日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年1月 1級 学科(基礎編)の概要
健康保険の任意継続被保険者制度
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 任意継続被保険者 / 標準報酬月額 / 保険料
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の任意継続被保険者に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
退職等で健康保険の被保険者資格を喪失した者は、喪失の前日まで継続して2カ月以上の被保険者期間があれば、原則として喪失日から20日以内に申し出ることで最長2年間任意継続被保険者となることができます。保険料の未納等が生じると資格を喪失します。
解き方
- 任意継続被保険者の申出期限(20日以内)や標準報酬月額の決定基準・上限ルールを確認する。
- 被扶養者分の保険料加算の有無や、保険料未納による資格喪失後の取扱いを照合して適切な肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 申出期限は、資格喪失の日(退職日の翌日等)から「20日以内」と定められており、14日以内ではありません。
- 選択肢 2正解
- 保険料を納付期日までに納付しなかった場合はその納付期日の翌日に資格を喪失し、新たに資格取得要件(新たな退職等)を満たさない限り再取得できません。
- 選択肢 3不正解
- 標準報酬月額は「資格喪失時の標準報酬月額」と「前年9月30日時点の全被保険者の平均標準報酬月額」のいずれか低い額となるため、全被保険者の平均額の改定等に伴い期間中に変更されることがあります。
- 選択肢 4不正解
- 健康保険では被扶養者自身の保険料負担はなく、被保険者の標準報酬月額に基づいて算定された保険料全額を被保険者が負担します。被扶養者にかかる保険料やその所得連動の軽減措置は存在しません。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の申出期限は資格喪失日から20日以内。
- 保険料は全額自己負担で、納付期日(毎月10日)までに納付がないと翌日に資格を喪失する。
間違えやすいところ
- 国民健康保険への加入届出期間(14日以内)と任意継続被保険者の申出期限(20日以内)を混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の就職促進給付
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 就職促進給付 / 就業手当 / 再就職手当 / 就業促進定着手当
雇用保険の就職促進給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
雇用保険の就職促進給付は、受給資格者の早期再就職を促すための給付であり、再就職手当、就業手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当などから構成されます。それぞれの支給要件(残日数要件や雇用形態の確実性など)が細かく定められています。
解き方
- 各給付の支給要件における所定給付日数の残日数要件(『かつ』と『または』の違い等)を確認する。
- 再就職手当の過去受給要件(3年以内制限)や就業促進定着手当の要件を精査して不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1正解
- 就業手当の残日数要件は、職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上「かつ」45日以上である必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 再就職手当は1年を超えて引き続き雇用されることが確実である等の要件が必要であり、離職前事業主(資本・資金・人事等で密接な関連のある事業主を含む)に再雇用された場合は支給されません。
- 選択肢 3不正解
- 就業促進定着手当は、再就職手当を受給した者が同一事業主に6カ月以上雇用され、再就職後の賃金日額が離職前の算定基礎賃金日額を下回る場合に支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 再就職手当および常用就職支度手当は、就職日の前3年以内の就職について再就職手当や常用就職支度手当を受給したことがある場合は支給対象外となります。
覚えるポイント
- 就業手当の要件は「支給残日数3分の1以上『かつ』45日以上」、支給額は基本手当日額の30%。
- 再就職手当・常用就職支度手当は過去3年以内の受給歴があると不支給。
間違えやすいところ
- 「3分の1以上または45日以上」ではなく「かつ」である点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の雇用保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
在職老齢年金の仕組みと繰下げ支給
ライフプランニングと資金計画 · 厚生年金保険 / 在職老齢年金 / 加給年金額 / 繰下げ支給
2020年度中に厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
厚生年金保険の被保険者として就労しながら受給する年金は在職老齢年金の仕組みにより支給停止の対象となります。また、65歳未満の特別支給の老齢厚生年金における長期加入者の特例(44年特例)による加給年金の加算は、退職して被保険者資格を喪失している期間にのみ適用されます。
解き方
- 65歳未満(低在老:28万円基準)および65歳以上(高在老:47万円基準)の在職支給停止基準を確認する。
- 特別支給の老齢厚生年金における定額部分や加給年金額の支給要件(44年特例の在職要件)を確認して誤りを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 2020年度における65歳未満の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が28万円以下の場合は全額支給されます。
- 選択肢 2正解
- 被保険者期間44年以上の長期加入者の特例(定額部分および加給年金額の加算)は、被保険者でないこと(退職していること)が要件であるため、被保険者である間は加算されません。
- 選択肢 3不正解
- 65歳以上の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が47万円(支給停止調整額)以下である場合、支給調整は行われず全額支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 老齢厚生年金を繰り下げる場合、繰下げ待機期間中に在職支給停止により支給停止とされるべき額は繰下げ増額率の計算対象から除外されます。
覚えるポイント
- 44年特例(長期加入者特例)は退職(被保険者でないこと)が条件で、在職中は定額部分や加給年金は支給されない。
- 繰下げ増額の対象は在職支給停止後の「受給可能な額」のみ。
間違えやすいところ
- 65歳未満でも被保険者であれば44年特例による加給年金額は加算されない点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の遺族給付の受給要件
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金 / 厚生年金保険 / 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 死亡一時金
公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
遺族基礎年金は被保険者等の死亡時に生計を維持されていた「子のいる配偶者」または「子」に支給されます。遺族厚生年金の対象となる遺族には順位や年齢要件(夫の場合は死亡時に55歳以上など)が定められています。
解き方
- 各ケースにおける被保険者の加入履歴および遺族の属性(年齢、子のあるなし)を確認する。
- 遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給権者の対象要件と併給調整ルールを照らし合わせる。
- 選択肢 1正解
- 第3号被保険者である妻が死亡し、生計を同じくする夫と18歳到達年度末までの子がいる場合、生計維持要件(年収850万円未満等)を満たす夫に遺族基礎年金が支給されます。
- 選択肢 2不正解
- 妻が死亡したときの夫が遺族厚生年金を受給するためには、妻の死亡時に夫が「55歳以上」である必要があり、50歳の夫は受給権者になれません(子は22歳のため遺族の対象外)。
- 選択肢 3不正解
- 遺族基礎年金を受給できる遺族がいる場合、死亡一時金は支給されません(死亡一時金は遺族基礎年金を受けられる遺族がいない場合に限られます)。
- 選択肢 4不正解
- 受給権者が死亡した場合の長期要件による遺族厚生年金は、原則として保険料納付済期間等の合算が「25年以上」必要であり、20年では支給されません。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金で夫が受給できるのは死亡時「55歳以上」の場合(受給開始は原則60歳から)。
- 遺族基礎年金を受け取れる場合は死亡一時金は併給されない。
- 老齢年金受給権者の死亡による遺族厚生年金の受給資格期間要件は25年。
間違えやすいところ
- 老齢厚生年金の受給資格期間(10年)と、受給権者死亡時の遺族厚生年金の要件(25年)を混同しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等の併給調整および支給停止
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険と年金の調整 / 高年齢雇用継続給付 / 公的年金の併給調整 / 遺族厚生年金と老齢厚生年金
社会保険の給付に係る併給調整や支給停止に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
公的年金は原則として「1人1年金」ですが、65歳以降は同一事由以外の併給緩和が行われます。また、雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付との間にも法律所定の支給停止・併給調整ルールが定められています。
解き方
- 基本手当受給時および高年齢雇用継続給付受給時の特別支給の老齢厚生年金の支給停止ルールを確認する。
- 65歳以降の「障害基礎年金+遺族厚生年金」の併給可否と、遺族厚生年金と自身の老齢厚生年金の受給調整ルールを照合する。
- 選択肢 1不正解
- 雇用保険の基本手当を受給する場合、求職申込みをした月の翌月から受給期間満了等までの間、基本手当の支給を受けた月分の特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となります。
- 選択肢 2不正解
- 高年齢雇用継続給付を受給する場合、在職支給停止に加えて最高で標準報酬月額の6%相当額がさらに年金から支給停止されます。
- 選択肢 3不正解
- 65歳未満では「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」は併給できず選択となりますが、65歳到達後は特例により併給して受給することが可能です。
- 選択肢 4正解
- 65歳以後の遺族厚生年金の受給権者が老齢厚生年金を受給できる場合、自身の老齢厚生年金を優先して全額受給し、遺族厚生年金の額が上回る場合にその差額が遺族厚生年金として支給されます(3分の2と2分の1を合算する仕組みは誤り)。
覚えるポイント
- 65歳以後は「障害基礎年金+老齢厚生年金」や「障害基礎年金+遺族厚生年金」の組み合わせが可能。
- 65歳以上の配偶者の遺族厚生年金は「自身の老齢厚生年金」が全額優先支給され、差額のみが遺族年金として支給される。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金の額の計算方法(死亡配偶者の老齢厚生年金の4分の3、または死亡配偶者の2分の1+自身の老齢厚生年金の2分の1のいずれか高い方)と実際の併給調整方法を混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の国民年金法・厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(個人型年金:iDeCo)の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 第3号被保険者 / 中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)
確定拠出年金の個人型年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
確定拠出年金(個人型:iDeCo)は、公的年金の被保険者種別等に応じて拠出限度額が定められています。第3号被保険者の限度額は月額2万3,000円(年額27万6,000円)です。また中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)や運用指図のルールも規定されています。
解き方
- 第3号被保険者の掛金限度額を計算する(月額23,000円×12=276,000円)。
- 加入要件(20歳未満の第2号被保険者の加入可否)、iDeCo+の企業規模要件、商品選択数の義務を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)であれば、20歳未満であっても個人型年金に加入することができます。
- 選択肢 2正解
- 第3号被保険者の掛金限度額は月額2万3,000円(年額27万6,000円)です。
- 選択肢 3不正解
- 中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の対象となる企業は、使用する従業員数が「100人以下」ではなく「300人以下(出題時点の規定、2020年10月現在)」です。
- 選択肢 4不正解
- 運用商品の選択数に下限はなく、提示された運用商品の中から1つだけを選択して指図することも可能です。
覚えるポイント
- 第3号被保険者のiDeCo拠出限度額は月額2.3万円(年額27.6万円)。
- 20歳未満でも厚生年金の被保険者(第2号被保険者)であればiDeCoに加入できる。
間違えやすいところ
- iDeCoの加入は原則20歳以上60歳未満だが、第2号被保険者に限っては20歳未満でも加入できる点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の確定拠出年金法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用調整助成金の対象となる雇用維持措置
