日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年9月 1級 学科(応用編)の概要
在職老齢年金と雇用保険の高年齢求職者給付金
ライフプランニングと資金計画 · 在職老齢年金 / 高年齢求職者給付金 / 支給停止調整額
Aさんが65歳以後に再雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として勤務する場合の老齢厚生年金の在職支給停止の仕組み、および65歳到達時に退職した場合の雇用保険からの給付に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「Aさんが、X社の再雇用制度を利用して65歳以後も厚生年金保険の被保険者として同社に勤務し、かつ、65歳から老齢厚生年金を受給する場合、老齢厚生年金は、在職支給停止の仕組みにより、その一部または全部が支給停止になる場合があります。 65歳以後の在職支給停止の仕組みにおける支給停止調整額は( ① )円(平成30年度価額)であり、仮に、Aさんの65歳以後の標準報酬月額を30万円、直近1年間の標準賞与額の総額を78万円、老齢厚生年金(報酬比例部分)の額を150万円とした場合、Aさんの老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給額は月額( ② )円となります。 一方、Aさんが65歳の誕生日でX社を退職し、雇用保険の被保険者資格を喪失した場合、Aさんは、離職の日の翌日から起算して1年を経過する日までに公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをしたうえ、失業していることについての認定を受けることにより、雇用保険の( ③ )の支給を受けることができます。( ③ )の額は、算定基礎期間が1年以上である場合、最大で( ④ )日分の基本手当の額に相当する額になります」
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解答
① 460,000(円)、② 110,000(円)、③ 高年齢求職者給付金、④ 50(日分)
解説
65歳以後の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額(平成30年度は46万円)を超えると、超えた額の2分の1が支給停止されます。また65歳以上の離職者には基本手当ではなく一時金の高年齢求職者給付金が支給されます。
解き方
- 基本月額(年額÷12)と総報酬月額相当額(標準報酬月額+直近1年の標準賞与額÷12)を合算し、46万円と比較して月額支給停止額を計算します。
- 基本月額から月額支給停止額を差し引いて、実際の支給月額を算出します。
- 65歳以上の離職者が受給できる雇用保険の給付名称(高年齢求職者給付金)と、算定基礎期間1年以上の場合の支給日数(50日分)を特定します。
答えの内訳
- ①:460,000(円)
- 平成30年度における65歳以後の在職老齢年金の支給停止調整額は46万円(460,000円)です。
- ②:110,000(円)
- 基本月額は150万円÷12=12.5万円、総報酬月額相当額は30万円+78万円÷12=36.5万円です。合計額49万円が46万円を超えるため、月額の支給停止額は(49万円-46万円)×1/2=1.5万円となり、月額支給額は12.5万円-1.5万円=11万円(110,000円)となります。
- ③:高年齢求職者給付金
- 65歳以上の雇用保険の被保険者(高年齢被保険者)が離職した場合、基本手当に代えて一時金として「高年齢求職者給付金」が支給されます。
- ④:50(日分)
- 高年齢求職者給付金の支給日数は、算定基礎期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分となります。
覚えるポイント
- 65歳以後の在職老齢年金の支給停止基準額(平成30年度は46万円、現行50万円)
- 高年齢求職者給付金の支給日数(1年未満30日分、1年以上50日分)
間違えやすいところ
- 支給停止額ではなく「支給額」を問われているため、差引後の金額を解答する必要がある点に注意が必要です。
- 65歳未満の離職者に支給される基本手当と、65歳以上の離職者に支給される高年齢求職者給付金を混同しないようにします。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(平成30年度価額)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人型確定拠出年金(iDeCo)の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / 個人型年金 / 拠出限度額 / 小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の実施主体、加入要件、拠出限度額、運用指図、税制上の取扱いおよび給付に関する次の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「確定拠出年金は、拠出された掛金が加入者ごとに明確に区分され、将来の年金受取額が加入者の運用指図に基づく運用実績に応じて変動する年金制度です。確定拠出年金には、掛金を基本的に企業が拠出する企業型年金と加入者自身が拠出する個人型年金があります。 個人型年金では、実施主体である( ① )が、個人型年金規約の作成、加入者の資格の確認、掛金の収納等の業務を行っています。加入対象者は、原則として、( ② )歳未満の公的年金加入者です。 加入者は、年1回以上、定期的に掛金を拠出しますが、1年間の掛金の総額は加入者の種別に応じて定められた拠出限度額を超えることはできません。Aさんが個人型年金に加入する場合、拠出することができる掛金の額は、最大で年間( ③ )円が限度となります。 加入者は、加入申出時に、( ① )より業務委託された複数の運営管理機関のなかから、自己に係る運営管理機関を指定し、当該運営管理機関から、運用方法の提示や個別運用商品のリスク・リターン特性等の情報提供を受けたうえで、運用方法を選択し、かつ、運用方法に充てる額を決定し、運営管理機関に対して運用指図を行うことになります。購入する運用商品の配分比率の変更や預替えは、少なくとも( ④ )カ月に1回行うことができます。なお、拠出した掛金は、( ⑤ )控除として所得控除の対象となります。 給付には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金があります。 老齢給付金を60歳から受け取るためには、通算加入者等期間が( ⑥ )年以上必要です。通算加入者等期間が( ⑥ )年に満たない場合は、受給開始可能な年齢が繰り下げられますが、遅くとも65歳から支給を受けることができます。有期年金である老齢給付金を年金で受け取る場合は、5年以上( ⑦ )年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で支給されますが、一時金として一括で受け取ることも可能です。老齢給付金を年金として受け取る場合は雑所得として所得税の課税対象となり、一時金として一括で受け取る場合は( ⑧ )所得として所得税の課税対象となります」
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解答
① 国民年金基金連合会、② 60(歳)、③ 144,000(円)、④ 3(カ月)、⑤ 小規模企業共済等掛金(控除)、⑥ 10(年)、⑦ 20(年)、⑧ 退職(所得)
解説
個人型確定拠出年金(iDeCo)は国民年金基金連合会が実施主体であり、拠出時は小規模企業共済等掛金控除、受給時は年金なら公的年金等控除(雑所得)、一時金なら退職所得控除(退職所得)の対象となります。企業年金の加入状況によって掛金の拠出限度額が異なります。
