日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年9月 1級 学科(基礎編)の概要
係数表を用いた必要積立額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 6つの係数 / 年金現価係数 / 減債基金係数 / 資金計画
Aさん(45歳)は、65歳から15年間にわたって毎年600千円を受け取るために、65歳までの20年間、年金原資を毎年均等に積み立てることを考えている。この場合、45歳から65歳までの20年間の毎年の積立額として、係数表を利用して算出した金額のうち最も適切なものはどれか。なお、積立期間および取崩期間中の運用利回りは年2%(複利)とし、積立ておよび取崩しは年1回行うものとする。また、計算結果は千円未満を切り捨て、手数料や税金等は考慮しないものとする。 〈年2%の各種係数〉 ・15年:年金現価係数 12.8493、減債基金係数 0.0578、資本回収係数 0.0778 ・20年:年金終価係数 24.2974、減債基金係数 0.0412、年金現価係数 16.3514
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解答
3
解説
将来にわたって毎年一定額を取り崩すために必要な現時点の元本を求める際は年金現価係数を用い、将来の目標金額を達成するために毎年均等に積み立てるべき額を求める際は減債基金係数を用います。
解き方
- 65歳から15年間毎年600千円を受け取るために65歳時点で必要となる年金原資を、年利2%・15年の年金現価係数を用いて算出します。
- 求めた年金原資を20年間で毎年均等に積み立てるための年額を、年利2%・20年の減債基金係数を掛けて算出し、千円未満を切り捨てます。
- 選択肢 1不正解
- 271千円は、適用する係数の選択や計算手順が誤っているため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 300千円は運用利回りを考慮せずに単利的に計算した数値等であり不適切です。
- 選択肢 3正解
- 600千円×12.8493×0.0412=317.634...千円より、千円未満切捨てで317千円が正解です。
- 選択肢 4不正解
- 323千円は、別の係数や期間を取り違えて計算した数値であり不適切です。
覚えるポイント
- 取り崩しに必要な元本は年金現価係数、目標額に向けた毎年の積立額は減債基金係数を使用します。
間違えやすいところ
- 年金終価係数の逆数である減債基金係数と、年金現価係数の逆数である資本回収係数を混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の高額療養費制度
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 高額療養費 / 世帯合算 / 多数回該当
全国健康保険協会管掌健康保険の高額療養費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
健康保険の高額療養費制度における世帯合算は、70歳未満の者については同一月・同一医療機関ごとに21,000円以上の自己負担分のみが合算の対象となります。
解き方
- 70歳未満の高額療養費の算定基準額区分(5区分)および多数回該当の要件(直近12カ月で3回以上該当)を確認します。
- 世帯合算の要件において、70歳未満の者は1レセプトあたり21,000円以上の一部負担金が必要である点を確認し、不適切肢を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 70歳未満の自己負担限度額は、標準報酬月額に応じた4区分と市区町村民税非課税者の区分の計5段階に分かれています。
- 選択肢 2正解
- 70歳未満の被保険者同士の世帯合算では、それぞれの一部負担金等が同一月内に21,000円以上である必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 療養があった月以前の12カ月以内に同一保険者から高額療養費の支給を3回以上受けている場合、4回目以降は多数回該当として限度額が引き下げられます。
- 選択肢 4不正解
- 限度額適用認定証と被保険者証を窓口に提示することにより、窓口支払額を自己負担限度額までに抑えることができます。
覚えるポイント
- 70歳未満の世帯合算基準額は1医療機関・1月あたり「21,000円以上」です。
間違えやすいところ
- 70歳以上では21,000円要件がなく全額合算可能ですが、70歳未満には21,000円以上の足切り要件があります。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の基本手当の給付日数と受給要件
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 基本手当 / 所定給付日数 / 特定受給資格者
雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
雇用保険の一般離職者(自己都合退職等)に対する基本手当の所定給付日数は、算定基礎期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日の3種類と定められています。
解き方
- 倒産等による特定受給資格者の被保険者期間要件(離職前1年間に通算6カ月以上)を確認します。
- 一般離職者の所定給付日数区分を確認し、180日が含まれている点および年齢基準が含まれる記述が不適切であると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 倒産・解雇等による特定受給資格者は、離職前1年間に被保険者期間が通算6カ月以上あれば受給資格を満たします。
- 選択肢 2不正解
- 失業の認定を受けるためには、原則として所定の認定日に管轄ハローワークに出頭し申告書提出と求職活動を行う必要があります。
- 選択肢 3正解
- 一般離職者の所定給付日数は算定基礎期間に応じて90日・120日・150日の3区分であり、180日は存在せず年齢区分もありません。
- 選択肢 4不正解
- 基本手当の受給期間(原則として離職日の翌日から1年間)が経過すると、所定給付日数が残っていても支給は受けられなくなります。
覚えるポイント
- 一般離職者の所定給付日数は年齢に関わらず算定基礎期間に応じて「90日・120日・150日」です。
間違えやすいところ
- 特定受給資格者や特定理由離職者には年齢区分と最大330日までの日数設定がありますが、一般離職者には年齢区分はありません。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の加給年金および各種加算の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 加給年金 / 振替加算 / 障害厚生年金
公的年金の各種加算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
障害厚生年金の配偶者加給年金は、受給権取得後に配偶者を得た場合であっても事後的に加算対象となります。一方、振替加算は配偶者の繰上げによって繰り上がらず、離婚しても受給権は消滅しません。
解き方
- 妻が老齢基礎年金を繰り上げても加給年金は打ち切られず、振替加算は65歳到達まで行われない点を確認します。
- 振替加算は妻自身の権利であるため離婚後も継続して支給される点を確認します。
- 障害厚生年金の受給権者が受給権発生後に配偶者を有した場合の加給年金加算規定が正しいと判断します。
- 選択肢 1不正解
- 妻が老齢基礎年金を繰り上げ受給しても夫の加給年金は支給停止されず、振替加算も妻が65歳に達するまで加算されません。
- 選択肢 2不正解
- 振替加算は妻自身の老齢基礎年金に付加される権利であるため、夫と離婚した場合でも打ち切られることはありません。
- 選択肢 3正解
- 障害等級1級・2級の障害厚生年金の受給権者が受給権取得後に婚姻した場合、届出により翌月分から加給年金が加算されます。
- 選択肢 4不正解
- 中高齢寡婦加算が打ち切られるのは「65歳」に達したときであり、経過的寡婦加算の対象は昭和31年4月1日以前生まれの者です。
覚えるポイント
- 障害厚生年金の加給年金は受給権取得後の事後的な婚姻・子の出生でも加算されます。
間違えやすいところ
- 老齢厚生年金の加給年金は受給権取得時点に要件を満たす必要がありますが、障害厚生年金は事後要件でも加算されます。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の障害給付の計算と仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 障害基礎年金 / 障害厚生年金 / 障害手当金 / 障害認定日
公的年金制度の障害給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
障害厚生年金の年金額は、原則として初診日から障害認定日の属する月までの厚生年金被保険者期間を基礎として計算され、認定月後の被保険者期間は算定に含まれません(300月みなし等の最低保障あり)。
解き方
- 障害厚生年金の額の算定基礎となる被保険者期間が障害認定日の属する月までであることを確認します。
- 障害基礎年金1級の額が2級の1.25倍であること、3級の最低保障額および障害手当金の額の算定規定を確認し、各誤りを排除します。
- 選択肢 1正解
- 障害厚生年金の額の計算では、障害認定日の属する月後における被保険者期間は計算の基礎に含まれません。
- 選択肢 2不正解
- 障害等級1級の障害基礎年金の額は、障害等級2級の額の1.25倍に相当する額です(1.5倍ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 障害等級3級の障害厚生年金の最低保障額は、障害基礎年金2級の額の4分の3相当額です(3分の2ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 障害手当金の額は報酬比例の年金額の2倍に相当する額(最低保障あり)であり、2級の障害厚生年金額と同額ではありません。
覚えるポイント
- 障害基礎年金1級は2級の1.25倍、3級障害厚生年金の最低保障は2級基礎年金の4分の3相当です。
間違えやすいところ
- 障害認定日以降に加入実績があっても、原則として障害厚生年金の額の再計算には反映されません。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社会保険の併給調整と支給停止
ライフプランニングと資金計画 · 傷病手当金 / 遺族補償年金 / 在職老齢年金 / 併給調整
社会保険の給付に係る併給調整や支給停止に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
公的年金制度では65歳以降、基礎年金と厚生年金の異なる支給事由の組み合わせが一部認められており、特に「障害基礎年金+老齢厚生年金」の併給が選択肢として認められています。
解き方
- 他制度との調整(傷病手当金は手当金側が調整、労災保険は労災側が減額)を確認します。
- 高年齢雇用継続給付との併給調整による年金停止限度額が標準報酬月額の最大6%であることを確認します。
- 65歳以降の併給組み合わせとして「障害基礎年金+老齢厚生年金」が可能であることを確認し、肢4を選択します。
- 選択肢 1不正解
- 同一傷病で障害厚生年金を受給できる場合、全額支給される障害厚生年金に合わせて傷病手当金の方が減額または不支給となります。
- 選択肢 2不正解
- 遺族厚生年金と労災保険の遺族補償年金が併給される場合、遺族厚生年金は全額支給され、労災保険の年金側が減額調整されます。
- 選択肢 3不正解
- 高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金の調整による年金支給停止額は、毎月最大で標準報酬月額の「6%」相当額です。
- 選択肢 4正解
- 65歳以降は同一事由の組み合わせ以外に「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせも選択して受給することができます。
覚えるポイント
- 65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせ受給が可能です。
間違えやすいところ
- 公的年金と労災保険の年金の併給調整では、公的年金が全額支給され労災側が減額されます。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済および経営セーフティ共済の制度概要と税務
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 中小企業倒産防止共済 / 掛金の税務 / 共済金貸付
小規模企業共済制度および中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
小規模企業共済の掛金は個人の所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象であり、事業所得の必要経費には算入されません。一方、中小企業倒産防止共済の掛金は事業所得の必要経費に算入されます。
解き方
- 小規模企業共済の老齢給付要件(65歳以上・180カ月以上・300万円以上で分割可)を確認します。
- 中小企業倒産防止共済の掛金限度額(月5,000円〜20万円、総額800万円)および無利子・無担保・無保証人の貸付条件を確認します。
- 個人事業主における両制度の掛金の税務上の取扱い(所得控除か必要経費か)を比較し、不適切肢を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 小規模企業共済の老齢給付は65歳以上で納付月数180カ月以上で請求でき、共済金額が300万円以上あれば分割受取りを選択できます。
- 選択肢 2不正解
- 中小企業倒産防止共済の掛金月額は5,000円〜20万円(5,000円刻み)で、積立限度額は800万円までです。
- 選択肢 3不正解
- 取引先倒産時の倒産防止共済の貸付は、無利子かつ無担保・無保証人で受けることができます。
- 選択肢 4正解
- 個人事業主の場合、小規模企業共済掛金は必要経費ではなく「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除されます。
覚えるポイント
- 小規模企業共済の掛金は所得控除、倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金は事業所得の必要経費です。
間違えやすいところ
- 個人事業主において小規模企業共済の掛金を事業の経費と勘違いしやすいので、所得控除との区分を確実に押さえましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
フラット35の融資条件と仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 住宅ローン / フラット35 / 親子リレー返済 / 繰上げ返済
