日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年1月 1級 学科(基礎編)の概要
短時間労働者に対する社会保険の適用要件
ライフプランニングと資金計画 · 厚生年金保険 / 健康保険 / 被保険者資格 / 短時間労働者
特定適用事業所に勤務する通常の労働者の4分の3未満の所定労働時間・所定労働日数である労働者(学生を除く)のうち、厚生年金保険および健康保険の被保険者となる短時間労働者の組み合わせとして最も適切なものを選択しなさい。 【対象者情報】 ・Aさん(55歳):週所定労働時間25時間、月額賃金15万円、雇用期間2年 ・Bさん(45歳):週所定労働時間20時間、月額賃金10万円、雇用期間1年 ・Cさん(35歳):週所定労働時間18時間、月額賃金8万円、雇用期間10カ月 ・Dさん(25歳):週所定労働時間15時間、月額賃金6万円、雇用期間6カ月
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解答
2
解説
特定適用事業所(被保険者数が一定規模以上の事業所)に勤務する短時間労働者は、通常の労働者の所定労働時間・日数の4分の3未満であっても、「週所定労働時間20時間以上」「月額賃金8.8万円以上」「1年以上の雇用見込み(法改正前基準)」「学生でないこと」の4要件を全て満たすことで健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
解き方
- 特定適用事業所の短時間労働者に適用される4要件(週20時間以上、月額8.8万円以上、雇用見込み1年以上、学生除外)を確認する。
- A~Dさんの労働条件を順次判定し、全要件を満たす者を特定する。
- 選択肢 1不正解
- Bさんも週20時間以上、月額8.8万円以上、雇用期間1年以上の全要件を満たしているため、Aさんのみとする選択肢は不適切です。
- 選択肢 2正解
- Aさんは週25時間・月額15万円・2年、Bさんは週20時間・月額10万円・1年であり、いずれもすべての要件を充足するため適用対象となります。
- 選択肢 3不正解
- Cさんは週所定労働時間が18時間、月額賃金が8万円、雇用期間10カ月といずれの要件も満たしていないため非該当です。
- 選択肢 4不正解
- CさんおよびDさんは週所定労働時間20時間以上などの基準を満たさないため被保険者とはなりません。
覚えるポイント
- 特定適用事業所における短時間労働者の要件(週20時間、月額8.8万円、見込み期間、学生除外)を正確に押さえましょう。
間違えやすいところ
- 月額賃金8.8万円基準(年収約106万円相当)と税法上の103万円・配偶者控除等を混同しないように注意しましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の厚生年金保険法・健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働者災害補償保険の給付制度
ライフプランニングと資金計画 · 労災保険 / 療養給付 / 休業給付 / 傷病補償年金 / 遺族補償年金
労働者災害補償保険の保険給付に関する記述のうち、最も不適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
2
解説
労働者災害補償保険において、業務災害の場合は事業主に労働基準法上の無過失責任があるため、休業の最初の3日間(待期期間)は事業主が平均賃金の60%以上の休業補償を行わなければなりません。しかし、通勤災害については事業主に労働基準法上の補償義務がなく、最初の3日間についての事業主補償義務は生じません。
解き方
- 各選択肢の労災保険給付(療養の費用、休業給付待期期間、傷病補償年金移行、遺族補償年金の転給)の要件を確認する。
- 業務災害と通勤災害における事業主の労働基準法上の補償責任の違いを比較検討する。
- 選択肢 1不正解
- 指定医療機関外で療養を受けた場合は「療養の費用」の現金給付請求を行うことで実費相当の全額支給を受けられます。
- 選択肢 2正解
- 通勤災害では事業主に労働基準法上の補償義務が存在しないため、初日から3日目について事業主が休業補償を行う義務はありません。
- 選択肢 3不正解
- 療養開始後1年6カ月経過時に傷病が治っておらず等級に該当する場合は傷病補償年金に切り替わり、休業補償給付は打ち切られます。
- 選択肢 4不正解
- 遺族補償年金には転給制度が認められており、先順位の受給権者が死亡等で失権した場合は次順位者が繰り上がって受給できます。
覚えるポイント
- 業務災害の待期3日間は事業主の休業補償義務あり、通勤災害の待期3日間は義務なしという差異を覚えましょう。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金には転給制度がありませんが、労災保険の遺族補償年金には転給制度がある点を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の労働基準法および労働者災害補償保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の遺族給付
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 遺族基礎年金 / 受給資格期間 / 年金の併給調整
公的年金制度の遺族給付に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
1
解説
中高齢寡婦加算は、夫の死亡当時に「子のない40歳以上65歳未満の妻」または「遺族基礎年金を受けていた子が18歳到達年度末等になり遺族基礎年金が失権した40歳以上65歳未満の妻」に対して、遺族厚生年金に加算されます。被保険者死亡(短期要件)の場合は被保険者期間が20年以上である必要はありません。
解き方
- 選択肢1の夫死亡時の妻の要件(40歳以上65歳未満、子なし、短期要件)を確認し、中高齢寡婦加算の支給対象かを判定する。
- 選択肢2~4の各要件(夫の受給年齢要件、障害基礎年金と遺族厚生年金の併給関係、受給権者死亡による長期要件の期間要件25年)を精査する。
- 選択肢 1正解
- 被保険者である夫が死亡した時点で40歳以上65歳未満であり、生計を同じくする子がいない妻であるため、中高齢寡婦加算の支給対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 妻死亡時に50歳の夫は、遺族基礎年金は受給できますが、遺族厚生年金は妻死亡時に「55歳以上」であることが要件(支給は原則60歳から)となるため受給できません。
- 選択肢 3不正解
- 障害基礎年金と遺族厚生年金は併給が認められているため、どちらか一方を選択する必要はなく両方を受給できます。
- 選択肢 4不正解
- 老齢厚生年金の受給権者等の死亡(長期要件)による遺族厚生年金は、保険料納付済期間等を通算して「25年以上」あることが必要です(老齢年金の受給資格期間10年短縮後も長期要件は25年のまま維持)。
覚えるポイント
- 中高齢寡婦加算の短期要件死亡では夫の加入月数20年未満でも加算可能ですが、夫が受給権者として死亡する長期要件では25年要件が必要です。
間違えやすいところ
- 受給資格期間が10年に短縮されたのは「老齢年金の受給資格期間」であり、遺族年金等の長期要件は「25年」のままである点に注意が必要です。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の国民年金法・厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
厚生年金保険の離婚時年金分割制度
ライフプランニングと資金計画 · 離婚時年金分割 / 合意分割 / 3号分割 / 受給資格期間
厚生年金保険法における離婚時の年金分割(合意分割および3号分割)に関する記述のうち、最も不適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
3
解説
離婚時の年金分割制度(合意分割・3号分割)は、婚姻期間中の厚生年金保険の標準報酬月額・標準賞与額の記録を按分して年金額を再計算する制度です。分割によって相手方の被保険者期間そのものが自身の受給資格期間(年金を受け取るための10年等の資格期間)に換算・合算されるわけではありません。
解き方
- 合意分割の上限割合(50%)および3号分割の対象期間(2008年4月以降の3号被保険者期間)の規定を確認する。
- 年金分割の対象が標準報酬記録に限定され、受給資格期間には影響を与えない(合算されない)ルールを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 合意分割の按分割合の上限は双方の標準報酬総額の合計の2分の1(50%)と定められています。
- 選択肢 2不正解
- 3号分割は、2008年(平成20年)4月1日以後の特定被扶養配偶者(第3号被保険者)であった期間の相手方記録を2分の1ずつ分割する制度です。
- 選択肢 3正解
- 分割されるのは報酬記録(標準報酬改定)のみであり、相手方から分割を受けた期間が自己の年金の受給資格期間として算入されることはありません。
- 選択肢 4不正解
- 合意分割・3号分割の請求期限は、原則として離婚が成立した日の翌日から起算して2年以内とされています。
覚えるポイント
- 年金分割で分割されるのは「年金額計算の基礎となる標準報酬」であり、「受給資格期間の月数」ではないことを覚えましょう。
間違えやすいところ
- 分割請求の請求期限が離婚等の翌日から「2年以内」であることを「3年」「5年」と誤認しないようにしましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金基金の仕組みと加入要件
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 加入資格 / 資格喪失 / 給付の種類
国民年金基金に関する記述のうち、最も適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
2
解説
国民年金基金は国民年金第1号被保険者の上乗せ年金制度であり、国民年金保険料を満額納付していることが前提です。そのため、保険料の免除(一部免除を含む)を受けた場合は加入資格を失います。また、地域型と職能型の重複加入はできず、給付は老齢年金と遺族一時金のみで障害に対する給付はありません。
解き方
- 国民年金基金の重複加入制限(地域型と職能型の併用不可)を確認する。
- 保険料免除時における加入員資格の喪失規定を確認する。
- 給付の種類(老齢・遺族のみ、障害給付なし)および老齢基礎年金の繰上げ請求と基金給付(繰上げ不可、65歳支給開始)の独立性を精査する。
- 選択肢 1不正解
- 地域型国民年金基金と職能型国民年金基金に同時に重複して加入することは認められていません。
- 選択肢 2正解
- 国民年金の保険料免除(法定免除・申請免除・一部免除など)を受けた場合、免除された月の初日に加入員資格を喪失します。
- 選択肢 3不正解
- 国民年金基金には障害に対する独自の年金や一時金の給付制度は設けられていません。
- 選択肢 4不正解
- 国民年金基金の年金は老齢基礎年金の繰上げ受給に伴って繰り上げることはできず、原則として65歳(型によっては60歳)から支給されます。
覚えるポイント
- 国民年金基金の給付は「老齢年金」と「遺族一時金」の2種類のみで、障害給付はありません。
間違えやすいところ
- 国民年金保険料の「一部免除」であっても国民年金基金の加入資格を喪失する点を見落としやすいので注意しましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の国民年金法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種係数を用いた資金取崩し計算
ライフプランニングと資金計画 · 6つの係数 / 複利運用 / 年金取崩し / 終価係数 / 年金終価係数
3,000万円を年3%で複利運用しながら20年間、毎年120万円ずつ取り崩した場合、20年後に残っている金額として最も適切なものを選択しなさい。なお、取崩しは年1回とし、所定の係数を使用の上、万円未満を四捨五入すること。 〈期間20年の各種係数(年利3%)〉 ・終価係数:1.8061 ・年金終価係数:26.8704 ・資本回収係数:0.0672
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解答
3
解説
当初元本を運用しながら一定額を取り崩す場合の将来残高は、「当初資金が運用によって将来いくらになるか(終価係数)」から「毎年の取崩額が複利運用されずに累積・複利換算された場合に相当する将来価値の合計(年金終価係数)」を差し引くことで計算できます。
解き方
- 当初元金3,000万円が年3%で20年間運用された場合の将来価値を終価係数で算出する:3,000万円 × 1.8061 = 5,418.3万円。
- 毎年120万円ずつ取り崩した分の20年時点の総額を年金終価係数で算出する:120万円 × 26.8704 = 3,224.448万円。
- 運用後元金から取崩累計将来価値を減算する:5,418.3万円 - 3,224.448万円 = 2,193.852万円。
- 万円未満を四捨五入して2,193万円を導く。
- 選択肢 1不正解
- 計算手順が誤っており、適切な将来残額ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 計算手順が誤っており、適切な将来残額ではありません。
- 選択肢 3正解
- 3,000万円×1.8061-120万円×26.8704=5,418.3万円-3,224.448万円=2,193.852万円となり、万円未満四捨五入で2,193万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 単純な元本引き算等による誤った計算結果です。
覚えるポイント
- 取崩し運用の残債・残高計算は、「元本の終価」から「毎年の年金額の年金終価」を差し引くアプローチで解けます。
間違えやすいところ
- 資本回収係数を使って取り崩し可能額を求める公式と混同して、残額計算の手順を見誤らないようにしましょう。
出題の前提:ファイナンシャル・プランニングにおける6つの係数の計算基準
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
すまい給付金の給付要件と給付額算定
不動産 · すまい給付金 / 住宅取得支援 / 給付基礎額 / 現金取得者要件
