日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年1月 1級 学科(応用編)の概要
雇用保険の介護休業給付金
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 介護休業給付金 / 受給要件 / 支給日数限度
雇用保険の介護休業給付金に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を解答しなさい。 「雇用保険の一般被保険者および高年齢被保険者(以下、『被保険者』という)が、『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律』に基づいて、配偶者、父母、子等の対象家族に係る介護休業を取得し、かつ、原則として、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上ある被保険者は、雇用保険の介護休業給付金の支給対象となります。 介護休業給付金は、同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して( ① )日を限度に3回までに限り支給されます。なお、介護休業給付金は、一支給単位期間中に、公共職業安定所長が就業をしていると認める日数が( ② )日以下でなければ、その支給単位期間については支給対象となりません。 介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間当たり『休業開始時賃金日額×支給日数×( ③ )%』の算式で算出されます。休業開始時賃金日額には、上限額および下限額が設けられており、この額は毎年( ④ )月1日に改定されます。 介護休業給付金の支給申請は、原則として、介護休業終了日(介護休業期間が3カ月以上にわたるときは介護休業開始日から3カ月を経過する日)の翌日から起算して( ⑤ )カ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 93(日) ② 10(日) ③ 67(%) ④ 8(月) ⑤ 2(カ月)
解説
雇用保険の介護休業給付金は、労働者が要介護状態にある対象家族を介護するための休業を取得した際に支給され、休業中の所得を保障して仕事と介護の両立を支援する制度です。
解き方
- 介護休業給付金の通算限度日数(93日)および分割取得上限(3回)を確認する。
- 支給単位期間中の就業要件(10日以下または80時間以下)を整理する。
- 支給額の算定率(67%)、賃金日額上限等の改定基準日(毎年8月1日)、支給申請期限(翌日から2カ月を経過する日の属する月の末日)を順次適用する。
答えの内訳
- ①:93
- 介護休業給付金は、同一の対象家族について通算して93日、かつ3回を限度として支給されます。
- ②:10
- 各支給単位期間において、就業している日数が10日(10日を超える場合は就業時間数が80時間)以下である必要があります。
- ③:67
- 介護休業期間中に賃金の支払がない場合、給付金の額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で算出されます。
- ④:8
- 休業開始時賃金日額の上限額および下限額は、毎年の毎月勤労統計の平均給与額の変動に応じて毎年8月1日に改定されます。
- ⑤:2
- 支給申請手続は、介護休業終了日の翌日から起算して2カ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。
覚えるポイント
- 育児休業給付金は原則「当初180日までは67%、以降は50%」ですが、介護休業給付金は「一律67%(93日上限)」です。
間違えやすいところ
- 介護休業の日数限度(通算93日)を、育児休業給付金の1歳到達までと混同しないように注意が必要です。
- 賃金日額上限等の改定月は、雇用保険共通で「毎年8月1日」です。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(雇用保険法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の概要と給付手続
ライフプランニングと資金計画 · 公的介護保険 / 第1号被保険者 / 第2号被保険者 / 特定疾病 / 特別徴収 / 審査請求
公的介護保険に関する次の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を解答しなさい。 「介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に分けられます。介護保険料は、第1号被保険者で公的年金制度から年額( ① )万円以上の年金を受給している者については、原則として公的年金から特別徴収され、第2号被保険者については、各医療保険者が医療保険料と合算して徴収します。 保険給付は、市町村(特別区を含む)から要介護認定または要支援認定を受けた被保険者に対して行われますが、第2号被保険者に係る保険給付は、脳血管疾患などの( ② )が原因で要介護状態または要支援状態となった場合に限られます。また、介護給付の施設サービスのうち、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)を利用できる要介護被保険者は、原則として、要介護状態区分が( ③ )以上の者に限られます。 要介護認定または要支援認定の申請に対する処分は、原則として申請のあった日から( ④ )日以内に行われ、その処分に不服がある場合、被保険者は( ⑤ )に審査請求をすることができます。ただし、審査請求は、原則として、処分があったことを知った日の翌日から( ⑥ )カ月以内に行う必要があります。 介護保険の保険給付を受ける被保険者は、介護サービス(または介護予防サービス)を提供する事業者との間で契約を結び、当該事業者からサービスの提供を受け、原則として、費用(食費、居住費等を除く)の1割を事業者に支払うことになります。ただし、一定以上の所得を有する第1号被保険者の場合は( ⑦ )割負担となります」
解答・解説を表示
解答
① 18(万円) ② 特定疾病 ③ 3(以上) ④ 30(日) ⑤ 介護保険審査会 ⑥ 3(カ月) ⑦ 2(割)
解説
公的介護保険は、加齢等に伴い介護が必要となった国民に対して必要な給付を行う社会保険制度であり、被保険者の年齢層(第1号・第2号)ごとに保険料の徴収方法や受給要件が明確に区別されています。
解き方
- 第1号被保険者の保険料特別徴収の基準(受給年金額年額18万円以上)を特定する。
- 第2号被保険者の給付対象事由が16種類の「特定疾病」に限定されることを確認する。
- 介護老人福祉施設の入所要件(要介護3以上)、認定審査期間(原則30日以内)、不服申立先(都道府県の介護保険審査会)および請求期間(3カ月以内)を確認する。
- 自己負担割合の原則(1割)と一定以上所得者(2割)の規定を適用する。
答えの内訳
- ①:18
- 第1号被保険者の公的介護保険料は、受給している老齢・退職年金、遺族年金、障害年金等の年額が18万円以上である場合、原則として年金から特別徴収(天引き)されます。
- ②:特定疾病
- 40歳以上65歳未満の第2号被保険者は、加齢に伴う末期がんや脳血管疾患などの政令で定められた16種類の「特定疾病」に起因して要介護・要支援状態になった場合に限り給付を受けられます。
- ③:3
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への新規入所は、原則として要介護度3以上の要介護被保険者に限定されています。
- ④:30
- 要介護認定等の申請に対する処分は、認定審査会の判定に基づき、申請のあった日から原則30日以内に行われます。