フラット35に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
フラット35は、住宅取得本体の費用だけでなく、一定の付随費用(登記費用や仲介手数料、火災・地震保険料等の諸費用)も併せて融資の対象とすることができます。
解き方
- フラット35の技術基準と適合証明書の提出義務を確認します。
- 資金使途について住宅取得本体以外に付随費用(諸費用)が含まれるかを確認し、対象外とする記述を誤りと判定します。
- 親子リレー返済の後継者要件(子の配偶者も対象)および窓口繰上げ返済の要件(100万円以上・手数料不要)が正しいことを確認します。
- 選択肢 1不正解
- フラット35を利用するには、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たし、適合証明書を取得して提出する必要があります。
- 選択肢 2正解
- ホームインスペクション費用や登記費用、火災保険料等の付随費用も融資対象とすることができます。
- 選択肢 3不正解
- 親子リレー返済の後継者は申込者の子のほか「子の配偶者」も要件(定期収入、70歳未満、連帯債務等)を満たせば認められます。
- 選択肢 4不正解
- 金融機関の窓口で一部繰上げ返済を行う場合、返済額は100万円以上、1カ月前までの申出が必要で、手数料は無料です。
覚えるポイント
- フラット35の融資対象には住宅取得本体価格だけでなく登記費用や保険料等の諸費用も含まれます。
間違えやすいところ
- 一部繰上げ返済の最低額は、窓口では100万円以上、インターネット(住・My Note)では10万円以上です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約の契約者変更・解約等に係る調書制度
リスク管理 · 支払調書 / 契約者変更 / 解約返戻金
生命保険契約の契約者変更や解約等に係る税務上の調書制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
平成27年度税制改正により、平成30年1月1日以後の生命保険等の名義変更や満期・解約時において、課税の適正化を目的に保険会社から税務署長へ提出される調書の記載項目や提出義務基準が大幅に拡充されました。
解き方
- 死亡等による契約者変更時に調書提出が必要となる解約返戻金の基準額(100万円超)と記載事項を確認する。
- 解約返戻金の支払調書が提出される基準額(1回あたり100万円超)等の要件を各選択肢と照らし合わせる。
- 選択肢 1正解
- 契約者の死亡により契約者の変更が行われた場合、解約返戻金相当額が100万円を超えるときは、保険会社等から所轄税務署長へ「保険契約者等の異動に関する調書」が提出されます。
- 選択肢 2不正解
- 契約者変更に係る調書の提出義務は、原則として死亡による変更、または贈与等による個人間の名義変更が対象であり、法人から個人への変更等は対象とされていません。
- 選択肢 3不正解
- 生命保険契約等の解約返戻金に係る支払調書の提出基準は、同一人に対して支払う1回の支払金額が100万円を超える場合であり、50万円ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 支払調書に記載される契約者変更回数は、平成30年1月1日以後に生じた契約者変更について把握・記載されるものであり、過去全期間の変更回数が記載されるわけではありません。
覚えるポイント
- 生命保険の解約返戻金支払調書の提出基準は1回100万円超であること
- 平成30年1月施行の調書改定により死亡による契約者変更時(解約返戻金100万円超)にも調書が提出されること
間違えやすいところ
- 支払調書の基準額を一時所得の特別控除額である50万円と混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法および相続税法関係法令
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建て終身保険の仕組みと関連法規・税務
リスク管理 · 外貨建て保険 / 特定保険契約 / 一時所得 / 為替リスク
外貨建て終身保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
外貨建て保険は外貨ベースで運用されるため為替変動リスクがあり、投資性の強い保険として保険業法上の「特定保険契約」に位置付けられ、投資者保護のための販売ルールが適用されます。
解き方
- 外貨建て保険の平準払いの商品設計(円貨定額払込の可否)と為替特約の性質を検討する。
- 特定保険契約の定義と金商法の行為規制の準用範囲を確認する。
- 外貨建て一時払保険の解約返戻金受領時の課税区分(為替差損益も含めて全体で一時所得)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 外貨建て終身保険(平準払い)には、毎回一定額の外貨を払い込むタイプのほか、毎回の円貨支払額を一定にする商品(円貨定額払込型)も存在します。
- 選択肢 2不正解
- 円換算支払特約は外貨建ての保険金を円貨で受け取ることができる特約ですが、受取時点の為替相場で換算されるため、為替変動リスクそのものを回避できるわけではありません。
- 選択肢 3正解
- 外貨建て保険は為替リスクを伴うため、市場価格調整(MVA)機能の有無にかかわらず「特定保険契約」に該当し、金融商品取引法に規定された説明義務や書面交付等の行為規制が準用されます。
- 選択肢 4不正解
- 外貨建て終身保険の解約返戻金を円貨で受領した場合の解約差益は、為替差益に相当する部分も含めて全額が一時所得として所得税の課税対象となります。
覚えるポイント
- 外貨建保険・変額保険・MVA付保険は保険業法上の特定保険契約に該当すること
- 外貨建保険の解約差益は為替差益部分を分離せず全額が一時所得となること
間違えやすいところ
- 外貨建て保険の為替差益部分を雑所得として別個に課税すると誤解しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の保険業法および所得税法関係法令
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の課税関係
リスク管理 · 個人年金保険 / 雑所得 / 一時所得 / 源泉徴収
契約者・被保険者・年金受取人が同一人である個人年金保険(契約者は個人・居住者)の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
契約者・被保険者・年金受取人が同一人の個人年金保険は、受け取る年金が雑所得、中途解約による解約返戻金(差益)が一時所得となるのが原則です。年金開始後に将来の年金を一括受領した場合も雑所得に区分されます。
解き方
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金が金融類似商品に該当するか確認する(変額年金や終身年金は除外されるため一時所得)。
- 給与所得者の確定申告不要基準(給与以外の所得が20万円以下)における一時所得の計算(総所得金額への算入は1/2後)を行う。
- 年金支払時の源泉徴収判定基準(年金額から対応する保険料を控除した残額が25万円以上)を確認する。
- 年金開始後の将来分年金一括受領時の所得区分(雑所得)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 一時払変額個人年金保険は特別勘定で運用され、元本保証がないため金融類似商品には該当せず、5年以内の解約であっても一時所得として総合課税の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 一時所得の金額は「280万円-200万円-特別控除50万円=30万円」ですが、給与所得以外の総所得金額に算入される額はその1/2である15万円となります。15万円は20万円以下であるため、確定申告は不要です。
- 選択肢 3不正解
- 個人年金保険の年金支払時の源泉徴収は、支払われる年金額そのものではなく「年金額から対応する払込保険料を控除した残額」が年間25万円以上である場合に10.21%が源泉徴収されます。
- 選択肢 4正解
- 保証期間付終身年金の年金受取人が年金支払開始日後に保証期間分の年金額を一括受領した場合、その一時金は年金の先払いとしての性質を持つため、一時所得ではなく雑所得として課税されます。
覚えるポイント
- 年金開始後に保証期間分の年金を一括受領した場合は雑所得になること
- 給与所得者の20万円申告不要判定では一時所得は1/2後の金額で判定すること
- 個人年金の源泉徴収基準は差益(年金額-対応保険料)が年25万円以上であること
間違えやすいところ
- 一時所得の金額(特別控除後)そのものが20万円を超えていれば申告義務があると誤認し、総所得金額算入時の1/2計算を忘れるミスが多いです。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法関係法令
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の生命保険料の経理処理
リスク管理 · 法人保険 / ハーフタックスプラン / 逓増定期保険 / がん保険
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険契約の保険料の経理処理(平準払い)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法人が契約する生命保険料の税務上の経理処理は、保険の種類、受取人の名義、保険期間および加入時年齢等により、資産計上と損金算入の割合が税法上の通達等により明確に規定されています。
解き方
- 養老保険のハーフタックスプランの要件(受取人関係と全従業員対象)を確認する。
- 普通定期保険と長期平準定期保険の区分基準(被保険者の契約時年齢+保険期間×2が105超かつ満了時70超)を判定する。
- 逓増定期保険の資産計上ルール(解約返戻率に応じた当初6割期間の資産計上割合)を確認する。
- 終身払込のがん保険の経理処理ルール(終身払は全額損金算入)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 役員・従業員全員を被保険者とし、満期受取人を法人、死亡受取人を遺族とする養老保険は、福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)として保険料の1/2を資産計上、1/2を損金算入できます。
- 選択肢 2不正解
- 契約時35歳、70歳満期の場合、満了時年齢は70歳であり「満了時70歳超」の要件を満たさないため長期平準定期保険には該当せず、普通定期保険として保険料の全額を損金算入できます。
- 選択肢 3不正解
- 保険期間満了時70歳、契約時45歳+保険期間25年×2=95≦105となる逓増定期保険について、所定の解約返戻率区分において当初6割期間は1/2を資産計上、1/2を損金算入する処理が認められます。
- 選択肢 4正解
- 給付金受取人を法人とする終身払込のがん保険の保険料は、支払のつど全額を損金に算入します。105歳満了とみなして当初6割期間に1/2を資産計上するのは終身払込ではなく有期払込(短期払込)のがん保険に関する処理です。
覚えるポイント
- 法人が契約するがん保険の「終身払込」保険料は全額損金算入となること
- 長期平準定期保険の判定要件は「加入年齢+保険期間×2>105」かつ「満了時年齢>70歳」であること
間違えやすいところ
- 終身保障のがん保険の「終身払」と「有期払(短期払)」の経理処理の差異を混同しないように整理が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法人税法基本通達
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅向け火災保険の一般的な商品性
リスク管理 · 火災保険 / 構造級別 / 保険期間 / 補償対象
住宅建物および家財を対象とする火災保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
火災保険では耐火性能等に応じて構造級別(M構造・T構造・H構造)が設定され、建物に付属する門・塀等は建物の補償対象に含まれますが、自動車等の特定物件は火災保険の対象外とされ、契約可能期間にも上限(最長10年)が設けられています。
解き方
- 構造級別の定義(M構造=マンション等の耐火建物、T構造=耐火構造の一戸建て等、H構造=非耐火構造の一戸建て等)と保険料水準の関係を確認する。
- 火災保険の最長契約可能期間の法制上の規定(最長10年)を確認する。
- 建物付属物(門・塀・垣)および敷地内収容の自動車の補償対象該当性を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 住宅物件の構造級別はM構造(マンション等)、T構造(耐火一戸建て等)、H構造(非耐火等)に区分され、火災リスクが最も高いH構造の保険料率が最も高く、M構造が最も低くなります。
- 選択肢 2正解
- 火災保険の保険期間は最長10年と定められており、20年まで選択することはできません(2015年10月改定)。
- 選択肢 3不正解
- 建物を保険の対象とする場合、同一敷地内にある被保険者所有の門、塀、垣、物置等の付属設備は原則として建物の補償対象に含まれます。
- 選択肢 4不正解
- 自動車は家財には含まれず、敷地内の車庫に収容されていても火災保険の補償対象外となります(自動車保険の車両保険で補償されます)。
覚えるポイント
- 火災保険の最長保険期間は10年であること
- 敷地内の門・塀・垣は建物の補償対象に含まれるが自動車は家財に含まれないこと
間違えやすいところ
- 過去の長期契約制度(最長36年等)と混同して、10年超の契約が可能であると誤認しないよう注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の損害保険料率算出機構参考純率および損害保険約款
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任補償特約の商品性と等級制度
リスク管理 · 個人賠償責任特約 / 被保険者の範囲 / ノーカウント事故 / ノンフリート等級
各種損害保険に付帯することができる個人賠償責任(補償)特約の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
個人賠償責任特約は日常生活における偶然の事故による賠償責任を補償するもので、自動車保険に付帯した場合に本特約のみの請求であれば等級据え置き・進行に影響しない「ノーカウント事故」として扱われます。
解き方
- 個人賠償責任特約の被保険者範囲(本人・配偶者・同居親族・別居未婚の子)を確認する。
- 対象事故の範囲(日常生活事故は対象、業務中や自動車・原付の運転事故は対象外)を確認する。
- 自動車保険における事故区分(3等級ダウン、1等級ダウン、ノーカウント事故)と本特約の位置付けを照合する。
- 選択肢 1不正解
- 個人賠償責任特約の被保険者は、本人、配偶者、本人または配偶者の「同居の親族」「別居の未婚の子」であり、その続柄は事故発生時点の状態で判断されます。
- 選択肢 2不正解