解き方
- iDeCoの制度概要(実施主体、加入可能年齢、運用指図の見直し頻度)の基本要件を確認します。
- 設例の条件から、Aさんが確定給付企業年金(基金型)の加入者であることを把握し、第2号被保険者の限度額(月1.2万円=年間144,000円)を算出します。
- 拠出時および給付受取時の税制上の取扱い(所得控除の名称、年金・一時金それぞれの受給形態に応じた所得区分)を特定します。
答えの内訳
- ①:国民年金基金連合会
- 確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)の実施主体は国民年金基金連合会です。
- ②:60(歳)
- 試験基準日(2018年4月)における個人型年金の加入対象者は、原則として60歳未満の公的年金加入者です。
- ③:144,000(円)
- Aさんは確定給付企業年金(DB)に加入している第2号被保険者であるため、個人型年金の掛金限度額は月額1.2万円、年額144,000円となります。
- ④:3(カ月)
- 加入者は少なくとも3カ月に1回、運用の指図(資産配分の変更やスイッチング・預替え)を行うことができます。
- ⑤:小規模企業共済等掛金(控除)
- 確定拠出年金において個人が拠出した掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額が所得控除の対象になります。
- ⑥:10(年)
- 確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要です。
- ⑦:20(年)
- 老齢給付金を有期年金として受給する場合の支給期間は、5年以上20年以下の期間で運営管理機関が定めます。
- ⑧:退職(所得)
- 老齢給付金を一時金として受給する場合は退職所得とみなされ、退職所得控除の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 他制度(確定給付型)加入の第2号被保険者のiDeCo拠出限度額は月額1.2万円(年額144,000円)
- iDeCoの掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」
- 60歳受給開始には通算加入者等期間10年以上が必要
間違えやすいところ
- 掛金の所得控除を「社会保険料控除」や「生命保険料控除」と誤答しないように注意が必要です。
- Aさんの属性(確定給付企業年金加入者)を見落として、企業年金なしの第2号(月2.3万円)や第1号(月6.8万円)の限度額を適用しないようにします。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢給付(老齢基礎年金・老齢厚生年金)の受給額計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金の年金額計算 / 報酬比例部分の計算 / 経過的加算額 / 加給年金額
Aさん(昭和35年1月10日生まれ)が、65歳の誕生日でX社を退職して再就職しない場合、原則として65歳から受給できる公的年金の老齢給付について、次の①および②を計算しなさい。なお、年金額は平成30年度価額に基づき、円未満を四捨五入すること。 〈条件〉 (1) 厚生年金保険の被保険者期間 ・総報酬制導入前:252月 ・総報酬制導入後(65歳到達時点):261月 (2) 平均標準報酬月額および平均標準報酬額 ・総報酬制導入前の平均標準報酬月額:37万円 ・総報酬制導入後の平均標準報酬額(65歳到達時点):59万6,000円 (3) 妻Bさんは老齢給付の繰上げ受給を行わない。 (4) Aさんは昭和55年1月〜昭和57年3月までの学生期間(27月)は国民年金に任意加入していない。 (5) 報酬比例部分の乗率(新乗率):導入前 7.125/1,000、導入後 5.481/1,000 (6) 加給年金額:389,800円(要件を満たす場合加算) ① 老齢基礎年金の年金額 ② 老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)
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解答
① 735,464円 ② 1,951,273円
解説
老齢基礎年金は保険料納付済月数に応じた減額計算が行われ、未加入期間は分子に含めません。老齢厚生年金は「報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額」で算定され、経過的加算の計算において厚生年金期間は480月が上限となります。また被保険者期間20年以上の受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金が加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金の保険料納付済期間(480月-未加入月数)を算出し、満額に月数比を乗じて端数処理を行う。
- 報酬比例部分を総報酬制導入前と導入後に分けて算出し、合算して端数処理を行う。
- 経過的加算額を計算し(乗算する月数は上限480月)、端数処理を行う。
- 厚生年金加入期間が240月以上かつ65歳未満の生計同一配偶者がいることを確認し、報酬比例部分・経過的加算・加給年金額を合算する。
答えの内訳
- ①:735,464(円)
- 老齢基礎年金の満額は779,300円(平成30年度)です。20歳から60歳までの480月のうち、未加入期間(27月)を除く保険料納付済期間の月数は453月(480月-27月)となります。したがって、779,300円×(453月/480月)=735,464.3125円となり、円未満を四捨五入して735,464円となります。
- ②:1,951,273(円)
- 報酬比例部分は、平成15年3月以前分[370,000円×(7.125/1,000)×252月=664,338円]と平成15年4月以後分[596,000円×(5.481/1,000)×261月=852,599.436円]の合計で1,516,937.436円(四捨五入して1,516,937円)です。経過的加算額は、定額部分の被保険者月数上限480月を用いて[1,625円×480月-779,300円×(453月/480月)=44,535.6875円]となり、四捨五入して44,536円です。Aさんは被保険者期間が240月以上あり、65歳未満で生計を維持している妻Bさんがいるため加給年金389,800円が加算されます。合計額は1,516,937円+44,536円+389,800円=1,951,273円となります。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の満額(平成30年度:779,300円)および経過的加算の単価(1,625円)の定数式
- 経過的加算の被保険者月数は480月が上限であること
- 加給年金の支給要件(厚生年金被保険者期間20年以上、65歳未満の生計維持配偶者等)
間違えやすいところ
- 経過的加算の左側の被保険者期間月数に、実月数(513月)をそのまま適用してしまう(上限は480月)。
- 未加入の学生期間(合算対象期間)を老齢基礎年金の計算上の納付済月数に算入してしまうミス。
出題の前提:2018年4月1日施行法令(平成30年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析指標(ROEの分解、インタレスト・カバレッジ・レシオ、配当性向)
金融資産運用 · 自己資本当期純利益率(ROE) / デュポンシステム(財務レバレッジ) / 使用総資本回転率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ / 配当性向
