日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2017年1月 1級 学科(応用編)の概要
高年齢雇用継続基本給付金の受給要件および支給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 高年齢雇用継続基本給付金 / 給付率の算定
MさんがAさんに対して説明した、高年齢雇用継続基本給付金に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 「雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金は、原則として、60歳に達した日において一般被保険者であった期間が( ① )年以上であり、60歳以上65歳未満の支給対象月に支払われた賃金額(みなし賃金額を含む)が60歳到達時の賃金月額の( ② )%相当額を下回る場合に支給されます。Aさんについても、60歳以後も引き続き雇用保険の一般被保険者としてX社に勤務し、これらの要件等を満たせば、高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。 仮に、Aさんに対して支給対象月に支払われる賃金額を26万4,000円、60歳到達時の賃金月額(みなし賃金日額に30を乗じて得た額)を44万円とした場合、Aさんに支給される高年齢雇用継続基本給付金の額は、1支給対象月当たり( ③ )円となります。 なお、高年齢雇用継続基本給付金には、支給限度額や最低限度額が設けられており、これらの額は、原則として毎年( ④ )月1日に改定されます」
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解答
① 5 ② 75 ③ 39,600 ④ 8
解説
雇用保険の高年齢雇用継続給付は、高年齢者の就労意欲を喚起し定年後の雇用の継続を支援するため、60歳到達時点の賃金と比較して賃金が大きく低下(75%未満)した被保険者に対して支給される給付です。
解き方
- 受給資格要件である算定基礎期間(5年以上)および賃金低下率基準(75%未満)を確認する。
- 賃金低下率を計算(26.4万円÷44万円=60%)し、61%以下であるため支給率が15%となることを判定して支給額(26.4万円×15%=39,600円)を算出する。
- 支給限度額・最低限度額の改定時期が毎年8月1日であることを確認する。
答えの内訳
- ①:5
- 高年齢雇用継続基本給付金を受給するためには、原則として60歳到達時において雇用保険の被保険者であった期間(算定基礎期間)が通算して5年以上あることが必要です。
- ②:75
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の各支給対象月に支払われた賃金額が、60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下した場合に支給されます。
- ③:39,600
- 賃金の低下率は「264,000円 ÷ 440,000円 = 60%」となります。低下率が61%以下である場合の支給率は各支給対象月に支払われた賃金の15%となるため、「264,000円 × 15% = 39,600円」となります。
- ④:8
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給限度額や最低限度額は、毎月勤労統計調査の平均定期給与額の変動に基づき、原則として毎年8月1日に改定されます。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続基本給付金の算定基礎期間は通算5年以上必要である点。
- 賃金低下率が61%以下の場合は賃金の15%、61%超75%未満の場合は逓減する所定の計算式で計算される点。
間違えやすいところ
- 支給額の乗率を掛ける対象を「60歳到達時の賃金月額(44万円)」と誤認し、「44万円×15%」としてしまう計算ミス。
- 賃金改定月を年度初めの4月と混同してしまうこと(正しくは8月1日)。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の雇用保険法令に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
在職老齢年金および高年齢雇用継続給付による支給停止額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 在職老齢年金(60歳台前半) / 高年齢雇用継続基本給付金との併給調整 / 特別支給の老齢厚生年金
Aさんが定年退職後もX社に勤務し、62歳から特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を同時に受給する場合における在職老齢年金の年金額について、次の①および②に答えなさい(答は円単位)。 ① 高年齢雇用継続基本給付金との調整前の在職老齢年金の年金額はいくらか。 ② 高年齢雇用継続基本給付金との調整後の在職老齢年金の年金額はいくらか。 〈条件〉 ・60歳以後の賃金月額:26万4,000円 ・60歳以後の標準報酬月額:26万円(賞与の支給はない) ・60歳到達時の賃金月額:44万円 ・特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額:143万4,000円 ・支給停止調整開始額は平成28年度価額(28万円)を使用すること。 〈資料〉 支給停止基準額=(総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整開始額)× 1/2 × 12
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解答
① 837,000円 ② 649,800円
解説
60歳以上65歳未満の在職老齢年金(低在老)では、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整開始額(28万円)を超える場合に一定の計算式に基づき年金の一部または全部が支給停止されます。さらに高年齢雇用継続給付を受給する場合、低下率に応じて標準報酬月額の最高6%相当額が年金からさらに支給停止されます。
解き方
- 基本月額(1,434,000円÷12=119,500円)と総報酬月額相当額(260,000円)を求め、合計額(379,500円)と28万円を比較する。
- 与えられた算式「(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2×12」により年間支給停止額(597,000円)を計算し、本来年金額から控除して調整前の在職老齢年金額(837,000円)を求める。
