,520万円-1,228.4万円=8,291.6万円となり、発行済株式総数40,000株で除すと、8,291.6万円÷40,000株=2,072.9円となります。円未満を切り捨てて2,072円です。
- ②:1,569円
- 中会社の小における類似業種比準価額の割合(L値)は0.60です。問63で求めた類似業種比準価額1,235円と純資産価額2,072円を用いて併用方式で計算すると、1,235円×0.60+2,072円×(1-0.60)=741.0円+828.8円=1,569.8円となります。純資産価額単独(2,072円)と比較して低い価額となる併用方式を選択し、円未満を切り捨てて1,569円となります。
覚えるポイント
- 評価差額に対する法人税等相当額の割合は一律37%として計算します。
- 中会社の規模区分に応じたL値(大:0.90、中:0.75、小:0.60)を正確に暗記しておく必要があります。
間違えやすいところ
- 評価差額に対する法人税等相当額(37%)の控除を失念して純資産額を計算してしまうミス。
- 中会社の小におけるL値(0.60)を誤って他の区分の数値(0.75や0.90など)で計算してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(国税庁財産評価基本通達)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属からの住宅取得等資金および結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税
相続・事業承継 · 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税 / 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
贈与税の特例措置に関する文章Ⅰ(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税)および文章Ⅱ(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)の下線部①~③の中から、それぞれ最も不適切なものを1つ選び、その適切な内容を簡潔に記述しなさい。
解答・解説を表示
解答
Ⅰ:① 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下でなければならない。 Ⅱ:② 子育て関係費用には、受贈者の小学校就学前の子の医療のために要する費用などが含まれる。
解説
生前贈与を促進するための非課税特例(住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金)には、受贈者の所得制限、受贈対象者の年齢要件、対象となる費用の範囲、契約期間中の贈与者死亡時の相続税課税関係など、制度ごとに細かな要件が法令上規定されています。
解き方
- 文章Ⅰ(住宅取得等資金贈与)の各下線部について、受贈者の所得制限基準(2,000万円以下)、家屋の床面積要件、消費税率10%適用時の非課税限度額の妥当性を順次確認し、不適切な記述を特定する。
- 文章Ⅱ(結婚・子育て資金贈与)の各下線部について、非課税拠出限度額、対象となる結婚・子育て関連費用の範囲(医療費等の対象年齢)、贈与者死亡時の管理残額の相続税課税ルールを検証し、不適切な記述を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 Ⅰ:① 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下でなければならない。
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税における受贈者の所得要件は、贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が「2,000万円以下」です。下線部①の「1,000万円以下」は誤りです。なお、床面積要件(50㎡以上240㎡以下)や、2021年3月契約締結(消費税率10%)の場合の非課税限度額(省エネ等住宅1,500万円、一般住宅1,000万円)は適正です。
- 小問 Ⅱ:② 子育て関係費用には、受贈者の小学校就学前の子の医療のために要する費用などが含まれる。
- 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度において、子育て関係費用として認められる子の医療費や保育料等は、受贈者の「小学校就学前」の子を対象とした費用です。下線部②の「中学校卒業前」は誤りです。なお、非課税拠出限度額1,000万円(うち結婚費用300万円まで)や、契約期間中に贈与者が死亡した場合の管理残額が受贈者の相続税の課税対象となる点は適正です。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金贈与の受贈者所得要件は合計所得金額2,000万円以下である。
- 結婚・子育て資金の非課税拠出限度額は1,000万円(結婚関係費用は300万円上限)である。
- 結婚・子育て資金において、子の医療費等の対象は「小学校就学前の子」である。
間違えやすいところ
- 住宅取得等資金贈与の所得制限を、他の特例の基準(1,000万円や500万円)と混同しないように注意する。
- 教育資金一括贈与(30歳未満、上限1,500万円)と結婚・子育て資金一括贈与(20歳以上50歳未満、上限1,000万円)の要件を混同しやすいので注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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