- ⑤:介護保険審査会
- 要介護認定の処分や保険料に関する処分について不服があるときは、都道府県に設置されている「介護保険審査会」に対して審査請求を行うことができます。
- ⑥:3
- 審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3カ月以内に行う必要があります(行政不服審査法の改正による規定)。
- ⑦:2
- 介護給付の自己負担割合は原則1割ですが、合計所得金額が160万円以上等の一定制限以上の所得を有する第1号被保険者は2割負担となります(なお、2018年8月以降は3割負担も導入されましたが本基準日では2割)。
覚えるポイント
- 介護保険の審査請求先は市町村長ではなく「都道府県の介護保険審査会」である点、請求期限は「処分を知った翌日から3カ月以内」である点を正確に押さえます。
間違えやすいところ
- 年金からの特別徴収基準額(年額18万円以上)と、確定申告不要制度(給与以外の所得20万円以下等)の金額を混同しないようにしましょう。
- 審査請求の請求期間は、かつて60日以内だったものが行政不服審査法の見直しにより3カ月以内に改定されています。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(介護保険法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者が受給する遺族厚生年金の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 経過的寡婦加算 / 年金の併給調整
夫Aさん(昭和33年5月10日生まれ)が平成30年1月31日に死亡し、妻Bさん(昭和28年1月30日生まれ・65歳)が遺族厚生年金の受給権を取得した。以下の条件および計算式に基づいて、妻Bさんが受給できる遺族厚生年金について求めなさい。なお、年金額は平成29年度価額(本来水準)に基づき、円未満四捨五入とする。 〈条件〉 ・Aさんの総報酬制導入前期間:264月、平均標準報酬月額:328,000円(給付乗率:7.125/1,000) ・Aさんの総報酬制導入後期間:178月、平均標準報酬額:492,000円(給付乗率:5.481/1,000) ・妻Bさんの老齢厚生年金(本来水準):基本年金額(報酬比例部分+経過的加算)163,580円 ・妻Bさんの老齢基礎年金の額:720,853円 ・経過的寡婦加算額:77,955円 ①遺族厚生年金の基本年金額(支給停止前) ②遺族厚生年金の実支給額(支給停止後)
解答・解説を表示
解答
① 900,684円 ② 737,104円
解説
65歳以上の配偶者に支給される遺族厚生年金の年金額は、亡くなった配偶者の報酬比例部分の3/4に経過的寡婦加算を加えた額と、その2/3に自身の老齢厚生年金(報酬比例部分)の1/2を加えた額のいずれか高い方となります。さらに受給権者が自身の老齢厚生年金を受給できる場合、自身の老齢厚生年金が優先支給され、遺族厚生年金はその額相当分が支給停止されます。
解き方
- 亡くなったAさんの厚生年金被保険者期間および平均標準報酬(月)額から本来水準の報酬比例部分を求め、その3/4に経過的寡婦加算を加算して(ⅰ)の額を算出する。
- (ⅰ)の額の2/3と妻自身の老齢厚生年金の1/2を合計して(ⅱ)の額を算出し、(ⅰ)と(ⅱ)のいずれか高い方を基本年金額とする。
- 基本年金額から妻自身の老齢厚生年金の基本年金額を控除して、遺族厚生年金の実際支給額を求める。
答えの内訳
- ①:900,684(円)
- 遺族厚生年金の基本額は、死亡した夫の報酬比例部分の3/4であるため、(328,000円×7.125/1,000×264月+492,000円×5.481/1,000×178月)×3/4=822,729.04…円となり、円未満四捨五入で822,729円となる。昭和31年4月1日以前生まれの妻Bさんには経過的寡婦加算77,955円が加算されるため、(ⅰ)の額=822,729円+77,955円=900,684円となる。(ⅱ)の額=900,684円×2/3+163,580円×1/2=682,246円となり、(ⅰ)と(ⅱ)のいずれか高い方を選択するため、基本年金額は900,684円となる。
- ②:737,104(円)
- 65歳以上の配偶者が自身の老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合、自身の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金の基本年金額に相当する額が支給停止となる。したがって、実際に支給される遺族厚生年金額は、900,684円-163,580円=737,104円となる。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の基本額は被保険者の報酬比例部分の3/4で計算される。
- 65歳以上の配偶者自身の老齢厚生年金がある場合、一人一年金の原則に対する例外として先発老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金はその差額分が支給される。
間違えやすいところ
- 支給停止額として老齢厚生年金だけでなく老齢基礎年金まで差し引いてしまう誤り。
- 昭和31年4月1日以前生まれの配偶者に加算される経過的寡婦加算の加算漏れ。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(平成29年度年金額)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の内在価値の算出(配当割引モデルと定率成長モデル)
金融資産運用 · 配当割引モデル / 定率成長モデル / サスティナブル成長率 / ファンダメンタル分析
次の文章は、株式の内在価値(理論株価)の評価モデルについて説明したものである。〈X社の財務データ〉(平成29年3月期:配当金総額80,000百万円、発行済株式総数640百万株)に基づき、空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、(予想)配当金額は実績値と同額と仮定する。 「『配当割引モデル』では、株式の内在価値は、将来受け取る配当の現在価値の総和として計算されます。したがって、今後、一定の金額の配当を支払い続ける企業の株式の1株当たりの内在価値は、1株当たり(予想)配当金額を期待( ① )率で除する配当割引モデルによって算出することができます。たとえば、X社株式に対する期待( ① )率が4.00%であるとすると、平成29年3月期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は、( ② )円と計算されます。 また、長期的には配当金総額と利益総額が一致して定率の成長をするという前提のもとで株式の内在価値を求める『定率成長モデル』という考え方もあります。『定率成長モデル』では、『配当割引モデル』の算式を基に、期待成長率を加味して株式の内在価値を算出します。たとえば、X社株式に対する期待( ① )率が4.00%、期待成長率が1.50%であるとすると、平成29年3月期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は、( ③ )円と計算されます。なお、期待成長率には、ROE×(1-( ④ ))』の算式で算出されるサスティナブル成長率を代用することができます」
解答・解説を表示
解答
① 利子(率) ② 3,125(円) ③ 5,000(円) ④ 配当性向
解説
配当割引モデルは株式の内在価値を将来支払われる配当金の割引現在価値の総和として捉える評価手法です。配当が将来にわたり一定(ゼロ成長)であれば「配当÷期待利子率」となり、定率で成長し続けると仮定する定率成長モデルでは「配当÷(期待利子率-期待成長率)」として計算されます。