平成29年度中に取得・引渡しを受ける住宅を対象とした「すまい給付金」に関する記述のうち、最も不適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
4
解説
すまい給付金は消費税率引上げに伴う住宅取得の負担軽減措置です。消費税率8%適用時(平成26年4月~令和元年9月)における給付基礎額は最大30万円(所得割額に応じて10万円・20万円・30万円)と定められていました。消費税率10%引き上げ後に最大50万円へ拡充されました。
解き方
- 設問の適用年度(平成29年度=消費税率8%時)における制度内容を確認する。
- 消費税率8%時の給付基礎額の上限が30万円である点に注目し、最大50万円とする記述の正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 住宅ローンを利用しない現金取得者の場合、引渡し年の12月31日時点で年齢が50歳以上である必要があります。
- 選択肢 2不正解
- すまい給付金は消費税負担を軽減する制度であるため、個人間売買の非課税中古住宅は対象外となり、宅建業者が売主で消費税が課される中古住宅に限られます。
- 選択肢 3不正解
- 給付額は「給付基礎額×登記上の持分割合」で算出され、共同保有の場合は各自が個別に申請書類を提出します。
- 選択肢 4正解
- 平成29年度(消費税率8%適用時)のすまい給付金の給付基礎額の上限は「30万円」であり、50万円ではありません。
覚えるポイント
- 消費税率8%時のすまい給付金の上限は30万円、10%時は50万円という税率ごとの差を整理しましょう。
間違えやすいところ
- 消費税率10%時の給付基準(最大50万円)を過去年度(消費税率8%)の問題に当てはめてしまわないように注意が必要です。
出題の前提:2017年10月1日現在施行のすまい給付金実施要領(消費税率8%時)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
高年齢者雇用安定法の雇用確保措置
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢者雇用安定法 / 高年齢者雇用確保措置 / 継続雇用制度 / 希望者全員雇用
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律に関する記述のうち、最も不適切なものを1つ選択しなさい。
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解答
2
解説
高年齢者雇用安定法では、65歳未満の定年を定めている事業主に「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの義務を課しています。継続雇用制度は原則として希望者全員を対象とする必要があり、労使協定による対象者選定基準の経過措置は改正前からの継続企業にのみ認められ、新たに導入する企業には認められません。
解き方
- 高年齢者雇用確保措置の3つの選択肢(定年引上げ、継続雇用、定年廃止)を確認する。
- 継続雇用制度における対象者選定基準の廃止と、経過措置の適用対象(法改正前に既に協定を締結していた企業のみ)を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 65歳未満定年企業は、定年の引上げ・継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければなりません。
- 選択肢 2正解
- 対象者を限定する基準の経過措置が認められるのは「改正法施行日(平成25年4月1日)前に労使協定により基準を定めていた事業主」のみであり、新たに継続雇用制度を導入する事業主が基準を定めることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 継続雇用制度には自社での再雇用だけでなく、子会社や関連会社等の特殊関係事業主において引き続いて雇用を確保するグループ内雇用も含まれます。
- 選択肢 4不正解
- 高年齢者雇用確保措置の義務違反に対して勧告が行われ、これに従わないときは厚生労働大臣が企業名を公表することができます。
覚えるポイント
- 継続雇用制度の対象者限定基準は平成25年改正で廃止され、経過措置も「改正前に既に定めていた企業」限定です。
間違えやすいところ
- 特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に合わせた経過措置が、すべての企業や新規導入企業にも適用できると誤解しないようにしましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の高年齢者等の雇用の安定等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約者保護機構の補償内容と仕組み
リスク管理 · 生命保険契約者保護機構 / セーフティネット / 高予定利率契約
生命保険契約者保護機構に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
生命保険契約者保護機構は、国内で営業する生命保険会社が破綻した際に契約者を保護する機関です。破綻時点の責任準備金等の原則90%までが補償されますが、高予定利率契約については補償率が引き下げられる仕組みが設けられています。
解き方
- 少額短期保険業者や特定保険契約等の保護機構の適用範囲を確認する。
- 高予定利率契約の要件(一律5%ではなく基準利率を超えるか否か)および責任準備金の補償率の算定ルールを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 少額短期保険業者は保険業法上の登録業者ですが、生命保険契約者保護機構の会員ではないため補償の対象外となります。
- 選択肢 2不正解
- 最低保証のない変額保険等の運用実績連動型保険契約の特別勘定部分については、保護機構による補償対象外(特別勘定資産の残高に応じて返還)とされています。
- 選択肢 3正解
- 高予定利率契約とは、過去5年間で常に「基準利率」を超えていた契約を指し、予定利率5%固定で定義されるものではありません。
- 選択肢 4不正解
- 時限措置として、会員からの拠出金で資金援助が不足する事態に備え、政府補助金を交付できる特例措置が延長されて規定されています。
覚えるポイント
- 生命保険契約者保護機構の原則補償限度は責任準備金等の90%であること
- 少額短期保険業者や共済は機構の対象外であること
間違えやすいところ
- 高予定利率契約の判定基準を固定の5%と誤認しないこと
- 変額年金等の一般勘定部分と特別勘定部分(最低保証の有無)の扱いの差異
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険法の基本規定(適用範囲・告知義務・消滅時効・解除権)
リスク管理 · 保険法 / 告知義務 / 消滅時効 / 重大事由解除
保険法に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 保険法は、保険契約と同等の内容を有する共済契約についても適用対象となる。 (b) 保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して保険者に対して申告しなければならないとされている。 (c) 保険金受取人が保険金を請求する権利および保険契約者が保険料の返還を請求する権利は、時効により5年で消滅するとされている。 (d) 保険金受取人は、保険契約者と信頼関係が損なわれるような重大な事由が生じた場合や親族関係が終了した場合に、保険契約者に対し、その保険契約を解除することを請求することができるとされている。
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解答
1
解説
保険法は保険契約全般および性質上類似する共済契約に適用されます。告知義務については従来の自発的申告義務から保険者の求めた事項に答える質問応答義務へと変更されており、給付金請求権等の消滅時効は3年と定められています。
解き方
- (a)〜(d)の各記述について保険法の規定と照らし合わせて正誤を判定する。
- 適切な記述の個数を集計して正解の選択肢を選択する。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため正解となります。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は1つのため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は1つのため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 記述(a)が適切であるため、なし(0個)とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 保険法は一定の共済にも適用される
- 告知義務は質問応答義務である
- 保険金請求権・保険料返還請求権の消滅時効は3年である
間違えやすいところ
- 保険金請求権等の消滅時効を商法・民法の5年や10年と混同しやすい点
- 被保険者による解除請求権を受取人の権利と取り違える点
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除の計算(新旧契約の併用)
リスク管理 · 生命保険料控除 / 新契約と旧契約の併用 / 個人年金保険料控除
会社員のAさんが平成29年中に払い込んだ生命保険の保険料が下記のとおりである場合、Aさんの平成29年分の所得税の計算における生命保険料控除の最大控除額として、最も適切なものはどれか。なお、いずれの契約も変更等は行われておらず、所定の要件を満たしているものとする。 ・終身保険:平成26年4月1日契約、年間保険料12万円 ・個人年金保険(旧契約):平成23年4月1日契約、年間保険料12万円 ・個人年金保険(新契約):平成28年4月1日契約、年間保険料12万円
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解答
2
解説
所得税の生命保険料控除では、平成24年1月1日以後に締結した新契約と、平成23年12月31日以前に締結した旧契約で控除限度額の計算が異なります。同一区分に新旧契約が両方ある場合、旧契約のみ(上限5万円)、新契約のみ(上限4万円)、新旧合算(上限4万円)のいずれか有利な額を選択できます。
解き方
- 終身保険は平成26年契約の新契約(一般生命保険料)であり、年間保険料が8万円超のため控除額は上限の4万円となる。
- 個人年金保険は旧契約(平成23年契約、払込12万円)と新契約(平成28年契約、払込12万円)がある。旧契約のみを選択した場合は上限5万円、新契約のみまたは合算を選択した場合は上限4万円となるため、旧契約のみを選択して5万円を適用する。
- 一般生命保険料控除4万円+個人年金保険料控除5万円=9万円(全体の限度額12万円の範囲内)を算定する。
- 選択肢 1不正解
- 新契約のみをそれぞれ適用した場合(4万円+4万円=8万円)の金額であり、旧契約の単独適用を考慮していないため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 新一般生命保険料控除4万円と旧個人年金保険料控除5万円の合計9万円が最大控除額となります。
- 選択肢 3不正解
- 計算結果と一致しないため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 介護医療保険料控除がないため全体の最高限度額12万円には達せず誤りです。
覚えるポイント
- 旧契約の各控除枠の上限は最高5万円
- 新契約の各控除枠の上限は最高4万円
- 新旧併用時は旧契約のみを選択して5万円とするのが有利になる場合がある
間違えやすいところ
- 新旧両方ある場合に必ず合算して上限4万円にしてしまう誤り
- 全体の最高限度額(12万円)を一律に適用してしまう誤り
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する逓増定期保険の解約時の経理処理
リスク管理 · 法人保険 / 逓増定期保険 / 経理処理 / 解約返戻金
X社は、代表取締役社長Aさん(加入時60歳)を被保険者とする以下の逓増定期保険を平成29年中に解約し、解約返戻金4,400万円を受領した。解約時の仕訳として最も適切なものはどれか。なお、解約前に年払保険料480万円を10年分(総額4,800万円)支払っている。 契約日:平成19年8月1日、保険期間・払込期間:75歳満了、死亡保険金受取人:X社
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人が受領した生命保険の解約返戻金は、資産計上されている前払保険料等の簿価を取り崩し、受領額との差額を雑収入(または雑損失)として計上します。支払時に全額損金処理されていた保険契約の場合は、解約返戻金の全額が雑収入となります。
解き方
- 平成19年(2007年)8月契約における税務通達の取扱いを確認する(加入時60歳、75歳満了でピーク返戻率等の資産計上要件を満たさず全額損金処理されていた契約)。
- 資産計上額がゼロであるため、解約返戻金4,400万円の全額を貸方の雑収入に計上する。
- 選択肢 1正解
- 過去の保険料が全額損金算入されていたため、資産計上された前払保険料は存在せず、受取額4,400万円全額を雑収入に計上します。
- 選択肢 2不正解
- 前払保険料が計上されていないため、2,400万円を取り崩す本仕訳は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 前払保険料が計上されていないため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 前払保険料が計上されていないため誤りです。
覚えるポイント
- 解約返戻金受領時の仕訳は「受取額 - 資産計上簿価 = 雑収入(または雑損失)」
- 全額損金タイプの保険の解約返戻金は全額が雑収入となる
間違えやすいところ
- 加入期間や返戻率から単純に1/2資産計上などと早合点して前払保険料を取り崩してしまう誤り
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級別割引・割増制度
リスク管理 · ノンフリート等級制度 / 事故有係数 / 中断証明書 / ノーカウント事故
任意の自動車保険(保険期間1年)のノンフリート等級別割引・割増制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