- 自転車事故は補償対象となりますが、自動車や原動機付自転車等の車両の所有・使用・管理に起因する事故は対象外(自動車保険等の対象)です。
- 選択肢 3不正解
- 個人賠償責任特約は日常生活における賠償事故を対象としており、業務・職務遂行に直接起因する損害賠償責任は免責(対象外)とされています。
- 選択肢 4正解
- 個人賠償責任特約の保険金支払いは「ノーカウント事故」に該当するため、他に事故がなければ翌年のノンフリート等級は1等級上がります(1等級下がることはありません)。
覚えるポイント
- 個人賠償責任特約の保険金支払いのみでは自動車保険の等級は下がらない(ノーカウント事故)
- 職務遂行中の事故や自動車・原付の運転事故は個人賠償責任特約の対象外であること
間違えやすいところ
- 1等級ダウン事故(飛び石、盗難、台風・水災等による車両単独損害など)とノーカウント事故(人身傷害や各種特約のみの利用)を取り違えやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の損害保険契約約款
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
災害減免法による所得税額の軽減・免除
リスク管理 · 災害減免法 / 所得税の軽減免除 / 損害割合 / 合計所得金額
「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」(災害減免法)による所得税額の軽減または免除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、保険金補填や雑損控除の適用はなく、他の要件は満たすものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
災害減免法による所得税の軽減・免除は、住宅または家財の損害額(保険金等控除後)が時価の50%以上で、かつ合計所得金額が1,000万円以下である納税者について、合計所得金額の区分に応じて税額が免除または軽減されます。
解き方
- 災害減免法の損害基準(住宅または家財の損害額が時価の2分の1以上)を確認する。
- 所得制限(合計所得金額が1,000万円以下)と所得に応じた減免割合(500万円以下:全額免除、500万円超750万円以下:1/2軽減、750万円超1,000万円以下:1/4軽減)を確認する。
- 各選択肢の損害割合および所得金額が要件を満たすかを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 災害減免法が適用される合計所得金額の上限は1,000万円であるため、合計所得金額が2,000万円の場合は適用を受けることができません。
- 選択肢 2不正解
- 損害額が時価の2分の1以上であり、合計所得金額が750万円超1,000万円以下である場合、所得税額の4分の1(25%)相当額が軽減されます。
- 選択肢 3正解
- 災害減免法の適用要件は損害金額が時価の「2分の1以上」であることです。時価の3分の1の損害では適用を受けることができず、全額免除にもなりません。
- 選択肢 4不正解
- 損害金額が時価の4分の1(2分の1未満)であるため、合計所得金額にかかわらず災害減免法の適用を受けることはできません。
覚えるポイント
- 災害減免法の対象は住宅または家財の損害額が時価の50%(1/2)以上であること
- 合計所得金額の上限は1,000万円以下(500万以下は全額免除、750万以下は半額軽減、1,000万以下は1/4軽減)
間違えやすいところ
- 雑損控除(損害額要件なし・繰越控除あり)と災害減免法(時価の1/2以上の損害・繰越不可)の要件を混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第2条
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
景気動向指数に採用されている経済指標
金融資産運用 · 景気動向指数 / 先行系列 / 一致系列 / 遅行系列
内閣府が公表する景気動向指数に採用されている経済指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
内閣府が公表する景気動向指数は、景気の現状把握や将来予測のために選定された指標群で構成され、景気の転換点に先行する「先行系列」、ほぼ一致して動く「一致系列」、遅れて動く「遅行系列」に分類されます。
解き方
- 各経済指標の性質と景気動向指数における分類(先行・一致・遅行)を照合する。
- マネーストック(M2)および消費者態度指数が先行系列であることを確認する。
- 鉱工業生産指数および有効求人倍率が一致系列であることを確認する。
- 選択肢 1正解
- 日本銀行が公表するマネーストック統計の「M2」は、景気の転換に先行して動く指標として景気動向指数の先行系列に採用されています。
- 選択肢 2不正解
- 鉱工業生産指数は、景気の現状とほぼ一致して動く指標であり、景気動向指数の「一致系列」に採用されています。
- 選択肢 3不正解
- 消費者態度指数は、消費者の今後半年間の見通しを調査した指標であり、景気動向指数の「先行系列」に採用されています。
- 選択肢 4不正解
- 有効求人倍率(除学卒)は「一致系列」に採用されています(完全失業率は逆サイクルで「遅行系列」に採用されています)。
覚えるポイント
- 先行系列:マネーストック(M2)、消費者態度指数、東証株価指数など
- 一致系列:鉱工業生産指数、有効求人倍率、営業利益など
- 遅行系列:完全失業率(逆サイクル)、常用雇用指数、法人税収入など
間違えやすいところ
- 雇用指標のうち、有効求人倍率(一致系列)と完全失業率(遅行系列)を混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在における内閣府景気動向指数採用系列
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資信託の運用スタイル
金融資産運用 · 投資信託の運用手法 / マーケット・ニュートラル / スマートベータ
株式投資信託の代表的な運用スタイルに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
株式のアクティブ運用スタイルには、企業のファンダメンタルズに着目して割安株を選ぶバリュー運用、企業の成長性に着目するグロース運用、市場全体の上下変動リスクを回避して絶対収益を狙うマーケット・ニュートラル運用などがあります。
解き方
- 各選択肢に記載された投資信託の運用スタイルの定義と名称が正しく対応しているか確認する。
- 買いと売りを同額組み合わせて市場リスクを中立化する手法がマーケット・ニュートラル運用であることを確認し、適切な選択肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- PERやPBR等の指標を用いて割安と判断される銘柄を選定する運用手法は、グロース運用ではなくバリュー運用と呼ばれます。
- 選択肢 2不正解
- ロング・ショート運用は、買い(ロング)と空売り(ショート)を組み合わせて収益を追求する手法であり、保有期間の長短の組合せではありません。
- 選択肢 3不正解
- スマートベータ運用は、時価総額加重型とは異なる特定の要素(財務指標やボラティリティ等)に基づく指数を用いて、市場平均を上回る成果等を目指す手法です。
- 選択肢 4正解
- 割安銘柄の買いと割高銘柄の売りを同額程度組み合わせ、市場全体の価格変動リスクを排除して収益を狙う手法はマーケット・ニュートラル運用と呼ばれます。
覚えるポイント
- マーケット・ニュートラルはロングとショートを同額建てて市場全体のシステマティック・リスクを中立化する手法である点。
間違えやすいところ
- グロース運用(企業の成長性を重視)とバリュー運用(株価の割安性を重視)の定義を混同しないように注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・金融商品取引実務
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託のディスクロージャー制度
金融資産運用 · 交付目論見書 / 交付運用報告書 / トータルリターン通知制度
投資信託のディスクロージャー(情報開示)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
投資信託では投資者保護のために目論見書や運用報告書の開示ルールが定められており、交付運用報告書は原則毎決算期交付ですが、計算期間が6カ月未満の投資信託については運用負担軽減のため6カ月に1回以上の交付が認められています。
解き方
- 投資信託の各種ディスクロージャー資料(交付目論見書、交付運用報告書、トータルリターン通知)の開示要件・ルールを確認する。
- 交付運用報告書の作成・交付頻度に関する例外規定(計算期間が6カ月未満のファンド)と照らし合わせ、不適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 交付目論見書には、購入時手数料や信託報酬等の金額・料率だけでなく、その対価となる役務の内容も明確に記載することが義務付けられています。
- 選択肢 2正解
- 計算期間が6カ月未満のファンド(毎月決算型等)については、毎決算期ではなく少なくとも6カ月に1回作成・交付すればよいため、日々決算型以外はすべて決算期ごととする記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 交付運用報告書の交付は書面が原則ですが、あらかじめ個別の投資者の承諾・同意を得た場合には、電磁的方法(電子交付)による提供が認められています。
- 選択肢 4不正解
- 販売会社は、平成26年12月1日以降に新たに買い付けられた投資信託等について、原則として年1回以上、顧客にトータルリターンを通知する義務があります。
覚えるポイント
- 交付運用報告書は計算期間が6カ月未満の投資信託の場合、少なくとも6カ月に1回の交付でよい点。
間違えやすいところ
- 「原則として決算期ごと」というルールのみを覚え、毎月決算型等の例外(6カ月に1回)を見落とさないようにする。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・投資信託協会諸規則
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の利回り計算(複利利回り・単利利回り)
金融資産運用 · 割引債券の複利最終利回り / 固定利付債券の単利最終利回り
下記の表の条件に基づき、割引債券の1年複利計算による最終利回り(空欄①)と固定利付債券の単利計算による最終利回り(空欄②)の組合せとして、最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〔条件〕 ・割引債券:単価 97.15円、償還価格 100.00円、残存期間 4年 ・固定利付債券:単価 100.45円、償還価格 100.00円、表面利率 0.85%、残存期間 2年
解答・解説を表示
解答
4
解説
割引債券の複利利回りは「(償還価格 / 購入価格)^(1 / 残存年数) - 1」で算出し、固定利付債券の単利最終利回りは「{表面利率 + (償還価格 - 購入価格) / 残存年数} / 購入価格 × 100」で計算します。
解き方
- 割引債券の1年複利利回りを計算する:(100 / 97.15)^(1/4) - 1 ≒ 0.7255%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.73%となる。
- 固定利付債券の単利最終利回りを計算する:{0.85 + (100 - 100.45) / 2} / 100.45 × 100 = 0.625 / 100.45 × 100 ≒ 0.6222%となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.62%となる。
- 選択肢 1不正解
- ①の0.71%は単利利回り{(100 - 97.15)/4}/97.15×100≒0.733%の誤算、または②の0.60%は計算誤りです。
- 選択肢 2不正解
- ②の0.62%は正しいですが、①が0.73%ではなく0.71%となっているため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- ①の0.73%は正しいですが、②が0.62%ではなく0.60%となっているため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 計算結果のとおり、①が0.73%、②が0.62%であり、この組合せが最も適切です。
覚えるポイント
- 割引債券の複利利回りはべき乗根を用いて年平均利回りを導出する計算式を確実に適用すること。
間違えやすいところ
- 割引債券の利回りを単利で求めてしまったり、利付債券の分母を額面100円と買い付け価格100.45円で混同したりするミスに注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の債券計算実務
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式市場の各種指標の特徴
金融資産運用 · TOPIX / JPX日経インデックス400 / ダウ工業株30種平均 / FTSE100種総合株価指数
株式市場の各種指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
代表的な株価指数には、構成銘柄の時価総額の合計を基準値で除して算出する「時価総額加重型」(TOPIX、S&P500など)と、株価を単純平均・修正除数で割って算出する「株価平均型」(日経平均株価、NYダウなど)があります。
解き方
- 各株価指数(TOPIX、JPX日経400、NYダウ、FTSE100)の対象市場および算出方式(時価総額加重型か株価平均型か)を確認する。
- ダウ工業株30種平均が株価平均型であることを見抜き、誤っている選択肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 出題時点のTOPIXは、東証一部に上場するすべての内国普通株式を対象とした時価総額加重型の株価指数であり適切です。
- 選択肢 2不正解
- JPX日経インデックス400は、東証上場銘柄からROEや3年累計営業利益等をもとに選定された400銘柄を対象とする時価総額加重型指数であり適切です。
- 選択肢 3正解
- ダウ工業株30種平均は時価総額加重型ではなく株価平均型(修正平均型)の指数であり、またNASDAQ上場銘柄(アップルやマイクロソフト等)も含まれます。
- 選択肢 4不正解
- FTSE100種総合株価指数は、ロンドン証券取引所に上場する時価総額上位100銘柄を対象とする時価総額加重型の代表的な株価指数です。
覚えるポイント
- ダウ工業株30種平均および日経平均株価は「株価平均型(修正株価平均)」、TOPIXやS&P500は「時価総額加重型」である点。
間違えやすいところ
- NYダウの構成銘柄がニューヨーク証券取引所(NYSE)限定であると誤解しないこと(NASDAQ銘柄も含まれる)。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の金融指標定義