- 賃金低下率(26.4万円÷44万円=60%)から併給調整率(6%)を特定し、標準報酬月額に基づく停止額(260,000円×6%×12=187,200円)を計算する。
- 調整前の在職老齢年金額から併給調整による停止額を差し引いて調整後の年金額(649,800円)を算出する。
答えの内訳
- ①:837,000円
- 基本月額は「1,434,000円 ÷ 12 = 119,500円」、総報酬月額相当額は賞与がないため「260,000円」です。 基本月額と総報酬月額相当額の合計は「119,500円 + 260,000円 = 379,500円」となり、支給停止調整開始額(28万円)を超えるため支給停止が行われます。 年間の支給停止額=(260,000円 + 119,500円 - 280,000円)× 1/2 × 12 = 99,500円 × 6 = 597,000円 よって、調整前の在職老齢年金額=1,434,000円 - 597,000円 = 837,000円となります。
- ②:649,800円
- 賃金低下率は「264,000円 ÷ 440,000円 = 60%」であり、61%以下であるため、高年齢雇用継続給付との調整による年金の支給停止額は標準報酬月額の6%相当額となります。 年金の支給停止額(月額)=260,000円 × 6% = 15,600円 年間の支給停止額=15,600円 × 12 = 187,200円 したがって、調整後の在職老齢年金額=837,000円(①の額)- 187,200円 = 649,800円となります。
覚えるポイント
- 60歳台前半の低在老の支給停止調整開始額は28万円(平成28年度価額)であること。
- 高年齢雇用継続給付との併給調整による年金支給停止率は、賃金低下率61%以下で標準報酬月額の最高6%であること。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付による年金停止額の計算において、掛ける対象を「標準報酬月額(26万円)」ではなく「実際の賃金(26.4万円)」としてしまうミス。
- 支給停止額そのものを答にしてしまい、年金額(本来の額から支給停止額を控除した受給可能額)を求め忘れるミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の厚生年金保険法および雇用保険法(平成28年度価額)に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の老齢給付(老齢基礎年金および老齢厚生年金)の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
定年退職後も再雇用制度を利用して勤務し、65歳で退職して以後は再就職しない予定のAさん(昭和32年2月25日生まれ・独身)が受給できる65歳からの公的年金の老齢給付について、以下の条件および資料に基づき、①老齢基礎年金の年金額、②老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)を求めなさい。なお、年金額は平成28年度価額とし、計算過程を示して円単位(円未満四捨五入)で解答すること。 〈条件〉 (1)厚生年金保険の被保険者期間 ・昭和54年4月~平成15年3月(288月) ・平成15年4月~平成34年1月(65歳到達時点、226月) (2)平均標準報酬月額および平均標準報酬額(65歳到達時点) ・平均標準報酬月額:40万円 ・平均標準報酬額:53万4,000円 ※学生期間(昭和52年2月~昭和54年3月)は国民年金に任意加入していない。 ※加給年金額は390,100円(要件を満たす場合のみ加算)。経過的加算の定額単価は1,626円、給付乗率は新乗率を用いる。
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解答
① 737,845円 ② 1,524,903円
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間(480月)に対する納付済月数の割合で按分して算出します。老齢厚生年金は、総報酬制導入前後の月数・標準報酬に応じた報酬比例部分と、基礎年金満額と厚生年金の定額部分との差額を埋める経過的加算を合計して求めます。
解き方
- 20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間の月数(454月)を特定し、老齢基礎年金額を算出する。
- 総報酬制導入前後のそれぞれの期間について新乗率を用いて報酬比例部分の額を計算する。
- 厚生年金の総被保険者月数(上限480月)を用いた定額部分から老齢基礎年金相当額を控除して経過的加算額を計算し、合算して円未満を四捨五入する。
答えの内訳
- ①:737,845円
- 老齢基礎年金の年金額(平成28年度満額:780,100円)は、20歳から60歳到達前月までの480月のうち、保険料納付済月数(厚生年金保険被保険者期間)に基づいて計算します。Aさんの20歳到達(昭和52年2月)から60歳到達前月(平成29年1月)までの480月のうち、学生時代の未加入期間26月を除く454月が納付済月数となります。 計算式:780,100円 × 454月 / 480月 = 737,844.58...円 → 737,845円(円未満四捨五入)
- ②:1,524,903円
- 老齢厚生年金(本来水準)は報酬比例部分と経過的加算額の合計です(加給年金は独身のため対象外)。 ⅰ)報酬比例部分: (a)平成15年3月以前分:400,000円 × 7.125 / 1,000 × 288月 = 820,800円 (b)平成15年4月以後分:534,000円 × 5.481 / 1,000 × 226月 = 661,467.204円 合計:820,800円 + 661,467.204円 = 1,482,267.204円 ⅱ)経過的加算額: 被保険者期間月数(上限480月)は総月数514月のため480月。20歳以上60歳未満の厚生年金期間は454月。 1,626円 × 480月 - 780,100円 × 454月 / 480月 = 780,480円 - 737,844.58...円 = 42,635.41...円 年金額合計:1,482,267.204円 + 42,635.41...円 = 1,524,902.62...円 → 1,524,903円(円未満四捨五入)
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の月数上限は480月であること。
- 60歳以降の厚生年金被保険者期間は老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、老齢基礎年金の受給額計算の月数(20歳~60歳)には含めないこと。
間違えやすいところ
