日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年9月 1級 学科(基礎編)の概要
各種係数を用いた年金原資および積立額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 6つの係数 / 年金現価係数 / 減債基金係数
Aさん(45歳)は、65歳から15年間にわたって毎年500千円を受け取るために、65歳までの20年間、年金原資を毎年均等に積み立てることを考えている。この場合、45歳から65歳までの20年間の毎年の積立額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、積立期間および取崩期間中の運用利回り(複利)は年2%とし、積立ておよび取崩しは年1回行うものとする。また、下記の係数表を利用して算出し、計算結果は千円未満を切り捨て、手数料や税金等は考慮しないものとする。 〈年2%の各種係数〉 期間:5年/終価係数 1.1041/現価係数 0.9057/年金終価係数 5.2040/減債基金係数 0.1922/年金現価係数 4.7135/資本回収係数 0.2122 期間:10年/終価係数 1.2190/現価係数 0.8203/年金終価係数 10.9497/減債基金係数 0.0913/年金現価係数 8.9826/資本回収係数 0.1113 期間:15年/終価係数 1.3459/現価係数 0.7430/年金終価係数 17.2934/減債基金係数 0.0578/年金現価係数 12.8493/資本回収係数 0.0778 期間:20年/終価係数 1.4859/現価係数 0.6730/年金終価係数 24.2974/減債基金係数 0.0412/年金現価係数 16.3514/資本回収係数 0.0612 期間:25年/終価係数 1.6406/現価係数 0.6095/年金終価係数 32.0303/減債基金係数 0.0312/年金現価係数 19.5235/資本回収係数 0.0512
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解答
3
解説
将来受け取る年金に必要な原資を求めるには年金現価係数を用い、将来の目標額を達成するために毎年積み立てるべき金額を求めるには減債基金係数を用います。
解き方
- 65歳時点で必要な年金原資の額を計算します。毎年受取額500千円×年金現価係数(15年・年利2%:12.8493)=6,424.65千円となります。
- 6,424.65千円を20年間で積み立てる毎年の積立額を計算します。6,424.65千円×減債基金係数(20年・年利2%:0.0412)=264.69558千円となります。
- 千円未満を切り捨てて、毎年の積立額を264千円と求めます。
- 選択肢 1不正解
- 226千円は誤った係数を乗じるなどした計算結果であり、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 250千円は受取総額を単純に積立年数等で按分したような誤った数値であり、不適切です。
- 選択肢 3正解
- 年金原資6,424.65千円(500千円×12.8493)に減債基金係数0.0412を乗じると264.695...千円となり、千円未満を切り捨てると264千円となります。
- 選択肢 4不正解
- 269千円は年金終価係数や資本回収係数を誤って組み合わせるなどした計算結果であり、不適切です。
覚えるポイント
- 年金現価係数は「毎年一定額を受け取るための現在必要な元本」、減債基金係数は「将来の一定額を貯めるための毎年の積立額」を求めるときに使用します。
間違えやすいところ
- 年金現価係数と資本回収係数、年金終価係数と減債基金係数はそれぞれ逆数の関係にあります。どちらを掛けるか割り算するかを取り違えないよう注意が必要です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の保険給付(傷病手当金・出産手当金・出産育児一時金)
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険法 / 傷病手当金 / 出産手当金 / 出産育児一時金
全国健康保険協会管掌健康保険の保険給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
健康保険の傷病手当金や出産手当金には、資格喪失後の継続給付の仕組みが設けられており、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間等の要件を満たしていれば退職後も給付を受けることができます。
解き方
- 選択肢1について、報酬の額が傷病手当金の額より少ないときはその差額が支給されるため誤りであることを確認します。
- 選択肢2について、傷病手当金と出産手当金が競合する場合は出産手当金が優先支給されるため誤りであることを確認します。
- 選択肢3について、直接支払制度は医療機関等との合意手続きによるため保険者への事前申請は不要であることを確認します。
- 選択肢4について、退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があれば資格喪失後も出産手当金の支給を受けられる規定が正しいことを確認します。
- 選択肢 1不正解
- 事業主から報酬を受けている場合であっても、その受けた報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給されます。
- 選択肢 2不正解
- 傷病手当金と出産手当金の支給要件を同時に満たした場合は、出産手当金が優先して支給され、出産手当金の額が傷病手当金の額より少ないときにその差額が傷病手当金として支給されます。
- 選択肢 3不正解
- 直接支払制度を利用する場合、被保険者は医療機関等との間で合意文書を取り交わすだけでよく、保険者に対して事前申請を行う必要はありません。
- 選択肢 4正解
- 被保険者資格の喪失日の前日までに継続して1年以上の被保険者期間がある者が、資格喪失時に出産手当金の支給を受けているか受給要件を満たしている場合、退職後も本来の支給期間について出産手当金の支給を受けることができます。
覚えるポイント
- 傷病手当金と出産手当金が併給される事態が生じたときは、「出産手当金」が優先支給され、不足がある場合にのみ傷病手当金が差額支給されます。
間違えやすいところ
- 資格喪失後の継続給付の要件は「継続して1年以上の被保険者期間」です。任意継続被保険者期間はこれに含まれません。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の雇用継続給付(高年齢・育児・介護)
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険法 / 高年齢雇用継続基本給付金 / 介護休業給付金 / 育児休業給付金
雇用保険の雇用継続給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
雇用継続給付には高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付があり、それぞれの支給要件、給付率、賃金が支払われた場合の調整方法が雇用保険法で定められています。
解き方
- 高年齢雇用継続基本給付金の算定基準を確認します。賃金が61%未満に低下した場合は、「支給対象月に支払われた賃金額」に15%を乗じるため、60歳到達時賃金月額に乗じる記述は誤りです。
- 高年齢再就職給付金は基本手当を受給中に支給残日数を100日以上残して安定した職業に就いた者が対象であるため、支給を受けたことがない者が対象とする記述は誤りです。
- 育児休業給付金で賃金が支払われた場合、賃金額と給付金の合計が「休業開始時賃金日額×支給日数」の80%を限度として調整されるため、100%から差し引くとする記述は誤りです。
- 介護休業給付金の給付率は原則として67%(100分の67)であるため、選択肢4が正しいと判断します。
- 選択肢 1不正解
- 高年齢雇用継続基本給付金の額は、低下率が61%未満の場合、「60歳到達時の賃金月額」ではなく、「各月に実際に支払われた賃金額」の15%となります。
- 選択肢 2不正解
- 高年齢再就職給付金は、基本手当の受給資格者が基本手当の支給残日数を100日以上残して再就職した場合等に支給されるものであり、基本手当の支給を受けたことがない者を対象とするものではありません。
- 選択肢 3不正解
- 育児休業給付金は、各支給単位期間に支払われた賃金額と給付金の合計が「休業開始時賃金日額×支給日数」の80%相当額を超える場合に調整が行われるため、全額(100%)から差し引く限度額設定ではありません。
- 選択肢 4正解
- 介護休業給付金の支給額は、期間中に賃金の支払いがない場合、「休業開始時賃金日額×支給日数」の67%(100分の67)となります。
覚えるポイント
- 介護休業給付金の給付率は67%(家族1人につき通算93日まで、3回まで分割取得可)です。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付の15%は「各月の支払賃金」に乗じるものであり、「60歳時点の賃金」に乗じるものではありません。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の繰下げ支給の仕組みと制限
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 繰下げ支給 / 在職老齢年金
老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
公的年金の繰下げ支給は、65歳到達時点で他の年金たる給付(障害年金や遺族年金)の受給権者である場合は原則繰下げができませんが、同一系統でない給付や障害基礎年金と老齢厚生年金のような関係では老齢厚生年金の繰下げが認められています。
解き方
- 付加年金は老齢基礎年金と一体で繰り下げられ、同一の増額率で増額されることを確認します(選択肢1は適切)。
- 受給権取得から申出までの繰下げ月数を算出します。66歳到達から70歳到達日(誕生日の前日等)までは48月であり、48月×0.7%=33.6%の増額率となることを確認します(選択肢2は適切)。
- 障害基礎年金の受給権者が新たに取得した老齢厚生年金について繰下げが可能であるかを確認します。老齢厚生年金の繰下げは可能であるため、繰り下げることができないとする記述は不適切です(選択肢3)。
- 在職老齢年金によって支給停止される額は、繰下げによる増額対象から除外される規定を確認します(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 付加年金の受給権者が老齢基礎年金を繰り下げた場合、付加年金も老齢基礎年金と同じ増額率(月0.7%)で増額されます。
- 選択肢 2不正解
- 66歳到達時に受給権を得て70歳到達時に繰下げ申出を行った場合、繰下げ月数は48月となり、増額率は48月×0.7%=33.6%となります。
- 選択肢 3正解
- 障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金について支給繰下げの申出をすることが可能です。
- 選択肢 4不正解
- 在職老齢年金の仕組みにより支給停止となる部分の年金額は、繰下げ増額率を乗じる対象外となります。
覚えるポイント
- 繰下げ増額率は「繰下げ月数×0.7%」です。在職老齢年金により支給停止された額は増額対象になりません。
間違えやすいところ
- 他の年金受給権があると繰下げが一切できないと誤解しがちですが、障害基礎年金と老齢厚生年金のように別体系の年金同士であれば老齢厚生年金の繰下げが可能です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の遺族給付の要件と受給期間
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 死亡一時金 / 寡婦年金 / 若年妻の有期給付
公的年金制度の遺族給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
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解答
1
解説
遺族給付には、国民年金独自の給付(遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金)と厚生年金保険の遺族厚生年金があります。併給調整や有期給付の要件を正確に把握することが重要です。
解き方
- 遺族厚生年金と死亡一時金の併給関係を確認します。死亡一時金と遺族厚生年金は併給可能であるため、選択肢1が適切です。
- 生計維持要件における年収850万円基準は受給権発生時の要件であり、事後的に年収が増加しても失権や支給停止の事由にはならないため選択肢2は誤りです。
- 子のない30歳未満の妻に対する遺族厚生年金の支給期間は最長5年間であるため、最長10年間とする選択肢3は誤りです。
- 寡婦年金の婚姻期間要件は「10年以上」であるため、5年以上とする選択肢4は誤りです。
- 選択肢 1正解
- 遺族厚生年金と死亡一時金は別個の制度から支給されるものであり併給調整の対象外であるため、両方の要件を満たしていれば受給することができます。
- 選択肢 2不正解
- 生計維持関係の年収850万円(所得655万5,000円)基準は死亡当時の要件であり、受給権取得後に本人の収入が増加しても遺族厚生年金が支給停止されることはありません。
- 選択肢 3不正解
- 夫の死亡時に子のない30歳未満の妻に支給される遺族厚生年金は、受給権を取得した日から「5年間」の有期給付となります。
- 選択肢 4不正解
- 寡婦年金の支給を受けるためには、夫との婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)が「10年以上」継続していることが必要です。
覚えるポイント
- 寡婦年金の婚姻期間要件は10年以上、30歳未満の子のない妻に対する遺族厚生年金は5年間の有期給付です。
間違えやすいところ
- 寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方を選択する必要がありますが、遺族厚生年金と死亡一時金は併給可能です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の加入要件と資産移換
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / ポータビリティ / 確定給付企業年金
確定拠出年金の個人型年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
4
解説
確定拠出年金は加入者の就職・転職等に伴うポータビリティが確保されており、規約の定め等の一定の要件を満たせば確定給付企業年金(DB)への個人別管理資産の移換も可能です。
解き方
- 障害基礎年金の受給権者による保険料免除者(法定免除者)は2018年1月よりiDeCoへ加入可能となったため選択肢1は不適切です。
- 運用商品の提示において、元本確保型商品の提示義務は廃止されたため選択肢2は不適切です。
- 企業型年金のみに加入している者のiDeCo掛金限度額は月額2万円(年額24万円)であるため、年額27万6,000円とする選択肢3は不適切です。
- 個人型DCから確定給付企業年金(DB)へのポータビリティ(資産移換)は規約等の要件を満たせば可能であるため、選択肢4が適切です。
- 選択肢 1不正解
- 障害基礎年金の受給権者として国民年金保険料の法定免除を受けている第1号被保険者は、個人型確定拠出年金に加入することができます。
- 選択肢 2不正解
- 2018年の法令改正等により、元本確保型運用商品を必ず1つ以上含めなければならないとする義務付けは撤廃されました。
- 選択肢 3不正解
- 企業型確定拠出年金のみを実施している企業の従業員が規約に基づき個人型年金に加入する場合、拠出限度額は月額2万円(年額24万円)です。
- 選択肢 4正解
- 確定給付企業年金の規約に移換を受け入れる旨の定めがある等所定の要件を満たせば、個人型年金の資産を確定給付企業年金に移換することができます。
覚えるポイント
- 確定拠出年金(DC)から確定給付企業年金(DB)への資産移換は、DB側の規約に受入規定があれば可能です。
間違えやすいところ
- 年額27.6万円(月額2.3万円)は、企業年金のない企業に勤務する会社員等の拠出限度額です。企業型DC加入者のiDeCo枠は月額2万円(年額24万円)です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