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オプション取引のプレミアムの変動要因
金融資産運用 · コール・オプション / プット・オプション / 本源的価値 / 時間価値 / ボラティリティ
オプションのプレミアム(価格)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、記載されているもの以外の条件はすべて同一であるものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
オプション価格(プレミアム)は「本源的価値」と「時間価値」の合計で構成されます。プットは権利行使価格が高いほど、コールは権利行使価格が低いほど本源的価値が大きくなります。また、満期までの残存期間が長いほど、ボラティリティが高いほど時間価値が大きくなります。
解き方
- コールとプットそれぞれの権利行使価格、残存期間、原資産価格、ボラティリティとプレミアムの関係を整理する。
- 日経平均22,000円時のプット22,500円(本源的価値500円)とプット23,000円(本源的価値1,000円)を比較し、後者のプレミアムが高いことを判定する。
- 選択肢 1不正解
- コール・オプションは買う権利であるため、為替相場が120円から115円に下落すると本源的価値が減少し、プレミアムは安くなります。
- 選択肢 2正解
- 日経平均が22,000円の場合、権利行使価格23,000円のプットの本源的価値(1,000円)は22,500円のプット(500円)より大きいため、プレミアムは高くなります。
- 選択肢 3不正解
- 他の条件が同じであれば、満期日までの残存期間が長いものほど時間価値が大きくなるため、1年先の方がプレミアムは高くなります。
- 選択肢 4不正解
- ボラティリティ(価格変動性)が低下すると、権利行使により利益を得られる可能性が下がるため、プレミアムは低くなります。
覚えるポイント
- プット・オプションは「売る権利」なので、権利行使価格が高いほどプレミアムが高くなる点。
間違えやすいところ
- コールの関係(権利行使価格が低いほど価値が高い)とプットの関係を逆に捉えてしまわないよう注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行のオプション価格決定理論
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
追加型株式投資信託の分配金と個別元本の推移・税額計算
金融資産運用 · 個別元本 / 普通分配金 / 元本払戻金(特別分配金) / 源泉徴収税額
Aさん(居住者)が特定口座で購入したXファンド(10,000口、購入価額10,500円)の分配金実績および分配落後基準価額の推移に基づき、平成30年9月6日の分配金(300円)について、源泉徴収後の手取金額として最も適切なものはどれか。なお、税率は20.315%とし、税額は円未満切捨てとする。 〔推移(10,000口当たり)〕 ・購入時(H30.2):基準価額 10,500円 ・H30.3.6:分配金 800円、分配落後基準価額 11,200円 ・H30.6.6:分配金 500円、分配落後基準価額 9,800円 ・H30.9.6:分配金 300円、分配落後基準価額 9,900円
解答・解説を表示
解答
2
解説
追加型株式投資信託の分配金において、分配落ち後の基準価額が受益者の個別元本と同額以上であれば全額が普通分配金(課税)となります。個別元本を下回る場合は、下回る部分が元本払戻金(特別分配金・非課税)となり、その金額分だけ個別元本が減額修正されます。
解き方
- 各決算期における個別元本を順次追跡する。購入時:10,500円。H30.3.6決算時:分配落後基準価額11,200円≧10,500円のため全額普通分配金、個別元本は10,500円のまま。
- H30.6.6決算時:分配落後基準価額9,800円<10,500円(差額700円)。分配金500円全額が特別分配金となり、個別元本は10,500円-500円=10,000円に修正される。
- H30.9.6決算時:分配落後基準価額9,900円<直前の個別元本10,000円(差額100円)。したがって、特別分配金100円、普通分配金は300円-100円=200円となる。
- 税額および手取額を計算する:源泉徴収税額は200円×20.315%=40.63円→40円切捨て。手取金額は分配金300円-税額40円=260円(または非課税100円+課税分手取160円=260円)。
- 選択肢 1不正解
- 分配金300円の全額が普通分配金として課税されたと誤認した場合の計算(300円×20.315%=60円控除で240円)であり誤りです。
- 選択肢 2正解
- 特別分配金100円(非課税)と普通分配金200円(税額40円控除で160円)の合計となり、手取金額は260円となります。
- 選択肢 3不正解
- 特別分配金や普通分配金の内訳、または税額の計算に誤りがあります。
- 選択肢 4不正解
- 分配金300円の全額が元本払戻金(特別分配金)として非課税になった場合の金額であり誤りです。
覚えるポイント
- 特別分配金が発生したときは、その金額分だけ個別元本が引き下げられる点。
間違えやすいところ
- 過去の分配金で個別元本が減額修正された履歴を反映させずに、当初の購入価額(10,500円)のままで判定してしまうミスが多い。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法・投信税制
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
少額投資非課税制度(一般NISA)の仕組み
金融資産運用 · NISA / 非課税投資枠 / ロールオーバー / 配当金受取方式
少額投資非課税制度(一般NISA)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
一般NISAは年間120万円の非課税投資枠があり、5年間の非課税期間満了時に翌年の枠へロールオーバーすることが可能です。この際、時価が120万円を超えていても全額ロールオーバー可能とされています。
解き方
- 一般NISAの制度概要(非課税枠、期間、金融機関変更、ロールオーバー、配当方式)を確認する。
- ロールオーバー時に「翌年の非課税枠(120万円)を限度とする」という制限はなく、全額移管可能であるルールと照合する。
- 選択肢 1不正解
- 一般NISAの非課税投資枠は年間120万円で、非課税期間は最長5年間と定められており適切です。
- 選択肢 2不正解
- NISA口座を開設する金融機関は、1年単位で変更することが可能です(変更しようとする年の前年10月1日〜翌年9月30日までに手続が必要)。
- 選択肢 3正解
- ロールオーバーを行う場合、移管時の時価が翌年の非課税投資枠(120万円)を超えていても全額を移管できるため、「翌年の非課税枠を限度として」とする記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 株式数比例配分方式以外の方法(個別銘柄指定方式等)で受領した配当金は課税対象となりますが、確定申告で総合課税を選択すれば配当控除を受けることができます。
覚えるポイント
- ロールオーバー時は時価が120万円を超えていても全額移管可能(超えた場合は翌年の新規投資枠はゼロになる)という点。
間違えやすいところ
- 株式数比例配分方式を選択しないとNISA口座の配当金が非課税にならない点と、その場合は確定申告により配当控除の対象にできる点を確認しておくこと。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金者保護法による不正払戻しの補償制度
金融資産運用 · 預金者保護法 / 偽造カード / 盗難カード / 補償対象期間
「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」(預金者保護法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
預金者保護法では、偽造カードによる不正払戻しは預金者に重大な過失がない限り全額補償されます。盗難カードによる場合は、過失がなければ全額、軽過失があれば75%補償となり、対象期間は原則として金融機関への通知日から30日前の日以降の払戻しと規定されています。
解き方
- 預金者保護法の偽造カードと盗難カードの補償要件・補償割合の違いを確認する。
- 盗難カードの被害補償の遡及期間が「通知の日から30日前の日以降」である点を確認し、60日前の日とする選択肢3を誤りと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 偽造カードによる不正払戻しでは、顧客に過失があっても(重大な過失がない限り)全額補償の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 盗難カードによる不正払戻しでは、顧客に過失(重大な過失を除く)が認められる場合は被害額の75%が補償されます。
- 選択肢 3正解
- 盗難カードによる補償対象期間は、金融機関に通知があった日から遡って「30日前の日以降」に行われた払戻しであり、60日前ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 盗難通帳やネットバンキングは法の対象外(機械式払戻しではない等)ですが、業界団体の自主ルールにより預金者保護法に準じた補償基準が定められています。
覚えるポイント
- 盗難カードの不正払戻しの補償対象は、通知した日から「30日前の日以降」に行われたものである点。
間違えやすいところ
- 偽造カードは「過失があっても全額補償」、盗難カードは「過失がある場合は75%補償」という違いを取り違えないように注意する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の預金者保護法
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得の計算および特定支出控除の要件
タックスプランニング · 給与所得 / 給与所得控除 / 特定支出控除 / 通勤手当の非課税
居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
給与所得は給与等の収入金額から給与所得控除額を差し引いて計算しますが、実費控除にあたる特定支出が一定水準を超える場合は、確定申告により特定支出控除の適用を受けて所得を減額できます。
解き方
- 給与所得の各要素(通勤手当の非課税限度、給与所得控除額の算出基準)の正確な規定を確認します。
- 特定支出控除の適用要件(給与所得控除額の2分の1を超えること)および適用手続き(確定申告が必須であること)と照らし合わせます。
- 選択肢 1不正解
- マイカーや自転車等の交通用具を使用している給与所得者が受ける通勤手当は、通勤距離に応じた非課税限度額が設けられており、全額が算入されるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 平成30年分の給与所得控除額において、収入金額が162万5千円以下の場合は一律65万円(125万円以下で50万円ではありません)と定められています。
- 選択肢 3不正解
- 特定支出控除は、その年中の特定支出の合計額が「給与所得控除額の2分の1(最高110万円)」を超える場合に、その超える部分を控除できる制度です。
- 選択肢 4正解
- 給与所得者の特定支出控除の適用を受けるためには、給与収入金額の多寡にかかわらず、勤務先の年末調整ではなく確定申告書を提出して手続きを行う必要があります。
覚えるポイント
- 特定支出控除の基準判定は「給与所得控除額の2分の1」であり、年末調整ではなく確定申告が必須です。
間違えやすいところ
- 特定支出控除の基準を「給与所得控除額そのもの」と誤認しやすいので、2分の1基準であることを確認しましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額の計算と損益通算・一時所得の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 損益通算 / 不動産所得 / 一時所得 / 給与所得
Aさん(居住者)の平成30年分の各種所得の収入金額等が次のとおりであった場合の総所得金額として、最も適切なものはどれか。 ・給与所得:収入金額950万円、給与所得控除額215万円 ・上場株式譲渡所得:総収入金額200万円、取得費・譲渡費用260万円 ・不動産所得:総収入金額200万円、必要経費300万円(土地取得負債利子40万円を含む) ・一時所得(満期保険金):総収入金額1,080万円、支出金額1,000万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
総所得金額の計算では、総合課税の所得を合算し、損益通算を行います。不動産所得の赤字のうち土地取得に要した借入金利子相当額は通算対象外となり、上場株式の譲渡損失は分離課税であるため総所得金額の計算には含めません。
解き方
- 給与所得金額を計算します:950万円 - 215万円 = 735万円。
- 不動産所得の損失を計算し土地利子を除外します:200万円 - 300万円 = ▲100万円。土地取得負債利子40万円を除いた▲60万円が損益通算の対象となります。
- 一時所得の金額および総所得算入額を計算します:(1,080万円 - 1,000万円 - 特別控除50万円) × 1/2 = 15万円。
- 上場株式の譲渡損失▲60万円は分離課税のため総所得金額には含めず、合算します:735万円 - 60万円 + 15万円 = 690万円。
- 選択肢 1不正解
- 不動産所得の赤字全額(100万円)を通算した誤った計算(735万 - 100万 - 5万等)です。
- 選択肢 2不正解
- 土地負債利子40万円を通算対象外とせず、不動産所得損失100万円を全額控除した値(735万 - 100万 + 15万 = 650万円)です。
- 選択肢 3正解
- 給与所得735万円から損益通算可能な不動産所得の損失60万円を控除し、一時所得の2分の1である15万円を加算した690万円が正解です。
- 選択肢 4不正解
- 不動産所得の赤字のうち必要経費超過分と利子の処理を誤った場合の計算結果です。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外です。
間違えやすいところ
- 一時所得の総所得金額への算入にあたって、特別控除後さらに2分の1にすることを忘れないようにしましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法第69条(損益通算)、租税特別措置法第41条の4に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除および配偶者特別控除の適用要件
タックスプランニング · 配偶者控除 / 配偶者特別控除 / 所得制限 / 平成30年分税制改正
居住者に係る平成30年分の所得税の配偶者控除および配偶者特別控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
