日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2017年1月 1級 学科(基礎編)の概要
健康保険の被保険者資格および被扶養者の認定基準
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 被保険者資格 / 短時間労働者の社会保険適用 / 被扶養者認定要件
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
健康保険の適用事業所に雇用される労働者は、通常の労働者の所定労働時間および所定労働日数の4分の3以上勤務する場合、雇用形態にかかわらず被保険者となります。また、法改正により兄姉の同一世帯要件が撤廃された点や、60歳以上の被扶養者の収入限度額が180万円未満となる特例など、被扶養者の認定要件の正確な理解が必要です。
解き方
- 短時間労働者が健康保険の一般の被保険者となる要件(4分の3基準)を確認する。
- 特定適用事業所における短時間労働者の適用拡大要件(契約期間1年以上見込み等)の有無を判断する。
- 被扶養者認定における親族ごとの同居要件(同一世帯要件)の改正点を確認する。
- 被扶養者認定における対象者の年齢区分(60歳未満は130万円、60歳以上・障害者は180万円)に応じた収入要件を照合する。
- 選択肢 1正解
- 短時間労働者であっても、1週間の所定労働時間および1カ月間の所定労働日数が同一事業所の通常労働者の4分の3以上であれば、1日の所定労働時間にかかわらず健康保険の被保険者となります。
- 選択肢 2不正解
- 従業員数500人超の特定適用事業所における短時間労働者の社会保険適用には、週20時間以上、月額賃金8.8万円以上のほか、「雇用期間が1年以上見込まれること」等の要件が必要であり、雇用契約期間にかかわらず適用されるわけではありません。
- 選択肢 3不正解
- 平成28年10月の法改正により、兄姉についての同居要件(同一世帯要件)が撤廃されたため、主として被保険者により生計を維持されていれば、別居であっても被扶養者として認定されます。
- 選択肢 4不正解
- 被扶養者として認定されるための年間収入要件は原則130万円未満ですが、認定対象者が60歳以上である場合または一定の障害者である場合は「180万円未満」となります。
覚えるポイント
- 4分の3基準を満たせば原則被保険者となる
- 兄姉の被扶養者認定における同居要件は平成28年10月に撤廃された
- 60歳以上または障害者の被扶養者認定基準は年収180万円未満
間違えやすいところ
- 平成28年10月改正前の「兄姉には同居要件が必要」という旧規定と混同しやすい
- 60歳以上の被扶養者収入限度額を通常の130万円未満と誤認しやすい
出題の前提:2016年10月1日現在施行の健康保険法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険制度の仕組み(保険料・認定手続き・介護報酬)
ライフプランニングと資金計画 · 公的介護保険 / 要介護認定 / 要介護更新認定 / 介護保険料 / 介護報酬
公的介護保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
公的介護保険における要介護認定は申請日に遡って効力が生じますが、新規認定と更新認定では有効期間や手続き時期の規定が異なります。また、被用者保険における介護保険料率は全国一律である点や、事業者の介護報酬の支払いスケジュールなど、実務的な制度運用規定の正確な把握が求められます。
解き方
- 協会けんぽにおける介護保険料率の決定方式(全国一律か都道府県別か)を確認する。
- 新規要介護認定の原則的な有効期間(原則6カ月)を確認する。
- 更新認定の申請可能期間(有効期間満了日の60日前から満了日まで)を照合する。
- 指定事業者が受け取る介護報酬の請求先および支払時期(通常はサービス提供月の翌々月)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 協会けんぽの一般保険料率は都道府県ごとに定められていますが、介護保険料率(介護第2号被保険者負担分)は全国一律で定められています。
- 選択肢 2不正解
- 初めて要介護認定を受けた場合、効力は申請日に遡及しますが、新規認定の有効期間は原則として「6カ月間」です(市町村の判断で3〜12カ月の設定が可能)。
- 選択肢 3正解
- 要介護更新認定の申請は、原則として有効期間満了日の60日前から満了日までの間に行うことができます。
- 選択肢 4不正解
- 介護報酬は、指定事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)等に請求を行い、審査を経て原則としてサービス提供月の「翌々月」(約2カ月後)に支払われます。
覚えるポイント
- 協会けんぽの介護保険料率は全国一律
- 新規要介護認定の有効期間は原則6カ月
- 更新認定の申請期間は有効期間満了の60日前から満了日まで
間違えやすいところ
- 協会けんぽの一般保険料率(都道府県別)と介護保険料率(全国一律)を混同しやすい
- 新規認定の有効期間(原則6カ月)と更新認定の有効期間(原則12カ月)を取り違えやすい
出題の前提:2016年10月1日現在施行の介護保険法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の各種給付(介護休業給付・高年齢求職者給付等)
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 高年齢求職者給付金 / 介護休業給付金 / 受給期間の延長 / 高年齢雇用継続基本給付金
雇用保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
雇用保険の高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が失業した場合に一時金として支給される給付であり、算定基礎期間に応じて支給日数が30日分または50日分と定められています。
解き方
- 各選択肢の給付内容(介護休業給付率、受給期間延長、高年齢雇用継続給付の算定対象月、高年齢求職者給付日数)の正誤を確認する。
- 高年齢求職者給付金の支給日数は1年未満が30日分、1年以上が50日分であるため、選択肢4が不適切であると判定する。
- 選択肢 1不正解
- 適切です。平成28年8月1日以後に開始した介護休業から、介護休業給付金の支給率は休業開始時賃金日額×支給日数の67%(従来の40%から引き上げ)となっています。
- 選択肢 2不正解
- 適切です。60歳以上の定年等による離職者が一定期間求職の申込みをしないことを希望する場合、離職日の翌日から2カ月以内に申し出ることで、本来の受給期間1年に加えて最長1年間延長(合計最長2年)することができます。
- 選択肢 3不正解
- 適切です。60歳到達時点でみなし被保険者期間が5年未満であっても、60歳以降も継続雇用されて通算5年に達したときは、その達した日の属する月から65歳到達月まで高年齢雇用継続基本給付金の受給対象となります。
- 選択肢 4正解
- 不適切です。高年齢求職者給付金の支給日数は、算定基礎期間が1年未満の場合は30日分、1年以上の場合は50日分です。100日分ではありません。
覚えるポイント
- 高年齢求職者給付金の支給日数は30日分(1年未満)または50日分(1年以上)の一時金支給であること。
間違えやすいところ
- 一般の基本手当の所定給付日数(90日~など)と混同して、高年齢求職者給付金の日数を多く思い込んでしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の雇用保険法等の法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の遺族給付(中高齢寡婦加算・寡婦年金・受給権)
ライフプランニングと資金計画 · 遺族年金 / 中高齢寡婦加算 / 寡婦年金 / 受給権の失権
公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
2
解説
国民年金法において、寡婦年金は老齢基礎年金を受けるまでのつなぎ給付としての性格を持つため、受給権者が繰上げ請求等により自らの老齢基礎年金の受給権を取得した場合は、寡婦年金の受給権が失権(消滅)します。
解き方
- 各選択肢の規定(中高齢寡婦加算の要件、寡婦年金と老齢基礎年金の併給調整、年金額改定時期、再婚時の受給権消滅と子の権利)を検討する。
- 選択肢2について、繰上げ老齢基礎年金を受給したときは寡婦年金が「支給停止」ではなく「消滅」することを確認し、不適切と判定する。
- 選択肢 1不正解
- 適切です。夫の死亡時に40歳以上で子のある妻が、子の年齢到達等によって遺族基礎年金の受給権が消滅した際、妻が40歳以上65歳未満であれば遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
- 選択肢 2正解
- 不適切です。寡婦年金の受給権を持つ妻が繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したときは、寡婦年金は支給停止されるのではなく受給権が消滅(失権)します。
- 選択肢 3不正解
- 適切です。年金の受給権者数等の増減により年金額を改定すべき事由が生じたときは、その事由が生じた日の属する月の翌月から年金額が改定されます。
- 選択肢 4不正解
- 適切です。配偶者が再婚した場合、配偶者の受給権は消滅しますが、子の受給権は消滅せず、配偶者の受給により支給停止されていた子の遺族基礎年金等の支給停止が解除されます。
覚えるポイント
- 寡婦年金は受給権者が65歳に達したとき、または繰上げ老齢基礎年金の受給権を取得したときに受給権が消滅すること。
間違えやすいところ
- 他の公的年金受給との関係で「支給停止」と「失権(受給権の消滅)」を混同してしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の国民年金法・厚生年金保険法等の法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金法の改正事項(平成28年改正)
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCoの加入者拡大 / 拠出限度額の年単位化 / 受給開始可能年齢
平成28年5月に成立した「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」に基づく確定拠出年金制度の改正事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
確定拠出年金(DC)の老齢給付金は高齢期の所得確保を目的としているため、原則として60歳未満で受給を開始することは認められていません。平成28年改正法では加入対象者の拡大や拠出限度額の年単位化、中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)の創設などが盛り込まれましたが、老齢給付金の受給開始最低年齢(60歳)は維持されています。