設例の〈X社とY社の財務データ〉に基づいて、MさんがAさんに対して説明した文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。 Ⅰ 「X社とY社を自己資本当期純利益率(ROE)で比較すると、Y社の値は( ① )%である。ROEは売上高当期純利益率、使用総資本回転率、( ② )の3指標に分解できる。売上高当期純利益率はX社の値が( ③ )%、使用総資本回転率はX社の値が( ④ )回である」 Ⅱ 「財務的安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、Y社の値は( ⑤ )倍である」 Ⅲ 「株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、Y社の値は( ⑥ )%である」
解答・解説を表示
解答
① 8.02(%) ② 財務レバレッジ ③ 5.45(%) ④ 0.42(回) ⑤ 9.73(倍) ⑥ 18.06(%)
解説
企業の総合的な収益性を示すROE(自己資本当期純利益率)は、売上高当期純利益率(収益性)、総資産回転率(効率性)、財務レバレッジ(財務構成)の積に分解して要因分析が可能です。また、債務支払能力を測るインタレスト・カバレッジ・レシオや利益還元姿勢を測る配当性向など、目的に応じた適切な財務諸表数値を抽出し算定します。
解き方
- 自己資本(純資産-非支配株主持分)を求めてY社のROEを算定する。
- デュポン分解の3要素から空欄②の指標名を特定する。
- X社の売上高・総資本・純利益から、売上高当期純利益率および使用総資本回転率を算定する。
- 事業利益(営業利益+金融収益)と支払利息からインタレスト・カバレッジ・レシオを算定する。
- 配当金総額と当期純利益から配当性向を算定する。
答えの内訳
- ①:8.02(%)
- 自己資本=純資産合計-非支配株主持分=462,000百万円-13,000百万円=449,000百万円です。ROE=当期純利益÷自己資本×100=36,000百万円÷449,000百万円×100=8.0178...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して8.02%となります。
- ②:財務レバレッジ
- デュポン分析におけるROEの分解式は「売上高当期純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)」となるため、空欄に入る語句は「財務レバレッジ」です。
- ③:5.45(%)
- X社の売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高×100=30,000百万円÷550,000百万円×100=5.4545...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して5.45%となります。
- ④:0.42(回)
- X社の使用総資本回転率=売上高÷使用総資本(総資産)=550,000百万円÷1,300,000百万円=0.4230...回となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.42回となります。
- ⑤:9.73(倍)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息です。Y社=(66,000百万円+600百万円+1,500百万円)÷7,000百万円=68,100百万円÷7,000百万円=9.7285...倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して9.73倍となります。
- ⑥:18.06(%)
- Y社の配当性向=配当金総額÷当期純利益×100=6,500百万円÷36,000百万円×100=18.0555...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して18.06%となります。
覚えるポイント
- 自己資本=純資産合計-新株予約権-非支配株主持分
- ROE=売上高当期純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息
間違えやすいところ
- 自己資本の計算で非支配株主持分を控除し忘れるミス。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に経常利益を用いてしまったり、受取利息・受取配当金を加算し忘れるミス。
出題の前提:2018年4月1日施行法令・出題条件基準
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率および使用総資本事業利益率の計算
金融資産運用 · 財務分析 / サスティナブル成長率 / 使用総資本事業利益率
設例の〈X社とY社の財務データ〉に基づいて、①X社のサスティナブル成長率と②Y社の使用総資本事業利益率をそれぞれ求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。
解答・解説を表示
解答
① 5.78(%) ② 4.26(%)
解説
サスティナブル成長率は外部調達に頼らず内部留保と現行の財務構成で達成可能な成長率であり、ROEに内部留保率(1-配当性向)を乗じて算出します。使用総資本事業利益率は投下資本全体に対する本業および金融収益の効率性を示す指標であり、事業利益(営業利益+受取利息・配当金)を総資産で除して求めます。
解き方
- X社の財務データから純資産から非支配株主持分を控除して自己資本を求め、ROEと内部留保率を算出してサスティナブル成長率を計算する。
- Y社の財務データから営業利益に金融収益(受取利息・受取配当金)を加算して事業利益を求め、総資産で除して使用総資本事業利益率を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:5.78(%)
- X社の自己資本 = 純資産合計 405,000百万円 - 非支配株主持分 5,000百万円 = 400,000百万円。ROE = 当期純利益 30,000百万円 ÷ 自己資本 400,000百万円 × 100 = 7.5%。配当性向 = 配当金総額 6,900百万円 ÷ 当期純利益 30,000百万円 = 0.23(23%)。サスティナブル成長率 = ROE × (1 - 配当性向) = 7.5% × (1 - 0.23) = 5.775%。小数点以下第3位を四捨五入して、5.78%となります。
- 小問 ②:4.26(%)
- Y社の事業利益 = 営業利益 66,000百万円 + 受取利息 600百万円 + 受取配当金 1,500百万円 = 68,100百万円。使用総資本 = 資産の部合計 1,600,000百万円。使用総資本事業利益率 = 事業利益 68,100百万円 ÷ 使用総資本 1,600,000百万円 × 100 = 4.25625%。小数点以下第3位を四捨五入して、4.26%となります。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率 = ROE × (1 - 配当性向)
- 事業利益 = 営業利益 + 受取利息 + 受取配当金(金融収益のみ加算)
間違えやすいところ
- 自己資本の計算において純資産から非支配株主持分を引き忘れるミスに注意する。
- 事業利益の計算において営業外収益の「その他」まで含めてしまわないように注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・基準等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建て債券の所有期間利回り(円換算・単利)の計算
金融資産運用 · 外貨建て金融商品 / 債券投資 / 所有期間利回り / 為替レート