企業年金・共済等の掛金に係る税務上の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済等掛金控除 / 社会保険料控除 / マッチング拠出 / 損金算入
企業年金等に拠出した掛金に係る法人税および所得税の取扱いに関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 確定拠出年金の個人型年金において、加入者である妻の掛金を生計を一にする夫が支払った場合、その掛金は夫の小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる。 (b) 確定拠出年金の企業型年金において、法人の事業主が拠出した掛金は損金の額に算入することができ、加入者が拠出した掛金は小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象となる。 (c) 確定給付企業年金において、法人の事業主が拠出した掛金は損金の額に算入することができ、加入者が拠出した掛金は生命保険料控除として所得控除の対象となる。 (d) 個人事業主が拠出した掛金のうち、国民年金基金の掛金は社会保険料控除として所得控除の対象となり、小規模企業共済の掛金は、事業所得の金額の計算上、必要経費となる。
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解答
2
解説
企業年金や共済制度の掛金は、制度ごとに事業主負担分の税務処理(損金算入)および加入者本人負担分の所得控除(社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除)が厳密に区別されています。
解き方
- 記述(a)の適否を検討:小規模企業共済等掛金控除は加入者本人しか適用を受けられないため、夫が支払っても夫の控除対象にはならず不適切です。
- 記述(b)の適否を検討:企業型DCの事業主掛金は全額損金算入され、加入者掛金(マッチング拠出)は全額小規模企業共済等掛金控除となるため適切です。
- 記述(c)の適否を検討:確定給付企業年金の事業主掛金は全額損金算入され、加入者が負担した掛金は一般生命保険料控除の対象となるため適切です。
- 記述(d)の適否を検討:小規模企業共済の掛金は事業所得の必要経費ではなく、所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となるため不適切です。
- 適切なものは(b)と(c)の2つであるため、選択肢2を選びます。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述が2つ存在するため、「1つ」は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (b)と(c)の記述が適切であり、適切なものは2つです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は2つのため、「3つ」は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述は2つのため、「4つ」は誤りです。
覚えるポイント
- 小規模企業共済等掛金控除は「加入者本人の所得」からのみ控除可能であり、生計を一にする親族の分を支払っても控除できません(社会保険料控除との違い)。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の掛金は「所得控除」であり、個人事業の「必要経費」には算入できません。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
人材開発支援助成金(2019年度)の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 人材開発支援助成金 / 特定訓練コース / 一般訓練コース / 生産性要件
厚生労働省の人材開発支援助成金(2019年度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
厚生労働省の人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる訓練等を実施した場合に助成される制度で、所定の生産性要件を満たすことで助成が優遇されます。
解き方
- 選択肢1について、一般訓練コースはOff-JTのみが対象であり、OJTは対象外であるため誤りであることを確認します。
- 選択肢2について、特定訓練コースは自社企画によるOff-JTやOJT等も対象に含まれるため誤りであることを確認します。
- 選択肢3について、特定訓練コースの支給内容には「賃金助成」「経費助成」「実施助成」があり、生産性要件を満たすと引き上げられるため適切であることを確認します。
- 選択肢4について、教育訓練休暇付与コースは労働者が自発的に受講する訓練を対象としており、業務命令による受講は対象外であるため誤りであることを確認します。
- 選択肢 1不正解
- 一般訓練コースの助成対象はOff-JT(職務と明確に区分された訓練)に限られ、OJT(実務を通じた訓練)は含まれません。
- 選択肢 2不正解
- 特定訓練コースは労働生産性の向上等に資する訓練として事業主が企画・実施するOff-JTやOJT等も対象となり、厚生労働大臣があらかじめ承認・指定したものに限定されません。
- 選択肢 3正解
- 特定訓練コースの助成メニューには「賃金助成」「経費助成」「実施助成」があり、企業が生産性要件を満たす場合には助成率や助成単価が引き上げられます。
- 選択肢 4不正解
- 教育訓練休暇付与コースは、労働者が自発的に教育訓練を受講するための休暇制度を導入・適用するものであり、会社の業務命令による訓練受講は対象となりません。
覚えるポイント
- 人材開発支援助成金において、企業の生産性要件を満たした場合は助成額・助成率の引き上げ(割増措置)が適用されます。
間違えやすいところ
- 教育訓練休暇制度は労働者の「自発的な受講」を支援する制度であり、「業務命令」による受講は対象外です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(2019年度助成金制度)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
人口動態統計における死因順位
リスク管理 · 人口動態統計 / 死因順位 / 死亡リスク
厚生労働省の「人口動態調査(2017年)」における「年齢別にみた死因順位」に関する次の表の空欄①~③に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。 〈年齢別にみた死因順位(総数)、一部抜粋〉 [総数]第1位:悪性新生物〈腫瘍〉、第2位:心疾患、第3位:( ① )、第4位:老衰、第5位:( ② ) [20~24歳]第1位:自殺、第2位:( ③ )、第3位:悪性新生物〈腫瘍〉、第4位:心疾患、第5位:先天奇形等 [40~44歳]第1位:悪性新生物〈腫瘍〉、第2位:自殺、第3位:心疾患、第4位:( ① )、第5位:( ③ ) [60~64歳]第1位:悪性新生物〈腫瘍〉、第2位:心疾患、第3位:( ① )、第4位:( ③ )、第5位:肝疾患 [80~84歳]第1位:悪性新生物〈腫瘍〉、第2位:心疾患、第3位:( ① )、第4位:( ② )、第5位:老衰
解答・解説を表示
解答
1
解説
厚生労働省の人口動態統計における死因順位は、国民の健康状態や生命保険等のリスク設計の根拠となる基本統計です。全年齢の総数順位に加えて、若年層・壮年層・高齢層それぞれの特徴的な死因の傾向を正しく把握することが重要です。
解き方
- 総数および高齢層(80~84歳)の第3位に共通して入る主要死因が「脳血管疾患」であることを特定し、①を脳血管疾患に絞り込みます。
- 総数の第5位および高齢層の第4位に入る疾患として「肺炎」を特定し、②を決定します。
- 若年層(20~24歳)の第2位や壮年層(40~44歳)の第5位に位置する外因死として「不慮の事故」を特定し、③を決定します。
- 選択肢 1正解
- ①が脳血管疾患、②が肺炎、③が不慮の事故となっており、統計データと正確に合致します。
- 選択肢 2不正解
- ②が腎不全、③が肺炎となっており誤りです。総数の5位は肺炎であり、若年層の2位は不慮の事故です。
- 選択肢 3不正解
- ①が不慮の事故、②が脳血管疾患、③が肺炎と配置されており、順位関係が誤りです。
- 選択肢 4不正解
- ①が腎不全、③が脳血管疾患となっており、死因の順位関係が事実と異なります。
覚えるポイント
- 人口動態統計総数の死因上位は「悪性新生物・心疾患・脳血管疾患」の三大死因と老衰・肺炎。
- 若年層(10代後半~30代)の死因第1位は自殺、上位に不慮の事故が入る。
間違えやすいところ
- 老衰の順位上昇に伴い、以前3位や4位だった肺炎が5位へ後退している近年の順位変化を見落とすこと。
出題の前提:2019年4月1日現在施行法令等および「2017年人口動態統計」(厚生労働省)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険法における各種規定
リスク管理 · 保険法 / 超過保険 / 被保険者の同意 / 消滅時効
保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
保険法は保険契約に関する基本ルールを定めており、モラルリスク防止のための被保険者の同意要件(人保険)や超過保険における取消権(損害保険)、損害てん補の確定性、3年の消滅時効などが規定されています。
解き方
- 各選択肢について保険法の条文規定(人保険の同意、超過保険、目的物の滅失と損害てん補、消滅時効)を確認します。
- 超過保険に関する規定(保険法第9条)において、善意契約の場合は「取消権」の対象であり「無効」ではない点を確認し、選択肢2の誤りを判定します。
- 選択肢 1不正解
- 第三者の生命の保険契約の締結および契約締結後の受取人変更には、モラルリスク防止の観点から被保険者の同意が不可欠であり、適切です。
- 選択肢 2正解
- 契約締結時に保険金額が保険価額を超過している場合、詐欺目的の場合を除き契約自体が無効になるのではなく、超過部分を取り消すことができるとされているため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 保険事故により一度発生した損害については、その後に目的物が保険事故以外の事由で滅失したとしても、保険者はその損害をてん補する義務を負うため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 保険給付請求権、保険料返還請求権の消滅時効期間は、生命保険・損害保険を問わず権利を行使できる時から3年と規定されており適切です。
覚えるポイント
- 超過保険は善意であれば「取消し」可能、詐欺(悪意)の場合は「無効」。
- 保険給付請求権・保険料返還請求権の消滅時効は3年、保険料請求権は1年。
間違えやすいところ
- 超過保険を「当然無効」と決めつけてしまう誤り(詐欺の場合のみ無効)。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の保険法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額短期保険業者の引受制限
リスク管理 · 少額短期保険 / 保険業法 / 保険金額の上限 / 保険期間の制限
次の保険のうち、わが国の少額短期保険業者が原則として引き受けることができないもの(経過措置を除く)はどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
少額短期保険業者は、保険業法により引き受ける保険金額の低額性(少額)と保険期間の短期性が厳格に制限されています。死亡保険は300万円以下、医療保険(入院給付等)は80万円以下、損害保険は1,000万円以下、1被保険者あたりの総額は原則1,000万円以下とされ、保険期間は生保・医療系が1年以内、損保系が2年以内です。
解き方
- 少額短期保険業者の保険金額制限(死亡300万円、入院等80万円、損害1,000万円)および保険期間(生保1年、損保2年)の基準を確認します。
- 各選択肢の金額と期間を照合し、死亡保険金額が500万円と法定上限の300万円を超えている選択肢1を引受不可と判定します。
- 選択肢 1正解
- 死亡・重度障害を原因とする保険金の上限は300万円であるため、500万円の契約を引き受けることはできず、正解(引き受けることができないもの)となります。
- 選択肢 2不正解
- 傷害保険の死亡・重度障害保険金は上限300万円以内であり、損害保険の保険期間も2年以内であるため引き受け可能です。
- 選択肢 3不正解
- 疾病・傷害による入院等の給付金総額は上限80万円以内であり、保険期間も1年以内であるため引き受け可能です。
- 選択肢 4不正解
- 火災保険等の損害保険金額は上限1,000万円以内であり、保険期間も2年以内であるため引き受け可能です。
覚えるポイント
- 少額短期保険の金額上限:死亡保険300万円、医療保険80万円、損害保険1,000万円(総額上限原則1,000万円)。
- 保険期間の上限:損害保険は2年以内、その他(生命・医療等)は1年以内。
間違えやすいところ
- 総額制限(原則1,000万円)と各保障種目別の上限(死亡300万円等)を混同すること。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の保険業法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の各種特約の特徴
リスク管理 · 特定損傷特約 / 先進医療特約 / 入院特約 / 収入保障特約
生命保険の各種特約の一般的な特徴に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 特定損傷特約では、通常、被保険者が不慮の事故による骨折、関節脱臼または腱の断裂に対する治療を受けた場合に、特定損傷給付金が支払われる。 (b) 先進医療特約では、通常、契約日時点において厚生労働大臣が定める医療技術で、医療技術ごとに決められた適応症に対して施設基準に適合する医療機関にて行われる療養を受けた場合に、先進医療給付金が支払われる。 (c) 入院特約の保険料を入院給付金の支払限度日数が60日型タイプと120日型タイプで比較した場合、被保険者の年齢や保障金額等の他の契約内容が同一であるとすると、120日型タイプのほうが保険料は低くなる。 (d) 定期保険特約と収入保障特約(歳満期)の保険料を比較した場合、定期保険特約の死亡保険金額と収入保障特約(歳満期)の年金受取総額が同額であり、かつ、被保険者の年齢や保険期間等の他の契約内容が同一であるとすると、収入保障特約(歳満期)のほうが保険料は低くなる。
解答・解説を表示
解答
2
解説
生命保険の特約は主契約に付加して多様なリスクに備えるものです。特約給付金の支払事由や、保障期間・支払限度日数による危険保険料の構造の違い(支払責任期間が長いほど、また限度日数が長いほど保険料は高くなる)を理解しておく必要があります。
解き方
- (a) 特定損傷特約の支払対象(骨折・関節脱臼・腱の断裂)を確認し、適切と判定します。
- (b) 先進医療特約の対象が「療養を受けた時点(療養時)」基準であるか確認し、「契約日時点」とする記述を不適切と判定します。
- (c) 入院限度日数(60日型と120日型)と保険料水準の関係を比較し、保障が手厚い120日型の方が高くなるため不適切と判定します。
- (d) 定期保険(一定額保障)と収入保障(歳満期:経過に伴い保障額が逓減)の構造を比較し、同一開始額であれば収入保障の方が保険料が安くなるため適切と判定します。
- 適切な記述が(a)(d)の2つであることを導きます。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(d)の2つ存在するため、1つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 適切な記述は(a)と(d)の2つであるため、正解です。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は2つであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- すべての記述が適切ではないため、4つとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 先進医療特約の対象は「療養を受けた時点」で厚生労働大臣が認めている技術。