解き方
- 平成28年5月成立の確定拠出年金法等の一部を改正する法律における主な改正項目(iDeCoの加入資格拡大、年単位拠出、小規模事業主掛金納付制度の創設)を確認する。
- 確定拠出年金の老齢給付金の受給開始要件を確認し、受給開始年齢の下限が60歳であることを適用して誤りの記述(55歳受給開始)を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 平成28年改正により、2017年1月から第3号被保険者(専業主婦等)や公務員等共済加入者、企業年金加入者にも個人型年金(iDeCo)の加入対象が拡大されました。
- 選択肢 2不正解
- 掛金の拠出限度額の管理単位が月単位から年単位(1年を通じた枠管理)へと変更され、賞与時等の年単位拠出が可能となりました。
- 選択肢 3不正解
- 企業年金を実施していない従業員数100人以下(当時)の中小企業を対象に、従業員のiDeCo掛金に事業主が上乗せ拠出できる小規模事業主掛金納付制度(iDeCo+)が創設されました。
- 選択肢 4正解
- 老齢給付金の受給開始年齢の下限は60歳(通算加入者等期間10年以上)であり、通算加入者等期間が15年以上あっても55歳からの受給開始は認められていません。
覚えるポイント
- 確定拠出年金の老齢給付金の受給開始可能年齢は最短でも60歳から。
- 平成28年改正によりiDeCoは第3号被保険者や公務員等にも門戸が開かれた。
間違えやすいところ
- 通算加入者等期間が10年に満たない場合は受給開始可能年齢が61歳〜65歳へと繰り下がりますが、10年以上あっても60歳未満に繰り上がることはありません。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(平成28年5月成立「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」関連事項)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度の概要と給付基準
ライフプランニングと資金計画 · 中小企業退職金共済 / 退職金の支給基準 / 掛金助成制度 / 分割払いの要件
中小企業退職金共済(中退共)制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
中小企業退職金共済制度は、中小企業の従業員の福祉増進と雇用の安定を図る制度です。掛金納付月数に応じた給付額の水準(元本割れ期間・元本相当額期間・利息付加期間)や、国による掛金助成の割合、分割払いの受給要件など、正確な数値基準の理解が必要です。
解き方
- 各選択肢の制度要件(契約継続要件、掛金増額助成割合、分割払いの金額要件、納付月数ごとの支給額)を検証する。
- 掛金納付月数が12〜23カ月は掛金総額未満、24〜42カ月は掛金総額相当額、43カ月以上で掛金総額超となる中退共の基本支給基準に照らし、記述4が正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 企業規模の拡大等によって中小企業者の要件に該当しなくなった事業主は、原則として退職金共済契約を継続することはできず、解約等の手続きが必要となります。
- 選択肢 2不正解
- 掛金月額が18,000円以下の従業員の掛金を増額する場合の国の助成は、増額分の「2分の1」ではなく「3分の1」相当額(増額月から1年間)です。
- 選択肢 3不正解
- 退職金の全額分割払い(10年分割)を選択するための退職金額基準は300万円以上ではありません(一部一時金・一部分割払いの要件等と混同)。全額分割払いは10年分割で160万円以上、5年分割で80万円以上で選択可能です。
- 選択肢 4正解
- 中退共の退職金額は、掛金納付月数が12カ月以上23カ月以下の場合は掛金納付総額を下回り、24カ月以上42カ月以下の場合は掛金納付総額相当額となります(43カ月以上で上回る)。
覚えるポイント
- 中退共の納付月数基準:11カ月以下はゼロ、12〜23カ月は元本未満、24〜42カ月は元本相当額、43カ月以上は元本超。
- 掛金増額時の国の助成は増額分の「3分の1」(新規加入時の助成は原則「2分の1」)。
間違えやすいところ
- 中退共では自己都合退職か会社都合(定年)退職かによる支給率の差はなく、納付月数と掛金月額で一律に計算されます。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(中小企業退職金共済法)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
フラット35(買取型)の借入要件および返済方法
ライフプランニングと資金計画 · 住宅ローン / フラット35 / 総返済負担率
住宅金融支援機構の「フラット35(買取型)」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
住宅金融支援機構のフラット35(買取型)では、返済負担率基準(年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下)やすべての借入れを含めた算定、機構独自の技術基準適合証明書の取得、購入価額上限(1億円以下)などの要件が定められています。
解き方
- フラット35における総返済負担率の判定基準(年収による区分および合算対象借入金)を確認する。
- 住宅の適合基準、購入価額上限、返済方法(ボーナス併用の借入比率上限)の各要件と選択肢を照合して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 総返済負担率は、フラット35を含むすべての借入れの年間合計返済額を対象に、年収400万円未満は30%以下、年収400万円以上は35%以下で判定するため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 新築住宅・中古住宅のいずれを取得する場合であっても、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを証明する適合証明書の交付を受ける必要があります。
- 選択肢 3不正解
- フラット35を利用する対象住宅の購入価額(新築の場合は建設費または購入価額)は、消費税相当額を含めて1億円以下でなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 返済方法は元利均等毎月払いまたは元金均等毎月払いであり、ボーナス併用払いを利用する場合はボーナス返済分の元金が借入金額の40%以内(1万円単位)である必要があります。
覚えるポイント
- 総返済負担率は「年収400万円未満30%・以上35%」であり、他の借入れを含めた年間返済額で計算する。
間違えやすいところ
- 借入限度額(8,000万円)と住宅の購入価額の上限(1億円以下)を混同しないように注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
福祉医療機構の年金担保融資制度
ライフプランニングと資金計画 · 年金担保融資 / 福祉医療機構 / 融資限度額 / 返済方法
独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
独立行政法人福祉医療機構(WAM)の年金担保融資制度は、年金証書等を担保に小口資金を貸し付ける唯一の公的融資制度です(新規受付は2022年3月末で終了)。融資限度額は年金年額の0.8倍以内、返済額は支給額の3分の1以下などの厳格な基準が設けられていました。
解き方
- 担保対象となる年金の種類(老齢・障害・遺族年金等)を確認する。
- 融資限度額(200万円、生活必需物品80万円、年金額の0.8倍以内)の基準を確認する。
- 返済額の制限(1回の年金支給額の3分の1以下、下限1万円)および取扱金融機関(農協やゆうちょ銀行は除外)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 老齢年金だけでなく、国民年金や厚生年金保険の障害年金および遺族年金も担保対象となるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 融資限度額は200万円(生活必需物品の購入は80万円)かつ年間の年金支給額の「0.8倍以内」とされているため不適切です(1.0倍ではありません)。
- 選択肢 3正解
- 1回当たりの返済額(定額返済額)は、年金受給1回あたりの支給額の3分の1以下であり、下限は1万円(1万円単位)と定められているため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 受付窓口となる受取口座金融機関に農業協同組合(JA)や郵便局(ゆうちょ銀行)などは含まれていないため不適切です。
覚えるポイント
- 福祉医療機構の年金担保融資の限度額は年金額の「0.8倍以内」、1回の返済上限は年金支給額の「3分の1以下」である。
間違えやすいところ
- 農業協同組合(JA)やゆうちょ銀行は年金担保融資の受託金融機関に含まれない点を見落とさないようにする。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険法における告知義務・時効・受取人変更・経過措置
リスク管理 · 保険法 / 告知義務 / 消滅時効 / 遺言による保険金受取人変更 / 重大事由解除
保険法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
保険法は保険契約に関する基本ルールを定めた民法の特別法であり、告知義務の質問応答義務化、保険金請求権等の消滅時効(3年)、遺言による保険金受取人変更の許容、モラルリスク排除のための重大事由解除(過去契約への遡及適用を含む)などが明文化されています。
解き方
- 保険法における消滅時効の規定(保険給付請求権や保険料返還請求権等は3年)を確認する。
- 告知義務(質問応答義務)、遺言による保険金受取人変更、経過措置(重大事由解除の遡及適用)の各規定の妥当性を照合して誤りを含む選択肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 保険法第37条等の規定により、保険契約者または被保険者になる者は、保険者が告知を求めた事項(質問事項)について事実を告知する「質問応答義務」を負うとされており、記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 保険法第95条により、保険給付を請求する権利や保険料の返還を請求する権利、解約返戻金請求権の消滅時効は「3年間」と定められており、2年とする本肢は誤り(最も不適切)です。
- 選択肢 3不正解
- 保険法第44条等の規定により、生命保険契約の保険契約者は、被保険者の同意を得て、遺言により死亡保険金受取人を変更することができます。
- 選択肢 4不正解