解き方
- 財務データから平成29年3月期の1株当たり配当金額(配当金総額÷発行済株式総数)を求める。
- 配当割引モデル(ゼロ成長)に従い、1株当たり配当金を期待利子率(4.00%)で除して内在価値を算出する。
- 定率成長モデルに従い、1株当たり配当金を(期待利子率4.00%-期待成長率1.50%)で除して内在価値を算出する。
- サスティナブル成長率の定義式「ROE×(1-配当性向)」に基づき、空欄④の用語を特定する。
答えの内訳
- ①:利子(率)
- 配当割引モデルにおいて将来の配当金を現在価値に割り引く際に用いる割引率は、期待利子率(資本コスト/要求収益率)である。
- ②:3,125(円)
- 1株当たり配当金=80,000百万円÷640百万株=125円。ゼロ成長の配当割引モデルによる理論株価=1株当たり配当金÷期待利子率=125円÷0.04=3,125円となる。
- ③:5,000(円)
- 定率成長モデル(ゴードン・モデル)による理論株価=1株当たり配当金÷(期待利子率-期待成長率)=125円÷(0.04-0.015)=125円÷0.025=5,000円となる。
- ④:配当性向
- サスティナブル成長率は、内部留保された資金の再投資による成長率を表すため、「ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)」によって算出される。
覚えるポイント
- 定率成長モデルの内在価値=D / (r - g) (D: 配当, r: 期待利子率/要求収益率, g: 成長率)。
- サスティナブル成長率=ROE × (1 - 配当性向) = ROE × 内部留保率。
間違えやすいところ
- 1株当たり配当金の計算時に、当期純利益や売上高の数値と混同してしまうこと。
- 定率成長モデルの分母で、期待利子率から期待成長率を差し引くところを加算してしまう誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ROE(自己資本当期純利益率)およびインタレスト・カバレッジ・レシオの計算
金融資産運用 · 財務諸表分析 / ROE / インタレスト・カバレッジ・レシオ
設例の〈X社の財務データ〉に基づいて、①X社の平成29年3月期の自己資本当期純利益率(ROE)と、②X社の平成29年3月期のインタレスト・カバレッジ・レシオをそれぞれ求めなさい。なお、計算過程を示し、答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで解答すること。また、自己資本当期純利益率の計算にあたっては、自己資本は平成28年3月期と平成29年3月期の平均を用いること。 〈X社の財務データ抜粋(百万円)〉 ・純資産の部合計:平成28年3月期 2,500,000、平成29年3月期 2,400,000 ・株主資本合計:平成28年3月期 2,252,000、平成29年3月期 2,147,000 ・新株予約権:平成28年3月期 3,000、平成29年3月期 3,000 ・非支配株主持分:平成28年3月期 245,000、平成29年3月期 250,000 ・営業利益:平成29年3月期 365,000 ・受取利息:平成29年3月期 5,000 ・受取配当金:平成29年3月期 1,100 ・支払利息:平成29年3月期 6,200 ・親会社株主に帰属する当期純利益:平成28年3月期 165,000、平成29年3月期 125,000
解答・解説を表示
解答
① 5.68(%) ② 59.85(倍)
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は株主資本等の自己資本に対してどれだけの純利益を生み出したかを示す指標であり、分母の自己資本には新株予約権や非支配株主持分を含めず、期首と期末の平均値を用いるのが一般的です。インタレスト・カバレッジ・レシオは借入金等の金利支払能力を測定する指標で、営業利益と金融収益(受取利息・配当金)の合計が金融費用(支払利息等)の何倍あるかを表します。
解き方
- ROEの計算に必要な自己資本を把握するため、平成28年3月期と平成29年3月期の株主資本合計(2,252,000百万円と2,147,000百万円)の平均値を算出し、当期純利益125,000百万円をその平均値で除して百分率を求め、指定の端数処理を行います。
- インタレスト・カバレッジ・レシオを求めるため、平成29年3月期の営業利益365,000百万円に受取利息5,000百万円と受取配当金1,100百万円を加算した額(分子)を、支払利息6,200百万円(分母)で除して倍率を求め、指定の端数処理を行います。
答えの内訳
- ①:5.68(%)
- 自己資本(株主資本+その他の包括利益累計額。本問では株主資本合計そのもの)の期首・期末平均は、(2,252,000百万円+2,147,000百万円)÷2=2,199,500百万円。当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は125,000百万円。したがって、自己資本当期純利益率=(125,000÷2,199,500)×100=5.6830…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して5.68%となります。
- ②:59.85(倍)
- インタレスト・カバレッジ・レシオは「(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息」で算出します。(365,000百万円+5,000百万円+1,100百万円)÷6,200百万円=371,100÷6,200=59.8548…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して59.85倍となります。
覚えるポイント
- ROEの分母となる自己資本は、純資産の部合計から新株予約権と非支配株主持分を除いた額(=株主資本+その他の包括利益累計額)です。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子は「営業利益+受取利息・受取配当金」であり、経常利益ではない点に注意が必要です。
間違えやすいところ
- ROEの計算で、株主資本合計ではなく純資産の部合計を自己資本として計算してしまう誤り。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に営業外収益全体を加えたり、分母に営業外費用全体を用いてしまう計算ミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等および財務分析指標の一般的定義に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の配当所得・譲渡所得等に係る税金
金融資産運用 · 上場株式等の配当所得 / 申告分離課税 / 配当控除 / 譲渡損失の繰越控除
上場株式の配当や譲渡に係る税金に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「上場株式から受け取る配当については、大口株主等に該当する場合を除き、原則として、その支払の際に( ① )%の税率により所得税および復興特別所得税、住民税が源泉徴収(特別徴収)され、その配当所得については、確定申告不要制度、( ② )課税、総合課税のいずれかを選択することになります。総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、( ③ )の適用を受けることができ、その配当等に所定の率を乗じて計算した金額を、納付すべき税額の計算上控除することができます。 一方、上場株式を売却した場合には、その譲渡価額から取得費および手数料等を控除して譲渡所得の金額を計算し、原則として確定申告することになります。また、上場株式を売却して譲渡損失が生じた場合は、確定申告により、その年分の他の上場株式に係る譲渡所得のほか、( ② )課税を選択した上場株式の配当等や特定公社債等の利子等と損益通算することができ、損益通算してもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年以後( ④ )年間にわたり、上場株式に係る譲渡所得等の金額から繰越控除することができます。」