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険法 / 雇用調整助成金 / 雇用維持
雇用保険法に基づく雇用調整助成金の対象となる雇用維持の方策として、次のうち最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
雇用調整助成金は、景気の変動等に伴う経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な「休業」「教育訓練」「出向」を行って労働者の雇用を維持した場合に、休業手当や賃金等の一部を助成する制度です。
解き方
- 雇用調整助成金の目的が「雇用の維持」であることを踏まえる。
- 法令上定められている対象措置(休業、教育訓練、出向)を確認し、該当しない選択肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 労働者を一時的に休業させて手当を支払う措置は、雇用調整助成金の助成対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 事業活動の縮小時に労働者に職業に関する教育訓練を受けさせる措置は、雇用調整助成金の助成対象となります。
- 選択肢 3正解
- 早期退職の募集・勧奨は労働者の雇用を終了させるものであり、雇用維持を支援する雇用調整助成金の対象にはなりません。
- 選択肢 4不正解
- 労働者を一時的に他の事業主に出向させて雇用を維持する措置は、雇用調整助成金の助成対象となります。
覚えるポイント
- 雇用調整助成金の対象となる雇用維持の方策は「休業」「教育訓練」「出向」の3種類。
間違えやすいところ
- 雇用維持措置と事業再構築・人員整理の方策(早期退職など)を混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の雇用保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年年金制度改正法の内容
ライフプランニングと資金計画 · 年金制度改正 / 在職定時改定 / 在職老齢年金 / 繰下げ年齢拡大 / 確定拠出年金等
2020年5月29日に成立し、同年6月5日に公布された「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」の改正事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
2020年年金制度改革法(令和2年法律第40号)では、高齢期の就労継続への対応として在職定時改定の導入、低在老の支給停止基準の引上げ(47万円へ統一)、繰下げ上限の75歳への引上げ、確定拠出年金の加入要件拡大(企業型70歳、iDeCo65歳)などが盛り込まれました。
解き方
- 2020年年金制度改正法における在職定時改定(9月1日基準、10月改定)、在職老齢年金の基準緩和を確認する。
- 繰下げ受給可能年齢の拡大(75歳へ)および確定拠出年金の加入年齢上限(企業型70歳、個人型65歳)の相違を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 在職定時改定の新設により、毎年9月1日を基準日として前月までの被保険者期間を反映し、基準日の属する月の翌月(10月分)から改定されます。
- 選択肢 2不正解
- 65歳未満の在職老齢年金の支給停止基準額(28万円)を、65歳以上と同じ47万円に引き上げる見直しが行われました(2022年4月施行)。
- 選択肢 3不正解
- 公的年金の受給開始時期の選択肢の上限が70歳から75歳に引き上げられました(2022年4月施行)。
- 選択肢 4正解
- 加入可能年齢の上限は、企業型確定拠出年金は70歳未満まで、個人型確定拠出年金(iDeCo)は65歳未満まで引き上げられたため、「いずれも65歳」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 確定拠出年金の加入年齢上限:企業型は70歳まで、iDeCoは65歳まで。
- 在職定時改定は9月1日基準・10月分から改定。
間違えやすいところ
- 企業型と個人型(iDeCo)で加入可能年齢の上限が異なる(70歳と65歳)点を見落としやすい。
出題の前提:2020年6月5日公布の年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険会社の健全性・収益性指標
リスク管理 · 生命保険会社の経営指標 / エンベディッド・バリュー / ソルベンシー・マージン比率
生命保険会社の健全性や収益性に関する指標等の説明として、次のうち最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
生命保険会社の企業価値や健全性を正しく測るため、会計上の利益(基礎利益)とは別に、将来の収益力や解散価値を反映するEV(エンベディッド・バリュー)やソルベンシー・マージン比率等の指標が用いられます。
解き方
- 基礎利益、EV、ソルベンシー・マージン比率、実質純資産額の各定義と計算要素を確認する。
- 選択肢2におけるEVの構成要素が「基礎利益」ではなく「修正純資産価値」であることを確認し、誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 基礎利益は保険本業の収益力を表す指標で、経常利益からキャピタル損益および臨時損益を差し引いて算出するため適切です。
- 選択肢 2正解
- EV(エンベディッド・バリュー)は「修正純資産価値」と「保有契約価値」の合計値であり、基礎利益を合計するものではないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- ソルベンシー・マージン比率は大災害等の通常予測を超えたリスクへの支払余力を示し、200%未満で早期是正措置の対象となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 実質純資産額は時価ベースの資産から資本性の高い負債を除いた負債を控除した額で、債務超過(マイナス)になると業務停止命令の対象となり得るため適切です。
覚えるポイント
- EV(エンベディッド・バリュー)=修正純資産価値+保有契約価値である。
- ソルベンシー・マージン比率の健全性基準ラインは200%である。
間違えやすいところ
- EVの構成要素である「修正純資産価値」を「基礎利益」と混同しないよう注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約の諸手続きと保全
リスク管理 · 払済保険 / 復活 / 保険金請求期限 / 契約者貸付
生命保険契約の各種手続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
払済保険への変更では契約条件のうち保険料払込が中止され保険金額が減額されますが、予定利率は元契約時のものが維持されます。一方、失効からの復活や契約者貸付には約款上の明確な限度やルールが定められています。
解き方
- 各手続き(保険金支払期限、払済保険変更、契約復活、契約者貸付)の一般的な約款規定を確認する。
- 払済保険への変更時に予定利率が維持されるルールが正しいことを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 死亡保険金等の支払いは、特別な確認・調査を要しない限り、請求書類が保険会社に到着した日の翌日から起算して「5営業日以内」に行われるのが一般的であるため不適切です。
- 選択肢 2正解
- 終身保険を払済終身保険に変更した場合、変更時点の解約返戻金をもとに保険金額が再計算されますが、予定利率は変更前の契約の利率が引き継がれるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 保険契約の復活では、元の契約時の保険料率が維持されるため、復活時の保険料率で再計算されるわけではなく不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 契約者貸付の限度額は解約返戻金の全額ではなく、一般に解約返戻金の70%~90%程度の所定の範囲内とされているため不適切です。
覚えるポイント
- 払済保険や延長保険への変更では、元契約の予定利率がそのまま引き継がれる。
- 契約者貸付の限度額は解約返戻金の全額ではなく一定割合(7~9割程度)である。
間違えやすいところ
- 契約復活時に年齢が上がっているため再計算されると誤認しやすいが、元契約の保険料率が適用される。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除の新旧制度の適用関係
リスク管理 · 生命保険料控除 / 新旧制度の適用 / 自動振替貸付 / 少額短期保険
所得税の生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、2012年1月1日以後に締結した保険契約等を「新制度」、2011年12月31日以前に締結した保険契約等を「旧制度」とする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
2011年12月31日以前に締結された契約(旧制度)について、保険金の増額や有償特約の中途付加、更新等を行うと契約全体が新制度に切り替わりますが、単なる「減額」や保険料の発生しない特約の付加では旧制度が維持されます。
解き方
- 旧契約から新制度へ移行する要件(更新、転換、増額、特約中途付加など)を確認する。
- 保険金額の「減額」のみを行った場合は新契約の締結とみなされず、旧制度のままであると判断する。
- 選択肢 1正解
- 旧制度適用の契約について保険金額を減額した場合、契約の更新・特約中途付加等とは異なり、減額後も引き続き「旧制度」が適用されるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 指定代理請求特約など保険料の支払いを伴わない特約を中途付加した場合は、新制度へ変更されず引き続き「旧制度」の対象となるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 自動振替貸付によって保険料が支払われた場合も、保険料を払い込んだものとして扱われ、その年分の生命保険料控除の対象となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 少額短期保険業者が引き受ける保険契約の保険料は、所得税法上の生命保険料控除および地震保険料控除の対象外とされているため適切です。
覚えるポイント
- 契約の減額や無償特約の中途付加では、旧制度契約は旧制度のまま維持される。
- 少額短期保険の保険料は生命保険料控除の対象外である。
間違えやすいところ
- 特約の付加は原則として新制度へ移行するが、保険料が発生しない指定代理請求特約などの付加は例外的に旧制度が維持される点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定期保険から払済終身保険への変更時の経理処理
リスク管理 · 法人契約の生命保険 / 払済保険への変更 / 資産計上と益金算入
X社(契約者・受取人)は、代表取締役社長Aさん(加入時33歳)を被保険者とする無配当定期保険(2015年12月1日契約、70歳満了、年払保険料200万円)を5年分(総額1,000万円)払い込んだ後、解約返戻金額650万円で払済終身保険に変更した。変更時の経理処理として最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
払済保険へ変更した場合、変更時点の解約返戻金相当額を「保険料積立金」として資産計上します。変更前の契約で資産計上されていた前払保険料等の帳簿価額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑収入(または雑損失)として処理します。既往の資産計上額が0円であれば、解約返戻金の全額が雑収入となります。
解き方
- 2015年12月契約の定期保険(33歳加入・70歳満了)が長期平準定期保険(満了時70歳超かつ加入年齢+保険期間×2>105)に該当するか確認する。満了時70歳超を満たさないため普通定期保険(全額損金算入、貸借対照表上の資産残高0円)である。
- 払済終身保険への変更に伴い、解約返戻金額650万円を借方「保険料積立金」とし、資産計上残高0円との差額650万円を貸方「雑収入」として計上する仕訳を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 払済保険への変更であり現金の収受は行われないため、借方に現金・預金を計上する処理は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 現金の受取はなく、また変更前の契約は全額損金処理されており前払保険料の計上残高はないため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 解約返戻金相当額650万円を終身保険の資産勘定(保険料積立金)に計上し、既往の資産計上額が0円であったため全額を雑収入に計上する処理が適切です。
- 選択肢 4不正解
- 変更前の定期保険は満了時年齢が70歳以下であるため旧通達の長期平準定期保険に該当せず、前払保険料は計上されていないため不適切です。
覚えるポイント
- 旧通達の長期平準定期保険の要件は「保険期間満了時70歳超」かつ「加入時年齢+保険期間×2>105」である。
- 払済保険への変更時は、解約返戻金額を新たな資産(保険料積立金)として計上する。
間違えやすいところ
- 満了時が70歳ちょうどであるため「70歳超」を満たさず、長期平準定期保険ではなく全額損金算入の普通定期保険であることを見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等(2019年7月8日以前契約に係る旧法人税基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自賠責保険と政府保障事業
リスク管理 · 自動車損害賠償責任保険 / 政府の自動車損害賠償保障事業 / 仮渡金制度
自賠責保険および政府の自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
自賠責保険は対人賠償の基本補償を担い、被害者救済のために仮渡金制度や内払制度が設けられています。一方、ひき逃げや無保険車事故を救済する政府保障事業は最終的な救済措置であるため、仮渡金制度は存在せず確定後に損害の塡補が行われます。
解き方
- 自賠責保険の保険料体系、支払限度額、保障対象事故(人身のみ)を確認する。
- 政府保障事業と自賠責保険の差異として「仮渡金制度の有無」を照合し、不適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 自賠責保険はノーフォールト型の強制保険であり、保険会社による保険料の違いや運転者年齢・走行距離等による区分はなく適切です。
- 選択肢 2不正解