設例の〈米ドル建て債券の概要〉の条件で、為替予約を付けずに円貨を外貨に交換して当該債券を購入し、1年6カ月後に売却して、売却金額と3回分の利子をまとめて円貨に交換した場合における所有期間利回り(単利による年換算)を求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、1年6カ月は1.5年として計算し、税金等は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
0.32(%)
解説
円貨から外貨建て債券に投資して売却後に円貨に戻す利回りは、円ベースの総投資額に対するインカムゲインおよびキャピタルゲインの円換算合計の割合を投資年数で除した単利年換算で算出します。円から外貨への交換時にはTTS、外貨から円への交換時にはTTBを適用します。
解き方
- 購入時の適用為替レート(TTS:110.00円)を用いて額面100米ドル当たりの円貨投資金額を算出する。
- 売却単価と1.5年分(3回分)の受取利子を合計した外貨総額を求め、売却時の為替レート(TTB:105.75円)を用いて円貨回収額を計算する。
- 円貨ベースの収益額を購入時円貨額で除し、保有期間(1.5年)で割って年換算単利を求め、端数処理を行う。
覚えるポイント
- 顧客から見た円から外貨への交換はTTS(買相場:Telegraphic Transfer Selling rate)
- 顧客から見た外貨から円への交換はTTB(売相場:Telegraphic Transfer Buying rate)
- 債券利子は年率×年数(1.5年分=利率×1.5)で計算する
間違えやすいところ
- TTSとTTBの適用を逆にして計算してしまうミスに注意する。
- 年換算する際に保有年数である1.5年で割ることを忘れて全期間利回りのまま回答してしまうミスに注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・基準等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税別表四の所得金額の計算
タックスプランニング · 法人税申告書別表四 / 交際費等の損金不算入 / 減価償却超過額の認容 / 引当金の税務調整
サービス業を営むX社(資本金3,000万円、青色申告法人、中小企業者等)の平成31年3月期の確定申告に係る資料に基づき、〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑦に入る適切な数値を求めなさい。 〈資料〉 1. 交際費等:損金経理した支出額は18,120千円。このうち1人当たり5,000円以下の飲食費が600千円、それを除いた接待飲食費が17,200千円含まれる(社内飲食費除外、書類保存済)。その他は税法上の交際費等。 2. 減価償却:全額損金経理。備品は会社計上3,400千円(償却限度額3,500千円)。建物は会社計上6,790千円(償却限度額7,700千円、前期繰越超過額950千円)。 3. 退職給付引当金:当期に退職給付費用3,300千円を損金経理・引当金計上。退職金支払時に引当金6,700千円を取り崩し現金支給。 4. 法人税等:損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」は利子源泉所得税等10,210円(所得税10千円・復興特別所得税210円)と当期見積納税額2,370千円の合計2,380,210円。貸借対照表の未払法人税等は2,370千円。前期事業税等740千円を納付。源泉所得税等は税額控除を選択。 5. 略式別表四の当期利益は2,749,790円、欠損金等当期控除額は0円。選択肢がある場合は有利な方を選択する。
解答・解説を表示
解答
① 2,370,000(円)、② 8,920,000(円)、③ 3,300,000(円)、④ 910,000(円)、⑤ 6,700,000(円)、⑥ 10,210(円)、⑦ 9,000,000(円)
解説
法人税の別表四は、企業会計上の当期純利益から税務上の益金・損金との差異を加算・減算して課税所得金額を算出する明細書です。損金とならない納税引当や交際費超過額を加算し、過年度の超過額の認容や当期支払認容を減算します。
解き方
- 交際費等のうち5,000円以下飲食費を除外した上で、飲食費50%損金算入と定額控除800万円のいずれか損金不算入額が小さくなる有利な方法を選択する。
- 減価償却費の当期不足額と前期繰越超過額を比較して当期認容額を決定し、退職給付引当金の繰入加算・支払認容減算を適用する。
- 当期利益に各加算額を加え各減算額を控除し、法人税額控除所得税額を留保外加算して所得金額を算定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:2,370,000
- 損金経理をした納税充当金は、当期確定申告分の見積納税額として損益計算書で費用計上され貸借対照表の未払法人税等に計上された2,370,000円を加算(留保)します。
- 小問 ②:8,920,000
- 交際費支出18,120千円から1人5,000円以下の飲食費600千円を除いた17,520千円が税法上の交際費等です。接待飲食費50%損金算入を選択すると損金不算入額は17,520千円-(17,200千円×50%)=8,920,000円となり、定額控除限度額(年800万円)の損金不算入額9,520,000円より有利なため8,920,000円となります。
- 小問 ③:3,300,000
- 税法上、退職給付引当金の繰入額は損金算入が認められないため、損金経理した退職給付費用3,300,000円の全額を加算(留保)します。
- 小問 ④:910,000
- 建物の償却限度額7,700千円に対し損金経理額は6,790千円であり、償却不足額が910千円生じます。前期からの繰越償却超過額950千円のうち、この償却不足額の限度内で910,000円を減算(当期認容・留保)します。
- 小問 ⑤:6,700,000
- 退職給付引当金を取り崩して現金で支払った退職金6,700,000円は、支払時に税務上の損金となるため減算(留保)して過年度の損金不算入額を認容します。
- 小問 ⑥:10,210
- 法人税額から控除される預金利子の源泉所得税額10,000円および復興特別所得税額210円の合計額10,210円を加算(社外流出)します。
- 小問 ⑦:9,000,000
- 当期利益2,749,790円+加算小計(2,370,000円+8,920,000円+3,300,000円)-減算小計(910,000円+6,700,000円+740,000円)+所得税額等加算10,210円=所得金額9,000,000円となります。
覚えるポイント
- 中小企業者等は交際費について「接待飲食費の50%損金算入」と「年800万円までの全額損金算入」の有利選択が可能。
- 減価償却の償却不足額は次期以降に繰り越せないが、過去の繰越超過額を限度として認容減算できる。
間違えやすいところ
- 1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費等の範囲から除外せずに50%計算を行ってしまうミス。
- 損金経理をした納税充当金に前期支払の事業税額や利子源泉所得税額を含めてしまう計算誤り。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法人税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小法人の確定申告納付法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 税額控除 / 所得税額控除
《問57》の計算結果(所得金額9,000,000円)に基づき、中小法人であるX社が平成31年3月期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。なお、中小企業における賃上げ促進税制に係る税額控除額は200千円であり、利子源泉所得税等10,210円の税額控除を適用する。税率は年800万円以下が15%、年800万円超が23.2%とし、100円未満の端数は切り捨てるものとする。