- 保険法の規定は原則として2010年4月1日の施行日以後の契約に適用されますが、モラルリスク対策である重大事由による解除規定については、施行日前に締結された契約にも適用されます。
覚えるポイント
- 保険法上の保険給付請求権・保険料返還請求権・返戻金請求権の消滅時効はすべて3年(保険料請求権は1年)。
- 告知義務は能動的告知ではなく、保険者から聞かれた事項に答える「質問応答義務」である点。
間違えやすいところ
- 保険料を請求する権利の消滅時効(1年)や旧商法時代の期間と混同して、保険金請求権を2年と勘違いしやすい。
- 重大事由による解除が施行日前の既存契約にも適用される特例(経過措置)を見落とすこと。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の保険法
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
団体信用生命保険の仕組みと税務
リスク管理 · 団体信用生命保険 / 契約関係 / 生命保険料控除 / 相続税の課税関係
住宅ローンを利用する際に加入する団体信用生命保険の一般的な商品性等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
団体信用生命保険(団信)は、金融機関等を保険契約者および保険金受取人とし、住宅ローン債務者を被保険者とする団体保険です。債務者が死亡・高度障害等になった際に支払われる保険金は金融機関が受領して融資の返済に充当されるため、受取人が債務者本人・遺族ではないことから税制上の取扱いが一般の生命保険とは大きく異なります。
解き方
- 団信の契約形態(契約者・受取人=金融機関等、被保険者=債務者)を整理する。
- 保険料算出方法(年齢・性別によらず一律レート)および生命保険料控除の適用の可否(契約者・受取人が金融機関等のため対象外)を確認する。
- 死亡保険金支払時の相続税の取扱い(受取人が金融機関で残債務当充となるため、保険金は課税価格に不算入、住宅ローン残債も債務控除不可)を照合して適切な選択肢を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 団体信用生命保険は、契約者および保険金受取人が債権者である「金融機関等」であり、被保険者が「住宅ローン利用者(債務者)」となるため、保険金受取人を債務者とする本肢は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 団信の保険料率は通常、被保険者の加入時年齢や性別にかかわらず一律とされており、ローン残高(債務残高)に応じて計算されるため、年齢や性別に応じて算出されるとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 団体信用生命保険の契約者および保険金受取人は金融機関等であるため、特約部分の保険料を金利上乗せ等で実質的に債務者が負担している場合であっても、利用者の生命保険料控除の対象とはならず誤りです。
- 選択肢 4正解
- 団信の保険金は受取人である金融機関に直接支払われ債務の弁済に充当されるため、相続人が受け取る「みなし相続財産」には該当せず、相続税の課税価格に算入されません(適切です)。
覚えるポイント
- 団信の契約形態:契約者・保険金受取人=金融機関、被保険者=住宅ローン債務者。
- 団信の死亡保険金は相続税の対象外。ただし、充当された住宅ローン債務も債務控除の対象にできない。
間違えやすいところ
- 一般の生命保険のように「みなし相続財産として500万円×法定相続人の数の非課税枠が使える」と誤認しやすい。
- 団信の特約保険料を個人が負担している場合に「生命保険料控除の介護医療料控除の対象になる」と誤認しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の所得税法・相続税法及び金融商品実務
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が加入する短期払定期保険の経理処理
リスク管理 · 法人保険の税務 / 短期払定期保険 / 前払保険料
X株式会社(契約者=保険料負担者、死亡保険金受取人)が、代表取締役社長(加入時42歳)を被保険者として、保険期間30年、保険料払込期間10年、年払保険料90万円の定期保険(無配当・特約なし)に平成29年1月に加入した場合における、第1回保険料払込時の適切な経理処理(仕訳)を選択しなさい。
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解答
3
解説
法人が契約者および死亡保険金受取人となる定期保険において、保険料払込期間が保険期間より短い短期払契約の場合、払込期間中に支払う保険料のうち当期の保険期間に対応する平準化額のみを期間の経過に応じて損金算入し、それを超える部分は前払保険料として資産計上します。
解き方
- 総払込保険料を計算する:年払保険料90万円 × 払込期間10年 = 900万円。
- 1年あたりの対応保険料(損金算入限度額)を求める:総支払保険料900万円 ÷ 保険期間30年 = 30万円(定期保険料)。
- 支払保険料90万円から当期損金算入額30万円を差し引き、差額60万円を前払保険料(資産)として仕訳する。
- 選択肢 1不正解
- 保険期間と払込期間が同一の全期払であれば全額損金算入となりますが、本問は短期払であるため支払保険料全額を定期保険料とすることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 支払保険料の半額を資産計上する処理は長期平準定期保険等の一定基準によるものであり、本問の短期払の平準化計算(損金30万円・資産60万円)とは異なります。
- 選択肢 3正解
- 保険期間30年に対して払込期間10年であるため、年払保険料90万円のうち1年相当額の30万円を定期保険料として損金処理し、残額60万円を前払保険料として資産計上するため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 損金算入額は保険期間30年に対応する年間30万円であり、15万円とする本処理は誤りです。
覚えるポイント
- 法人の短期払定期保険は、保険期間全体で平準化した金額を損金算入し、超過分は前払保険料(資産)として処理する。
間違えやすいところ
- 受取人が法人の定期保険だからといって全額損金になると誤認して選択肢1を選ばないよう注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(当時の法人税基本通達9-3-5の2)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の課税関係
リスク管理 · 個人年金保険 / 解約返戻金 / 保証期間付終身年金 / 為替差損益
個人が契約する個人年金保険の税務・課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選択しなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
個人年金保険において、年金開始後に将来の年金をまとめて一時金として受け取った場合は年金給付の一括受取として雑所得になります。また、解約時の差益は外貨建てであっても為替差益を分離せず全体を一時所得等として扱い、金融類似商品における源泉分離課税の対象からは終身年金が除外されています。
解き方
- 年金支払開始後に保証期間分の年金を一括受領した場合の税制上の取扱いを確認する(一時所得ではなく雑所得)。
- 他の選択肢の金融類似商品の範囲(終身年金は対象外)、外貨建解約差益の区分(為替差益を雑所得に分離しない)、相続税評価時の為替レート(原則としてTTB)の誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 一時払個人年金保険であっても「終身年金」は金融類似商品から除外されているため、5年以内に解約した場合でも源泉分離課税ではなく一時所得(総合課税)の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 外貨建て個人年金保険を解約した場合、為替差益と保険差益を区分することなく、解約返戻金相当額と既払込保険料の円換算額の差額全体が一時所得として課税されます。
- 選択肢 3正解
- 年金支払開始日以後に保証期間分の年金額を一括して受給した一時金は、年金給付の前払的性質を持つため雑所得として課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 相続税の課税価格を計算する際、外貨建ての保険金を邦貨に換算するレートは、原則として課税時期(死亡日)の対顧客電信買相場(TTB)を用います(TTMではありません)。
覚えるポイント
- 年金支払開始後の保証期間分年金の一括受領は「雑所得」となる。
- 外貨建て財産の相続税評価における邦貨換算レートは原則として「TTB」を用いる。
間違えやすいところ
- 一時金として受け取ったことから一時所得と勘違いしやすいが、年金開始後の一括受取は雑所得となる点に注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級別割引・割増制度
リスク管理 · 自動車保険 / ノンフリート等級別料率制度 / 等級ダウン事故
任意の自動車保険(保険期間1年)のノンフリート等級別割引・割増制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
ノンフリート等級別割引・割増制度は1〜20等級で構成され、無事故であれば翌年度に1等級進行します。対人・対物賠償等の一般事故は3等級ダウンとなりますが、火災・盗難・台風等の不可抗力に近い事故は改定により等級すえおき事故が廃止され、「1等級ダウン事故」に位置づけられています。
解き方
- 各選択肢で発生した保険金支払事由(無事故、対物賠償、車両盗難、人身傷害単独)の事故種別(3等級ダウン、1等級ダウン、ノーカウント)を判別する。
- 事故種別ごとの等級変動ルールを適用し、更新後の等級と合致しているか確認して最も不適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 新規契約時の基本等級は原則として6等級(複数所有新規などは7等級)であり、1年間無事故であれば翌年は1等級上がって7等級となります。
- 選択肢 2不正解
- 対物賠償保険金が支払われる事故は「3等級ダウン事故」に該当するため、13等級から3等級下がって更新後の等級は10等級となります。
- 選択肢 3正解
- 自動車の盗難による車両保険金の支払いは「1等級ダウン事故」となるため、更新後の等級は1等級下がって9等級になります。
- 選択肢 4不正解
- 人身傷害(補償)保険金のみが支払われる事故は「ノーカウント事故」として扱われ、他に事故がなければ1等級上がって9等級となります。
覚えるポイント
- かつての「等級すえおき事故(盗難・落書き・飛び石等)」は制度改定により「1等級ダウン事故」に変更された点。
間違えやすいところ
