日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2017年9月 1級 学科(応用編)の概要
雇用保険の基本手当および高年齢雇用継続給付
ライフプランニングと資金計画 · 基本手当 / 賃金日額 / 所定給付日数 / 再就職手当 / 高年齢雇用継続基本給付金 / 高年齢再就職給付金
MさんがAさんに対して説明した雇用保険の失業等給付および高年齢雇用継続給付に関する次の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「AさんがX社を定年退職し、再就職していない場合、所定の手続により、Aさんは、原則として、退職後の失業している日について雇用保険の基本手当を受給することができます。 基本手当の日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の( ① )カ月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を基に算出した賃金日額に、当該賃金日額に応じた給付率を乗じて得た額となります。なお、賃金日額には、下限額および受給資格者の年齢区分に応じた上限額が設けられています。また、賃金日額に応じた給付率は、受給資格に係る離職日において60歳以上65歳未満である受給資格者の場合、100分の( ② )から100分の80の範囲です。 Aさんが基本手当の支給を受けることができる最大の日数(所定給付日数)は、( ③ )日です。 なお、Aさんが基本手当の受給中に安定した職業に就き、その安定した職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の( ④ )以上ある場合、所定の要件を満たせば、Aさんは( ⑤ )を受給することができます」 Ⅱ「AさんがX社の再雇用制度を利用して60歳以後も雇用保険の一般被保険者として同社に勤務し、かつ、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われた賃金額(みなし賃金額を含む)が60歳到達時の賃金月額の( ⑥ )%相当額を下回る場合、所定の手続により、Aさんは、原則として、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。 高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに、その月に支払われた賃金額の低下率に応じて一定の方法により算定されますが、最高で賃金額の( ⑦ )%に相当する額となります。 他方、AさんがX社を定年退職し、基本手当の支給を受け、その所定給付日数を( ⑧ )日以上残して安定した職業に就き、雇用保険の一般被保険者となった場合、所定の要件を満たせば、Aさんは、高年齢再就職給付金を受給することができます。Aさんに対する高年齢再就職給付金は1年間(その期間内に65歳に達した場合は65歳到達月まで)支給されますが、Aさんがその就職について( ⑤ )の支給を受けたときは、高年齢再就職給付金は支給されません」
解答・解説を表示
解答
① 6(カ月間) ② 45 ③ 150(日) ④ 3分の1 ⑤ 再就職手当 ⑥ 75(%) ⑦ 15(%) ⑧ 100(日)
解説
雇用保険の基本手当は、定年退職等の一般離職者の場合、被保険者期間20年以上で所定給付日数150日、賃金日額に対する給付率は60歳以上65歳未満で45%~80%となります。早期再就職には再就職手当が支給されます。一方、60歳以降も継続雇用されて賃金が60歳時点の75%未満に低下した場合には高年齢雇用継続基本給付金(最大15%)が支給され、基本手当受給後に再就職した場合は残日数100日以上で高年齢再就職給付金の対象となります(再就職手当との併給は不可)。
解き方
- 設例のAさんの加入歴(昭和57年4月入社で定年60歳到達時は被保険者期間35年以上)から、一般離職者の所定給付日数が150日になることを確認する。
- 60歳以上65歳未満の基本手当日額の給付率(45%~80%)および賃金日額の算定期間(最後の6カ月間)を当てはめる。
- 再就職手当の残日数要件(3分の1以上)と、高年齢雇用継続基本給付金の支給要件(賃金75%未満、最大15%給付)、高年齢再就職給付金の残日数要件(100日以上)を整理して解答する。
答えの内訳
- ①:6(カ月間)
- 基本手当の賃金日額は、原則として算定対象期間において被保険者期間として計算された最後の6カ月間に支払われた賃金の総額を180で除して算定します。
- ②:45
- 離職日において60歳以上65歳未満である受給資格者の基本手当の給付率は、45%~80%(100分の45から100分の80)の範囲で定められています。
- ③:150(日)
- 定年退職等の一般離職者で、算定基礎期間が20年以上ある者(離職時65歳未満)の基本手当の所定給付日数は150日です。Aさんは昭和57年4月から定年まで20年以上勤務するため該当します。
- ④:3分の1
- 再就職手当の支給要件の1つとして、安定した職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あることが求められます。
- ⑤:再就職手当
- 基本手当の受給資格者が早期に安定した職業に就いた場合に、就業促進手当の1つとして「再就職手当」が支給されます。
- ⑥:75(%)
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以後も被保険者として勤務し、各月に支払われた賃金額が60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下した場合に支給されます。
- ⑦:15(%)
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、低下率に応じて支給対象月に支払われた賃金額の最高15%相当額となります(賃金が61%以下に低下したとき最大15%)。
- ⑧:100(日)
- 高年齢再就職給付金は、基本手当の支給残日数を100日以上残して安定した職業に就き、雇用保険の一般被保険者となった場合に支給されます(所定給付日数150日の場合、残日数100日以上で1年間支給)。
覚えるポイント
- 定年退職(一般離職者)で被保険者期間20年以上の所定給付日数は150日
- 高年齢雇用継続給付の支給基準は60歳時点賃金の75%未満、最大支給率は15%
- 高年齢再就職給付金の残日数要件は100日以上(再就職手当とは選択関係)
間違えやすいところ
- 特定受給資格者(倒産・解雇等)と一般離職者(定年等)の所定給付日数を混同しやすい(45歳以上60歳未満の特定受給資格者かつ20年以上なら330日であるが、定年は一般離職者で150日)。
- 高年齢雇用継続給付の支給要件割合(75%未満)と最大給付率(15%)を混同しないようにする。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の雇用保険法等の法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の傷病手当金