ノンフリート等級別割引・割増制度は1等級から20等級まで区分されています。飛び石による窓ガラス破損などは「1等級ダウン事故」となり、同じ等級でも無事故と事故有で割引率が異なる「事故有係数」が適用されます。廃車等の事由で保険を中断する際は中断証明書により等級の維持が可能です。
解き方
- 等級の区分(1〜20等級)を確認し、選択肢1の誤りを判定する。
- 飛び石事故の取扱い(1等級ダウン事故)を確認し、選択肢2の誤りを判定する。
- 事故有係数と無事故係数の差異を確認し、選択肢3の誤りを判定する。
- 中断証明書の効力(他社への引継ぎ、有効期間)を確認し、選択肢4が適切であると判断する。
- 選択肢 1不正解
- ノンフリート等級制度は1等級から20等級までの20区分であり、25等級ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 飛び石による窓ガラス破損事故は「1等級ダウン事故」に該当し、更新後は11等級(事故有)となります(ノーカウント事故ではありません)。
- 選択肢 3不正解
- 同じ7等級であっても、無事故で進展した「無事故」係数と、事故によって下がった「事故有」係数では割引率が異なります。
- 選択肢 4正解
- 中断証明書の発行を受けることで、有効期間内(原則10年)であれば他の損害保険会社へも中断前の等級を承継できます。
覚えるポイント
- 等級制度は全20等級
- 飛び石や盗難等は1等級ダウン事故
- 同じ等級でも事故有係数と無事故係数で割引率が異なる
- 中断証明書の有効期間は原則10年
間違えやすいところ
- 飛び石被害をかつての「等級すえおき事故」と混同するミス(制度改定により1等級ダウン事故へ移行)
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業活動に関わる各種賠償責任保険の補償対象
リスク管理 · 生産物賠償責任保険 / 請負業者賠償責任保険 / 受託者賠償責任保険 / 施設所有管理者賠償責任保険
各種賠償責任保険の一般的な補償内容に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約の付帯はないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
損害賠償責任保険は事故の発生原因や時期に応じて種別が分かれます。生産物賠償責任保険は「引き渡した生産物」または「完了した業務の結果」に起因する事故を対象とし、施工中・業務遂行中の事故は「請負業者賠償責任保険」で担保されます。
解き方
- 工事施工中の工具落下事故がどの保険の対象となるか(請負業者賠償責任保険)を照合する。
- 受託物、施設外業務遂行(自転車配達)、管理下の受託自動車損壊の各事例と保険種目を比較検証する。
- 選択肢 1正解
- 取付け工事中の事故は「請負業者賠償責任保険」の対象であり、引渡し後の欠陥等による事故を対象とする生産物賠償責任保険の補償対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 顧客から預かった手荷物が盗難等で滅失・毀損したことによる賠償責任は、受託者賠償責任保険の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 自転車等による業務遂行中の対人事故(施設外での業務遂行に起因する事故)は、施設所有(管理)者賠償責任保険の補償対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 整備のために顧客から預かった自動車が工場内の火災で損傷した場合の賠償責任は、自動車管理者賠償責任保険の対象となります。
覚えるポイント
- 業務施工中の事故は請負業者賠償責任保険
- 引渡し後・工事完了後の事故は生産物賠償責任保険(PL保険)
- 自転車での配達業務は施設所有(管理)者賠償責任保険の対象
間違えやすいところ
- 工事中・作業中の事故と引き渡し完了後の事故(PL事故)の区分を誤る点
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険料控除の対象要件と控除額の算定ルール
リスク管理 · 地震保険料控除 / 保険事故による失効 / 店舗併用住宅 / 長期契約の保険料一括払
地震保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
地震保険料控除の対象となるのは、納税者本人または生計を一にする親族が常時居住する家屋や生活用動産を対象とする地震保険です。年の中途で失効しても支払保険料は控除対象となり、長期一括払保険料は年数で按分した額が各年の対象となります。
解き方
- 建物の用途(自己居住用か賃貸用か)による控除適格性を判定する(賃貸用は対象外)。
- 全損等による年の中途での契約失効時の支払保険料の控除可否を確認する(控除対象となる)。
- 店舗併用住宅の居住用割合要件(90%以上で全額対象)を確認する。
- 長期一括払の按分ルール(支払年に一括控除ではなく年数で除した金額)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 賃貸マンション等の賃貸用物件は事業用資産であるため、支払った地震保険料は必要経費にはなりますが、所得控除としての地震保険料控除の対象にはなりません。
- 選択肢 2正解
- 全損によって契約が失効した場合であっても、その年中に実際に支払った地震保険料は地震保険料控除の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 店舗併用住宅で支払保険料の全額を控除対象とできるのは、居住用割合が「90%以上」の場合です(80%ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 長期契約の保険料を一括で支払った場合は、一括払保険料を保険期間の年数で除した金額が各年分の控除対象となります。
覚えるポイント
- 地震保険料控除は居住用建物・生活用動産が対象(賃貸用は対象外)
- 店舗併用住宅は居住部分が90%以上で全額対象
- 一括払保険料は総年数で除して毎年の控除額を算出
間違えやすいところ
- 店舗併用住宅の全額控除基準割合を「80%以上」や「50%以上」と誤認しやすい点
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国内主要経済指標の定義と特徴
金融資産運用 · 経済指標 / 消費者物価指数 / 企業物価指数 / GDPとGNI / 日銀短観
わが国の経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
マクロ経済の動向を把握する指標には、物価動向を示す消費者物価指数(総務省)や企業物価指数(日銀)、経済規模を示すGDP・GNI(内閣府)、企業マインドを示す日銀短観などがあります。各指標の公表主体と分類構成を正確に把握することが重要です。
解き方
- 企業物価指数の基本指数の3構成(「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」)を確認する。
- 選択肢2に「生産者物価指数」という誤った用語が使われている点を見抜く。
- 選択肢 1不正解
- 消費者物価指数は、世帯が購入する各種財・サービスの価格変動を測定する指標として適切です。
- 選択肢 2正解
- 企業物価指数の基本分類は「国内企業物価指数」「輸出物価指数」「輸入物価指数」であり、生産者物価指数ではありません。
- 選択肢 3不正解
- GDP(国内総生産)は国内で生み出された付加価値の合計、GNI(国民総所得)は国内外から得た所得の合計を表します。
- 選択肢 4不正解
- 日銀短観では、DIなどの判断項目、計数項目のほか、企業の物価見通しも調査項目に含まれています。
覚えるポイント
- 企業物価指数=国内企業物価指数+輸出物価指数+輸入物価指数
- GDPは国内概念、GNP・GNIは国民概念
間違えやすいところ
- 海外の指標である生産者物価指数(PPI)と日本の企業物価指数(CGPI)の構成名称を混同する点
出題の前提:2017年10月1日施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種信託商品の一般的な特徴
金融資産運用設計 · 信託商品 / 暦年贈与信託 / 教育資金贈与信託 / 特定贈与信託 / 後見制度支援信託
各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
信託を活用した財産管理・承継商品は、信託法および租税特別措置法等の各優遇税制に基づき、委託者・受益者の資格要件、対象財産、非課税限度額が厳格に定められています。
解き方
- 各信託商品における贈与の都度の意思確認の要否や税法上の要件を確認する。
- 特定贈与信託の非課税限度額および教育資金贈与信託の委託者要件の誤りを排除し、後見制度支援信託の適格性を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 暦年贈与信託は、定期贈与とみなされないよう、信託期間中の毎年の贈与ごとに贈与契約書を交わすなど意思確認を行って送金を実行します。初回設定時に一度確認するだけで自動送金される仕組みではありません。
- 選択肢 2不正解
- 教育資金贈与信託の委託者は受益者の直系尊属(父母、祖父母等)であることが要件ですが、委託者の年齢に60歳以上などの年齢要件は設けられていません。
- 選択肢 3不正解
- 特定贈与信託における贈与税の非課税限度額は、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円です。
- 選択肢 4正解
- 後見制度支援信託は、被後見人の金銭のうち日常的な支払いに使用しない部分を信託銀行等に信託して保護する制度であり、信託財産は金銭に限定されています。
覚えるポイント
- 特定贈与信託の非課税枠は特別障害者が6,000万円、一般の特定障害者が3,000万円です。
間違えやすいところ
- 教育資金贈与信託の委託者要件に年齢制限はありません(受贈者が30歳未満です)。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ETFおよびETNの特徴
金融資産運用設計 · ETF / ETN / 信用取引 / 信用リスク
ETF(上場投資信託)およびETN(上場投資証券)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
ETFは裏付け資産を保有する投資信託が上場したものであり、ETNは裏付け資産を持たず発行体の信用力で指数連動を保証する上場債券です。いずれも株式同様に指値・成行注文や信用取引が可能です。
解き方
- ETFとETNの上場商品としての取引形態(現物取引・信用取引)を確認する。
- ETN特有の法的性質(債券)および発行体の信用リスク(倒産リスク)に関する記述を検証する。
- 選択肢 1不正解
- ETFは金融商品取引所に上場しているため、取引所の立会時間中において成行注文や指値注文によってリアルタイムで売買できます。
- 選択肢 2正解
- ETFは現物取引だけでなく、制度信用取引や一般信用取引を利用した売買(信用買い・信用売り)も行うことができます。
- 選択肢 3不正解
- ETNは裏付けとなる実物資産を保有せず、発行体である金融機関の信用力に基づいて特定の指標(株価指数や商品価格等)への連動を保証する証券(債券)です。
- 選択肢 4不正解
- ETNは発行体の信用力に依拠する債券であるため、裏付け資産による分別管理がなく、発行金融機関の破綻や信用悪化時には価格下落やデフォルトとなるリスクがあります。
覚えるポイント
- ETF・ETNは取引所に上場しており、株式と同様に信用取引を行うことができます。
間違えやすいところ
- ETNはETFと異なり裏付け現物資産がないため、発行体の倒産リスクを直接受ける点に注意します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
割引債券の複利単価と固定利付債券の単利最終利回り
金融資産運用設計 · 債券価格計算 / 割引債券 / 複利利回り / 固定利付債券 / 最終利回り
以下の表に記載されている割引債券の1年複利計算による単価(空欄①)と固定利付債券の単利計算による最終利回り(空欄②)の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〔条件〕 ・割引債券:償還価格100.00円、表面利率なし、最終利回り0.20%、残存期間4年 ・固定利付債券:単価102.40円、償還価格100.00円、表面利率1.00%、残存期間6年
解答・解説を表示
解答
1
解説
割引債券の1年複利単価は「償還価格 ÷ (1 + 利回り)^残存年数」で計算し、固定利付債券の単利最終利回りは「[表面利率 + (償還価格 - 購入単価) ÷ 残存年数] ÷ 購入単価 × 100」で計算します。
解き方
- 割引債券の単価を計算:100 ÷ (1.002)^4 = 100 ÷ 1.008024… = 99.2039… 円 → 小数点以下第3位を四捨五入して99.20円。
- 固定利付債券の最終利回りを計算:[1.00 + (100.00 - 102.40) ÷ 6] ÷ 102.40 × 100 = [1.00 - 0.40] ÷ 102.40 × 100 = 0.60 ÷ 102.40 × 100 = 0.5859…% → 小数点以下第3位を四捨五入して0.59%。
- 選択肢 1正解
- ①が99.20円、②が0.59%であり、計算結果と完全に一致するため適切です。
- 選択肢 2不正解
- ①は99.20円で合っていますが、②の1.37%は償還差損を差引ではなく加算して誤った計算を行った結果です。
- 選択肢 3不正解
- ②は0.59%で合っていますが、①の99.60円は4年分ではなく1年分のみ割り引いた誤算です。
- 選択肢 4不正解
- ①の99.60円および②の1.37%の双方が誤った数値となっています。
覚えるポイント
- 単利最終利回りは年換算の利息と償還差損益の合計を購入価格で除して求めます。
間違えやすいところ
- 債券が額面100円超(オーバーパー)のときは償還時に差損が出るため、利回り計算でマイナスになります。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の信用取引のルール
金融資産運用設計 · 制度信用取引 / 一般信用取引 / 代用有価証券 / 品貸料(逆日歩) / 委託保証金率