解答・解説を表示
解答
① 20.315(%) ② 申告分離(課税) ③ 配当控除 ④ 3(年間)
解説
上場株式等の配当所得および譲渡所得等は原則として申告分離課税の対象ですが、源泉徴収ありの特定口座や確定申告不要制度など利便性の高い仕組みが整えられています。配当所得で総合課税を選んだ場合は配当控除により二重課税調整を受けられる一方、申告分離課税を選んだ場合は上場株式等の譲渡損失との損益通算および3年間の繰越控除の制度を活用できます。
解き方
- 上場株式の配当に対する源泉徴収税率(所得税・復興特別所得税・住民税の合算値)を確認し、20.315%を導きます。
- 配当所得の確定申告における課税方式(総合課税、申告不要制度、申告分離課税)および損益通算できる方式から「申告分離課税」を特定します。
- 総合課税の配当所得に対して税額から控除できる税額控除の名称である「配当控除」を特定します。
- 損益通算後も引き切れない上場株式等の譲渡損失を翌年以降に繰り越すことができる年数(3年間)を導きます。
答えの内訳
- ①:20.315(%)
- 上場株式等の配当に対する源泉徴収税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)、住民税5%の合計20.315%となります。
- ②:申告分離(課税)
- 上場株式等の配当所得は、確定申告不要制度のほか、総合課税または「申告分離課税」を選択できます。申告分離課税を選択した配当等は、上場株式等の譲渡損失と損益通算が可能です。
- ③:配当控除
- 総合課税を選択して確定申告をした配当所得については、法人税と所得税の二重課税を調整するための税額控除である「配当控除」の適用を受けることができます。
- ④:3(年間)
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額のうち、その年分の上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない金額は、翌年以後「3年間」にわたり繰越控除が認められています。
覚えるポイント
- 上場株式等の税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。
- 上場株式等の配当所得で申告分離課税を選択すると配当控除は受けられず、総合課税を選択すると上場株式等に係る譲渡損失との損益通算ができません。
- 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除期間は連続して確定申告書を提出することを要件として最長「3年間」です。
間違えやすいところ
- 税率の空欄で復興特別所得税(0.315%)を含め忘れ「20%」と記入してしまう誤り。
- 総合課税で適用される税額控除について、配当割額控除や所得控除などと混同してしまう誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法、租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の事業所得の金額の計算
タックスプランニング · 事業所得 / 売上原価 / 減価償却費 / 白色事業専従者控除
個人事業主Aさんの平成29年分の事業所得の金額を求めなさい。計算にあたっては、売上原価、減価償却費、白色申告の事業専従者控除額を適切に算出し、計算過程を示した上で円単位で解答しなさい。なお、棚卸資産および減価償却資産について税務署長への届出は行っておらず、事業専従者は妻Bさんのみである。
解答・解説を表示
解答
11,620,000円
解説
事業所得の金額は、総収入金額から必要経費(売上原価、減価償却費、その他の経費)を差し引き、白色申告の場合はさらに事業専従者控除額を控除して計算します。税務署に事前の届出がない場合、棚卸資産は最終仕入原価法、減価償却資産は定額法が法定の方法となります。
解き方
- 売上高から売上値引・返品高を控除して総収入金額2,750万円を算出する。
- 法定評価方法である最終仕入原価法による年末棚卸高を用いて売上原価975万円を計算する。
- 法定償却方法である定額法に基づき、4月取得(9カ月分)のパソコン4台分の減価償却費27万円を計算する。
- 総収入金額から売上原価・減価償却費・その他経費を差し引いて控除前事業所得1,248万円を求め、配偶者の白色事業専従者控除額86万円を差し引いて事業所得11,620,000円を求める。
覚えるポイント
- 評価方法や償却方法の届出がない個人事業主の法定方法は、棚卸資産が「最終仕入原価法による原価法」、減価償却資産が「定額法」となる。
- 白色申告者の事業専従者控除額は、配偶者の場合は86万円と「控除前所得÷(専従者数+1)」のいずれか低い金額となる。
間違えやすいところ
- 届出をしていない場合の減価償却方法について、法人の法定方法である定率法と混同して計算してしまう誤りに注意する。
- 期中に取得した資産の減価償却費を月割計算(4月〜12月の9カ月分)せず、年額のまま計上してしまう計算ミスが多い。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法および所得税法施行令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額、所得控除および所得税算出税額の計算
タックスプランニング · 不動産所得の損益通算 / 医療費控除 / 扶養控除 / 所得税の速算表
前問《問57》の事業所得の金額(11,620,000円)を踏まえ、Aさんの平成29年分の所得税計算における下記の表の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。 ・(a)総所得金額:( ① )円 ・医療費控除:( ② )円 ・扶養控除:( ③ )円 ・基礎控除:( ④ )円 ・(b)所得控除の額の合計額:( ⑤ )円 ・(d)算出税額((c)に対する所得税額):( ⑥ )円
解答・解説を表示
解答
① 11,320,000(円)、② 110,000(円)、③ 1,210,000(円)、④ 380,000(円)、⑤ 3,200,000(円)、⑥ 1,231,600(円)
解説
総所得金額の算定では、不動産所得の赤字のうち土地取得に要した負債の利子部分は損益通算が認められません。医療費控除では自己都合の差額ベッド料や異常なしの人間ドック費用は除外され、扶養控除では年齢区分(特定扶養親族、同居老親等)に応じた控除額を適用します。
解き方
- 不動産所得の赤字から土地取得利子30万円を除外して通算損失30万円を求め、事業所得から控除して総所得金額①を算出する。
- 控除対象となる医療費(入院実費-保険金、通院費、交通費)から10万円を引いて医療費控除額②を求める。
- 扶養控除の対象となる親族(長女63万円、同居の母58万円)を判定し合計③を算出した上で、各所得控除を合算して合計⑤を求める。
- 総所得金額から所得控除合計を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表を適用して税額⑥を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:11,320,000(円)