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 傷病手当金 / 待期期間 / 支給期間 / 標準報酬月額
MさんがAさんに対して説明した健康保険の傷病手当金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「Aさんが私傷病による療養のために連続して一定期間労務に服することができず、休業した期間について事業主から給与が支払われない場合、Aさんは、休業した( ① )日目以降の日について、全国健康保険協会の都道府県支部に対し、傷病手当金の支給を請求することができます。 仮に、傷病手当金の支給開始日の属する月以前の直近の継続した12カ月間のAさんの各月の標準報酬月額の平均額を67万5,000円とし、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われないとした場合、Aさんが受給することができる傷病手当金の額は、1日につき( ② )円となります。なお、傷病手当金の支給対象となる日について事業主から給与が支払われる場合は、その支払われる給与の額が傷病手当金の額よりも少ないときには、その差額が傷病手当金として支給されます。 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷およびこれにより発した疾病に関しては、その支給開始日から起算して( ③ )が限度となります」
解答・解説を表示
解答
① 4(日) ② 15,000(円) ③ 1年6カ月
解説
健康保険の傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために労務不能となり、給与が支払われない場合に支給される生活保障の給付です。支給要件として連続3日間の待期を要し、4日目から支給対象となります。1日当たりの支給額は原則として直近12カ月間の標準報酬月額平均額を30で除した額の3分の2相当額であり、支給期間は支給開始日から起算して最長1年6カ月と規定されています。
解き方
- 傷病手当金の待期期間(連続3日間)と支給開始日(4日目から)を確認する。
- 1日当たりの支給額を「平均標準報酬月額÷30×2/3」により計算する:675,000円 ÷ 30 × 2 ÷ 3 = 15,000円。
- 支給期間の限度(同一の疾病・負傷について支給開始日から最長1年6カ月)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:4(日)
- 傷病手当金は、療養のために連続する3日間の待期期間を満了した後、4日目以降の就労不能な日について支給されます。
- 小問 ②:15,000(円)
- 傷病手当金の日額は、「支給開始日以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額÷30×(2/3)」で計算します。675,000円÷30×(2/3)=22,500円×(2/3)=15,000円となります。
- 小問 ③:1年6カ月
- 傷病手当金の支給期間は、同一の傷病について支給開始日から起算して最長1年6カ月です(出題当時の法令基準)。
覚えるポイント
- 傷病手当金の待期期間は「連続3日間」で、支給開始は「4日目」から
- 支給日額は「直近12カ月の平均標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3」
- 支給期間の上限は同一傷病につき支給開始日から「1年6カ月」
間違えやすいところ
- 労災保険の休業補償給付(休業4日目から支給される点は同じだが待期期間に通算可)と健康保険の傷病手当金(待期は「連続」3日間が必要)を混同しないようにする。
- 1日あたりの計算で30で割る手順や2/3を掛ける計算を失念しないようにする。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の健康保険法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
Aさん(昭和34年4月20日生まれ)が、定年退職後も再雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として勤務し、65歳で退職した場合において、原則として65歳から受給できる公的年金の老齢給付(平成29年度価額・本来水準)について、次の①および②を求めなさい。なお、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。 ① 老齢基礎年金の年金額 ② 老齢厚生年金の年金額
解答・解説を表示
解答
① 720,853(円) ② 1,451,382(円)
解説
老齢年金は基礎年金と厚生年金から構成され、65歳到達時点での保険料納付済月数や厚生年金被保険者月数(上限480月)、平均標準報酬額等を用いて各算式に従い計算します。また、加給年金は対象となる配偶者が65歳未満であることが要件です。
解き方
- 20歳以上60歳未満の納付済月数を算出し、平成29年度老齢基礎年金満額に乗じて老齢基礎年金額を求める。
- 総報酬制導入前後の期間ごとに報酬比例部分を計算し、経過的加算額を計算したうえで、加給年金の要件を満たすか確認して合算する。
答えの内訳
- ①:720,853(円)
- 20歳から60歳までの480月のうち、学生時代の未加入期間が36月あるため、保険料納付済月数は444月(480月-36月)となります。満額779,300円×444月/480月=720,852.5円となり、円未満を四捨五入して720,853円です。
- ②:1,451,382(円)
- 報酬比例部分は、平成15年3月以前分が370,000円×(7.125/1,000)×252月=664,206円、平成15年4月以後分が527,000円×(5.481/1,000)×252月=728,027.76円、合計で1,392,233.76円(四捨五入して1,392,234円)です。経過的加算額は1,625円×480月(上限)-779,300円×(444月/480月)=59,147.5円(四捨五入して59,148円)です。妻BさんはAさんの65歳到達時に既に65歳以上であるため加給年金額は加算されません。よって老齢厚生年金額は1,392,234円+59,148円=1,451,382円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の計算における被保険者期間の月数の上限は480月であること。
- 加給年金は厚生年金被保険者期間が20年以上ある受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者等がいる場合に加算されること。
間違えやすいところ
- 妻の年齢を確認せず、加給年金額389,800円を誤って加算してしまうこと。
- 経過的加算の第1項で実被保険者期間の504月をそのまま乗じてしまい、上限480月を適用し忘れること。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等(平成29年度価格)
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISAおよびつみたてNISAの仕組み
金融資産運用 · NISA / つみたてNISA / 非課税枠 / 非課税期間
少額投資非課税制度(一般NISA)および平成30年1月開始予定の「つみたてNISA」に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を答えなさい。 ・NISA口座に平成29年中に受け入れることができる非課税枠は( ① )万円である。 ・平成29年中に受け入れた上場株式等の非課税期間は最長で( ② )年間である。 ・平成29年中に株価600円の株式を1,000株購入し、同年中に株価700円で全株売却した後の平成29年中の非課税枠の残額は( ③ )万円である。 ・つみたてNISAにおける年間の非課税枠は( ④ )万円、非課税期間は最長で( ⑤ )年間である。
解答・解説を表示
解答
① 120(万円) ② 5(年間) ③ 60(万円) ④ 40(万円) ⑤ 20(年間)
解説
少額投資非課税制度(NISA)は、拠出限度額や非課税期間が定められており、同一年に商品を売却しても使用済みの非課税投資枠は復活(再利用)しない仕組みになっています。
解き方
- 現行の一般NISAにおける年間非課税枠(120万円)および非課税期間(5年間)を確認する。
- NISA枠の買付額(600円×1,000株=60万円)を差し引き、売却による枠復活がないことから枠残額を算出する。
- つみたてNISAの年間非課税枠(40万円)および最長非課税期間(20年間)を確認する。
答えの内訳
- ①:120(万円)
- 一般NISAの年間非課税投資枠は、平成28年分より年間120万円とされています。
- ②:5(年間)
- 一般NISAの非課税保有期間は、口座を開設した年の1月1日から最長で5年間です。
- ③:60(万円)
- 株価600円×1,000株=60万円分の非課税枠を利用しています。売却しても一度利用した非課税枠は再利用できないため、残額は120万円-60万円=60万円となります。
- ④:40(万円)
- つみたてNISA(累積投資勘定)の年間投資上限額(非課税枠)は年間40万円です。
- ⑤:20(年間)
- つみたてNISAの非課税保有期間は、投資した年の1月1日から最長で20年間です。
覚えるポイント
- 一般NISAは年間120万円・最長5年間、つみたてNISAは年間40万円・最長20年間。
- NISA口座内で売却を行っても、その年に利用した非課税枠は再利用・復活しない。
間違えやすいところ
- 年内に全株売却したため非課税枠が120万円全額復活すると誤解して120万円と答えてしまうこと。
- 売却益(10万円)を非課税枠の計算に混同してしまうこと。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等(および平成29年度税制改正事項)
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析指標および投資信託の運用効率評価
金融資産運用 · 総資産経常利益率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ / 配当性向 / シャープ・レシオ
設例の〈W社とX社の財務データ〉および〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉に基づき、Mさんが説明した文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までとすること。 Ⅰ 「W社とX社の財務データについて比較検討すると、総資産経常利益率ではW社の値が約( ① )%、X社の値が約□□□%であり、W社の資産効率のほうがよいといえます」 Ⅱ 「W社とX社を財務的な安定性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオで比較すると、W社の値が約□□□倍、X社の値が約( ② )倍であり、X社のほうが財務的な余裕があるといえます」 Ⅲ 「W社とX社を株主への利益還元の度合いを測る指標である( ③ )で比較すると、W社の値が約22.64%、X社の値が約19.05%であり、W社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます」 Ⅳ 「YファンドとZファンドをシャープ・レシオで比較した場合、安全資産利子率を0.10%と仮定すると、( ④ )ファンドのほうが効率よく運用されていたと評価することができます」
解答・解説を表示
解答
① 1.56(%) ② 32.22(倍) ③ 配当性向 ④ Z(ファンド)
解説
企業の総合的な収益性や健全性を測る代表的指標(総資産経常利益率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、配当性向)と、ファンドのリスクに対する超過リターンを測定するシャープ・レシオの定義式を正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 設例の財務諸表から総資産、経常利益、営業利益、金融収益・費用、当期純利益、配当金総額を正確に抜き出す。
- 各公式に数値を当てはめて計算し、指定された端数処理(小数点以下第3位を四捨五入)を行う。
- シャープ・レシオの計算式に各ファンドの実績収益率・標準偏差・安全資産利子率を代入して比較する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:1.56
- 総資産経常利益率は「経常利益 ÷ 総資産 × 100」で求められます。W社の総資産経常利益率は、84,000百万円 ÷ 5,400,000百万円 × 100 = 1.555…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.56%となります。
- 小問 ②:32.22
- インタレスト・カバレッジ・レシオは「(営業利益 + 受取利息 + 受取配当金)÷ 支払利息」で算出します。X社の場合、(28,000百万円 + 100百万円 + 900百万円)÷ 900百万円 = 29,000百万円 ÷ 900百万円 = 32.222…倍となり、四捨五入して32.22倍となります。
- 小問 ③:配当性向
- 当期純利益(親会社株主に帰属する当期純利益)に対する配当金総額の割合を示す指標は「配当性向」です。W社は 12,000 ÷ 53,000 × 100 ≒ 22.64%、X社は 4,000 ÷ 21,000 × 100 ≒ 19.05%となります。
- 小問 ④:Z
- シャープ・レシオは「(収益率 - 安全資産利子率)÷ 標準偏差」で算出します。Yファンドは (8.25% - 0.10%) ÷ 12.50% = 0.652、Zファンドは (4.75% - 0.10%) ÷ 6.25% = 0.744 となり、値が大きいZファンドのほうが効率的に運用されています。
覚えるポイント
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子は「営業利益+受取利息・配当金」であり、事業利益を表す。
