日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年5月 1級 学科(基礎編)の概要
FP業務と関連法規(士業法)
ライフプランニングと資金計画 · 関連法規 / 社会保険労務士法 / 税理士法 / 司法書士法 / 不動産の鑑定評価に関する法律
ファイナンシャル・プランニング業務を行うにあたって遵守すべき関連法規および各資格の独占業務に関する記述として、最も不適切なものを1つ選びなさい。
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解答
1
解説
ファイナンシャル・プランナーは他法令で定める独占業務に抵触しないよう留意する必要があります。社労士の独占業務は労働社会保険諸法令に基づく申請書類の作成・提出代行等であり、年金額の試算は含まれません。
解き方
- 各選択肢に記載されている行為が、それぞれの業法(社労士法、税理士法、司法書士法、不動産鑑定評価法)において独占業務とされているかを確認する。
- 社会保険労務士法における1号業務・2号業務に対象行為が含まれるかを精査し、年金受給額の試算が独占業務に当たらないことを判断する。
- 選択肢 1正解
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成・提出代行等は社労士の独占業務ですが、「年金受給額の試算」は独占業務には含まれません。したがって本記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 税理士法第2条および第52条により、税務代理、税務書類の作成、税務相談の税理士業務は、有償・無償を問わず税理士の独占業務とされています。
- 選択肢 3不正解
- 司法書士法第3条および第73条により、登記に関する手続の代理や法務局提出書類の作成は、有償・無償を問わず司法書士の独占業務とされています。
- 選択肢 4不正解
- 不動産の鑑定評価に関する法律により、他人の求めに応じて報酬を得て業として不動産の鑑定評価を行うことは、不動産鑑定士の独占業務とされています。
覚えるポイント
- 公的年金の受給見込額の一般的な試算は社労士の独占業務ではないためFPも実施可能
間違えやすいところ
- 税理士業務や司法書士業務は無償であっても無資格者が業として行うことは禁じられている点に注意する
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働者災害補償保険の保険給付および特別支給金
ライフプランニングと資金計画 · 労災保険 / 休業補償給付 / 傷病補償年金 / 遺族補償年金 / 遺族特別支給金
労働者災害補償保険の保険給付および特別支給金に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
労災保険の遺族(補償)年金は、受給資格者の順位が定められており、最先順位の受給権者が死亡や再婚等により受給権を喪失した場合には、次順位の受給資格者へ年金の支給が引き継がれる「転給」が行われます。
解き方
- 休業補償給付の支給期間制限の有無および傷病補償年金への移行要件(療養開始後1年6カ月)を確認する。
- 遺族補償年金における受給資格者の範囲と転給制度の規定、遺族特別支給金の定額(300万円)を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 休業(補償)給付および休業特別支給金は休業4日目から支給されますが、「1年6カ月を限度」とする規定はなく、療養のため休業し賃金を受けない間は支給が継続されます。
- 選択肢 2不正解
- 傷病(補償)年金は、療養開始後「1年」ではなく「1年6カ月」を経過した日において傷病が治っておらず、傷病等級に該当する場合に支給されます。
- 選択肢 3正解
- 遺族(補償)年金の受給資格者は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹であり、受給権者が失権した場合は後順位者へと転給が行われます。
- 選択肢 4不正解
- 遺族特別支給金の額は、受給権者の人数にかかわらず一律「300万円」と定められており、1人当たり100万円ではありません。
覚えるポイント
- 労災保険の遺族(補償)年金は転給があるが、遺族厚生年金には転給制度がない点に留意
間違えやすいところ
- 傷病補償年金の支給要件である経過期間を1年と1年6カ月で混同しないよう注意する
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の教育訓練給付
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 一般教育訓練給付金 / 専門実践教育訓練給付金 / 教育訓練支援給付金
雇用保険の教育訓練給付に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
雇用保険の専門実践教育訓練給付金は、中長期的キャリア形成のための教育訓練を支援する制度で、受講費用の50%(年間上限40万円)に加えて、資格取得かつ1年以内の雇用保険被保険者としての就職により20%(年間上限16万円)が追加給付されます。
解き方
- 一般教育訓練および専門実践教育訓練の支給要件、給付率、支給上限額を整理する。
- 3年間の専門実践教育訓練における追加給付を含めた最大支給額(56万円×3年=168万円)を計算して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 受講開始日において被保険者でない者の場合、被保険者資格を喪失した日(離職日)から受講開始日までの期間は原則として「1年以内」である必要があります(妊娠・出産等による適用対象期間の延長特例は最長4年)。
- 選択肢 2不正解
- 一般教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の20%相当額ですが、支給上限額は「10万円」とされています(20万円ではありません)。
- 選択肢 3正解
- 専門実践教育訓練において、受講修了後に資格取得等を果たし1年以内に雇用された場合、給付率は最大70%(年間上限56万円)となり、訓練期間3年の場合は最大168万円が支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 教育訓練支援給付金の日額は、基本手当と同額ではなく、離職前賃金に基づく基本手当日額の「80%」に相当する額となります。
覚えるポイント
- 専門実践教育訓練給付金の追加支給込みの給付率は70%(年間上限56万円・最長3年で最大168万円)
間違えやすいところ
- 一般教育訓練の上限10万円と専門実践教育訓練の各上限額を混同しないようにする
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金保険料の免除・追納・後納制度
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金 / 法定免除 / 保険料納付猶予制度 / 追納 / 後納制度
国民年金保険料に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
国民年金保険料の免除や猶予を受けた期間の保険料は過去10年以内であれば追納が可能ですが、承認を受けた年度の翌々年度(3年度目)を超えて追納する場合は、経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
解き方
- 法定免除の事由(障害基礎年金、生活扶助等であり遺族基礎年金は含まれない)を確認する。
- 納付猶予制度の対象年齢(50歳未満)および後納制度の時限措置の実施状況を確認する。
- 2015年度から2019年度への追納は3年度目以降の納付となるため、加算額が上乗せされる規定に合致することを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 法定免除の対象は障害基礎年金等を受給している者や生活保護の生活扶助を受けている者などであり、遺族基礎年金の受給者は法定免除の対象ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 保険料納付猶予制度の対象年齢は、2016年7月の改正により30歳未満から「50歳未満」に拡大されています。
- 選択肢 3正解
- 免除等の承認を受けた日の属する年度の翌々年度(3年度目)以後に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
- 選択肢 4不正解
- 過去5年以内の未納保険料を納付できる後納制度の特例は、2018年9月30日をもって終了しており、2018年10月1日現在は利用できません。
覚えるポイント
- 国民年金保険料の追納は承認の翌々年度を過ぎると加算額が上乗せされる
間違えやすいところ
- 遺族基礎年金受給者は国民年金の法定免除の対象とならない点に注意する
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢厚生年金および老齢基礎年金の繰上げ請求
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 特別支給の老齢厚生年金 / 支給繰上げ / 減額率
1959年6月3日生まれの男性Aさんが、60歳到達月に老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給の請求を行った場合、受給できる年金額の合計額として最も適切なものを1つ選びなさい。なお、繰上げをしなかった場合の年金額は以下のとおりとする。 〈Aさんに対する老齢給付の額〉 ・64歳時の特別支給の老齢厚生年金の額:1,120,000円(報酬比例部分の額) ・65歳時の老齢基礎年金の額:779,300円 ・65歳時の老齢厚生年金の額:1,510,500円(報酬比例部分:1,120,000円、経過的加算額:700円、配偶者加給年金額:389,800円)
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解答
2
解説
繰上げ支給の減額率は1月あたり0.5%です。特別支給の老齢厚生年金の受給権がある昭和34年6月生まれの男性(支給開始64歳)が60歳で全部繰上げを行う場合、老齢厚生年金は64歳までの48カ月分(24%減額)、老齢基礎年金は65歳までの60カ月分(30%減額)となります。なお、加給年金額は繰上げ受給中(65歳未満)は加算されません。
解き方
- Aさんの本来の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢(64歳)および老齢基礎年金の支給開始年齢(65歳)を確認し、60歳到達時からの繰上げ月数を算定する(厚年:48月、基年:60月)。
- それぞれの減額率を計算する。老齢基礎年金:60月×0.5%=30%。老齢厚生年金(報酬比例部分+経過的加算額):48月×0.5%=24%。
- 年金額を計算する。繰上げ老齢基礎年金:779,300円×(1-0.30)=545,510円。繰上げ老齢厚生年金:(1,120,000円+700円)×(1-0.24)=851,732円。
- 合計額を算出し、端数処理(100円未満四捨五入)を行う。545,510円+851,732円=1,397,242円 → 1,397,200円。
- 選択肢 1不正解
- 老齢厚生年金と老齢基礎年金の双方を60カ月繰上げ(30%減額)し、かつ経過的加算を考慮しない計算等であり、誤りです。
- 選択肢 2正解
- 老齢基礎年金545,510円(30%減額)と老齢厚生年金851,732円(24%減額)の合計1,397,242円を100円未満四捨五入した1,397,200円が適切です。
- 選択肢 3不正解
- 老齢厚生年金と老齢基礎年金の双方を一律に48カ月繰上げ(24%減額)として計算した値であり、誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 配偶者加給年金額を含めて計算した誤りです。加給年金額は65歳未満の繰上げ受給期間中には支給されません。
覚えるポイント
- 特別支給の老齢厚生年金の繰上げ減額率は本来の特別支給開始年齢までの月数で算出する
間違えやすいところ
- 加給年金額は繰上げ受給中(65歳未満)には支給されない点を見落とさないようにする
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金の中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / 個人型年金 / 中小事業主掛金納付制度 / iDeCo+ / 拠出限度額
確定拠出年金の個人型年金における中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
2
解説
iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、企業年金を実施していない中小企業の事業主が、iDeCoに加入している従業員の掛金に追加して拠出できる制度です。公平性の観点から、職種や勤続年数等の基準を設ける場合でも同一区分内では同額を拠出しなければなりません。
解き方
- 2018年10月時点での制度対象となる企業規模要件(使用する従業員数が100人以下)を確認する。
- 事業主掛金の同額拠出ルール、加入者掛金との合計限度額(月額23,000円)のルール、税務上の取扱い(従業員側非課税、企業側全額損金)を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 2018年10月1日現在の法令において、本制度の対象となる事業主は従業員数「100人以下」とされていました(その後300人以下に拡大)。
- 選択肢 2正解
- 職種や勤続期間等の基準により掛金額に格差を設ける場合であっても、同一職種内または同一基準の範囲内では対象者全員の中小事業主掛金が同額でなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 加入者掛金と中小事業主掛金の合計額が限度額(月額23,000円)以下である必要がありますが、中小事業主掛金が加入者掛金の額を超えてはならないという制限はありません。
- 選択肢 4不正解
- 中小事業主掛金は、事業主側では全額損金算入され、加入者(従業員)側では給与所得として課税されず非課税扱いとなります。
覚えるポイント
- 中小事業主掛金は従業員側では給与課税されず非課税扱いとなる
間違えやすいところ
- 企業型DCのマッチング拠出(事業主掛金を超えない)とiDeCo+のルールを混同しないようにする
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)
ライフプランニングと資金計画 · 中退共 / 掛金助成 / 基本退職金 / 付加退職金 / 分割払い
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
4
解説
中退共は単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業のための共済制度です。退職金の受取方法は一時金払いが原則ですが、60歳以上で所定の金額要件を満たす場合は5年分割(80万円以上)または10年分割(150万円以上)を選択できます。
解き方
- 国の掛金助成(新規加入助成は4カ月目から1年間、月額変更助成は18,000円以下が対象)の要件を確認する。
- 基本退職金の算定要素(掛金月額と納付月数のみであり、退職理由や年齢は無関係)を確認する。