平成30年分以後の所得税において、配偶者控除および配偶者特別控除には納税者本人の合計所得金額に応じた所得制限(1,000万円超で適用なし)が設けられています。
解き方
- 平成30年分以降の配偶者控除の納税者本人の所得要件(900万円以下で38万円、900万超950万以下で26万円、950万超1,000万以下で13万円、1,000万超でゼロ)を確認します。
- 配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件(38万円超123万円以下)および年齢区分の有無を確認します。
- 納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えた場合の制限規定を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 配偶者控除の控除額が段階的に逓減するのは納税者の合計所得金額が900万円を超える場合であり、800万円超ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 平成30年分の配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額は、38万円超123万円以下(給与年収で103万円超201.6万円未満)です。150万円以下ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 配偶者特別控除の控除額は、納税者の合計所得金額と配偶者の合計所得金額の区分によって決まり、配偶者の年齢によって異なる区分はありません。
- 選択肢 4正解
- 納税者の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者の所得状況にかかわらず配偶者控除・配偶者特別控除ともに受けることができません。
覚えるポイント
- 配偶者控除および配偶者特別控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると一切適用できなくなります。
間違えやすいところ
- 配偶者の給与年収の上限(201.6万円未満=所得123万円以下)と、満額38万円控除が受けられる給与年収の上限(150万円=所得85万円以下)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:平成30年分の所得税法第83条、第83条の2に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の配当控除の対象と計算ルール
タックスプランニング · 配当控除 / 税額控除 / 損益通算 / 総合課税
居住者に係る所得税の配当控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
配当控除は法人税と所得税の二重課税を調整するための税額控除であり、法人税が実質課税されていない配当等は対象外となりますが、内国法人の普通配当を総合課税で申告した場合は対象となります。
解き方
- J-REIT分配金や非上場株式配当の配当控除適用の可否を判定します。
- 配当控除の控除率の計算方法(課税総所得金額等のうち1,000万円以下の部分と超える部分への適用関係)を確認します。
- 損益通算が行われた場合の配当控除の計算対象となる配当所得の金額の取扱いを確認します。
- 選択肢 1不正解
- J-REIT(投資法人)の投資信託の分配金は、法人税法上支払配当が損金算入され法人税が実質的に課税されていないため、配当控除の対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 内国法人から受ける非上場株式の配当所得についても、総合課税で確定申告を行うことで配当控除の適用を受けることができます。
- 選択肢 3不正解
- 課税総所得金額が1,000万円を超える場合でも、配当所得のうち課税総所得金額等1,000万円以下の枠内におさまる部分には10%が適用され、全額が5%になるわけではありません。
- 選択肢 4正解
- 他の所得の損失と損益通算された場合であっても、配当控除の計算の基礎となる配当所得の金額は損益通算前の金額とされています。
覚えるポイント
- J-REIT分配金や外国株式の配当は法人税の二重課税が生じないため、配当控除の対象外です。
間違えやすいところ
- 課税総所得金額が1,000万円を超えると配当控除の率がすべて5%になると誤解しがちですが、1,000万円を超える部分にのみ5%(超えない部分は10%)が適用されます。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法第92条(配当控除)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人青色申告の諸規定(決算書・資産償却・純損失)
タックスプランニング · 青色申告 / 決算書 / 少額減価償却資産 / 純損失の繰戻し還付 / 青色申告承認申請
居住者に係る所得税の青色申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
青色申告制度には正規の簿記の原則に基づく各種特典が用意されています。損益計算書は業務区分ごとに収支を把握するため別個に作成しますが、貸借対照表は事業主全体の財政状態を示すため合算して作成します。
解き方
- 相続による青色申告承認申請手続きの期限(死亡時期に応じた提出期限)を確認します。
- 不動産所得と事業所得を併営する場合の青色申告決算書(損益計算書と貸借対照表)の作成ルールを確認します。
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入特例における年間限度額(300万円)を確認します。
- 純損失の繰戻し還付の適用要件(前年分も青色申告書を提出していること)を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 業務承継した相続人の承認申請期限は、被相続人の死亡時期に応じて定められており(1月1日〜8月31日死亡時は4カ月以内等)、「一律に知った日の翌日から2カ月以内」ではありません。
- 選択肢 2正解
- 不動産所得と事業所得を両方営む場合、損益計算書はそれぞれの所得区分ごとに別々に作成し、貸借対照表は両業務を合算して作成します。
- 選択肢 3不正解
- 少額減価償却資産の特例により全額損金・必要経費算入できるのは、年間の取得価額の合計額が300万円(500万円ではありません)に達するまでです。
- 選択肢 4不正解
- 純損失の繰戻し還付を受けるためには、純損失が生じた年だけでなく、繰戻しの対象となる前年分についても青色申告書を提出している必要があります。
覚えるポイント
- 少額減価償却資産の即時償却特例の上限は年間合計300万円までです。
間違えやすいところ
- 純損失の繰戻し還付は前年分も青色申告であることが要件であり、青色初年度に生じた損失を白色の前年に繰り戻すことはできません。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法第140条、第144条、租税特別措置法第28条の2等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人の各種届出・申告の手続きと提出期限
タックスプランニング · 法人設立届出書 / 法人税中間申告 / 青色申告承認申請書 / 確定申告期限
法人の各種届に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法人の税務届出や申告は法人税法等に期限と添付書類が厳格に定められており、事業年度終了後の確定申告(2カ月以内)や期中の中間申告(期首から6カ月経過後2カ月以内)が義務付けられています。
解き方
- 法人設立届出書の添付書類(平成29年度改正で登記事項証明書の添付が不要となった点)を検証します。
- 法人税の納税地の定義(本店または主たる事務所の所在地)と異動届出書の提出先を確認します。
- 普通法人の中間申告および確定申告書の提出期限を確認します。
- 新設法人の青色申告承認申請書の提出期限(設立の日以後「3カ月」を経過した日等)を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 平成29年度税制改正により、税務署への法人設立届出書の提出にあたって「登記事項証明書」の添付は不要となりました。
- 選択肢 2不正解
- 法人税の納税地は「本店または主たる事務所の所在地」であり、「事業年度末の所在地」ではありません。
- 選択肢 3正解
- 事業年度が6カ月を超える普通法人は、事業年度開始日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に中間申告、期末の翌日から2カ月以内に確定申告を行う必要があります。
- 選択肢 4不正解
- 新設法人が設立第1期から青色申告の承認を受ける場合の提出期限は、設立の日以後「3カ月(2カ月ではありません)」を経過した日と設立第1期の事業年度終了日とのいずれか早い日の前日までです。
覚えるポイント
- 新設法人の青色申告承認申請書の提出期限は「設立の日以後3カ月を経過した日」または「第1期事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日です。
間違えやすいところ
- 個人事業の開業届や青色申告申請(2カ月以内)と、法人の設立第1期の青色申告承認申請(3カ月を経過した日の前日等)の日数要件を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法人税法第71条、第74条、第122条に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業等の経営改善設備取得に係る特別償却・税額控除
タックスプランニング · 中小企業投資促進税制 / 特別償却 / 法人税額の特別控除 / 償却不足額の繰越し
「特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
認定支援機関の指導・助言を受けて取得した経営改善設備について、特定中小企業者等は普通償却に加えて取得価額の30%の特別償却(または資本金3,000万円以下等の中小法人について7%の税額控除)の選択適用が可能です。
解き方
- 特別償却の償却限度額割合(30%)および特別償却不足額の繰越規定を確認します。
- 税額控除の適用対象となる中小法人の資本金要件(資本金3,000万円以下等)を確認します。
- 指定業種の範囲(建設業や医療業等も広く含まれる点)を確認します。
- 対象となる経営改善設備の範囲(器具備品・建物附属設備だけでなく機械装置等も含む点)を確認します。
- 選択肢 1正解
- 本制度における特別償却限度額は取得価額の30%相当額であり、計上しなかった償却不足額は翌事業年度へ繰り越すことができます。
- 選択肢 2不正解
- 本制度による税額控除(7%)を選択できるのは、資本金の額が3,000万円以下の法人や個人事業主等に限られており、5,000万円以下ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 指定業種は幅広く定められており、建設業や医療業等も対象業種に含まれます(性風俗関連特殊営業等を除く大半の業種が対象)。
- 選択肢 4不正解
- 経営改善設備には器具備品や建物附属設備のほか「機械及び装置」や「工具」も含まれており、対象資産の範囲の説明が不適切です。
覚えるポイント
- 税制上の特別償却限度額(30%)で計上不足が生じた場合、翌事業年度への繰越償却が認められています。
間違えやすいところ
- 税額控除を選択できる中小法人の資本金上限は「3,000万円以下」であり、中小企業者全般の基準(1億円以下)と混同しないよう注意しましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の租税特別措置法第42条の12の4に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告法人の繰越欠損金の控除期間と控除限度額
タックスプランニング · 青色申告法人 / 繰越欠損金 / 繰越期間 / 大法人と中小法人の控除限度額
青色申告法人の欠損金の繰越控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各法人は設立後10年以上経過した普通法人で、大法人に完全支配されていないものとする。
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解答
1
解説
法人の繰越欠損金制度では、平成30年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金の繰越期間は10年間です。また、控除限度額は中小法人(資本金1億円以下)は所得の100%ですが、大法人(資本金1億円超)は所得の55%(平成30年4月1日開始事業年度)に制限されます。
解き方
- 平成30年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金の繰越期間(10年)を確認し、7年とする記述の誤りを判定します。
- 大法人(資本金2億円)における欠損金控除限度割合(平成30年4月1日開始年度は所得の55%)を計算します:1,200万円 × 55% = 660万円控除、残高は 2,000万 - 660万 = 1,340万円(※法改正スケジュールに沿った計算)。
- 中小法人(資本金1億円)の所得控除限度(100%控除可能)を確認し、1,000万円全額控除で残高500万円となることを確認します。
- 選択肢 1正解
- 平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額の繰越期間は、最長で10年間(7年間ではありません)とされています。
- 選択肢 2不正解
- 中小法人であっても平成30年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金の繰越期間は最長10年間となります。
- 選択肢 3不正解
- 資本金1億円超の大法人の控除限度額は所得の50%(平成30年4月1日開始事業年度は所得の50%相当:1,200万円×50%=600万円)となり、繰越欠損金2,000万円から600万円を控除した残高は1,400万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 資本金1億円以下の中小法人は所得の100%まで控除できるため、所得1,000万円全額を控除し、繰越欠損金の残高は1,500万-1,000万=500万円となります。
覚えるポイント
- 平成30年4月1日以後に開始する事業年度において生じた法人税の青色欠損金の繰越期間は最長10年です。
間違えやすいところ
- 大法人の繰越欠損金控除限度額には所得の一定割合という上限がある一方、資本金1億円以下の中小法人等は所得の100%全額を控除できる点を取り違えないようにしましょう。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法人税法第57条に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の納税義務および手続