- 車両盗難や台風・飛び石による損害を旧制度の「等級すえおき」と誤認してしまう点。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任特約の補償範囲
リスク管理 · 損害保険 / 個人賠償責任特約 / 補償の対象・免責条項
各種損害保険に付帯することができる個人賠償責任(補償)特約(以下、「本特約」という)の一般的な補償内容に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
個人賠償責任特約は、日常生活における偶然な事故や居住用住宅の所有・使用・管理に起因して他人にケガをさせたり財物を損壊させたりした場合の法律上の損害賠償責任を補償します。業務遂行、受託品の損壊、車両等の運行、故意による損害は免責事由となります。
解き方
- 個人賠償責任保険(特約)の対象事故(日常生活、居住用不動産の所有・管理)と免責事由(業務、受託品、自動車等の運行、故意)を整理する。
- 一時的に居住の用に供する住宅(別荘など)の管理に起因する事故が対象に含まれるかを確認し、誤っている記述を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 他人から預かった物(受託品・借用物)を壊した損害賠償責任は、受託品免責により本特約の補償対象外となります(受託物賠償特約等が必要)。
- 選択肢 2正解
- 被保険者が居住の用に供する住宅には別荘等の一時的に居住する住宅も含まれるため、その管理に起因する偶然な事故も補償の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 自転車運転中の事故は補償対象となりますが、自動車や原動機付自転車の所有・使用・管理に起因する事故は自動車保険等で担保されるため対象外です。
- 選択肢 4不正解
- 被保険者等の故意によって生じた損害賠償責任は、保険の基本原則および免責条項により補償の対象外となります。
覚えるポイント
- 個人賠償責任特約の対象住宅には本宅だけでなく「別荘等の一時的居住用住宅」も含まれる。
間違えやすいところ
- 借り物・預かり物(受託品)の破損も個人賠償責任保険で補償されると誤解しやすい点(免責対象)。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が受け取る損害保険金と保険差益の圧縮記帳
タックスプランニング · 法人税法 / 保険差益の圧縮記帳 / 代替資産の要件
法人が受領する損害保険金および法人税法上の圧縮記帳の適用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人税法上の保険差益の圧縮記帳は、固定資産の滅失等に伴い受け取った保険金で滅失等の日以後に同一種類の代替固定資産を取得した場合に、課税の繰延べを認める制度です。棚卸資産や滅失前に既に着工・取得されていた資産は対象外です。
解き方
- 滅失した資産および取得する代替資産が「固定資産」であるか、また「同一の種類」に該当するかを判定する。
- 代替資産が滅失等の日以後に取得または着工されたものであるか、保険金支払との時系列関係を確認して適用可否を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 代替資産の判定における「同一の種類」とは耐用年数省令の区分(建物、構築物、機械装置等)によるため、用途が工場から倉庫に変わっても同じ「建物」であれば圧縮記帳の対象となります。
- 選択肢 2正解
- 代替資産は原則として滅失等の日以後に取得・着工される必要があります。滅失した時点で既に建設中であった建物は滅失資産の代替として着工されたものではないため、圧縮記帳の対象になりません。
- 選択肢 3不正解
- 固定資産が滅失した日以後に取得した代替資産であれば、保険金の額が確定する前に先行して取得した場合であっても、所定の要件を満たせば圧縮記帳の適用対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 法人税法第47条に基づく保険差益の圧縮記帳の対象資産は「固定資産」に限られており、商品などの棚卸資産の滅失により受け取った保険金は圧縮記帳の対象外です。
覚えるポイント
- 保険差益の圧縮記帳の対象は「固定資産」に限定され、棚卸資産(商品等)は対象外となる。
間違えやすいところ
- 建物の用途(工場と倉庫)が異なっていても、固定資産の種類区分(建物)が同一であれば圧縮記帳が認められる点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
景気動向指数の構成系列と採用経済指標
金融資産運用 · 景気動向指数 / 先行系列 / 一致系列 / 遅行系列
内閣府が公表する景気動向指数に採用されている経済指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
内閣府の景気動向指数は、景気に対し先行して動く「先行系列」、ほぼ同時に動く「一致系列」、遅れて動く「遅行系列」の3つの系列に各経済統計指標を分類・統合して算出されます。
解き方
- 設問で挙げられている各経済指標が、景気に対して「先行」「一致」「遅行」のいずれに分類されているかを確認する。
- 「新設住宅着工床面積」が先行系列に該当していることを確認し、他の選択肢の系列区分(在庫指数・失業率・消費者態度指数)の誤りを排除する。
- 選択肢 1正解
- 新設住宅着工床面積(国土交通省)は、景気の先行きを予測する指標として景気動向指数の「先行系列」に採用されています。
- 選択肢 2不正解
- 鉱工業用生産財出荷指数および耐久消費財出荷指数は一致系列ですが、最終需要財在庫指数は「遅行系列」に採用されています。
- 選択肢 3不正解
- 完全失業率(逆サイクル)は、景気の変動に遅れて雇用動向が反映されるため「遅行系列」に採用されています(一致系列の代表的雇用指標は有効求人倍率)。
- 選択肢 4不正解
- 消費者態度指数(二人以上の世帯・実質)は、消費者のマインドを反映し景気に先行して動くため「先行系列」に採用されています。
覚えるポイント
- 新設住宅着工床面積や消費者態度指数は先行系列、有効求人倍率は一致系列、完全失業率は遅行系列に分類される。
間違えやすいところ
- 完全失業率は景気の遅行系列であるのに対し、有効求人倍率(除学卒)は一致系列であるという分類の違いを混同しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令・公表基準等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資法人の仕組みと制度
金融資産運用 · 投資信託 / 投資法人 / 導管性要件
投資法人(会社型投資信託)の仕組みや法令上の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
投資法人は資産運用を目的とするペーパーカンパニーであり、資産運用や保管、一般事務はすべて外部委託が義務付けられています。また、法人税と投資主への配当の二重課税を避けるため、一定の要件(導管性要件)を満たすことで配当を損金算入できます。
解き方
- 投資法人の機関設計および外部委託義務の規定を確認する。
- 配当可能利益の90%超の分配規定が投信法上の義務か、税法上の導管性要件であるかを判別する。
- 選択肢 1不正解
- 投資法人は実質的な業務執行を行う従業員を雇うことができず、資産運用業務、資産保管業務、一般事務(投資主総会・役員会の運営や計算事務等)のすべてを外部に委託しなければなりません。
- 選択肢 2正解
- 配当可能利益の90%超を分配することは、租税特別措置法上の導管性要件(配当等の額を損金算入するための要件)であり、投信法上分配が義務付けられているわけではないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 投資法人は投資口の追加発行や投資法人債・短期投資法人債の発行のほか、既存投資主に対する新投資口予約権無償割当て(ライツ・オファリング)による資金調達が認められています。
- 選択肢 4不正解
- 東京証券取引所等には、主力の不動産投資法人(J-REIT)に加え、ベンチャーファンドや太陽光発電設備等を対象とするインフラファンドが上場されています。
覚えるポイント
- 配当可能利益の90%超分配は投信法ではなく税法(導管性要件)の規定であること
- 投資法人は実体を持たないペーパーカンパニーであり業務は原則すべて外部委託となること
間違えやすいところ
- 「配当可能利益の90%超の分配」を投信法上の義務と混同してしまうケース
- 投資法人が発行できる社債(投資法人債・短期投資法人債)の資金調達手段を限定的と誤認するケース
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地方債の種類と発行形態
金融資産運用 · 債券 / 地方債 / 公募地方債
地方公共団体が発行する地方債の種類や発行形態に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
地方債には、市場で広く投資家に募る市場公募地方債(全国型公募債、共同発行公募債、住民参加型公募債)と、金融機関等との直接協定等によって引き受けられる銀行等引受地方債(縁故債)等があります。
解き方
- 市場公募地方債の種類(全国型、共同発行、住民参加型)とその発行団体の特徴を整理する。
- 全国型市場公募地方債の発行主体が「すべての都道府県」であるかどうかを確認し、誤りを判定する。
- 選択肢 1正解
- 全国型市場公募地方債はすべての都道府県が発行しているわけではなく、財政状況や資金調達方針等に応じて一部の都道府県や指定都市等が発行しているため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 共同発行市場公募地方債は、単独で公募債を発行しにくい団体を含む複数の地方公共団体が共同して発行し、参加全団体が連帯債務を負う形で毎月発行されています。
- 選択肢 3不正解
- 銀行等引受地方債(縁故債)は、地方公共団体の指定金融機関等からの直接借入れや債券引受けによって資金調達を行う地方債です。
- 選択肢 4不正解
- 住民参加型市場公募地方債(ミニ公募債)は住民等を主な購入対象としますが、購入対象者を地域外の投資家に制限しない銘柄も存在します。
覚えるポイント
- 全国型市場公募地方債の発行体は「すべての都道府県」ではなく一部であること
- 共同発行公募地方債は参加団体が連帯債務を負い、原則として毎月発行されること
間違えやすいところ
- 全国型市場公募地方債が「全都道府県」で発行されていると思い込んでしまう誤り
- 共同発行債の連帯債務方式(発行総額全体について連帯して責任を負う)を個別債務と混同する誤り
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の信用取引の仕組みと規制
金融資産運用 · 信用取引 / 制度信用取引 / 一般信用取引 / 委託保証金
株式の信用取引に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