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解答
1,221,700(円)
解説
資本金1億円以下の中小法人等については、課税所得金額のうち年800万円以下の部分に15%の軽減税率、年800万円超の部分に本則税率(平成30年度開始事業年度は23.2%)が適用されます。算出した税額から特別税額控除や源泉所得税額控除を差し引き、納付税額は100円未満を切り捨てます。
解き方
- 所得金額9,000,000円を年800万円以下の部分と年800万円超の部分に区分し、それぞれ15%と23.2%の税率を乗じて合計税額1,432,000円を算出する。
- 算出税額から賃上げ促進税制による特別税額控除200,000円および源泉所得税・復興特別所得税の控除額10,210円を控除して1,221,790円を求める。
- 国税通則法に基づき100円未満の端数を切り捨てて最終的な納付税額1,221,700円を確定する。
覚えるポイント
- 中小法人の軽減税率は年800万円を境にして二段階で税額を計算する。
- 税額控除後の最終納付税額は100円未満を切り捨てる。
間違えやすいところ
- 特別税額控除(200,000円)は考慮したが、預金利子から源泉徴収された所得税額等(10,210円)の控除を引き忘れるミス。
- 100円未満切捨て処理を忘れ、1,221,790円と解答してしまうミス。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法人税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除
タックスプランニング · 法人税 / 税額控除 / 賃上げ・生産性向上のための税制
「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除」に関する文章ⅠおよびⅡの下線部①~③のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。なお、平成30年4月1日から平成31年3月31日までの事業年度を当期とする。
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解答
Ⅰ 下線部の番号:③、適切な内容:当期における継続雇用者に対する給与等の支給額が前期における継続雇用者に対する給与等の支給額の101.5%以上でなければならない。/Ⅱ 下線部の番号:②、適切な内容:法人が中小企業者等である場合は、税額控除額が給与等支給増加額の25%相当額となる。
解説
賃上げ・生産性向上のための税制(法人税額の特別控除)は、企業規模(大企業向け・中小企業者等向け)ごとに適用要件や税額控除割合(上乗せ控除率を含む)が段階的に定められています。
解き方
- 文章Ⅰについて大企業要件(3%以上賃上げ+設備投資)と中小企業者等要件(1.5%以上賃上げ)の違いを比較し、誤っている数値(下線部③)を特定して正しい要件を記述する。
- 文章Ⅱについて中小企業者等が上乗せ要件(2.5%以上賃上げ+教育訓練費10%以上増加等)を満たした場合の控除率(25%)を確認し、下線部②の誤りを指摘して訂正する。
答えの内訳
- Ⅰ:下線部の番号:③ 適切な内容:当期における継続雇用者に対する給与等の支給額が前期における継続雇用者に対する給与等の支給額の101.5%以上でなければならない。
- 中小企業者等における賃上げ促進税制(平成30年度税制改正後)の一般要件では、当期の継続雇用者給与等支給額が前期比で「1.5%以上増加」(101.5%以上)していることが求められます。問題文の「101%以上」は不適切です。
- Ⅱ:下線部の番号:② 適切な内容:法人が中小企業者等である場合は、税額控除額が給与等支給増加額の25%相当額となる。
- 中小企業者等が、継続雇用者給与等支給額の対前年度比2.5%以上増加に加え、教育訓練費の対前年度比10%以上増加等の上乗せ要件を満たした場合、税額控除率は「25%」(基本の15%に10%上乗せ)となります。下線部②の「22%」は不適切です。
覚えるポイント
- 中小企業者等の基本控除率は15%(要件:1.5%賃上げ)、上乗せ控除率は25%(要件:2.5%賃上げ+教育訓練費10%増等)であること。
間違えやすいところ
- 大企業の上乗せ控除率(20%)と中小企業の上乗せ控除率(25%)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(平成30年度税制改正後の租税特別措置法第42条の12の5)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途・防火)および空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例
不動産 · 用途地域 / 防火地域・準防火地域 / 空き家の3,000万円特別控除
建築基準法の規定および「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関する文章中の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を記入しなさい。
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解答
① 第二種中高層住居専用(地域) ② 3(以上) ③ 100(㎡) ④ 56(年) ⑤ 区分所有(登記) ⑥ 1億(円) ⑦ 耐震(基準) ⑧ 市区町村
解説
建築基準法における用途制限は敷地の過半の地域が適用され、防火規制はより厳しい地域の規定が全体に適用されます。また、空き家の3,000万円特別控除は昭和56年5月31日以前の旧耐震・非区分所有・譲渡対価1億円以下等の厳格な要件が定められています。
解き方
- 敷地がまたがる場合の用途地域の過半主義に基づき、面積を合算して過半となる地域名(①)を特定する。
- 防火地域の建築制限に関する階数(②)および延べ面積(③)の法定基準値を記入する。
- 空き家譲渡特例の各要件(旧耐震の昭和56年以前・区分所有不可・対価1億円以下・耐震基準適合・市区町村長の発行確認書)に当てはまる数値・語句を正確に解答する。
答えの内訳
- ①:第二種中高層住居専用(地域)
- 建築物の敷地が異なる2以上の用途地域にまたがる場合、用途制限はその敷地の過半が属する地域の規定が敷地全体に適用されます。設例の一体土地(300㎡)は第二種中高層住居専用地域が200㎡(甲120+乙80)、第一種住居地域が100㎡(甲60+乙40)であるため、過半を占める「第二種中高層住居専用地域」の用途規制が適用されます。
- ②:3(以上)
- 防火地域内においては、階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物としなければなりません。
- ③:100(㎡)
- 防火地域内においては、階数が3以上または延べ面積が100㎡超の建築物は耐火建築物とする義務があります。
- ④:56(年)
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例の対象家屋は、昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された旧耐震基準の家屋です。
- ⑤:区分所有(登記)
- 本特例の対象となる家屋は一戸建て住宅に限られており、区分所有登記がされているマンション等の建物は適用対象外です。
- ⑥:1億(円)
- 本特例の適用を受けるためには、売買代金等の譲渡対価の額が合計で1億円以下でなければなりません。
- ⑦:耐震(基準)
- 家屋を取り壊さずに家屋付きで譲渡する場合、譲渡時において現行の新耐震基準に適合している必要があります。