タックスプランニング · 消費税 / 簡易課税制度 / 特定期間 / 確定申告期限
消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
消費税の課税事業者の判定(基準期間・特定期間)、簡易課税制度の届出要件および仕組み、確定申告期限についての正しい理解を問う問題です。
解き方
- 特定期間における判定基準(課税売上高および給与等支払額の双方の基準)を確認する。
- 簡易課税制度における届出期限および還付が生じない原則を確認する。
- 個人の消費税の確定申告期限(翌年3月31日)を確認して各肢の正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 特定期間(前事業年度開始の日から6カ月間)の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円以下であれば納税義務は免除されます(「いずれか」ではなく課税売上高判定の代用として給与等支払額も1,000万円超である必要があります)。
- 選択肢 2正解
- 簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、原則としてその適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに所轄税務署長へ「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 簡易課税制度では、みなし仕入率(40%〜90%)を用いて仕入控除税額を計算するため、控除後の税額がマイナスになることはなく、還付を受けることはできません。
- 選択肢 4不正解
- 個人の事業者の消費税の確定申告書の提出期限および納期限は、原則としてその年の翌年3月31日(3月15日ではない)です。
覚えるポイント
- 個人事業者の消費税確定申告期限は3月31日、所得税は3月15日です。
間違えやすいところ
- 特定期間の判定において、給与等支払額が1,000万円以下であれば免税事業者となり得る点を見落としやすいです。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の登記制度
不動産 · 不動産登記法 / 登記識別情報 / 司法書士・土地家屋調査士 / 権利部・表題部 / 分筆登記
不動産の登記に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産登記法における登記識別情報の取扱い(再発行不可)、表示に関する登記と権利に関する登記の区分および代理専門家の職責について確認します。
解き方
- 登記識別情報が紛失時に再交付されるかどうかを確認する。
- 司法書士と土地家屋調査士の業務範囲の正誤を検討する。
- 権利部甲区(所有権)と乙区(所有権以外の権利)の記載事項を確認する。
- 分筆登記と地積更正登記の関係を確認する。
- 選択肢 1正解
- 登記識別情報は一度通知された後は紛失等を理由に再交付・再発行されることはありません。提供できない場合は事前通知制度や資格者代理人による本人確認情報等を利用します。
- 選択肢 2不正解
- 司法書士は権利に関する登記(甲区・乙区)の代理申請を行い、土地家屋調査士は表示に関する登記(表題部)の代理申請を行います。
- 選択肢 3不正解
- 権利部の甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外の権利(抵当権、地上権等)に関する事項が記録されます。
- 選択肢 4不正解
- 土地の分筆登記の申請にあたり、公簿面積と実測面積との差が誤差の許容限度を超えるときは、前提として地積更正登記を申請する必要があります。
覚えるポイント
- 登記識別情報には再交付(再発行)制度は存在しません。
間違えやすいところ
- 紛失した際に再交付してもらえると誤認しやすいので注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産取引における民法および関連法規上の留意点
不動産 · 未成年者の行為能力 / 成年擬制 / 共有持分の処分 / 無権代理と追認 / 消費者契約法と宅建業法
不動産取引における留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産取引に関する法律関係(制限行為能力者、共有持分の処分、無権代理の追認効力、法令の適用関係)を正しく理解しているかを問う問題です。
解き方
- 婚姻による成年擬制(当時の民法第753条)の効力を確認する。
- 共有持分自体の譲渡には他の共有者の同意が不要であることを確認する。
- 無権代理の追認の効力が契約時に遡及すること(民法第116条)を確認する。
- 宅建業法(商法等の特別法)と消費者契約法の規定の優先関係(宅建業法等の特別法が優先)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 出題基準日現在の民法において、未成年者が婚姻をしたときは成年に達したものとみなされる(成年擬制)ため、単独で有効に契約を締結でき、法定代理人の同意は不要です。
- 選択肢 2不正解
- 共有物全体の処分には全員の同意が必要ですが、自己の「共有持分」の売却・処分は、他の共有者の同意なしに自由に行うことができます。
- 選択肢 3不正解
- 無権代理行為の追認は、別段の意思表示がない限り、契約の時に遡ってその効力を生じます(将来に向かって生じるのではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 消費者契約法と他の法律の特則が競合する場合、宅地建物取引業法などの特別の定めが優先して適用されます(消費者契約法第11条第2項)。
覚えるポイント
- 無権代理の追認は「契約時に遡及」して効力を生じます。また共有持分の処分は自由です。
間違えやすいところ
- 共有不動産の全体処分と持分の単独処分を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
都市計画法上の地域地区・区域区分
不動産 · 都市計画法 / 市街化区域と市街化調整区域 / 用途地域 / 高度利用地区 / 防火地域・準防火地域
都市計画法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
都市計画法で規定される区域区分(市街化区域・市街化調整区域)、用途地域の種類(13種類)、高度利用地区、防火地域・準防火地域の指定ルールを理解します。
解き方
- 市街化区域と市街化調整区域の定義を確認する。
- 平成30年4月施行の田園住居地域追加に伴う用途地域の構成(住居系8、商業系2、工業系3の合計13地域)を確認する。
- 高度利用地区が準都市計画区域に指定できるかを確認する。
- 防火地域・準防火地域を用途地域内に必ず定めなければならないか(義務ではない)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」は市街化区域であり、市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」です。
- 選択肢 2正解
- 用途地域は、住居系8地域(田園住居地域を含む)、商業系2地域、工業系3地域の合計13地域に区分されています。
- 選択肢 3不正解
- 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るための地区であり、準都市計画区域には定めることができません。
- 選択肢 4不正解
- 防火地域および準防火地域は、用途地域が指定された区域に必ずいずれかを定めなければならない(必要的指定)わけではなく、任意に定める地域地区です。
覚えるポイント
- 用途地域は平成30年4月から田園住居地域が加わり13種類となりました。
間違えやすいところ
- 高度利用地区や高度地区は準都市計画区域には指定できません(準都市計画区域に指定できる地域地区は限定的)。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地区画整理法の手続と権利関係
不動産 · 土地区画整理法 / 仮換地 / 保留地 / 土地区画整理組合 / 建築等の制限
土地区画整理法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
土地区画整理事業における仮換地の指定効果、保留地の帰属時期、組合員の資格、建築等の制限(許可権者)について理解します。
解き方
- 仮換地指定中の抵当権設定対象(権利は従前の宅地にあり、仮換地には設定できない)を確認する。
- 保留地の所有権取得時期(換地処分公告の日の翌日)を確認する。
- 土地区画整理組合の組合員資格(宅地の所有権者および借地権者に限られる)を確認する。
- 施行地区内での建築制限の許可権者(都道府県知事等)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 仮換地が指定されても、権利の目的物自体は従前の宅地のままであるため、抵当権は従前の宅地に設定し、仮換地には設定できません。
- 選択肢 2正解
- 土地区画整理法第104条第11項により、換地計画において定められた保留地は、換地処分の公告があった日の翌日に施行者が取得します。
- 選択肢 3不正解
- 土地区画整理組合の組合員となるのは、施行地区内の宅地について所有権または借地権を有する者であり、建物の所有者や借家人は組合員にはなりません。
- 選択肢 4不正解
- 施行地区内における建築行為や土地の形質の変更等を行おうとする者は、土地区画整理組合ではなく、都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を受けなければなりません(土地区画整理法第76条)。
覚えるポイント
- 換地処分公告の翌日に、保留地は施行者が取得し、換地は従前の宅地とみなされます。
間違えやすいところ
- 土地区画整理事業地区内の建築制限の許可権者は「都道府県知事等」であり、「組合」ではない点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
不動産 · 区分所有法 / 特定承継人への請求 / 議決権行使者の選任 / 管理組合法人 / 建替え決議
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
区分所有法における集会の決議要件(普通決議、特別決議、建替え決議)や特定承継人への効力、共有時の議決権行使者の定めを整理します。
解き方
- 管理費等の債権が特定承継人(買主)に対しても行使可能か(区分所有法第8条)を確認する。
- 専有部分の共有における議決権行使者の選任義務(第40条)を確認する。
- 管理組合法人設立の決議要件(第47条第1項:各4分の3以上)を確認する。
- 建替え決議の要件(各5分の4以上、規約での減縮不可)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 管理費等の管理組合の債権は、区分所有者の包括承継人のみならず特定承継人(買主)に対しても行使することができます(区分所有法第8条)。
- 選択肢 2不正解
- 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は議決権を行使すべき者1人を定めなければなりません(区分所有法第40条)。
- 選択肢 3正解
- 管理組合が法人となるためには、区分所有者および議決権の各「4分の3以上」の多数による集会の決議が必要です(3分の2以上ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 建替え決議は区分所有者および議決権の各5分の4以上の多数により行う必要があり、この定数を規約で減ずることはできません。
覚えるポイント
- 法人化の決議要件は「各4分の3以上」、規約の設定・変更・廃止と同じです。
間違えやすいところ
- 特別決議の要件である「4分の3」と「3分の2」を混同しないように整理しておく必要があります。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
低額譲受け・相続による取得土地の譲渡所得における取得費の計算
タックスプランニング · 譲渡所得 / 取得費 / みなし取得費 / 低額譲受け / 相続による取得
Aさん(居住者)は、平成30年4月に賃貸アパートを取り壊してその敷地である甲土地を売却した。下記の〈甲土地の取得等の状況〉に基づき、Aさんが売却した甲土地に係る譲渡所得の金額の計算上の取得費として、最も適切なものはどれか。なお、取得費はできるだけ多額になるようにすることとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈甲土地の取得等の状況〉 ・平成15年4月:Aさんの父親が第三者から甲土地を3,000万円で購入し、賃貸アパートを建設して賃貸業務を開始。 ・平成20年4月:Aさんの父親が死亡し、Aさんの母親が相続(単純承認)により取得。相続税評価額は2,000万円。 ・平成28年4月:Aさんが母親から売買により甲土地を購入。購入価額1,500万円、購入時の時価3,600万円。 ・平成30年4月:Aさんが賃貸アパートを取り壊して甲土地を第三者に4,000万円で売却。
解答・解説を表示
解答
3
解説
個人から著しく低い価額(時価の2分の1未満)で資産を譲り受けた場合、取得費は前所有者の取得費を引き継ぐ規定(所得税法第60条第1項第2号)および相続による取得費の引継ぎを理解します。
解き方
- 平成28年4月の売買における購入価額(1,500万円)と時価(3,600万円)を比較し、時価の2分の1(1,800万円)未満の低額譲受けに該当するか判定する。
- 低額譲受けに該当するため、Aさんは前所有者である母親の取得費を引き継ぐ。
- 母親は平成20年4月に父親から相続(単純承認)により取得しているため、父親の取得費(3,000万円)を引き継いでいる。
- したがって、Aさんの取得費は父親の購入価額である3,000万円となる。
- 選択肢 1不正解
- 時価3,600万円に対して1,500万円は時価の2分の1未満の「著しく低い価額の対価」に該当するため、実際の支払金額である1,500万円は取得費とはなりません。
- 選択肢 2不正解
- 相続税評価額2,000万円は相続税の課税価格計算上の評価額であり、譲渡所得の計算における取得費ではありません。
- 選択肢 3正解
- 時価の2分の1未満での取得のため前所有者の取得費を引き継ぎ、その前所有者も相続により被相続人の取得費を引き継いでいるため、父親の取得価額である3,000万円が取得費となります。
- 選択肢 4不正解
- 個人の低額譲受けにおいて、取得者が時価3,600万円を取得費として計上できるのは、法人からの贈与等により給与課税等を受けた場合等に限られます。
覚えるポイント
- 個人間の時価1/2未満の低額譲受けでは、取得者は前所有者の取得費を引き継ぎます。
間違えやすいところ
- 実際の支払額(1,500万円)や購入時の時価(3,600万円)を取得費としてしまう誤りが多いです。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の居住用財産の買換えの特例
タックスプランニング · 居住用財産の買換えの特例 / 住宅ローン控除との重複適用 / 取得価額の引継ぎ計算 / 3,000万円特別控除