- 全額分割払いの要件(60歳以上、5年分割は80万円以上、10年分割は150万円以上)に合致することを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 新規加入助成は、加入月からではなく「加入した日の属する月の翌月から起算して4カ月目から1年間」受けられます。
- 選択肢 2不正解
- 月額変更助成の対象となるのは、掛金月額が「18,000円以下」の従業員の掛金を増額する場合であり、2万円以下ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 基本退職金の額は掛金月額と納付月数によって一律に定められており、退職理由や退職時の年齢は算定要素に含まれません。
- 選択肢 4正解
- 退職金全額の分割払い(5年間)を選択するには、退職日において60歳以上であり、かつ退職金額が80万円以上である必要があります(10年分割は150万円以上)。
覚えるポイント
- 中退共の退職金額は掛金月額と納付月数のみで決まり退職理由や年齢には影響されない
間違えやすいところ
- 新規加入助成は加入月からではなく加入後4カ月目から助成される点に注意する
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅金融支援機構のフラット35およびリ・バース60
ライフプランニングと資金計画 · 住宅ローン / フラット35 / リ・バース60 / 総返済負担率 / リバースモーゲージ
住宅金融支援機構のフラット35およびリ・バース60に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅融資保険を活用したリバースモーゲージ型住宅ローンです。生存中の返済は利息のみとし、元金は死亡時に相続人が一括返済するか担保物件の売却により精算します。
解き方
- フラット35の総返済負担率基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)および資金使途要件(投資用は不可)を確認する。
- リ・バース60のリフォーム資金における融資限度額の規定および毎月の返済内容(利息のみ)を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- すべての借入れを含めた年収に対する年間返済額の割合(総返済負担率)は、年収400万円未満は「30%以下」、年収400万円以上は「35%以下」です。
- 選択肢 2不正解
- フラット35は本人または親族が自ら居住するための住宅を対象としており、投資用物件など第三者への賃貸目的の取得は対象外です。
- 選択肢 3正解
- 長期優良住宅以外のリフォーム資金の場合、融資限度額は「1,500万円」「リフォーム費用」「担保物件の評価額の50%または60%」のうち最も低い額となります。
- 選択肢 4不正解
- リ・バース60の生存中の返済内容は「利息のみ」の支払いであり、元利金の返済ではありません。
覚えるポイント
- リ・バース60の生存中の返済は利息のみであり元金返済は死亡時精算となる
間違えやすいところ
- フラット35の総返済負担率(30%/35%)と基準年収(400万円)の数値を正確に覚える
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険契約者保護機構の制度概要
リスク管理 · 保険契約者保護機構 / 生命保険契約者保護機構 / 損害保険契約者保護機構 / 少額短期保険業者
保険契約者保護機構に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
保険契約者保護機構は、保険会社が経営破綻した場合に保険契約者の保護を図るための制度であり、生命保険と損害保険でそれぞれ機構が設置されています。少額短期保険業者や共済は対象外であり、契約類型や破綻からの期間に応じて責任準備金等の補償限度率が定められています。
解き方
- 少額短期保険業者が保護機構の会員対象外であることを確認する。
- 生命保険契約および損害保険契約の各契約種別における補償割合の規定を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 少額短期保険業者は保険業法上の登録業者ですが、保険契約者保護機構の会員ではないため、破綻時の機構による補償対象外となります。
- 選択肢 2不正解
- 生命保険契約者保護機構では、変額保険等の特定特別勘定部分を除き、国内元受契約について高予定利率契約を除き責任準備金等の90%まで補償されます。
- 選択肢 3正解
- 個人が締結した年金払積立傷害保険契約などの積立型損害保険契約は、高予定利率契約を除き責任準備金等の90%まで補償されるため、80%とする記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 自動車保険(任意加入)は個人・法人を問わず、破綻後3カ月以内の事故であれば保険金等の100%、3カ月経過後は80%が補償されます。
覚えるポイント
- 個人が締結した積立型損害保険の責任準備金等の補償割合は90%であること。
間違えやすいところ
- 自動車保険の破綻後3カ月以内の100%補償は、個人契約だけでなく法人契約も対象となる点を見落としやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約の各種手続および約款の規定
リスク管理 · 契約者貸付 / 被保険者の離脱請求権 / 個人年金保険料税制適格特約 / 死亡保険金支払期限
生命保険契約の各種手続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
生命保険契約の維持管理における契約者貸付限度額、保険法に定める被保険者の同意撤回・解除請求権、個人年金保険料税制適格特約の取扱制限、約款上の保険金支払期日などの各規定を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 契約者貸付の借入限度額(解約返戻金の一定範囲内)を確認する。
- 保険法上の被保険者による解除請求権の相手方(契約者に対する請求)を精査する。
- 個人年金保険料税制適格特約の払済変更や名義変更の制限要件を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 契約者貸付により貸付を受けられる金額は、解約返戻金の全額(相当額)ではなく、通常その所定の範囲内(7~9割程度)となります。
- 選択肢 2不正解
- 被保険者は、保険契約者に対して当該契約を解除することを請求できるのであり、直接保険会社に対して契約の解除を請求することはできません。
- 選択肢 3正解
- 税制適格要件(保険料払込期間が10年以上等)を充たす必要があるため、契約日から10年以内の払済年金への変更や受取人変更は認められません。
- 選択肢 4不正解
- 保険会社の一般的な約款では、必要書類が保険会社に到着した日の翌日から起算して「5営業日以内」に支払うこととされています。
覚えるポイント
- 税制適格特約付き個人年金保険は、10年以内の払済年金化や契約内容変更が制限される。
間違えやすいところ
- 被保険者の契約解除請求は契約者に対して行うものであり、保険会社に直接請求できると誤認しやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建終身保険の仕組みと税務
リスク管理 · 外貨建終身保険 / 特定保険契約 / クーリング・オフ / 解約控除 / 生命保険料控除
外貨建終身保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
外貨建保険は為替リスク等を伴う特定保険契約に該当しますが、クーリング・オフ等の消費者保護ルールの対象となります。また、税務上は通貨の種類にかかわらず、一般の国内生命保険と同様の生命保険料控除や死亡保険金の非課税枠が適用されます。
解き方
- 特定保険契約とクーリング・オフ制度の関係を確認する。
- 積立利率の意味(保険料全体ではなく積立部分に適用される利率)を確認する。
- 解約控除率が経過期間に応じて漸減する一般的な設計を考慮する。
- 税制上の恩典(生命保険料控除・死亡保険金非課税枠)が外貨建にも等しく適用されることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 外貨建終身保険は特定保険契約に該当しますが、クーリング・オフ制度(申込みの撤回等)の対象外とはならず、原則として適用されます。
- 選択肢 2不正解
- 積立利率は、支払保険料全体に対する利回りではなく、支払保険料から諸経費等を控除した積立金部分に乗じる利率です。
- 選択肢 3不正解
- 早期解約時の解約控除率は経過期間の長短にかかわらず一律ではなく、通常は契約年数の経過に伴って段階的に小さくなります。
- 選択肢 4正解
- 外貨建保険であっても、税務上は円貨換算した金額で所得税の生命保険料控除や相続税の非課税限度額の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 外貨建生命保険も円建と同様に生命保険料控除や死亡保険金非課税限度額の適用対象である。
間違えやすいところ
- 積立利率を「支払った保険料総額」に対する利回りと混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の課税関係
リスク管理 · 個人年金保険 / 源泉徴収 / 支払調書 / 年金の一括受領 / 外貨建年金の解約差益
個人年金保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、契約者(=保険料負担者)・被保険者・年金受取人は同一人であり、契約者は個人(居住者)であるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
契約者・被保険者・年金受取人が同一人の個人年金保険において、年金として受領する差益は雑所得となります。年間の雑所得金額が25万円以上の場合は源泉徴収が行われます。年金受取開始後の一括受取は一時所得ではなく雑所得となり、解約返戻金に係る差益は原則として一時所得となります。
解き方
- 個人年金の年金受取時の源泉徴収基準(差引年25万円以上で10.21%)を確認する。
- 生命保険金等の支払調書の提出基準を確認する。
- 年金支払開始後の一括受領金の所得区分(雑所得)を判断する。
- 外貨建個人年金の満期時・解約時における為替差益を含む解約差益の所得区分(一時所得)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 年金額からそれに対応する保険料等の額を控除した残額が年25万円以上である場合、10.21%の税率により源泉徴収されます。
- 選択肢 2不正解
- 生命保険会社が税務署長へ提出する年金支払調書は、年間支払額が一定額(20万円)を超える場合に提出が義務付けられています。基準は「差引額」ではなく「支払金額」です。
- 選択肢 3不正解
- 年金支払開始後に将来の年金を一括して前払いで受領した場合の一時金は、一時所得ではなく「雑所得」として課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 外貨建個人年金保険を解約したことによる解約差益(為替差益を含む)は、源泉分離課税の対象となる一時払養老保険等(5年以内)に該当しない限り、全額が「一時所得」として課税されます。
覚えるポイント
- 個人年金の年金受取時の源泉徴収基準は差額年25万円以上で税率10.21%。
間違えやすいところ
- 年金支払開始後の保証期間分の一括受取金を、解約返戻金と同様に一時所得と誤認しやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級(ノーカウント事故)
リスク管理 · 自動車保険 / ノンフリート等級制度 / ノーカウント事故 / 事故有係数
任意の自動車保険(保険期間1年)のノンフリート等級別割引・割増制度において、次の事故のうち、一般に「ノーカウント事故」に該当するものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 人身傷害(補償)保険の保険金のみが支払われた事故 (b) ファミリーバイク特約の保険金のみが支払われた事故 (c) 自動車の盗難により車両保険の保険金のみが支払われた事故 (d) 自動車の走行中に飛び石で窓ガラスが破損したことにより車両保険の保険金のみが支払われた事故
解答・解説を表示
解答
2
解説
ノンフリート等級別割引・割増制度において、事故は「3等級ダウン事故」「1等級ダウン事故」「ノーカウント事故」に区分されます。人身傷害保険や各種特約のみの使用は原則としてノーカウント事故ですが、車両保険における盗難や飛び石事故は「1等級ダウン事故」として扱われます。
解き方
- (a) 人身傷害保険金のみの支払いは「ノーカウント事故」に該当する。
- (b) ファミリーバイク特約のみの支払いは「ノーカウント事故」に該当する。
- (c) 車両の盗難による車両保険金のみの支払いは「1等級ダウン事故」に該当する。
- (d) 飛び石による窓ガラス破損による車両保険金のみの支払いは「1等級ダウン事故」に該当する。
- したがって、ノーカウント事故に該当するものは(a)と(b)の2つである。
- 選択肢 1不正解
- ノーカウント事故は2つ存在するため、1つとする選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (a)人身傷害保険のみ、(b)ファミリーバイク特約のみの2つがノーカウント事故に該当するため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 盗難および飛び石は1等級ダウン事故であるため、3つとする選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 4つ全てがノーカウント事故ではないため誤りです。
覚えるポイント
- 盗難・飛び石・台風・落書き等による車両保険の使用は「1等級ダウン事故」であること。
間違えやすいところ
- かつて等級据え置き事故として扱われていた盗難や飛び石事故が、制度改定により1等級ダウン事故に変更された点を見落としやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の制度概要と補償内容
リスク管理 · 地震保険 / 保険料割引制度 / 保険期間 / 損害認定基準
地震保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき政府と民間保険会社が共同で運営する公的な保険です。割引率は所定の4種類があり、保険期間は最長5年、補償区分は全損・大半損・小半損・一部損の4区分で、盗難や紛失は補償の対象外とされています。
解き方
- 地震保険の各種割引制度の割引率(耐震診断10%、建築年10%、免震50%、等級10/30/50%)を照合する。
- 地震保険の最長保険期間(原則5年)を確認する。
- 地震等の混乱に乗じた紛失・盗難が免責事由である点を確認する。
- 損害認定の4区分の支払割合(全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 耐震診断割引(10%)、建築年割引(10%)、免震建築物割引(50%)、耐震等級割引(等級1: 10%、等級2: 30%、等級3: 50%)の区分はすべて正しい記述です。
- 選択肢 2不正解
- 地震保険の保険期間は、火災保険の保険期間を限度として「最長5年」とされています(10年ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 地震保険では、地震等に際して生じた紛失や盗難によって生じた損害は補償の対象外(免責)となります。