- シャープ・レシオは数値が大きいほどリスクに対する超過リターンが高く、運用効率がよいと評価される。
間違えやすいところ
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に営業外収益の「その他」を含めてしまうミス。
- 配当性向の分母を営業利益や経常利益と混同してしまうミス。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令および一般的な財務分析・ポートフォリオ理論に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオの相関係数および標準偏差の計算
金融資産運用 · 相関係数 / ポートフォリオの標準偏差 / 分散投資効果
設例の〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉に基づいて、①YファンドとZファンドの相関係数と、②YファンドとZファンドをそれぞれ6:4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差を求めなさい。計算過程を示し、答えは表示単位の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで算出すること。 〈資料〉 ・Yファンド:標準偏差 12.50% ・Zファンド:標準偏差 6.25% ・両ファンドの共分散:55.50
解答・解説を表示
解答
① 0.71 ② 9.44(%)
解説
2資産の相関係数は共分散を各資産の標準偏差の積で除して求めます。また、2資産からなるポートフォリオの分散は各資産の投資比率の2乗と分散の積に加え、投資比率・共分散を組み合わせた交差項(2×w1×w2×Cov)を足し合わせて算出し、その平方根をとることで標準偏差が得られます。
解き方
- 相関係数=共分散 ÷ (標準偏差Y × 標準偏差Z) の算式を適用し、0.7104… から 0.71 を算出する。
- ポートフォリオの分散算式「wY^2 × σY^2 + wZ^2 × σZ^2 + 2 × wY × wZ × Cov(Y,Z)」に比率 0.6, 0.4 と各数値を代入して分散 89.14 を計算する。
- 分散の平方根を電卓で計算し、得られた 9.4413…% の小数点以下第3位を四捨五入して 9.44% を求める。
答えの内訳
- ①:0.71
- 相関係数 = 共分散 ÷ (Yの標準偏差 × Zの標準偏差) = 55.50 ÷ (12.50 × 6.25) = 55.50 ÷ 78.125 = 0.7104… となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.71となります。
- ②:9.44(%)
- ポートフォリオの分散 σ_p^2 = (0.6)^2 × (12.50)^2 + (0.4)^2 × (6.25)^2 + 2 × 0.6 × 0.4 × 55.50 = 0.36 × 156.25 + 0.16 × 39.0625 + 0.48 × 55.50 = 56.25 + 6.25 + 26.64 = 89.14 となります。標準偏差 σ_p = √89.14 = 9.4413…% となり、小数点以下第3位を四捨五入して9.44%となります。
覚えるポイント
- 相関係数は -1 以上 +1 以下の値をとる。
- ポートフォリオの分散計算において、共分散が与えられている場合は「2 × w1 × w2 × 共分散」で交差項を直接計算できる。
間違えやすいところ
- 交差項の「2」を掛け忘れるミス。
- 共分散ではなく相関係数と標準偏差を掛け直す際に計算過程で端数処理をしてしまい、誤差を生じさせるミス。
出題の前提:現代ポートフォリオ理論に基づく出題条件に準拠。
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の所得金額の計算(略式別表四)
タックスプランニング · 法人税 / 別表四 / 交際費等の損金不算入 / 役員給与の損金不算入 / 養老保険の経理処理
サービス業を営むX株式会社(資本金1,000万円、青色申告法人、中小企業者等該当)の当期(平成29年4月1日~平成30年3月31日)に係る確定申告資料に基づき、略式別表四の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい(所得金額の計算上、有利な方法を選択すること)。 〈資料の要約〉 ・当期利益の額:5,164,685円 ・交際費等:支出総額17,700千円。うち1人当たり5,000円以下の飲食費(社外)900千円、これを除く接待飲食費15,000千円。 ・役員給与:取締役Aに対し、4月~9月は月額900千円、10月~3月は臨時改定事由なく月額1,350千円に増額(事前確定届出給与の届出なし)。 ・生命保険料:契約者X社、被保険者全役員・従業員、死亡保険金受取人遺族、満期保険金受取人X社の養老保険料3,000千円を全額損金経理。 ・損益計算書の法人税等:利子源泉所得税額15千円・復興特別所得税額315円、当期確定申告見積納税額5,500千円の合計5,515,315円。貸借対照表の未払法人税等は5,500千円。 ・当期納付した前期確定申告分の事業税:680千円。 ・源泉所得税等は法人税額から控除を選択。
解答・解説を表示
解答
① 5,500,000(円)、② 2,700,000(円)、③ 8,800,000(円)、④ 1,500,000(円)、⑤ 15,315(円)、⑥ 23,000,000(円)
解説
法人税の別表四では、企業会計上の当期純利益を基礎として、法人税法上の益金算入・損金算入および益金不算入・損金不算入の各調整を行い、課税所得金額を算出します。中小法人の交際費等損金不算入の特例や役員給与の損金不算入ルールを正確に適用することが求められます。
解き方
- 当期利益5,164,685円に損金経理した納税充当金5,500,000円を加算する。
- 役員給与の増額改定超過額(1,350千円-900千円)×6カ月=2,700,000円を加算する。
- 交際費等は5,000円基準除外後の16,800千円から定額控除限度額800万円を差し引いた8,800,000円を加算する。
- ハーフタックスプランの資産計上漏れ分1,500,000円を加算し、納付事業税680,000円を減算、控除所得税等15,315円を加算して所得金額を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:5,500,000
- 損金経理をした納税充当金は、当期確定申告分の未払法人税等の計上見積額であり、5,500,000円となります。
- 小問 ②:2,700,000
- 役員給与の期中増額についてやむを得ない改定事由等がない場合、増額前の月額を超える部分が損金不算入となります。(1,350千円-900千円)×6カ月=2,700,000円です。
- 小問 ③:8,800,000
- 1人当たり5,000円以下の社外飲食費900千円は交際費等から除外され、交際費等の額は17,700千円-900千円=16,800千円です。定額控除限度額(年800万円)方式を選択すると、不算入額は16,800千円-8,000千円=8,800,000円となり、接待飲食費50%算入(不算入額9,300千円)より有利となります。