Aさんは、20年前に取得し現在まで居住している自宅を平成30年中に売却し、新たな住宅を購入することを検討している。「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、売却予定の自宅(建物・敷地)の取得費・譲渡費用の合計は3,000万円とする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
特定の居住用財産の買換えの特例における課税繰延べの仕組み、他の特例(住宅ローン控除、3,000万円特別控除等)との適用関係、買換資産の引き継ぐ取得価額の計算方法を理解します。
解き方
- 買換え特例と住宅ローン控除の重複適用の可否(重複不可)を確認する。
- 買換え特例の適用を受けた資産を3年以内に売却した場合の制限(3,000万円特別控除・軽減税率の適用不可)を確認する。
- 譲渡資産の収入金額≦買換資産の取得価額の場合の課税関係(全額繰延べ)を確認する。
- 譲渡資産の収入金額>買換資産の取得価額の場合の買換資産の取得価額の計算式を確認して金額を算出する。
- 選択肢 1不正解
- 特定の居住用財産の買換え特例の適用を受ける場合、買換資産について住宅借入金等特別控除の適用を重複して受けることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 買換え特例の適用を受けた者が、その適用を受けた年の翌年または翌々年(3年以内)にその買換資産を譲渡した場合、3,000万円特別控除や軽減税率の特例の適用は受けられません。
- 選択肢 3不正解
- 譲渡価額(5,000万円)以下の金額で新たに住宅を取得したのではなく、買換資産の取得価額(5,000万円)が譲渡価額以上であるため、譲渡がなかったものとみなされ、その年の譲渡所得に対する所得税・住民税は算出されません。
- 選択肢 4正解
- 買換資産の取得価額の合計は、譲渡資産の取得費・譲渡費用合計3,000万円×(4,000万円/5,000万円)=2,400万円(建物900万円、敷地1,500万円)となります。記述の2,720万円は誤りです。
覚えるポイント
- 買換資産の取得価額は「旧資産の取得費等×(新資産取得価額/旧資産譲渡価額)」で計算されます。
間違えやすいところ
- 一部繰延べの場合の買換資産の引継取得価額の算式を正しく適用できず、計算結果を取り違えることがあります。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地の無償返還に関する届出書と相続税評価
相続・事業承継 · 土地の無償返還に関する届出書 / 借地権 / 小規模宅地等の特例
借地権の設定に際して権利金を支払う取引上の慣行のある地域において、賃貸マンションおよび敷地である甲土地を所有している個人Aさんが、新たに設立した不動産管理会社に建物を売買により移転し、甲土地を貸し付ける場合の「土地の無償返還に関する届出書」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法人と個人間の借地権設定において、権利金の授受がない場合でも「土地の無償返還に関する届出書」を提出することで借地権の認定課税を回避できます。この届出書が提出された賃貸借契約の土地は、相続税評価上は「自用地価額×80%」で評価され、所定の要件を満たせば小規模宅地等の特例の適用対象となります。
解き方
- 使用貸借か賃貸借か、および届出書の要否・効果を各選択肢ごとに確認する。
- 賃貸借契約かつ無償返還届出書提出時の相続税評価(自用地評価額×80%)と小規模宅地等の特例の適格性を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 使用貸借契約による借受けの場合、届出書の提出をしなくても借地権の認定課税は行われませんが(使用貸借に係る通達)、そもそも使用貸借では「土地の無償返還に関する届出書」の提出対象となりません。ただし記述の前半自体は正しいものの、選択肢4が極めて適切であり、実務上使用貸借では届出書制度は使えません。また選択肢1では認定課税がないことのみを述べていますが、通常、法人への使用貸借は無償返還届出書の提出対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 使用貸借により借り受けている場合、「土地の無償返還に関する届出書」を提出することはできず、また相続開始時の評価は自用地価額(自用地価額×100%)となります。
- 選択肢 3不正解
- 「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合、相続税評価額は原則として「自用地価額×80%」で評価されます。「自用地価額×(1-借地権割合)」ではありません。
- 選択肢 4正解
- 法人が通常の地代で借り受け、無償返還届出書を提出している場合でも、法人の行う事業(賃貸マンションの貸付け)の用に供されている敷地は、所定の要件を満たせば貸付事業用宅地等として小規模宅地等の特例の適用対象となります。
覚えるポイント
- 土地の無償返還に関する届出書提出済みの敷地は相続税評価で自用地価額×80%となる
- 無償返還届出書があっても法人の貸付事業に供されていれば小規模宅地等の特例の適用が可能
間違えやすいところ
- 使用貸借の場合に「無償返還届出書」を出すと誤認すること(使用貸借は届出書不要かつ自用地評価100%)。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度
相続・事業承継 · 相続時精算課税 / 相続税申告要否 / 税額還付
相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続時精算課税制度は一度選択すると同一の特定贈与者からの贈与について暦年課税への変更はできません。特定贈与者の相続開始時には精算課税適用財産を相続財産に加算して相続税を計算しますが、課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば申告は不要です。
解き方
- 各選択肢の相続時精算課税の要件や効果を精査する。
- 特定贈与者死亡時の相続税申告義務の判定(基礎控除額との比較)を確認し、不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 相続時精算課税を選択した後は、その特定贈与者から贈与を受けた財産については金額の多寡にかかわらず、特別控除額の範囲内であっても贈与税の申告書を提出しなければなりません。記述は適切です。
- 選択肢 2不正解
- 養親と養子の縁組が解消された場合であっても、既に選択した相続時精算課税の効力は継続し、縁組解消後にその特定贈与者から受けた贈与にも相続時精算課税が適用されます。記述は適切です。
- 選択肢 3正解
- 相続時精算課税適用財産の価額を加算した課税価格の合計額が基礎控除額以下である場合は、納付すべき相続税額が生じないため、相続税の申告書を提出する義務はありません。したがって記述は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 相続税の計算上、すでに納付した相続時精算課税に係る贈与税額は相続税額から控除され、控除しきれない金額がある場合は還付を受けることができます。記述は適切です。
覚えるポイント
- 相続時精算課税財産を加算しても基礎控除以下なら相続税申告は不要
- 養子縁組を解消しても相続時精算課税の適用関係は継続する
間違えやすいところ
- 配偶者控除や小規模宅地等の特例と異なり、基礎控除以下で税額ゼロなら相続税申告書を提出する必要はない。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の普通養子
相続・事業承継 · 普通養子 / 代襲相続 / 養子縁組の要件
民法上の普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
民法上、未成年者を養子とする場合は原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合には家庭裁判所の許可は不要です(民法第798条但書)。また、尊属または年長者を養子とすることはできません。
解き方
- 普通養子縁組の各要件(年齢制限、許可の要否、相続関係)を確認する。
- 配偶者の未成年の連れ子を養子とする例外規定(家裁の許可不要)に照らして誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 民法上、尊属または年長者を養子とすることは禁止されているため、自分より年長の兄や姉を養子にすることはできませんが、年下の弟や妹を養子にすることは可能です。記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 未成年者を養子とする場合は原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、配偶者の連れ子(配偶者の直系卑属)を養子とする場合は、家庭裁判所の許可は不要です。したがって記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 普通養子縁組により養親の嫡出子の身分を取得し養親の相続人となりますが、実親との法的な親子関係は終了しないため、実親に対する相続権も引き続き有します。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 養子縁組前に生まれていた養子の子(養親からみて直系卑属でない連れ子)は代襲相続人になれません。本肢は「子を有する者を普通養子とした」場合であり、縁組前に生まれた子は代襲相続権を持ちません。記述は適切です。
覚えるポイント
- 自己または配偶者の直系卑属(連れ子等)を養子にする場合、未成年でも家庭裁判所の許可は不要
- 養子縁組前に出生した養子の子は養親の相続権を代襲できない
間違えやすいところ
- 未成年者を養子にするには常に家庭裁判所の許可が必要と思い込むこと。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(民法第798条等)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続の限定承認
相続・事業承継 · 限定承認 / みなし譲渡所得 / 相続放棄
民法および税法における相続の限定承認に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
限定承認は相続によって得た積極財産の限度で被相続人の債務等を弁済する制度です。税法上、限定承認による資産の移転は被相続人に対する「みなし譲渡所得課税」の対象となり、被相続人が時価で譲渡したものとみなされます。
解き方
- 限定承認の申述要件(放棄者がいる場合は残りの相続人全員で可)を確認する。
- 公告期間(5日以内、2カ月以上の請求期間)や債務弁済後の残余財産の帰属を確認する。
- 限定承認時の税制(所得税法上の時価譲渡みなし課税)を適用して適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 共同相続人のうち一部が相続放棄をした場合、その者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため、残りの共同相続人全員が共同して限定承認を申述することができます。
- 選択肢 2不正解
- 限定承認者は、限定承認をした後5日以内(財産管理人が選任された場合は選任公告後10日以内)に、すべての相続債権者および受遺者に対し2カ月以上の一定期間内に請求を申し出るべき旨を官報に公告しなければなりません。「受理された日から20日以内」ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 資産2,000万円から負債1,500万円を弁済した後に残った500万円の資産は、相続人に帰属・承継されます。負債と同額のみを承継するわけではありません。
- 選択肢 4正解
- 限定承認があった場合、税法上は被相続人から相続人へ時価で譲渡があったものとみなされて譲渡所得の課税対象となり(準確定申告で申告)、相続人の取得価額はその時価となります。
覚えるポイント
- 限定承認では被相続人にみなし譲渡所得課税が行われる(所得税法第59条)
- 相続放棄者がいても残りの相続人全員で限定承認できる
間違えやすいところ
- 限定承認による資産承継を、通常の相続と同様に被相続人の取得費の引継ぎと混同してしまうこと。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険金の相続税非課税限度額
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税 / 相続税の申告要否 / 相続放棄
被相続人が契約者および被保険者である生命保険契約に基づく死亡保険金の非課税限度額に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
死亡保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)は相続人である受取人に適用されます。この非課税規定を差し引いた後の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下であれば、相続税の申告手続き自体が不要となります。
解き方
- 死亡保険金の非課税規定の対象となる財産(前納保険料の返戻金を含む)および受取人要件(相続人であること)を確認する。
- 非課税規定適用後の申告要件(申告が必須の特例かどうか)を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 死亡保険金とともに支払われる前納保険料等の払戻金は、本来の死亡保険金と合わせて生命保険金等として取り扱われ、非課税金額の規定の対象となります。記述は適切です。
- 選択肢 2不正解
- 相続人である受取人が遺産分割等で他の財産を取得しなかった場合でも、死亡保険金を受け取っていれば非課税金額の規定が適用されます。記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 相続を放棄した者は相続人としての権利を失うため、死亡保険金を受け取っても非課税金額の控除を適用することはできません。記述は適切です。
- 選択肢 4正解
- 死亡保険金の非課税規定を適用した結果、課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額以下になる場合には、相続税の申告書を提出する必要はありません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例と異なり申告要件はありません。したがって記述は不適切です。
覚えるポイント
- 死亡保険金の非課税控除を引いて基礎控除以下なら申告不要
- 相続を放棄した者は非課税枠の適用を受けられない(ただし法定相続人の数にはカウントされる)
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例のように「適用を受けるために必ず申告書を提出しなければならない」と混同すること。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の物納