株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
制度信用取引は取引所が定めた一律の規則(返済期限6カ月、貸借銘柄での逆日歩発生等)に基づき行われ、一般信用取引は顧客と証券会社間の契約に基づき行われるため逆日歩は発生しません。
解き方
- 制度信用取引と一般信用取引の対象銘柄の選定基準および逆日歩の有無を比較する。
- 代用有価証券の適格性(非上場株式の可否)および委託保証金率に基づく建玉可能額の計算を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 制度信用取引の対象銘柄は取引所が選定する制度信用銘柄に限られ、上場している全銘柄が対象となるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 委託保証金の代用有価証券として認められているのは、上場株式、国債、地方債など換金性の高い有価証券であり、非上場株式は代用有価証券として認められません。
- 選択肢 3正解
- 制度信用取引の貸借取引では株不足が生じた際に逆日歩(品貸料)が発生しますが、証券会社自身が株を調達する一般信用取引では逆日歩は発生しません。
- 選択肢 4不正解
- 委託保証金率30%の場合、50万円の保証金で新規建て可能な約定金額の限度額は、50万円 ÷ 30% ≒ 166万6,666円までです。150万円までではありません。
覚えるポイント
- 一般信用取引では証券会社が独自に株を手配するため逆日歩は発生しません。
間違えやすいところ
- 委託保証金率30%のとき、保証金50万円に対する上限は「50万÷0.3=約166万円」であり、「50万×3倍=150万」と単純計算しないよう注意します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オプション取引のプレミアム変動要因
金融資産運用設計 · オプション取引 / プレミアム / 権利行使価格 / ボラティリティ / 残存期間
一般的なオプション取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
コール・オプションは「買う権利」、プット・オプションは「売る権利」です。原資産価格、権利行使価格、残存期間、ボラティリティ、金利などの変動要因が本源的価値および時間価値に与える影響によってプレミアムが決定されます。
解き方
- 権利行使価格の変動がコールとプットの内在的価値に与える効果を分析する。
- 権利行使価格が低いほど割安に買えるためコールの価値が上がり、売却可能価格が下がるためプットの価値が下がる関係を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 原資産価格の上昇は、買う権利であるコール・オプションの価値を高め、売る権利であるプット・オプションの価値を低下させます。
- 選択肢 2正解
- 権利行使価格が低いほど、より安く買える権利となるためコール・オプションのプレミアムは高くなり、より安くしか売れない権利となるためプット・オプションのプレミアムは低くなります。
- 選択肢 3不正解
- 満期までの残存期間が長いほど有利な価格変動が生じる可能性(時間価値)が大きくなるため、コール、プットともにプレミアムは高くなります。
- 選択肢 4不正解
- ボラティリティ(価格変動性)が低下すると、将来大きな利益を得られる確率が低下するため、コール、プットともにプレミアムは低くなります。
覚えるポイント
- 権利行使価格が低いほど「安く買えるコールは高価」「安くしか売れないプットは安価」になります。
間違えやすいところ
- コールとプットで権利行使価格の高低によるプレミアムの増減方向が正反対になる点を取り違えやすいです。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
つみたてNISAの制度概要
金融資産運用設計 · つみたてNISA / 非課税投資枠 / 投資対象商品 / 損益通算
非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(つみたてNISA)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度であり、年間40万円・非課税期間20年で運用されます。ロールオーバーは不可であり、損失はないものとみなされます。
解き方
- つみたてNISAの対象商品(公募株式投資信託・指定ETFに限定されJ-REIT単体等は除外)を確認する。
- 投資枠・購入要件、非課税期間終了時のロールオーバー不可規定、譲渡損失の損益通算不可規定を検証する。
- 選択肢 1不正解
- 対象となる金融商品は、手数料水準や運用実績等の法令要件を満たす公募株式投資信託および上場株式投資信託(ETF)に限定されており、単体のJ-REITは対象外です。
- 選択肢 2正解
- つみたてNISAの年間投資限度額は40万円であり、買付方法は累積投資契約に基づく定期的かつ継続的な方法(積立買付け)に限定されています。
- 選択肢 3不正解
- つみたてNISAの非課税期間は最長20年ですが、非課税期間終了後に翌年の非課税枠へ移管して保有を継続するロールオーバーは認められていません(課税口座へ移管または売却となります)。
- 選択肢 4不正解
- つみたてNISA口座で生じた譲渡損失は税務上ないものとみなされるため、特定口座や一般口座の上場株式等の譲渡益・配当金との損益通算はできず、繰越控除もできません。
覚えるポイント
- つみたてNISAはロールオーバー不可、年間40万円、最長20年間です。
間違えやすいところ
- 一般NISAではロールオーバーが可能ですが、つみたてNISAではロールオーバーができない点に注意します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融商品取引に係るセーフティネット
金融資産運用設計 · 預金保険制度 / 日本投資者保護基金 / 農水産業協同組合貯金保険制度 / 相殺
金融商品取引に係るセーフティネットに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
預金等の保護は預金保険制度等、証券会社破綻時の資産返還不能は投資者保護基金が担っていますが、銀行などの登録金融機関窓口で購入した投資信託等は投資者保護基金の保護対象外です。
解き方
- 預金保険制度および農水産業協同組合貯金保険制度の保護対象範囲と相殺規定を確認する。
- 投資者保護基金の対象金融機関(証券会社限定で登録金融機関である銀行は対象外)を確認し、誤りを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 預金保険制度の対象は国内に本店を置く金融機関の国内店舗に預け入れた預金等に限られ、邦銀の海外支店や外国銀行の在日支店は保護対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 破綻金融機関に対して借入金がある預金者は、特約等で相殺が禁止されている場合を除き、自己の預金と借入金を相殺して預金回収を図ることができます。
- 選択肢 3不正解
- 農水産業協同組合貯金保険制度において、「決済サービスを提供できること」「受取人がいつでも払戻しを請求できること」「利息が付かないこと」の3要件を満たす決済用貯金は全額保護されます。
- 選択肢 4正解
- 投資者保護基金の補償対象は第一種金融商品取引業者である証券会社に限られます。銀行などの登録金融機関で取り扱う投資信託は投資者保護基金の保護対象ではありません。
覚えるポイント
- 銀行等の登録金融機関で預け入れた投資信託は投資者保護基金の補償対象外です。
間違えやすいところ
- 銀行で購入した投資信託でも投資者保護基金で保護されると誤解しやすいので注意します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
インサイダー取引規制の適用範囲
金融資産運用設計 · インサイダー取引規制 / 会社関係者 / ストックオプション / 無償取引
金融商品取引法に規定されるインサイダー取引規制に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 上場会社の職員が退職し、会社関係者でなくなったとしても、会社関係者でなくなってから1年以内の者は、会社関係者と同様にインサイダー取引規制の対象とされる。 (b) インサイダー取引規制の対象となる行為は、上場株式等の売買その他有償の譲渡もしくは譲受けなどであり、無償で行われる贈与や相続による上場株式の取得はインサイダー取引規制の対象とはならない。 (c) 上場会社の職員が、ストックオプションとして付与された新株予約権を行使して当該上場会社の株式を取得することや、その取得後に当該株式を売却することは、原則として、インサイダー取引規制の適用除外とされている。 (d) 上場会社の未公表の重要事実を知って当該上場会社の株式を買い付け、公表後に売却したものの、利益が数万円程度の少額である場合や損失が生じた場合には、インサイダー取引規制違反となることはない。
解答・解説を表示
解答
2
解説
インサイダー取引規制は上場会社の未公表の重要事実を知った会社関係者(退職後1年以内の元関係者含む)による売買等の有償取引を禁止しており、損益の発生状況は違反の成否に影響しません。
解き方
- (a)の退職後1年以内の元関係者が規制対象となる点、(b)の無償取引(贈与・相続)が対象外となる点を判定する。
- (c)のストックオプション行使後の売却行為の規制可否、(d)の損益発生の有無と規制違反の成立関係を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(b)の2つあるため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 記述(a)と(b)が適切であり、適切なものは2つであるため正解です。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は2つであるため、3つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が2つ存在するため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 元会社関係者は退職後1年以内も規制対象となり、無償の相続・贈与は対象外です。
間違えやすいところ
- インサイダー取引は利益が出なかった場合や損をした場合でも未公表の重要事実を知って売買すれば違反が成立します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の範囲と計算
タックスプランニング · 不動産所得の範囲 / 青色事業専従者給与 / 青色申告特別控除
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産所得とは、土地や建物などの不動産、不動産の上に存する権利等の貸付けから生じる所得を指します。貸付けが事業的規模であるか否かによって、青色事業専従者給与の適用可否や青色申告特別控除の限度額などの取扱いに違いが生じます。
解き方
- 各選択肢における取引内容が不動産所得に該当するか確認する。
- 事業的規模の有無による青色事業専従者給与および青色申告特別控除の取扱いを適用して正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- 看板や広告塔の設置のために土地や家屋の屋上・側壁などを利用させることによる所得は、不動産の貸付けによる対価であるため不動産所得に該当します。
- 選択肢 2不正解
- 下宿のように部屋の提供とともに食事を供する場合の所得は、単なる不動産の貸付けではなくサービスの提供を伴うため、事業所得または雑所得に該当します。
- 選択肢 3不正解
- 不動産所得において青色事業専従者給与を必要経費に算入するためには、不動産の貸付けが社会通念上事業と称するに至る程度の規模(いわゆる5棟10室基準などの事業的規模)で行われている必要があります。
- 選択肢 4不正解
- 不動産の貸付けが事業的規模に満たない場合であっても、青色申告者であれば最高10万円の青色申告特別控除の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 広告用スペースの提供は不動産所得に該当する
- 青色事業専従者給与の適用には事業的規模が必要である
- 業務的規模でも10万円の青色申告特別控除は受けられる
間違えやすいところ
- 食事付きの下宿業を不動産所得と誤認しやすい
- 事業的規模でないと青色申告特別控除が一切受けられないと混同しやすい
出題の前提:所得税法第26条、第57条、所得税法施行令第96条
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
譲渡所得における取得費の計算
タックスプランニング · 取得費 / 概算取得費 / 相続財産の譲渡特例
不動産を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算における取得費に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) Aさんは、平成20年4月に父親の相続により土地(取得費は不明)を取得し、相続登記関係費用として30万円を支払った。その後、当該土地を平成29年4月に5,000万円で譲渡した。この場合、譲渡所得の金額の計算上、取得費は、概算取得費の250万円に相続登記関係費用の30万円を加算した280万円とすることができる。 (b) Bさんは、昭和30年4月に自宅建物の所有を目的として借地権を設定し、地主に権利金等の一時金を支払うことなく、地代のみを支払っていた。その後、当該借地権を平成29年4月に2,000万円で譲渡した。この場合、借地権設定時に設定の対価を支払っていないため、譲渡所得の金額の計算上、概算取得費控除の適用は受けられない。 (c) Cさんは、平成28年4月に父親の相続により複数の土地を取得し、そのうちの一部の土地を平成29年4月に3,000万円で譲渡した。この場合、「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」の適用を受けることにより、譲渡所得の金額の計算上、Cさんが納付した相続税額のうち、Cさんが相続により取得したすべての土地に対応する額を取得費に加算することができる。
解答・解説を表示
解答
4
解説