- 60歳以降に勤務した被保険者月数(226月のうち平成29年2月以降の部分)を老齢基礎年金の計算分子に含めてしまうミス。
- 経過的加算の計算において、総月数514月をそのまま定額部分に乗じてしまい上限480月を適用し忘れるミス。
出題の前提:平成28年度価額(老齢基礎年金満額780,100円、定額単価1,626円)、2016年10月1日施行法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データに基づく財務指標(ROE、ROA、サスティナブル成長率等)の判定
金融資産運用 · 自己資本当期純利益率(ROE) / 総資産経常利益率(ROA) / サスティナブル成長率 / 配当性向
《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、MさんがAさんに対して説明した文章ⅠおよびⅡの下線部①~③のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、すべて期末の数値を使用すること。
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解答
Ⅰ:①(適切な自己資本当期純利益率は3.83%) Ⅱ:③(サスティナブル成長率は「ROE×(1-配当性向)」で算出する)
解説
財務分析における自己資本は、純資産の部合計から新株予約権および非支配株主持分を控除した額(株主資本+その他の包括利益累計額)を用います。また、サスティナブル成長率は自己資本利益率(ROE)と内部留保率の積として表されます。
解き方
- 文章Ⅰについて各下線部の数値を検証する。ROEの分母となる自己資本(1,672,000百万円)を正しく計算し、当期純利益(64,000百万円)を割って3.83%を導き、①が誤りであることを特定する。
- 文章Ⅱについて各下線部の定義を検証する。サスティナブル成長率はROAではなくROEを用いて算出するため、③が誤りであることを特定する。
答えの内訳
- Ⅰ:不適切なもの:① 適切な内容:平成28年3月期の自己資本当期純利益率は3.83%である。
- 自己資本当期純利益率(ROE)の計算において、分母の自己資本は「純資産の部合計-新株予約権-非支配株主持分」(または株主資本合計+その他の包括利益累計額合計)を用います。平成28年3月期の自己資本は 2,000,000百万円 - 2,600百万円 - 325,400百万円 = 1,672,000百万円です。親会社株主に帰属する当期純利益64,000百万円を自己資本1,672,000百万円で除すと 64,000 ÷ 1,672,000 × 100 = 3.8277...% となり、四捨五入して3.83%となります(下線部①の3.93%は株主資本のみを分母とした誤りです)。
- Ⅱ:不適切なもの:③ 適切な内容:サスティナブル成長率は、「ROE×(1-配当性向)」の算式で算出する。
- サスティナブル成長率は、外部からの資金調達を行わずに企業が維持できる成長率を示し、「ROE(自己資本当期純利益率)×(1-配当性向)」または「ROE×内部留保率」によって算出されます。下線部③の「ROA×(1-配当性向)」はROAを用いている点が誤りです。
覚えるポイント
- 自己資本 = 純資産合計 - 新株予約権 - 非支配株主持分 = 株主資本 + その他の包括利益累計額合計
- サスティナブル成長率 = ROE × (1 - 配当性向) = ROE × 内部留保率
間違えやすいところ
- 自己資本の計算において「その他の包括利益累計額」を除外して株主資本のみで計算してしまうミス(3.93%となってしまう)。
- サスティナブル成長率の公式でROEとROAを取り違えてしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日施行法令等に基づく財務諸表分析指標。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
インタレスト・カバレッジ・レシオおよび限界利益率の計算
金融資産運用 · 財務分析 / インタレスト・カバレッジ・レシオ / 限界利益率
《設例》の〈X社の財務データ〉に基づいて、①X社の平成28年3月期のインタレスト・カバレッジ・レシオと、②変動費が売上原価に等しいと仮定した場合のX社の平成28年3月期の限界利益率(貢献利益率)をそれぞれ求めなさい。計算にあたっては期末の数値を使用し、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
① 25.05倍 ② 21.25%
解説
インタレスト・カバレッジ・レシオは本業の稼ぎや金融収益で金融費用をどれだけカバーできているかを示す財務安全性の指標です。限界利益率は売上高に対する限界利益(売上高から変動費を引いた額)の割合を示し、損益分岐点分析などに用いられます。
解き方
- 営業利益に受取利息と受取配当金を加算した事業利益を算出し、支払利息で除してインタレスト・カバレッジ・レシオを計算する。
- 変動費が売上原価と等しいため売上総利益を限界利益とし、売上高で除して限界利益率を計算する。
答えの内訳
- ①:25.05倍
- インタレスト・カバレッジ・レシオは「(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払費用(支払利息・割引料)」で求められます。平成28年3月期の数値より、分子は 310,000+6,600+9,000=325,600(百万円)、分母は支払利息の 13,000(百万円)となります。325,600÷13,000=25.0461…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して25.05倍となります。
- ②:21.25%
- 変動費が売上原価に等しいと仮定した場合、限界利益は「売上高-売上原価=売上総利益」となります。限界利益率は「限界利益÷売上高×100」で算出されるため、売上総利益850,000百万円÷売上高4,000,000百万円×100=21.25%となります。
覚えるポイント
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子には営業利益だけでなく受取利息・配当金を含める。
間違えやすいところ
- 分子に経常利益を使用してしまったり、受取利息・配当金の加算を忘れるミスが多い。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2資産ポートフォリオの期待収益率および標準偏差の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ理論 / 期待収益率 / 標準偏差