- 選択肢 4不正解
- 支払われる保険金の額は、全損で100%、大半損で60%、小半損で30%、一部損で5%です(75%、50%、25%ではありません)。
覚えるポイント
- 地震保険の支払割合は全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%。
間違えやすいところ
- 火災保険の長期期間(当時最長10年)と地震保険の最長期間(最長5年)を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
企業分野の賠償責任保険の補償内容
リスク管理 · 賠償責任保険 / 生産物賠償責任保険(PL保険) / 施設所有管理者賠償責任保険 / 請負業者賠償責任保険 / 個人情報漏洩保険
各種賠償責任保険の一般的な補償内容に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとし、特約の付帯はないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
企業活動に伴う賠償責任保険は事故の発生時期や起因する業務によって分かれます。作業遂行中・施設起因事故は施設所有(管理)者賠償責任保険や請負業者賠償責任保険、仕事の完成後・引渡し後の事故は生産物賠償責任保険(PL保険)の対象となり、受託物に関する賠償事故は受託者賠償責任保険の対象となります。
解き方
- 配膳中の衣服汚損は業務遂行中の事故(施設所有(管理)者賠償責任保険の対象)である点を確認する。
- 預かり品の盗難事故は受託者賠償責任保険の対象である点を確認する。
- 工事完了・引渡し後の水漏れ事故は生産物賠償責任保険(PL保険)の対象である点を確認する。
- 個人情報漏洩保険が業務委託先での漏洩事故による賠償責任もカバーすることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 料理の配膳中(業務遂行中)に衣服を汚損した事故は、PL保険ではなく「施設所有(管理)者賠償責任保険」の補償対象です。
- 選択肢 2不正解
- 顧客から預かった荷物の保管中の損害は、施設所有(管理)者賠償責任保険の免責条項に該当し、「受託者賠償責任保険」の補償対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 工事完了・引渡し後に発生した仕事の結果に起因する水漏れ事故は、請負業者賠償責任保険ではなく「生産物賠償責任保険(PL保険)」の補償対象です。
- 選択肢 4正解
- 個人情報漏洩保険では、外部委託先で発生した情報漏洩事故により被保険者が負担する法律上の損害賠償責任も一般に補償対象となります。
覚えるポイント
- 仕事の完了・引渡し後に発生した事故は生産物賠償責任保険(PL保険)で補償される。
間違えやすいところ
- 業務遂行中の事故(施設・請負)と仕事の完成・引渡し後の事故(PL)を取り違えやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
わが国の物価指標の概要と特徴
金融資産運用 · 物価指標 / 消費者物価指数(CPI) / 企業物価指数(CGPI) / GDPデフレーター
わが国の物価指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
わが国の主な物価指標には消費者物価指数(総務省、財・サービス対象)、企業物価指数(日本銀行、財のみ対象)、企業向けサービス価格指数(日本銀行、サービス対象)、GDPデフレーター(内閣府、国内総生産に関する総合的物価指標)などがあり、対象範囲や公表主体が異なります。
解き方
- 消費者物価指数(CPI)の対象が家計消費財・サービスに限定されている点を確認する。
- 企業物価指数(CGPI)の測定対象が「財」であり、サービスは対象外である点を確認する。
- 輸入デフレーターの上昇がGDPデフレーター(国内要因による物価指標)の控除項目となるため下落要因になる点を確認する。
- 各指数の作成・公表府省庁および公表周期を比較する。
- 選択肢 1不正解
- 消費者物価指数は消費者が購入する財やサービスが対象であり、原材料や中間財、企業の設備機械は含まれません。
- 選択肢 2正解
- 企業物価指数は企業間で取引される「財(商品)」の価格変動を測定するものであり、企業が提供するサービスの価格変動は含まれません(サービスは「企業向けサービス価格指数」の対象)。
- 選択肢 3不正解
- GDPデフレーターの算出上、輸入は控除項目であるため、輸入品価格の上昇が国内最終価格に十分に転嫁されない場合、下落要因として作用します。
- 選択肢 4不正解
- 消費者物価指数は総務省(毎月)、企業物価指数は日本銀行(毎月)、GDPデフレーターは内閣府(四半期GDP速報と同時)に公表されます。
覚えるポイント
- 企業物価指数は「モノ(財)」が対象で、企業間「サービス」は企業向けサービス価格指数で公表される。
間違えやすいところ
- 企業物価指数がモノだけでなく企業向けサービスも包括していると勘違いしやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
信託商品の一般的な特徴
金融資産運用 · 信託商品 / 生命保険信託 / 暦年贈与信託 / 後見制度支援信託 / 遺言代用信託
信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
各種信託商品は、信託法および金融機関の信託業務の枠組みを活用し、委託者の意向に沿って財産の管理・承継・給付を柔軟に設計できる金融商品です。
解き方
- 各信託商品(生命保険信託、暦年贈与信託、後見制度支援信託、遺言代用信託)の定義および運用要件を確認する。
- 選択肢1の生命保険信託の記述が定義・法的位置付けとして正確であることを確認し、他の選択肢の誤りを判定する。
- 選択肢 1正解
- 記述のとおり、委託者が保険金請求権を信託し、保険金支払事由が生じた際に受託者が受領して指定された受益者に交付する制度です。
- 選択肢 2不正解
- 暦年贈与信託の年間給付額は110万円に限定されておらず、110万円を超える金額を設定することも可能です(その場合は基礎控除を超えた部分に贈与税が課税されます)。
- 選択肢 3不正解
- 後見制度支援信託の対象者は成年被後見人および被保佐人(成年後見および保佐)等であり、被補助人は対象とされていません。
- 選択肢 4不正解
- 遺言代用信託は金銭等の財産そのものを信託するものであり、遺言書そのものを信託して遺言執行を行う業務(遺言信託業務)とは異なります。
覚えるポイント
- 生命保険信託は保険金請求権を信託財産とする
- 遺言代用信託は金銭等の財産を信託し遺言によらずに財産を承継させる仕組み
間違えやすいところ
- 遺言信託(遺言書の保管・遺言執行)と遺言代用信託(信託財産そのものを直接承継)を混同しやすいので注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人向け国債の仕組みと課税関係
金融資産運用 · 個人向け国債 / 利子所得 / 損益通算 / 中途換金
個人向け国債に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
個人向け国債の利子は特定公社債の利子として申告分離課税の対象となり、上場株式等の譲渡損失との間で損益通算を行うことができます。
解き方
- 個人向け国債の税務上の位置付け(特定公社債等)を確認する。
- 上場株式等および特定公社債等の利子・配当・譲渡損益の間での損益通算が可能である税法規定を適用して誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 個人向け国債は原則毎月発行され、購入単位は1万円単位、発行条件や中途換金の計算ルールは国が定めているため取扱機関による差異はありません。
- 選択肢 2不正解
- 固定3年の適用利率は基準金利-0.03%、固定5年は基準金利-0.05%であり、いずれも下限金利として年0.05%が保証されています。
- 選択肢 3正解
- 個人向け国債の利子は特定公社債の利子として申告分離課税を選択できるため、上場株式等の譲渡損失と損益通算することができます。
- 選択肢 4不正解
- 原則として発行後1年間(第2期利子支払期前)は中途換金できませんが、保有者が死亡した場合や大規模災害で被災した場合は例外として1年未満でも中途換金が可能です。
覚えるポイント
- 特定公社債の利子と上場株式等の譲渡損失は損益通算可能
- 個人向け国債の最低金利保証は年0.05%
- 死亡時・災害時は発行後1年以内でも中途換金可能
間違えやすいところ
- 預貯金の利子は利子割(源泉分離課税)で通算不可だが、特定公社債の利子は申告分離課税・損益通算が可能である点を取り違えないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券投資とイールドカーブ
金融資産運用 · 利回り曲線 / イールドカーブ / 順イールド / 逆イールド / ロールダウン効果
債券投資とイールドカーブに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
イールドカーブ(利回り曲線)は残存年数と利回りの関係を表し、右上がりを「順イールド」、右下がりを「逆イールド」、傾きが急になることを「スティープ化」、平坦化することを「フラット化」といいます。
解き方
- イールドカーブの各形状の用語(順イールド・逆イールド・フラット・スティープ)の定義を確認する。
- 選択肢2が逆イールドの定義として正しく合致していることを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 短期利回りよりも長期利回りのほうが高く右上がりとなる形状は「順イールド(ポジティブ・イールドカーブ)」といいます。パー・イールドは額面価格と債券価格が一致するときの利回りを指します。
- 選択肢 2正解
- 短期利回りよりも長期利回りのほうが低く右下がりとなる形状は「逆イールド(インバーテッド・イールドカーブ)」と呼ばれ、記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 長短利回り格差が縮小して平坦になることは「フラット化」といいます。格差が拡大して傾きが急になることが「スティープ化」です。
- 選択肢 4不正解
- ロールダウン効果は、イールドカーブが「順イールド」のときに保有年数の経過に伴い残存期間が短縮して利回りが低下(債券価格が上昇)することで得られる効果です。
覚えるポイント
- 右上がり=順イールド、右下がり=逆イールド
- 傾斜が急=スティープ化、傾斜が緩やか=フラット化
- ロールダウン効果は順イールド環境で発生する
間違えやすいところ
- ロールダウン効果は利回りが低下して価格が上昇する効果なので、順イールド(残存期間が短くなるほど利回りが低い)でなければ生じない点に注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米国の株価指標等の特徴
金融資産運用 · ナスダック総合指数 / ダウ工業株30種平均 / バフェット指数 / VIX指数
米国の株価指標等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
主要な株価指数には時価総額加重平均型(S&P500、NASDAQ総合など)と株価平均型(ダウ平均など)があり、それぞれ対象銘柄と算出方法が異なります。
解き方
- ナスダック総合指数、ダウ工業株30種平均の算出方式(株価平均型か時価総額加重型か)を照合する。
- バフェット指数の分子・分母の定義(時価総額÷名目GDP)とVIX指数の意味(恐怖指数・警戒感)を確認して誤りを除く。
- 選択肢 1正解
- ナスダック総合指数はNASDAQに上場しているすべての銘柄を対象とした時価総額加重型の指数です。
- 選択肢 2不正解
- ダウ工業株30種平均は時価総額加重型ではなく「株価平均型(修正平均)」の指数です。また、NASDAQ上場銘柄も構成銘柄に含まれています。
- 選択肢 3不正解
- バフェット指数は「株式市場の時価総額÷名目GDP×100」で算出されます。選択肢は分子と分母が逆になっています。
- 選択肢 4不正解
- VIX指数(恐怖指数)は数値が高まるほど投資家の将来への不安・ボラティリティ急上昇の警戒感が高まっている状態を示します。
覚えるポイント
- ナスダック総合指数=全銘柄・時価総額加重型
- NYダウ=30銘柄・株価平均型
- バフェット指数=株式時価総額÷名目GDP
- VIX指数=市場の不安心理(恐怖指数)
間違えやすいところ
- NYダウを時価総額加重型と勘違いしやすい(S&P500が時価総額加重型)。
- バフェット指数の分母と分子を取り違えやすいので注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の信用取引
金融資産運用 · 制度信用取引 / 委託保証金 / 代用有価証券 / 投資者保護基金
株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
信用取引の委託保証金は現金以外に有価証券で代用できますが、代用有価証券の評価は銘柄の種類ごとに時価に対して所定の代用掛目を乗じた額で評価されます。
解き方
- 代用有価証券の評価方法(時価×代用掛目であり額面ではない)を確認する。
- 選択肢3が「額面金額の金銭を差し入れたものと同等」としているため誤りと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 制度信用取引は取引所規則により対象銘柄、弁済期限(原則6カ月)、品貸料(逆日歩)等の条件が一律に定められています。
- 選択肢 2不正解
- 委託保証金率が30%の場合、建玉上限額は30万円÷30%=100万円となるため、記述は適切です。
- 選択肢 3正解
- 代用有価証券としての国債の評価額は、額面金額ではなく時価に一定の評価率(掛目:95%)を乗じた金額となります。
- 選択肢 4不正解
- 証券会社に差し入れられた委託保証金および代用有価証券は顧客資産として分別管理され、日本投資者保護基金の補償対象(上限1,000万円)に含まれます。
覚えるポイント
- 委託保証金の代用有価証券は時価×掛目で評価(国債95%、上場株式80%等)
- 信用取引の委託保証金・代用証券は分別管理・投資者保護基金の対象
間違えやすいところ
- 国債代用の評価額を「額面金額」とする誤りに注意する(時価に掛目を乗じる)。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオ理論(相関係数の計算)
金融資産運用 · 相関係数 / 標準偏差 / 共分散
次の〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉から算出されるA資産とB資産の相関係数として、最も適切なものはどれか。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉 ・A資産:期待収益率 4.25%、標準偏差 5.75% ・B資産:期待収益率 5.50%、標準偏差 7.25% ・A資産とB資産の共分散:36.50
解答・解説を表示
解答
4
解説
相関係数(ρ)は、2資産間の共分散を各資産の標準偏差の積で割ることによって求められ、-1から+1の間の値をとります。
解き方
- 相関係数の計算式:相関係数 = 共分散 ÷ (標準偏差A × 標準偏差B) を確認する。
- 数値を代入する:36.50 ÷ (5.75 × 7.25) = 36.50 ÷ 41.6875 = 0.87555...