譲渡所得の取得費は実額取得費または概算取得費(譲渡収入金額の5%)のいずれか有利な方を選択できます。概算取得費を選択した場合は実際の支出額を加算することはできず、また権利金を支払っていない借地権であっても概算取得費の適用は可能です。相続税の取得費加算特例では譲渡した資産に対応する相続税額のみを加算します。
解き方
- 記述(a)について、概算取得費に実費を加算できるかを検証する。
- 記述(b)について、対価を支払っていない借地権の譲渡に概算取得費が適用できるかを検証する。
- 記述(c)について、相続税の取得費加算の特例で加算できる範囲を検証する。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述が1つだけ存在するという判断は誤りです(適切なものは0個です)。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述が2つ存在するという判断は誤りです(すべての記述が不適切です)。
- 選択肢 3不正解
- 記述が3つすべて適切であるとする判断は誤りです。
- 選択肢 4正解
- (a)概算取得費に相続登記費用を加算することは認められず、(b)対価を支払っていない借地権でも概算取得費の適用は可能であり、(c)取得費加算できるのは譲渡した土地に対応する相続税額のみであるため、3つとも不適切で正解は0個です。
覚えるポイント
- 概算取得費に登記費用などの実費を加算することはできない
- 取得費がゼロや不明の場合でも概算取得費(5%)は適用可能
- 取得費加算特例で加算できるのは「譲渡した資産」に対応する税額のみ
間違えやすいところ
- 概算取得費に実費を加算できると誤認しやすい
- 平成27年以降の取得費加算特例ですべての土地の税額を加算できると誤認しやすい
出題の前提:租税特別措置法第31条の4、第39条、所得税法第38条
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
損益通算後の所得金額の計算
タックスプランニング · 損益通算 / 不動産所得の損失 / 土地取得借入金利子 / 退職所得との通算
居住者であるAさんの平成29年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の損益通算後の所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 ・給与所得:収入金額180万円、給与所得控除額72万円 ・退職所得:収入金額1,800万円、退職所得控除額1,500万円(勤続年数30年) ・不動産所得:総収入金額200万円、必要経費350万円(土地取得に要した負債の利子20万円を含む) ・一時所得:総収入金額290万円、収入を得るために支出した金額300万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産所得の赤字のうち、土地の取得に要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外です。また、一時所得の赤字は他と通算できません。経常所得(給与所得)から不動産所得の通算対象赤字を控除し、なお控除しきれない損失があるときは退職所得等の分離課税の所得金額からも控除します。
解き方
- 各種所得の金額を算出する。給与所得:180万円 - 72万円 = 108万円。退職所得:(1,800万円 - 1,500万円) × 1/2 = 150万円。一時所得:290万円 - 300万円 = ▲10万円(損失のため通算不可、0円)。
- 不動産所得の通算対象赤字を算出する。200万円 - 350万円 = ▲150万円のうち、土地取得負債利子20万円を除外するため、通算可能損失は130万円。
- 損益通算を行う。給与所得108万円 - 通算可能損失130万円 = ▲22万円(控除しきれない損失)。これを退職所得150万円から控除し、150万円 - 22万円 = 128万円。
- 選択肢 1不正解
- 退職所得を含めずに給与所得の金額のみを計上しているため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 土地取得負債利子の取扱いや退職所得との通算計算に誤りがあります。
- 選択肢 3正解
- 給与所得108万円と通算可能な不動産所得の赤字130万円を通算し、引ききれない赤字22万円を退職所得150万円から控除すると128万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 一時所得の赤字を通算してしまっているか、控除額の計算が誤っています。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち土地取得負債利子分は通算不可
- 一時所得の損失は損益通算できない
- 総所得グループで控除しきれない不動産の損失は退職所得からも控除できる
間違えやすいところ
- 退職所得は分離課税だから損益通算されないと思い込んでしまうこと
- 一時所得の損失を他の所得から差し引いてしまうこと
出題の前提:所得税法第69条、租税特別措置法第41条の4
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除の取扱い
タックスプランニング · 医療費控除 / 通院交通費 / 保険金等の補填 / 生計を一にする親族
居住者に係る所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
医療費控除は、自己または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った一定の医療費について受けられます。受取保険金等による補填額は、給付の対象となった個々の医療費の金額を限度として控除します。
解き方
- 対象となる医薬品の範囲(市販薬の可否)を確認する。
- 通院費用の対象範囲(自家用車関連費用の可否)を確認する。
- 生計を一にする親族の所得要件(所得制限の有無)を確認する。
- 保険金等で補填される金額の差引ルール(目的別控除限度)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 治療や療養に必要な医薬品であれば、医師の処方箋や指示がなくても薬局等で購入した市販のかぜ薬等の購入費は医療費控除の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 通院費用として控除対象となるのは電車やバスなどの公共交通機関の運賃が原則であり、自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車場代は対象外です。
- 選択肢 3不正解
- 医療費控除の対象となる家族は「生計を一にしている親族」であればよく、配偶者の所得金額の多寡や青色事業専従者であるか否かは問われません。
- 選択肢 4正解
- 医療費を補填する保険金等は目的となった医療費ごとに差し引くため、受け取った保険金額がその病気・ケガで支払った医療費を超えても、他の医療費から差し引く必要はありません。
覚えるポイント
- 治療目的の市販薬購入費は処方箋不要で医療費控除対象
- 自家用車のガソリン代や駐車場代は控除対象外
- 補填される保険金は対象の医療費ごとに差し引き、他へは波及しない
間違えやすいところ
- 配偶者控除のような38万円(当時)の所得制限が医療費控除の対象親族にもあると誤解しやすい
- 余った入院給付金を他の医療費の支払額から引いてしまうミス
出題の前提:所得税法第73条、所得税基本通達73-3、73-8
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ふるさと納税ワンストップ特例制度
タックスプランニング · ふるさと納税 / ワンストップ特例制度 / 申請手続 / 住民税控除
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
ふるさと納税ワンストップ特例制度は、確定申告を行う必要のない給与所得者等が、年間の寄附先自治体数が5団体以内である場合に確定申告なしで寄附金控除を受けられる仕組みです。この特例では所得税の還付は行われず、所得税控除相当額を含めて翌年度の住民税から全額が減額控除されます。
解き方
- 適用対象となる自治体数・金額の制限要件を検討する。
- 確定申告不要な給与所得者の要件(住宅ローン控除を年末調整で受けている場合)を検討する。
- 特例申請書の提出単位(寄附ごと)を確認する。
- 税額控除の仕組み(所得税還付か住民税控除か)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 本制度には年間の寄附金額に対する上限設定はなく、寄附先自治体の数が「5団体以内」であることが要件となります。
- 選択肢 2不正解
- 住宅借入金等特別控除を年末調整で受けており、他に確定申告を行う義務のない給与所得者であれば、本制度の適用を受けることができます。
- 選択肢 3正解
- 本制度を利用する場合、寄附を行うごとに寄附先自治体に対して「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を提出する必要があります(同一自治体に複数回寄附した場合も都度提出が必要)。
- 選択肢 4不正解
- 本制度の適用を受けた場合、所得税からの還付は行われず、所得税軽減相当額を含めた全額が翌年度の住民税から減額控除(申告特例控除)されます。
覚えるポイント
- ワンストップ特例は寄附先が5自治体以内で利用可能
- 寄附ごとに特例申請書を提出する必要がある
- ワンストップ特例では全額が翌年度の住民税から控除される
間違えやすいところ
- 寄附金上限額が特例の要件であると誤認しやすい
- 所得税から還付金が振り込まれると誤解しやすい
出題の前提:地方税法附則第7条、第7条の2
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得拡大促進税制の適用要件と計算
タックスプランニング · 所得拡大促進税制 / 中小企業者等の特例 / 基準雇用者給与等支給額
「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(所得拡大促進税制)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、適用を受けようとする法人は中小企業者等であるものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
所得拡大促進税制は、給与等支給額を一定以上増加させた企業に対し、法人税額の特別控除を認める制度です。設立間もない法人で基準事業年度がない場合、最も古い事業年度の給与支給額の70%相当額を基準雇用者給与等支給額とするみなし規定が置かれています。
解き方
- 離職要件の有無(旧雇用促進税制との相違)を確認する。
- 設立法人における基準雇用者給与等支給額の特例計算式(最も古い事業年度の支給額の70%)を確認する。
- 中小企業者等の平均給与要件(前年度比の増加率)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 事業主都合による離職者がいないことは雇用促進税制の要件であり、所得拡大促進税制における要件ではありません。
- 選択肢 2正解
- 設立後に基準事業年度がない法人については、最も古い事業年度における国内雇用者への給与等支給額の70%相当額を基準雇用者給与等支給額とみなす特例があります。
- 選択肢 3不正解
- 中小企業者等の基本要件としては、平均給与等支給額が前事業年度以上(継続雇用者要件ではなく前年度比1%以上など)の規定となっており、一律に2%以上増加が必須要件ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 税額控除限度額は原則として増加額の10%(上乗せ時で22%等)であり、控除税額は法人税額の20%が上限とされている規定と混同しています。
覚えるポイント
- 基準事業年度のない新設法人の基準給与支給額は最古事業年度の70%
- 所得拡大促進税制に事業主都合の離職者ゼロ要件はない
間違えやすいところ
- 雇用促進税制にあった離職者要件を所得拡大促進税制のものと混同しやすい
- 税額控除率の割合と法人税額に対する控除限度割合(20%)を取り違えやすい
出題の前提:租税特別措置法第42条の12の5、租税特別措置法施行令第27条の12の5
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における減価償却費の計算と取扱い
タックスプランニング · 減価償却 / 損金経理要件 / 少額減価償却資産 / 資本的支出と修繕費
法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法人の減価償却費の損金算入には損金経理が原則として必要です。また、通常の維持管理や原状回復のための支出は修繕費としてその事業年度に損金算入され、資産価値を高めたり使用可能期間を延長したりする支出のみが資本的支出として資産計上・減価償却の対象となります。
解き方
- 損金経理要件の基本原則を確認する。
- 建物・建物附属設備・構築物の法定償却方法(定額法限定)を確認する。
- 少額減価償却資産の即時損金算入(青色申告不要)を確認する。
- 資本的支出と修繕費の判定基準および会計処理を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 法人税法上、減価償却費を損金算入するためには、決算確定において損金経理(費用または損失として経理)していることが要件です。
- 選択肢 2不正解
- 平成10年4月1日以後に取得した建物、および平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備と構築物は、定額法のみが適用可能であり、定率法を選択することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 取得価額10万円未満または使用可能期間1年未満の少額減価償却資産は、青色申告法人でなくても損金経理により全額損金算入(少額の減価償却資産の損金算入)が認められています。
- 選択肢 4正解
- 固定資産の通常の維持管理や原状回復のための支出は「修繕費」に該当し、支出した事業年度に一括して損金の額に算入するため、減価償却により複数年で費用化する記述は不適切です。
覚えるポイント
- 建物附属設備・構築物(平成28年4月1日以後取得)は定額法のみ
- 通常の維持管理や原状回復は修繕費として支出時に全額損金算入
- 10万円未満の少額資産の即時損金算入は白色申告法人でも可能
間違えやすいところ
- 維持管理の費用であっても効果が1年以上に及べば減価償却資産になると誤認しやすい