《設例》の〈Yファンド・Zファンドの予想収益率〉に基づいて、YファンドとZファンドを6:4の割合で購入した場合の①ポートフォリオの期待収益率と②ポートフォリオの標準偏差をそれぞれ求めなさい。計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
① 3.70% ② 3.35%
解説
ポートフォリオの期待収益率は各シナリオの加重平均によって求められます。標準偏差は各シナリオの期待収益率からの乖離(偏差)の2乗に生起確率を乗じて求めた分散の平方根として計算されます。
解き方
- 各シナリオについて資産配分比率(6:4)を乗じてポートフォリオ収益率を算出し、生起確率を掛けて期待収益率を求める。
- 各シナリオのポートフォリオ収益率と期待収益率の差を2乗し、生起確率を乗じて合算して分散を求め、その平方根から標準偏差を計算する。
答えの内訳
- ①:3.70%
- 各シナリオにおけるポートフォリオの収益率は、シナリオ1が「10%×0.6+(-15%)×0.4=0%」、シナリオ2が「5%×0.6+10%×0.4=7%」、シナリオ3が「(-10%)×0.6+20%×0.4=2%」となります。これらに各生起確率を乗じて合算すると、0%×0.4+7%×0.5+2%×0.1=3.70%となります。
- ②:3.35%
- 各シナリオの偏差(収益率-期待収益率)の2乗に生起確率を乗じて分散を求めます。シナリオ1は (0-3.7)^2×0.4=5.476、シナリオ2は (7-3.7)^2×0.5=5.445、シナリオ3は (2-3.7)^2×0.1=0.289 となり、分散は 5.476+5.445+0.289=11.21 です。標準偏差は分散の平方根となるため、√11.21≒3.3481…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して3.35%となります。
覚えるポイント
- シナリオ分析におけるポートフォリオの標準偏差は、各シナリオのポートフォリオ収益率から計算すると容易になる。
間違えやすいところ
- 負の収益率の符号ミスや、分散から平方根を取らずに分散の値を解答としてしまう誤りに注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(扶養控除およびセルフメディケーション税制)
タックスプランニング · 扶養控除 / 医療費控除の特例 / セルフメディケーション税制
次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「Aさんは、同居している長女Cさん、二女Dさんおよび母Eさんに係る扶養控除の適用を受けることができる。このうち、長女Cさんは一般の控除対象扶養親族に該当するため、長女Cさんに係る扶養控除の控除額は( ① )万円である。他方、二女Dさんは( ② )に該当するため、二女Dさんに係る扶養控除の控除額は□□□万円である。また、母Eさんは、70歳以上であり、かつ、Aさんと同居しているため、母Eさんに係る扶養控除の控除額は□□□万円である。したがって、Aさんが平成28年分の所得税において適用を受けることができる扶養控除の合計控除額は、( ③ )万円である」 Ⅱ「平成28年度税制改正により、『特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例』(以下、『本特例』という)が創設された。本特例は、健康の保持増進および疾病の予防への取組みとして一定の取組みを行う個人が、平成29年1月1日から平成33年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入の対価(特定一般用医薬品等購入費)を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額が( ④ )円を超えるときは、その超える部分の金額を( ⑤ )円を上限としてその年分の総所得金額等から控除することができるものである。なお、本特例は、本特例を適用しない医療費控除との選択適用とされている」
解答・解説を表示
解答
① 38(または38万円) ② 特定扶養親族 ③ 159(または159万円) ④ 12,000(または12,000円、1万2,000) ⑤ 88,000(または88,000円、8万8,000)
解説
所得税の扶養控除は生計を一にする合計所得金額38万円以下の親族(16歳以上)を対象とし、年齢区分等(一般38万円、特定扶養親族63万円、同居老親等58万円など)に応じて控除額が異なります。またセルフメディケーション税制はスイッチOTC医薬品の年間購入額が1万2,000円を超える場合に最大8万8,000円を控除できる制度です。
解き方
- 扶養親族ごとの年齢と合計所得金額を確認し、該当する区分(一般、特定、老人等)とそれぞれの控除額を判定して合算します。
- セルフメディケーション税制の控除額算出における足切り額(12,000円)および控除上限額(88,000円)の制度規定を適用します。
答えの内訳
- ①:38
- 長女Cさん(24歳、収入なし)は、控除対象扶養親族のうち一般の控除対象扶養親族に該当するため、控除額は38万円となります。
- ②:特定扶養親族
- 二女Dさん(20歳、給与収入75万円=給与所得10万円で所得38万円以下)は、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満であるため「特定扶養親族」に該当します(控除額は63万円)。
- ③:159
- 母Eさん(80歳、年金収入70万円=公的年金等控除70万円で所得0円)は70歳以上で同居しているため「同居老親等」に該当し控除額は58万円です。よって扶養控除の合計額は、長女38万円+二女63万円+母58万円=159万円となります。
- ④:12,000
- セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)において、対象となるスイッチOTC医薬品の購入費用の合計額が12,000円を超える場合に適用を受けることができます。
- ⑤:88,000
- セルフメディケーション税制による所得控除の限度額は、支払った対象医薬品の購入費から12,000円を差し引いた金額について、88,000円が上限とされています。
覚えるポイント
- 扶養控除の額:一般38万円、特定(19歳以上23歳未満)63万円、老人扶養親族(同居老親等)58万円。
- セルフメディケーション税制の控除額:支払対価-12,000円(上限88,000円)。通常の医療費控除とは選択適用。
間違えやすいところ
- 特定扶養親族の年齢要件(19歳以上23歳未満)と、扶養控除の対象外となる16歳未満の年少扶養親族を混同しないこと。
- 同居老親等の控除額58万円と、同居以外の老人扶養親族の控除額48万円を取り違えないこと。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の事業所得の金額の計算