- 収入保障保険(特約)は年数経過とともに受取総額(死亡保障残額)が減少するため、平準定期保険より保険料が割安。
間違えやすいところ
- 先進医療の認定タイミングを「契約日時点」と誤認すること。
- 支払限度日数が長いほど保険料が高くなる関係を逆に考えてしまうこと。
出題の前提:2019年4月1日現在施行法令等および標準的な生命保険商品約款
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除額の計算
リスク管理 · 生命保険料控除 / 新契約と旧契約 / 所得税 / 控除限度額
会社員のAさんが2019年中に払い込んだ生命保険の保険料が下記のとおりである場合、Aさんの2019年分の所得税における生命保険料控除の最大控除額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、個人年金保険料税制適格特約以外の特約および配当はないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈契約内容〉 [終身保険]契約日:2008年4月1日、契約者・被保険者:Aさん、受取人:Aさんの配偶者、2019年払込保険料:15万円 [医療保険(10年更新型)]契約日:2010年4月1日、契約者・被保険者:Aさん、2019年払込保険料:12万円 [個人年金保険(税制適格特約付加)]契約日:2012年4月1日、契約者・被保険者・年金受取人:Aさん、2019年払込保険料:18万円
解答・解説を表示
解答
1
解説
2012年1月1日以後の契約(新契約)と2011年12月31日以前の契約(旧契約)では区分と控除限度額が異なります。旧契約は「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2区分で各上限5万円(合計10万円)、新契約は「一般」「介護医療」「個人年金」の3区分で各上限4万円(全体上限12万円)です。旧契約の医療保険は介護医療ではなく一般生命保険料控除に合算されます。
解き方
- 各保険契約を契約年月日により「旧契約」と「新契約」に分類します。終身保険(2008年)と医療保険(2010年)は旧契約、個人年金保険(2012年4月)は新契約となります。
- 旧契約の一般生命保険料を合算します。旧契約では医療保険も一般生命保険料に区分されるため、合算保険料は15万円+12万円=27万円となります。旧契約の計算式により、10万円超の場合は一律上限の50,000円となります。
- 新契約の個人年金保険料控除を計算します。払込保険料18万円は8万円超であるため、新契約の上限である40,000円が適用されます。
- 全体の控除額を合算します。一般生命保険料控除50,000円+個人年金保険料控除40,000円=90,000円となり、全体の最高限度額(12万円)の範囲内であるため、最大控除額は9万円です。
- 選択肢 1正解
- 旧一般生命保険料控除5万円と新個人年金保険料控除4万円を合算した9万円が最大控除額となり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 医療保険を別枠(介護医療保険料控除)として新制度の上限4万円等を誤って加算した場合などの数値であり誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 旧契約の合算と新契約の区分適用を誤認して算出した金額であり誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 12万円は所得税における生命保険料控除全体の法定最高限度額ですが、本問の契約組み合わせでは9万円が上限となるため誤りです。
覚えるポイント
- 2011年以前の医療保険は「介護医療保険料」ではなく「旧一般生命保険料」に合算される。
- 旧契約の各上限は5万円、新契約の各上限は4万円、新旧合算適用時の全体上限は12万円。
間違えやすいところ
- 旧契約の医療保険を新制度の「介護医療保険料控除(上限4万円)」として独立して控除できると勘違いすること。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
失火責任法と民法における損害賠償責任
リスク管理 · 失火責任法 / 民法第709条 / 不法行為 / 借家人賠償責任 / 債務不履行
民法および「失火の責任に関する法律」(以下、「失火責任法」という)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) Aさんが失火で隣家を全焼させ、Aさんに重大な過失が認められる場合、民法の規定が適用されるため、Aさんは隣家の所有者に対して損害賠償責任を負う。 (b) Bさんがガス爆発事故により隣家を損壊させ、Bさんに故意または重大な過失が認められない場合、失火責任法の規定が適用されるため、Bさんは隣家の所有者に対して損害賠償責任を負うことはない。 (c) 賃貸住宅に住んでいる借家人Cさんが失火で借家を全焼させ、Cさんに重大な過失が認められる場合、民法の規定が適用されるため、Cさんは家主に対して損害賠償責任を負う。 (d) 賃貸住宅に住んでいる借家人Dさんが失火で借家を全焼させ、Dさんに重大な過失が認められない場合、失火責任法の規定が適用されるため、Dさんは家主に対して損害賠償責任を負うことはない。
解答・解説を表示
解答
2
解説
失火責任法は、失火による不法行為(民法第709条)において重大な過失がない限り損害賠償責任を負わないと定めています。ただし、ガス爆発等の「爆発」には失火責任法は適用されず軽過失でも責任を負います。また、借家人が家主に対して負う原状回復義務・目的物返還義務の不履行(民法第415条の債務不履行責任)には失火責任法は適用されないため、重大な過失がなくても損害賠償責任を負います。
解き方
- (a) 重過失による失火では失火責任法の免責が適用されず、民法第709条により損害賠償責任を負うため適切と判定します。
- (b) ガス爆発事故には失火責任法が適用されない(最高裁判例)ため、軽過失であっても賠償責任を負います。よって不適切と判定します。
- (c) 借家人から家主に対する責任は賃貸借契約に基づく債務不履行責任であり、失火責任法は適用されず民法上の損害賠償責任を負うため適切です。
- (d) 借家人の家主に対する債務不履行責任には失火責任法が適用されないため、重大な過失がなくても家主に対して損害賠償責任を負います。よって不適切と判定します。
- 適切な記述は(a)と(c)の2つであることを確認します。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つ存在するため、1つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つであるため、正解です。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は2つであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (b)および(d)は失火責任法の適用範囲を誤っており不適切であるため、4つとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 失火責任法は「爆発」には適用されない(軽過失でも賠償責任あり)。
- 失火責任法は家主に対する借家人の「債務不履行責任」には適用されない(軽過失でも家主への賠償責任あり)。
間違えやすいところ
- 借家人の火災について、隣家への責任(不法行為:重過失のみ)と家主への責任(債務不履行:軽過失でも責任あり)を混同すること。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の民法および失火の責任に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の地震保険料控除
リスク管理 · 地震保険料控除 / 所得控除 / 長期一括払 / 全損終了
所得税の地震保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
地震保険料控除は、居住用財産の地震被害に対する自己努力を支援するための所得控除制度です。常時居住用家屋および生活用動産が対象であり、別荘や賃貸物件は対象外です。長期一括払保険料は年数で等分按分して各年で控除し、旧長期損害保険料の控除上限は1万5,000円(合計上限5万円)となっています。
解き方
- 選択肢1の対象家屋の要件(常時居住用であること)を確認し、別荘や賃貸アパートは対象外であるため適切と判定します。
- 選択肢2の一括払の計算を確認します。2年契約を一括払いした場合、月数按分ではなく契約年数で除すため「2分の1」が各年分の控除対象となり、4分の1は誤りです。
- 選択肢3の全損時の取扱いを確認します。年中に支払われた保険料であれば全損により契約終了してもその年分の控除対象となるため誤りです。
- 選択肢4の限度額を確認します。旧長期損害保険料の控除上限は1万5,000円であり、それぞれ5万円ではないため誤りです。
- 選択肢 1正解
- 地震保険料控除の対象は常時居住用の家屋等に限られるため、別荘や賃貸アパートの保険料は対象外となり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 保険期間2年の長期一括払保険料は、総額を保険期間の年数である2で除した「2分の1相当額」が各年の控除対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 年度途中に全損等で保険金が支払われ契約が終了した場合であっても、その年中に支払った保険料は控除の対象となるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 旧長期損害保険料に係る控除上限は最高1万5,000円であり、「それぞれ5万円が上限」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 地震保険料控除の対象家屋は「常時居住用」のみ(別荘・賃貸用は不可)。
- 旧長期損害保険料の最高控除額は1万5,000円、地震保険料控除の最高限度額は5万円(合算限度も5万円)。
間違えやすいところ
- 長期一括払の地震保険料控除を、所得税の計算において月数按分(当年6カ月分として4分の1等)で計算してしまう誤り。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
わが国の主要経済指標の特徴
金融資産運用 · 完全失業率 / 労働力人口 / 景気動向指数 / 消費者態度指数 / 貸出約定平均金利
わが国の経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
雇用関連指標である完全失業率は、総務省の労働力調査で毎月公表されます。算出式は「完全失業者数 ÷ 労働力人口 × 100」であり、15歳以上人口から就業者と完全失業者を除いた非労働力人口(学生・専業主婦等)は分母から除外されます。
解き方
- 選択肢1から3の記述(景気動向指数CIの特徴、消費者態度指数の調査項目と公表頻度、貸出約定平均金利の区分)がいずれも正しいことを確認します。
- 選択肢4の完全失業率の定義を確認し、分母が「15歳以上の人口」ではなく「労働力人口」である誤りを特定し、不適切と判定します。
- 選択肢 1不正解
- 景気動向指数のCIは変化の大きさを合成した指標であり、一致指数の山・谷は景気の転換点とおおむね一致するため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 消費者態度指数は内閣府が毎月公表し、4つの意識指標について今後半年間の見通しを調査して算出されるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 貸出約定平均金利は日本銀行が公表し、当該月中に実行された「新規」と月末残高ベースの「ストック」の2種類があるため適切です。
- 選択肢 4正解
- 完全失業率は「労働力人口」に対する完全失業者の割合であり、「15歳以上の人口のうち」とする記述は誤りであるため、本肢が正解(最も不適切)です。
覚えるポイント
- 完全失業率 = 完全失業者数 ÷ 労働力人口(就業者+完全失業者)× 100。
- 15歳以上人口には非労働力人口が含まれるため分母にはならない。
間違えやすいところ
- 労働力人口と15歳以上人口の違いを見落とし、完全失業率の計算式の分母を15歳以上人口と誤認すること。
出題の前提:2019年4月1日現在施行法令等および総務省「労働力調査」基準
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ETF(上場投資信託)の仕組みと商品性
金融資産運用 · ETF / エンハンスト型ETF / マーケットメイク制度
わが国の金融商品取引所に上場されているETF(上場投資信託)の仕組みおよび取引制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
ETF(上場投資信託)は株式市場で売買される投資信託であり、取引ルールは原則として上場株式と同様の決済ルールが適用されます。レバレッジ型・インバース型や特定の運用戦略指数に連動するエンハンスト型など多様な商品が存在し、市場の流動性向上のために指定参加者等によるマーケットメイク制度が運用されています。
解き方
- 上場株式やETFの受渡決済期日(約定日から起算して3営業日目・T+2)および株式取引との異同を確認する。
- レバレッジ・インバース型(ダブルインバースは原指標の前日比のマイナス2倍)やエンハンスト型の定義を整理する。
- 東京証券取引所のマーケットメイク制度において、気配提示を行う主体が指定されたマーケットメイカー(金融商品取引業者等)であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- ETFの受渡決済は、上場株式の普通取引と同様に売買成立日(約定日)から起算して3営業日目(T+2)に行われます。「上場株式とは異なり」とする点が不適切です。
- 選択肢 2不正解
- ダブルインバース型ETFは、日々の騰落率が原指標の「マイナス2倍(-2倍)」となるように計算された指標に連動する運用成果を目指すファンドです。「2倍」とする記述は不適切です。
- 選択肢 3正解
- エンハンスト型ETFは、リスクコントロール指標やマーケットニュートラル指標、特定のファクターに基づくスマートベータ指標など、一定の運用戦略を表現した指標に連動することを目指して運用されるものであり、適切です。
- 選択肢 4不正解
- 東京証券取引所のマーケットメイク制度において、継続的に気配提示を行うのは指定された「マーケットメイカー(証券会社等の金融商品取引業者)」であり、日本証券クリアリング機構ではありません。
覚えるポイント
- ダブルインバース型は原指標の「マイナス2倍」、レバレッジ型は「プラス2倍」の変動率に連動する。
- ETFの決済は普通株式と同じく約定日から起算して3営業日目(T+2)。
間違えやすいところ
- 日本証券クリアリング機構は清算機関であり、売買気配を提示するマーケットメイカーではない。
- インバース型(逆連動)とレバレッジ型(倍率連動)の倍率の正負を取り違えないこと。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令・金融商品取引所規則
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の交付目論見書における商品分類
金融資産運用 · 投資信託 / 商品分類 / 交付目論見書 / 不動産投信
投資信託説明書(交付目論見書)の表紙に「追加型投信/国内/不動産投信/インデックス型」と記載されているX投資信託に関する次の記述(a)~(d)のうち、投資信託協会の「商品分類に関する指針」に照らし、適切なものの組み合わせ(個数)として正しいものはどれか。 (a) X投資信託は、当初の設定後、追加設定が行われ、従来の信託財産とともに運用されるファンドである。 (b) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、投資対象資産に海外の資産をいっさい組み入れない旨の記載があるファンドである。 (c) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、組入資産による主たる投資収益が不動産関連の株式および債券を源泉とする旨の記載があるファンドである。 (d) X投資信託は、目論見書または投資信託約款において、対象とする指数に連動する運用成果を保証する旨の記載があるファンドである。
解答・解説を表示