- ⑧:市区町村
- 特例適用のためには、対象不動産の所在地の市区町村長から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける必要があります。
覚えるポイント
- 用途地域は「敷地の過半」の規定、防火規制は「敷地内で最も厳しい地域」の規定が全体に及ぶこと。
間違えやすいところ
- 用途地域の過半主義と、防火地域の「最も厳しい規制が敷地全体に適用される」原則を混同しないようにすること。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(建築基準法第91条・第61条等、租税特別措置法第35条第3項等)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数用途地域にまたがる敷地の建築面積および延べ面積の限度計算
不動産 · 建築基準法 / 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / セットバック
甲土地(180㎡:第二種中高層住居専用地域120㎡、第一種住居地域60㎡)と乙土地(120㎡:第二種中高層住居専用地域80㎡、第一種住居地域40㎡)を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合の、①建蔽率の上限となる建築面積(㎡)および②容積率の上限となる延べ面積(㎡)を求めなさい。 【条件】 ・北側道路:幅員6m公道 ・南側道路:幅員3m公道(建築基準法第42条第2項道路、中心線は道路中央、反対側は宅地) ・乙土地は特定行政庁が指定する角地である。 ・第二種中高層住居専用地域:指定建蔽率60%、指定容積率200%、容積率制限係数4/10、準防火地域 ・第一種住居地域:指定建蔽率60%、指定容積率300%、容積率制限係数4/10、防火地域
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解答
① 232㎡ ② 616㎡
解説
建築基準法第42条第2項道路に接する土地はセットバック部分が敷地面積から除外されます。また、耐火建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合は全体に厳しい規定が適用され、建蔽率や容積率は地域ごとの按分計算を行います。
解き方
- 南側2項道路のセットバック面積(0.5m×間口20m=10㎡)を計算し、第一種住居地域の面積から控除して有効敷地面積を算出する。
- 角地緩和(+10%)と防火地域内の耐火建築物緩和(+10%)を加算した建蔽率(80%)を乗じて建築面積の上限を求める。
- 最大前面道路幅員(6m)に基づく容積率制限(240%)と指定容積率を比較し、地域ごとの延べ面積上限を計算して合計する。
答えの内訳
- ①:232(㎡)
- 南側の幅員3m道路は建築基準法第42条第2項道路であり、道路中心線から2m後退(セットバック)が必要です。反対側が宅地のため、敷地側からの後退幅は(4m-3m)÷2=0.5mとなります。接道間口は甲土地12m+乙土地8m=20mであるため、セットバック面積は20m×0.5m=10㎡となり、後退部分は南側の第一種住居地域から減算されます。これにより有効敷地面積は、第二種中高層住居専用地域が200㎡、第一種住居地域が100㎡-10㎡=90㎡、合計290㎡となります。建蔽率は基準の60%に加え、特定行政庁指定の角地緩和(+10%)、および防火地域にまたがる敷地で耐火建築物を建築することによる緩和(+10%)が重畳適用され、合計80%となります。したがって、建築面積の最高限度は290㎡×80%=232㎡となります。
- ②:616(㎡)
- 前面道路が2以上ある場合、幅員の最大のもの(北側の6m公道)を前面道路として容積率制限を算定します。住居系地域の前面道路幅員制限は6m×4/10=240%です。地域ごとの延べ面積の上限は、第二種中高層住居専用地域(敷地200㎡)が指定200%と道路制限240%の小さい方である200%を適用して200㎡×200%=400㎡、第一種住居地域(セットバック後敷地90㎡)が指定300%と道路制限240%の小さい方である240%を適用して90㎡×240%=216㎡となります。敷地全体の延べ面積の上限はこれらを合計して400㎡+216㎡=616㎡となります。
覚えるポイント
- 2項道路のセットバック面積は道路中心線からの距離で求め、敷地面積から除外する。
- 前面道路が2以上ある場合、最大の幅員を前面道路として幅員制限容積率を計算する。
間違えやすいところ
- セットバック面積を敷地全体から引いた後に地域別面積へ反映し忘れ、容積率の按分計算を誤るミス。
- 最大の前面道路(6m)ではなく、狭い方の前面道路幅員で容積率制限を計算してしまうミス。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除および税額計算
不動産 · 譲渡所得 / 空き家特例 / 概算取得費 / 長期譲渡所得の税率 / 復興特別所得税
Aさんが相続した家屋を取り壊し、その敷地である甲土地を譲渡して「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」の適用を受けた場合について、次の①~③を計算しなさい。 ① 課税長期譲渡所得金額 ② 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税の合計額(100円未満切捨て) ③ 課税長期譲渡所得金額に係る住民税額(100円未満切捨て) 【条件】 ・譲渡価額:4,000万円 ・所有期間:50年 ・取得費:不明 ・譲渡費用:300万円(取壊し費用、仲介手数料等)
解答・解説を表示
解答
① 5,000,000(円) ② 765,700(円) ③ 250,000(円)
解説
被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した際の3,000万円特別控除は、譲渡益(譲渡価額-取得費-譲渡費用)から最高3,000万円を控除し、残額に長期譲渡所得の税率(所得税15%、復興特別所得税2.1%、住民税5%)を乗じて税額を計算します。
解き方
- 譲渡価額4,000万円の5%相当額(200万円)を取得費とし、譲渡費用300万円および特別控除3,000万円を差し引いて課税長期譲渡所得金額を求める。
- 課税長期譲渡所得金額に所得税率15%を乗じ、さらにその所得税額に2.1%を乗じて復興特別所得税を計算し、合計して100円未満を切り捨てる。
- 課税長期譲渡所得金額に住民税率5%を乗じて住民税額を求める。
答えの内訳
- ①:5,000,000(円)
- 取得費が不明であるため概算取得費(譲渡価額の5%)を適用します。概算取得費=40,000,000円×5%=2,000,000円。空き家特例の特別控除額は最高3,000万円です。したがって、課税長期譲渡所得金額=40,000,000円-(2,000,000円+3,000,000円)-30,000,000円=5,000,000円となります。
- ②:765,700(円)
- 長期譲渡所得に対する所得税率は15%、復興特別所得税は基準所得税額の2.1%です。所得税額=5,000,000円×15%=750,000円。復興特別所得税額=750,000円×2.1%=15,750円。合計額=750,000円+15,750円=765,750円。100円未満を切り捨てるため、765,700円となります。
- ③:250,000(円)
- 長期譲渡所得に対する住民税率は5%です。住民税額=5,000,000円×5%=250,000円となります。
覚えるポイント
- 取得費が不明な場合は譲渡価額の5%を概算取得費として控除できる。
- 長期譲渡所得の税率は所得税15%、復興特別所得税(所得税×2.1%=0.315%)、住民税5%である。
間違えやすいところ