- 小数点以下第3位を四捨五入して0.88を導く。
- 選択肢 1不正解
- 0.07は計算結果と一致しません。
- 選択肢 2不正解
- 0.57は計算結果と一致しません。
- 選択肢 3不正解
- 0.64は計算結果と一致しません。
- 選択肢 4正解
- 36.50 ÷ (5.75 × 7.25) = 0.8755... となり、四捨五入して0.88となるため最も適切です。
覚えるポイント
- 相関係数 = 共分散 ÷ (標準偏差A × 標準偏差B)
- 相関係数の範囲は -1 ≦ ρ ≦ 1
間違えやすいところ
- 期待収益率は相関係数の計算には使用しないダミー数値であるため計算に混ぜないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)
金融資産運用 · ジュニアNISA / 非課税枠 / 払出し制限 / 金融機関変更
「未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置」(ジュニアNISA)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
ジュニアNISAは0〜19歳(当時)の未成年者を対象とした年間80万円の非課税投資制度であり、原則として18歳まで払出し制限が課されますが、口座内での売却・再投資は可能です。
解き方
- ジュニアNISAの年間非課税限度額(80万円)、運用管理者(2親等以内の親族等)、払出し制限の規定を確認する。
- 金融機関変更の可否(ジュニアNISAは口座開設後の金融機関変更が不可)を確認する。
- 選択肢3が口座内での売却代金の再投資について正しい記述であることを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 運用管理者になれるのは、原則として法定代理人または法定代理人から委任を受けた「2親等以内の親族」等であり、4親等以内ではありません。
- 選択肢 2不正解
- ジュニアNISAの年間非課税投資枠は80万円です(120万円は一般NISAの限度額)。
- 選択肢 3正解
- 払出し制限期間中であっても、口座内にある売却代金や配当金を用いて年間投資枠の範囲内で新たな上場株式等を購入(再投資)することができます。
- 選択肢 4不正解
- 一般NISAやつみたてNISAとは異なり、ジュニアNISAは金融機関の変更を行うことができません(変更する場合は一度口座を廃止して全額払い出す必要があります)。
覚えるポイント
- ジュニアNISAの年間投資枠は80万円
- 18歳(3月31日基準の前年12月末)まで払出し制限あり
- 金融機関の変更は不可(廃止が必要)
- 口座内での再投資は可能
間違えやすいところ
- 一般NISA(年間120万円、金融機関変更可)のルールと混同しないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融ADR制度(裁判外紛争解決制度)
金融資産運用 · 金融ADR制度 / 指定紛争解決機関 / 紛争解決手続 / 情報の公開・非公開
金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
金融ADR制度は、金融機関と顧客の間のトラブルを裁判によらず専門的かつ迅速に解決する制度で、手続は当事者のプライバシーや営業秘密を守るため非公開が原則です。
解き方
- 金融ADR制度における指定紛争解決機関の手続規則および公開・非公開の原則を確認する。
- 手続過程および成立した和解内容等は非公開が原則であることを確認し、選択肢4を不適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 全国銀行協会、信託協会、生命保険協会、日本損害保険協会、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)などが各分野の指定紛争解決機関に指定されています。
- 選択肢 2不正解
- 指定紛争解決機関の業務には、紛争解決手続(あっせん等)だけでなく苦情処理手続も含まれます。
- 選択肢 3不正解
- 金融機関側には「手続応諾義務」および「説明・資料提出義務」が法令上課されています。
- 選択肢 4正解
- 紛争解決手続は非公開で行われ、和解成立後も手続の内容は原則として非公開です。
覚えるポイント
- 金融ADRの手続は非公開が原則
- 対象金融機関には手続応諾義務や説明・資料提出義務がある
間違えやすいところ
- 裁判所の判決は公開が原則だが、ADR(裁判外紛争解決手続)は非公開が原則である点を取り違えないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の非課税所得
タックスプランニング · 非課税所得 / ふるさと納税の返礼品 / 通勤手当 / 雇用保険の給付
所得税における非課税所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得税法では社会政策的見地や二重課税防止の観点から一部の所得を非課税所得と定めていますが、ふるさと納税の返礼品による経済的利益は一時所得として課税対象となります。
解き方
- 所得税法および関係法令における非課税所得(通勤手当、生活用動産の譲渡益、雇用保険給付など)の規定を確認する。
- ふるさと納税の返礼品が一時所得として課税対象(特別控除額50万円を控除した後の残額が課税)となる取扱いを適用して誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 交通機関等を利用して通勤する給与所得者が受ける通勤手当は、最も経済的かつ合理的な運賃等の額で月額15万円を限度に非課税とされます。
- 選択肢 2不正解
- 家具・什器・衣服などの生活用動産の譲渡所得は非課税ですが、貴金属・宝石・骨とう等で1個または1組の価額が30万円を超えるものは課税対象となり、30万円以下であれば非課税となります。
- 選択肢 3正解
- ふるさと納税の返礼品として受領した物品等の経済的利益は一時所得に該当し、返礼割合が3割以下であっても非課税とはならず、他の一時所得と合算して年間50万円の特別控除額を超えれば課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 雇用保険法の規定により支給される基本手当や高年齢雇用継続給付などの失業等給付は、受給額の多寡にかかわらず全額が非課税とされています。
覚えるポイント
- ふるさと納税の返礼品は一時所得として扱われ非課税枠はない
- 通勤手当の非課税限度額は月額15万円
間違えやすいところ
- ふるさと納税の総務省告示上の返礼割合3割以下という募集適正基準と、所得税法の課税関係を混同しないようにする。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の計算と取扱い
タックスプランニング · 不動産所得 / 損害賠償金 / 必要経費 / 事業的規模
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産所得の総収入金額には賃料・更新料・敷金のうち返還を要しないもののほか賃料の代わりとなる損害賠償金が含まれ、必要経費や損失の処理は事業的規模か否かで異なります。
解き方
- 不動産賃貸に伴い発生する各種収入(損害賠償金等)の所得区分・収入計上要件を確認する。
- 土地取得負債利子の経費算入、専従者給与・専従者控除の規定、賃貸建物の取壊し損失における事業的規模と業務的規模の取扱いの相違を比較検討する。
- 選択肢 1正解
- 賃貸借契約の解除後に借主の明渡し遅延によって受領した損害賠償金は、賃貸料の遅延損害金に相当するため、不動産所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 2不正解
- 不動産所得を生ずべき土地等の取得に要した負債の利子は原則として必要経費に算入できます(不動産所得の赤字を損益通算する際に土地取得負債利子部分が通算対象外となる制限があるに過ぎません)。
- 選択肢 3不正解
- 白色申告者が生計を一にする配偶者や親族に支払う給与は全額を必要経費に算入することはできず、事業専従者控除として定められた一定限度額の控除が認められるにとどまります。
- 選択肢 4不正解
- 賃貸建物の取壊し等による損失額は、事業的規模で行われている場合は全額が必要経費に算入され(赤字となれば損益通算可能)、控除前の所得金額を限度とする制限を受けるのは事業的規模以外の業務的規模の場合です。
覚えるポイント
- 賃貸借解除後の明渡し遅延損害金は不動産所得の総収入金額に算入
- 資産損失の全額経費算入は事業的規模の特典(業務的規模は所得限度)
間違えやすいところ
- 土地取得負債利子は「経費に算入できない」のではなく「赤字の損益通算から除外される」点を取り違えないように注意する。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得控除(医療費・社会保険料・小規模企業共済等掛金・生命保険料)
タックスプランニング · 医療費控除 / 社会保険料控除 / 小規模企業共済等掛金控除 / 生命保険料控除
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
所得控除において、生計を一にする親族の分を支払った場合に親族本人の所得要件が問われないもの(医療費控除・社会保険料控除)と、本人負担分に限られるもの(小規模企業共済等掛金控除等)の相違を正確に把握することが重要です。
解き方
- 各所得控除における対象者(納税者本人か、生計を一にする親族を含むか)および親族の所得制限の有無を確認する。
- 社会保険料控除と医療費控除には親族の所得要件がなく、小規模企業共済等掛金控除は契約者・加入者本人の控除であることを照合して判定する。
- 選択肢 1不正解
- 自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費は、その親族の所得金額の多寡にかかわらず、医療費控除の対象となります。
- 選択肢 2正解
- 納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合、その親族の合計所得金額に関係なく、支払った納税者の社会保険料控除の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金に係る小規模企業共済等掛金控除は、加入者本人にのみ認められる控除であるため、配偶者名義の掛金を納税者が支払っても納税者の控除対象にはなりません。
- 選択肢 4不正解
- 生命保険料控除は保険契約者が誰であるかではなく実際に保険料を負担した者において適用されるため、契約者が配偶者であっても納税者が保険料を支払い、受取人が配偶者等であれば納税者の生命保険料控除の対象となります。
覚えるポイント
- 医療費控除と社会保険料控除は生計同一親族の所得要件なし
- iDeCoの小規模企業共済等掛金控除は加入者本人のみ適用可能
間違えやすいところ
- 扶養控除の合計所得金額38万円(現行48万円)要件と、社会保険料控除や医療費控除の親族要件を混同しないように注意する。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 棚卸資産の評価方法 / 純損失の繰戻し還付 / 帳簿書類の保存期間
居住者に係る所得税の青色申告に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
青色申告の最大65万円控除は事業所得または事業的規模の不動産所得がある場合に適用されます。両方ある場合はまず不動産所得から控除し、残余を事業所得から控除するため、不動産所得が事業的規模でなくても不動産所得から控除可能です。
解き方
- 青色申告特別控除における所得間の控除順序(不動産所得から控除し、残りを事業所得から控除)を確認する。
- 事業所得が存在していれば65万円控除の要件を満たすため、事業的規模でない不動産所得からも控除される規定に照らし、記述1の誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 事業所得を有し正規の簿記の原則に従い記帳している青色申告者は65万円特別控除の対象となり、控除順序は不動産所得から先に行うため、不動産所得が事業的規模に満たなくても不動産所得の計算上控除することができます。
- 選択肢 2不正解
- 棚卸資産の評価方法のうち低価法は、青色申告者のみが税務署長に届け出て選定できる評価方法とされています(白色申告者は原価法のみ)。
- 選択肢 3不正解
- 純損失の繰戻しによる所得税の還付を受けるためには、純損失が生じた年分だけでなく、繰り戻す対象となる前年分についても青色申告書を提出していることが要件です。
- 選択肢 4不正解
- 青色申告者は、仕訳帳・総勘定元帳等の帳簿や貸借対照表・損益計算書等の決算関係書類、現金預金取引等関係書類について原則として7年間保存する義務があります。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除65万円は不動産所得から先に控除し残額を事業所得から控除
- 純損失の繰戻し還付は前年・当年ともに青色申告が必要
間違えやすいところ
- 不動産所得単独では事業的規模でないと10万円控除にとどまるが、事業所得を併せ持つ場合は事業所得側で要件を満たせば不動産所得からも控除できる点を見落とさないようにする。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業税の仕組みと計算
タックスプランニング · 個人事業税 / 事業主控除 / 損失の繰越し / 所得税の必要経費算入
個人事業税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
個人事業税は地方税(道府県税)であり、前年の事業所得等を基礎に都道府県が税額を計算して賦課徴収(8月・11月納期)します。青色申告特別控除の適用はなく、支払った事業税は所得税の必要経費となります。
解き方
- 個人事業税の賦課徴収方式、青色申告特別控除の不適用、損失の取扱規程(繰越しのみで繰戻しなし)を確認する。
- 事業税納付時の所得税における必要経費算入(公課としての取扱い)が認められている点に基づき正答を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 所得税の確定申告書を提出した者は個人事業税の申告書を提出する必要がなく、納税は原則として都道府県から送付される納税通知書により8月と11月の2回に分けて納付します(3月15日までに申告・納税する申告納付ではありません)。
- 選択肢 2不正解
- 個人事業税の所得金額の計算上、所得税の青色申告特別控除(最大65万円)の適用はありません(事業主控除年間290万円は控除されます)。
- 選択肢 3不正解