解答
1
解説
投資信託協会の「商品分類に関する指針」では、商品分類として「単位型・追加型」「投資対象地域(国内・海外・内外)」「投資対象資産(株式・債券・不動産投信・その他資産・資産複合)」「独立分類(MMF・MRF・ETF)」等が定義されています。属性区分や基本分類の文言は投資信託の契約内容・リスク特性を正確に反映した定義に基づきます。
解き方
- (a) 追加型投信の定義(いつでも追加設定・購入が可能で信託財産を合同運用する)を確認し、適切と判定する。
- (b) 投資対象地域「国内」の定義が「組入資産による主たる投資収益が実質的に国内の資産を源泉とする」であり、「海外資産をいっさい組み入れない」ことまでは求めていないことを確認する。
- (c) 「不動産投信」は主たる投資収益を不動産投資信託証券から得るものであり、不動産関連の株式や社債ではないことを確認する。
- (d) インデックス型は特定の指数への連動を目指して運用されるものであり、成果を保証するものではないことを確認する。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため、正解となります。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため、2つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 記述(a)が適切であるため、「0(なし)」とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 「国内」区分は主たる投資収益が国内資産源泉であることを意味し、海外資産の組入れを一切排除するわけではない。
- 投資信託において運用成果や元本を保証するファンド分類は存在しない。
間違えやすいところ
- 不動産投信(REIT)と不動産関連企業の株式・社債を混同しないこと。
- 「保証する」という表現がある選択肢は投資信託の法制上・約款上原則として誤りとなる。
出題の前提:投資信託協会「商品分類に関する指針」
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種仕組債の商品性とリスク
金融資産運用 · 仕組債 / 早期償還条項付株価指数連動債 / EB債 / デュアルカレンシー債 / リバース・フローター債
各種仕組債の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
仕組債は、スワップやオプションなどのデリバティブを内包した債券です。投資家がプット・オプション等を売却(ショート)する構造をとることで高い表面利率を得る一方、対象指標の価格下落時に株式現物での交付や元本毀損が発生するリスク、あるいは金利・為替変動に伴うキャッシュフロー変動リスクを負います。
解き方
- EB債の選択権(満期時に株式か金銭かを決めるのは投資家ではなく客観的価格基準や発行者)を確認する。
- 早期償還条項付株価指数連動債のキャッシュフロー(条件達成で早期償還、ノックイン等で満期元本割れ)を確認する。
- デュアルカレンシー債(払込・利払い=円、償還=外貨)とリバース・デュアルカレンシー債(払込・償還=円、利払い=外貨)の通貨の組み合わせを照合する。
- リバース・フローター債(クーポン=固定利率-市場金利)の特性から、市場金利上昇時に利息が低下することを確認する。
- 選択肢 1不正解
- EB債(他社株転換社債)において、満期時に金銭償還か対象株式での交付かを決定するのは投資家の任意選択ではなく、参照株価が設定された水準を下回ったか等の契約条項に基づいて自動的に決定されます。
- 選択肢 2正解
- 早期償還条項付き株価指数連動債は、株価指数がトリガー価格を上回ると満期前に早期償還され、一定水準を下回って下落したまま満期を迎えると償還額が額面金額を下回るリスクがあり、記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- デュアルカレンシー債は「払込み・利払いが円建て、償還が外貨建て」であり、リバース・デュアルカレンシー債は「払込み・償還が円建て、利払いが外貨建て」です。説明が逆になっています。
- 選択肢 4不正解
- リバース・フローター債(逆変動利付債)は、クーポンが「固定利率-市場金利×係数」のように算出されるため、市場金利が上昇すると利率および受け取る利払金は減少します。
覚えるポイント
- デュアルカレンシー債:払込・利払い=円、償還=外貨。
- リバース・デュアルカレンシー債:払込・償還=円、利払い=外貨。
- リバース・フローター債:市場金利上昇で利息低下、市場金利低下で利息上昇。
間違えやすいところ
- EB債を転換社債型新株予約権付社債(CB)と混同し、投資家に株式転換の権利(コール・オプション)があると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:一般的な仕組債の約款・商品構造
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当割引モデル(定率成長モデル)による期待成長率の計算
金融資産運用 · 株式評価モデル / 配当割引モデル / ゴードン・モデル / 期待成長率
株価が1,200円で期待利子率(割引率)が7.0%、1株当たりの予想配当が30円の場合、定率で配当が成長して支払われる配当割引モデルにより計算した当該株式の予想配当に対する期待成長率として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
3
解説
定率成長配当割引モデル(ゴードン・モデル)における理論株価Pは、1株当たり予想配当をD1、割引率(期待収益率・資本コスト)をr、配当の期待成長率をgとすると、「P = D1 / (r - g)」で表されます。この算式を変形することで「g = r - (D1 / P)」として期待成長率を求めることができます。
解き方
- 与えられた数値を整理する:株価 P = 1,200円、割引率 r = 7.0%(0.07)、予想配当 D1 = 30円。
- 算式 P = D1 / (r - g) を変形し、r - g = D1 / P を計算する:30 / 1,200 = 0.025(2.5%)。
- 期待成長率 g を算出する:g = 0.07 - 0.025 = 0.045(4.50%)。
- 選択肢 1不正解
- 計算結果は4.50%であり、2.34%は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 計算結果は4.50%であり、4.33%は誤りです。
- 選択肢 3正解
- 1,200円 = 30円 ÷ (0.07 - g) より、0.07 - g = 0.025 となるため、g = 0.045(4.50%)となり適切です。
- 選択肢 4不正解
- 0.07 + 0.025 = 0.095(9.50%)とする符号の誤りによる計算結果であり、不適切です。
覚えるポイント
- 定率成長配当割引モデル:P = D1 / (r - g)
- 期待成長率 g = r - (D1 / P)
間違えやすいところ
- D1 / P を割引率 r から差し引くべきところを、誤って足してしまう(r + D1/P = 9.50%)。
- 前期実績配当 D0 と予想配当 D1 の違いに注意する(本問は予想配当が直接提示されている)。
出題の前提:ファイナンス理論における株式評価モデル
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
デリバティブ・オプション取引によるリスクヘッジ
金融資産運用 · オプション取引 / キャップ・フロア / スワップション / リスクヘッジ
オプション取引による一般的なリスクヘッジに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
各種オプションのヘッジ効果の対応関係: ・原資産価格下落リスクのヘッジ:プットの購入(またはコールの売却) ・原資産価格上昇リスクのヘッジ:コールの購入(またはプットの売却) ・金利上昇リスクのヘッジ:キャップの購入、ペイヤーズ・スワップション(固定支払い・変動受取りスワップを行う権利)の購入 ・金利低下リスクのヘッジ:フロアの購入、レシーバーズ・スワップション(変動支払い・固定受取りスワップを行う権利)の購入
解き方
- コール・プットと価格変動方向の関係を確認する(TOPIX下落ヘッジにはプットの購入が必要)。
- 通貨オプションの権利内容を確認する(ドル・プット/円・コールはドル売り円買いの権利であり、ドル安/円高ヘッジ)。
- キャップとフロアの機能を確認する(フロアの購入は金利低下時の差額受取権であり金利低下ヘッジ)。
- スワップションの種類を確認する(ペイヤーズ・スワップションは固定金利支払スワップの権利であり、金利上昇ヘッジ)。
- 選択肢 1不正解
- TOPIXの下落に対するヘッジとしては、プット・オプションの購入(またはコール・オプションの売却等)が該当します。コール・オプションの購入は相場上昇に対する備えです。
- 選択肢 2不正解
- ドル・プット/円・コールの購入は、「ドルを売って円を買う権利」を取得することであるため、ドル安/円高に対するヘッジとなります。
- 選択肢 3正解
- フロアの購入は、金利が約定した下限金利(行使金利)を下回った場合に差額を受け取る権利であるため、運用金利の低下に対するヘッジとなり、適切です。
- 選択肢 4不正解
- ペイヤーズ・スワップションは「固定金利を支払い、変動金利を受け取るスワップ」に入る権利であるため、金利上昇に対するヘッジとなります。金利低下ヘッジはレシーバーズ・スワップションです。
覚えるポイント
- フロアの購入=金利低下ヘッジ(下限を保証)。
- キャップの購入=金利上昇ヘッジ(上限を設定)。
- ペイヤーズ・スワップション=固定払いスワップの権利=金利上昇ヘッジ。
間違えやすいところ
- ペイヤーズ・スワップション(支払者オプション)が「何を支払うのか(固定金利を支払う)」を取り違えて金利低下ヘッジと誤解しやすい。
出題の前提:金融派生商品(オプション取引等)の理論と実務
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオの運用実績評価指標(パフォーマンス評価)
金融資産運用 · パフォーマンス評価 / インフォメーション・レシオ / シャープ・レシオ / トレイナーの測度 / ジェンセンの測度
国内ポートフォリオ運用におけるパフォーマンス評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
ポートフォリオのパフォーマンス評価指標の定義: ・シャープレシオ = (ポートフォリオ収益率 - 無リスク資産利子率) ÷ 全リスク(標準偏差) ・トレイナーの測度 = (ポートフォリオ収益率 - 無リスク資産利子率) ÷ 市場リスク(ベータ値) ・ジェンセンのアルファ = ポートフォリオ収益率 - CAPM期待収益率 ・インフォメーションレシオ = (ポートフォリオ収益率 - ベンチマーク収益率) ÷ トラッキングエラー
解き方
- β値が測定するのは「システマティック・リスク(市場リスク)」であり、個別要因であるアンシステマティック・リスクではないことを確認する。
- トレイナーの測度とジェンセンのアルファ、シャープレシオの定義式を比較照合する。
- インフォメーション・レシオ(情報比)の定義「超過収益率/トラッキングエラー」と合致しているか判定する。
- 選択肢 1不正解
- β値は市場全体の変動に対する感応度であり、分散投資で消去できない「システマティック・リスク」を測定する指標です。アンシステマティック・リスクではありません。
- 選択肢 2不正解
- トレイナーの測度は、安全資産の収益率に対する超過収益率を「β値」で除して算出する手法です。記述の内容はジェンセンのアルファ(測度)の説明に近いです。
- 選択肢 3不正解
- 安全資産の収益率に対するポートフォリオの超過収益率を標準偏差(総リスク)で除したものは「シャープ・レシオ」です。ジェンセンの測度はCAPMによる期待収益率をどれだけ上回ったかを表す差です。
- 選択肢 4正解
- インフォメーション・レシオ(情報比)は、ベンチマークに対する超過収益率(アクティブリターン)の平均をその標準偏差(トラッキングエラー)で除した値であり、適切です。
覚えるポイント
- シャープ・レシオの分母は「標準偏差(総リスク)」。
- トレイナーの測度の分母は「β(システマティック・リスク)」。
- インフォメーション・レシオの分母は「トラッキングエラー」。
間違えやすいところ
- トレイナーの測度とジェンセンの測度の定義の混同。
- システマティック・リスク(市場全体のリスク)とアンシステマティック・リスク(個別固有のリスク)の混同。
出題の前提:現代ポートフォリオ理論における運用成果測定手法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
追加型株式投資信託の分配金における手取額の計算
金融資産運用 · 投資信託の税金 / 普通分配金 / 元本払戻金(特別分配金) / 個別元本
Aさん(居住者)は、2016年4月に特定口座でXファンド(公募追加型株式投資信託、当初1口1円、年1回分配)10,000口を基準価額11,000円で購入した。下記の〈Xファンドの分配金実績・分配落後基準価額の推移〉に基づき、2019年3月期における10,000口当たりの収益分配金について、所得税および復興特別所得税、住民税の源泉(特別)徴収後の手取金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、源泉(特別)徴収される税額は円未満切捨てとすること。 〈Xファンドの分配金実績・分配落後基準価額の推移〉 (10,000口当たりの金額) 決算日:2017年3月期/2018年3月期/2019年3月期 分配金実績:1,000円/800円/800円 分配落後基準価額:11,100円/10,500円/10,400円
解答・解説を表示
解答
2
解説
公募追加型株式投資信託の分配金のうち、決算時の分配落後基準価額が受益者の個別元本を下回る場合、その下回る部分の額は「元本払戻金(特別分配金)」として非課税となり、同額だけ個別元本が引き下げられます。個別元本を上回る部分が「普通分配金」として20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)で源泉徴収されます。
解き方
- 購入時個別元本:11,000円。
- 2017年3月期:分配落後基準価額11,100円 ≧ 個別元本11,000円 なので全額(1,000円)が普通分配金。個別元本は11,000円のまま。
- 2018年3月期:分配前基準価額11,300円、分配落後基準価額10,500円。個別元本11,000円を下回る500円が元本払戻金(特別分配金)となり、普通分配金は300円。新たな個別元本は10,500円に修正。
- 2019年3月期:分配前基準価額11,200円、分配落後基準価額10,400円。個別元本10,500円を下回る100円が元本払戻金、残りの700円が普通分配金(課税対象)。
- 税額計算:所得税及び復興特別所得税 700円 × 15.315% = 107.205円 → 107円、住民税 700円 × 5% = 35円。合計税額 142円。
- 手取額計算:800円 - 142円 = 658円。
- 選択肢 1不正解
- 分配金800円全額を普通分配金として課税した場合の手取額(800円-162円=638円)であり、誤りです。
- 選択肢 2正解
- 普通分配金700円に対する税額が142円(所得税等107円+住民税35円)となり、手取金額は800円-142円=658円となるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 税額計算や普通分配金の配分が誤っており、679円は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 購入時個別元本11,000円を修正せず計算した場合などによる誤った数値です。
覚えるポイント
- 元本払戻金(特別分配金) = 個別元本 - 分配落後基準価額(下回った部分)。
- 元本払戻金を受け取ると、その分だけ個別元本が減額修正される。
間違えやすいところ
- 過去の決算(2018年3月期)で個別元本が引き下げられた履歴を反映し忘れること。
- 所得税等(15.315%)と住民税(5%)を分けて円未満を切り捨てる端数処理手順を見落とすこと。
出題の前提:租税特別措置法第37条の11、所得税法
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金保険制度の対象と保護範囲