- 復興特別所得税の計算で課税長期譲渡所得金額に2.1%を直接乗じてしまうミス(基準所得税額に乗じるのが正しい)。
- 税額の端数処理(100円未満切捨て)を忘れて765,750円のまま解答してしまうミス。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各相続人等の相続税の課税価格および課税価格の合計額の計算
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 貸家建付地 / 貸家 / 死亡保険金の非課税 / 相続時精算課税 / 一括贈与特例の残額
設例の〈親族関係図〉および〈Aさんが保有する財産の分割内容等に関する資料〉に基づき、Aさんが平成30年9月9日に死亡した場合の各相続人等に係る相続税の課税価格および課税価格の合計額について、表中の空欄①~⑧に入る数値を求めなさい(単位:万円)。なお、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例は妻Bさんが取得する自宅敷地(優先適用)と長女Dさんが取得する賃貸アパート敷地に適用するものとする。
解答・解説を表示
解答
① 1,400(万円) ② 1,240(万円) ③ 6,232(万円) ④ 4,200(万円) ⑤ 500(万円) ⑥ 3,600(万円) ⑦ 300(万円) ⑧ 29,372(万円)
解説
相続税の課税価格の計算では、遺産分割された各種財産の評価方式(自用地、貸付事業用宅地、借家権・貸家評価等)、みなし相続財産である死亡保険金の非課税枠の按分、相続時精算課税制度による贈与財産(贈与時価額加算)、各種一括贈与非課税特例の死亡時残額の取扱い(結婚・子育て資金は加算、平成30年当時の教育資金は加算対象外)を総合的に正しく適用する必要があります。
解き方
- 法定相続人の数を判定し(実子がいる場合の養子は1人まで算入)、死亡保険金の非課税限度額を計算して各受取人に按分する。
- 不動産(家屋・宅地)の評価額を求め、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等および貸付事業用宅地等の完全併用不可の限度計算)を適用する。
- 生前贈与財産について、相続時精算課税適用財産の贈与時評価額および各種贈与特例の残額加算の有無を確認し、各取得者別の課税価格および合計額を集計する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:1,400
- 貸家の相続税評価額は「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」で算出します。2,000万円×(1-30%×100%)=1,400万円です。
- 小問 ②:1,240
- 特定居住用宅地等の適用限度面積は330㎡で、自宅敷地264㎡の全額に80%減額が適用されます。自用地価額6,200万円×(1-0.8)=1,240万円となります。
- 小問 ③:6,232
- 貸家建付地の評価額は、自用地価額8,000万円×(1-借地権割合60%×借家権割合30%×賃貸割合100%)=8,000万円×(1-0.18)=6,560万円(単価16.4万円/㎡)です。特定居住用宅地等の適用面積割合は264㎡/330㎡=80%であり、貸付事業用宅地等(限度200㎡)の適用可能残枠は200㎡×(1-0.8)=40㎡です。40㎡部分につき50%減額が適用されるため、減額額は16.4万円×40㎡×50%=328万円となり、適用後の課税価格は6,560万円-328万円=6,232万円となります。
- 小問 ④:4,200
- 法定相続人の数は、配偶者B、代襲相続人F・G、長女D、二女E、実子がいる場合の養子制限(普通養子2人中1人のみ算入)により計6人です。死亡保険金の非課税限度額は500万円×6人=3,000万円となります。受取保険金額の比率はBさん6,000万円:Dさん4,000万円=3:2なので、Bさんの非課税金額は3,000万円×(3/5)=1,800万円です。課税価格に算入される額は6,000万円-1,800万円=4,200万円となります。
- 小問 ⑤:500
- 相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた財産は、相続開始時の時価ではなく「贈与時の価額」で相続税の課税価格に加算されるため、500万円となります。
- 小問 ⑥:3,600
- 二女Eさんの課税価格は、現預金2,500万円+有価証券700万円+結婚・子育て資金の一括贈与特例に係る管理契約残額400万円(契約期間中に贈与者が死亡した場合、管理残額が相続税の課税価格に加算される)=3,600万円です。
- 小問 ⑦:300
- 孫Fさんは現預金300万円を取得します。教育資金の一括贈与特例に係る管理契約残額600万円は、平成30年9月時点の法令では贈与者死亡時に相続税の課税価格に加算されないため(2019年4月1日以後の贈与から加算規定が導入)、課税価格は現預金の300万円のみとなります。
- 小問 ⑧:29,372
- 各人の課税価格の合計を算出します。長女Dさんは1,000万+500万+1,400万+6,232万+(4,000万-1,200万=2,800万)+500万=12,432万円。妻Bさんは5,000万+800万+1,240万+4,200万=11,240万円。二女Eさんは3,600万円。孫Fさんは300万円。弟Jさんは1,000万+800万=1,800万円。全体の合計は11,240万+12,432万+3,600万+300万+1,800万=29,372万円となります。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の普通養子の法定相続人算入限度は1人までです。
- 相続時精算課税を適用した贈与財産は、死亡時ではなく「贈与時の価額」で課税価格に加算します。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合の限度面積計算(面積割合による残枠制限)を忘れて別枠で満額減額してしまうミス。
- 死亡保険金の受取人別の非課税額を非課税限度額の均等割ではなく、各人の受取保険金額の按分割合で配分しなければならない点の見落とし。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(平成30年度税制基準)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額および弟Jさんの納付すべき相続税額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額の計算 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分 / 相続税の2割加算
仮に、Aさんが平成30年9月9日において死亡し、前問《問63》の計算結果にかかわらず、弟Jさんに係る相続税の課税価格が1,800万円、相続税の課税価格の合計額が3億円である場合、①相続税の総額および②弟Jさんの納付すべき相続税額をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。なお、弟Jさんの納付すべき相続税額の計算にあたって、相続財産の取得者間における按分割合の調整は行わないものとする。
解答・解説を表示
解答
① 44,850,000(円) ② 3,229,200(円)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格合計額-基礎控除額)を民法上の法定相続分に応じて各法定相続人に按分し、各取得金額に超過累進税率を適用して算出した税額を合計して求めます。個々の相続人の納付税額は、相続税の総額に各自の課税価格割合を乗じて算出し、被相続人の一親等の血族および配偶者以外の者が財産を取得した場合には2割加算が適用されます。