- 中小企業者等の30万円未満の特例(青色申告限定)と10万円未満の規定(全法人対象)を混同しやすい
出題の前提:法人税法第31条、法人税法施行令第48条の2、法人税基本通達7-8-1
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告法人の欠損金の繰越控除と繰戻し還付
タックスプランニング · 欠損金の繰越控除 / 損金算入の順序 / 中小法人等の特例 / 繰戻し還付
青色申告法人の欠損金の繰越控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金は、一定期間繰り越して各事業年度の所得から控除できます。複数の繰越欠損金がある場合は古いものから順に充当され、資本金1億円以下の中小法人等については控除限度額(所得の一定割合)の制限を受けず所得の100%まで控除が可能です。
解き方
- 欠損金の繰越期間(平成29年4月1日開始事業年度における期間)を確認する。
- 複数事業年度にわたる欠損金の充当順序(先入先出法)を確認する。
- 中小法人における控除限度額(100%控除可)を確認する。
- 繰戻し還付で控除しきれなかった残額の繰越可否を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 平成29年4月1日に開始する事業年度に生じた欠損金の繰越期間は9年間です(10年間に延長されたのは平成30年4月1日以後に開始する事業年度から)。
- 選択肢 2正解
- 2以上の事業年度で生じた繰越欠損金があるときは、最も古い事業年度において生じた欠損金額から順次損金に算入します。
- 選択肢 3不正解
- 資本金1億円以下の中小法人等(大正法人の完全子会社等を除く)については、繰越控除前の所得金額の100%まで欠損金の控除が可能です(控除限度割合の制限は大法人に適用されます)。
- 選択肢 4不正解
- 欠損金の繰戻し還付を受けた場合でも、前事業年度の所得から控除しきれなかった残余の欠損金額は、翌事業年度以後に繰り越して控除することができます。
覚えるポイント
- 繰越欠損金は最も古い事業年度のものから順次控除する
- 中小法人は所得の100%まで繰越控除可能(制限なし)
- 繰戻し還付で引ききれなかった欠損金は翌期以降に繰り越せる
間違えやすいところ
- 繰越期間10年への延長適用開始時期(平成30年4月1日以後開始事業年度)を誤認しやすい
- 大法人に課される控除制限(当時50%など)が中小法人にも適用されると混同しやすい
出題の前提:法人税法第57条、第80条
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員と法人間の取引に伴う課税関係
タックスプランニング · 役員社宅 / 低額譲渡 / 無利息貸借 / 借地権認定課税
株式会社(X社)とその役員間における取引に係る法人税法および所得税法の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人と役員間の取引は経済的合理性に基づき客観的に判定され、適正な価額や所定の基準から乖離した利益供与がある場合には給与やみなし譲渡、受贈益としての税務調整が生じます。
解き方
- 社宅の貸与における賃貸料相当額と役員負担額の差額の税務上の性質を確認する。
- 個人役員から法人への低額譲渡、無利息融資、土地賃貸借の課税関係をそれぞれ判定する。
- 選択肢 1正解
- 役員社宅の貸与において、税法上の所定の算式により求めた賃貸料相当額より低い家賃で貸し付けた場合、その差額は役員に対する経済的利益として給与所得の収入金額に算入されます。
- 選択肢 2不正解
- 役員が時価の2分の1未満で法人に資産を譲渡した場合はみなし譲渡所得課税の対象となり、時価により譲渡があったものとして譲渡所得が計算されます。差額が給与所得になるわけではありません。
- 選択肢 3不正解
- 法人が役員から無利息で金銭を借り入れた場合、個人である役員側に認定利息等の課税は発生せず、雑所得として課税されることはありません。
- 選択肢 4不正解
- 役員の土地を法人が建物所有目的で無償または無権利金で賃借する場合、無償返還届出書を提出すれば受贈益認定はされません。また、役員側に受取対価のない借地権設定で譲渡所得が課税されることもありません。
覚えるポイント
- 役員社宅の差額は役員への経済的利益(給与所得課税)となる。
- 役員から法人への1/2未満の低額譲渡はみなし譲渡所得課税が適用される。
間違えやすいところ
- 役員から法人への無利息融資で個人役員側に認定利息課税が生じると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法および法人税法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
筆界特定制度の概要と手続
不動産 · 筆界特定制度 / 所有権界 / 共同申請の要否 / 筆界特定書
不動産登記法に規定される筆界特定制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
筆界特定制度は、登記された公法上の境界(筆界)の現地における位置を筆界特定登記官が特定する行政手続であり、私法上の所有権の帰属範囲そのものを確定・変更する制度ではありません。
解き方
- 公法上の筆界と私法上の所有権界の違い、および当事者合意による処分の可否を整理する。
- 筆界特定の申請要件(単独申請の可否)および特定後の筆界特定書の交付請求権者を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 筆界特定は公法上の境界である筆界の位置を特定する制度であり、民事上の所有権境界を確定させる効力はありません(所有権界の確定には境界確定訴訟等が必要です)。
- 選択肢 2不正解
- 筆界は公法上の境界であるため、所有者同士の合意や公正証書などの私的契約によって変更することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 筆界特定の申請は、対象となる土地の所有権の登記名義人等であれば単独で行うことができ、隣接地所有者の承諾や共同申請は不要です。
- 選択肢 4正解
- 筆界特定書の写しの交付は、不動産登記法第149条の規定により利害関係人に限られず、何人でも管轄登記所に請求することができます。
覚えるポイント
- 筆界特定は公法上の境界を特定する手続で、所有権界を画定するものではない。
- 筆界特定書の写しは何人でも交付請求が可能である。
間違えやすいところ
- 筆界の特定申請に隣地所有者との合意や共同申請が必要であると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の不動産登記法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における媒介契約
不動産 · 専任媒介契約 / 指定流通機構登録期限 / 報告義務 / 34条の2書面
宅地建物取引業法における媒介契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地建物取引業法では媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)に応じ、有効期間の上限、指定流通機構への登録義務期間、業務処理状況の報告頻度などが厳格に規定されています。
解き方
- 専任媒介契約と専属専任媒介契約における指定流通機構の登録日数を比較する。
- 専任媒介は休業日を除き7日以内、専属専任媒介は休業日を除き5日以内であるルールを適用する。
- 選択肢 1不正解
- 宅建業法第34条の2の規定により、媒介契約を締結したときは遅滞なく所定事項を記載した書面を作成し、宅建業者が記名押印して依頼者に交付しなければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 専任媒介契約の有効期間は最長3カ月であり、依頼者の申出によって更新する場合の期間も更新時から最長3カ月となります。
- 選択肢 3正解
- 専任媒介契約における指定流通機構への登録期限は、契約締結の日から休業日を除いて7日以内です。5日以内とされているのは専属専任媒介契約です。
- 選択肢 4不正解
- 専属専任媒介契約を締結した業者は、依頼者に対し1週間に1回以上、業務の処理状況を報告しなければなりません(専任媒介契約は2週間に1回以上)。
覚えるポイント
- 指定流通機構登録:専任媒介は7日以内、専属専任媒介は5日以内(いずれも休業日を除く)。
- 処理状況の報告:専任媒介は2週間に1回以上、専属専任媒介は1週間に1回以上。
間違えやすいところ
- 専任媒介と専属専任媒介の登録日数(7日と5日)を取り違えやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における定期建物賃貸借契約
不動産 · 定期借家契約 / 契約方式 / 事前説明 / 中途解約権 / 造作買取請求権
借地借家法における建物賃貸借契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
定期建物賃貸借(借地借家法第38条)は、公正証書等の書面によって更新がない旨を定め、あらかじめ独立した別書面を交付して説明することで成立し、公正証書作成そのものが必須要件ではありません。
解き方
- 定期借家契約の締結要件(公正証書による等書面)を確認する。
- 事業用定期借地権(公正証書必須)と定期建物賃貸借の要件の違いを識別する。
- 選択肢 1不正解
- 定期建物賃貸借の事前説明を書面交付により行わなかった場合、契約の更新がない旨の特約が無効となり、普通借家契約として扱われるため正当事由がなければ更新拒絶できません。
- 選択肢 2正解
- 定期借家契約は「公正証書による等書面」によって行えば足り、公正証書以外の一般的な私文書(書面)で締結しても有効に成立します。
- 選択肢 3不正解
- 床面積200㎡未満の居住用建物の定期借家契約では、転勤・療養・親族の介護等のやむを得ない事情により生活の本拠として使用が困難となった場合、借家人からの中途解約権が法定されています。
- 選択肢 4不正解
- 借地借家法第33条の造作買取請求権は任意規定であるため、特約によってあらかじめ造作買取請求権を排除(放棄)することができます。
覚えるポイント
- 定期借家契約は「公正証書等の書面」でよく、公正証書に限定されない。
- 床面積200㎡未満の居住用定期借家では、やむを得ない事情による借家人の中途解約権がある。
間違えやすいところ
- 事業用定期借地権(公正証書が必須)と定期借家契約(公正証書等書面で可)の方式要件を混同しやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の借地借家法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地法の権利移動と転用規制
不動産 · 農地法4条 / 市街化区域の特例 / 現況主義 / 農地法3条
農地法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
農地法において、市街化区域内の農地を転用(4条)または転用目的で権利移転(5条)する場合は、あらかじめ農業委員会に届出を行うことで都道府県知事等の許可が不要となる特例が設けられています。
解き方
- 農地の判定基準(現況主義)および相続・売却時の農地法第3条の適用を確認する。
- 市街化区域内農地転用における届出特例の要件と効果を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 農地法上の農地に該当するかどうかは、登記記録上の地目にかかわらず、その土地の「客観的な現況」によって判断されます(現況主義)。
- 選択肢 2不正解
- 相続により農地を取得する場合は許可不要(届出が必要)ですが、取得した農地を第三者に売却(権利移転)する際には、相続から10カ月以内であっても原則として農地法第3条(転用目的なら5条)の許可が必要です。
- 選択肢 3正解
- 市街化区域内にある農地を自ら農地以外に転用する場合、あらかじめ農業委員会に届出をすれば、農地法第4条の都道府県知事等の許可を受ける必要はありません。
- 選択肢 4不正解
- 農地所有適格法人は農地法に定められた一定の要件を満たす法人を指し、農業委員会の「認可」を受ける制度ではなく、農地の権利取得許可等の手続において要件充足が確認されます。
覚えるポイント
- 農地該当性は登記地目ではなく現況で判断する(現況主義)。
- 市街化区域内の農地転用(4条・5条)は農業委員会への届出で足りる。
間違えやすいところ
- 相続による農地取得(許可不要・届出要)と、相続後の農地売却(原則3条許可要)を混同しないこと。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の農地法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
区分所有法における共用部分の変更と集会決議
不動産 · 区分所有法 / 共用部分の重大変更 / 規約変更 / 管理者の選解任 / 建替え決議
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
区分所有法では集会の決議要件について普通決議と特別決議を区分し、共用部分の重大変更(各4分の3以上)においては規約により区分所有者の頭数の要件のみ過半数まで緩和できる例外が認められています。
解き方
- 管理者の選解任、規約の変更、共用部分の重大変更、建替え決議の各要件を確認する。
- 共用部分の重大変更における区分所有者定数の規約による別段の定め(過半数まで低減可)を適用する。
- 選択肢 1不正解
- 管理者の選任または解任は、集会の普通決議によるのが原則ですが、規約で別段の定めをすることができます。
- 選択肢 2不正解
- 規約の設定・変更・廃止は、区分所有者および議決権の各「4分の3以上」の多数による集会の特別決議が必要です(2分の1以上ではありません)。
- 選択肢 3正解
- 形状または効用の著しい変更を伴う共用部分の変更は各4分の3以上の特別決議が必要ですが、区分所有者の頭数(定数)については規約で過半数まで減ずることができます(議決権割合は減らせません)。
- 選択肢 4不正解
- 建替え決議成立後に参加しない区分所有者に対して時価で売り渡すべきことを請求(売渡請求)できるのは、建替え賛成者等の建替え合意者側です。不参加者が買取請求できるわけではありません。
覚えるポイント
- 共用部分の重大変更:各4分の3以上。ただし区分所有者の定数は規約で過半数まで減じることが可能。