金融資産運用 · 預金保険制度 / 決済用預金 / 名寄せ / 破綻後の相続
わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
預金保険制度における保険金の算定(名寄せ)は、原則として保険事故(破綻)発生日時点の預金者単位で行われます。破綻日時点で預金者が生存していれば被相続人名義で独立して1,000万円まで保護され、破綻「後」に死亡しても相続人の固有の預金と合算されることはありません。
解き方
- 預金保険制度の対象機関・支店(国内本店の国内支店のみ。海外支店や外銀在日支店は対象外)を確認する。
- 決済用預金(利息がつかない、要求払い、決済サービスの3要件)は全額保護されることを確認する。
- 1,000万円を超える一般預金の特定順位(弁済期の早い順、同日なら利率の低い順)の規定を確認する。
- 破綻時点と相続発生時点の関係を確認し、破綻「後」に死亡した場合は破綻時点の被相続人名義で名寄せされるため相続人預金とは合算されないことを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 日本国内に本店のある銀行の海外支店や、外国銀行の在日支店に預け入れられた預金は、預金保険制度の保護対象外であり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 決済用預金(無利息、いつでも払戻し可能、決済サービス提供の3要件を満たすもの)は、金額に関わらず全額保護されるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 預金保険法施行令第16条により、1,000万円を超える場合の保護対象預金の特定は、弁済期(満期)の早いものが優先され、弁済期が同一のときは利率の低いものが優先されるため適切です。
- 選択肢 4正解
- 破綻「後」に死亡した被相続人の預金は、保険事故発生日時点で被相続人自身の預金として確定しているため、相続人が有する他の預金等と合算されず別個に計算されます。したがって「合算される」とする本肢は不適切です。
覚えるポイント
- 名寄せの基準日は金融機関の「破綻日(保険事故発生日)」。
- 破綻後に死亡した場合は相続人の預金と合算されない(破綻前に死亡していた場合は相続開始により相続人ごとに合算)。
間違えやすいところ
- 金融機関の破綻「前」に死亡したケース(相続人の預金と合算)と、破綻「後」に死亡したケース(合算されない)を混同しないこと。
出題の前提:預金保険法、預金保険法施行令第16条
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における配当所得の課税関係
タックスプランニング · 配当所得 / 申告分離課税 / 源泉徴収 / 確定申告不要制度
居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
配当所得は原則として総合課税ですが、上場株式と非上場株式で源泉徴収税率や確定申告不要制度、申告分離課税による損益通算の可否などの取扱いが異なります。
解き方
- 上場株式配当と非上場株式配当における源泉徴収税率および住民税特別徴収の有無を確認する。
- 損益通算の対象範囲や少額配当の申告不要制度の適用要件(保有割合・限度額)を照らし合わせて正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 上場株式等の配当等(申告分離課税)と損益通算できるのは上場株式等の譲渡損失に限られ、非上場株式等の譲渡損失とは損益通算できません。
- 選択肢 2正解
- 非上場株式の配当は、持株割合にかかわらず所得税および復興特別所得税(20.42%)が源泉徴収され、住民税は特別徴収されず確定申告により課税されます。
- 選択肢 3不正解
- 非上場株式の少額配当の確定申告不要制度は、1回に支払を受ける金額が「10万円×配当計算期間月数/12」以下の場合に選択できますが、持株割合3%以上の大口株主は適用対象外です。
- 選択肢 4不正解
- 生命保険契約の契約者配当金は、支払った保険料の精算(事後的な割戻し)という性格を有するため、配当所得ではなく非課税として扱われます。
覚えるポイント
- 非上場株式の配当は所得税・復興特別所得税20.42%のみ源泉徴収され、住民税は特別徴収されない。
間違えやすいところ
- 上場株式等と一般株式等(非上場株式等)の間では譲渡損失や配当所得との損益通算が認められない点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得および雑所得の課税関係
タックスプランニング · 一時所得 / 雑所得 / 個人年金保険 / 公的年金等控除
居住者に係る所得税の一時所得および雑所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
各種保険給付や年金の受取形態(年金形式・一時金形式)、受取事由(死亡・解約・年金一括受取)によって、一時所得または雑所得に区分されるルールが明確に定められています。
解き方
- 個人年金保険の一括受取が年金支払開始前(解約等)か年金支払開始後(将来分の前払い)かを確認する。
- 年金支払開始日以後の保証期間分の一括受取金が雑所得に区分される点に基づき不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 保険期間5年以内の一時払養老保険の満期金等は金融類似商品として源泉分離課税ですが、死亡保険金として一時金受取したものは金融類似商品から除外され、一時所得として総合課税されます。
- 選択肢 2正解
- 個人年金保険の年金支払開始後に保証期間分の年金額を一括受領した場合、年金の支払に代えて受け取る一時金であるため、一時所得ではなく雑所得となります。
- 選択肢 3不正解
- 相続税の課税対象となった年金受給権に係る年金支給初年分は、支払金額が相続税評価額の基準に対応する払込保険料相当等により全額控除され、雑所得の金額は算出されません。
- 選択肢 4不正解
- 障害基礎年金は非課税所得であり、老齢厚生年金120万円からは65歳以上の公的年金等控除額(最低120万円)が差し引かれるため、雑所得の金額は0円(算出されない)となります。
覚えるポイント
- 個人年金保険の年金支払開始後に将来の年金を一括受領した一時金は雑所得に分類される。
間違えやすいところ
- 保険期間5年以内の一時払養老保険であっても、満期保険金等と死亡保険金で課税上の取扱いが異なる点を見落とさない。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
損益通算と総所得金額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 損益通算 / 不動産所得 / 一時所得 / 生活に通常必要でない資産
居住者であるAさんの2019年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんは青色申告を行っていないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 ・事業所得:総収入金額620万円、必要経費540万円 ・不動産所得:総収入金額500万円、必要経費600万円(土地取得に係る負債利子なし) ・譲渡所得:ゴルフ会員権(所有期間15年)の譲渡、収入金額300万円、取得費・譲渡費用320万円 ・一時所得:変額個人年金保険の解約返戻金、総収入金額400万円、支出金額250万円
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産所得の赤字(土地利子を除く)は他の所得と損益通算できますが、ゴルフ会員権の譲渡損失は損益通算できません。通算残額がある場合、一時所得の金額(1/2前)から控除した後に1/2して総所得金額に算入します。
解き方
- 事業所得(620万-540万=80万円)と不動産所得(500万-600万=▲100万円)を計算し通算(80万-100万=▲20万円)する。
- ゴルフ会員権の譲渡損失▲20万円は生活に通常必要でない資産であるため損益通算の対象外(0円)とする。
- 一時所得の金額(400万-250万-特別控除50万=100万円)から経常グループの損失20万円を控除(100万-20万=80万円)し、1/2を乗じて総所得金額40万円を算出する。
- 選択肢 1不正解
- 計算手順においてゴルフ会員権の損失を通算したり、一時所得の1/2計算と損益通算の順序を誤ると算出される不適切な金額です。
- 選択肢 2不正解
- 一時所得を先に1/2(50万円)にしてから損失20万円や誤った控除を行うと20万円等になりますが、通算は1/2前の金額から行います。
- 選択肢 3不正解
- ゴルフ会員権の損失を通算対象に含める等の誤った通算を行うと算出される誤りです。
- 選択肢 4正解
- 経常所得の赤字▲20万円を一時所得の金額100万円(1/2前)から差し引いた残額80万円に1/2を乗じるため、総所得金額は40万円となります。
覚えるポイント
- 経常所得の赤字と一時所得を損益通算する場合、一時所得の特別控除後(1/2する前)の金額から控除する。
間違えやすいところ
- 平成26年4月1日以後のゴルフ会員権の譲渡損失は、他の総合課税の所得と損益通算できない点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の各種所得控除の要件
タックスプランニング · 所得控除 / 雑損控除 / 社会保険料控除 / 寄附金控除 / 勤労学生控除
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得控除には受給者本人の属性に着目するもの、支出の実質的な負担者に認められるもの、政策的な投資促進(エンジェル税制等)を目的とするものなどがあります。
解き方
- 雑損控除の対象となる災害・盗難・横領と、対象外となる詐欺・恐喝を峻別する。
- 社会保険料控除の特別徴収の帰属(年金受給者本人)および勤労学生控除の適用対象者(納税者本人)の要件を確認し、正しい肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 雑損控除の対象となる事由は震災等の自然災害、火災等の人為的災害、盗難、横領に限られており、詐欺や恐喝による損失は対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 配偶者の公的年金から特別徴収(天引き)された介護保険料は、配偶者自身が支払ったものとなるため、納税者の社会保険料控除の対象とすることはできません。
- 選択肢 3正解
- エンジェル税制の優遇措置Aでは、特定新規中小企業者の設立時等に払込みにより取得した株式の金額(1,000万円が限度)から2,000円を控除した額が寄附金控除の対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 勤労学生控除は納税者本人が勤労学生である場合に適用される人的控除であり、扶養親族が勤労学生であっても納税者本人が勤労学生控除を受けることはできません。
覚えるポイント
- 詐欺・恐喝は雑損控除の対象外であること、および公的年金からの特別徴収社会保険料は受給者本人の控除となること。
間違えやすいところ
- 勤労学生控除や障害者控除など、納税者本人に適用される控除と扶養親族を理由に適用される控除の主体を混同しないようにする。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
棚卸資産の期末評価額の計算手法
タックスプランニング · 棚卸資産 / 先入先出法 / 総平均法 / 最終仕入原価法 / 売価還元法
下記の〈資料〉から算出される期末棚卸資産の評価額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈資料〉 4月1日 前期繰越:3,000個、単価2,800円、金額8,400,000円 5月27日 仕入:4,000個、単価2,800円、金額11,200,000円 7月8日 仕入:2,000個、単価2,600円、金額5,200,000円 9月9日 売上:5,000個 12月2日 仕入:2,000個、単価3,000円、金額6,000,000円 3月2日 売上:3,000個 3月31日 次期繰越(期末数量):3,000個 (注1)期中販売対価総額は28,000,000円。 (注2)期末棚卸資産の通常販売価額総額は10,500,000円。
解答・解説を表示
解答
2
解説
期末棚卸資産の評価方法には、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法などがあり、各計算規則に従って取得原価を配分します。
解き方
- 期初繰越および期中仕入の合計数量(11,000個)と合計金額(30,800,000円)を算出する。
- 総平均法における平均単価(30,800,000円÷11,000個=2,800円)を期末数量(3,000個)に乗じて正しい評価額(8,400,000円)を計算し、記述(8,511,000円)が誤りであることを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 先入先出法では直近仕入分が残るため、12月2日仕入分2,000個(600万円)と7月8日仕入分1,000個(260万円)の合計で8,600,000円となります。
- 選択肢 2正解
- 総平均法では総取得総額30,800,000円÷総数量11,000個=単価2,800円となり、期末評価額は3,000個×2,800円=8,400,000円であるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 最終仕入原価法では事業年度終了前最も近い仕入単価(12月2日の3,000円)を適用するため、3,000個×3,000円=9,000,000円となります。
- 選択肢 4不正解
- 原価率は総仕入原価30,800,000円÷総販売価額38,500,000円(2,800万円+1,050万円)=80%となり、期末評価額は10,500,000円×80%=8,400,000円となります。
覚えるポイント
- 総平均法は期首在庫と期中仕入の総額を総数量で除した平均単価に期末数量を乗じて算出する。
間違えやすいところ
- 総平均法と移動平均法(売上ごとに単価を再計算する方法)の計算手順を混同しないようにする。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一括評価金銭債権の貸倒引当金繰入限度額の計算
タックスプランニング · 貸倒引当金 / 一括評価金銭債権 / 法定繰入率 / 中小法人
製造業を営む中小法人X社(資本金3,000万円)の当期末の一括評価金銭債権に係るデータに基づき、損金の額に算入されない貸倒引当金の繰入限度超過額として、最も適切なものはどれか。なお、繰入限度額が最も高くなるように計算すること。 ・当期会社繰入額:200万円 ・期末一括評価金銭債権の帳簿価額:2億円 ・実質的に債権とみられない金銭債権の金額:1,000万円 ・製造業に係る法定繰入率:1,000分の8 ・貸倒実績率:1,000分の7.1
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解答
2
解説
資本金1億円以下の中小法人等は、一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額の計算において、実績繰入率と法定繰入率のいずれか有利な方を選択できます。対象債権額は実質的に債権とみられない金額を控除して算定します。
解き方
- 繰入率として法定繰入率(8/1,000)と実績繰入率(7.1/1,000)を比較し、限度額が高くなる法定繰入率(8/1,000)を選択する。
- 一括評価金銭債権の帳簿価額2億円から実質的に債権とみられない金額1,000万円を控除し、基準債権額1億9,000万円を算出する。
- 繰入限度額(1億9,000万円×0.008=152万円)を求め、会社繰入額200万円から差し引いて繰入限度超過額48万円を算出する。
- 選択肢 1不正解
- 実質的に債権とみられない金額を控除せずに2億円×0.008=160万円を限度額とした場合の超過額(200万-160万=40万円)であり誤りです。
- 選択肢 2正解
- (2億円-1,000万円)×8/1,000=152万円が繰入限度額となり、繰入額200万円との差額である48万円が損金不算入の繰入限度超過額となります。
- 選択肢 3不正解
- 計算上の誤りにより生じる不適切な選択肢です。
- 選択肢 4不正解