- 個人事業税において生じた青色申告の事業上の損失は翌年以後3年間の繰越控除が認められますが、前年度に繰り戻して還付を受ける制度はありません。
- 選択肢 4正解
- 個人事業税は、原則として納期の開始の日の属する年分または実際に納付した日の属する年分の所得税の事業所得等の計算上、必要経費に算入することができます。
覚えるポイント
- 個人事業税は所得税の必要経費に算入可能
- 個人事業税には青色申告特別控除の適用がなく、純損失の繰戻し還付もない
間違えやすいところ
- 所得税の青色申告特別控除が個人事業税や住民税でも引けると勘違いしやすいので区別する(事業税では適用なし)。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
革新的情報産業活用設備を取得した場合の税制特例(IoT税制)
タックスプランニング · IoT税制 / 革新的情報産業活用設備 / 特別償却 / 税額控除
「革新的情報産業活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除」(いわゆるIoT税制)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
平成30年度税制改正で創設されたIoT税制は、データ連携・利活用等を行う認定事業適応計画に基づき導入する特定ソフトウェア等(合計取得価額5,000万円以上)に対して30%の特別償却または3%(一定要件で5%)の税額控除を認める制度です。
解き方
- IoT税制の対象法人(資本金規模を問わない青色申告法人)および対象投資要件(取得価額合計5,000万円以上)を確認する。
- 特別償却率(30%)および税額控除率(3%または5%)を各選択肢と照合し、適切・不適切を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 本制度の対象法人は、認定事業適応計画の認定を受けた青色申告法人であり、資本金1億円以下の中小企業者に限定されず大企業も対象となります。
- 選択肢 2正解
- 本制度の対象資産は、特定ソフトウェアの新設または増設に係る特定ソフトウェア、機械装置、器具備品で、取得価額の合計額が5,000万円以上のものと規定されています。
- 選択肢 3不正解
- 特別償却限度額は取得価額の30%相当額とされており、50%相当額ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 税額控除額は、原則として取得価額の3%(一定のデータ連携・労働生産性向上の要件を満たす場合は5%)相当額とされており、10%ではありません。
覚えるポイント
- IoT税制の投資下限額は合計5,000万円以上
- 特別償却30%または税額控除3%(特定要件5%)
間違えやすいところ
- 中小企業向けの特例税制(資本金1億円以下要件)と混同しないよう、大企業も対象となる設備投資減税の枠組みを正しく認識する。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における減価償却資産の取扱い
タックスプランニング · 定率法 / 少額減価償却資産 / 一括償却資産 / 中小企業者等の特例
法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当期とは2018年4月1日から2019年3月31日までの事業年度であるものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
一括償却資産は資産個別の管理を簡素化するため3年均等で一括償却する制度であり、途中で売却・滅失・除却しても帳簿価額を除去せず3年間の均等償却をそのまま継続します。
解き方
- 少額減価償却資産(10万円未満)、一括償却資産(20万円未満)、中小企業特例(30万円未満)の適用要件と償却方法を整理する。
- 一括償却資産を中途売却・除却した際における未償却残高の一括損金算入不可(3年均等償却の継続義務)のルールに基づき誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 2012年4月1日以後に取得した減価償却資産の定率法の償却率は、定額法償却率の2倍である200%定率法が採用されています。
- 選択肢 2不正解
- 取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の少額の減価償却資産の損金算入は、青色申告法人に限らず白色申告法人であっても全額損金算入が可能です。
- 選択肢 3正解
- 一括償却資産を途中で売却または除却した場合であっても、未償却残高を一括して損金算入することは認められず、残りの期間も3分の1ずつの均等償却を継続しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 30万円未満の減価償却資産を即時損金算入できる中小企業者等の特例は、青色申告法人である中小企業者等のうち、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人に適用が限られています。
覚えるポイント
- 一括償却資産は途中で売却・除却しても3年均等償却を継続する
- 10万円未満は白色申告法人でも即時損金算入可能
間違えやすいところ
- 一括償却資産の中途除却時に通常の固定資産除却損のように未償却残高を経費処理できると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における役員給与の損金算入
タックスプランニング · 役員給与 / 定期同額給与 / 事前確定届出給与 / 過大役員給与
内国法人に係る法人税における役員給与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法人税法上の役員給与は利益調整を防ぐ目的で原則として損金不算入とされ、一定の要件を満たす定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のみが損金算入を認められます。事前確定届出給与は届出額と実際の支給額が完全に一致しなければ全額損金不算入となります。
解き方
- 役員給与の損金算入類型の要件(定期同額給与の改定時期・限度超過額の扱い、事前確定届出給与の完全一致要件)を確認する。
- 事前確定届出給与において届出額より増額支給した場合、増額分だけでなく支給額全額が損金不算入となるルールを確認して適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 過大役員給与の判定は、法人の規模・収益・使用人給料水準・同業類似法人の役員給与の支給状況などを総合的に勘案して実質的に判定される実質基準と、定款や株主総会決議の限度額による形式基準の双方が適用されます。
- 選択肢 2不正解
- 通常改定期限(事業年度開始から3カ月以内)を経過した後に不当に増額改定した場合、損金不算入となるのは改定後の全額ではなく、改定前後の差額(増額された部分)です。
- 選択肢 3正解
- 事前確定届出給与は届出通りの金額を定めた期日に支給することが厳格に求められるため、届出額と異なる金額を支給した場合、原則として増額部分だけでなく支給額の全額が事前確定届出給与に該当せず損金不算入となります。
- 選択肢 4不正解
- 業績連動給与の損金算入対象法人は同族会社以外の法人のほか、非同族会社が完全支配する同族会社等も含まれており、「同族会社以外の法人である場合に限り」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 事前確定届出給与は届出額と1円でも異なれば支給額の全額が損金不算入
- 定期同額給与の中途増額改定は増額部分のみが損金不算入
間違えやすいところ
- 事前確定届出給与で増額支給した場合、超過分だけが損金不算入になるのではなく「支給額の全額」が損金不算入となる点を取り違えやすいので注意する。
出題の前提:特に指示のない限り2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員と法人間の取引における税務上の取扱い
タックスプランニング · 役員間取引 / 低額譲渡 / 高額譲渡 / 経済的利益
株式会社とその役員との間の取引に係る法人税および所得税の取扱いに関する記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
役員と会社間の取引において、時価から乖離した価額での資産の売買や低利・無利息の貸付け等が行われた場合、法人側では受贈益や寄附金、役員側では譲渡所得や給与所得(経済的利益)等として適正に是正され課税されます。
解き方
- 役員が法人へ時価の2分の1未満で譲渡した際のみなし譲渡所得課税の規定を確認する。
- 法人から役員への高額譲渡、低利・無利息融資、社宅貸与時の経済的利益の各税務処理と照合して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 役員が法人へ時価の2分の1未満で譲渡した場合、みなし譲渡所得課税により時価で譲渡があったものとして譲渡所得の対象とされます。差額が給与所得となるわけではないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 法人が時価より高い価額で役員に譲渡した場合、法人は時価で譲渡したものとして譲渡損益を計算し、受取価額と時価の差額は役員からの受贈益として益金算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 役員が無利息で金銭を借り入れた場合、法人側は適正な利息を認定して受取利息(益金)および役員賞与(損金不算入)とし、役員側は通常支払うべき利息相当額が給与所得(経済的利益)として課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 役員社宅について賃貸料相当額より低い家賃で貸し付けた場合、通常支払うべき賃料相当額と実際に徴収した家賃との差額は役員への経済的利益として給与所得の課税対象となります。
覚えるポイント
- 個人から法人への著しく低い価額(時価の2分の1未満)での資産譲渡は、所得税法上「時価によるみなし譲渡所得課税」の対象となる。
間違えやすいところ
- 法人が役員に時価より低く売却した場合は役員に給与課税が生じますが、役員が法人に安く売却した場合は役員にみなし譲渡課税が適用される点を取り違えやすいです。
出題の前提:所得税法第59条、法人税法第22条および関連通達(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記制度の概要と申請手続
不動産 · 不動産登記 / 登記事項要約書 / 表題部変更登記 / 対抗要件
不動産の登記に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産登記法上、表示に関する登記(表題部)には現況を正確に把握するため原則として1カ月以内の申請義務が課されています。一方、権利に関する登記は自由意思に基づく対抗要件であり申請義務はありません。
解き方
- 登記事項要約書の性質(公証力の有無)を確認する。
- 登記識別情報と登記原因証明情報の役割の違いを区別する。
- 表題部(地目・地積)の変更登記における申請義務期間(1カ月以内)を判断する。
- 民法177条の二重譲渡における対抗関係の原則を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 登記事項要約書には登記官の認証文や職印は付されません。証明文や職印が付されるのは登記事項証明書です。
- 選択肢 2不正解
- 登記原因を証するものとして提供するのは「登記原因証明情報」です。登記識別情報は登記義務者本人が申請していること等を確認するための本人確認情報です。
- 選択肢 3正解
- 土地の地目または地積について変更があったときは、表題部所有者または所有権の登記名義人は、変更があった日から1カ月以内に変更の登記を申請しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 不動産の二重譲渡において、先に所有権移転登記を備えた第三者が優先します。第三者が善意であっても登記のない当初の買主は所有権の取得を対抗できません。
覚えるポイント
- 表題部の登記(新築、滅失、地目変更、地積変更など)は変更の日から1カ月以内の申請が義務付けられている。
間違えやすいところ
- 登記原因を証する情報は「登記原因証明情報」であり、権利証に代わる「登記識別情報」と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:不動産登記法第37条、民法第177条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における普通借地権および定期借地権等の規律
不動産 · 借地借家法 / 普通借地権 / 建物買取請求権 / 事業用定期借地権 / 建物譲渡特約付借地権
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、普通借地権とは定期借地権等以外の借地権をいう。
解答・解説を表示
解答
2
解説
借地借家法では、期間満了時に更新されない借地権者の投下資本回収のために建物買取請求権が保障されています。また定期借地権等では類型ごとに存続期間、契約方式(公正証書等の要否)、排除できる特約事項が厳格に定められています。
解き方
- 普通借地権における建物再築による存続期間の延長年数(承諾日または再築日のいずれか早い日から20年間)を確認する。
- 期間満了・更新拒絶時の建物買取請求権の規定を検討する。
- 存続期間10年以上30年未満の事業用定期借地権の法律上の当然排除規定を確認する。
- 建物譲渡特約付借地権の設定要件(30年以上、公正証書の要否)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 承諾を得て残存期間を超えて存続する建物を築造した場合、存続期間は承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から「20年間」存続します(30年ではありません)。
- 選択肢 2正解
- 普通借地権の期間満了時に契約の更新がなされない場合、借地権者は借地権設定者に対して建物を時価で買い取るよう請求することができます(借地借家法13条)。
- 選択肢 3不正解
- 存続期間が10年以上30年未満の事業用定期借地権等では、更新の請求や建物の築造による存続期間の延長、建物買取請求権の排除は法律上当然に適用除外とされており、特約で定める必要はありません。
- 選択肢 4不正解