- 小問 ④:1,500,000
- 全員加入の養老保険(ハーフタックスプラン)は保険料の2分の1を資産計上、残り2分の1を損金算入します。全額損金経理しているため、資産計上すべき3,000千円×1/2=1,500,000円が損金不算入(加算)となります。
- 小問 ⑤:15,315
- 預金利子から源泉徴収された所得税額15,000円と復興特別所得税額315円の合計額である15,315円を加算します。
- 小問 ⑥:23,000,000
- 所得金額は、当期利益5,164,685円+加算項目(①5,500,000+②2,700,000+③8,800,000+④1,500,000)-減算項目(事業税等680,000)+所得税額等加算(⑤15,315)=23,000,000円となります。
覚えるポイント
- 中小法人(資本金1億円以下)の交際費等は「年800万円までの定額控除」と「接待飲食費の50%損金算入」の有利選択が可能。
- 役員給与の定額改定事由のない期中増額は、増額前金額を超える部分が全額損金不算入となる。
間違えやすいところ
- 1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費等の支出総額から控除せずに800万円を差し引いてしまうミス。
- ハーフタックスプランの養老保険料全額を損金不算入にしてしまうミス(損金不算入は資産計上すべき2分の1部分のみ)。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定申告による納付すべき法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 税額控除 / 所得税額控除
《問57》で算出した所得金額(23,000,000円)および設例の条件に基づき、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい(計算過程を示し、100円未満を切り捨てて円単位で答えること)。
解答・解説を表示
解答
4,294,600(円)
解説
中小法人の法人税額は、課税所得のうち年800万円以下の部分に軽減税率(15%)、年800万円超の部分に本則税率(23.4%)を乗じて算出した合計額から、所定の税額控除(特別控除や所得税額控除等)を差し引いて計算します。最終的な納付税額は100円未満を切り捨てます。
解き方
- 所得金額23,000,000円を「800万円以下の部分」と「800万円超の部分」に区分し、それぞれの税率を乗じて算出法人税額を求める:8,000,000円×15%+15,000,000円×23.4%=4,710,000円。
- 算出法人税額から所得拡大促進税制の税額控除額400,000円および控除対象所得税等15,315円を控除する:4,710,000円-400,000円-15,315円=4,294,685円。
- 得られた金額の100円未満を切り捨てて、納付税額4,294,600円を算出する。
覚えるポイント
- 資本金1億円以下の中小法人は年800万円以下の所得に対して15%の軽減税率が適用される。
- 法人税の納付税額の端数処理は国税通則法により「100円未満切り捨て」となる。
間違えやすいところ
- 所得拡大促進税制の特別控除額(400千円)や源泉所得税等(15,315円)の控除を失念してしまうミス。
- 最終的な税額の100円未満切り捨てを忘れて4,294,685円のまま解答してしまうミス。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の申告手続および所得拡大促進税制
タックスプランニング · 法人税の中間申告 / 所得拡大促進税制
サービス業を営む中小企業者等であるX株式会社(事業年度:平成29年4月1日~平成30年3月31日)に関連して、法人税の中間申告および所得拡大促進税制に関する文章Ⅰ・Ⅱの下線部①~③の中からそれぞれ最も不適切なものを1つ選び、その適切な内容を簡潔に説明しなさい。
解答・解説を表示
解答
Ⅰ:③ 予定申告税額が10万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできない。 Ⅱ:② 雇用者給与等支給額の基準事業年度からの増加額の10%相当額に、基準事業年度からの増加額と前事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の12%相当額を加えた金額が税額控除額となる。
解説
法人税の中間申告は前事業年度実績を基にする予定申告または仮決算により行いますが、予定申告税額が10万円以下の場合は中間申告が不要であり仮決算申告も認められません。また、所得拡大促進税制では企業の賃上げ要件達成に応じた税額控除が規定されています。
解き方
- 文章Ⅰの各下線部を確認し、中間申告の提出要件および仮決算申告が制限される予定申告税額の基準(10万円以下)を照合する。
- 文章Ⅱの各下線部を確認し、平成29年度税制改正における中小企業者等の所得拡大促進税制の拡充された上乗せ税額控除割合(12%)を照合する。
答えの内訳
- Ⅰ:③(適切な内容:予定申告税額が10万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできない。)
- 予定申告税額(前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除し6を乗じた額)が10万円以下である場合は中間申告書の提出が不要とされており、仮決算による中間申告を行うこともできません。
- Ⅱ:②(適切な内容:雇用者給与等支給額の基準事業年度からの増加額の10%相当額に、基準事業年度からの増加額と前事業年度からの増加額のいずれか少ない金額の12%相当額を加えた金額が税額控除額となる。)
- 平成29年度税制改正後の所得拡大促進税制において、中小企業者等に対する上乗せ控除割合は10%ではなく12%相当額とされ、基準事業年度からの増加額の10%と合わせて最大22%の税額控除が認められます。
覚えるポイント
- 法人税の中間申告が不要となる基準は予定申告税額10万円以下であること
- 平成29年度税制改正の所得拡大促進税制における中小企業者等の上乗せ控除率は12%であること
間違えやすいところ
- 消費税の中間申告不要基準(直前の確定消費税額48万円以下等)や所得税の予定納税基準と法人税の10万円基準を混同しないようにする。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等(平成29年度税制改正反映)
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法の諸制限および不動産取得に係る税金
不動産 · 用途地域の制限 / 斜線制限 / 天空率 / 容積率緩和 / 不動産取得税 / 登録免許税
設例の甲土地(準住居地域150㎡、第一種中高層住居専用地域100㎡、近隣商業地域250㎡の計500㎡)について、建築基準法上の規制(用途地域、高さ制限、容積率緩和)および取得に係る税金(不動産取得税、登録免許税)に関する文章の空欄①~⑩に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① 近隣商業(地域) ② 隣地(斜線制限) ③ 北側(斜線制限) ④ 天空(率) ⑤ 12(m) ⑥ 5分の1 ⑦ 2分の1 ⑧ 120(万円) ⑨ 1.5(%) ⑩ 120(万円)