- 不利な実績繰入率7.1/1,000を用いて算出した場合の超過額(200万-134.9万=65万1,000円)であり、最も高くなる方法を選んでいないため誤りです。
覚えるポイント
- 中小法人は法定繰入率を選択可能。繰入対象債権=期末債権帳簿価額-実質的に債権とみられない金額。
間違えやすいところ
- 実質的に債権とみられない金銭債権(同一人に対する売掛金と買掛金の相殺等)の控除を忘れないように注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の納税義務および簡易課税制度・申告手続
タックスプランニング · 消費税 / 新設事業者 / 簡易課税制度 / みなし仕入率 / 申告期限の延長
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
消費税は基準期間(前々年・前々事業年度)の課税売上高を基準に納税義務を判定します。また、簡易課税制度の手続やみなし仕入率の適用ルールが定められていますが、原則として申告期限の延長は認められません。
解き方
- 新設事業者における免税原則や簡易課税制度の届出期限、みなし仕入率の75%特例の妥当性を確認する。
- 法人税と消費税の申告期限の取扱いの違い(消費税には延長特例がないこと)を確認して不適切な記述を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 個人事業者の新規開業年分は基準期間(前々年)が存在しないため、原則として課税売上高の多寡にかかわらず免税事業者となります。
- 選択肢 2不正解
- 簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を税務署長に提出する必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 複数の事業を営む簡易課税事業者は、特定1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に適用できます。
- 選択肢 4正解
- 法人税では定時総会未招集等のやむを得ない事情による申告期限の延長が認められますが、当時の消費税法には申告期限延長の特例規定は存在しませんでした。
覚えるポイント
- 消費税には法人税のような定時総会招集遅延を理由とする申告期限の延長特例は原則としてない。
間違えやすいところ
- 法人税の申告期限が1カ月延長された場合でも、消費税の申告・納付期限は課税期間終了後2カ月以内のままである点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
グループ法人税制における法人間の取引処理
タックスプランニング · グループ法人税制 / 譲渡損益調整資産 / 適格現物分配 / 寄附金の損金不算入 / 受取配当等の益金不算入
株式を100%保有する関係にある内国法人の親法人と子法人間の取引において適用されるグループ法人税制(完全支配関係にある法人を対象とした税制)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
100%完全支配関係にあるグループ法人間での取引では、譲渡損益調整資産の譲渡損益の繰延べ、寄附金の全額損金不算入および全額益金不算入、受取配当等の全額益金不算入(負債利子控除なし)などが強制適用されます。
解き方
- グループ法人間で譲渡された資産の譲渡損益が誰の税務計算上で繰り延べられ、いつ誰が実現させるかを確認する。
- 譲渡損益調整資産の譲渡損益を計上するのは親法人(譲受法人)ではなく子法人(譲渡法人)であることに着目して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 譲渡損益の計上を繰り延べるのは「譲渡法人(子法人)」であり、親法人がグループ外に譲渡したとき等に繰延べ損益を計上するのも「譲渡法人(子法人)」です。
- 選択肢 2不正解
- 完全支配関係法人間の適格現物分配では、現物分配の直前帳簿価額により譲渡したものとみなされるため、現物分配法人側で譲渡損益は認識されません。
- 選択肢 3不正解
- 完全支配関係にあるグループ法人間で支出・受領された寄附金は、支出法人で全額が損金不算入、受贈法人で全額が益金不算入となります。
- 選択肢 4不正解
- 完全支配関係(完全子法人株式等)からの受取配当等は、株式等を取得するための借入金に係る負債利子を控除することなく、受取配当等の全額が益金不算入となります。
覚えるポイント
- 完全支配関係法人間の譲渡損益調整資産の繰延損益を認識するのは「譲受法人」ではなく「譲渡法人」である。
間違えやすいところ
- 資産の移転先である譲受法人が将来売却したときに、譲受法人側で他社の繰延損益まで合算計上すると混同しないようにする。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
損益分岐点分析の計算と判定
タックスプランニング · 損益分岐点売上高 / 変動費率 / 限界利益率 / 目標利益
損益分岐点分析に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものの個数として、最も適切なものはどれか。 (a) 売上高が2億円である場合の変動費が6,000万円、固定費が4,000万円である企業は、固定費を1,400万円削減すれば、損益分岐点が2,000万円低下することになる。 (b) 売上高が2億円である場合の変動費が8,000万円、固定費が3,000万円である企業は、変動費率が10ポイント上昇すると、損益分岐点が2,000万円上昇することになる。 (c) 売上高が2億円である場合の変動費が8,000万円、固定費が4,000万円である企業が2億円の利益をあげるために必要な売上高は、4億円である。
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解答
2
解説
損益分岐点売上高は「固定費 ÷ (1 - 変動費率)」または「固定費 ÷ 限界利益率」により計算されます。目標利益を達成するために必要な売上高は「(固定費 + 目標利益) ÷ 限界利益率」で求められます。
解き方
- (a) 変動費率=6,000万円÷2億円=0.3、限界利益率=1-0.3=0.7。当初の損益分岐点=4,000万円÷0.7≒5,714万円。固定費削減後(2,600万円)の損益分岐点=2,600万円÷0.7≒3,714万円。低下額は1,400万円÷0.7=2,000万円となり適切。
- (b) 当初の変動費率=8,000万円÷2億円=0.4、当初の損益分岐点=3,000万円÷(1-0.4)=5,000万円。変動費率が10ポイント上昇して0.5になると、損益分岐点=3,000万円÷(1-0.5)=6,000万円。上昇額は6,000万円-5,000万円=1,000万円であるため2,000万円とする記述は不適切。
- (c) 変動費率=8,000万円÷2億円=0.4、限界利益率=1-0.4=0.6。2億円の利益をあげるための売上高=(固定費4,000万円+目標利益2億円)÷0.6=2億4,000万円÷0.6=4億円となり適切。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つ存在するため誤りです。
- 選択肢 2正解
- (a)と(c)の2つが適切で、(b)が不適切であるため、適切なものは2つとなり正解です。
- 選択肢 3不正解
- (b)の損益分岐点の上昇額は1,000万円であり不適切であるため、3つすべてが適切とする選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (a)と(c)が適切であるため、0(なし)とする選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率
- 必要売上高=(固定費+目標利益)÷限界利益率
間違えやすいところ
- 変動費率が10ポイント上昇した際、分母の限界利益率が0.6から0.5に低下する計算を誤りやすい。
- 固定費削減による損益分岐点の変化額は、削減額÷限界利益率で即座に算出できる点を見落としやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記法に基づく筆界特定制度
不動産 · 筆界特定制度 / 共有持分権者による申請 / 筆界特定書の写し / 手続費用・手数料
筆界特定制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
筆界特定制度は、新たに筆界を創設・確定するものではなく、公法上の境界である筆界の現地の位置を行政庁(筆界特定登記官)が特定する制度です。申請手数料は対象土地の固定資産税評価額を基礎に算出されます。
解き方
- 筆界特定と所有権界の確認(境界確定訴訟との差異)および単独申請可能性(保存行為に準じ共有者1名で可)を確認する。
- 筆界特定書等の情報公開性(何人でも写しの交付請求が可能)を確認する。
- 申請手数料の算定基準が「面積」ではなく「固定資産税評価額」であることを確認し、誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 筆界特定は筆界(公法上の境界)の位置を明らかにするものであり、所有権界(私法上の権利範囲)を確定・変更するものではないため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 土地が共有である場合、共有者全員で申請する必要はなく、共有登記名義人の1人が単独で申請できるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 筆界特定書の写しの交付は、何人でも手数料を納付して法務局・地方法務局に請求できるため適切です。
- 選択肢 4正解
- 筆界特定の申請手数料は、隣接する土地の「合計面積」ではなく、対象土地の「固定資産税評価額」を基準に計算されるため不適切(これが正解)です。
覚えるポイント
- 筆界特定制度の申請手数料は固定資産税評価額を基に計算される。
- 筆界特定書の写しは何人でも交付請求が可能である。
間違えやすいところ
- 筆界特定により所有権の帰属境界(私法上の所有権界)まで確定されると誤認しやすい。
- 共有登記名義人全員の同意や共同申請が必要であると誤解しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の鑑定評価基準の各手法
不動産 · 最有効使用の原則 / 原価法 / 取引事例比較法 / 収益還元法(直接還元法)
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
不動産の鑑定評価において、直接還元法で純収益を還元利回りで還元する際は、分子の純収益と分母の利回りの対応関係(償却前純収益なら償却前還元利回り、償却後純収益なら償却後還元利回り)を必ず一致させる必要があります。
解き方
- 不動産の鑑定評価基準における最有効使用の原則、原価法の再調達原価と減価修正、取引事例比較法の事例選択要件の各定義を確認する。
- 直接還元法の計算式において、分子(償却前または償却後の純収益)と分母(償却前または償却後の還元利回り)の整合性を検証し、対応が食い違っている誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 不動産の価格は最有効使用(効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用)を前提として把握されるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 原価法は再調達原価を求め、これに減価修正を行って積算価格を求める手法であるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 取引事例比較法では、事例を近隣地域または同一需給圏内の類似地域等から選択するため適切です。
- 選択肢 4正解
- 償却前純収益を用いる場合は「償却前純収益に対応する還元利回り」で除さなければならず、償却後の利回りで除すとする本記述は不適切(正解)です。
覚えるポイント
- 直接還元法では純収益と還元利回りの対応関係(償却前同士、償却後同士)を一致させる。
- 不動産の鑑定評価は最有効使用の原則を前提とする。
間違えやすいところ
- 償却前純収益を償却後利回りで割ってもよいと混同しやすい。
- 取引事例比較法で同一需給圏内の類似地域から事例を選択できることを見落としやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における瑕疵担保責任および諸規制
不動産 · 瑕疵担保責任の特約制限 / 帰責事由の要否 / 手付金等の制限 / 媒介契約の業務処理状況報告義務
宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。
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解答
1
解説
民法・宅建業法上の瑕疵担保責任(現行法上の契約不適合責任)は法定無過失責任であり、責任追及に際して売主の帰責事由やその立証は不要です。自ら売主制限として「引渡しの日から2年以上」とする特約は有効と認められます。
解き方
- 瑕疵担保責任の法的性格(無過失責任であり、過失・帰責事由の立証は不要)を確認する。
- 宅建業法第40条(引渡しの日から2年以上とする特約を除き民法より買主に不利な特約は無効)を確認する。
- 手付金の制限(2割以内)および専任・専属専任媒介契約における報告頻度(2週に1回以上/1週に1回以上)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 売主の瑕疵担保責任は無過失責任であり、売主の帰責事由を立証する必要はないため不適切(これが正解)です。
- 選択肢 2不正解
- 引渡しの日から2年以上とする特約は宅建業法上有効と定められているため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 自ら売主となる場合、売買代金の2割を超える手付金を受領できないため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 専任媒介契約では2週間に1回以上、専属専任媒介契約では1週間に1回以上の業務処理状況報告義務があるため適切です。
覚えるポイント
- 瑕疵担保責任(契約不適合責任)は無過失責任であり、売主の過失立証は不要。
- 業者売主・非業者買主の瑕疵担保期間は「引渡しの日から2年以上」であれば有効。
間違えやすいところ
- 損害賠償請求において売主の故意過失の立証が必要であると混同しやすい。
- 専任媒介(2週間に1回以上)と専属専任媒介(1週間に1回以上)の報告義務日数を逆に覚えやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における借地契約および地代等増減請求権
不動産 · 普通借地権の更新期間 / 地代等増減請求権(強行規定) / 事業用定期借地権等の要件 / 建物譲渡特約付借地権
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。
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解答
2
解説
借地借家法第11条の地代等増減請求権に関する規定は強行規定です。地代を増額しない旨の特約(不増額特約)は有効ですが、地代を減額しない旨の特約は借地人に不利なため無効とされます。
解き方
- 普通借地権の更新期間について、法定期間(初回20年、以降10年)より長い期間を合意で定めることが可能であることを確認する。
- 地代等増減請求権の規定の性質(強行規定であり、減額請求を排除する特約は無効)を確認する。
- 専ら事業の用に供する事業用定期借地権等は居住用(賃貸マンション含む)には適用できない(期間20年での設定不可)ことを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 更新後の期間は当事者の合意により法定期間(1回目20年、2回目以降10年)より長い期間(例:50年)を定めることができるため適切です。
- 選択肢 2正解
- 地代等増減請求権は強行規定であり、借地人に不利な「地代減額請求権を排除する特約」は無効となるため不適切(これが正解)です。
- 選択肢 3不正解
- 存続期間20年の事業用定期借地権等は居住用建物の用途には設定できず、一般定期借地権は50年以上が必要となるため設定できず適切です。
- 選択肢 4不正解
- 建物譲渡特約付借地権消滅後に継続使用する建物の賃借人との間で、合意により定期建物賃貸借契約を締結することは可能であるため適切です。