タックスプランニング · 事業所得 / 売上原価の計算 / 減価償却費 / 青色申告特別控除
設例の資料に基づいて、Aさんの平成28年分の事業所得の金額を求めなさい。計算にあたっては、正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳し、貸借対照表および損益計算書等を確定申告書に添付して申告期限内に提出するものとして、青色申告特別控除額を控除すること。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
21,600,000円(2,160万円)
解説
事業所得の金額は「総収入金額(売上高)-売上原価-その他の必要経費-青色申告特別控除額」により算出します。個人事業主の減価償却資産の法定償却方法は定額法であり、年の中途で事業供用した場合は月割計算を行います。また複式簿記による青色申告者には最高65万円の青色申告特別控除が適用されます。
解き方
- 売上原価を「年初商品棚卸高+当期仕入高-年末商品棚卸高」により算出し、売上高から控除して売上総利益を求めます。
- パソコン4台の減価償却費を計算します。個人の法定償却方法である定額法(耐用年数4年・償却率0.25)を用い、4月から12月までの9か月分を月割計算します:144万円×0.25×(9/12)=27万円。
- 売上総利益9,480万円から必要経費(7,228万円+減価償却費27万円=7,255万円)を差し引き、青色申告特別控除前所得2,225万円を求めます。
- 青色申告特別控除額65万円を控除し、事業所得の金額2,160万円を算出します。
覚えるポイント
- 個人事業主における減価償却資産の法定償却方法は「定額法」(法人は定率法)。
- 年中取得の減価償却費は「取得価額×定額法償却率×当年使用月数÷12」による月割計算。
- 売上原価=期首商品棚卸高+当期仕入高-期末商品棚卸高。
間違えやすいところ
- 個人の法定償却方法を定率法(0.5)と勘違いして計算してしまうこと(個人は届出がない限り定額法が法定)。
- 4月25日取得の場合の月数カウントを間違えたり、月割計算を忘れて年額全額を計上してしまうこと(4月供用開始のため4月~12月の9か月)。
- 資料で既に計上済みと注記されている必要経費に青色事業専従者給与を二重に加算してしまうこと。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の総所得金額および算出所得税額の計算
タックスプランニング · 所得税額の計算 / 損益通算 / 一時所得 / 事業所得
設例のAさんの平成28年分の各種所得に関する資料に基づき、Aさんの平成28年分の課税総所得金額に対する算出所得税額(税額控除前の金額)を計算しなさい。なお、所得控除の合計額は300万円とし、100円未満の端数は切り捨てること。
解答・解説を表示
解答
4,736,000円
解説
総所得金額を算出する際は、不動産所得で生じた損失のうち土地取得に係る負債利子部分が損益通算の対象外となる点や、一時所得の損失を他の一時所得の利益から控除できない点に留意して各種所得を正しく合算します。
解き方
- 事業所得の金額を算出する。売上原価=4,830万円+33,500万円-4,910万円=33,420万円、売上総利益=42,900万円-33,420万円=9,480万円。PCの減価償却費(法定定額法:144万円×0.25×9/12=27万円)を加えた必要経費=7,228万円+27万円=7,255万円。青色申告特別控除65万円を控除し、事業所得=9,480万円-7,255万円-65万円=2,160万円となる。
- 不動産所得と一時所得の金額を算出する。不動産所得の損失▲70万円のうち、土地取得に係る負債利子48万円は通算対象外となるため、通算できる損失は▲22万円。一時所得は終身保険の損失▲60万円を控除できず、変額個人年金の差益(640万円-500万円)から特別控除50万円を引いた90万円の1/2である45万円が算入される。
- 課税総所得金額および算出所得税額を計算する。総所得金額=2,160万円-22万円+45万円=2,183万円。課税総所得金額=2,183万円-300万円=1,883万円。速算表より、算出所得税額=1,883万円×40%-279万6,000円=4,736,000円となる。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち土地取得に係る借入金利子分は損益通算の対象外となる。
- 生命保険の解約返戻金等で発生した損失(元本割れ)は、他の一時所得の金額から控除することはできない。
間違えやすいところ
- 一時払終身保険の損失60万円を一時払変額個人年金保険の利益140万円から控除して差引80万円としてしまう誤り。
- 不動産所得の損失70万円全額を事業所得から差し引いて損益通算してしまう誤り。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · セットバック / 建ぺい率の緩和 / 容積率の制限 / 角地緩和
設例の甲土地(面積224㎡、長方形、指定建ぺい率60%、指定容積率300%、第二種住居地域・防火地域)に耐火建築物を建築する場合における、①建ぺい率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 168㎡、② 504㎡
解説
建築基準法第42条第2項道路に面する敷地ではセットバック面積を敷地面積から除外した上で、建ぺい率の各種緩和措置(角地+耐火建築物)や前面道路幅員による容積率制限を適用して上限面積を計算します。
解き方
- セットバック後の敷地面積を算出する。南側の2m市道は中心線から2m後退が必要なため、後退幅は1m。セットバック面積=14m×1m=14㎡。有効敷地面積=224㎡-14㎡=210㎡。
- 建ぺい率の上限と建築面積を算出する。指定建ぺい率60%に角地指定による緩和10%と防火地域内耐火建築物の緩和10%を加え、適用建ぺい率は80%。建築面積の上限=210㎡×80%=168㎡。
- 容積率の上限と延べ面積を算出する。前面道路幅員は広い方の6mを採用。道路幅員制限=6m×4/10=240%。指定容積率300%と比較して小さい240%が適用容積率となる。延べ面積の上限=210㎡×240%=504㎡。
答えの内訳
- ①:168㎡
- 幅員2mの市道(2項道路)の中心線から2m後退する必要があるため、後退距離は1mとなり、後退面積は間口14m×1m=14㎡です。敷地面積は224㎡-14㎡=210㎡となります。建ぺい率は指定60%に加え、特定行政庁指定の角地(+10%)および防火地域内の耐火建築物(+10%)の緩和が適用され合計80%となります。建築面積の上限=210㎡×80%=168㎡です。
- ②:504㎡