- 規約の設定・変更・廃止:各4分の3以上の多数決議。
間違えやすいところ
- 共用部分の重大変更で規約により減ずることができるのは「区分所有者の定数」のみであり、「議決権」は減らせない点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の建物の区分所有等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産取得・新築に係る登録免許税
不動産 · 登録免許税 / 表題登記の非課税 / 所有権保存登記 / 住宅用家屋の軽減税率
Aさんが土地(宅地)を購入し、その土地の上に戸建て住宅を新築した場合の土地・家屋に係る登録免許税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
登録免許税法において、権利に関する登記(所有権保存・移転等)には課税されますが、表示に関する登記(表題登記等)には登録免許税が課されません。
解き方
- 表題登記と権利の登記(保存・移転登記)における登録免許税の課税関係を区別する。
- 納税義務者(連帯納付)、新築時の課税標準(法務局認定基準表)、軽減の適用期限(新築後1年以内)を順次確認する。
- 選択肢 1不正解
- 登録免許税の納税義務者は登記を受ける者であり、売買による所有権移転登記では売主と買主が連帯して納付する義務を負います(買主が義務を負わないわけではありません)。
- 選択肢 2正解
- 新築家屋の物理的状況を表示する表題登記には登録免許税は課されず、非課税とされています。
- 選択肢 3不正解
- 新築直後で固定資産税評価額がまだ付されていない家屋の課税標準は、登記所(管轄法務局)が定めた「新築建物価格認定基準表」に基づいて算出した価額となり、取得価額の70%ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 住宅用家屋の所有権保存登記の軽減税率の適用を受けるためには、家屋の新築または取得後「1年以内」に登記を受ける必要があります(6カ月以内ではありません)。
覚えるポイント
- 不動産の表題登記には登録免許税が課されない。
- 住宅用家屋の所有権保存登記等の軽減税率の適用期限は新築・取得後「1年以内」である。
間違えやすいところ
- 新築建物の保存登記の軽減期限を「6カ月以内」と誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の登録免許税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除
不動産 · 空き家の3,000万円特別控除 / 適用要件 / 被相続人所有要件 / 譲渡対価1億円要件
「被相続人の居住用財産(空家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
被相続人の居住用財産(空き家)に係る3,000万円特別控除は、相続開始直前において被相続人本人が所有し居住していた昭和56年5月31日以前建築の家屋、およびその敷地を取得して譲渡する場合に適用されます。
解き方
- 特例の対象となる家屋が「被相続人が所有していたもの」であるか要件を確認する。
- 土地のみ被相続人所有で建物が長男所有である場合の適用可否を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 基準日(2017年10月1日)時点の法令では、老人ホーム等への入所特例は創設されておらず、相続開始直前において被相続人が居住していなかったため本特例の適用を受けることはできませんでした(適用不可とする本肢は正しい記述です)。
- 選択肢 2不正解
- 複数の相続人が共有で取得して譲渡した場合、要件を満たせば相続人それぞれについて最高3,000万円の特別控除を適用することができます(当時の規定として正しい記述です)。
- 選択肢 3不正解
- 本特例を適用するためには譲渡対価が1億円以下でなければならず、共有持分の譲渡であっても物件全体の譲渡価額が1億円(本問では1億2,000万円)を超えている場合は適用を受けることができません。
- 選択肢 4正解
- 本特例の対象は「被相続人が所有していた家屋および敷地」です。家屋が長男の所有であり被相続人が敷地のみを所有していた場合、敷地を相続した長男が敷地ごと譲渡しても本特例の適用は受けられません。
覚えるポイント
- 空き家の特例は「被相続人が所有していた家屋」とその敷地が対象である。
- 全体の売却価額が1億円を超える場合は特例の適用が受けられない。
間違えやすいところ
- 被相続人が敷地のみを所有し、家屋が別名義である場合に特例が使えると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の租税特別措置法第35条第3項
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産の交換の特例の適用要件
不動産 · 固定資産の交換の特例 / 譲渡所得 / 分筆による交換
時価1億円の甲土地を所有するAさんと、時価7,000万円の乙土地を所有するBさんが土地の交換を計画している。甲土地を7,000万円相当と3,000万円相当に分筆したうえで、7,000万円部分を乙土地と交換し、残り3,000万円部分をBさんに売却する「Ⅰ案」、ならびに第三者Cさんに売却する「Ⅱ案」について、「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」の適用関係として最も適切な選択肢を選びなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
固定資産の交換の特例では、交換の相手方が所有する資産との差額が時価の高い方の資産の20%以内であること(交換差金が20%以内)が要件とされます。同一当事者間で差額を売買等で調整するために意図的に分筆した場合は全体で1つの交換取引とみなされ、差額要件を満たさない限り特例は受けられません。
解き方
- 甲土地(時価1億円)と乙土地(時価7,000万円)の時価差額3,000万円は、高い方の時価1億円の20%(2,000万円)を超えているため、そのままの交換では特例の対象外となることを確認します。
- Ⅰ案のように相手方Bさんに残余地を売却して差額を精算する場合、実質的に3,000万円の交換差金を受領したと評価されるため特例の適用が否定されることを判断します。
- Ⅱ案のように無関係な第三者Cさんに残余地を売却し、Bさんとは7,000万円同士の独立した等価交換を行う場合は、相手方との間での交換差金が発生しないため特例の適用が認められることを導きます。
- 選択肢 1不正解
- 同一の相手方Bさんに分筆部分を売却するⅠ案は交換差金を受領したとみなされ、差額要件(時価の20%以内)を満たさないため特例を受けられません。
- 選択肢 2不正解
- Ⅰ案ではなく、第三者Cさんに売却してBさんとは等価交換を行うⅡ案について特例の適用が認められます。
- 選択肢 3正解
- Ⅱ案は相手方Bさんとの間では完全に等価交換となるため特例が適用できますが、Ⅰ案は相手方Bさんから実質的に交換差金を受け取る取引と評価されるため適用対象外となります。
- 選択肢 4不正解
- Ⅱ案の交換については、適正に分筆された土地同士の等価交換として本特例の要件を満たすため適用可能です。
覚えるポイント
- 交換する資産の時価差額は高い方の価額の20%以内である必要があること
間違えやすいところ
- 分筆して等価にすれば相手方への売却があっても適用できると誤認しやすい点に注意する
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数人からの贈与に係る贈与税額の計算
相続・事業承継 · 贈与税の税額計算 / 特例税率 / 一般税率 / 基礎控除の按分
受贈者Aさん(30歳)が平成29年中に、直系尊属である父(58歳)から現金270万円、直系尊属以外である兄(35歳)から現金180万円の贈与を受けた(暦年課税・基礎控除110万円)。この場合のAさんの平成29年分の贈与税額として最も適切なものを選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
4
解説
同一年に特例贈与財産(直系尊属から20歳以上の子・孫への贈与)と一般贈与財産(それ以外の贈与)の双領がある場合、全体の課税価格から基礎控除110万円を控除した課税価格をもとに、特例税率および一般税率を適用して算出した税額を、それぞれの取得財産の価額比で按分して合計します。
解き方
- 贈与財産の総額を算出します:270万円+180万円=450万円。
- 基礎控除110万円を控除した基礎控除後の課税価格を求めます:450万円-110万円=340万円。
- 340万円すべてに特例税率を適用した税額を算出します:340万円×15%-10万円=41万円。
- 340万円すべてに一般税率を適用した税額を算出します:340万円×20%-25万円=43万円。
- それぞれの贈与財産の価額比で按分して合算します:41万円×(270万円/450万円)+43万円×(180万円/450万円)=24.6万円+17.2万円=41.8万円(418,000円)。
- 選択肢 1不正解
- 基礎控除後の340万円全体に一律10%を適用する等の誤った計算結果です。
- 選択肢 2不正解
- 特例税率のみを前提として按分を無視した場合などに導かれる誤った数値です。
- 選択肢 3不正解
- 各贈与財産から基礎控除を不適切に控除して個別に計算した誤った結果です。
- 選択肢 4正解
- 特例税率に基づく按分税額24万6,000円と一般税率に基づく按分税額17万2,000円の合計で41万8,000円となります。
覚えるポイント
- 特例・一般の混合贈与では全体課税価格から控除を引いた後に各税率で計算し比率按分すること
間違えやすいところ
- 各贈与ごとに110万円ずつ基礎控除を引いて別個に税率を適用してしまう誤り
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の配偶者控除の適用要件と取扱い
相続・事業承継 · 贈与税の配偶者控除 / 婚姻期間要件 / 居住用不動産 / 店舗併用住宅
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)に関する記述のうち、最も適切な選択肢を選びなさい。
解答・解説を表示
解答
4
解説
贈与税の配偶者控除は、婚姻期間20年以上の配偶者から居住用不動産またはその取得資金の贈与を受けた場合、最高2,000万円まで控除できる制度です。土地のみの贈与も対象となり、贈与年中に贈与者が死亡した場合でも特例の適用を受けた部分は相続税の生前贈与加算の対象外とされます。
解き方
- 店舗併用住宅における配偶者控除の対象範囲について確認します。
- 取得持分が居住用割合以下であれば全体を居住用部分とみなせるため、選択肢4が正しいと判断します。
- 他の選択肢(敷地のみの対象可否、婚姻期間の判定日、年内死亡時の相続税加算特例)の正誤を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 居住用家屋の敷地(土地)のみの贈与であっても、配偶者がその家屋を所有している等の要件を満たせば配偶者控除の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 婚姻期間が20年以上であるかどうかの判定は、1月1日時点ではなく「贈与を受けた日」時点の期間によって判定されます。
- 選択肢 3不正解
- 贈与を受けた年中に贈与者が死亡した場合でも贈与税の配偶者控除の適用を受けることができ、控除を受けた部分(最高2,000万円)は相続税の生前贈与加算の対象外とされます。
- 選択肢 4正解
- 店舗併用住宅の持分の贈与において、その持分割合が居住用部分の割合の範囲内であるときは、その取得持分の全部を居住用不動産として本特例の対象とすることができます。
覚えるポイント
- 婚姻期間20年の要件は1月1日基準ではなく贈与日現在で判定すること
間違えやすいところ
- 年内死亡で相続税の課税対象になり特例が使えなくなると誤解する点
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
成年後見制度の概要と権限
相続・事業承継 · 成年後見制度 / 保佐人・補助人 / 居住用不動産の処分 / 報酬付与
成年後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
成年後見制度において、保護者となる後見人・保佐人・補助人には、自然人だけでなく社会福祉法人や弁護士法人等の法人も選任されることができ、職務の分担や適正化のために複数人を選任することも可能と規定されています。
解き方
- 後見・保佐・補助における保護者の適格性(複数選任・法人選任)に関する民法の規定を確認します。
- 民法上、保佐人・補助人についても成年後見人と同様に複数人や法人を選任できるため、選択肢1が不適切であると判定します。
- 選択肢 1正解
- 保佐人や補助人についても、家庭裁判所は必要に応じて複数人を選任することや法人を選任することが認められているため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 成年後見人は日用品の購入など日常生活に関する行為を除き、被後見人が行った法律行為を取り消す権限を有するため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 成年被後見人の居住の用に供する建物や敷地を売却・賃貸・抵当権設定等する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
- 選択肢 4不正解
- 成年後見人は家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立て、裁判所が決定した報酬額を被後見人の財産から受領できます。
覚えるポイント
- 後見・保佐・補助のいずれも複数人選任や法人選任が可能であること
間違えやすいところ
- 居住用不動産の処分には家裁の許可が不要であると混同する点
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺産分割協議書と相続手続きの実務
相続・事業承継 · 遺産分割協議書 / 相続登記 / 預貯金の遺産分割 / 代償分割
遺産分割協議書に関する次の記述のうち、最も適切なものを選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