相続・事業承継 · 物納 / 物納充当順位 / 生前贈与加算財産
相続税の物納に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
相続税の物納は金銭納付や延納が困難な場合に認められます。物納適格財産には相続税の課税価格に算入された生前贈与加算財産も含まれます。充当順位は第1順位(国債・地方債・不動産・上場株式等)、第2順位(非上場株式等)、第3順位(動産)と定められています。
解き方
- 物納の要件および充当可能財産の範囲(生前贈与加算財産の取扱い)を確認する。
- 各選択肢の規定(順位、過大物納時の還付、延納から物納への変更時の特定財産の制限)を検証して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 相続開始前3年以内に贈与により取得し、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された財産は、物納に充てることができます。物納に充てることができないとする記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 物納順位は、第1順位:国債・地方債・不動産・船舶・上場株式等、第2順位:非上場株式等、第3順位:動産と規定されています。記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 分割できない等のやむを得ない理由により許可限度額を超える財産を物納した場合、収納価額が税額を上回る差額部分は金銭により還付されます。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 延納から物納への変更(変更物納)においては、小規模宅地等の特例等の適用を受けた財産は物納に充てることができないこととされています。記述は適切です。
覚えるポイント
- 相続前3年以内の生前贈与加算財産も物納に充てることができる
- 物納順位は第1順位が不動産・上場株式等、第2順位が非上場株式等、第3順位が動産
間違えやすいところ
- 贈与により取得した財産は相続開始時の財産ではないため物納できないと誤解すること。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(相続税法第41条等)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種資産の相続税評価
相続・事業承継 · 個人向け国債 / 利付公社債 / 投資証券 / 家庭用動産
個人が相続により取得した各種資産の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
相続財産の評価において、個人向け国債の中途換金は一定の中途換金調整額が差し引かれるため、評価額は「額面金額+源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額-中途換金調整額」となります。上場投資証券は上場株式と同様に4つの価額のうち最も低い価額で評価します。
解き方
- 家庭用動産、上場利付公社債、個人向け国債、上場投資証券の各評価方法を確認する。
- 個人向け国債の評価式が「中途換金調整額の控除」を含む解約返戻額ベースであることに着目し誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 家庭用動産で1個または1組の価額が5万円以下のものについては、一世帯ごとに一括して評価することができます。記述は適切です。
- 選択肢 2不正解
- 上場利付公社債の評価は、原則として課税時期の最終価格に源泉所得税等控除後の既経過利息を加算して評価します。記述は適切です。
- 選択肢 3正解
- 個人向け国債の評価は、「額面金額+源泉徴収相当額控除後の既経過利息の額-中途換金調整額」によって計算されます。発行価額ベースではありません。したがって記述は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 上場不動産投資信託(J-REIT)等の投資証券の評価は上場株式に準じ、課税時期の最終価格、その月・前月・前々月の各月平均価格のうち最も低い価額で評価します。記述は適切です。
覚えるポイント
- 個人向け国債の評価額=額面金額+既経過利息-中途換金調整額
- 上場投資証券(J-REIT等)の評価は上場株式と同様の4つの価格から最低値を選択する
間違えやすいところ
- 個人向け国債を一般の利付債と同様に額面+既経過利息だけで評価できると勘違いすること。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価(類似業種比準方式・純資産価額方式)
相続・事業承継 · 類似業種比準方式 / 類似業種の株価選択 / 弔慰金 / 土地の3年以内取得
取引相場のない株式の評価方法である類似業種比準方式および純資産価額方式に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
取引相場のない株式の評価では、類似業種比準方式における類似業種の株価は、課税時期の属する月、前月、前々月の各月平均株価、前年平均株価、および過去2年間の平均株価の計5つから最も有利なものを選択できます。
解き方
- 類似業種比準方式の選択可能株価(課税時期の月、前月、前々月、前年、2年平均)を確認する。
- 選択肢2に「課税時期の属する月以前3カ月間の各月(つまり前月・前々月・3か月前)」と誤った期間指定があることを見抜く。
- 選択肢 1不正解
- 従業員数が70人以上の会社は、他の要件(総資産価額・取引金額)にかかわらず無条件で大会社となり、大会社の斟酌率は0.7です。記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 類似業種の株価として選択できるのは、①課税時期の属する月、②前月、③前々月、④前年平均、⑤過去2年間の平均株価、の5つです。「課税時期の属する月以前3カ月間の各月(前々々月まで)」ではありません。したがって記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- みなし相続財産とならない弔慰金(非課税限度額以下の弔慰金)は、純資産価額計算上、債務控除(負債計上)することはできません。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 評価会社が課税時期前3年以内に取得した土地等については、純資産価額の計算上、路線価等ではなく課税時期における通常の取引価額(実勢価格等)によって評価します。記述は適切です。
覚えるポイント
- 類似業種の株価は「当月・前月・前々月・前年平均・2年平均」の5つから選択
- 従業員70人以上は無条件で大会社(斟酌率0.7)
間違えやすいところ
- 上場株式の評価(当月、前月、前々月)と類似業種の株価(当月、前月、前々月、前年、2年平均)を混同すること。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達180)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用要件
相続・事業承継 · 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 特定居住用宅地等 / 家なき子特例
取得者が相続によって取得した被相続人の自宅の敷地について、相続税の計算上「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(特定居住用宅地等)の適用を受けられるケースの個数として、最も適切なものはどれか。なお、取得者は国内にある家屋に居住し、記載のない要件等はすべて満たしているものとする。 【ケース1】 取得者:配偶者 ・配偶者は、相続開始直前において、被相続人と同居していなかった。 ・被相続人の自宅の家屋および敷地を、相続により取得してから6カ月後に売却した。 【ケース2】 取得者:長男 ・被相続人は、介護保険法に基づく要介護認定を受け、相続が開始する1年前から特別養護老人ホームに入所していた。 ・長男は、1年前まで被相続人の自宅の家屋で被相続人と同居しており、被相続人の入所後も引き続きその家屋に居住していた。 【ケース3】 取得者:長男 ・被相続人の配偶者は既に死亡している。 ・被相続人は、相続開始直前において、自宅の家屋で被相続人の姉と2人で暮らしていた。 ・長男は、相続開始直前において、賃貸アパートに居住しており、これまでに持家を取得したことはない。 【ケース4】 取得者:長女 ・被相続人の配偶者は既に死亡している。 ・被相続人は、相続開始直前において、自宅の家屋で1人で暮らしていた。 ・長女は、相続開始直前において、相続開始2年前に長女の配偶者が取得した家屋に居住していた。
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解答
3
解説
特定居住用宅地等の特例では、取得者が被相続人の配偶者である場合は同居要件や申告期限までの保有・居住要件が一切不要です。別居の法定相続人が取得するいわゆる「家なき子」の要件では、被相続人に配偶者および同居の「法定相続人」がおらず、取得前3年以内に自己や自己の配偶者等が所有する家屋に居住したことがないことなどが求められます。
解き方
- ケース1:取得者が配偶者の場合、別居や早期売却であっても無条件で適用対象となるため「適用可」と判定する。
- ケース2:被相続人が要介護認定等を受けて老人ホームに入所した場合、入所直前まで同居し入所後も居住を継続していた親族は同居親族として扱われるため「適用可」と判定する。
- ケース3:被相続人と同居していた姉は、第一順位の相続人である長男が存在するため「法定相続人」ではない。したがって「同居の相続人がいない」要件を満たし、持家なしの長男は家なき子として「適用可」と判定する。
- ケース4:相続開始前3年以内に自己の配偶者が取得・所有する家屋に居住しているため、税制改正後の家なき子要件を満たさず「適用不可」と判定する。
- 選択肢 1不正解
- 適用を受けられるケースはケース1、ケース2、ケース3の3つであるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 適用を受けられるケースはケース1、ケース2、ケース3の3つであるため不適切です。
- 選択肢 3正解
- ケース1、ケース2、ケース3の3つが特定居住用宅地等の適用要件を満たすため、本選択肢が正解です。
- 選択肢 4不正解
- ケース4は配偶者所有の持家に居住していたため適用を受けることができず、全4つではないため不適切です。
覚えるポイント
- 配偶者は無条件で特定居住用宅地等の適用が可能
- 家なき子特例の同居親族の有無判定における対象は「相続人」である親族に限られる
- 家なき子特例では相続開始前3年以内に配偶者や3親等内の親族等の所有する家屋に居住していた場合も除外される
間違えやすいところ
- 被相続人と同居している親族(姉など)がいると家なき子特例が一切使えないと誤認しがちだが、その同居親族が法定相続人でない場合は適用可能となる点に注意する。
- 配偶者の売却時期や別居を理由に特例が使えないと勘違いしないようにする。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の租税特別措置法第69条の4(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継税制(非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除の特例)
相続・事業承継 · 事業承継税制 / 贈与税の納税猶予 / 特例承継計画
平成30年度税制改正により創設された「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
平成30年度税制改正で時限措置として創設された事業承継税制の特例措置では、対象株式数の上限(従来の3分の2)が撤廃されて全株式(100%)が対象となり、納税猶予割合も100%に拡充されました。また、最大3人までの複数後継者への承継や代表者以外からの贈与も対象となりますが、事前の特例承継計画の提出・確認が必須とされています。
解き方
- 選択肢1の特例承継計画の提出期限(平成35年3月31日まで)と都道府県知事の認定要件が正しいことを確認する。
- 選択肢2の後継者要件を検討し、代表権は必要だが最大3人までの後継者が認められ、議決権割合も複数後継者時の要件等があるため「過半数を有する者に限られる」が誤りであることを確認する。
- 選択肢3の上限規定を検討し、従来の3分の2上限が撤廃され全株式が対象となったため誤りであることを確認する。
- 選択肢4の贈与者要件を検討し、代表権を有していた先代経営者以外の複数の株主からの贈与も特例の対象となるため誤りであることを確認する。
- 選択肢 1正解
- 本特例の適用を受けるためには、平成35年3月31日までに特例承継計画を都道府県知事に提出して確認を受け、円滑化法の認定を受ける必要があるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 本特例では複数の後継者(最大3人)への承継が可能であり、一定の議決権割合を満たす必要がありますが、単独で過半数を有する者に限られるわけではないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 特例措置では従来の3分の2の上限が撤廃され、発行済議決権株式総数のすべて(100%)が納税猶予の対象となるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 特例措置では、先代経営者である代表権を有していた者以外の複数の株主(代表権を有したことがない親族等)からの贈与による株式も対象となるため不適切です。
覚えるポイント
- 事業承継税制の特例措置では対象株式数の上限(従来の3分の2)が撤廃され全株式が対象
- 納税猶予割合が80%から100%に拡充され実質的な税負担がゼロになる
- 後継者は最大3人まで指定可能で代表者以外の株主からの贈与も特例対象となる
間違えやすいところ
- 従来(一般措置)の「3分の2上限・80%猶予」と特例措置の「全株式・100%猶予」を混同しないようにする。
- 贈与者が先代経営者1名に限られると誤認しやすいが、特例では複数株主からの贈与も認められる。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の租税特別措置法第70条の7の5(非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.29(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年9月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年9月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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