- 2つの前面道路のうち幅員の広い6m道路を基準とします。住居系地域の法定乗数4/10を乗じた道路幅員制限は6m×4/10=240%となり、指定容積率300%よりも厳しいため240%が上限となります。延べ面積の上限=敷地面積210㎡×240%=504㎡です。
覚えるポイント
- 2項道路の中心線から2m後退するセットバック部分は、敷地面積から除外して建ぺい率・容積率を計算する。
- 複数の前面道路がある場合、容積率の前面道路幅員制限は最も幅員の広い道路を基準として計算する。
間違えやすいところ
- セットバック面積(14㎡)を控除し忘れて、224㎡を基準に計算してしまう誤り。
- 容積率制限の算定で広い方の6m道路ではなく狭い方の道路幅員を用いてしまう誤り。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
バリアフリー・耐震改修の税制特例および特定の居住用財産の買換え特例
不動産 · バリアフリー改修促進税制 / 耐震改修に係る固定資産税の減額特例 / 特定の居住用財産の買換え特例
次の文章Ⅰ~Ⅲの空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「Aさんが自宅の建物について一定のバリアフリー改修工事を自己資金で行った場合、標準的な費用の額(補助金控除後)の( ① )%相当額を所得税額から控除できる。対象となる工事は標準的な費用の額が( ② )万円を超えるものであり、標準的な費用の限度額は( ③ )万円である」 Ⅱ「Aさんが自宅建物について一定の耐震改修工事を行った場合、翌年度分の固定資産税について、住宅1戸当たり床面積( ④ )㎡までの部分に対する税額の( ⑤ )相当額が減額される」 Ⅲ「『特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例』の適用要件は、譲渡資産の所有期間が譲渡年の1月1日において( ⑥ )年超かつ通算居住期間( ⑥ )年以上であること、譲渡対価が( ⑦ )円以下であること、買換資産の建物床面積が50㎡以上かつ敷地面績が( ⑧ )㎡以下であること等である」
解答・解説を表示
解答
① 10 ② 50 ③ 200 ④ 120 ⑤ 2分の1(または1/2) ⑥ 10 ⑦ 1億(または1億円) ⑧ 500
解説
住宅のリフォーム減税(所得税の税額控除・固定資産税の減額措置)および居住用財産の買換え特例には、政策目的に応じた工事費用要件、減額対象床面積、所有期間・居住期間・面積制限などの細かな要件が定められています。
解き方
- 文章Ⅰの所得税におけるバリアフリー改修促進税制の控除率(10%)、下限費用(50万円超)、費用限度額(200万円)を確認します。
- 文章Ⅱの耐震改修に伴う固定資産税の減額対象床面積上限(120㎡)および減額割合(2分の1)を確認します。
- 文章Ⅲの特定の居住用財産の買換え特例における所有・居住期間(10年)、譲渡対価上限(1億円以下)、買換敷地面積上限(500㎡以下)を確認します。
答えの内訳
- ①:10
- 既存住宅に係る特定のバリアフリー改修工事を行った場合の所得税の特別税額控除額は、標準的な工事費用相当額(補助金等控除後)の10%となります。
- ②:50
- バリアフリー改修促進税制の対象となる工事は、標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は控除後の金額)が50万円を超えるものと規定されています。
- ③:200
- バリアフリー改修工事に係る標準的な費用の額の控除対象限度額は200万円(税額控除限度額としては20万円)とされています。
- ④:120
- 耐震改修に伴う固定資産税の減額措置において、減額対象となる住宅1戸当たりの床面積の上限は120㎡までと定められています。
- ⑤:2分の1(または1/2)
- 一定の耐震改修工事を行った場合、改修完了年の翌年度分の建物に係る固定資産税額(120㎡相当分まで)の2分の1が減額されます。
- ⑥:10
- 特定の居住用財産の買換え特例の適用要件は、譲渡した年の1月1日時点において所有期間が10年超、かつ居住期間が通算10年以上であることです。
- ⑦:1億(または1億円、100,000,000)
- 特定の居住用財産の買換え特例の適用要件として、譲渡資産の譲渡対価の額が1億円以下であることが求められます。
- ⑧:500
- 特定の居住用財産の買換え特例における買換資産の要件は、建物の居住用床面積が50㎡以上、かつ敷地面積が500㎡以下であることです。
覚えるポイント
- 買換え特例は所有期間10年超・居住期間10年以上・譲渡対価1億円以下・買換敷地500㎡以下です。
- リフォームによる固定資産税の減額措置の床面積限度は原則として120㎡までとなります。
間違えやすいところ
- バリアフリー投資減税の控除率を住宅ローン控除の借入限度額割合等と混同しないように注意が必要です。
- 居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率は所有期間要件が「譲渡年1月1日時点で10年超」ですが買換え特例は通算「居住期間10年以上」も加わる点に注意します。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の税法および関係法令(所得税法、租税特別措置法、地方税法)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡所得に係る税額計算(買換え特例と3,000万円特別控除・軽減税率の比較)
不動産 · 特定の居住用財産の買換え特例 / 居住用財産の3,000万円特別控除 / 所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例 / 概算取得費
Aさんが以下の条件で自宅建物およびその敷地を譲渡・買換えた場合、次の各税額の合計額(所得税、復興特別所得税、住民税)を求めなさい(100円未満切捨て)。 ①「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合 ②「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)」の適用を受けた場合 〈条件〉 ・譲渡資産の譲渡価額:6,000万円 ・譲渡資産の取得費:不明(概算取得費を適用) ・譲渡費用:200万円 ・買換資産の取得価額:4,200万円
解答・解説を表示
解答
① 3,351,900円 ② 3,552,500円
解説
居住用財産の買換え特例では、買換資産の価額を超える部分が譲渡収入金額となり、必要経費も按分計算されます(軽減税率は重複適用不可)。一方、3,000万円特別控除と軽減税率の特例は併用が可能であり、それぞれの特例に応じた課税譲渡所得金額と適用税率を正確に計算して比較します。
解き方