- 建物譲渡特約付借地権は、契約方式に制限はなく公正証書による締結は義務付けられていません(書面でなくても有効に成立します)。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権等は「公正証書」が必須だが、建物譲渡特約付借地権や一般定期借地権(書面要)は公正証書でなくてもよい。
間違えやすいところ
- 普通借地権の最初の存続期間は「30年」ですが、当初期間内の承諾再築による期間延長は「20年間」となります。
出題の前提:借地借家法第7条、第13条、第23条、第24条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における容積率の不算入措置および前面道路制限
不動産 · 容積率 / 延べ面積の不算入 / 共同住宅の共用廊下・階段 / 自動車車庫等部分 / 前面道路幅員による制限
建築基準法における容積率に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
容積率は敷地面積に対する延べ面積の割合ですが、政策的配慮から共同住宅の共用廊下・階段(全額不算入)、自動車車庫(延べ面積の5分の1を限度)、住宅の地階(住宅用途の床面積の3分の1を限度)等の不算入特例が設けられています。また前面道路幅員が12m未満の場合には前面道路制限が課されます。
解き方
- 共同住宅の共用廊下・階段の床面積の不算入規定(上限なし)を確認する。
- 自動車車庫等部分の延べ面積不算入の限度割合(5分の1)を確認する。
- 住宅地階の延べ面積不算入の限度割合(3分の1)を確認する。
- 前面道路制限の適用対象となる道路幅員(12m未満)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 共同住宅または老人ホーム等の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入されません(上限規定はありません)。
- 選択肢 2不正解
- 自動車車庫等部分の床面積を不算入とする限度は、敷地内の建築物の各階の床面積の合計(延べ面積)の「5分の1」です(3分の1ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 住宅の用途に供する地階の床面積を不算入とする限度は、住宅の用途に供する部分の床面積の合計の「3分の1」です(5分の1ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 前面道路による容積率の制限を受けるのは、前面道路の幅員が「12m未満」の場合です(15m未満ではありません)。
覚えるポイント
- 容積率の延べ面積不算入:車庫=延べ面積の5分の1限度、住宅地階=住宅部分の3分の1限度、共同住宅の共用廊下・階段=全額不算入。
間違えやすいところ
- 車庫の「5分の1」と住宅地階の「3分の1」の数値を逆に取り違えるミスが多いので注意が必要です。
出題の前提:建築基準法第52条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の集会・決議要件
不動産 · 区分所有法 / 議決権割合 / 規約の変更 / 重大変更 / 建替え決議
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
区分所有法では、集会での決議要件について普通決議(過半数)のほか、特別多数決議として規約の設定・変更・廃止(4分の3)、共用部分の重大変更(4分の3)、建替え決議(5分の4)などを定めています。
解き方
- 集会における議決権割合の法定基準(専有部分の床面積割合)を確認する。
- 規約の設定・変更・廃止の決議要件(4分の3以上)を確認する。
- 共用部分の重大変更における定数緩和の範囲(区分所有者の頭数のみ過半数まで減額可)を確認する。
- 建替え決議の招集通知(2カ月前)および説明会開催(1カ月前)の手続要件を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 各区分所有者の議決権割合は、規約に別段の定めがない限り、購入金額ではなく「専有部分の床面積の割合」によります。
- 選択肢 2不正解
- 規約の変更には、区分所有者および議決権の「各4分の3以上」の多数による決議が必要です(3分の2ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 重大変更において規約で過半数まで減ずることができるのは「区分所有者の定数(頭数)」のみであり、「議決権の定数」を減ずることはできません。
- 選択肢 4正解
- 建替え決議を目的とする集会の招集通知は会日より少なくとも2カ月前に発し、かつ会日より少なくとも1カ月前までに理由を説明するための説明会を開催しなければなりません。
覚えるポイント
- 建替え決議:各5分の4以上の多数が必要。招集通知は会日の2カ月前まで、説明会は1カ月前までに開催。
間違えやすいところ
- 共用部分の重大変更(4分の3)で規約により過半数まで減らせるのは「区分所有者の定数」だけであり、「議決権割合」は緩和できません。
出題の前提:建物の区分所有等に関する法律第14条、第31条、第17条、第62条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産税の特例および税額計算の仕組み
不動産 · 固定資産税 / 住宅用地の特例 / 貸家と固定資産税 / 認定長期優良住宅の減額特例 / タワーマンション課税
固定資産税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
固定資産税における住宅用地の課税標準の特例は自己居住用だけでなく貸家敷地にも適用されます。また新築住宅の固定資産税減額特例は、認定長期優良住宅の場合、一般住宅(3階建て以上の耐火・準耐火を除く)で5年間、120㎡相当部分まで税額が2分の1減額されます。
解き方
- 住宅用地特例における貸家敷地の取扱い(賃貸住宅敷地も特例対象)を確認する。
- 固定資産税評価額と相続税評価額(借家権割合控除)の決定ルールの相違を確認する。
- 新築認定長期優良住宅に係る固定資産税減額特例の減額期間(5年度分)と減額限度床面積(120㎡)を照合する。
- いわゆるタワーマンションの階層別課税の要件(高さ60m超・20階以上)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例は、自己居住用家屋だけでなく第三者に賃貸する住宅(貸家)の敷地にも適用されるため、賃貸しても特例から外れず税額は増加しません。
- 選択肢 2不正解
- 固定資産税評価額は総務大臣が定めた固定資産評価基準により決定されるため、住宅を賃貸して貸家となっても固定資産税評価額や税額は減少しません(借家権割合により下がるのは相続税評価額です)。
- 選択肢 3正解
- 新築された2階建て認定長期優良住宅について、新築後5年度分にわたり、居住部分の床面積120㎡相当分まで税額の2分の1が減額されます。
- 選択肢 4不正解
- 階層による補正率が適用される居住用超高層建築物(タワーマンション)は、建築基準法上の高さが「60mを超える」もの(およそ20階建て以上)が対象であり、30m超ではありません。
覚えるポイント
- 認定長期優良住宅の新築減額期間:一般家屋は5年間、3階建て以上の中高層耐火建築物は7年間(通常の新築は各3年、5年)。
間違えやすいところ
- タワーマンションの階層別固定資産税が適用される基準は「高さ60m超」です。30m超と混同しないよう注意しましょう。
出題の前提:地方税法第349条の3の2、附則第15条の7、第352条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(事業用買換え特例)
不動産 · 事業用買換え特例 / 長期保有資産の買換え / 面積制限 / 取得価額の引継ぎ / 先行取得
「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
特定の事業用資産の買換え特例では、買換資産を譲渡年の前年中に先行取得することも認められていますが、その場合は取得年の翌年3月15日までに税務署長へ届出書を提出する必要があります。また課税繰延べであり取得時期は引き継がれず、土地の面積制限は原則5倍以内とされています。
解き方
- 7号買換えにおける地域要件(集中地域から集中地域外への買換え等)を確認する。
- 買換資産が土地等である場合の面積制限(譲渡資産の面積の5倍)を確認する。
- 特例適用後の買換資産の取得時期の取扱い(取得時期は引き継がれず実際の取得時期となる)を確認する。
- 先行取得資産に関する手続(取得年の翌年3月15日までの届出書の提出)を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 国内にある10年超保有の事業用資産から事業用資産への買換え(7号買換え)は原則として地域制限なく適用できます(一部の集中地域内への買換え等を除外・制限する改正等はあるものの、本肢の条件で一律に適用不可となるわけではありません)。
- 選択肢 2不正解
- 買換資産が土地等である場合の面積制限は、譲渡資産の土地等の面積の「5倍」以内です(2倍ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 買換え特例により課税が繰り延べられた場合、買換資産の取得価額には譲渡資産の取得費が一部引き継がれますが、取得時期は引き継がれず「実際に買換資産を取得した時期」となります。
- 選択肢 4正解
- 事業用資産を譲渡した年の前年中(先行取得)に買換資産を取得した場合、取得した年の翌年3月15日までに「先行取得資産に係る買換えの特例の適用に関する届出書」を提出する必要があります。
覚えるポイント
- 事業用買換え特例で土地を買換資産とする場合の面積制限は「5倍」以内。先行取得時は翌年3月15日までに届出書提出。
間違えやすいところ
- 買換資産の取得価額は課税繰延べ計算により引き継がれますが、「取得時期」は引き継がれない点に注意が必要です。
出題の前提:租税特別措置法第37条、同施行令第25条(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公共事業における収用等の課税特例(課税繰延べと5,000万円特別控除)
不動産 · 収用等の特例 / 課税繰延べ / 5,000万円特別控除 / 重複適用の可否 / 対価補償金
公共事業のために土地建物を収用等により譲渡した場合の「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」および「収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
収用等に伴う譲渡所得の課税特例には、「代替資産を取得した場合の課税の特例(課税繰延べ)」と「5,000万円特別控除の特例」の2大特例がありますが、同一の収用等に対して両特例を重複して適用することはできず、いずれか一方の選択適用となります。
解き方
- 各種補償金(収益補償金・経費補償金等)の対価補償金への振替扱い要件を確認する。
- 課税繰延べにおける代替資産の取得期間(原則2年以内、事前取得も可)を確認する。
- 特別控除(5,000万円)における6カ月以内譲渡要件を確認する。
- 課税繰延べ特例と5,000万円特別控除特例の併用(重複適用)の可否を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 収用等の各種補償金のうち、原則は対価補償金が特例対象ですが、収益補償金や経費補償金等であっても事業休廃止等に伴い実質的に対価補償金と認められるものは対価補償金として取り扱うことができます。
- 選択肢 2不正解
- 課税繰延べの特例では、原則として収用等のあった日から2年以内に代替資産を取得する必要がありますが、事業認定の告示後かつ収用等の前に取得した場合も代替資産として認められます。
- 選択肢 3不正解
- 収用交換等の5,000万円特別控除の適用を受けるためには、施行者から最初に買取り等の申出(価格提示)があった日から原則として6カ月を経過する日までに譲渡しなければなりません。
- 選択肢 4正解
- 「代替資産を取得した場合の課税繰延べの特例」と「5,000万円の特別控除の特例」は選択適用であり、同一の資産の譲渡について両特例を重複して受けることはできません。
覚えるポイント
- 収用等の特例:「課税繰延べ」と「5,000万円特別控除」は選択適用(重複適用不可)。申出から6カ月以内の契約・譲渡が条件。
間違えやすいところ
- 代替資産の取得価額が譲渡価額より小さく差額に課税が生じる場合でも、その残額に対して5,000万円特別控除を重ねて使うことはできません。
出題の前提:租税特別措置法第33条、第33条の2、第33条の4(2018年10月1日施行法令)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の投資判断手法(DCF法・NPV法・IRR法)
不動産 · DCF法 / NPV法 / 内部収益率(IRR)法
不動産の投資判断手法に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) DCF法は、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して対象不動産の収益価格を求める手法である。 (b) NPV法による投資判断においては、対象不動産に対する投資額が現在価値に換算した対象不動産の収益価格を上回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。 (c) IRR法による投資判断においては、対象不動産の内部収益率が対象不動産に対する投資家の期待収益率を上回っている場合、その投資は有利であると判定することができる。
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解答
2
解説
不動産の収益価格を求めるDCF法では、保有期間中の純収益と将来売却時の復帰価格を現在価値に割り引いて合計します。投資判断手法であるNPV(正味現在価値)法では現在価値の合計から投資額を控除した値が正(現在価値>投資額)であれば有利、IRR(内部収益率)法ではNPVがゼロとなる割引率が投資家の期待収益率を上回れば有利と判断します。
解き方
- (a)の記述について、DCF法の定義(保有期間の各期純収益と復帰価格の現在価値合計)を確認し、正しいと判定します。
- (b)の記述について、NPV法では「現在価値>投資額(NPV>0)」で有利と判定されるため、投資額が上回っている場合に有利とする記述は誤りと判定します。
- (c)の記述について、IRR法では「内部収益率>期待収益率」のときに投資有利と判定するため、正しいと判定します。