解き方
- 実子がいる場合の養子算入制限(1人のみ)に基づき法定相続人の数を6人とし、基礎控除額(3,000万円+600万円×6=6,600万円)を差し引いて課税遺産総額2億3,400万円を求める。
- 法定相続人(妻1/2、子・養子各1/8、代襲相続の孫各1/16)ごとに取得金額と速算表による税額を計算し、合算して相続税の総額4,485万円を算出する。
- 弟Jさんの課税価格1,800万円に基づき総額を按分し(1,800万/3億)、兄弟姉妹であるため2割加算(×1.2)を行って納付すべき相続税額を算出する。
答えの内訳
- ①:44,850,000(円)
- 法定相続人は、妻B(1/2)、死亡した長男Cの代襲相続人F・G(各1/8×1/2=各1/16)、長女D(1/8)、二女E(1/8)、養子1人(1/8)の計6人。遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×6人=6,600万円。課税遺産総額=3億円-6,600万円=2億3,400万円。各人の法定相続分に応ずる取得金額と税額は、妻B:2億3,400万円×1/2=1億1,700万円、1億1,700万円×40%-1,700万円=2,980万円。長女D・二女E・養子:各2億3,400万円×1/8=2,925万円、2,925万円×15%-50万円=各388万7,500円。孫F・孫G:各2億3,400万円×1/16=1,462.5万円、1,462.5万円×15%-50万円=各169万3,750円。相続税の総額=2,980万円+(388万7,500円×3)+(169万3,750円×2)=44,850,000円。
- ②:3,229,200(円)
- 弟Jさんの按分税額は、相続税の総額44,850,000円×(18,000,000円/300,000,000円)=2,691,000円。弟Jさんは一親等の血族および配偶者以外の者(第三順位の兄弟姉妹)であるため、相続税額の2割加算の対象となります。納付すべき相続税額=2,691,000円×1.2=3,229,200円。
覚えるポイント
- 兄弟姉妹が遺贈等で財産を取得した場合、相続税額の2割加算の対象となります。
- 実子がいる場合、相続税法上の法定相続人に含めることができる養子の数は1人までです。
間違えやすいところ
- 養子が2人いる場合に2人とも法定相続人の数に含めてしまい、基礎控除や法定相続分の按分を誤るミス。
- 代襲相続人の孫の法定相続分(本来の子の取り分を頭数で分割)の計算誤り。
- 弟Jさんに対する相続税額の2割加算(×1.2)を失念するミス。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(平成30年度税制基準)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の税額控除等(配偶者控除・未成年者控除・障害者控除)
相続・事業承継 · 配偶者の税額軽減 / 申告期限後3年以内の分割見込書 / 更正の請求 / 未成年者控除 / 障害者控除
相続税の税額控除等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈配偶者に対する相続税額の軽減〉 被相続人の配偶者が相続等により財産を取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けた場合、原則として、相続等により取得した財産の額が1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額とのいずれか多い金額までは、納付すべき相続税額が算出されない。 なお、原則として相続税の申告期限までに分割されていない財産は本制度の対象とならないが、相続税の申告書に「申告期限後( ① )以内の分割見込書」を添付して提出し、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から( ① )以内に分割したときは、分割が成立した日の翌日から4カ月以内に( ② )の請求をすることによって、本制度の適用を受けることができる。 〈未成年者控除〉 相続または遺贈により財産を取得した者が法定相続人であり、かつ未成年者である場合、未成年者控除が適用できる。仮に、平成30年9月9日において被相続人Aさん(死亡)の相続が発生し、孫Fさん(18歳)が相続または遺贈により財産を取得した場合、未成年者控除の控除額は( ③ )万円となる。 〈障害者控除〉 相続または遺贈により財産を取得した者が法定相続人であり、かつ一般障害者または特別障害者に該当する場合、障害者控除が適用できる。仮に、長女Dさん(40歳)が一般障害者に該当する場合、障害者控除の控除額は( ④ )万円となる。
解答・解説を表示
解答
① 3年(以内) ② 更正 ③ 20(万円) ④ 450(万円)
解説
相続税の配偶者の税額軽減は原則として申告期限までに分割された財産が対象ですが、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出していれば、期限後3年以内に分割完了後4カ月以内に更正の請求を行うことで適用が認められます。また、未成年者控除および障害者控除は法定相続人である居住無制限納税義務者等に適用され、未成年者控除(当時)は20歳まで1年につき10万円、一般障害者控除は85歳まで1年につき10万円(特別障害者は20万円)で算出されます。
解き方
- 申告期限後における配偶者控除の特例手続要件を確認し、「申告期限後3年以内の分割見込書」と分割成立翌日から4カ月以内の「更正の請求」を特定する。
- 未成年者控除を計算する。死亡日時点で18歳である孫Fさん(代襲相続人=法定相続人)について、(20歳-18歳)×10万円=20万円を算出する。
- 障害者控除を計算する。死亡日時点で40歳である長女Dさん(一般障害者)について、(85歳-40歳)×10万円=450万円を算出する。
答えの内訳
- ①:3年(以内)
- 相続税の申告期限までに遺産分割が確定していない場合でも、「申告期限後3年以内の分割見込書」を申告書に添付して提出しておくことで、申告期限から3年以内に分割された際に配偶者の税額軽減等を遡って受けることができます。
- ②:更正
- 申告期限後3年以内に遺産分割が成立したときは、分割が行われた日の翌日から4カ月以内に税務署長に対して「更正の請求」を行うことで、配偶者控除等を適用した税額への減額・還付を求めることができます。
- ③:20(万円)
- 本問の試験基準日(平成30年4月1日現在)における未成年者控除額は、満20歳に達するまでの年数1年(1年未満切上げ)につき10万円で計算します。孫Fさんは18歳であり代襲相続人として法定相続人に該当するため、(20歳-18歳)×10万円=20万円となります。
- ④:450(万円)
- 一般障害者の障害者控除額は、満85歳に達するまでの年数1年(1年未満切上げ)につき10万円で計算します。長女Dさんは40歳であるため、(85歳-40歳)×10万円=450万円となります。
覚えるポイント
- 未成年者控除・障害者控除の適用対象は「法定相続人」に限られる点に注意する。
- 配偶者の税額軽減の期限後適用の手続きは「3年以内の分割見込書」と分割後「4カ月以内の更正の請求」である。
間違えやすいところ
- 民法改正による成年年齢引き下げ(18歳成年・2022年4月施行)前の基準(20歳到達まで)であることを踏まえて解く必要がある点。
- 障害者控除の年数計算を「85歳引く年齢」ではなく「20歳」や「65歳」と混同しないようにする点。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年9月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年9月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