- 不動産所得は570万円-630万円=▲60万円の赤字ですが、土地取得に係る借入金利子30万円は損益通算の対象外となるため、通算できる損失は▲30万円です。総所得金額は事業所得1,162万円-通算損失30万円=11,320,000円となります。
- 小問 ②:110,000(円)
- 自己都合の差額ベッド代16万円および病気が発見されなかった人間ドック8万円は対象外です。妻の入院実費28万円-保険金14万円=14万円、通院費6万円、通院交通費1万円の計21万円から、足切り額10万円を引いた110,000円が控除額となります。
- 小問 ③:1,210,000(円)
- 妻Bさんは専従者控除対象のため扶養控除不可、長男Cさんは所得超過で対象外です。長女Dさん(21歳)は特定扶養親族で63万円、同居の母Eさん(78歳・年金収入70万円で所得0円)は同居老親等で58万円となり、合計1,210,000円です。
- 小問 ④:380,000(円)
- 平成29年分の所得税における基礎控除額は、一律380,000円となります。
- 小問 ⑤:3,200,000(円)
- 医療費控除11万円+社会保険料控除140万円+生命保険料控除10万円+扶養控除121万円+基礎控除38万円の合計で3,200,000円となります。
- 小問 ⑥:1,231,600(円)
- 課税総所得金額(c)は1,132万円-320万円=812万円です。速算表(695万円超〜900万円以下、税率23%・控除額63.6万円)により、812万円×23%-63.6万円=1,231,600円となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の損失がある場合、土地取得に要した負債の利子に相当する損失額は損益通算の対象から除外される。
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、同居老親等(70歳以上で納税者・配偶者の直系尊属と同居)の控除額は58万円である。
間違えやすいところ
- 白色事業専従者控除の対象となっている配偶者を重複して配偶者控除・扶養控除の対象に含めてしまうミスに注意する。
- 自己都合による差額ベッド料や、疾病が発見されなかった健康診断・人間ドックの費用を医療費控除に含めてしまう誤りが多い。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
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青色申告の事業専従者控除等および消費税の課税事業者判定
タックスプランニング · 青色事業専従者給与 / 消費税の納税義務の免除の特例 / 簡易課税制度のみなし仕入率
個人事業者の所得税の青色申告制度および消費税の取扱いに関する次の文章ⅠおよびⅡの下線部①~③の中から、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その番号と適切な内容を答えなさい。 Ⅰ〈所得税の青色申告〉 「不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う居住者は、納税地の所轄税務署長の承認を受けた場合、確定申告において青色申告書を提出することができる。その承認を受けるにあたって、①青色申告承認申請書は、原則として、青色申告の適用を受けようとする年の3月15日までに提出しなければならない。ただし、その年の1月16日以後、新たに業務を開始した場合は、その業務を開始した日から2カ月以内に提出しなければならない。 青色申告者は、あらかじめ所定の届出をすることにより、②青色事業専従者に対して支払った給与やその者が事業に従事しなくなったときの退職金について、届出した金額の範囲内で、かつ、その労務の対価として適正な金額であれば、支払った年分における事業所得等の必要経費に算入することができる。また、事業所得等の金額の計算上、青色申告特別控除を控除することができる。 さらに、青色申告者は、棚卸資産の評価方法について、あらかじめ所定の届出をすることにより、③原価法のうちいずれかの方法によって評価した価額とその年12月31日における価額とのうちいずれか低い価額をもって棚卸高とする方法を選定することができる」 Ⅱ〈消費税〉 「消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等および外国貨物の引取りであるが、これらの取引であっても、①土地の譲渡や土地・住宅の貸付け(一時的に使用させる場合等を除く)は非課税取引とされている。 個人事業者の場合、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、原則として、その課税期間の消費税の納税義務は免除される。ただし、前々年の課税売上高が1,000万円以下であっても、②前年の1月1日から6月30日までの期間における課税売上高および給与等支払額の合計額がいずれも500万円を超えていた場合は、その課税期間は消費税の課税事業者となる。 消費税の課税事業者のうち、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、課税売上高から仕入控除税額の計算を行うことができる。簡易課税制度において仕入控除税額を計算する際に用いるみなし仕入率は、事業区分ごとに定められているが、③2種類以上の事業を営む事業者で、そのうち1種類の事業の課税売上高が、全体の課税売上高の75%以上を占める場合、その事業のみなし仕入率を、他のすべての事業に対しても適用することができる」
解答・解説を表示
解答
Ⅰ 下線部②:退職金は、その労務の対価として適正な金額であるかどうかにかかわらず、事業所得等の必要経費に算入することはできない。/Ⅱ 下線部②:前年の1月1日から6月30日までの期間における課税売上高および給与等支払額の合計額のいずれも1,000万円を超えている場合は、その課税期間は消費税の課税事業者となる。
解説
所得税において青色事業専従者に認められる経費は事前の届出に基づく給与(賞与含む)に限られ、退職金は経費算入できません。また消費税の特定期間による課税事業者判定の基準額は1,000万円です。
解き方
- 文章Ⅰについて各下線部を検討する。①の青色申告承認申請書の提出期限、③の棚卸資産の低価法の選定は正しい。②の青色事業専従者への退職金は必要経費に算入できないため誤りである。
- 文章Ⅱについて各下線部を検討する。①の非課税取引、③の簡易課税制度における75%特例の規定は正しい。②の特定期間判定における基準額は「500万円」ではなく「1,000万円」であるため誤りである。
答えの内訳
- Ⅰ:下線部の番号: ② 適切な内容: 退職金は、その労務の対価として適正な金額であるかどうかにかかわらず、事業所得等の必要経費に算入することはできない。
- 所得税法上、青色事業専従者に対して適正な届出に基づき支払われた給与は必要経費に算入できますが、退職金については、適正額であっても個人の事業所得等の必要経費に算入することは認められていません。
- Ⅱ:下線部の番号: ② 適切な内容: 前年の1月1日から6月30日までの期間における課税売上高および給与等支払額の合計額のいずれも1,000万円を超えている場合は、その課税期間は消費税の課税事業者となる。
- 個人事業者の特定期間(前年1月1日~6月30日)による納税義務の判定では、判定基準となる課税売上高および給与等支払額の基準額は500万円ではなく「1,000万円」です。両方が1,000万円を超えている場合に課税事業者となります。
覚えるポイント
- 青色事業専従者給与は必要経費になるが、退職金は必要経費に算入できない。
- 消費税の特定期間における判定基準は「課税売上高」と「給与等支払額」の両方が1,000万円超であること。