覚えるポイント
- 地代増減請求権は強行規定であり、減額請求を排除する特約は無効。
- 事業用定期借地権等は「専ら事業の用」に供する必要があり、居住用賃貸マンションには適用不可。
間違えやすいところ
- 一定期間地代を増額しない特約(不増額特約)まで無効であると誤認しやすい(増額しない特約は有効)。
- 賃貸マンションの経営は事業であるため事業用定期借地権が使えると誤解しやすい(居住用は除外)。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における道路および敷地の規定
不動産 · 接道義務 / 位置指定道路 / 計画道路(法42条1項4号道路) / 2項道路(セットバック)
建築基準法に規定する道路および建築物の敷地に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、特定行政庁が指定する幅員6mの区域ではないものとし、地下におけるものを除くこととする。
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解答
3
解説
建築基準法上の道路(法42条)には、公道だけでなく基準を満たす私道(位置指定道路等)も含まれます。また、2年以内に執行予定の事業計画道路(法42条1項4号道路)も指定により道路として扱われます。2項道路は原則として中心線から2m後退した線が境界とみなされます。
解き方
- 接道義務の対象道路(公道に限らず建築基準法上の私道も含まれる)を確認する。
- 位置指定道路の定義(道路法ではなく、築造しようとする者が特定行政庁の指定を受ける私道)を確認する。
- 法42条1項4号道路(2年以内に執行される事業計画道路)の要件を確認する。
- 2項道路のみなし境界線(敷地境界から2mではなく道路中心線から2m後退)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 接道義務の対象道路は公道に限られず、建築基準法上の道路であれば私道であってもよいため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 位置指定道路は、道路法ではなく建築基準法第42条第1項第5号に基づき、特定行政庁から位置の指定を受けた私道であるため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 法第42条第1項第4号により、2年以内に事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したものは建築基準法上の道路となるため適切(正解)です。
- 選択肢 4不正解
- 2項道路は原則として「道路の中心線から水平距離2m後退した線」が境界線とみなされるため不適切です。
覚えるポイント
- 法42条1項4号道路は「2年以内」に事業執行予定の指定道路。
- 2項道路のセットバックは原則「中心線」から2m後退。
間違えやすいところ
- 建築基準法の道路は公道でなければならないと勘違いしやすい。
- セットバック幅を「敷地境界線から2m」と誤読しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地法の諸規定(権利移動・転用・賃貸借)
不動産 · 農地法3条・4条・5条 / 市街化調整区域での転用 / 農地賃貸借の対抗力 / 農地賃貸借の存続期間上限
農地法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
農地法4条(自ら転用)および5条(権利移転を伴う転用)の許可権者は原則として都道府県知事等です(市街化区域内の特例を除く)。農業委員会が許可権者となるのは3条(権利移動)です。また農地法上の賃貸借の存続期間上限は最長50年と規定されています。
解き方
- 相続による農地取得時の届出(農業委員会へ遅滞なく、概ね10カ月以内)を確認する。
- 市街化調整区域内の農地転用における許可権者(都道府県知事等)を確認し、「農業委員会」とする誤りを特定する。
- 農地の引渡しによる対抗要件(登記がなくても第三者に対抗可能)を確認する。
- 農地賃貸借の存続期間の上限(最長50年)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 相続により農地の権利を取得した者は、遅滞なく(概ね10カ月以内)農業委員会に届け出なければならないため適切です。
- 選択肢 2正解
- 市街化調整区域内の農地を自己転用する場合、原則として「都道府県知事等」の許可が必要であり農業委員会の許可ではないため不適切(正解)です。
- 選択肢 3不正解
- 農地の賃貸借は、登記がなくても農地の引渡しがあれば第三者に対抗できるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 農地法上の賃貸借の存続期間は最長50年と定められているため適切です。
覚えるポイント
- 農地法4条・5条の転用許可権者は都道府県知事等(農業委員会ではない)。
- 農地の賃貸借は登記がなくても引渡しで対抗力を取得する。
間違えやすいところ
- 市街化区域内の農地転用(あらかじめ農業委員会への届出で足りる)と、市街化調整区域内の農地転用(知事許可)を混同しやすい。
- 民法の賃貸借上限と農地法の賃貸借上限の年数を混同しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の取得に係る登録免許税および不動産取得税
不動産 · 表題登記の登録免許税非課税 / 数次相続における免税特例 / 特定遺贈の不動産取得税 / 死因贈与の不動産取得税
不動産の取得に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
1
解説
表示に関する登記である表題登記には登録免許税が課されません。また、相続による不動産取得は不動産取得税が非課税となりますが、包括遺贈を除く特定遺贈や死因贈与は課税対象となります。
解き方
- 表題登記は権利の登記ではなく不動産の物理的状況を示す登記であり、登録免許税は課されないことを確認する。
- 相続登記の登録免許税の免税措置(土地を相続で取得した者が登記を受けずに死亡した場合の「その死亡した者を名義人とする登記」が免税となる特例であり、現に取得する長男名義の登記は免税とならない)を確認する。
- 相続人以外の者への特定遺贈および死因贈与に対する不動産取得税の課税関係(相続ではないため課税される)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 表題登記は表示に関する登記であり、登録免許税は課されないため適切(正解)です。
- 選択肢 2不正解
- 免税の対象となるのは中間で死亡した母名義とする登記であり、最終的な相続人である長男を名義人とする登記には登録免許税が課されるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 相続人以外の者が特定遺贈により土地を取得した場合は、不動産取得税が課されるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 死因贈与契約に基づく不動産の取得は、受贈者が法定相続人であっても贈与による取得として不動産取得税が課されるため不適切です。
覚えるポイント
- 不動産の表題登記には登録免許税は課されない(保存登記等に課税)。
- 死因贈与は相続ではなく贈与であるため、相続人であっても不動産取得税が課される。
間違えやすいところ
- 死因贈与契約による取得を相続税法と同様に相続・遺贈と同視して不動産取得税も非課税になると誤認しやすい。
- 数次相続の登録免許税免税特例の対象者を混同しやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の適用関係
不動産 · 居住用財産の3000万円特別控除 / 夫婦間での敷地と家屋の所有区分 / 譲渡所得
Aさん夫妻は、妻Bさん名義の土地の上に2009年4月に新築したAさん名義の自宅で暮らしていたが、2019年8月に家屋およびその敷地を一括して売却した。Aさんと妻Bさんの収入金額はいずれも取得費および譲渡費用の合計額を上回っている。この場合における「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
居住用財産の3,000万円特別控除は本来、居住用家屋の所有者が受ける特例ですが、家屋の所有者と敷地の所有者が異なる場合、家屋とその敷地が同時に一体として同一の買主に譲渡され、生計を一にしている等の要件を満たせば、家屋所有者が3,000万円全額を控除しきれなかった残額を敷地所有者の譲渡所得から控除できます。
解き方
- 家屋の所有者であるAさんがまず本特例を適用し、最大3,000万円の控除を行う。
- Aさんの譲渡所得が3,000万円未満で控除枠に余りがある場合、敷地所有者である妻Bさんがその残額を限度として控除を適用できることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 家屋を所有し居住していたAさんは単独で要件を満たし特例を受けられるため、双方が適用を受けられないとする記述は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 家屋所有者であるAさんの譲渡所得が3,000万円に満たない場合は、妻Bさんも残余の控除枠の範囲内で控除を受けることができます。
- 選択肢 3正解
- 家屋所有者Aが控除しきれなかった金額がある場合、同居・生計一などの要件を満たす敷地所有者である妻Bはその満たない額を限度に本特例を適用できます。
- 選択肢 4不正解
- 夫婦それぞれが最大3,000万円(計6,000万円)を控除できるのは、家屋・土地をともに共有している場合であり、本問のように敷地のみの所有者である場合は夫の控除残額の範囲内に限定されます。
覚えるポイント
- 家屋と土地の所有者が異なる夫婦の場合、夫婦合わせて最大3,000万円までの控除となる点に注意する。
間違えやすいところ
- 共有名義の夫婦(各最大3,000万円、合計最大6,000万円)と、家屋単独所有・敷地単独所有の夫婦(合算で最大3,000万円限度)を混同しないようにする。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種贈与契約の法律関係および税務上の取扱い
相続・事業承継 · 負担付贈与契約 / 死因贈与契約 / 贈与税の評価額 / 民法上の撤回
民法および税法における贈与契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
負担付贈与によって取得した土地や建物などの財産は、通常の相続税評価額(路線価評価等)ではなく、取得時の「通常の取引価額(時価)」により評価し、そこから負担額を控除して贈与税の課税価格を算出します。また、死因贈与は遺贈(単独行為)とは異なり、贈与者と受贈者の合意によって成立する「契約」です。
解き方
- 負担付贈与における受贈財産の税務上の評価方式(土地・建物は時価評価)を確認する。
- 負担付贈与における受益者の範囲、死因贈与の契約成立要件(契約か単独行為か)、および遺贈の規定準用による撤回可能性について正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 負担付贈与における負担の受益者は、贈与者自身だけでなく第三者を受益者とすることも可能です。
- 選択肢 2正解
- 負担付贈与により取得した土地等の価額は、財産評価基本通達にかかわらず通常の取引価額(時価)に相当する額から負担額を控除して計算されます。
- 選択肢 3不正解
- 死因贈与は「契約」であるため、一方的な意思表示ではなく贈与者と受贈者双方の合意により成立します(遺贈は遺言による単独行為)。
- 選択肢 4不正解
- 死因贈与には民法の遺贈の規定が準用されるため、書面による契約であっても、贈与者は原則として遺言の撤回の規定に従い自由に撤回することができます。
覚えるポイント
- 負担付贈与で取得した土地・建物の評価額は「時価(通常の取引価額)」に基づく。
間違えやすいところ
- 遺贈は単独行為だが死因贈与は契約である点、ただし死因贈与も遺贈の規定が準用され原則として撤回可能である点を整理しておく。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与 / 贈与税非課税特例 / 受贈者の所得制限 / 管理契約の終了
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(2019年7月1日以後に締結する教育資金管理契約)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
直系尊属からの教育資金一括贈与の非課税特例(受贈者ごとに最大1,500万円)は税制改正により要件が厳格化され、受贈者の前年合計所得金額1,000万円超の場合の適用除外や、2019年7月1日以後の契約において契約期間中の贈与者死亡時の残額を相続等により取得したものとみなす取扱いなどが追加されました。
解き方
- 2019年度改正で新設された受贈者の所得要件(前年合計所得金額1,000万円以下)を確認する。
- 学校等以外に支払う金銭の23歳到達による制限、在学中の場合の最長終了年齢(40歳)、契約期間中の贈与者死亡に伴う相続税課税(2019年7月1日以後契約)を確認して各肢を検討する。
- 選択肢 1正解
- 2019年4月1日以後の信託等により、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は本特例の対象外とされています。
- 選択肢 2不正解
- 学校等以外の者に支払われる金銭(塾や習い事等)は、受贈者が23歳に達した後は原則として教育資金の対象から除外されます。
- 選択肢 3不正解
- 学校等に在学している等の場合でも、受贈者が40歳に達した日に教育資金管理契約は終了します。
- 選択肢 4不正解
- 2019年7月1日以後に締結した契約では、贈与者が死亡した場合、一定の場合を除き管理残額が相続税の課税対象(相続等により取得とみなす)となります。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与特例は、受贈者の所得制限(合計所得1,000万円超は不適用)がある。
間違えやすいところ
- 贈与者死亡時の残額課税について、2019年7月1日以後契約分から相続税の課税対象に加えられた改正点を見落としやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(及び2019年7月1日施行の改正内容)
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
親族関係図に基づく法定相続分および相続税の諸規定
相続・事業承継 · 法定相続分 / 半血兄弟姉妹 / 代襲相続 / 相続税の基礎控除 / 未成年者控除
2019年中に死亡したAさんの親族関係図において、Aさんの父母、継母、兄はAの相続開始前に死亡している。妻Bさん、姉Cさん、異母弟Dさん、異母妹Eさん、姪Fさん(兄の子)、甥Gさん(姉Cさんの子)がいずれも相続または遺贈で財産を取得する場合の民法上の相続分および相続税の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹全体で4分の1です。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹(全血兄弟姉妹)の相続分の2分の1となります。
解き方
- 法定相続人を特定する。配偶者B(3/4)、死亡した兄の代襲相続人である姪F、姉C、異母弟D、異母妹Eの計5人である(甥Gは姉Cが健在のため相続人ではなく受遺者)。
- 兄弟姉妹の取り分(1/4)について、全血の兄(代襲F)2、全血の姉C2、半血の弟D1、半血の妹E1の比率(合計6)で按分し、Dの法定相続分を計算する(1/4 × 1/6 = 1/24)。
- 選択肢 1正解
- 兄弟姉妹の法定相続分は全体で4分の1であり、全血(2+2)と半血(1+1)の比率で按分すると異母弟Dの法定相続分は24分の1(1/4×1/6)となるため、16分の1とする記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 法定相続人は妻B、姪F(代襲)、姉C、異母弟D、異母妹Eの5人です。基礎控除額は3,000万円+600万円×5人=6,000万円となります。
- 選択肢 3不正解