信用取引には、金融商品取引所(証券取引所)の規則により対象銘柄や返済期日(最長6カ月)等のルールが一律に決められている「制度信用取引」と、投資家と証券会社の間で返済期限等を柔軟に取り決める「一般信用取引」があります。委託保証金率は原則30%以上かつ最低30万円が必要です。
解き方
- 制度信用取引と一般信用取引の取引所規制および証券会社裁量の相違点を確認します。
- 買方金利・売方金利の決定主体が証券会社である点、および制度信用取引における弁済期限の繰延べ不可のルールに照らして誤りを判定します。
- 選択肢 1正解
- 買方金利や売方金利(貸株料)の利率は証券取引所ではなく各証券会社が独自に定めています。また、制度信用取引の弁済期限は最長6カ月と定められており、期限の繰延べは認められていません。
- 選択肢 2不正解
- 制度信用取引の貸借銘柄で売り建てが増加して株不足が生じた場合は品貸料(逆日歩)が発生しますが、証券会社が独自に株等を調達する一般信用取引では逆日歩は発生しません。
- 選択肢 3不正解
- 委託保証金は約定代金の30%以上かつ最低30万円以上必要です。約定価額80万円の30%は24万円ですが、最低保証金額の30万円を下回るため、30万円以上の差し入れが必要となります。
- 選択肢 4不正解
- 信用取引の委託保証金は、所定の掛け目(国債は95%、上場株式は80%など)を乗じて評価した代用有価証券をもって現金に代えることができます。
覚えるポイント
- 制度信用取引の返済期限は最長6カ月で延長不可であること
- 委託保証金は売買代金の30%以上かつ最低30万円以上が必要であること
間違えやすいところ
- 委託保証金の最低金額(30万円)を見落とし、単に30%を乗じた金額で足りると誤認すること
- 制度信用取引の金利まで取引所が一律決定していると誤解すること
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令・金融商品取引所規則
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データからのサスティナブル成長率の算出
金融資産運用 · サスティナブル成長率 / ROEの分解(デュポンシステム) / 内部留保率 / 財務比率分析
下記の〈財務指標〉から算出されるサスティナブル成長率として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈財務指標〉 売上高純利益率 5.50% 使用総資本回転率 0.80回 自己資本比率 50.00% 配当性向 28.00%
解答・解説を表示
解答
3
解説
サスティナブル成長率は、外部からの増資等を行わずに内部留保資金のみによって達成可能な企業の持続的成長率を示し、「自己資本利益率(ROE)× 内部留保率(1 - 配当性向)」で算出されます。ROEはデュポンシステムにより「売上高純利益率 × 総資本回転率 × 財務レバレッジ(1/自己資本比率)」に分解できます。
解き方
- 財務レバレッジを算出する:1 ÷ 自己資本比率(50.00%) = 2.0倍
- デュポン分解によりROEを計算する:売上高純利益率(5.50%) × 使用総資本回転率(0.80回) × 財務レバレッジ(2.0倍) = 8.80%
- 内部留保率を算出する:100% - 配当性向(28.00%) = 72.00%
- サスティナブル成長率を計算し四捨五入する:8.80% × 72.00% = 6.336% → 6.34%
- 選択肢 1不正解
- 1.58%は計算手順や適用指標を誤った誤答数値です。
- 選択肢 2不正解
- 2.46%はROEに配当性向を乗じるなど誤った算式によって導かれた数値です(8.80% × 28% ≒ 2.46%)。
- 選択肢 3正解
- ROE 8.80%(5.50% × 0.80 × (1 / 0.50))に内部留保率72.00%(1 - 0.28)を乗じると6.336%となり、四捨五入して6.34%が算出されます。
- 選択肢 4不正解
- 9.90%は計算手順や適用指標を誤った誤答数値です。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率 = ROE × 内部留保率(1 - 配当性向)
- 財務レバレッジ = 総資本 ÷ 自己資本 = 1 ÷ 自己資本比率
間違えやすいところ
- 内部留保率(1 - 配当性向)を用いるべきところで配当性向をそのまま乗じてしまうこと
- 自己資本比率を財務レバレッジに変換する際に逆数にするのを忘れて乗じてしまうこと
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定率成長配当割引モデルによる期待成長率の算出
金融資産運用 · 株式の投資指標 / 配当割引モデル / サスティナブル成長率
株価が600円で期待利子率が5%、予想配当が14円の場合、定率で配当が成長して支払われる配当割引モデル(ゴードン・モデル)により計算した当該株式の配当に対する期待成長率として、最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
3
解説
定率成長配当割引モデル(ゴードン・モデル)では、株価を「次期予想配当 ÷ (投資家の要求収益率・期待利子率 - 配当の期待成長率)」として理論づけます。この恒等式を変形することにより、市場価格と予想配当および期待利子率から市場が織り込んでいる期待成長率を逆算できます。
解き方
- ゴードン・モデルの公式『株価 P = 予想配当 D ÷ (期待利子率 r - 期待成長率 g)』を適用します。
- 数値を代入して『600 = 14 ÷ (0.05 - g)』より『0.05 - g = 14 ÷ 600 ≒ 0.02333』を計算します。
- 期待成長率 g = 0.05 - 0.02333… = 0.02666… を求め、小数点以下第3位を四捨五入して2.67%を導きます。
- 選択肢 1不正解
- 2.22%は、誤って株価で配当利回り相当を計算した際などの誤計算値であり不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 2.55%は、計算式の移項や代入値を誤った結果導かれる数値であり不適切です。
- 選択肢 3正解
- ゴードン・モデルの算式『600 = 14 ÷ (0.05 - g)』から g ≒ 2.67%が正しく算出されます。
- 選択肢 4不正解
- 7.33%は、期待利子率と配当利回りを誤って加算(0.05 + 14/600)した数値であり不適切です。
覚えるポイント
- ゴードン・モデルの基本算式:株価 = 予想配当 ÷ (期待利子率 - 期待成長率)
間違えやすいところ
- 分母の「期待利子率 - 期待成長率」を「期待利子率 + 期待成長率」と混同して計算すること。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令・金融理論等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
追加型株式投資信託の複数回買付後の分配後個別元本の計算
金融資産運用 · 投資信託 / 個別元本 / 普通分配金と元本払戻金(特別分配金)
下記のとおり3回に分けて同一銘柄の公募追加型株式投資信託を購入した場合において、第3回目の購入後に初めて収益分配金が支払われた後の個別元本として、最も適切なものはどれか。なお、収益分配金落ち前の基準価額(1万口当たり)は9,300円とし、手数料や税金等は考慮しないものとする。 ・第1回目購入:購入口数200万口、基準価額9,200円 ・第2回目購入:購入口数100万口、基準価額8,500円 ・第3回目購入:購入口数100万口、基準価額9,500円 ・収益分配金(1万口当たり):500円
解答・解説を表示
解答
1
解説
追加型株式投資信託を同一口座で複数回購入した場合の個別元本は、移動平均法(加重平均)により算出されます。収益分配金落ち後の基準価額が分配前の個別元本を下回る場合、その下回る部分の額が非課税の元本払戻金(特別分配金)となり、受取後の個別元本はその払戻額だけ修正(減少)されて分配落ち後の基準価額と同額になります。
解き方
- 3回の購入について加重平均により分配前個別元本を計算します:(200×9,200 + 100×8,500 + 100×9,500) ÷ 400 = 9,100円。
- 分配落ち後の基準価額を計算します:9,300円 - 500円 = 8,800円。
- 分配落ち後基準価額(8,800円)が分配前個別元本(9,100円)を下回るため、差額300円が元本払戻金(特別分配金)となります。
- 分配後の個別元本を求めます:9,100円 - 300円 = 8,800円。
- 選択肢 1正解
- 分配前個別元本9,100円から元本払戻金(特別分配金)300円を差し引いた8,800円が正しい分配後個別元本です。
- 選択肢 2不正解
- 9,100円は分配前の個別元本であり、元本払戻金(特別分配金)による元本修正が反映されていないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 9,200円は3回の基準価額の単純平均値((9200+8500+9500)/3≒9067円)とも異なり、口数按分も分配金調整も誤っています。
- 選択肢 4不正解
- 9,400円は分配金による元本控除ではなく加算等の誤った処理を行った数値であり不適切です。
覚えるポイント
- 個別元本は加重平均で算出。分配落ち後基準価額<個別元本の場合、その差額が元本払戻金となり、分配後個別元本=分配落ち後基準価額となる。
間違えやすいところ
- 分配金全額を普通分配金と勘違いして、分配前個別元本(9,100円)をそのまま分配後個別元本として選んでしまうこと。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令・投信関係規則等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座の仕組みと損益通算・課税関係
金融資産運用 · 特定口座 / 源泉徴収選択口座 / 損益通算 / 配偶者控除
特定口座(源泉徴収なしの「簡易申告口座」および源泉徴収ありの「源泉徴収選択口座」)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
特定口座は上場株式等の譲渡損益の計算を証券会社が行う制度です。「源泉徴収あり(源泉徴収選択口座)」では口座内で配当等と譲渡損失の損益通算が可能ですが、通算計算は年間を通して年末に行われ、確定申告不要を選択すれば合計所得金額に算入されません。
解き方
- 簡易申告口座(源泉徴収なし)の特徴と配当等の受入れ可否、勘定変更の期日要件を確認する。
- 源泉徴収選択口座における配当等と譲渡損失の損益通算のタイミング(年末一括計算)および確定申告不要時の合計所得金額の取扱いを照合して誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 上場株式等の配当等や利子等を受け入れて口座内で自動的に損益通算できるのは源泉徴収選択口座(源泉徴収あり)に限られ、簡易申告口座(源泉徴収なし)には受け入れることができません。