間違えやすいところ
- 法人の役員退職金と混同して、個人の青色事業専従者への退職金も適正額であれば経費になると誤認しやすい。
- 消費税特定期間の判定基準額を免税点と同じ1,000万円ではなく、半年分だからと半額の500万円と誤認しやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(所得税法、消費税法)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅耐震改修・耐久性向上改修等の税額控除および居住用財産の軽減税率の特例
不動産 · 住宅特定改修特別税額控除 / 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例 / 譲渡所得の特例の要件
居住用財産の改修工事に係る税額控除および居住用財産の譲渡に係る税金の特例に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を答えなさい。 Ⅰ「自己が所有している居住用家屋について住宅耐震改修と併せて一定の耐久性向上改修工事を自己資金で行い、既存住宅の長期優良住宅の認定を受ける場合、所定の要件を満たせば、住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額および耐久性向上改修工事等の標準的な費用の額の合計額(250万円を限度。補助金等の交付を受ける場合には、その額を控除した後の金額)の( ① )%相当額を所得税額から控除することができる。 この住宅特定改修特別税額控除の適用を受けるためには、適用を受けようとする年分の合計所得金額が( ② )万円以下であり、耐久性向上改修工事等に係る標準的な費用の額が( ③ )万円を超えるものであることなどの要件を満たす必要がある」 Ⅱ「自宅の建物を取り壊し、その敷地を譲渡した場合、所定の要件を満たせば、『居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例』の適用を受けることができる。本特例の適用を受けるためには、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日においてその敷地の所有期間が( ④ )年を超えることや、その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から( ⑤ )年目の年の12月31日までに売却するなどの要件を満たす必要がある。本特例の適用を受けた場合、課税長期譲渡所得金額が( ⑥ )万円以下の部分については、所定の軽減税率が適用される。 なお、本特例は、『居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除』と重複して適用を受けることができる」
解答・解説を表示
解答
① 10(%)、② 3,000(万円)、③ 50(万円)、④ 10(年)、⑤ 3(年目)、⑥ 6,000(万円)
解説
住宅特定改修特別税額控除は投資型減税として標準工事費用の10%を控除する制度です。また、居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率の特例は所有期間10年超のマイホームを譲渡した際に課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分の税率を引き下げる特例です。
解き方
- 文章Ⅰより、住宅特定改修特別税額控除(耐久性向上改修等)の控除率(10%)、所得要件(合計所得金額3,000万円以下)、工事費用要件(標準的な費用が50万円超)をそれぞれ特定する。
- 文章Ⅱより、居住用財産の軽減税率の特例の要件である所有期間(譲渡年の1月1日時点で10年超)、売却期限(居住の用に供さなくなった日から3年目の年の12月31日まで)、軽減税率が適用される課税長期譲渡所得の上限(6,000万円)をそれぞれ特定する。
答えの内訳
- ①:10
- 住宅特定改修特別税額控除において、標準的な改修工事費用の合計額(上限250万円)の10%に相当する金額を所得税額から控除できます。
- ②:3,000
- 住宅特定改修特別税額控除の適用を受けるための所得制限は、適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下とされています。
- ③:50
- 耐久性向上改修工事等に係る標準的な費用の額が補助金等を控除した後に50万円を超えることが要件とされています。
- ④:10
- 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けるには、譲渡した年の1月1日において所有期間が10年を超えている必要があります。
- ⑤:3
- 居住用財産の譲渡の特例を受けるには、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに譲渡する必要があります。
- ⑥:6,000
- 軽減税率の特例では、課税長期譲渡所得金額の6,000万円以下の部分に対して所得税10%・住民税4%の軽減税率が適用されます。
覚えるポイント
- 軽減税率の特例の対象は所有期間「10年超」、軽減対象となる所得金額は「6,000万円以下」。
- 居住用財産の譲渡特例全般の居住要件は「住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで」。
間違えやすいところ
- 軽減税率の所有期間要件を、通常の長期譲渡所得の要件である「5年超」と混同しやすい。
- 軽減税率が適用される限度額を、居住用財産の3,000万円特別控除の金額(3,000万円)と混同して3,000万円と誤答しやすい(正解は6,000万円)。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の限度
不動産 · 建ぺい率の緩和 / 特定道路による容積率の緩和 / 指定容積率と前面道路幅員制限
甲土地(敷地面積200㎡、第一種住居地域、指定建ぺい率60%、指定容積率300%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地)に耐火建築物を建築する場合、建ぺい率の上限となる建築面積、および容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。なお、甲土地は幅員6mの市道および幅員4mの市道に接しており、幅員18mの特定道路から甲土地までの延長距離は56mである。
解答・解説を表示
解答
① 140(㎡) ② 576(㎡)
解説
建築面積の上限は「敷地面積×最高限度建ぺい率」で求められます。延べ面積の上限は、都市計画で定められた「指定容積率」と「前面道路幅員による容積率制限(特定道路の緩和加算を含む)」を比較し、小さい方の数値に敷地面積を乗じて求めます。
解き方
- 建ぺい率について、指定角地による10%の緩和を適用し、適用建ぺい率を60%+10%=70%として建築面積限度(200㎡×70%=140㎡)を算出する。
- 特定道路(幅員12m以上)から70m以内にある敷地の前面道路幅員(6m以上12m未満)に対する加算幅員「(12-Wr)×(70-L)/70」を算出し、加算後の前面道路幅員を求める。
- 加算後前面道路幅員に住居系地域の法定乗数(4/10)を乗じて道路幅員制限容積率を求め、指定容積率と比較して小さい方を敷地面積に乗じて延べ面積限度を算出する。
答えの内訳
- ①:140(㎡)
- 甲土地は準防火地域内に所在しますが、試験基準日(2017年10月1日)時点の法令では準防火地域内の耐火建築物に対する建ぺい率緩和はありません。特定行政庁が指定する角地であることによる+10%の緩和のみが適用されるため、最高限度建ぺい率は60%+10%=70%となります。したがって、建築面積の限度は200㎡×70%=140㎡です。