- 自賠責保険の限度額は被害者1人につき傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害は要介護最高4,000万円(通常最高3,120万円)と定められており適切です。
- 選択肢 3正解
- 政府保障事業には自賠責保険のような仮渡金の制度はなく、損害額が確定した後に支払われる仕組みであるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 政府保障事業は自賠責保険を補完する制度であるため、自賠責保険と同様に対人事故のみが対象であり、物損事故は対象外となるため適切です。
覚えるポイント
- 自賠責保険には仮渡金制度があるが、政府保障事業には仮渡金制度がない。
- 自賠責・政府保障事業のいずれも「人身事故」のみが対象で物損は対象外である。
間違えやすいところ
- 政府保障事業の救済内容が自賠責保険と完全に同一であると誤解し、仮渡金も請求できると考えてしまう点。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
普通傷害保険の補償対象範囲
リスク管理 · 普通傷害保険 / 急激・偶然・外来の事故 / 免責事由
特約を付帯していない普通傷害保険の被保険者が被った次の損害のうち、一般に同保険の補償の対象となるものの個数として正しいものはどれか。 (a) 熱中症により意識を失って、入院した場合 (b) 地震により倒れてきた家具に手をはさまれて骨折し、通院した場合 (c) 海外旅行中に立ち寄った飲食店で細菌性食中毒にかかり、入院した場合 (d) 仕事で業務用車両を運転中に交通事故に巻き込まれてケガをし、通院した場合
解答・解説を表示
解答
1
解説
普通傷害保険は「急激かつ偶然な外来の事故」による身体の傷害を対象とします。業務中・プライベートを問わず国内外のケガを補償しますが、熱中症・食中毒(疾病扱い)や、地震・噴火・津波に起因する損害は特約がない限り免責とされます。
解き方
- (a)熱中症は特約がない限り補償対象外(×)。
- (b)地震による倒壊・骨折は地震免責条項により対象外(×)。
- (c)細菌性食中毒は疾病とみなされ特約がない限り対象外(×)。
- (d)業務用車両の運転中の交通事故は急激・偶然・外来の事故であり、業務中も対象となるため補償対象(〇)。
- 該当するものが(d)の1つであることを導く。
- 選択肢 1正解
- 対象となる損害は(d)の1つのみであるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 対象となる損害は1つのみであるため、2つとする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 対象となる損害は1つのみであるため、3つとする記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 業務中の交通事故によるケガ(d)が補償対象となるため、0とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 普通傷害保険は業務中・日常生活中の双方を補償する(労災等の受給があっても対象)。
- 熱中症・食中毒・地震起因のケガは特約がない限り普通傷害保険では免責となる。
間違えやすいところ
- 業務中の事故は労災保険があるため普通傷害保険からは出ないと誤解しやすいが、普通傷害保険でも補償される。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社役員賠償責任保険(D&O保険)の特徴
リスク管理 · 会社役員賠償責任保険 / D&O保険 / 株主代表訴訟 / 第三者訴訟
会社役員賠償責任保険(D&O保険)の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、契約者は株式会社であり特約は付帯していないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
D&O保険は役員が業務上の行為に起因して損害賠償請求を受けた場合の賠償金や争訟費用を補償します。対象となる請求には株主からの株主代表訴訟だけでなく、第三者(取引先・債権者・従業員等)からの訴訟も広く含まれますが、違法な利益供与や法令違反行為(インサイダー取引等)は免責となります。
解き方
- D&O保険の被保険者の範囲(現任・新任・退任役員を含む)を確認する。
- 訴訟形態の対象(株主代表訴訟および第三者訴訟)と免責事由(故意・違法行為)、争訟費用の補償を確認し、選択肢2の誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- D&O保険の被保険者には、保険期間中に新たに就任した役員や、過去に在任し保険期間中に退任した役員も含まれるため適切です。
- 選択肢 2正解
- D&O保険は株主や会社からの訴訟だけでなく、顧客・取引先・従業員等の第三者から提起された訴訟(第三者訴訟)による損害賠償金も補償対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- インサイダー取引や私的利益の追求、故意の法令違反等に起因する賠償請求は免責事由に該当し、補償の対象外となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 損害賠償金そのものだけでなく、役員が自己を防御するために支出した弁護士費用等の争訟費用も補償の対象となるため適切です。
覚えるポイント
- D&O保険は株主代表訴訟だけでなく第三者訴訟も補償対象である。
- 役員個人の故意の不正行為やインサイダー取引による損害は免責となる。
間違えやすいところ
- D&O保険を株主代表訴訟専用の保険と勘違いし、第三者訴訟が含まれないと思い込んでしまうこと。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
わが国の代表的な経済指標
金融資産運用 · GDP / 景気動向指数 / 日銀短観 / 消費者物価指数
わが国の経済指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
経済動向の把握にはGDP(名目・実質)、景気動向指数(CI・DI)、日銀短観、CPI(総合・コア・コアコア)等の特徴・定義を正確に区別して理解することが不可欠です。
解き方
- GDPにおける名目値(市場価格そのまま)と実質値(物価変動除外)の定義を確認する。
- 景気動向指数のCI(変化のテンポ・量的大きさ)とDI(波及度)の相違を確認する。
- 日銀短観の調査対象企業規模(資本金2,000万円以上)を確認する。
- CPIにおいて生鮮食品を除く指数がコアCPIであることを確認し、適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 実際に市場で取引された価格に基づくものが「名目値」であり、物価変動分を取り除いたものが「実質値」であるため、記述が逆で不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 各経済部門への波及度合いを測定するのは「DI(ディフュージョン・インデックス)」であり、CIは景気変動のテンポや大きさ(量感)を測定する指標であるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 日銀短観の調査対象は「資本金2,000万円以上」の民間企業(全国約1万社)を対象としているため、「資本金1億円以上」とする記述は不適切です。
- 選択肢 4正解
- コアCPIは、天候要因等で価格変動が一時的に激しくなりやすい「生鮮食品」を除いて算出した指数であるため適切です。
覚えるポイント
- コアCPI=「生鮮食品を除く総合」、コアコアCPI=「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」。
- CIは景気変動の「大きさ・テンポ」、DIは「波及度合い」を測定する。
間違えやすいところ
- 名目GDPと実質GDPの定義の取り違えや、CIとDIの役割の混同に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金投資の税金と取引の仕組み
金融資産運用 · 金投資 / 譲渡所得 / 消費税 / 損益通算
金投資に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
個人が所有する金地金の売却益は原則として総合課税の譲渡所得となり、短期譲渡所得および長期譲渡所得を通じて年間50万円の特別控除が適用されます。金地金は実物資産であるため売買に消費税が課税されます。
解き方
- 金地金の売買における消費税の課税関係および純金積立の一般的な購入方式を確認する。
- 個人の金地金の売却に係る所得区分、特別控除額(最大50万円)、損益通算の可否を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 純金積立では、毎月の積立購入金額をその月の営業日数で日割りし、毎営業日ごとに金地金を購入するドル・コスト平均法が一般的です。
- 選択肢 2不正解
- 金地金は有価証券ではなく実物商品(資産)であるため、購入時および売却時の取引に対しても消費税が課税されます。
- 選択肢 3正解
- 給与所得者が所有する金地金の売却益は総合課税の譲渡所得となり、譲渡益から年間最大50万円の特別控除額を控除できます。
- 選択肢 4不正解
- 金地金の売却によって生じた譲渡損失は生活に通常必要でない資産の譲渡による損失とされ、給与所得等との損益通算は認められません。
覚えるポイント
- 金地金の売却益は総合課税の譲渡所得で年間最大50万円の特別控除あり、売却損は他の所得と損益通算不可。
間違えやすいところ
- 純金積立を月末の一括購入と誤認したり、金地金を株式等の有価証券と同様に消費税非課税と勘違いしやすいです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人向け国債の商品性と中途換金ルール
金融資産運用 · 個人向け国債 / 適用利率 / 中途換金調整額 / 利子課税
個人向け国債に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
個人向け国債は中途換金時に換金手数料がかからず、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685である中途換金調整額のみが差し引かれます。
解き方
- 個人向け国債のラインナップ(3年固定・5年固定・10年変動)、発行頻度、利率計算方法、税制を確認する。
- 中途換金時の計算式における控除項目を精査し、換金手数料の要否を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 個人向け国債には固定3年、固定5年、変動10年の3種類が存在し、いずれも毎月発行されています。
- 選択肢 2不正解
- 変動10年の適用利率は基準金利×0.66(最低保証0.05%)であり、利払日は年2回(発行月および半年後の15日)です。
- 選択肢 3不正解
- 利子は20.315%で源泉徴収され申告分離課税の対象ですが、確定申告不要制度を選択することも可能です。
- 選択肢 4正解
- 中途換金時に換金手数料は徴収されず、額面金額に経過利子相当額を加え、中途換金調整額のみを差し引いて精算されます。
覚えるポイント
- 個人向け国債の中途換金は発行後1年経過で可能となり、控除されるのは中途換金調整額(直前2回分の利子相当×0.79685)のみで手数料不要。
間違えやすいところ
- 中途換金調整額のほかに証券会社等への換金手数料が別途差し引かれると誤認しないように注意しましょう。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国内の主な株価指数の算出対象と構成
金融資産運用 · TOPIX / JPX日経インデックス400 / 東証マザーズ指数 / JASDAQ INDEX
国内の株価指標に関する次の記述(a)~(d)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 東証株価指数(TOPIX)は、東京証券取引所市場第一部および市場第二部に上場している内国普通株式全銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数である。 (b) JPX日経インデックス400は、東京証券取引所市場第一部、市場第二部、マザーズ市場、JASDAQ市場に上場している内国普通株式銘柄のうち、時価総額上位400銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数である。 (c) 東証マザーズ指数は、東京証券取引所のマザーズ市場に上場している内国普通株式全銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数である。 (d) JASDAQ INDEXは、東京証券取引所のJASDAQ市場に上場している内国普通株式全銘柄を対象とする時価総額加重型の株価指数である。
解答・解説を表示
解答
2
解説
国内の主要な株価指数には、対象市場の全普通株式を対象とする全銘柄型の時価総額加重型指数と、ROEや営業利益等の財務基準等を用いて選定するテーマ型指数があります。
解き方
- 各指数の対象市場および採用銘柄の選定基準(全銘柄対象か一定の選定基準か)を確認する。
- (a)~(d)の記述の正誤を判定し、適切な記述の数を数える。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は2つあるため、1つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 2正解
- (c)東証マザーズ指数および(d)JASDAQ INDEXが適切であり、適切なものは2つです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は2つであるため、3つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述は2つ存在するため、0(なし)とする本選択肢は不適切です。
覚えるポイント
- TOPIXは市場第一部全銘柄(当時)が対象、JPX日経400はROEや営業利益等の定量的指標を加味して選定された400銘柄。
間違えやすいところ
- JPX日経400を「時価総額上位400銘柄」と単純に選定するものと誤解しないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
テクニカル指標の定義と見方
金融資産運用 · 移動平均線 / ボリンジャーバンド / サイコロジカルライン / RSI
株式のテクニカル分析手法の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
テクニカル分析指標は、過去の株価や出来高の推移から相場の方向性や過熱感を判断するために用いられます。オシレーター系指標は数値の定義域や意味する水準を正しく理解することが重要です。