- 適切な記述が(a)と(c)の2つであるため、選択肢2を選びます。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つ存在するため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 記述(a)および記述(c)が適切で、記述(b)のみが不適切であるため、適切なものは2つとなります。
- 選択肢 3不正解
- 記述(b)が不適切であるため、すべて適切とする3つは誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 記述(a)と記述(c)の2つが適切であるため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- NPV法:現在価値合計-投資額>0(現在価値>投資額)のとき有利
- IRR法:内部収益率(NPV=0となる割引率)>期待収益率のとき有利
間違えやすいところ
- NPV法において「投資額が収益価格を上回っている」場合に有利と誤認しないように注意が必要です(投資額のほうが小さくなければなりません)。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令・不動産鑑定評価基準等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)
相続・事業承継 · 贈与税の配偶者控除 / 店舗併用住宅 / 申告要件
贈与税の配偶者控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合、基礎控除110万円とは別に最高2,000万円の配偶者控除が受けられます。店舗併用住宅の場合は原則として居住用部分のみが対象(居住割合がおおむね90%以上の場合は全部)となり、持分贈与の場合は受贈者が居住用部分の持分を優先して取得したと取り扱うことができます。
解き方
- 婚姻期間要件を確認する:端数の切上げは認められず、贈与日において実質的に満20年以上経過している必要があります(選択肢1は不適切)。
- 添付書類を確認する:居住用不動産の登記事項証明書等は法令上必須の添付書類とはされていません(選択肢2は不適切)。
- 店舗併用住宅の全部適用要件を確認する:全部を対象とできるのは居住用部分がおおむね90%以上の場合であり、過半数では足りません(選択肢3は不適切)。
- 持分贈与の計算を行う:家屋全体の評価額4,500万円の3分の1の持分は1,500万円です。居住用部分は全体の40%(1,800万円)あるため、取得した持分1,500万円の全額を居住用部分として取り扱うことが可能です。配偶者控除(最高2,000万円)の枠内に収まるため贈与税額は算出されません(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 婚姻期間は贈与の日において満20年以上である必要があり、1年未満の端数を切り上げて計算することは認められません。
- 選択肢 2不正解
- 贈与税の配偶者控除の適用を受ける申告書への添付書類として、登記事項証明書は必須添付書類に含まれていません。
- 選択肢 3不正解
- 店舗併用住宅の全部を居住用不動産とみなすことができるのは、居住用部分の床面積がおおむね90%以上を占めている場合に限られます。
- 選択肢 4正解
- 取得持分(4,500万円×1/3=1,500万円)は居住用部分(4,500万円×40%=1,800万円)の範囲内であり、全額を居住用不動産として配偶者控除(最高2,000万円)を適用できるため、贈与税額は算出されません。
覚えるポイント
- 婚姻期間は満20年以上(端数切上げなし)
- 店舗併用住宅は居住部分がおおむね90%以上で全体を居住用とみなす
- 持分取得時は居住用部分から優先取得したとみなすことが可能
間違えやすいところ
- 「過半数が居住用なら全体を居住用とみなせる」とする住宅ローン控除などの基準と混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の相続税法第21条の6、相続税法基本通達21の6-3、21の6-4
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属からの結婚・子育て資金の一括贈与非課税特例
相続・事業承継 · 結婚・子育て資金の一括贈与 / 対象費用 / 契約終了時の課税
「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
直系尊属から結婚・子育て資金として一括贈与を受けた場合、受贈者ごとに1,000万円(結婚関係は300万円)まで非課税となります。育児費用等の対象となる子の範囲は「小学校就学前の子(未就学児)」であり、中学校修了前までではありません。また、贈与者死亡時の管理残額は受贈者が他の財産を取得しなくても相続税の課税対象(遺贈により取得とみなす)となり、受贈者が50歳に達して契約が終了したときの管理残額は贈与税が課税されます。
解き方
- 結婚費用要件を確認する:婚姻日の1年前の日以後に支払われた挙式や披露宴の費用は対象に含まれます(選択肢1は適切)。
- 育児費用の範囲を確認する:医療費や保育料等の対象となる子は「小学校就学前の子(未就学児)」であり、「中学校修了前の子」とする記述は誤りです(選択肢2は不適切)。
- 贈与者死亡時の取扱いを確認する:管理残額は相続税の課税価格に算入され、受贈者が相続等により他の財産を取得したかどうかにかかわらず相続税の課税対象となります(選択肢3は適切)。
- 受贈者50歳到達時の取扱いを確認する:受贈者が50歳に達して契約が終了した時点の残額は、その終了した年において贈与税が課税されます(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 婚姻日の1年前の日以後に支払われた婚礼(挙式・披露宴等)費用は、受贈者の結婚に際して支出する費用として認められます。
- 選択肢 2正解
- 受贈者の育児のために要する子の医療費等の対象は「小学校就学前(未就学児)」の子に限られ、中学校修了前ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 贈与者死亡時の管理残額は、受贈者が他の財産を相続または遺贈で取得したかどうかにかかわらず、遺贈により取得したものとして相続税の課税対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 受贈者が50歳に達したときに契約は終了し、非課税拠出残額がある場合はその終了年の贈与税の課税対象となります。
覚えるポイント
- 結婚・子育て資金の非課税限度額は1,000万円(結婚費用は300万円)
- 対象となる子の育児・医療費用は「小学校就学前(未就学児)」
- 契約終了年齢は「受贈者が50歳に達した日」
間違えやすいところ
- 教育資金一括贈与(30歳到達時終了・学校教育等)と結婚・子育て資金一括贈与(50歳到達時終了・小学校就学前の子の育児等)の年齢要件を混同しないように整理しましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の租税特別措置法第70条の2の3
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の申告・納付・更正の請求・延納
相続・事業承継 · 相続時精算課税 / 更正の請求 / 連帯納付義務 / 延納
贈与税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
贈与税の法定申告期限から課税価格や税額を減額するための更正の請求について、国税通則法の原則は5年ですが、相続税法第32条および国税通則法第70条等において贈与税の賦課決定・更正等の除斥期間が6年とされていることに連動し、通常の贈与税の更正の請求期限は「法定申告期限から6年以内」と定められています。
解き方
- 相続時精算課税制度の申告義務を確認する:一度選択した特定贈与者からの贈与は、たとえ少額であっても申告義務があります(選択肢1は適切)。
- 更正の請求期限を確認する:贈与税の計算誤り等による通常の更正の請求は、法定申告期限から「6年以内」に行う必要があり、「5年以内」とする記述は不適切です(選択肢2は不適切)。
- 贈与者の連帯納付義務を確認する:贈与者は、贈与財産の価額を限度として受贈者の贈与税について連帯納付義務を負います(選択肢3は適切)。
- 延納の要件を確認する:贈与税の延納は最長5年以内であり、延納税額が100万円超かつ延納期間が3年を超える場合に担保提供が必要です(本問記述の「100万円超または3年超」は法所定の要件を満たす表現として適切と扱われます)(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 相続時精算課税の適用を受けた場合、その特定贈与者からの贈与については受贈財産の額の多寡にかかわらず贈与税の申告書を提出する必要があります。
- 選択肢 2正解
- 贈与税の申告税額が過大であった場合の更正の請求は、法定申告期限から「5年以内」ではなく「6年以内」に行うことができます。
- 選択肢 3不正解
- 贈与者は受贈者の贈与税について、贈与財産の価額を限度として連帯納付義務を負います。
- 選択肢 4不正解
- 贈与税の延納期間は最長5年であり、延納税額100万円超かつ3年超の延納等においては担保の提供が必要です。
覚えるポイント
- 贈与税の更正の請求期限は「法定申告期限から6年以内」(相続税は5年以内)
- 相続時精算課税の選択後は受贈額にかかわらず毎回の申告が必要
間違えやすいところ
- 国税通則法の一般的な更正の請求期限(5年)と贈与税の特則(6年)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の国税通則法第23条、相続税法第32条・第34条・第28条・第38条
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
成年後見制度(法定後見・任意後見)
相続・事業承継 · 法定後見(補助・保佐・後見) / 居住用不動産の処分 / 任意後見契約
成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
成年後見制度のうち補助は本人の判断能力の減退が比較的軽微であるため、自己決定権を尊重する観点から、本人以外の者が補助開始の審判を申し立てる場合には本人の同意が不可欠とされています。一方、成年後見人の財産目録作成義務(就職後1カ月以内)、居住用不動産の処分に対する家庭裁判所の許可、監督人選任前の任意後見契約の公証人認証書面による解除はいずれも法令通りの規定です。
解き方
- 成年後見人の調査・目録作成義務を確認する:成年後見人は就任後遅滞なく財産調査を行い、原則として1カ月以内に財産目録を作成しなければなりません(選択肢1は適切)。
- 居住用不動産の処分の制限を確認する:成年後見人が居住用不動産を売却・賃貸・賃貸借解除等する場合は、家庭裁判所の許可が必要です(選択肢2は適切)。
- 補助開始申立てにおける本人の同意を確認する:本人以外の親族等が補助開始の審判を申し立てる場合、本人の同意が必要です(選択肢3は不適切)。
- 任意後見契約の解除要件を確認する:任意後見監督人選任前であれば、公証人の認証を受けた書面によっていつでも解除できます(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 民法第853条第1項により、成年後見人は就職後遅滞なく被後見人の財産調査に着手し、原則として1カ月以内に調査を終了して財産目録を作成しなければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 民法第859条の3により、成年後見人が被後見人の居住用不動産を処分・賃貸等する場合は家庭裁判所の許可が必要です。
- 選択肢 3正解
- 補助開始の審判の申立てを本人以外の者が行う場合には、民法第15条第2項により本人の同意が必要とされています。
- 選択肢 4不正解
- 任意後見契約法第9条第1項により、任意後見監督人が選任される前であれば、本人または受任者は公証人の認証を受けた書面によっていつでも契約を解除できます。
覚えるポイント
- 補助開始の審判の申立ては「本人の同意」が必須
- 居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可が必要
- 任意後見監督人選任前の解除は「公証人の認証を受けた書面」による
間違えやすいところ
- 後見・保佐・補助の違いにおいて、本人の同意が開始要件となるのは「補助」のみ(保佐や後見は同意不要)である点を取り違えやすいので注意しましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の民法第15条、第853条、第859条の3、任意後見契約に関する法律第9条
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税法上の債務控除の範囲
相続・事業承継 · 債務控除 / 準確定申告の所得税 / 鑑定費用 / 非課税財産の未払金 / 保証債務
相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続税法上の債務控除の対象となるのは、相続開始の際に現に存する被相続人の確実な債務です。被相続人に係る準確定申告による納付税額は被相続人の公課として控除できます。一方、相続人が相続開始後に負担した財産の鑑定費用や弁護士・税理士報酬などの相続財産管理費用は被相続人の債務ではないため控除対象外です。また、非課税財産(墓地等)に係る債務や、主債務者が弁済不能でない保証債務も控除できません。
解き方
- 準確定申告の所得税を確認する:被相続人の死亡日までの所得に係る所得税は、相続開始時に確定している被相続人の公課として債務控除の対象となります(選択肢1は適切)。
- 財産の鑑定費用を確認する:相続財産の価額算定のための鑑定費用は相続人が負担すべき管理費用であり、被相続人の債務ではないため控除できません(選択肢2は不適切)。
- 墓碑の未払金を確認する:墓碑や墓地などの祭祀財産・非課税財産の取得に係る未払金は、相続税法上債務控除の対象外です(選択肢3は適切)。
- 保証債務の取扱いを確認する:被相続人の保証債務は、主たる債務者が弁済不能で求償しても返済を受ける見込みがない場合に限り控除可能であり、弁済不能でない場合は控除できません(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 被相続人の準確定申告により納付した所得税額は、相続開始時点において確定している被相続人の公課として債務控除の対象となります。
- 選択肢 2正解
- 相続財産の算定に要した不動産鑑定費用等は、相続人自身が負担した遺産管理費用等であるため、被相続人の債務ではなく債務控除の対象になりません。
- 選択肢 3不正解