遺産分割協議が適法に成立するとその効力は相続開始時に遡って生じます。協議内容に基づいて不動産の単独所有権登記等を行う際には、登記原因証明情報として遺産分割協議書の添付が求められます。最高裁判例(平成28年大法廷決定)により預貯金も遺産分割の対象と整理されています。
解き方
- 不動産の相続登記申請手続きにおける遺産分割協議書の必要性を確認します。
- 法定相続分と異なる分割内容を登記原因情報として法務局へ提出するため、選択肢2が適切と判断します。
- 預貯金が当然分割されるとする旧扱いの誤り、公正証書の強制要件の有無、成立後の単独申立の可否を検討して他を排除します。
- 選択肢 1不正解
- 預貯金債権は遺産分割の対象となるため、金融機関での払戻しにあたっては原則として相続人全員の合意を証する遺産分割協議書等の提出が必要です。
- 選択肢 2正解
- 法定相続分と異なる持分等で遺産分割が成立して相続登記を行う場合、その帰属を証する登記原因証明情報として遺産分割協議書の添付が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 代償分割の協議書は私署証書(通常の書面)であっても有効に成立し、必ずしも公正証書で作成しなければならないわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 有効に成立した遺産分割協議について、錯誤等の無効取消事由がない限り、1人の相続人が後から不服を理由として調停・審判を求めることはできません。
覚えるポイント
- 預貯金は当然分割ではなく遺産分割協議の対象であること
間違えやすいところ
- 代償分割の合意は公正証書でなければ法的に無効であると思い込む誤り
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における遺言と遺留分の規定
相続・事業承継 · 遺言執行者 / 遺言の撤回 / 遺留分の算定 / 遺留分の放棄
民法における遺言および遺留分に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
遺言執行者の欠格事由は「未成年者および破産者」のみであり、相続人や受遺者も就任できます。遺言は方式を問わず後の遺言で前の遺言を撤回でき、相続開始前の遺留分放棄には家庭裁判所の許可が必須とされています。
解き方
- 遺言執行者の資格要件について民法の欠格事由を確認します。
- 推定相続人や受遺者は遺言の証人等にはなれませんが、遺言執行者にはなることができるため、選択肢1が誤り(不適切)と判断します。
- 選択肢 1正解
- 遺言執行者の欠格事由は未成年者および破産者であり、推定相続人や受遺者を遺言執行者として指定することは何ら禁じられていません。
- 選択肢 2不正解
- 遺言の方式に関わらず、前後の遺言が抵触するときは後の遺言により前の遺言が撤回されたとみなされるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- (出題当時の民法基準において)相続開始前1年以内になされた贈与は、当事者双方の害意を問わず遺留分算定の基礎財産に含まれます。
- 選択肢 4不正解
- 被相続人の生前(相続開始前)における遺留分の放棄には、本人の自由意志を確認するため家庭裁判所の許可が必要です。
覚えるポイント
- 推定相続人や受遺者は遺言の証人・立会人にはなれないが遺言執行者にはなれること
間違えやすいところ
- 証人の欠格事由と遺言執行者の欠格事由を混同してしまう点
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
親族関係図に基づく相続税の基礎控除と法定相続分
相続・事業承継 · 基礎控除額 / 養子の法定相続人算入限度 / 代襲相続 / 2割加算
被相続人Aさん(父母・長男は死亡済)には妻Bさん、長女Cさん、二男Dさん、普通養子である孫Eさん・孫Fさん、死亡した長男の子である孫Gさん、姉Hさんがいる。全員が財産を取得した場合の相続に関する記述のうち、最も適切なものを選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続税の基礎控除の計算において、被相続人に実子(代襲相続人を含む)がいる場合、算入できる普通養子の数は1人に制限されます。代襲相続人である孫は第1順位の直系卑属としての相続権を有し、2割加算の対象外かつ未成年者控除の対象となります。
解き方
- 民法上の相続人を整理します:妻B(配偶者)、実子C・D、代襲相続人孫G、普通養子孫E・Fの計6人。
- 税法上の法定相続人の数を判定します:実子等がいるため、普通養子は2人のうち1人のみ算入可能となり、法定相続人の数は「配偶者+実子2人+代襲1人+養子1人=5人」です。
- 遺産に係る基礎控除額を計算します:3,000万円+600万円×5=6,000万円。これにより選択肢2が正しいと判断します。
- 各選択肢の誤りを検証します(民法上の法定相続分:妻1/2、子グループ各1/10。2割加算:代襲の孫Gは加算対象外。未成年者控除:孫Gは代襲相続人であるため適用可能)。
- 選択肢 1不正解
- 民法上の法定相続人は妻と子ども5人(C、D、代襲G、養子E、養子F)の計6人です。子全体の相続分1/2を5等分するため、孫Fさんの法定相続分は10分の1となります。
- 選択肢 2正解
- 被相続人に実子等(代襲相続人含む)がいるため、税法上の法定相続人に含められる養子は1人となり、合計5人です。基礎控除額は3,000万円+600万円×5人=6,000万円となります。
- 選択肢 3不正解
- 孫Gさんは死亡した長男を代襲相続しているため直系卑属の代襲者として2割加算の対象外です(養子の孫E・F、姉Hの3人が加算対象)。
- 選択肢 4不正解
- 孫Gさんは代襲相続人(法定相続人)であるため、20歳未満(当時の成人年齢基準)であれば未成年者控除の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 実子がいる場合、相続税の法定相続人の数に含められる養子は1人までであること
間違えやすいところ
- 代襲相続人である孫を2割加算の対象に含めてしまうミス
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地および借地権の相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 貸家建付地 / 貸宅地 / 土地の無償返還に関する届出書 / 借地権の評価
父親から相続により取得したX土地、Y土地、Z土地(借地権)の相続税評価額の合計額として、最も適切なものを選択しなさい。 ・X土地:自用地評価額2,500万円。父所有地をAさんが固定資産税程度で借り、アパートを建てて第三者に賃貸(入居率100%)。 ・Y土地:自用地評価額5,000万円。父がB社へ通常地代・権利金なしで貸付、「土地の無償返還に関する届出書」提出済。B社がアパートを建築して第三者に賃貸(入居率100%)。 ・Z土地(借地権):自用地評価額3,000万円。父がC社から通常地代・権利金なしで借受、「土地の無償返還に関する届出書」提出済。父がアパートを建築して第三者に賃貸(入居率100%)。 ※借地権割合はすべて60%、借家権割合はすべて30%とする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
親族間の固定資産税程度の賃貸借は「使用貸借」となり、借主が賃貸アパートを建てても底地所有者にとっては「自用地」として評価されます。無償返還届出書が提出された貸宅地は自用地価額の80%で評価され、借地権価額は0(自用地価額の20%は法人等の認定課税対象外であれば借地権評価0)と評価されます。
解き方
- X土地の評価:固定資産税程度の地代による貸借は使用貸借に該当するため、借地権や貸家建付地の減額はなく「自用地評価額2,500万円」となります。
- Y土地の評価:土地の無償返還に関する届出書が提出されている通常の地代による貸宅地は、自用地評価額の80%で評価します:5,000万円×80%=4,000万円。
- Z土地(借地権)の評価:通常の地代を支払い無償返還届出書を提出している場合、借地権の相続税評価額は「0円」となります。
- 合計額を計算します:2,500万円+4,000万円+0円=6,500万円。
- 選択肢 1不正解
- X土地を貸家建付地として誤って減額評価した場合などに導かれる計算値です。
- 選択肢 2不正解
- 各土地の評価区分の判定を誤った場合の金額です。
- 選択肢 3正解
- X土地2,500万円+Y土地4,000万円+Z土地0円=6,500万円となり最も適切です。
- 選択肢 4不正解
- Z土地に借地権割合や貸家建付借地権の減額を誤って適用して加算した場合の金額です。
覚えるポイント
- 土地の無償返還届出書が提出されている場合、底地は自用地の80%、借地権は0円評価となること
間違えやすいところ
- 使用貸借の土地に親族が賃貸建物を建てた場合に貸家建付地評価できると勘違いする点
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 家なき子特例 / 限度面積の完全併用
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は1人であり、ほかに必要とされる要件はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
小規模宅地等の特例は、事業用や居住用宅地の相続税負担を軽減する制度です。特定事業用等宅地(最大400㎡)と特定居住用宅地(最大330㎡)は完全併用が可能であり、特定居住用では配偶者は無条件で適用可能、非同居の親族でも家なき子要件を満たせば適用が認められます。
解き方
- 各選択肢について、適用区分ごとの限度面積の併用関係や取得者の要件(配偶者・同居・非同居親族)を照合する。
- 特定居住用宅地等において、同居していない親族でも「家なき子特例」が適用可能な例外があることを確認し、不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 特定事業用宅地等および特定同族会社事業用宅地等(合算で最大400㎡)と特定居住用宅地等(最大330㎡)は完全併用が可能です。合計600㎡(事業用等400㎡+居住用200㎡)は限度面積内であるため、すべて適用を受けられます。
- 選択肢 2不正解
- 被相続人の配偶者が取得した場合、申告期限までの居住継続要件や所有継続要件が課されていないため、申告期限までに売却しても特定居住用宅地等として特例の適用が可能です。
- 選択肢 3正解
- 被相続人と同居していない子であっても、配偶者や同居親族がおらず、相続開始前3年以内に自己等の所有する家屋に居住したことがない等の要件を満たせば、特定居住用宅地等として適用を受けることができます。
- 選択肢 4不正解
- 貸付事業用宅地等における貸付事業には、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業などが含まれ、事業的規模であるか否かを問わず特例の対象とされます。
覚えるポイント
- 特定事業用宅地等(400㎡・80%減額)と特定居住用宅地等(330㎡・80%減額)は完全併用(最大730㎡)が可能。
- 配偶者は居住・保有継続要件が免除され、非同居親族は家なき子要件を満たせば特定居住用宅地等の適用が可能。
間違えやすいところ
- 貸付事業用宅地等を併用する場合は完全併用ではなく調整計算が必要となる点との混同。
- 配偶者にも申告期限までの所有継続要件が必要であると誤認すること。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の税法および相続税法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例
相続・事業承継 · 事業承継税制 / 贈与税の納税猶予 / 後継者要件 / 先代経営者要件
非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法人版事業承継税制(非上場株式等の納税猶予の特例)は、後継者が円滑に事業を承継できるよう、先代経営者からの贈与等に伴う税負担を猶予する制度です。先代経営者は代表権を返上する必要がありますが役員残留は可能であり、後継者は代表権を有しかつ3年以上の役員経験が必要です。
解き方
- 贈与者(先代経営者)の要件(代表権の有無、役員退任の要否)と受贈者(後継者)の要件(代表権、役員就任期間)を整理する。
- 贈与者の死亡時にみなされる相続税課税価格の評価時期(贈与時価額か相続時価額か)を確認し、正しい記述を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定申請は、贈与の年の10月15日から翌年1月15日までに行う必要があり、「贈与の日から2カ月以内」ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 先代経営者は贈与時において代表権を有していないことが必要ですが、役員自体を退任する必要はなく、平の取締役等として役員にとどまることが可能です。
- 選択肢 3正解
- 後継者は、贈与時において会社の代表権を有しており、かつ贈与の時まで引き続き3年以上にわたり役員等の地位にあったことが適用要件とされています。
- 選択肢 4不正解
- 納税猶予の適用を受けた贈与者が死亡した場合は、相続または遺贈により取得したものとみなされますが、相続税の課税価格に算入される価額は「贈与時の価額」です。
覚えるポイント
- 事業承継税制の贈与税納税猶予において、先代経営者は代表権の返上が必要だが役員退任までは求められない。
- 後継者は代表権を有し、かつ3年以上の役員従事期間が必要。
- 贈与者死亡時は相続税に切り替わるが、課税価格は相続時ではなく贈与時の価額が基準となる。
間違えやすいところ
- 先代経営者が完全に引退(役員退任)しなければならないと誤解しやすい点。
- 贈与者死亡時の相続税算入価額を「相続時の価額」と誤解しやすい点。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の租税特別措置法および経営承継円滑化法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年1月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年1月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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