解き方
- トレンド系指標(移動平均線、ボリンジャーバンド)の定義と統計的性質を確認する。
- オシレーター系指標(サイコロジカルライン、RSI)の計算式と取り得る値の範囲を整理する。
- 選択肢 1不正解
- 短期線が長期線を上から下に抜ける交差はデッドクロス(下落シグナル)であり、ゴールデンクロスは下から上に抜けることです。
- 選択肢 2不正解
- ボリンジャーバンドにおいて株価が約95%の確率で収まるのは「±2σ」の範囲内であり、「±1σ」は約68%です。
- 選択肢 3正解
- サイコロジカルラインは、対象期間(一般に12日)のうち前日比上昇した日数の割合で投資家心理を表すオシレーター系指標です。
- 選択肢 4不正解
- RSIは0%から100%の間で推移する指標であり、100%を超えることは原理上ありません。
覚えるポイント
- ボリンジャーバンドは±1σで約68%、±2σで約95%。RSIは0〜100%で推移し70〜80%以上が買われすぎ。
間違えやすいところ
- ゴールデンクロスとデッドクロスの交差の向きを取り違える誤りに注意しましょう。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率の計算
金融資産運用 · サスティナブル成長率 / ROE / 内部留保率 / PER・PBR
下記の〈資料〉から算出されるサスティナブル成長率として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、自己資本の額は純資産の額と同額であるものとし、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈資料〉 株価収益率(PER):17.60倍 株価純資産倍率(PBR):1.10倍 配当利回り:2.50% 配当性向:30.00%
解答・解説を表示
解答
1
解説
サスティナブル成長率は「ROE × 内部留保率」で求められます。また、ROEは「PBR ÷ PER」の関係式から導出することができます。
解き方
- 与えられたPBR(1.10倍)とPER(17.60倍)から、ROE=1.10÷17.60=0.0625(6.25%)を算出する。
- 配当性向30.00%から内部留保率=100%-30.00%=70.00%(0.70)を求める。
- サスティナブル成長率=6.25%×0.70=4.375%を計算し、小数点以下第3位を四捨五入して4.38%を得る。
- 選択肢 1正解
- ROE 6.25%に内部留保率70%を乗じると4.375%となり、四捨五入して4.38%が正しく算出されます。
- 選択肢 2不正解
- 計算手順の誤りによる数値であり、サスティナブル成長率の正しい計算結果ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 計算手順の誤りによる数値であり、サスティナブル成長率の正しい計算結果ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 計算手順の誤りによる数値であり、サスティナブル成長率の正しい計算結果ではありません。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率(1-配当性向)、ROE=PBR÷PERの公式をセットで押さえる。
間違えやすいところ
- ROEの計算でPERとPBRの比率を逆(PER÷PBR)にしてしまわないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オプション・プレミアムの変動要因
金融資産運用 · オプション取引 / プレミアム / ボラティリティ / 本質的価値と時間価値
一般的なオプション取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
オプション価格(プレミアム)は、原資産価格、権利行使価格、残存期間、ボラティリティ、金利等の要因によって決定されます。ボラティリティの上昇は価格変動期待を高めて時間価値を増加させ、低下は減少させます。
解き方
- 原資産価格や権利行使価格の変化に伴う本質的価値の増減をコールとプットで確認する。
- 残存期間やボラティリティの変化がオプションの時間価値(プレミアム全体)に与える影響を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 原資産価格が上昇すると、買う権利であるコールの価値は高まり、売る権利であるプットの価値は低くなります。
- 選択肢 2不正解
- 権利行使価格が高いほど、高く買う権利(コール)は不利で安くなり、高く売る権利(プット)は有利で高くなります。
- 選択肢 3不正解
- 満期までの残存期間が長いほど将来の変動可能性(時間価値)が大きくなるため、両方のプレミアムが高くなります。
- 選択肢 4正解
- ボラティリティ(価格変動性)が低下すると、権利行使により利益を得られる確率が下がるため、コール・プットともにプレミアムは低くなります。
覚えるポイント
- ボラティリティの上昇はコール・プット双方のプレミアムを上昇させ、ボラティリティの低下は双方を低下させる。
間違えやすいところ
- ボラティリティが低下したときにオプションの買い手にとって有利になると錯覚しないようにしましょう。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
つみたてNISAの制度概要と買付方法
金融資産運用 · つみたてNISA / 定期積立 / 対象商品 / 移管不可
非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当該非課税制度における累積投資勘定を「つみたてNISA勘定」という。
解答・解説を表示
解答
3
解説
つみたてNISAは長期・積立・分散投資を促進するための制度であり、年間40万円を上限として、一定要件を満たす公募投信・ETFを定期かつ継続的な「定額積立」で購入する仕組みです。
解き方
- つみたてNISAの対象商品、年間限度額(40万円)、非課税期間(最長20年)等の基本枠組みを確認する。
- 積立購入における買付方式(定額買付か数量指定買付か)および課税口座からの移管制限を照合する。
- 選択肢 1不正解
- つみたてNISAの対象商品は長期・積立・分散投資に適した一定の公募株式投信とETFに限定されており、上場株式等は対象外です。
- 選択肢 2不正解
- つみたてNISAの年間非課税投資枠は40万円で、その分配金や譲渡益は最長20年間非課税となります。
- 選択肢 3正解
- つみたてNISAの購入方法は累積投資契約に基づく定期かつ継続的な「一定金額」の買付に限定されており、「一定数量」ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 特定口座や一般口座などの課税口座にすでに保有している商品を、つみたてNISA勘定に移管することはできません。
覚えるポイント
- つみたてNISAの買付方式は「定時定額(金額指定の積立)」であり、「一定数量」の購入ではない。
間違えやすいところ
- 積立投資において「一定金額(ドル・コスト平均法)」と「一定数量(口数指定)」の用語の定義を取り違えやすいです。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費者契約法および金商法のインサイダー取引規制
金融資産運用 · 消費者契約法 / インサイダー取引規制 / 契約締結前交付書面 / 取消権の行使期間
消費者契約法および金融商品取引法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
インサイダー取引規制(金融商品取引法第166条)は、役員等を退任後1年以内の元関係者にも適用されます。消費者契約法では不当条項はその平均的損害額を超える部分のみが無効となり、取消権は追認可能時から1年間で時効消滅します。
解き方
- 消費者契約法における損害賠償予定条項の効力(一部無効か全部無効か)および取消権の消滅時効期間を検討する。
- 金融商品取引法における契約締結前交付書面の省略不可の原則と、インサイダー取引規制の対象者範囲(退任後1年以内)を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 平均的な損害の額を超える部分について無効となるのであり、条項全体(自体)が無効となるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 消費者契約の取消権は、追認をすることができる時から「1年間」(法改正後)または契約締結時から5年間行使しないときに消滅します。
- 選択肢 3不正解
- 契約締結前交付書面は投資家保護のため交付が義務付けられており、顧客から不要の申し出があっても交付を省略することはできません。
- 選択肢 4正解
- 上場会社の役員等を退任後1年以内の者は会社関係者とみなされ、在任中に職務上知った未公表の重要事実に基づく自社株式等の売買は禁止されます。
覚えるポイント
- インサイダー取引規制の会社関係者には役員等退任後1年以内の者も含まれる。契約締結前交付書面は顧客の不要申出でも省略不可。
間違えやすいところ
- 退任してしまえば退任直後であってもインサイダー規制の対象外になると誤解しないよう注意が必要です。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当所得の課税関係および源泉徴収
タックスプランニング · 配当所得 / 確定申告不要制度 / 上場株式等の配当等 / 申告分離課税
居住者に係る所得税の配当所得(配当は内国法人から受けるものとする)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
配当所得は原則として総合課税ですが、上場株式等の配当等は申告分離課税や申告不要を選択できます。確定申告を行う際は申告する上場配当等の全額について総合課税か申告分離課税のどちらか一方を選択する必要があり、銘柄や回ごとに分けて適用することは認められません。
解き方
- 非上場株式の配当に対する源泉徴収税率(所得税・復興特別所得税20.42%、住民税なし)および申告不要制度の基準額(10万円×配当計算期間月数/12)を確認する。
- 上場株式等の配当等の確定申告における課税方式(総合課税または申告分離課税)の選択ルールおよびJ-REIT等の配当控除の適否を検証し、正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 非上場株式の配当は、持株比率にかかわらず支払時に20.42%(所得税20%+復興特別所得税0.42%、住民税の源泉徴収はなし)の税率で源泉徴収されます。20.315%ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 非上場株式の配当で確定申告不要制度を選択できるのは、1回に支払を受ける金額が「10万円×配当計算期間の月数÷12」以下の場合です。計算期間が6カ月の場合の基準額は5万円となるため、10万円の配当は申告不要を選択できません。
- 選択肢 3正解
- 上場株式等の配当等について確定申告をする場合、申告するすべての配当所得について総合課税または申告分離課税のいずれか一方を選択して申告しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- J-REIT(投資法人)の金銭の分配は、法人税法上の配当可能利益を全額分配することで法人税が実質的に非課税となる仕組みであるため、所得税の配当控除の適用対象外とされています。
覚えるポイント
- 非上場株式の少額配当申告不要基準は「1回あたり10万円×配当計算月数÷12」以下。
- J-REITの分配金は法人段階で課税調整されるため配当控除の対象外となる。
間違えやすいところ
- 上場株式等の配当を申告する際、銘柄ごとに総合課税と申告分離課税を使い分けられると誤解しやすい点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の必要経費および所得計算
タックスプランニング · 不動産所得 / 事業的規模 / 借地権設定 / 資産損失 / 取壊し費用
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産所得の計算上、必要経費に算入できる費用や新築資産の取得価額に算入できる費用は、その業務に直接関連するものに限られます。自己の居住用資産の除却費用は家事費(家事関連費)に該当し、賃貸用資産の取得価額や不動産所得の経費には算入されません。
解き方
- 事業的規模(5棟10室基準)や借地権設定に伴う権利金の課税区分(時価の1/2以下は不動産所得)を確認する。
- 事業的規模未満における賃貸建物の除却損失の必要経費算入限度額(控除前不動産所得を限度)を確認する。
- 個人用資産(自宅)を取り壊して事業用アパートを建築した場合の取壊し費用の取扱いを検討し、誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 独立した室数が10室以上、または独立家屋が5棟以上ある場合は、いわゆる「5棟10室基準」により、反証がない限り事業的規模で行われているものとして取り扱われます。
- 選択肢 2不正解
- 土地に借地権を設定して受け取る権利金等の額が、その土地の更地時価の2分の1以下である場合は、譲渡所得ではなく不動産所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 不動産の貸付けが事業的規模に満たない場合、賃貸アパート等の取り壊しによる資産損失は、その年の損失控除前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。
- 選択肢 4正解
- 居住用であった自宅の取壊し費用は家事費に該当するため、不動産所得の必要経費に算入できないだけでなく、新たに建築した賃貸アパートの取得価額に算入することもできません。
覚えるポイント
- 自宅を取り壊して賃貸物件を建てても、自宅取壊し費用は新築建物の取得価額に算入できない。
- 借地権設定の対価(権利金)は、土地時価の50%超なら譲渡所得、50%以下なら不動産所得となる。
間違えやすいところ
- 賃貸用建物を建て替えるために旧賃貸建物を除却する費用と、自宅を除却する費用の取扱いを混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除の控除額の計算(通常制度と特例制度の比較)
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 特定一般用医薬品等購入費
居住者Aさん(総所得金額等600万円)が2020年中に支払った医療費等の金額が、(1)入院費用5万円、(2)通院費用2万円、(3)通院電車・バス代1万円、(4)薬局での医薬品購入費3万円(全額が特定一般用医薬品等購入費)であった場合、適用を受けられる医療費控除の最大控除額として最も適切なものはどれか。なお、保険金等の補塡はないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