- 選択肢 2不正解
- 特定口座における「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の区分変更は、その年最初の譲渡等(解約や差金決済を含む)を行う前であれば変更手続きが可能です。
- 選択肢 3正解
- 源泉徴収選択口座での配当等と譲渡損失の通算は、配当等の支払の都度行われるのではなく、年末に年間の損益を一括して通算計算し、翌年年初に超過徴収税額が還付されます。
- 選択肢 4不正解
- 源泉徴収選択口座内の譲渡益について確定申告不要制度を選択して申告しなかった場合、配偶者控除や扶養控除の判定基準となる合計所得金額には算入されません。
覚えるポイント
- 特定口座の源泉徴収あり・なしの変更はその年最初の譲渡等の前まで可能
- 配当等と譲渡損失の通算は年末一括処理で翌年初に還付される
間違えやすいところ
- 配当が支払われるたびに即座に通算・還付されると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の租税特別措置法(第37条の11の4、第37条の11の5等)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金保険制度の保護対象と保護範囲
金融資産運用 · 預金保険制度 / 決済用預金 / 合併時の特例 / 仮払金制度
わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
預金保険制度は破綻金融機関の預金者を保護する制度です。一般預金等は元本1,000万円までとその利息、決済用預金は全額が保護されます。合併や事業譲渡があった場合には、預金者の不利益を避けるため合併後1年間に限り「1,000万円×合併機関数」まで保護される特例が設けられています。
解き方
- 決済用預金の3要件(無利息・要求払い・決済機能)と全額保護の規定を確認する。
- 外貨預金および外国銀行在日支店の預金保険対象外規定を確認する。
- 合併時における預金保険特例の対象期間(1年間)と限度額の算定ルールを確認し誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 「利息がつかない」「いつでも払戻しができる(要求払い)」「決済サービスを提供できる」という3要件を満たす決済用預金は、全額が保護対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 外貨預金は国内銀行預入・外国銀行在日支店預入のいずれであっても預金保険制度の対象外です(外国銀行在日支店の預金は円貨預金も含め全額対象外です)。
- 選択肢 3正解
- 金融機関が合併した場合の保護限度額特例(元本1,000万円×合併等に関与した金融機関数+利息等)が適用される期間は、合併後「1年間」であり、2年間ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 破綻金融機関の普通預金等については、払戻しが確定するまでの当座の生活費等のため、預金者の請求により1口座あたり60万円を限度に仮払金が支払われる制度があります。
覚えるポイント
- 合併時の預金保険特例期間は「1年間」(元本1,000万円×機関数+利息)
- 決済用預金(3要件)は全額保護、外貨預金は全額保護対象外
- 普通預金の仮払金上限額は1口座あたり60万円
間違えやすいところ
- 合併特例の期間を「2年」や「3年」と混同しやすい点に注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の預金保険法(第51条の2、第54条の2、第56条の2等)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業所得における専従者給与・親族間対価の取扱い
タックスプランニング · 事業所得 / 青色申告 / 白色申告 / 青色事業専従者給与 / 親族間取引
居住者に係る所得税の事業所得に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。(a) 白色申告の個人事業主が事業専従者である配偶者に支払う給与は、50万円と事業専従者控除前の事業所得を専従者数に1を加えた数で除した金額のいずれか低い額を上限として必要経費に算入できる。(b) 青色申告の個人事業主が青色事業専従者である長女に支払う退職金は、適正な退職給与規程に基づくものであれば支払年分の必要経費に算入できる。(c) 生計を一にする父親名義の土地建物を賃借して事業を行う個人事業主が父親に支払う地代家賃は、社会通念上相当な額であれば支払年分の必要経費に算入できる。
解答・解説を表示
解答
4
解説
所得税法上、生計を一にする親族への対価支払いは原則として必要経費に算入できません。例外として、青色申告者の青色事業専従者給与(届出範囲内の給与・賞与に限られ退職金は除外)の必要経費算入や、白色申告者の事業専従者控除(所得からの控除であり配偶者は上限86万円、その他親族は上限50万円)が認められています。
解き方
- 記述(a)について、白色申告の専従者控除は必要経費への算入ではなく所得控除的な取扱いであり、配偶者の上限額は86万円であるため不適切と判断します。
- 記述(b)について、青色事業専従者に認められるのは給与(賞与を含む)の必要経費算入であり、退職金は必要経費に算入できないため不適切と判断します。
- 記述(c)について、生計を一にする親族間で支払われる地代や家賃などの対価は必要経費に算入できないため不適切と判断します。
- 不適切な記述が3つすべて該当し、適切なものは存在しないため選択肢4を選びます。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は1つではなく、(a)~(c)のすべてが不適切であるため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は2つではなく、(a)~(c)のすべてが不適切であるため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は3つではなく、(a)~(c)のすべてが不適切であるため誤りです。
- 選択肢 4正解
- (a)は上限額が86万円で必要経費算入ではなく所得控除、(b)は退職金が必要経費算入不可、(c)は生計一親族への地代家賃が必要経費不算入となり、すべて不適切であるため正しいです。
覚えるポイント
- 生計を一にする親族へ支払う地代や家賃は必要経費に算入できず、その不動産に係る固定資産税や減価償却費を事業主の経費とします。
- 青色事業専従者給与として認められるのは労務対価としての適正な給料・賞与であり退職金は対象外です。
間違えやすいところ
- 白色申告の事業専従者控除の上限(配偶者86万円、その他の専従者50万円)を混同しないように注意が必要です。
- 生計を一にする親族への支払いが適正額であっても、地代家賃そのものを必要経費に計上することはできません。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の所得税法(第56条、第57条)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得の総収入金額の算入時期と所得区分
タックスプランニング · 不動産所得 / 保証金の敷引き / 借地権の設定対価 / 青色事業専従者給与
居住者に係る所得税の不動産所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
不動産所得は土地や建物等の不動産の貸付けによる所得ですが、従業員宿舎の使用料のように本業の事業活動に付随するものは事業所得となります。また、敷金・保証金のうち返還不要部分は契約開始時に総収入金額に算入され、土地時価の2分の1を超える借地権設定対価は譲渡所得として課税されます。
解き方
- 選択肢1を検討:従業員向け寄宿舎の使用料収入は本業たる事業所得に付随する収入であり、事業所得の総収入金額に算入されるため不適切です。
- 選択肢2を検討:保証金等のうち返還を要しないことが当初から確定している金額は、引渡し等により賃貸借契約の効力が生じた年分の総収入金額に算入されるため適切です。
- 選択肢3を検討:土地時価の2分の1を超える権利金等の一時金を受け取って借地権を設定した場合、資産の譲渡とみなされて譲渡所得となるため不適切です。
- 選択肢4を検討:不動産所得において青色事業専従者給与を必要経費に算入するには、不動産の貸付けが事業的規模(いわゆる5棟10室基準等)で行われている必要があるため不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 事業用従業員に利用させる寄宿舎の使用料は、事業所得に付随する収入として事業所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 2正解
- 返還を要しないことが確定している保証金等の金額は、賃貸借契約の効力発生等により賃貸が開始した年分の不動産所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 借地権の設定等の対価として受け取る権利金が土地の時価の2分の1を超える場合、資産の譲渡とみなされ譲渡所得に区分されます。
- 選択肢 4不正解
- 青色事業専従者給与を必要経費に算入するためには、不動産の貸付けが事業的規模で行われている必要があります。
覚えるポイント
- 敷金・保証金の敷引きなど当初から返還不要な部分は、賃貸開始年分の不動産所得の総収入金額に算入します。
- 借地権の設定対価(権利金)は、土地時価の50%超なら譲渡所得、50%以下なら原則として不動産所得になります。
間違えやすいところ
- 不動産所得での青色事業専従者給与の適用には、事業的規模(5棟10室基準など)を満たす必要がある点を見落としやすいです。
- 敷金・保証金全体が収入になるのではなく、返還不要と確定した部分のみが総収入金額に算入される点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の所得税法(第33条、第57条等)および所得税基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種所得の損益通算と総所得金額の計算
タックスプランニング · 損益通算 / 一時所得 / 総所得金額
居住者であるAさんの平成28年分の各種所得の総収入金額および必要経費等の状況が下記のとおりである場合、すべての損益通算を行った後の総所得金額等(所得税額の計算上、総所得金額に算入される金額)として、最も適切なものはどれか。なお、Aさんは青色申告を行っておらず、記載のない事項については考慮しないものとする。 [賃貸アパートの経営による所得] 不動産所得:総収入金額 500万円、必要経費 350万円 [工務店の経営による所得] 事業所得:総収入金額 600万円、必要経費 800万円 [山林を譲渡したことによる所得] 山林所得:総収入金額 700万円、必要経費 750万円 [生命保険の解約返戻金を受け取ったことによる所得] 一時所得:総収入金額 500万円、収入を得るために支出した金額 200万円