- ②:576(㎡)
- 甲土地の前面道路幅員は広い方の6mを採用します。特定道路(幅員18m)から甲土地までの延長距離が56m(70m以下)であるため、特定道路緩和による加算幅員を計算します。(12-6)×(70-56)/70=6×14/70=1.2m。前面道路幅員は6m+1.2m=7.2mとなります。第一種住居地域の法定乗数は4/10であるため、道路幅員制限による容積率は7.2m×4/10=288%です。指定容積率300%と比較していずれか小さい方となる288%が適用されます。したがって、延べ面積の限度は200㎡×288%=576㎡です。
覚えるポイント
- 特定道路緩和の適用要件は、特定道路の幅員が12m以上、敷地までの延長距離が70m以内、前面道路幅員が6m以上12m未満であることです。
- 特定道路緩和の計算式「(12-前面道路幅員)×(70-延長距離)/70」は頻出のため正確に把握しておく必要があります。
間違えやすいところ
- 2つの前面道路に接している場合、幅員の広い方の道路幅員を基準として特定道路の加算・容積率制限を計算する点を見落としやすいです。
- 試験基準日現在の法令において、準防火地域内の耐火建築物緩和(+10%)が施行前(2019年施行)である点に注意が必要です(本問では角地緩和のみ適用)。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令(建築基準法第52条、第53条等)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続財産の譲渡所得、取得費加算および居住用財産の特例税額計算
不動産 · 概算取得費 / 相続税の取得費加算の特例 / 居住用財産の3,000万円特別控除 / 居住用財産の軽減税率の特例
Aさんが自宅建物を取り壊して甲土地を譲渡価額5,500万円、譲渡費用540万円で譲渡した場合において、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例(取得費加算)」、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)」を適用したときの、①課税長期譲渡所得金額、②所得税および復興特別所得税の合計額、③住民税額をそれぞれ求めなさい。なお、取得費は不明とし、相続時の甲土地の相続税課税価格算入額は1,000万円、Aさんの相続税の課税価格は8,000万円、納付済相続税額は680万円である。
解答・解説を表示
解答
① 16,000,000(円) ② 1,633,600(円) ③ 640,000(円)
解説
相続により取得した土地を譲渡した場合、納付した相続税額のうち当該土地に対応する部分を取得費に加算できます。小規模宅地等の特例を受けている場合は減額後の課税価格算入額を用いて按分します。また、居住用財産の譲渡所得では3,000万円特別控除および6,000万円以下の部分に対する軽減税率(所得税10%、住民税4%)を併用できます。
解き方
- 相続税の取得費加算額を計算する。算式:納付相続税額×(譲渡資産の相続税課税価格算入額/(相続税の課税価格+債務控除額))。
- 譲渡価額の5%である概算取得費に取得費加算額を合算して総取得費を求め、譲渡価額から総取得費および譲渡費用を差し引いて控除前譲渡所得金額を算出する。
- 控除前譲渡所得金額から居住用財産の3,000万円特別控除を控除して課税長期譲渡所得金額を算出する。
- 課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下であるため、軽減税率(所得税10%、復興特別所得税基準所得税額×2.1%、住民税4%)を乗じて税額を計算する。
答えの内訳
- ①:16,000,000(円)
- 取得費加算額は「納付相続税額×譲渡資産の相続税課税価格算入額/相続税の課税価格」で計算するため、6,800,000円×(10,000,000円/80,000,000円)=850,000円です。取得費不明のため概算取得費(5,500万円×5%=2,750,000円)を用い、取得費加算額を加算した取得費は2,750,000円+850,000円=3,600,000円となります。譲渡益は55,000,000円-(3,600,000円+5,400,000円)=46,000,000円。ここから居住用財産の3,000万円特別控除を差し引き、課税長期譲渡所得金額は46,000,000円-30,000,000円=16,000,000円となります。
- ②:1,633,600(円)
- 課税長期譲渡所得金額1,600万円は6,000万円以下の部分であるため、軽減税率の特例により所得税率は10%が適用されます。所得税額は16,000,000円×10%=1,600,000円です。復興特別所得税額は所得税額の2.1%であるため、1,600,000円×2.1%=33,600円です。合計額は1,600,000円+33,600円=1,633,600円となります。
- ③:640,000(円)
- 課税長期譲渡所得金額1,600万円は6,000万円以下の部分であるため、軽減税率の特例により住民税率は4%が適用されます。住民税額は16,000,000円×4%=640,000円となります。
覚えるポイント
- 取得費加算額の計算分子には、小規模宅地等の特例適用後の課税価格算入額を用います(評価額5,000万円ではなく1,000万円)。
- 居住用財産の軽減税率の特例では、課税長期譲渡所得6,000万円以下の部分は所得税10%(+復興特別所得税0.21%)、住民税4%となります。
間違えやすいところ
- 取得費加算の按分計算において、土地の相続税評価額(5,000万円)を分子にしてしまう誤りが多いため、小規模宅地等の減額後の金額(1,000万円)を用いる点に注意が必要です。
- 復興特別所得税(所得税額×2.1%)の加算忘れや、住民税額の計算に復興特別税率を誤って適用しないように注意します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令(租税特別措置法第31条の3、第35条、第39条等)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準方式による取引相場のない株式の評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準価額 / 中会社の大
設例の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。なお、端数処理は、計算過程において1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満切り捨て、年利益金額は円未満切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。また、複数の方法がある場合は最も低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
1,734円
解説
類似業種比準方式は、類似業種の上場会社の株価を基に、評価会社と類似業種の「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の3要素の比準割合を反映して株価を算定する方式です。中会社の斟酌率は0.60を乗じます。複数の選択肢がある場合は最も低くなる有利な数値を選択します。
解き方
- 1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数を算出する(8,000万円÷50円=160万株)。
- 年配当金額、年利益金額を直前期と直前2年平均から最も低額となる方を選択して算出し、比準割合を求める。