医療費控除には従来の「通常の医療費控除」と「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」があり、納税者はいずれか一方を選択して適用を受けます。両方の控除額をそれぞれ計算し、金額が大きくなる方を選択することで控除額を最大化できます。
解き方
- 通常の医療費控除額を計算する:支払った医療費総額(5万円+2万円+1万円+3万円=11万円)から足切り額10万円を控除し、11万円-10万円=1万円を算出する。
- セルフメディケーション税制の控除額を計算する:特定一般用医薬品等購入費3万円から足切り額1万2,000円を控除し、3万円-1万2,000円=1万8,000円を算出する。
- 両者を比較し、金額が大きい1万8,000円を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 通常の医療費控除を適用した場合は「11万円-10万円=1万円」となりますが、セルフメディケーション税制を選択した方が控除額が大きくなるため最大控除額ではありません。
- 選択肢 2正解
- セルフメディケーション税制を選択した場合、特定一般用医薬品等購入費3万円から1万2,000円を差し引いた1万8,000円が控除額となり、通常の医療費控除(1万円)よりも大きいためこれが最大控除額となります。
- 選択肢 3不正解
- 通常の医療費控除(1万円)とセルフメディケーション税制(1万8,000円)は重複して適用することはできず、合算した2万8,000円を控除することはできません。
- 選択肢 4不正解
- セルフメディケーション税制においても購入額から1万2,000円が控除されるため、支払金額全額の3万円が控除額となることはありません。
覚えるポイント
- 通常の医療費控除の足切り額は原則10万円(総所得金額等200万円未満は5%)。
- セルフメディケーション税制の足切り額は1万2,000円(最高限度額8万8,000円)。
- 通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は選択適用であり併用不可。
間違えやすいところ
- 両方の控除を合算して適用できると誤解し、合計額を選んでしまうミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度の諸手続およびルール
タックスプランニング · 青色申告 / 青色申告承認申請書 / 棚卸資産の評価方法 / 決算書 / 取りやめ届出書
居住者に係る所得税の青色申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
所得税の青色申告の承認を受けた者がその年分以後の青色申告を取りやめようとするときは、取りやめようとする年の翌年3月15日までに届出書を提出しなければなりません。また、法定の棚卸資産評価方法は最終仕入原価法であり、決算書は所得区分ごとに損益計算書を作成します。
解き方
- 被相続人が白色申告者であった場合の相続人の青色申告承認申請期限(承継した日から2カ月以内)を確認する。
- 棚卸資産の評価方法の法定評価方法が「最終仕入原価法による原価法」であることを確認する。
- 不動産所得と事業所得を併掌する場合の決算書作成方法(損益計算書も区分して作成)を確認する。
- 青色申告の取りやめ届出書の提出期限(やめようとする年の翌年3月15日まで)が適切であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 被相続人が青色申告者でない(白色申告者である)場合、その業務を承継した相続人が青色申告を行うための承認申請書の提出期限は、その年の新規開業と同様に「業務を承継した日から2カ月以内」となります。
- 選択肢 2不正解
- 所得税において「棚卸資産の評価方法の届出書」を提出しなかった場合の法定評価方法は、「最終仕入原価法による原価法」です。総平均法ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 不動産所得と事業所得がある場合、損益計算書は不動産所得用と一般(事業所得)用とで各別に作成してそれぞれの所得を計算します。合併して作成するわけではありません。
- 選択肢 4正解
- 青色申告を取りやめようとする場合は、取りやめようとする年の翌年3月15日までに「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
覚えるポイント
- 棚卸資産の法定評価方法は所得税法では「最終仕入原価法による原価法」。
- 青色申告取りやめ届出書の提出期限はやめようとする年の翌年3月15日まで。
間違えやすいところ
- 被相続人が青色申告者であった場合の承継申請期限(死亡時期により異なる)と、白色申告者から承継した場合(2カ月以内)を混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オープンイノベーション促進税制の適用要件と取扱い
タックスプランニング · 法人税 / オープンイノベーション促進税制 / 特別新事業開拓事業者 / 損金算入割合 / 益金算入
「特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例」(オープンイノベーション促進税制)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
オープンイノベーション促進税制は、企業がスタートアップ企業との協業等を目的に出資した場合、払込金額の25%を特別勘定として損金算入できる制度です。ただし、出資後5年以内にその株式を売却・減損した等の場合には、特別勘定を取り崩して益金算入する取戻し規定が設けられています。
解き方
- 出資先要件(原則として設立10年未満のスタートアップ企業等)を確認する。
- 出資額要件(大企業は1億円以上、中小企業者は1,000万円以上、海外企業は5,000万円以上)を確認する。
- 特別勘定の損金算入割合(取得価額の25%)を確認する。
- 5年以内の株式譲渡時に特別勘定の取崩し(益金算入)が必要である旨を確認し、正当肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 出資対象となるスタートアップ企業(特別新事業開拓事業者)は、原則として設立後10年未満の非上場企業等とされています。5年未満ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 特定株式の取得価額の要件は、大企業の場合は1件あたり1億円以上ですが、中小企業者の場合は1件あたり1,000万円以上とされています。
- 選択肢 3不正解
- 本特例により特別勘定として損金算入できる金額は、特定株式の取得価額の「25%相当額」です。50%ではありません。
- 選択肢 4正解
- 特例の適用を受けた法人が、特定株式を取得した日から5年以内に譲渡や減損等をした場合は、特別勘定の残高のうち対応する金額を取り崩して益金の額に算入しなければなりません。
覚えるポイント
- オープンイノベーション促進税制の損金算入割合は取得価額の25%。
- 中小企業者の出資額要件は1,000万円以上(大企業は1億円以上)。
- 5年以内の株式譲渡・減損等は特別勘定を取り崩して益金算入される。
間違えやすいところ
- 損金算入割合を「50%」や「全額」と誤認しやすいので「25%」と正確に覚える。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における減価償却資産の取扱いと償却手続
タックスプランニング · 法人税 / 減価償却 / 少額減価償却資産 / 中小企業者等の特例 / 償却方法の変更手続
内国法人に係る法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、当期とは2020年4月1日から2021年3月31日までの事業年度とする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人が取得した資産で取得価額が10万円未満のもの(または使用可能期間が1年未満のもの)は、少額の減価償却資産として事業供用年度に全額損金経理による損金算入が認められます。休止資産でも稼働可能状態であれば減価償却資産として扱われます。
解き方
- 稼働休止資産(遊休資産)の減価償却の可否(維持補修され稼働可能状態なら償却可能)を確認する。
- 取得価額10万円未満の少額減価償却資産の即時損金算入規定を確認する。
- 30万円未満の中小企業者等の特例における従業員数要件(常時使用従業員500人以下)を確認する。
- 償却方法の変更承認申請書の提出期限(変更しようとする事業年度開始の日の前日まで)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 稼働を休止している機械装置であっても、必要な維持補修が行われ、いつでも稼働し得る状態にあるもの(遊休資産)は減価償却資産に該当し、減価償却費を損金算入することができます。
- 選択肢 2正解
- 取得価額が10万円未満の資産は、使用可能期間の長短にかかわらず、事業の用に供した事業年度において損金経理をすることで取得価額の全額を損金算入することができます。
- 選択肢 3不正解
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(30万円未満)の対象となる中小企業者は、常時使用する従業員の数が「500人以下」(2020年4月1日以後に開始する事業年度)の法人とされています。
- 選択肢 4不正解
- 減価償却資産の償却方法を変更しようとする場合、申請書の提出期限は原則として「新たな償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日まで」です。事業年度開始後ではありません。
覚えるポイント
- 取得価額10万円未満の資産は少額減価償却資産として全額損金算入可能。
- 中小企業の30万円未満特例の従業員数要件は500人以下。
- 償却方法変更承認申請書の提出期限は事業年度開始の日の前日まで。
間違えやすいところ
- 中小企業者等の少額減価償却資産特例の従業員数要件を従来の1,000人のままと混同しないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における交際費等の損金不算入規定
タックスプランニング · 法人税 / 交際費等 / 接待飲食費 / 中小法人 / 定額控除限度額
内国法人(大法人に完全支配されている法人等ではない)に係る法人税における交際費等の取扱い(2020年4月1日~2021年3月31日事業年度)に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 法人が、得意先等に対する接待のために支出した飲食費の金額のうち、5,000円に参加者の人数を乗じて得た金額に相当する部分の金額は、法人税における交際費等に該当しない。 (b) 期末資本金1億円の法人が期中に支出した交際費等が、接待飲食費1,000万円とその他800万円の合計1,800万円である場合、損金算入できる金額は最大1,300万円である。 (c) 期末資本金10億円の法人が期中に支出した交際費等が、接待飲食費1,000万円とその他800万円の合計1,800万円である場合、損金算入できる金額は最大500万円である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
交際費等の損金不算入制度において、資本金1億円以下の中小法人は「年間800万円までの定額控除」または「接待飲食費の50%相当額」のいずれかを選択適用できます。資本金1億円超100億円以下の法人は「接待飲食費の50%相当額」のみ損金算入できます。また1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費等から除外されますが、5,000円を超えた場合はその全額が交際費等となります。
解き方
- (a)の検討:1人当たり5,000円以下の飲食費は全額除外されますが、5,000円を超える場合は超える部分だけでなく全額が交際費等となるため不適切。
- (b)の検討:資本金1億円の法人は「定額800万円」か「接待飲食費1,000万円×50%=500万円」の選択となり、最大損金算入額は800万円であるため不適切。
- (c)の検討:資本金10億円の大法人は「接待飲食費1,000万円×50%=500万円」が最大損金算入額となるため適切。
- 適切なものは(c)の1つだけであると判断する。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(c)の1つだけであるため、選択肢1が正解です。
- 選択肢 2不正解
- (a)および(b)はいずれも誤った記述であるため、適切なものが2つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は(c)の1つのみであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (c)の記述が適切であるため、0(なし)とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 1人当たり5,000円超の飲食費は、5,000円を超える部分だけでなく全額が交際費等になる。
- 資本金1億円以下の中小法人は「定額800万円」と「接待飲食費の50%」の選択適用。
- 資本金1億円超の大法人は「接待飲食費の50%」のみ損金算入可能(100億円超法人は全額不算入)。
間違えやすいところ
- 中小法人の交際費損金算入において、定額800万円と接待飲食費50%枠を併用できると勘違いしないようにする。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人事業税および特別法人事業税の仕組み
タックスプランニング · 法人住民税・法人事業税 / 特別法人事業税 / 外形標準課税 / 損金算入時期
内国法人に係る法人事業税および特別法人事業税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
特別法人事業税は、地域間の税収偏在を是正することを目的に国税として課される税金です。法人は都道府県に対して法人事業税の申告とあわせて併せて申告・納付を行いますが、税法上の区分は「国税」であり、地方税ではありません。
解き方
- 期末資本金1億円超の外形標準課税法人の事業税構成(付加価値割・資本割・所得割)を確認する。
- 法人事業税の損金算入時期(申告書を提出した日の属する事業年度)を確認する。
- 特別法人事業税の法的性格(地方税ではなく「国税」であること)を確認し、不適切肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 普通法人で期末資本金が1億円を超える外形標準課税対象法人に課される法人事業税は、付加価値割、資本割、所得割の合算額として課されます。
- 選択肢 2不正解