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税において損益通算の対象となる損失は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(富士山譲渡)の計算上生じた損失に限られます。通算順序は、まず経常所得グループ(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)および譲渡・一時所得グループの各グループ内で通算し、なお控除しきれない損失は他のグループから控除します。山林所得の損失は、経常所得グループ、譲渡・一時所得グループの順に控除します。一時所得と通算する際は、2分の1を乗じる前の特別控除後の金額から控除し、通算後の残額を2分の1にして総所得金額に算入します。
解き方
- 各所得の金額を算出する:不動産所得=500万円-350万円=150万円、事業所得=600万円-800万円=▲200万円、山林所得=700万円-750万円=▲50万円、一時所得=500万円-200万円-特別控除50万円=250万円。
- 事業所得の損失▲200万円をまず同グループの不動産所得150万円と通算し、未控除損失▲50万円とする。
- 一時所得(1/2前)250万円から、事業所得の未控除損失50万円および山林所得の損失50万円を順次控除し、差引150万円とする。
- 損益通算後の一時所得の残額に1/2を乗じて総所得金額を求める:150万円×1/2=75万円。
- 選択肢 1正解
- 事業所得の損失残額50万円と山林所得の損失50万円を一時所得250万円から控除した残額150万円の2分の1であるため、75万円が最も適切です。
- 選択肢 2不正解
- 山林所得の損失50万円の控除を行わずに計算した場合の金額(200万円×1/2=100万円)であり不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 損益通算後の一時所得の残額150万円に対して2分の1を乗じる計算を行っていないため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 山林所得の損失を控除せず、さらに一時所得の2分の1計算も行っていない金額(250万円-50万円=200万円)であり不適切です。
覚えるポイント
- 損益通算できる損失は「不動産・事業・山林・譲渡」の4種類(富士山譲渡)。
- 一時所得との損益通算は2分の1にする前に行い、通算後の残額を2分の1にして総所得金額に算入する。
間違えやすいところ
- 山林所得の損失を損益通算の対象外と誤認してしまう。
- 一時所得を先に2分の1にしてから他の所得の損失を差し引いてしまう。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(所得税法第69条、所得税法施行令第198条等)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除
タックスプランニング · 所得税の税額控除 / 住宅リフォーム税額控除 / 投資型減税
「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除」(租税特別措置法第41条の19の3)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
住宅の特定の改修工事を行った場合の所得税額の特別控除(投資型減税)には、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ(一般断熱)改修、多世帯同居改修等があります。このうちバリアフリー改修・省エネ改修・多世帯同居改修については、適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であることが要件とされています(耐震改修には所得要件はありません)。
解き方
- 各特別控除における適用対象者の要件(年齢、要介護認定、障害者、同居親族等)を確認する。
- 改修工事に係る費用要件(自己負担額50万円超)および控除限度額(多世帯同居改修は上限250万円の10%=25万円)を確認する。
- 納税者の所得制限要件(合計所得金額3,000万円超は適用除外)を確認し、正しい記述を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 高齢者等居住改修工事等(バリアフリー)の対象者は、50歳以上の者、要介護・要支援認定者のほか、障害者である者や65歳以上の親族等と同居している者も含まれるため、「~に限り」とする記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 多世帯同居改修工事等の費用要件は、補助金等を控除した後の自己負担額が「50万円を超えるもの」であるため、100万円とする記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 多世帯同居改修工事等に係る税額控除額は、標準的な費用の額(限度額250万円)の10%相当額であり、控除限度額は「25万円」であるため、30万円とする記述は不適切です。
- 選択肢 4正解
- 高齢者等居住改修工事等、一般断熱改修工事等、多世帯同居改修工事等に係る税額控除はいずれも、合計所得金額が3,000万円を超える年分は適用を受けることができないため、最も適切です。
覚えるポイント
- バリアフリー・省エネ・多世帯同居の各投資型リフォーム減税は、合計所得金額3,000万円以下が適用要件(耐震改修は所得制限なし)。
- リフォーム減税の工事費用要件は、補助金を差し引いた自己負担額が50万円超。
間違えやすいところ
- 住宅借入金等特別控除と投資型減税で所得制限(3,000万円)の適用の有無を混同する。
- 多世帯同居改修工事等の控除限度額(25万円)を省エネ改修等の限度額(太陽光発電併用時の35万円等)と混同する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第41条の19の3等)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の予定納税・延納および不服申立て手続き
タックスプランニング · 予定納税 / 所得税の延納 / 不服申立て制度 / 再調査の請求 / 審査請求
居住者に係る所得税の納付、延納および不服申立て手続きに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税の納付手続きには、基準額に応じた予定納税や確定申告時の延納制度があり、税務署長等による処分に対する救済手続として国税通則法に基づく再調査の請求や国税不服審判所長への審査請求が規定されています。
解き方
- 所得税の予定納税の納付割合が各期につき3分の1である規定を確認する。
- 確定申告税額の延納要件(期限内に2分の1以上の納付と届出により5月31日まで延納可)を確認する。
- 国税通則法に基づく不服申立て期間(処分の通知翌日から3カ月以内、再調査決定書謄本送達翌日から1カ月以内)を精査する。
- 選択肢 1正解
- 予定納税において各期(第1期・第2期)に納付する金額は、それぞれ予定納税基準額の「3分の1」に相当する金額です。「2分の1」とする本肢は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 納期限までに確定申告により納付すべき税額の2分の1以上を納付し、所定の延納届出書を提出することで、残額の納付をその年の5月31日まで延期することができます。
- 選択肢 3不正解
- 税務署長等が行った処分に不服がある場合、原則として処分の通知を受けた日の翌日から3カ月以内に、処分をした税務署長等に対して再調査の請求をすることができます。
- 選択肢 4不正解
- 再調査の請求に係る決定後の処分になお不服があるときは、再調査決定書の謄本の送達があった日の翌日から1カ月以内に、国税不服審判所長に対して審査請求を行うことができます。
覚えるポイント
- 予定納税の納付割合は第1期・第2期ともに「3分の1」ずつ(残りは確定申告で精算)
- 所得税の延納は期限内に「2分の1以上」納付で「5月31日」まで延期可能
- 再調査の請求は通知翌日から「3カ月以内」、再調査決定後の審査請求は謄本送達翌日から「1カ月以内」
間違えやすいところ
- 予定納税の納付割合を、延納要件である「2分の1」と混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の所得税法および国税通則法
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得拡大促進税制の適用要件と税額控除
タックスプランニング · 法人税額の特別控除 / 所得拡大促進税制 / 大法人と中小法人の適用要件 / 雇用促進税制との重複適用
「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(所得拡大促進税制)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得拡大促進税制(租税特別措置法第42条の12等)は、青色申告法人であれば企業規模を問わず適用対象となり、国内雇用者に対する給与等支給額が基準事業年度と比べて一定以上増加した場合に、給与等支給増加額の10%相当額を税額控除できる制度です。
解き方
- 所得拡大促進税制の適用対象法人の範囲(大企業・中小企業を問わず青色申告法人が対象)を確認する。
- 設立事業年度における基準雇用者給与等支給額の算出ルール(給与等支給額に70%を乗じる等)を検討する。
- 税額控除限度額の計算式(増加額の10%、法人税額の一定割合が上限)を確認する。
- 雇用促進税制など他の特別控除との併用・重複適用の可否を確認する。
- 選択肢 1正解
- 所得拡大促進税制の対象には中小企業者だけでなく、資本金の額または出資金の額が1億円を超える大法人等の青色申告法人も含まれるため、適切です。
- 選択肢 2不正解
- 平成25年4月1日以後に設立された法人の場合、設立事業年度の国内雇用者に対する給与等支給額に70%を乗じた金額が基準雇用者給与等支給額とみなされるため、全額とする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 税額控除限度額は、雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額(増加額)の「10%相当額」です(当期法人税額の20%が上限)。控除率を20%とする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 所得拡大促進税制と雇用促進税制は、所定の要件を満たしていれば同一事業年度において重複して適用を受けることが可能です。
覚えるポイント
- 所得拡大促進税制は大企業・中小企業問わず青色申告法人が適用対象