- ①について、概算取得費(5%)と譲渡費用を合計し、譲渡資産価額と買換資産価額の差額割合に応じて収入金額および必要経費を按分計算し、長期譲渡所得税率(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税2.1%)で税額を算出して100円未満を切り捨てます。
- ②について、譲渡価額から経費(概算取得費+譲渡費用)および特別控除3,000万円を差し引いて課税長期譲渡所得金額を算出し、軽減税率(所得税10%、住民税4%、復興特別所得税2.1%)により税額を計算します。
答えの内訳
- ①:3,351,900円
- 買換え特例(譲渡価額>買換資産取得価額)を適用する場合: 1. 概算取得費=6,000万円×5%=300万円、譲渡費用=200万円(経費合計=500万円) 2. 収入金額=6,000万円-4,200万円=1,800万円 3. 必要経費=500万円×(1,800万円/6,000万円)=150万円 4. 課税長期譲渡所得金額=1,800万円-150万円=1,650万円 5. 税額計算(一般の長期譲渡所得税率:所得税15%、住民税5%。復興特別所得税は基準所得税額の2.1%): ・所得税額=1,650万円×15%=2,475,000円 ・復興特別所得税額=2,475,000円×2.1%=51,975円 ・住民税額=1,650万円×5%=825,000円 合計税額=2,475,000円+51,975円+825,000円=3,351,975円 100円未満を切捨てて、3,351,900円となります。
- ②:3,552,500円
- 3,000万円特別控除および軽減税率の特例を適用する場合: 1. 概算取得費=6,000万円×5%=300万円、譲渡費用=200万円 2. 課税長期譲渡所得金額=6,000万円-(300万円+200万円)-3,000万円=2,500万円 3. 軽減税率(6,000万円以下の部分:所得税10%、住民税4%。復興特別所得税は所得税額の2.1%): ・所得税額=2,500万円×10%=2,500,000円 ・復興特別所得税額=2,500,000円×2.1%=52,500円 ・住民税額=2,500万円×4%=1,000,000円 合計税額=2,500,000円+52,500円+1,000,000円=3,552,500円(100円未満切捨て後も同額)となります。
覚えるポイント
- 買換え特例適用時の課税対象収入は「譲渡価額-買換資産取得価額」となり、必要経費も同割合で按分されます。
- 特定の居住用財産の買換え特例と軽減税率の特例は重複適用できません。
間違えやすいところ
- 買換え特例適用時の必要経費の按分計算(経費合計×譲渡差額/譲渡価額)を忘れ、経費全額を差し引いてしまう誤りが多いです。
- 買換え特例による譲渡所得に軽減税率(10%・4%)を誤って適用しないよう注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の租税特別措置法(第31条の3、第35条、第36条の2)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の評価会社の判定基準および評価方式
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 特定の評価会社 / 株式保有特定会社 / 土地保有特定会社 / 比準要素数1の会社
取引相場のない株式の評価における特定の評価会社に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「特定の評価会社には、『株式保有特定会社』『土地保有特定会社』のほか、『比準要素数1の会社』『開業後( ① )未満の会社』などがある。評価会社が特定の評価会社に該当した場合、その株式は、原則として、純資産価額方式により評価する。ただし、特定の評価会社の株式であっても、同族株主以外の株主等が取得した場合には、その株式は( ② )方式により評価する。 『株式保有特定会社』は、課税時期において評価会社の総資産価額(相続税評価額)に占める株式および出資の価額の合計額(相続税評価額)の割合が( ③ )%以上である会社をいう。 『土地保有特定会社』は、課税時期において評価会社の総資産価額(相続税評価額)に占める土地等の価額の合計額(相続税評価額)の割合(土地保有割合)が評価会社の規模に応じて定められた一定割合以上である会社をいい、評価会社が大会社である場合、土地保有割合が( ④ )%以上であるときは土地保有特定会社に該当する。 『比準要素数1の会社』は、評価会社の類似業種比準価額の計算の基となる『1株当たりの配当金額』『1株当たりの利益金額』『1株当たりの純資産価額(帳簿価額)』のそれぞれの金額のうち、いずれか2要素がゼロであり、かつ、直前々期末を基準にしてそれぞれの金額を計算した場合に、それぞれの金額のうち、いずれか2要素以上がゼロである会社をいう。『比準要素数1の会社』の株式を同族株主が取得した場合、その株式は、原則として、純資産価額方式により評価するが、納税義務者の選択により、『類似業種比準価額×( ⑤ )+純資産価額×(1-( ⑤ ))』の算式により計算した金額によって評価することができる」
解答・解説を表示
解答
① 3年(または3年) ② 配当還元 ③ 50 ④ 70 ⑤ 0.25
解説
取引相場のない株式の評価では、一般的な事業実態を反映しにくい会社(開業後短期間の会社、株式や土地の保有割合が極端に高い会社、比準要素の大半がゼロの会社など)を「特定の評価会社」として指定し、類似業種比準価額方式の適用を原則排除して純資産価額方式等で評価します。
解き方
- 各特定の評価会社の名称・要件(開業後3年未満、株式保有割合50%以上、大会社の土地保有割合70%以上など)を確認する。
- 特定の評価会社における同族株主以外の例外(配当還元方式)および比準要素数1の会社の選択評価算式(類似業種比準価額に掛ける割合0.25)を確認する。
答えの内訳
- ①:3年(または3年)
- 特定の評価会社の一つである「開業後3年未満の会社等」に該当するため、空欄には「3年」(または「3」)が入ります。
- ②:配当還元
- 特定の評価会社の株式であっても、同族株主以外の株主等(少数株主)が取得した場合には、特例的な評価方式である「配当還元」方式により評価します。
- ③:50
- 株式保有特定会社とは、課税時期において総資産価額に占める株式および出資の価額の合計額の割合が50%以上である会社をいいます。
- ④:70
- 土地保有特定会社における土地保有割合の基準は、大会社の場合は70%以上、中会社・小会社の場合は90%以上とされています。
- ⑤:0.25
- 比準要素数1の会社の同族株主が取得した株式は、純資産価額方式のほか、選択により「類似業種比準価額×0.25+純資産価額×(1-0.25)」による評価が認められています。
覚えるポイント