- 納付した法人事業税および特別法人事業税は、申告書を提出した日の属する事業年度の所得計算上、損金の額に算入されます。
- 選択肢 3正解
- 特別法人事業税は、地域間の財政力格差を是正する目的で創設された「国税」です。都道府県税(地方税)ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 特別法人事業税の税額は、標準税率によって計算された法人事業税の基準法人所得割額または基準法人収入割額に所定の税率を乗じて算出されます。
覚えるポイント
- 特別法人事業税は「国税」(都道府県が賦課徴収を代行し、特別法人事業譲与税として再配分)。
- 法人事業税および特別法人事業税は申告年度の損金に算入できる。
間違えやすいところ
- 特別法人事業税は都道府県に申告納付するため地方税と混同しやすいが、国税である点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の非課税取引と各種特例
タックスプランニング · 消費税の非課税取引 / 電気通信利用役務の提供 / 免税事業者 / 簡易課税制度
消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
消費税は国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡等に課税されますが、政策的配慮や消費の性格から特定の取引は非課税とされています。
解き方
- 居住用家屋や土地の貸付けに関する非課税規定の要件と例外条件を確認します。
- 国外事業者による電気通信利用役務の提供の内外判定、新規開業年の免税判定、簡易課税のみなし仕入率特例の基準を照合します。
- 選択肢 1正解
- 住宅用建物の貸付け(契約において人の居住用であることが明らかなもの)や土地の貸付けは、貸付期間が1カ月未満である場合等を除き非課税取引となります。
- 選択肢 2不正解
- 電気通信利用役務の提供の内外判定は役務の提供を受ける者の住所・所在地により行われるため、国内の消費者が役務の提供を受ける場合は課税対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 個人事業者の開業初年度は基準期間(前々年)が存在しないため、開業年分の課税売上高が1,000万円を超えても原則としてその年分は免税事業者となります。
- 選択肢 4不正解
- 2種類以上の事業を営む事業者が特定1種類の事業のみなし仕入率を全体に適用できる特例要件は、その事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合です。
覚えるポイント
- 居住用家屋や土地の貸付けは原則非課税(1カ月未満等の例外あり)
- 簡易課税の1事業割合適用基準は75%以上
間違えやすいところ
- 電気通信利用役務の提供内外判定を役務提供者の所在地と混同しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における不動産の賃貸借契約の規定
不動産 · 個人根保証契約 / 極度額の定め / 敷金返還義務 / 原状回復義務
民法における不動産の賃貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
民法(債権法)において、個人根保証契約の保護要件、敷金の充当請求権の帰属、明渡しと敷金返還の先後関係、通常損耗等に関する原状回復義務の免除が明文化されています。
解き方
- 個人の根保証契約における極度額の書面合意に関する有効要件を検討します。
- 賃借人による敷金充当請求の可否、敷金返還と目的物明渡しの順序、通常損耗・経年変化の原状回復義務該当性を照合します。
- 選択肢 1正解
- 個人を保証人とする不動産賃貸借の個人根保証契約では、極度額を書面等で定めなければ契約は無効となります。
- 選択肢 2不正解
- 賃貸人は敷金を未払賃料に充当できますが、賃借人の側から賃貸人に対して未払賃料への敷金充当を請求することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 敷金返還義務は賃貸借の終了後、建物の明渡しを受けた時点で発生するため、目的物の返還を受ける前に返還する義務はありません。
- 選択肢 4不正解
- 通常の使用および収益によって生じた損耗や経年変化については、賃借人は原状回復義務を負いません。
覚えるポイント
- 個人根保証契約は極度額を書面で定めなければ無効
- 通常損耗・経年劣化は借主の原状回復義務から除外
間違えやすいところ
- 敷金返還義務と目的物明渡しが同時履行の関係にあると誤解しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における手付金の制限と性質
不動産 · 手付の額の制限 / 手付解除 / 解約手付 / 業者売主の特約制限
不動産の売買取引における手付金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅地建物取引業法において、宅建業者が自ら売主となる場合には手付の額が代金の2割に制限され、受領した手付は原則として解約手付の性格を持ち買主に不利な特約は無効とされます。
解き方
- 宅建業法第39条に定める手付の額の制限および強行規定の性質を確認します。
- 手付倍額提供による解除要件、違約手付特約の効力、手付放棄解除の相手方履行着手制限との関係を照合します。
- 選択肢 1不正解
- 宅建業者が自ら売主となる場合、買主の承諾があっても代金の2割を超える額の手付を受領することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 売主が手付解除をするためには手付金の「倍額を現実に提供」する必要があり、手付金の返還のみで解除できる特約は買主に不利な特約として無効です。
- 選択肢 3不正解
- 交付された手付はいかなる名目であっても解約手付の性質を有し、手付放棄による契約解除権を排除する買主に不利な特約は無効です。
- 選択肢 4正解
- 受領した解約手付について、相手方である買主が履行に着手するまでは、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除することができます。
覚えるポイント
- 業者売主の手付上限は売買代金の20%
- 売主からの手付解除は倍額の現実の提供が必要
間違えやすいところ
- 買主の承諾があれば2割を超えて受領可能と誤認しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における更新後の建物再築と定期借地権
不動産 · 借地権の更新 / 更新後の建物滅失・再築 / 事業用定期借地権等の方式 / 建物譲渡特約付借地権
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
借地借家法では、更新後の建物滅失・再築において借地権設定者の承諾なく残存期間を超える建物を築造した場合、設定者に解約申入権や地上権消滅請求権が認められています。
解き方
- 更新請求による契約更新要件(建物の存在要件)を確認します。
- 更新後の再築制限(法第8条)と解約申入れの手続きを照合します。
- 一般定期借地権の書面要件および建物譲渡特約付借地権消滅時の建物賃借人保護規定を検討します。
- 選択肢 1不正解
- 借地権者が契約の更新を請求して従前と同一条件で更新したものとみなされるためには、借地上に「建物がある場合」に限られます。
- 選択肢 2正解
- 借地契約の更新後に借地権者が地主の承諾を得ずに残存期間を超えて存続すべき建物を築造した場合、借地権設定者は土地の賃貸借の解約申入れをすることができます。
- 選択肢 3不正解
- 存続期間を50年以上とする一般定期借地権は公正証書等の「書面」で足りますが、事業用定期借地権等は必ず「公正証書」による必要があります。
- 選択肢 4不正解
- 建物譲渡特約付借地権の消滅により建物を明け渡すべき建物賃借人が請求したときは、土地所有者との間で期間の定めのない建物賃貸借が成立したものとみなされます。
覚えるポイント
- 借地契約更新後の無承諾再築(残存期間超)に対して地主は解約申入れが可能
- 一般定期借地権は公正証書等書面、事業用定期借地権等は公正証書限定
間違えやすいところ
- 一般定期借地権も公正証書が必須であると誤認しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建築物の高さ制限
不動産 · 道路斜線制限 / 隣地斜線制限 / 北側斜線制限 / 日影規制
建築基準法に規定する建築物の高さの制限に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
建築基準法では、良好な市街地環境や日照・通風を確保するため、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制などの高さ制限が地域区分に応じて定められています。
解き方
- 各斜線制限および日影規制の適用対象となる用途地域等の範囲を整理します。
- 道路斜線制限が用途地域の指定のない区域にも適用されるか否かを確認します。
- 選択肢 1正解
- 道路斜線制限は、すべての用途地域内に加えて、用途地域の指定のない区域(市街化調整区域等)内の建築物にも適用されます。
- 選択肢 2不正解
- 低層住居専用地域および田園住居地域には絶対高さ制限(10mまたは12m)があるため、隣地斜線制限は適用されません。
- 選択肢 3不正解
- 中高層住居専用地域等で日影規制の対象となる建築物については、重複して北側斜線制限は適用されません。
- 選択肢 4不正解
- 日影規制の対象区域は、商業地域、工業地域、工業専用地域を除く地域・区域の中から、地方公共団体の条例で指定されます。
覚えるポイント
- 道路斜線制限は用途地域内外を問わず全区域で適用
- 低層住居専用地域・田園住居地域には隣地斜線制限がない
間違えやすいところ
- 用途地域の指定がない区域には道路斜線制限がないと誤認しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地法における権利移動・転用の許可と届出
不動産 · 農地法第3条 / 農地法第4条 / 農地法第5条 / 相続による農地の取得届出
農地法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
農地法第3条は耕作目的の権利移転、第4条は自ら転用、第5条は転用目的の権利移転を規制します。自己所有農地を2アール未満の農業用施設に転用する例外は第4条のみであり、第5条には適用されません。
解き方
- 農地法第3条・第4条・第5条それぞれの適用対象(権利移転か自ら転用か)を区別します。
- 農業用施設への転用特例(2アール未満)が第4条限定の特例である点を確認し、他者から取得する第5条適用の可否を判断します。
- 選択肢 1不正解
- 市街化区域内であっても、農地を農地として譲渡する(第3条の権利移動)場合は、農業委員会の許可が必要です(特例の届出規定はありません)。
- 選択肢 2不正解
- 市街化区域内の農地を自ら転用する場合、あらかじめ農業委員会へ届出を行えば都道府県知事等の許可は不要です。
- 選択肢 3正解
- 自己の農業用施設に供する目的であっても、他人の農地を取得して転用する場合は農地法第5条の許可が必要です(自己転用の第4条特例と異なり第5条には適用されません)。
- 選択肢 4不正解
- 相続等により農地の権利を取得した者は、権利取得を知った時から概ね10カ月以内に農業委員会に届け出なければなりません。
覚えるポイント
- 市街化区域内の届出特例は第4条・第5条のみで第3条にはない
- 自己所有農地の農業用施設転用(2アール未満)の許可不要特例は第4条のみ
間違えやすいところ
- 2アール未満の農業用施設転用の特例が他人の農地を取得する第5条にも適用されると誤認しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記における登録免許税の軽減税率と特例
不動産 · 住宅用家屋の所有権保存登記 / 所有権移転登記の軽減 / 抵当権設定登記の軽減 / 相続登記の免税措置
登録免許税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
登録免許税法および租税特別措置法に基づき、個人が自己の居住用に新築・取得した一定の住宅用家屋については、所有権保存登記・移転登記および住宅取得資金に係る抵当権設定登記の税率が軽減されます。
解き方
- 住宅用家屋の登記に係る租税特別措置法の適用要件(期間要件、取得原因)を整理します。
- 住宅取得資金に係る抵当権設定登記の税率(本則0.4%から0.1%)を確認します。
- 相続登記の免税特例の対象(土地のみで家屋は対象外)を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 住宅用家屋の所有権保存登記の軽減特例を受けるためには、新築または取得後「1年以内」に登記を受ける必要があります(6カ月ではありません)。
- 選択肢 2不正解
- 住宅用家屋の所有権移転登記の軽減税率の適用対象は「売買」または「競落」により取得したものに限られ、贈与や相続による取得は対象外です。
- 選択肢 3正解
- 住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権設定登記の税率は、本則の0.4%から軽減特例により0.1%に軽減されます。
- 選択肢 4不正解
- 相続により土地を取得した者が登記前に死亡した場合の中間省略的な免税特例は「土地」が対象であり、「家屋」には適用されません。
覚えるポイント
- 住宅用家屋の登記軽減の登記期限は新築・取得後1年以内
- 移転登記の軽減対象は売買・競落のみ(贈与・相続は不可)
- 抵当権設定の軽減税率は0.1%
間違えやすいところ
- 数次相続における登録免許税の免税特例が土地だけでなく建物にも適用されると誤解しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の適用要件
不動産 · 3,000万円特別控除 / 住宅借入金等特別控除との選択 / 借地権付住宅の譲渡 / 空き家後の譲渡期限 / 家屋解体後の敷地譲渡
次の譲渡のうち、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けることができるものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 (a) 住宅借入金等特別控除の適用を受けている者が、その対象となる自宅(家屋とその敷地)を譲渡した場合における当該家屋および敷地に係る譲渡 (b) 借地上にあり、居住の用に供していた自宅(家屋)について、当該家屋と借地権を譲渡した場合における当該家屋および借地権に係る譲渡 (c) 2017年4月に居住の用に供さなくなった自宅(家屋とその敷地)について、当該家屋を第三者に賃貸した後、当該家屋とその敷地を2020年10月に譲渡契約を締結して譲渡した場合における当該家屋および敷地に係る譲渡 (d) 2019年8月に居住の用に供していた自宅(家屋とその敷地)の家屋を取り壊し、他者に貸し付けることなく更地のまま所有していた敷地を、2020年12月に譲渡契約を締結して譲渡した場合における当該敷地に係る譲渡