- 配偶者および一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む)以外の者が相続または遺贈により財産を取得した場合、2割加算の対象となります。姪Fは兄弟姉妹の代襲相続人(二親等)であり、直系卑属の代襲ではないため2割加算の対象となり、記載の5人全員が対象です。
- 選択肢 4不正解
- 未成年者控除の適用を受けられるのは「法定相続人」に限られます。甥Gは姉Cが生存しているため相続人ではなく遺贈による取得者(受遺者)にすぎず、未成年者控除の適用は受けられません。
覚えるポイント
- 半血兄弟姉妹の法定相続分は全血兄弟姉妹の2分の1。また、兄弟姉妹の子の代襲相続人は相続税の2割加算対象となる。
間違えやすいところ
- 直系卑属(子)の代襲相続人である孫は2割加算の対象外だが、兄弟姉妹の代襲相続人である甥・姪は2割加算の対象となる点を取り違えやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の各種税額控除の適用要件
相続・事業承継 · 贈与税額控除 / 配偶者の税額軽減 / 未成年者控除 / 相次相続控除
相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
相続税の各種税額控除には適用対象や限度額に関する明確な規定があります。未成年者控除の控除不足額は扶養義務者から控除可能ですが、贈与税額控除の控除不足額は還付されず、配偶者控除の法定相続分判定では相続放棄がなかったものと扱われ、相次相続控除は過去10年以内の相続税納付が対象です。
解き方
- 暦年課税の生前贈与加算に伴う贈与税額控除における還付の有無を確認する(還付不可)。
- 配偶者の税額軽減における相続放棄の取扱い(放棄がなかったものとして計算した法定相続分が基準)を確認する。
- 未成年者控除の扶養義務者からの控除規定を確認する(適切)。
- 相次相続控除の対象期間(10年以内)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 暦年課税における贈与税額控除で、相続税額から控除しきれない金額があっても、その控除しきれない部分の税額は還付されません(相続時精算課税と異なる点)。
- 選択肢 2不正解
- 配偶者の税額軽減の計算上、法定相続分は「相続の放棄があったとしても、放棄がなかったものとした場合」の法定相続分(子が相続人となる場合の2分の1)に基づいて計算されます。
- 選択肢 3正解
- 未成年者控除額が本人の算出税額を超えて控除しきれない場合は、同一の被相続人から財産を取得したその者の扶養義務者の税額から控除することができます。
- 選択肢 4不正解
- 相次相続控除の適用対象となるのは、今回の相続開始前「10年以内」に開始した相続により被相続人が相続税を課された場合です(20年以内ではない)。
覚えるポイント
- 未成年者控除および障害者控除の引ききれない控除額は、同一相続人の扶養義務者から控除できる。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税の贈与税額控除は還付があるが、暦年課税の生前贈与加算に伴う贈与税額控除では還付がない点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の延納および物納の要件・仕組み
相続・事業承継 · 延納期間 / 物納要件 / 物納の充当順位 / 延納から物納への変更(収納価額)
相続税の延納および物納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
相続税は金銭による一括納付が原則ですが、困難な場合は延納、延納でも困難な場合は物納が認められます。延納期間は不動産等の割合により最長年数が決まりますが、延納税額が100万円未満の場合は、毎回の納付額が10万円以上となるよう延納税額を10万円で除して得た年数(端数切上げ)が上限となります。
解き方
- 延納の要件(10万円超かつ金銭納付困難)と物納の要件(延納によっても金銭納付困難)の関係を把握し、任意選択不可であることを確認する。
- 延納税額が100万円未満である場合の延納期間の特例計算(延納税額÷10万円、端数切上げ)を適用して最長期間を算出する。
- 物納充当順位(国債・地方債・不動産・船舶が第1順位、上場株式等は第2順位ではなく不動産等と同じ第1順位)および条件変更物納の収納価額(変更時の価額)の誤りを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 物納は延納によっても金銭で納付することが困難な場合に限って認められる補充的な制度であり、任意に延納か物納かを選択することはできません。
- 選択肢 2正解
- 延納税額が100万円未満の場合、延納期間は「延納税額÷10万円」で算出された年数(1年未満切上げ)が限度となるため、35万円÷10万円=3.5年→最長4年となります。
- 選択肢 3不正解
- 物納の第1順位には、不動産・船舶・国債・地方債のほか、上場株式等も含まれます(非上場株式等は第2順位、動産は第3順位)。
- 選択肢 4不正解
- 延納から物納への変更(条件変更による物納)の場合の収納価額は、相続税評価額ではなく「物納申請の時における価額」となります。
覚えるポイント
- 延納税額が100万円未満の場合の延納期間は、延納税額を10万円で割った年数(端数切上げ)が上限。
間違えやすいところ
- 通常の物納の収納価額は相続税評価額だが、延納から変更した場合の収納価額は変更申請時の価額となる違いに留意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地および借地権の相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 自用地評価額 / 貸家建付借地権 / 土地の無償返還に関する届出書 / 使用貸借
Aさんが父から相続により取得した建物の敷地であるX土地、Y土地(借地権)、Z土地について、次の条件に基づく相続税評価額の合計額として、最も適切なものはどれか。 ・X土地:父から固定資産税程度の地代で借りてAさんがアパート建築(賃貸割合100%)。自用地評価額3,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%。 ・Y土地(借地権):父が借地権を有しアパート建築(賃貸割合100%)。Aさんが底地を買い取り「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」提出済、父から地代収受なし。自用地評価額5,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%。 ・Z土地:父がB社に権利金なし・通常地代で貸付。「土地の無償返還に関する届出書」提出済。B社がアパート建築(賃貸割合100%)。自用地評価額4,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%。
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解答
2
解説
土地の使用貸借では借地権は成立せず自用地評価となります。借地人が底地を取得して親族間で無償利用させても「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」があれば借地権は消滅せず貸家建付借地権として評価されます。「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている土地は、借地権割合にかかわらず原則として自用地評価額の80%で評価されます。
解き方
- X土地の評価:固定資産税程度の授受は使用貸借であるため、借地権・借家権の控除は行わず、自用地評価額のまま3,000万円となる。
- Y土地(借地権)の評価:底地取得後も「地位に変更がない旨の申出書」が提出されているため借地権として存続し、父が賃貸アパートを所有しているため貸家建付借地権となる。5,000万円×60%×(1-30%×100%)=2,100万円。
- Z土地の評価:「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地評価となり、自用地評価額×80%=4,000万円×80%=3,200万円。
- 合計額の算出:3,000万円+2,100万円+3,200万円=8,300万円。
- 選択肢 1不正解
- X土地を貸家建付地として評価するなど誤った減額計算を行うと算出される値です。
- 選択肢 2正解
- X土地(3,000万円)、Y土地借地権(2,100万円)、Z土地(3,200万円)の適正な評価額を合算すると8,300万円となります。
- 選択肢 3不正解
- Z土地を自用地評価額のまま(4,000万円)で計算した場合などに生じる誤りです。
- 選択肢 4不正解
- Y土地について借家権割合による減額を考慮しなかった場合などに生じる誤りです。
覚えるポイント
- 使用貸借の土地は自用地評価。無償返還届出書提出済の貸宅地は自用地評価額×80%。
間違えやすいところ
- 親族間で子がアパートを建てていても、親への地代が固定資産税以下なら使用貸借であり貸家建付地評価はできない点に注意する。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の配当還元方式による相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 配当還元方式 / 取引相場のない株式 / 配当還元価額の計算式
下記の〈X社の配当金額等のデータ〉に基づき、X社株式の1株当たりの配当還元価額として、最も適切なものはどれか。 〈X社の配当金額等のデータ〉 ・直前期の配当金額:560万円 ・直前々期の配当金額:280万円 ・直前期末の資本金等の額:7,000万円 ・直前期末の発行済株式数:14万株
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解答
2
解説
配当還元方式による株式評価額は、「(年配当金額 ÷ 10%)×(1株当たりの資本金等の額 ÷ 50円)」で計算します。年配当金額は直前期と直前々期の平均配当金額を、資本金等の額を50円で除した株式数で除して求め、2円50銭未満の場合は2円50銭とします。
解き方
- 直前2期の平均配当金額を算出する:(560万円 + 280万円) ÷ 2 = 420万円。
- 1株当たりの資本金等の額(50円ベース)に対する年配当額を求める:資本金等の額7,000万円 ÷ 50円 = 140万株。420万円 ÷ 140万株 = 3円(2円50銭以上)。
- 1株当たりの資本金等の額を求める:7,000万円 ÷ 14万株 = 500円。
- 配当還元価額を算出する:(3円 ÷ 10%) × (500円 ÷ 50円) = 30円 × 10 = 300円。
- 選択肢 1不正解
- 年配当金額の下限値である2円50銭を誤って適用した場合に算出される価額(250円)です。
- 選択肢 2正解
- 年平均配当額3円を10%で還元し、1株当たり資本金等の額(500円)の50円に対する比率を乗じると300円となります。
- 選択肢 3不正解
- 直前期の配当金額(560万円)のみを用いて平均を求めずに計算した場合などに導かれる数値です。
- 選択肢 4不正解
- 計算式の還元率や比率を誤って適用した場合の誤りです。
覚えるポイント
- 配当還元方式の算式:(年配当金額/10%) × (1株当たりの資本金等の額/50円)。年配当金額は50円換算の年平均配当額。
間違えやすいところ
- 平均年配当金額の算出時に、実際の発行済株式数ではなく「資本金等の額÷50円」で割る点を見落としやすい。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
経営承継円滑化法における遺留分に関する民法の特例
相続・事業承継 · 経営承継円滑化法 / 遺留分の特例 / 除外合意 / 固定合意
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)に基づく「遺留分に関する民法の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
経営承継円滑化法の遺留分特例は、後継者へ生前贈与された自社株式等を遺留分算定の基礎から除外する「除外合意」や、評価額を固定する「固定合意」を認めることで自社株式の分散を防ぎ、事業承継を円滑化する制度です。
解き方
- 後継者要件および合意の相手方、合意書面の形式要件を確認する。
- 除外合意と固定合意の対象となる財産の範囲を確認する。
- 経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可申請の手続期日を照合して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 平成28年の法改正により、後継者は旧代表者の推定相続人に限られず、親族外の第三者承継者も対象となっています。
- 選択肢 2不正解
- 推定相続人全員および後継者の合意は書面によることが必要ですが、公正証書による作成までは法律上義務付けられていません。
- 選択肢 3不正解
- 非上場株式以外の事業用財産(不動産等)について認められているのは除外合意のみであり、固定合意の対象とすることはできません。
- 選択肢 4正解
- 特例合意の効力発生には、合意日から1カ月以内の経済産業大臣への確認申請と、確認を受けた日から1カ月以内の家庭裁判所への許可申立て・許可が必要です。
覚えるポイント
- 遺留分特例の手続期間は「合意から1カ月以内に経産大臣確認」「確認から1カ月以内に家裁許可申立て」である。
間違えやすいところ
- 固定合意の対象は非上場株式等に限られ、株式以外の事業用資産は除外合意のみ可能である点に注意が必要です。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(経営承継円滑化法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除
相続・事業承継 · 個人版事業承継税制 / 特定事業用資産 / 小規模宅地等の特例との関係 / 納税猶予割合
2019年度税制改正により創設された「個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除(個人版事業承継税制)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
個人版事業承継税制は、青色申告を行う個人事業者の後継者が事業用資産を相続等で取得した場合に、その資産に係る相続税の100%の納税が猶予される時限的な特例制度です。
解き方
- 後継者要件(開業届出書の提出や青色申告の承認要件)を確認する。
- 特定事業用資産の対象範囲(宅地・建物・減価償却資産)および限度面積・数量を確認する。
- 小規模宅地等の特例との選択関係および納税猶予割合(100%)を確認して不適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 後継者は申告期限までに事業の開業届出書を提出し、青色申告(青色申告特別控除65万円または55万円の適用対象)の承認を受けている等が必要です。
- 選択肢 2正解
- 特定事業用資産には、宅地等(400㎡以下)や建物(床面積800㎡以下)のほか、機械・器具備品・車両運搬具等の減価償却資産も対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 個人版事業承継税制と小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)は選択適用とされており、同一の宅地等について重複して適用を受けることはできません。
- 選択肢 4不正解
- 本制度の適用を受けると、特定事業用資産の課税価格に対応する相続税額の100%全額について納税が猶予されます。
覚えるポイント
- 個人版事業承継税制の特定事業用資産には土地・建物のほか減価償却資産も含まれ、猶予割合は100%である。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例(特定事業用宅地等)とは重複適用できず、いずれか一方を選択適用しなければならない点に注意します。
出題の前提:2019年4月1日現在施行の法令等(2019年度税制改正により創設された租税特別措置法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年9月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年9月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