解説
建築基準法では敷地が跨る場合の用途制限の過半主義、斜線制限とその代替としての天空率、車庫部分等の容積率緩和を定めています。また土地取得に伴う税制では、宅地評価の特例(不動産取得税)や売買移転登記の軽減税率(登録免許税)が存在します。
解き方
- 建築基準法の各規定(用途地域の過半適用、各種斜線制限、天空率、特定道路緩和の幅員条件、車庫不算入限度)に該当する語句・数値を特定する。
- 固定資産課税台帳登録価格8,000万円を課税標準の基礎とし、不動産取得税(宅地特例1/2、本則標準税率3%)を計算する。
- 土地売買に係る登録免許税の軽減税率(1.5%)を課税標準8,000万円に乗じて納付額を算出する。
答えの内訳
- ①:近隣商業(地域)
- 建築物の敷地が異なる用途地域にわたる場合の用途制限は、その敷地の過半が属する地域の規定が適用されます(本問では近隣商業地域が該当)。
- ②:隣地(斜線制限)
- 建築基準法で規定される高さ制限のうち、隣地境界線からの距離に応じて高さを規制するものは隣地斜線制限です。
- ③:北側(斜線制限)
- 第一種・第二種低層住居専用地域および第一種・第二種中高層住居専用地域(日影規制適用除外時)に適用される高さ制限は北側斜線制限です。
- ④:天空(率)
- 斜線制限と同等以上の採光・通風等の環境を確保できると認められた場合、各斜線制限の適用を除外できる緩和規定が天空率です。
- ⑤:12(m)
- 特定道路(幅員15m以上)から70m以内の区間に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路について、容積率制限の緩和規定が設けられています。
- ⑥:5分の1
- 延べ面積の算定において、専ら自動車・自転車の停留または駐車のための用途に供する部分の床面積は、延べ面積の5分の1を限度として算入されません。
- ⑦:2分の1
- 不動産取得税において、取得した不動産が宅地である場合、固定資産税評価額の2分の1が課税標準額とされる特例が適用されます。
- ⑧:120(万円)
- 課税標準額は固定資産課税台帳登録価格8,000万円×1/2=4,000万円。標準税率3%を乗じて、4,000万円×3%=120万円となります。
- ⑨:1.5(%)
- 平成29年中の土地の売買による所有権移転登記に対する登録免許税の税率は、軽減税率により本則2.0%から1.5%に軽減されています。
- ⑩:120(万円)
- 課税標準である固定資産課税台帳登録価格8,000万円に軽減税率1.5%を乗じることで、8,000万円×1.5%=120万円と算出されます。
覚えるポイント
- 自動車車庫等の床面積不算入限度は延べ面積の5分の1まで
- 土地の売買による所有権移転登記の登録免許税の軽減税率は1.5%(2017年当時)
間違えやすいところ
- 特定道路の幅員(15m以上)と接続前面道路の幅員上限(12m未満)を取り違えやすいので注意する。
- 不動産取得税の宅地課税標準1/2の特例を忘れて登録価格全額に税率を乗じてしまう計算ミスに気をつける。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建ぺい率および容積率の限度計算
不動産 · 建ぺい率の緩和 / 容積率の制限 / 異なる用途地域にわたる敷地
甲土地(敷地面積500㎡)に耐火建築物を建築する場合における、①建ぺい率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。なお、甲土地は幅員15mの県道と幅員7mの県道に接する特定行政庁指定の角地であり、準住居地域(150㎡、指定建ぺい率60%、指定容積率300%、防火地域)、第一種中高層住居専用地域(100㎡、指定建ぺい率60%、指定容積率200%、準防火地域)、近隣商業地域(250㎡、指定建ぺい率80%、指定容積率400%、防火地域)にわたっている。
解答・解説を表示
解答
① 450㎡ ② 1,650㎡
解説
複数の用途地域や防火規制にまたがる敷地では、建ぺい率・容積率は各地域ごとの上限面積を算出して合計します。建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合は原則として厳しい方の規制が適用され、指定建ぺい率80%の地域で防火地域内に耐火建築物を建てる場合は制限が撤廃されます。
解き方
- 甲土地の各部分について、角地緩和や防火地域内の耐火建築物緩和を適用した建ぺい率を求め、各面積に乗じて合計する。
- 前面道路の最大幅員(15m)を基準として道路幅員制限と指定容積率を比較し、厳しい方を各部分に乗じて延べ面積上限を合計する。
答えの内訳
- ①:450(㎡)
- 敷地が防火地域と準防火地域にわたり耐火建築物を建築する場合、建築基準法の規定により建築物全体に防火地域の規定が適用されるため、準防火地域部分も防火地域内の耐火建築物として扱われます。 ・①準住居地域(150㎡):指定建ぺい率60%+角地緩和10%+防火地域内耐火建築物緩和10%=80% → 150㎡×80%=120㎡ ・②第一種中高層住居専用地域(100㎡):指定建ぺい率60%+角地緩和10%+防火地域内耐火建築物緩和10%=80% → 100㎡×80%=80㎡ ・③近隣商業地域(250㎡):指定建ぺい率80%かつ防火地域内耐火建築物のため建ぺい率制限なし(100%) → 250㎡×100%=250㎡ 建築面積の上限=120㎡+80㎡+250㎡=450㎡となります。
- ②:1,650(㎡)
- 甲土地は幅員15mと幅員7mの2つの道路に接しているため、最大幅員である15m道路が前面道路となります。前面道路幅員が12m以上あるため、道路幅員による容積率制限(住居系:15m×4/10=600%、近隣商業:15m×6/10=900%)は各地域の指定容積率を上回り、指定容積率がそのまま適用されます。 ・①準住居地域:150㎡×300%=450㎡ ・②第一種中高層住居専用地域:100㎡×200%=200㎡ ・③近隣商業地域:250㎡×400%=1,000㎡ 延べ面積の上限=450㎡+200㎡+1,000㎡=1,650㎡となります。
覚えるポイント
- 指定建ぺい率80%の地域で防火地域内に耐火建築物を建築すると建ぺい率の制限がなくなります(100%)。
- 2面以上が道路に接する場合、最大幅員の道路を前面道路として幅員による容積率制限を判定します。
間違えやすいところ
- 準防火地域部分について防火地域の耐火建築物緩和を見落として計算してしまうミスが多いです。
- 狭い方の前面道路幅員(7m)を用いて道路幅員による容積率制限を計算しないように注意が必要です。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の建築基準法等の法令
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の事業用資産の買換え特例適用時の課税譲渡所得金額および税額計算