- 土地保有特定会社は大会社が70%以上、中・小会社が90%以上。
- 比準要素数1の会社の折衷割合は類似業種比準価額に0.25、純資産価額に0.75を乗じる。
間違えやすいところ
- 株式保有特定会社の割合(50%以上)と土地保有特定会社の割合(70%/90%以上)を取り違えやすいので注意が必要です。
- 比準要素数1の会社の折衷算式で類似業種比準価額に乗じる割合(0.25)を0.50と誤認しないようにします。
出題の前提:平成28年10月1日現在施行の法令・財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 類似業種比準方式 / 大会社 / 比準割合
設例の資料に基づいて、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。なお、端数処理は、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。また、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、できるだけ低い価額となる方法を選択するものとする。
解答・解説を表示
解答
2,401円
解説
大会社の類似業種比準価額は、類似業種の株価に「配当・利益・純資産の3要素の比準割合」および「斟酌率(大会社は0.7)」を乗じて算定した50円当たりの価額を、評価会社の1株当たりの資本金等の額に応じて換算して求めます。
解き方
- 類似業種株価Aを選定する:課税時期の月(248円)、前月(241円)、前々月(239円)、前年平均(255円)、前々年平均(235円)のうち最も低い「235円」を選択する。
- 比準要素別の比準割合を計算する(小数点第2位未満切捨て):配当比準割合=3.1円÷2.6円=1.192...→1.19、利益比準割合=20円÷13円=1.538...→1.53、純資産比準割合=260円÷166円=1.566...→1.56。
- 比準割合を計算する(配当1・利益3・純資産1の加重平均、小数点第2位未満切捨て):(1.19+1.53×3+1.56)÷5=7.34÷5=1.468→1.46。
- 1株当たりの資本金等の額50円当たりの比準価額を計算する(大会社の斟酌率0.7、10銭未満切捨て):235円×1.46×0.7=240.17円→240.10円。
- X社株式1株当たりの資本金等の額を計算する:9,000万円÷180,000株=500円。
- X社株式1株当たりの類似業種比準価額を計算する(円未満切捨て):240.10円×(500円÷50円)=2,401円。
覚えるポイント
- 類似業種株価は、課税時期の属する月、前月、前々月、前年平均、前々年平均のうち最も低いものを選択できる。
- 平成28年10月現在の財産評価基本通達における比準割合の加重平均ウェイトは、配当:利益:純資産=1:3:1(分母は5)。
間違えやすいところ
- 端数処理(各比準割合・全体比準割合は小数点第2位未満切捨て、50円当たり株価は10銭未満切捨て)の段階を飛ばして最後に一括計算すると誤差が生じる。
- 評価会社の1株当たりの資本金等の額(本問では500円)への換算(500円/50円=10倍)を掛け忘れないように注意する。
出題の前提:平成28年10月1日現在施行の法令・財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の1株当たり純資産価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 純資産価額方式 / 評価差額に対する法人税額等相当額
X社の財務データ等に基づき、X社株式の1株当たりの純資産価額を計算しなさい。 〈X社の概要〉 ・資本金等の額:9,000万円、発行済株式総数:180,000株(普通株式) ・資産の相続税評価額合計:21億500万円(210,500万円)、帳簿価額合計:10億2,500万円(102,500万円) ・負債の相続税評価額合計:5億5,700万円(55,700万円)、帳簿価額合計:5億5,700万円(55,700万円) ※「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の算出にあたっては、平成28年4月1日以後に適用される法人税率等の合計割合を用いること。 ※計算過程を示し、答は円単位とすること。
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解答
純資産価額:6,380円
解説
純資産価額方式では、評価会社の課税時期における各資産を相続税評価額で評価し直した総資産価額から、各負債の金額および資産の評価差額(含み益)に対する法人税額等相当額を控除して純資産価額を算出し、これを発行済株式総数で除して1株当たりの価額を求めます。平成28年4月1日以後の評価に適用される法人税率等の合計割合は37%です。
解き方
- 資産の相続税評価額合計(210,500万円)から帳簿価額合計(102,500万円)を差し引いて評価差額(108,000万円)を求め、それに税率37%を乗じて評価差額に対する法人税額等相当額(39,960万円)を計算する。
- 相続税評価額による資産合計(210,500万円)から負債合計(55,700万円)および法人税額等相当額(39,960万円)を控除して株式評価上の純資産価額合計(114,840万円=1,148,400,000円)を算出する。
- 求めた純資産価額合計を発行済株式総数(180,000株)で除して1株当たりの純資産価額(6,380円)を算出する。
覚えるポイント
- 平成28年4月1日以後の相続・贈与等における評価差額に対する法人税額等相当額の割合は37%(改正前は38%)です。
- 純資産価額方式の計算において、除する株式数は自己株式を除く発行済株式総数を用います。
間違えやすいところ
- 評価差額を計算する際に負債の帳簿価額と混同したり、法人税率等の割合を改定前の38%や他の法定実効税率と取り違えたりしないように注意が必要です。
- 単位が「万円」で与えられているため、1株当たりの金額(円単位)を算出する際の桁数(0の数)の計算ミスに気をつけましょう。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以後の取得から評価差額に対する法人税率等相当額が37%に改定)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2017年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2017年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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