- 墓碑等の相続税非課税財産を取得するために要した未払代金は、相続税法第13条第3項の規定により債務控除の対象となりません。
- 選択肢 4不正解
- 保証債務は主たる債務者が弁済不能の状態にあり求償しても弁済を受けられないと認められる場合を除き、確実な債務とはみなされず債務控除の対象になりません。
覚えるポイント
- 遺産分割費用・鑑定費用・弁護士税理士報酬は債務控除の対象外
- 非課税財産(墓地・仏壇等)の未払金は債務控除不可
- 準確定申告による納付税額は債務控除可能
間違えやすいところ
- 葬式費用は被相続人の生前債務ではありませんが相続税法上控除が認められているのに対し、遺産管理費用(鑑定費用等)は控除が認められないという相違点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の相続税法第13条、第14条、相続税法基本通達13-4、14-3
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準方式の評価要素の計算
相続・事業承継 · 類似業種比準価額 / 配当金額 / 利益金額 / 純資産価額
相続税における取引相場のない株式の評価方法である類似業種比準方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
取引相場のない株式の類似業種比準方式では、類似業種の株価に「配当」「利益」「純資産」の3要素の比準割合を乗じて計算します。類似業種株価は直近3カ月各月、前年平均、2年間平均のうち最も有利なものを選択できます。評価会社の配当は直前期末と直前々期末の平均(特別・記念配当を除く)、利益は直前期末または2期間平均(非経常利益を除く)を選択できますが、純資産価額については「直前期末」の数値を用います。
解き方
- 類似業種株価の選択肢を確認する:課税時期の当月、前月、前々月、前年平均、2年間平均のうち最も低い株価を選択できます(選択肢1は適切)。
- 配当要素の計算ルールを確認する:特別配当や記念配当で将来継続が見込まれないものは除外します(選択肢2は適切)。
- 利益要素の計算ルールを確認する:非経常的な利益(固定資産売却益、保険差益等)は課税所得金額から控除します(選択肢3は適切)。
- 純資産要素の計算ルールを確認する:純資産価額は直前期末の帳簿価額に基づいて計算するため、直前期と直前々期の平均(合計に1/2を乗じる)とする記述は誤りです(選択肢4は不適切)。
- 選択肢 1不正解
- 類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3カ月間の各月、前年平均、前年および前々年を含む2年間平均の中から最も低いものを選択できます。
- 選択肢 2不正解
- 1株当たりの配当金額の計算にあたり、特別配当や記念配当等のうち将来毎期継続することが予想されないものは配当金額から除外します。
- 選択肢 3不正解
- 1株当たりの利益金額の計算上、固定資産売却益や保険差益などの非経常的な利益の金額は法人税の課税所得金額から控除して計算します。
- 選択肢 4正解
- 1株当たりの純資産価額は直前期末の資本金等の額および利益積立金額を基に算定し、直前期末と直前々期末の平均値をとることはしません。
覚えるポイント
- 配当要素:直前2期間平均(記念配当・特別配当等を除く)
- 利益要素:直前期単年または直前2期間平均(非経常的損益を除く)
- 純資産要素:直前期末単年のみ(2期間平均は不可)
間違えやすいところ
- 利益要素では直前2期平均の選択が可能であるため、純資産価額でも2期平均ができると混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の財産評価基本通達180、183
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地および生産緑地の相続税評価
相続・事業承継 · 市街地農地 / 純農地・中間農地 / 市街地周辺農地 / 生産緑地
相続税における農地および生産緑地の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
財産評価基本通達における農地の区分は「純農地」「中間農地」「市街地周辺農地」「市街地農地」の4種類です。純農地・中間農地は倍率方式、市街地農地は宅地比準方式(宅地価額-造成費)または倍率方式、市街地周辺農地は市街地農地評価額の80%で評価します。生産緑地については、買取り申出が可能なものは買い取り制限がないため通常の農地(控除なし=100%)として評価します。
解き方
- 市街地農地の評価方式を確認する:宅地であるとした価額から「宅地造成費」を控除して評価するため、造成費を考慮していない記述は誤りです(選択肢1は不適切)。
- 純農地・中間農地の評価方式を確認する:固定資産税評価額に国税局長が定める倍率を乗じる倍率方式で評価するため、正しい記述です(選択肢2は適切)。
- 市街地周辺農地の評価方式を確認する:市街地農地であるとして評価した価額の「80%相当額」で評価するため、50%とする記述は誤りです(選択肢3は不適切)。
- 生産緑地の評価を確認する:課税時期において買取り申出ができるものは制限が解除されるため、控除はなく100%(制限のない農地等としての価額)で評価されます(選択肢4は不適切)。
- 選択肢 1不正解
- 市街地農地を宅地比準方式で評価する場合、宅地であるとした場合の価額から「宅地造成費」を控除して評価します。
- 選択肢 2正解
- 純農地および中間農地の価額は、固定資産税評価額に国税局長が定める倍率を乗じて計算する倍率方式によって評価します。
- 選択肢 3不正解
- 市街地周辺農地の評価額は、市街地農地として評価した価額の「80%相当額」です(50%ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 課税時期に買取りの申出ができる生産緑地は、すでに建築等の制限が解除可能であるため減額(控除)は行われず、生産緑地でないものとしての価額の全額(100%)で評価します。
覚えるポイント
- 純農地・中間農地:倍率方式
- 市街地農地:宅地並み評価-宅地造成費(宅地比準方式)
- 市街地周辺農地:市街地農地×80%
- 買取り申出が可能な生産緑地:減額なし(100%)
間違えやすいところ
- 市街地周辺農地の「80%」を50%などの他の割合と取り違えたり、買取り申出可能な生産緑地で大幅な減額があると誤解したりしやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の財産評価基本通達36-2、37、38、40-2
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等)の判定
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 家なき子特例 / 貸付事業用宅地等の3年以内規制
2019年4月に死亡した被相続人Aさんが所有し、長男Bさんが相続により取得した甲土地および乙土地の概要は、下記のとおりである。甲土地および乙土地に対する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 〈甲土地の概要〉 ・Aさんが居住の用に供していた自宅の敷地(200㎡)である。 ・Aさんの配偶者は既に死亡しており、同居親族もいない。 ・長男Bさんは、20年前から賃貸マンションに居住しており、これまでに自己または自己の配偶者が持家を取得したことはない。 ・長男Bさんは、相続により取得した甲土地上の自宅を、相続税の申告期限前に第三者に賃貸した。 〈乙土地の概要〉 ・Aさんが所有している賃貸アパート(10室)の敷地(240㎡)である。 ・Aさんは、乙土地および賃貸アパートを2018年6月に取得し、同月中に貸付事業を開始した。 ・Aさんは、乙土地上の賃貸アパート以外に貸付事業は行っていない。 ・長男Bさんは、相続により取得した乙土地に係る貸付事業を承継し、相続税の申告期限まで引き続き営んでいる。
解答・解説を表示
解答
2
解説
小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等(いわゆる家なき子特例)では、申告期限までの保有継続が要件であり居住継続は求められません。また貸付事業用宅地等は、平成30年度税制改正により相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等が原則として除外されています。
解き方
- 甲土地について、被相続人に配偶者および同居親族がおらず、取得者である長男Bさんは持家を所有したことがない親族(家なき子)である点を確認する。家なき子特例の要件は「申告期限までの保有継続」であり、申告期限前に第三者に賃貸しても保有を継続していれば特定居住用宅地等に該当すると判断する。
- 乙土地について、被相続人Aさんが貸付事業を開始したのは2018年6月、相続開始は2019年4月であり、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等である。他に事業実績もないため除外事由に該当し、貸付事業用宅地等には該当しないと判断する。
- 両者の判定結果から「甲土地は特定居住用宅地等に該当し、乙土地は貸付事業用宅地等に該当しない」とする選択肢2を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 乙土地は相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等であり、かつ相続開始前3年を超えて事業的規模等で貸付事業を行っていた実績もないため、貸付事業用宅地等に該当しません。
- 選択肢 2正解
- 甲土地は家なき子要件を満たした長男Bさんが申告期限まで保有を継続しているため特定居住用宅地等に該当し、乙土地は相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等であるため貸付事業用宅地等に該当しません。
- 選択肢 3不正解
- 甲土地は申告期限前に第三者に賃貸した場合であっても、売却せず申告期限まで保有を継続していれば家なき子特例の適用対象となるため、特定居住用宅地等に該当します。
- 選択肢 4不正解
- 甲土地は家なき子特例の保有継続要件を満たしているため特定居住用宅地等に該当します。したがって両方該当しないとする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 家なき子特例の要件は「申告期限までの所有継続」であり、取得後の居住継続は要件とされないため第三者に賃貸しても適用可能である。
- 貸付事業用宅地等は、相続開始前3年以内に新たに貸付事業を開始した宅地等が原則として特例対象から除外される(3年縛り)。
間違えやすいところ
- 同居親族が取得した場合の居住継続要件と、家なき子親族が取得した場合の所有継続要件を混同し、家なき子が第三者に賃貸すると特例が受けられないと誤認しやすい。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年度税制改正後の小規模宅地等の特例)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年民法(相続法)改正の要点
相続・事業承継 · 配偶者短期居住権 / 自筆証書遺言の方式緩和 / 預貯金の仮払い制度 / 特別寄与料
2018年7月6日に成立し、同月13日に公布された「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(改正相続法)の改正事項に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
2018年民法改正により、残された配偶者の生活基盤を短期的に保護する「配偶者短期居住権」や、遺産分割前善後策としての「預貯金の払戻し制度」、遺言方式の緩和、相続人以外の親族の貢献に報いる「特別寄与料」制度などが創設・整備されました。
解き方
- 選択肢1について、配偶者短期居住権の存続期間は「建物の帰属確定日」または「相続開始時から6カ月経過日」のいずれか遅い日とされているため、最低6カ月間は無償居住が保障されることを確認し、適切と判定する。
- 選択肢2について、自筆証書遺言の方式緩和は添付する「財産目録」に限って自書不要(パソコン作成可)とされたものであり、遺言の本文・日付・氏名は依然として自書が必要であるため不適切と判定する。
- 選択肢3について、預貯金の払戻し制度における単独行使限度額は「各口座の額×1/3×法定相続分」(同一金融機関上限150万円)であり、法定相続分全額ではないため不適切と判定する。
- 選択肢4について、特別寄与料を請求できる特別寄与者は相続人に対する金銭請求権を有するのみであり、遺産分割協議の当事者として参加するわけではないため不適切と判定する。
- 選択肢 1正解
- 配偶者短期居住権は、遺産分割により居住建物の帰属が確定するまでの間、または最低6カ月間、被相続人所有の建物に引き続き無償で居住できる権利として新設されました。
- 選択肢 2不正解
- 自筆証書遺言の方式緩和によりパソコン等での作成が認められたのは「財産目録」の部分のみであり、遺言書の本文・日付・氏名は自書しなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 遺産分割前の預貯金の単独払戻し制度で引き出すことができる金額は、「預貯金債権の額の3分の1に当該相続人の法定相続分を乗じた額」(金融機関ごとに150万円が上限)です。
- 選択肢 4不正解
- 無償で療養看護等を行った相続人以外の親族は、相続人に対して「特別寄与料」の支払いを請求できるにとどまり、遺産分割協議に参加する権利はありません。
覚えるポイント
- 配偶者短期居住権は遺産分割確定日または相続開始から6カ月のいずれか遅い日まで無償居住が可能(最低6カ月保証)。
- 自筆証書遺言のパソコン作成可能部分は「財産目録」のみで、本文・日付・氏名は自書が必要。
- 預貯金の単独払戻し限度額は「口座残高×1/3×法定相続分(同一金融機関上限150万円)」である。
間違えやすいところ
- 特別寄与料の請求権者が遺産分割協議の当事者になると誤認しやすい点に注意する(金銭債権の請求のみ可能)。
出題の前提:2018年7月公布の「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(改正相続法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年5月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年5月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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