不動産 · 特定の事業用資産の買換えの特例 / 概算取得費 / 長期譲渡所得の税額計算
Aさんが事業用資産である土地(譲渡価額1億2,000万円、所有期間15年、取得費不明、譲渡費用1,500万円)を譲渡し、甲土地(買換資産の取得価額9,000万円)を取得して「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(課税繰延割合80%)」の適用を受ける場合における、①課税長期譲渡所得金額、②所得税および復興特別所得税の合計額、③住民税額をそれぞれ求めなさい。なお、100円未満の端数は切り捨てること。
解答・解説を表示
解答
① 39,600,000円 ② 6,064,700円 ③ 1,980,000円
解説
特定の事業用資産の買換え特例(課税割合20%・繰延割合80%)では、買換資産の取得価額が譲渡価額未満の場合、買換資産取得額の20%相当分と取得額超過分が課税対象の収入金額となります。取得費および譲渡費用も課税対象収入の割合に応じて按分して控除します。
解き方
- 譲渡価額から買換資産取得価額×80%を控除して課税対象収入金額を計算する。
- 概算取得費(5%)と譲渡費用の合計額を課税対象割合(課税収入/譲渡価額)で按分し、控除して課税長期譲渡所得金額を求める。
- 所得税(15%)・復興特別所得税(所得税額の2.1%)および住民税(5%)を計算し、端数処理を行う。
答えの内訳
- ①:39,600,000(円)
- 買換資産の取得価額が譲渡価額未満である場合の課税対象収入金額は、120,000,000円-90,000,000円×80%=48,000,000円です。 取得費不明のため概算取得費は譲渡価額の5%(120,000,000円×5%=6,000,000円)となり、譲渡費用15,000,000円との合計は21,000,000円です。 対応する経費の額=21,000,000円×(48,000,000円/120,000,000円)=8,400,000円。 課税長期譲渡所得金額=48,000,000円-8,400,000円=39,600,000円となります。
- ②:6,064,700(円)
- 長期譲渡所得に係る所得税率は15%、復興特別所得税率は基準所得税額の2.1%です。 基準所得税額=39,600,000円×15%=5,940,000円 復興特別所得税額=5,940,000円×2.1%=124,740円 合計税額=5,940,000円+124,740円=6,064,740円 → 100円未満切り捨てにより6,064,700円となります。
- ③:1,980,000(円)
- 長期譲渡所得に係る住民税率は5%です。 住民税額=39,600,000円×5%=1,980,000円となります。
覚えるポイント
- 買換え特例において買換資産取得価額が譲渡価額未満の場合、課税対象収入金額=譲渡価額-買換資産取得価額×繰延割合(80%)となります。
- 取得費および譲渡費用も課税対象収入金額の比率で按分控除することを忘れないようにします。
間違えやすいところ
- 必要経費(取得費・譲渡費用)を全額そのまま控除してしまい、按分計算を忘れる誤りが頻出します。
- 復興特別所得税は課税所得金額ではなく「基準所得税額」に対して2.1%を乗じる点に注意が必要です。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の租税特別措置法および所得税法等の法令
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 中会社の大の斟酌率
X社の概要に基づき、同社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。なお、端数処理は各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満切捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満切捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満切捨てとすること。また、平成29年1月1日以後の評価方法を使用し、複数の方法がある場合はできるだけ低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
1,359円
解説
類似業種比準方式では、類似業種の株価に「配当」「利益」「純資産」の3要素の比準割合の平均値と会社の規模に応じた斟酌率(中会社の大は0.6)を乗じ、最後に1株当たりの資本金等の額に応じて換算します。平成29年1月1日以後の相続等では3要素の比重が均等(1:1:1)で計算されます。
解き方
- 1株当たりの資本金等の額(5,000万円÷10万株=500円)と、類似業種の株価の中で最も低い価額(192円)を確認する。
- 配当・利益・純資産の各比準割合を計算し、それぞれ小数点第2位未満を切り捨てたうえで、3要素の平均(比準割合)を求め小数点第2位未満を切り捨てる。
- 類似業種株価に比準割合と中会社の大の斟酌率(0.6)を乗じて50円当たりの株価を求め、10銭未満を切り捨てた後、1株当たりの資本金等の額500円に換算して円未満を切り捨てる。
覚えるポイント
- 平成29年改正後の類似業種比準方式では、利益の3倍加重平均が廃止され、3要素(配当・利益・簿価純資産)が均等(1:1:1)で配分されます。
間違えやすいところ
- 中会社の大の斟酌率0.6を掛け忘れるミスや、1株当たりの資本金等の額(500円÷50円=10倍)の乗算を忘れるミスに注意が必要です。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等(平成29年1月1日以後の評価方法)
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例等を踏まえた相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 生命保険金の非課税限度額 / 課税遺産総額の計算 / 相続税の総額の計算
Aさんが平成29年9月10日に死亡して相続が開始した場合における相続税の総額を求めなさい。なお、自宅の建物および敷地は妻Bさんが相続し、敷地については小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けるものとする。
解答・解説を表示
解答
7,036万円
解説
相続税の総額は、本来の財産とみなし相続財産から非課税枠や小規模宅地等の特例による減額分を控除して課税価格の合計額を求め、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除した課税遺産総額を法定相続分で按分して各税額を算出し、それらを合算して求めます。
解き方
- 自宅敷地について特定居住用宅地等の特例(限度面積330㎡、減額率80%)を適用し、生命保険金の非課税限度額(500万円×4人=2,000万円)を控除して、各財産の課税価格の合計額を計算する。
- 遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×4人=5,400万円)を算出し、課税遺産総額(36,360万円-5,400万円=30,960万円)を求める。