解答・解説を表示
解答
3
解説
租税特別措置法第35条に規定する居住用財産の3,000万円特別控除は、居住用家屋およびその敷地等の譲渡について適用され、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までの譲渡や解体後1年以内の契約等の要件が定められています。
解き方
- (a)から(d)の各事例について、特別控除の適用要件(対象資産、適用期限、解体要件)を個別に判定します。
- (a)は住宅ローン控除を受けていた既存家屋の譲渡であり適用可能、(b)は借地権付建物として適用可能、(c)は住まなくなった日から3年目の年末(2020年12月31日)までの譲渡であり賃貸後でも適用可能です。
- (d)は家屋取壊し(2019年8月)から「1年以内」に敷地の譲渡契約を締結していない(2020年12月)ため適用不可と判定し、適用対象の総数を数えます。
- 選択肢 1不正解
- 適用可能な事例は3つあるため、1つとする選択肢1は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 適用可能な事例は3つあるため、2つとする選択肢2は不適切です。
- 選択肢 3正解
- (a)は適用可能、(b)も借地権を含む居住用財産として適用可能、(c)は住まなくなった日(2017年4月)から3年目の年の12月31日(2020年12月31日)までの譲渡のため賃貸に供していても適用可能です。(d)は取壊しの日(2019年8月)から1年以内に譲渡契約を締結していないため適用できません。以上より適切なものは3つです。
- 選択肢 4不正解
- 適用可能な事例は3つであり、(d)は要件を満たさないため4つとする選択肢4は不適切です。
覚えるポイント
- 住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに譲渡すれば適用可能(賃貸後も可)
- 家屋解体後の敷地譲渡は解体から1年以内の譲渡契約締結が必要
間違えやすいところ
- 家屋解体後の敷地譲渡の「1年以内契約締結要件」を満たしていない(d)を適用可能と誤認しやすい点に注意します。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
不動産 · 低未利用土地等 / 長期譲渡所得の特別控除 / 租税特別措置法
「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除は、都市計画区域内にある低未利用土地等の利用を促進するため、一定の要件を満たす譲渡対価が低廉な長期譲渡所得について最大100万円を控除できる特例です。
解き方
- 対象となる土地の要件(都市計画区域内、所有期間5年超の低未利用土地等)を確認する。
- 譲渡対価の限度額(原則500万円以下)、特別控除額(最大100万円)、確認書の交付主体(市区町村長)等の要件を照合して正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- 本特例の対象となる土地等は、都市計画区域内にある低未利用土地またはその上に存する権利であり、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるものとされています。
- 選択肢 2不正解
- 本特例の適用要件における譲渡の対価の額は、土地の上にある資産の譲渡対価を含めて500万円以下(本問の法令基準日時点)でなければなりません。1,000万円以下ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 低未利用土地等であること等の確認書を交付するのは、土地の所在地の都道府県知事ではなく「市区町村長」です。
- 選択肢 4不正解
- 本特例により長期譲渡所得の金額から控除することができる特別控除額は、最大100万円です。500万円ではありません。
覚えるポイント
- 低未利用土地等の特別控除額は最大100万円、譲渡対価は上限500万円(一部買上げ等除外あり)、確認書は市区町村長が交付。
間違えやすいところ
- 他の譲渡特例(居住用財産の3,000万円控除や空き家特例)と特別控除額の上限を混同しないように注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与 / 贈与税の非課税 / 家屋の床面積要件
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、受贈者が取得する住宅の対価等の額に含まれる消費税等の税率は10%であるものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税特例では、受贈者ごとの非課税限度額が定められており、対象家屋の床面積(50㎡以上240㎡以下、かつ店舗併用住宅等は居住部分が2分の1以上)や新築・居住の期限等に厳格な要件が課されています。
解き方
- 店舗併用住宅の要件について、床面積(合計床面積が50㎡以上240㎡以下)および居住用割合(1/2以上)を判定する。
- 合計床面積が100㎡+150㎡=250㎡であり、上限である240㎡を超えるため適用不可であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 本特例の対象となる住宅取得等資金は、家屋の新築・取得・増改築等の対価(敷地取得対価を含む)に充てる金銭に限られ、仲介手数料や各種税金等の付随費用に充てる金銭は含まれません。
- 選択肢 2不正解
- 非課税限度額は受贈者ごとに判定されるため、父母それぞれから贈与を受けた場合でも、受贈者1人あたりの非課税限度額(消費税10%の省エネ等住宅で1,500万円)の範囲内でのみ非課税となります。
- 選択肢 3正解
- 家屋の床面積要件は50㎡以上240㎡以下とされています。本問の店舗併用住宅は合計床面積が250㎡となり上限240㎡を超えるため、本特例の適用を受けることはできません。
- 選択肢 4不正解
- 敷地を先行取得して本特例の適用を受ける場合、贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋の新築(棟上げ等を含む)をする必要があります。その年の12月31日ではありません。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金贈与の床面積要件は登記簿面積で50㎡以上240㎡以下(2020年基準)。併用住宅は居住用部分が2分の1以上必要。
間違えやすいところ
- 非課税限度額は贈与者ごとではなく「受贈者1人あたり」でカウントされる点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の申告義務の判定
相続・事業承継 · 贈与税の申告義務 / 相続時精算課税 / 住宅取得等資金非課税 / 生前贈与加算
次の各ケースのうち、受贈者が2020年分の贈与税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 2019年中に祖父から500万円の贈与を受けて「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けた受贈者が、2020年中に当該教育資金管理契約に係る非課税拠出額から200万円の教育資金を支出した場合 (b) 2019年中に父から500万円の贈与を受けて相続時精算課税の適用を受けた受贈者が、2020年中に父から100万円の贈与を受けた場合 (c) 2020年中に父から500万円の贈与を受けた受贈者が、同年中にその全額を充当して住宅用家屋を取得し、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受ける場合 (d) 2020年10月に死亡した父から同年2月に500万円の贈与を受けていた受贈者が、父の相続により財産を取得したが、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であり、相続税の申告書を提出しない場合
解答・解説を表示
解答
2
解説
贈与税の特例のなかには納付税額が0円であっても確定申告書の提出が適用要件となっているものや、一度選択するとその後の贈与について金額にかかわらず申告が必要となる制度(相続時精算課税制度)があります。
解き方
- (a) 教育資金の払出しは新たな贈与ではないため申告不要と判定する。
- (b) 相続時精算課税適用後の贈与は、金額にかかわらず贈与税の申告が必要(2020年当時)と判定する。
- (c) 住宅取得等資金の非課税の適用を受けるためには、贈与税申告書の提出が必須と判定する。
- (d) 相続開始年に被相続人から受けた暦年贈与は相続税の課税価格に加算され贈与税は課されないため、贈与税の申告は不要と判定する。
- 申告が必要なケースは(b)と(c)の2つと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 申告義務があるのは(b)と(c)の2つであるため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 申告が必要なものは(b)と(c)の2つであるため適切です。(a)は単なる預金の払出しであり、(d)は相続開始年の贈与として相続税の課税対象となるため贈与税申告は不要です。
- 選択肢 3不正解
- 申告義務があるのは(b)と(c)の2つのみであるため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 申告義務があるのは(b)と(c)の2つのみであるため誤りです。
覚えるポイント
- 相続時精算課税選択後の贈与(特定贈与者から)や住宅取得等資金の非課税適用は、税額がゼロでも贈与税申告が必須。
間違えやすいところ
- 相続開始年に被相続人から贈与された財産は、生前贈与加算の対象として相続税で精算されるため贈与税は課されない点を見落としやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自筆証書遺言書保管制度の手続きと効力
相続・事業承継 · 遺言書保管法 / 自筆証書遺言書保管制度 / 検認不要
法務局における遺言書の保管等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法務局における遺言書の保管等に関する法律に基づき、自筆証書遺言の紛失・改ざん防止や相続手続きの円滑化を目的とした自筆証書遺言書保管制度が創設されました。本人の真意確認のため本人が直接出頭して申請する必要があり、保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要となります。
解き方
- 保管申請ができる管轄法務局(遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地)を確認する。
- 申請手続(本人の出頭義務)および対象となる遺言書(自筆証書遺言、無封)の要件を確認する。
- 保管制度を利用した遺言書のメリット(家庭裁判所での検認が不要)を適用して正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 遺言書の保管申請ができる法務局(遺言書保管所)は、遺言者の住所地や本籍地だけでなく、遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局も含まれます。
- 選択肢 2正解
- 遺言書の保管申請は、遺言者本人が自ら遺言書保管所に出頭して行わなければならず、代理人による申請はできません。
- 選択肢 3不正解
- 保管の対象となるのは「自筆証書遺言」であり、公証人が作成する公正証書遺言ではありません(無封である必要はあります)。
- 選択肢 4不正解
- 法務局(遺言書保管所)に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認手続は不要とされています。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管制度:本人出頭が必須、対象は自筆証書遺言(無封)、管轄は住所地・本籍地・所有不動産所在地、家庭裁判所の検認は不要。
間違えやすいところ
- 公正証書遺言を法務局に保管する制度と誤解しないこと。また、検認が必要なのは保管制度を利用していない通常の自筆証書遺言や秘密証書遺言である点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の相続分と養子の身分・相続税の計算
相続・事業承継 · 法定相続分 / 代襲相続 / 養子と代襲相続人の二重資格 / 相続税額の加算
2020年12月に死亡したAさんの親族関係図に基づき、民法上の相続人等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、父Hさん、母Iさんおよび長女CさんはAさんの相続開始前に死亡している。また、妻Bさん、長男Dさん、孫Eさん(死亡した長女Cの子)、孫Fさん(長男Dの子)および姉Gさんは、いずれもAさんから相続または遺贈により財産を取得し、相続税額が算出されるものとし、Aさんから生前に贈与を受けた財産はないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
代襲相続人が同時に養子となっている場合、民法上の二重の資格を有することになり、それぞれの資格に基づく相続分を併せて受けることができます。また、相続の放棄があっても第1順位の直系卑属が他にいる場合は直系尊属や兄弟姉妹に相続権は移りません。
解き方
- 相続放棄と相続順位:長男Dが放棄しても、長女Cを代襲相続する孫Eが存在するため、第3順位の姉Gは相続人にならない。
- 孫Eが養子の場合の法定相続分:妻Bが1/2。子側の法定相続分1/2を「長男D」「養子E」「代襲相続人E」の3資格で按分すると各1/6。孫Eは養子分1/6+代襲分1/6=2/6(1/3)となる。
- 相続税の基礎控除額:放棄した長男Dも法定相続人の数に含めるため、相続人は妻B、長男D、孫Eの3人となり、3,000万円+600万円×3=4,800万円となる。
- 孫養子の2割加算:代襲相続人でない孫(長男Dの子である孫F)を養子とした場合、相続税額の2割加算の対象となる。
- 選択肢 1不正解
- 長男Dが相続を放棄しても、死亡した長女Cを代襲相続する孫Eが第1順位の相続人として残るため、第3順位である姉Gは相続人になりません。相続人は妻Bと孫Eです。
- 選択肢 2正解
- 孫Eが養子である場合、養子としての資格と長女Cの代襲相続人としての資格を併せ持ちます。子の相続分1/2を長男D・養子E・代襲相続人Eの3等分(各1/6)とし、孫Eは1/6+1/6=1/3の法定相続分を取得します。
- 選択肢 3不正解
- 相続税の基礎控除の計算において、相続放棄があった場合でもその放棄がなかったものとした場合の相続人の数を用いるため、法定相続人は妻B、長男D、孫Eの3人となり、基礎控除額は4,800万円(3,000万円+600万円×3人)です。