- 類似業種の株価の選択肢(当月、前月、前々月、前年平均、2年間平均)から最も低い235円を採用する。
- 計算式に当てはめ、中会社の斟酌率0.60および1株当たりの資本金等の額(500円/50円)を乗じて1株当たりの価額を求める。
覚えるポイント
- 非経常的な特別配当・記念配当は比準要素の配当金額から除外する。
- 配当と利益は直前期実績と直前2年間の平均実績のうちいずれか有利な方を選択できる。
間違えやすいところ
- 記念配当を控除し忘れて計算してしまうミスに注意する。
- 1株当たりの資本金等の額が50円ではなく500円(8,000万円÷160,000株)であるため最後に10倍(500/50)し忘れないようにする。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額方式および併用方式による取引相場のない株式の評価
相続・事業承継 · 純資産価額方式 / 併用方式 / 中会社の大のL値
設例の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの①純資産価額と②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額をそれぞれ求めなさい。なお、端数処理は円未満を切り捨てて円単位とすること。また、複数の方法がある場合は最も低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 2,781円 ② 1,838円
解説
1株当たりの純資産価額は、課税時期における各資産・負債を相続税評価額により評価した純資産額から、帳簿価額との評価差額に対する法人税額等相当額(37%)を控除し、発行済株式数で除して計算します。また、中会社の評価は類似業種比準価額に規模に応じたL割合を乗じ、純資産価額に(1-L)を乗じて合算する併用方式を原則とします。
解き方
- 相続税評価額の純資産と帳簿価額の純資産の差額を求め、37%を乗じて評価差額に対する法人税額等相当額を算出する。
- 相続税評価額の純資産から法人税額等相当額を控除し、発行済株式総数160,000株で除して1株当たりの純資産価額を求める。
- 中会社の大におけるL値(0.90)を適用し、類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10 を計算して円未満を切り捨てる。
答えの内訳
- ①:2,781(円)
- 相続税評価額による純資産価額は83,390万円-34,750万円=48,640万円。帳簿価額による純資産価額は72,190万円-34,750万円=37,440万円。評価差額に対する法人税額等相当額は(48,640万円-37,440万円)×37%=4,144万円。1株当たりの純資産価額=(48,640万円-4,144万円)÷160,000株=2,781円。
- ②:1,838(円)
- 規模区分「中会社の大」のL割合は0.90であるため、類似業種比準価額×0.90+純資産価額×(1-0.90)=1,734円×0.90+2,781円×0.10=1,560.6円+278.1円=1,838.7円。円未満を切り捨てて1,838円となる。
覚えるポイント
- 評価差額に対する法人税額等相当額の割合は37%である。
- 中会社のL割合は、大会社寄りの「中会社の大」で0.90、「中会社の中」で0.75、「中会社の小」で0.60である。
間違えやすいところ
- 法人税額等相当額を計算する際に、負債を差し引く前の総資産の差額で計算しないように注意する(資産差額と純資産差額は同一となるが負債項目の確認が必要)。
- 中会社の大のL値を0.75や0.60と混同しないように正確に把握しておく。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自己株式の取得に係る会社法・会計・税務上の取扱い
相続・事業承継 · 自己株式の取得 / 財源規制 / 株主総会の特別決議 / みなし配当 / 相続人に対する株式の売渡請求
非上場会社であるX社による自己株式の買取り(特定の株主からの取得、会計処理、税務上の取扱い、および相続人に対する売渡請求)に関する説明文について、文中の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① 分配可能(額)、② 純資産(の部)、③ 3分の2(以上)、④ 資本金等(の額)、⑤ 配当(所得)、⑥ 1(年)
解説
非上場会社における特定の株主からの自己株式の取得は、会社法上の手続き(特別決議・財源規制)、企業会計上の表示(純資産の部の控除)、および税務上の取扱い(資本金等の額を超える部分のみなし配当課税)について総合的な理解が求められます。
解き方
- 会社法および会計上の取扱い(自己株式取得の財源規制である分配可能額、純資産の部の控除項目)を確認する。
- 株主総会における特別決議の要件(出席株主の議決権の3分の2以上)を特定する。
- 法人への株式譲渡時におけるみなし配当課税(資本金等の額を超える部分が配当所得として総合課税)のルールを適用する。
- 相続人に対する株式の売渡請求の期限(相続を知った日から1年以内)を確認する。
答えの内訳
- ①:分配可能(額)
- 会社法上、自己株式の取得は株主に対する剰余金の分配と位置づけられるため、取得価額の総額は効力発生日における「分配可能額」を超えてはならないという財源規制が課されています。
- ②:純資産(の部)
- 企業会計基準上、取得した自己株式は実質的な資本の払戻しと考えられるため、貸借対照表の資産には計上せず、「純資産の部」の末尾に株主資本の控除項目として計上します。
- ③:3分の2(以上)
- 特定の株主から自己株式を取得する場合、株主総会の特別決議が必要です。特別決議は、原則として議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の「3分の2以上」の賛成により成立します。
- ④:資本金等(の額)
- 法人が自己株式を取得した際、株主が交付を受ける金銭等の額のうち、その法人の「資本金等の額」に対応する部分を超える金額は、税務上「みなし配当」として扱われます。
- ⑤:配当(所得)
- 資本金等の額を超える交付対価は利益の分配(みなし配当)とみなされ、税務上は「配当所得」として総合課税の対象になります(資本金等の額に対応する部分は譲渡所得となります)。
- ⑥:1(年)
- 譲渡制限会社が定款の定めに従って相続人等に対して株式の売渡請求を行う場合、会社は相続等の承継があったことを知った日から「1年」以内に株主総会の特別決議により請求を行う必要があります。
覚えるポイント
- 自己株式の取得価額総額は効力発生日における分配可能額が上限であること。
- 自己株式は貸借対照表の純資産の部で控除項目として表示すること。
- 特定の株主からの自己株式取得は出席株主の議決権の3分の2以上を要する特別決議であること。
- 株式譲渡対価のうち資本金等の額を超える部分は「みなし配当」となり配当所得(総合課税)となること。
- 相続人等に対する株式の売渡請求は相続等の事実を知った日から1年以内に行うこと。
間違えやすいところ
- 株主総会の特別決議の要件を過半数と混同しやすいため、「過半数の出席かつ3分の2以上の賛成」と区別して覚える必要があります。
- みなし配当となる金額を資本金等の額ではなく「利益積立金額」と逆に混同しないよう注意が必要です。
- 相続人に対する売渡請求の期限を「相続開始日から1年」と誤認しやすいため、「相続があったことを知った日から1年」であることを確認しましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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