- 課税遺産総額を法定相続分(配偶者1/2、子3人が各1/6)に応じて按分し、速算表の税率・控除額を適用して各相続人の税額を求め、それらを合算する。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等の適用限度面積は330㎡で減額割合は80%です。敷地全体(400㎡)に80%を乗じないよう按分計算を行います。
間違えやすいところ
- 法定相続人の数え間違い(子3人と妻で計4人)や、生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の計算ミスに注意が必要です。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属からの各種贈与税の非課税の特例
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 教育資金の一括贈与の非課税 / 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
贈与税の非課税措置に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例〉 Ⅰ 「直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、所定の要件を満たすときは、受贈者ごとの非課税限度額までの金額について贈与税の課税価格に算入しない。 本特例の対象となる受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であり、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が( ① )万円以下であるなどの要件を満たす者とされている。本特例による非課税限度額は、住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日が平成29年中であり、当該住宅が一定の省エネ等基準に適合する場合、( ② )万円である」 〈直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例〉 Ⅱ 「個人が、教育資金に充てるため、その直系尊属と信託会社との間の教育資金管理契約に基づき信託の受益権を初めて取得した場合、その信託受益権の価額のうち( ③ )万円までの金額に相当する部分の価額(非課税拠出額)を限度として贈与税の課税価格に算入しない。 なお、受贈者が30歳に達したことにより教育資金管理契約が終了した場合において、その教育資金管理契約に係る非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額があるときは、その残額について受贈者が30歳に達した日の属する年の( ④ )税の課税価格に算入する」 〈直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例〉 Ⅲ 「個人が、結婚・子育て資金に充てるため、その直系尊属と信託会社との間の結婚・子育て資金管理契約に基づき信託の受益権を初めて取得した場合、その信託受益権の価額のうち( ⑤ )万円までの金額に相当する部分の価額(非課税拠出額)を限度として贈与税の課税価格に算入しない。 なお、結婚・子育て資金管理契約終了の日までの間に贈与者が死亡した場合、その贈与者の死亡の日における非課税拠出額から結婚・子育て資金支出額を控除した残額について( ⑥ )税の課税価格に加算する」
解答・解説を表示
解答
① 2,000(万円) ② 1,200(万円) ③ 1,500(万円) ④ 贈与(税) ⑤ 1,000(万円) ⑥ 相続(税)
解説
直系尊属から子や孫への生前資産移転を促す非課税特例(住宅取得等資金、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与)には、それぞれ受贈者の要件・非課税限度額・使途・契約終了時や死亡時の税務上の取扱いが明確に規定されています。
解き方
- 住宅取得等資金の贈与特例における受贈者の所得制限(2,000万円以下)および平成29年契約における省エネ等住宅の非課税枠(1,200万円)を確認する。
- 教育資金一括贈与の非課税限度額(1,500万円)と30歳満了時における残額の税区分(贈与税課税)を確認する。
- 結婚・子育て資金一括贈与の限度額(1,000万円)と贈与者死亡時における残額の税区分(相続税課税)を確認する。
答えの内訳
- ①:2,000(万円)
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例の受贈者の所得要件は、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることです。
- ②:1,200(万円)
- 契約締結日が平成29年中(消費税等8%等の場合)で、良質な住宅用家屋(省エネ等基準適合)を新築等する場合の非課税限度額は1,200万円(一般住宅は700万円)です。
- ③:1,500(万円)
- 教育資金の一括贈与の非課税特例における非課税拠出額の限度額は、受贈者1人につき1,500万円(学校等以外への支払は500万円限度)です。
- ④:贈与(税)
- 受贈者が30歳に達して契約が終了した時点で使い切れずに残った金銭等は、その契約終了日の属する年の受贈者の贈与税の課税価格に算入されます。
- ⑤:1,000(万円)
- 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税特例における非課税拠出額の限度額は、受贈者1人につき1,000万円(結婚関係の費用は300万円限度)です。
- ⑥:相続(税)
- 結婚・子育て資金管理契約期間中に贈与者が死亡した場合、管理残額は受贈者が贈与者から相続等により取得したものとみなされ、相続税の課税価格に加算されます。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与の終了時残額は受贈者に対する贈与税課税となるのに対し、結婚・子育て資金一括贈与における贈与者死亡時の残額は相続税課税(みなし相続財産)となる点。
- 教育資金一括贈与の限度額は1,500万円、結婚・子育て資金一括贈与の限度額は1,000万円である点。
間違えやすいところ
- 教育資金一括贈与と結婚・子育て資金一括贈与で、贈与者死亡時の残額の扱い(教育資金は当時の税制では死亡時加算なし、結婚子育ては死亡時残額が相続税課税)や終了時残額の取扱いを混同しやすいこと。
- 住宅取得等資金の契約年ごとの非課税限度額(質の高い住宅か一般住宅か、消費税率の適用区分)を取り違えること。
出題の前提:2017年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2017年9月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2017年9月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