- 選択肢 4不正解
- 被相続人の直系卑属である孫が養子となっている場合で、代襲相続人ではないとき(実親である長男Dが健在)は、相続税額の2割加算の対象となります。
覚えるポイント
- 代襲相続人が同時に養子である場合、相続分は養子としての分と代襲相続人としての分を合計して計算する(二重資格の相続分加算)。
間違えやすいところ
- 相続放棄した本人の子は代襲相続できないが、他の直系卑属(代襲相続人含む)がいれば第2・第3順位には相続権が移行しない点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税法上の債務控除の範囲
相続・事業承継 · 相続税法 / 債務控除 / 公租公課 / 未払医療費
相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
相続税法上、被相続人が死亡したときに確定していた債務および公租公課は遺産総額から控除できます。ただし、墓地や墓碑などの非課税財産に関する債務は控除できません。
解き方
- 非課税財産(墓地・霊園・墓碑など)の購入未払金は債務控除できないことを確認する。
- 被相続人の未払医療費は、相続人の所得税の医療費控除対象となったとしても、被相続人の債務として相続税の債務控除の対象になることを確認する。
- 準確定申告による納付所得税は被相続人の公租公課として債務控除の対象となることを確認する。
- 固定資産税は1月1日に納税義務が発生するため、納期限未到来の未払分も公租公課として債務控除対象になることを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 墓地や墓碑などの祭祀財産・非課税財産の購入に係る未払金は、相続税法上の債務控除の対象とはなりません。
- 選択肢 2不正解
- 相続開始時点で未払いであった被相続人の医療費を相続人が支払った場合、その相続人の所得税の医療費控除の対象とすると同時に、相続税の債務控除の対象とすることができます。
- 選択肢 3不正解
- 被相続人の準確定申告により納付することとなった所得税等の公租公課は、被相続人の確定した債務として債務控除の対象となります。
- 選択肢 4正解
- 固定資産税は1月1日時点でその年の納税義務が発生するため、相続開始時に納期限が到来していない未払いの固定資産税であっても、債務控除の対象となります。
覚えるポイント
- 債務控除できるもの:未払医療費(所得税の医療費控除と重複可)、準確定申告の所得税、納期限未到来の固定資産税。できないもの:墓碑等の非課税財産の未払金。
間違えやすいところ
- 未払医療費を相続人の医療費控除に充てた場合に相続税の債務控除が使えなくなると誤解しやすい。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 上場株式の評価 / 相続税評価額 / 財産評価基本通達
証券会社を通じて購入した上場株式であるX社株式を1,000株所有しているAさんが、2020年12月16日に死亡した。Aさんの相続において、下記の〈X社株式の終値〉から算出されるX社株式(1,000株)の相続税評価額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、X社株式の権利落ちや配当落ちはないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈X社株式の終値〉 ・2020年12月16日の終値:4,000円 ・2020年12月の毎日の終値の月平均額:4,100円 ・2020年11月の毎日の終値の月平均額:4,200円 ・2020年10月の毎日の終値の月平均額:3,800円 ・2020年9月の毎日の終値の月平均額:3,600円 ・2020年8月の毎日の終値の月平均額:3,700円 ・2020年の毎日の終値の年平均額:3,500円 ・2019年の毎日の終値の年平均額:3,700円 ・2020年12月以前2年間の毎日の終値の平均額:3,600円
解答・解説を表示
解答
4
解説
上場株式の相続税評価は、原則として課税時期(死亡日)の終値によりますが、一時的な高騰による過大評価を避けるため、課税時期の属する月、その前月、前々月の3カ月間の各月平均終値のうち最も低い価額を選択することができます。
解き方
- 比較対象となる4つの価額を抽出する:①死亡日(12月16日)の終値 4,000円、②当月(12月)の月平均 4,100円、③前月(11月)の月平均 4,200円、④前々月(10月)の月平均 3,800円。
- 4つの価額のうち最も低い価額を特定する(min(4,000円, 4,100円, 4,200円, 3,800円)=3,800円)。
- 株数(1,000株)を乗じて全体の評価額を計算する:1,000株×3,800円=3,800,000円(380万円)。
- 選択肢 1不正解
- 2020年の年平均額(3,500円)は評価基準として採用できないため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 9月の月平均額や過去2年の平均額(3,600円)は評価基準として採用できないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 8月の月平均額や2019年の年平均額(3,700円)は評価基準として採用できないため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 当日終値(4,000円)、12月平均(4,100円)、11月平均(4,200円)、10月平均(3,800円)のうち最も低い3,800円に1,000株を乗じた380万円が適切です。
覚えるポイント
- 上場株式の相続税評価額は、「当日終値」「当月平均」「前月平均」「前々月平均」の4つのうち最も低い価額を採用する。
間違えやすいところ
- 年平均額や3カ月以上前の月平均額など、問題文にあるダミーのデータを選ばないように注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例(家なき子特例および特定事業用宅地等の3年以内判定)
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 家なき子特例 / 特定事業用宅地等 / 3年以内事業宅地等
2020年10月に死亡したAさんが所有し、長男Bさんが相続により取得した甲土地および乙土地の概要は、下記のとおりである。甲土地および乙土地に対する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 〈甲土地の概要〉 ・Aさんが所有して居住の用に供していた自宅の敷地(200㎡)である。 ・Aさんの配偶者は既に死亡しており、AさんはAさんの姉と2人で暮らしていた。 ・長男Bさんは、20年前から賃貸マンション(長男Bさんの親族以外の個人が所有)に居住しており、これまでに自己または自己の配偶者が持家を取得したことはない。 ・長男Bさんは、相続した甲土地を相続税の申告期限まで保有している。 ・自宅の建物の相続開始時の価額は350万円で、甲土地の相続開始時の価額は2,000万円である。 〈乙土地の概要〉 ・Aさんが長男Bさんとともに営んでいた飲食店の敷地(200㎡)である。 ・Aさんは、飲食店の建物およびその敷地である乙土地を2019年10月に購入し、事業を開始した。 ・長男Bさんは、相続した飲食店を相続税の申告期限まで引き続き営んでいる。 ・長男Bさんは、相続した乙土地を相続税の申告期限まで保有している。 ・飲食店の建物の相続開始時の価額は300万円で、乙土地の相続開始時の価額は1,000万円である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
特定居住用宅地等の家なき子特例は、被相続人に配偶者および同居の法定相続人がいない場合に適用できます。また特定事業用宅地等では、相続開始前3年以内に事業供用された宅地等は原則除外されますが、一定規模以上の事業(減価償却資産の価額が土地価額の15%以上)である場合は対象に含まれます。
解き方
- 甲土地の判定:被相続人の配偶者は他界しており、同居していた姉は第1順位の相続人(長男B)がいるため「法定相続人」ではない。長男Bは持家要件等を満たし申告期限まで保有しているため、家なき子特例により特定居住用宅地等に該当する。
- 乙土地の判定:事業開始後1年(3年以内)であるが、飲食店の建物価額300万円÷乙土地価額1,000万円=30%≧15%となり、一定規模以上の事業用資産要件を満たすため3年以内除外規定の対象外となり、特定事業用宅地等に該当する。
- 双方とも特例対象に該当することを確認し、選択肢1を選択する。
- 選択肢 1正解
- 甲土地は同居親族である姉が法定相続人でないため家なき子特例を満たし、乙土地は事業用減価償却資産が土地価額の15%以上あるため3年以内除外を受けず、いずれも該当します。
- 選択肢 2不正解
- 乙土地は減価償却資産(300万円)が土地価額(1,000万円)の15%以上であるため、3年以内事業であっても特定事業用宅地等に該当します。
- 選択肢 3不正解
- 甲土地において被相続人と同居していた姉は法定相続人ではないため、同居法定相続人がいないものとして扱われ、長男Bは特定居住用宅地等(家なき子特例)の適用を受けられます。
- 選択肢 4不正解
- 甲土地は特定居住用宅地等に、乙土地は特定事業用宅地等にそれぞれ該当するため誤りです。
覚えるポイント
- 家なき子特例の同居判定は「同居の親族」ではなく「同居の法定相続人」がいないことが要件。特定事業用の3年以内除外は減価償却資産が土地の15%以上あれば除外されない。
間違えやすいところ
- 被相続人と同居していた姉を「同居の法定相続人」と誤認して家なき子特例が適用できないと判断してしまうミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地積規模の大きな宅地の評価
相続・事業承継 · 地積規模の大きな宅地 / 財産評価基本通達 / 規模格差補正率
財産評価基本通達における「地積規模の大きな宅地の評価」の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
広大な宅地を戸建住宅用地として分割・開発分譲する場合、道路などの公共空地負担や工事費が生じて単価が低下するため、財産評価基本通達に基づき規模格差補正率を乗じて減額評価します。
解き方
- 対象となる宅地の面積基準(三大都市圏500㎡以上、その他1,000㎡以上)および適用除外要件(市街化調整区域や指定容積率基準等)を確認する。
- 評価方式(路線価方式および倍率方式の双方で適用可能)や評価額の計算方法(規模格差補正率を乗じて減額される点)を照合して各肢の正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- 地積規模の大きな宅地は、市街化調整区域に所在する宅地(開発行為ができる区域を除く)等を除き、三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上の地積が要件とされているため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 本規定は路線価方式により評価する地域だけでなく、倍率方式により評価する地域に所在する宅地であっても適用対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 本規定の適用対象外となる容積率は、指定容積率が「400%(東京都の特別区においては300%)以上」の地域に所在する宅地であるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 規模格差補正率は1.0未満の数値となり、これを乗じて減額調整するため、本規定の適用を受ける場合の価額は適用を受けない場合よりも低くなるため不適切です。
覚えるポイント
- 面積要件は三大都市圏500㎡以上・その他1,000㎡以上、除外容積率は原則400%以上(特別区300%以上)。
間違えやすいところ
- 倍率地域では適用できないと誤解しやすい点や、広大地評価と異なり補正率により必ず減額される点を押さえる。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令・財産評価基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社法上の種類株式
相続・事業承継 · 種類株式 / 議決権制限株式 / 取得請求権付株式 / 拒否権付株式
会社法における種類株式に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、発行会社はいずれも株式会社かつ取締役会設置会社とする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
会社法は、剰余金配当、議決権、譲渡制限、取得請求権、取得条項、拒否権など異なる権利内容を持つ種類株式の発行を認めており、事業承継や資金調達で活用されます。
解き方
- 各種類株式(議決権制限株式、譲渡制限株式、取得請求権付株式、拒否権付株式)の会社法上の定義および要件を整理する。
- 公開会社に対する制限の有無や、株主・会社いずれに請求・取得権限があるかを確認して各選択肢の正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 議決権制限株式の発行割合が発行済株式総数の2分の1を超えてはならない制限(会社法115条)は公開会社に対する規定であり、非公開会社には適用されないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 公開会社であっても、発行する株式の一部について譲渡制限を付した種類株式を発行することは認められているため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 取得請求権付株式は「株主」が会社に対して取得を請求できる株式です。会社が一定事由の発生により取得できるのは「取得条項付株式」であるため不適切です。
- 選択肢 4正解
- 拒否権付株式は、株主総会または取締役会で決議すべき事項について、さらにその種類株主総会の決議を要すると定めた株式であるため適切です。
覚えるポイント
- 取得請求権付株式は株主側に請求権があり、取得条項付株式は会社側に取得権限がある。
間違えやすいところ
- 議決権制限株式の2分の1制限が非公開会社(非上場会社など)にも適用されると混同しやすい点に注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の会社法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年1月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年1月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