- 税額控除額は給与等増加額の「10%相当額」(上限は法人税額の20%等)
- 所得拡大促進税制と雇用促進税制は重複適用が可能
間違えやすいところ
- 税額控除限度額の「増加額の10%」と、控除上限となる「法人税額の20%(大企業は10%)」の割合を混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
交際費等の損金不算入額の計算
タックスプランニング · 法人税 / 交際費等の損金不算入 / 接待飲食費
期末資本金の額が1億5,000万円であるX株式会社(1年決算法人)は、平成28年4月1日に開始する事業年度において、接待飲食費1,500万円(1人当たり5,000円以下の飲食費300万円を含む、社内飲食費除外・書類保存要件充足)および接待飲食費以外の交際費等800万円を支出した。X社の法人税の計算における交際費等の損金不算入額として最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
期末資本金が1億円を超える大法人(100億円超を除く)は中小法人の定額控除限度額の特例は使えませんが、接待飲食費の50%を損金算入する特例を適用できます。また、1人当たり5,000円以下の一定の飲食費は交際費等の範囲から除外されます。
解き方
- 交際費等から除外される1人当たり5,000円以下の飲食費300万円を控除し、対象となる接待飲食費を1,200万円と算出する。
- 接待飲食費1,200万円の50%に相当する600万円を損金算入限度額として計算する。
- 支出した交際費等の合計2,000万円(接待飲食費1,200万円+その他800万円)から損金算入額600万円を差し引き、損金不算入額1,400万円を求める。
- 選択肢 1不正解
- 接待飲食費の全額1,500万円から5,000円以下基準の控除を失念し、あるいは中小法人の800万円控除を誤って適用した場合の計算であり不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 5,000円以下の飲食費の除外や接待飲食費以外の交際費の不算入計算が正しく行われていないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 5,000円以下の飲食費300万円を控除せずに1,500万円の50%を算入限度額として計算しているため不適切です。
- 選択肢 4正解
- 交際費等対象額2,000万円(接待飲食費1,200万円+その他800万円)から、接待飲食費の50%である600万円を控除した1,400万円が損金不算入額となります。
覚えるポイント
- 資本金1億円超の法人は接待飲食費の50%損金算入のみ適用可能で、1人当たり5,000円以下の飲食費は交際費等から除外されます。
間違えやすいところ
- 1人当たり5,000円以下の飲食費を交際費等の対象に含めたまま50%計算をしてしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告法人の欠損金の繰越控除の控除限度額
タックスプランニング · 法人税 / 欠損金の繰越控除 / 中小法人等 / 新設法人の特例
平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度において、前事業年度に生じた青色欠損金額を繰越控除前の所得金額を限度(100%)として損金算入できる法人の個数として最も適切なものはどれか。なお、各大法人は資本金5億円以上とする。 (a) 平成10年設立、大法人による完全支配関係のある資本金5,000万円の中小法人 (b) 平成14年設立、大法人による完全支配関係のない資本金2億円の法人 (c) 平成20年設立、大法人による完全支配関係のない資本金8,000万円の中小法人 (d) 平成24年設立、大法人による完全支配関係のない資本金3億円の法人
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人の青色欠損金の繰越控除において、大法人等は所得の一定割合(平成28年4月開始年度は60%)が控除限度額とされますが、大法人による完全支配関係のない中小法人等や、設立後7年以内の新設法人(大法人完全支配を除く)は所得金額の全額(100%)まで控除が可能です。
解き方
- 各法人の資本金規模、大法人による完全支配関係の有無、設立経過年数(7年以内かどうか)を確認する。
- (a)は大法人完全支配があるため中小法人等から除外され、全額控除不可(控除制限対象)と判定する。
- (b)は資本金1億円超で設立後7年を超えているため、控除制限対象と判定する。
- (c)は大法人完全支配のない資本金1億円以下の中小法人であるため、全額控除可能と判定する。
- (d)は資本金1億円超だが設立から7年以内の新設法人に該当するため、特例により全額控除可能と判定し、該当する法人は2つと導く。
- 選択肢 1不正解
- 全額控除が可能な法人は(c)だけでなく新設法人特例に該当する(d)も含まれるため1つではありません。
- 選択肢 2正解
- (c)の中小法人等および(d)の新設法人特例の対象となる法人の計2つが所得金額を限度として全額控除できます。
- 選択肢 3不正解
- (a)は大法人完全支配があるため中小法人の特例から除外され、全額控除の対象は3つではないため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- (c)と(d)の2法人が所得金額を限度として損金算入できるため不適切です。
覚えるポイント
- 中小法人等(大法人完全支配を除く資本金1億円以下)および設立後7年以内の新設法人は、欠損金の繰越控除で所得の100%まで控除可能です。
間違えやすいところ
- 資本金1億円超の法人であっても設立後7年以内であれば控除制限の例外(全額控除可能)となる点を見落としやすいです。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
グループ法人税制における完全支配関係と適用要件
タックスプランニング · グループ法人税制 / 寄附金の損金不算入 / 譲渡損益の繰延べ / 受取配当等の益金不算入 / 中小法人の軽減税率の特例
内国法人(普通法人)における完全支配関係を対象とするいわゆるグループ法人税制に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
グループ法人税制において、完全支配関係の規定のうち「法人による完全支配関係」に限定されるもの(寄附金の損金不算入・受贈益の益金不算入など)と、「個人による完全支配関係」も含まれるもの(資産の譲渡損益の繰延べなど)の違いを正しく把握することが重要です。
解き方
- 各制度の適用要件において『完全支配関係(個人を含む)』なのか『法人による完全支配関係に限る』のかを識別する。
- 個人が100%株式を保有する法人間取引について、寄附金課税の特例の対象外であることを確認し、誤りである選択肢を特定する。
- 選択肢 1正解
- 完全支配関係法人間の寄附金の全額損金不算入および受贈益の全額益金不算入の制度は、「法人による完全支配関係」に限定されています。本肢のように同一の個人が100%保有する法人間(兄弟会社間)の寄附金には適用されません。
- 選択肢 2不正解
- 完全支配関係にある法人間で帳簿価額1,000万円以上の譲渡損益調整資産を譲渡した際の損益繰延べは、個人による完全支配関係グループ内の取引であっても適用されます。
- 選択肢 3不正解
- 完全支配関係(完全子法人株式等)がある内国法人から受ける受取配当等の額は、負債利子を控除することなく全額が益金不算入となります。
- 選択肢 4不正解
- 資本金の額が5億円以上の大法人による完全支配関係がある子法人(大法人支配の特定中小法人等)については、年800万円以下の所得に対する法人税の軽減税率は適用されません。
覚えるポイント
- 寄附金と受贈益のグループ法人税制は『法人による完全支配関係』に限定される。
- 資産譲渡損益の繰延べは『個人による完全支配関係』も対象となる。
間違えやすいところ
- 完全支配関係の特例すべてに個人完全支配関係が含まれると誤認しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記の記録事項・合筆制限・登記事項証明書
不動産 · 不動産登記制度 / 合筆の制限 / 仮登記の効力 / 登記事項証明書の種類
不動産登記に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産登記は不動産の物理的現況を示す表題部と権利関係を示す権利部(甲区:所有権に関する事項、乙区:所有権以外の権利に関する事項)で構成され、登記簿の公開や制限事項(合筆制限等)に関する厳格な規定が設けられています。
解き方
- 差押え登記の記録区、合筆制限の要件、仮登記の処分権限への影響を順に検証する。
- 各証明書(現在事項証明書・何区何番事項証明書)の記載内容に関する規定と記述を照合し、適切性を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 抵当権の実行等による差押えの登記は、所有権の処分を制限する登記であるため、権利部の甲区に記録されます(乙区ではありません)。
- 選択肢 2不正解
- 所有権の登記以外の権利の登記がある土地の合筆は原則としてできません。抵当権について合筆が認められるのは、登記の目的・受付年月日・受付番号が同一である共同抵当権が設定されている場合に限られ、一筆のみに抵当権がある場合は承諾書があっても合筆できません。
- 選択肢 3不正解
- 所有権移転の仮登記がされていても、所有者の処分権能は制限されないため、抵当権設定登記だけでなく、第三者への所有権移転登記をすることも可能です。
- 選択肢 4正解
- 現在事項証明書には現に効力を有する事項が記載され、何区何番事項証明書には権利部の相当区(甲区または乙区)のうち請求に係る部分が記載されます。
覚えるポイント
- 差押え・仮処分など所有権の処分制限に関する登記は権利部甲区に記録される。
- 一筆のみに抵当権が付いている土地の合筆は、抵当権者の承諾があっても認められない。
間違えやすいところ
- 抵当権実行による競売手続の差押えを、担保権関連として乙区に記録されると誤認しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法(普通借地権と定期借地権)
不動産 · 借地借家法 / 普通借地権 / 定期借地権 / 建物譲渡特約付借地権
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における普通借地権とは、定期借地権等以外の借地権をいう。
解答・解説を表示
解答
4
解説
借地借家法では、借地人の保護を目的として更新期間や建物買取請求権等の強行規定を設けています。定期借地権では用途や期間の要件が厳格に定められており、建物譲渡特約付借地権における建物の賃借人についても継続使用できる保護規定が存在します。
解き方
- 普通借地権における更新期間の法定下限(合意により長期に設定可能)および期間満了時の建物買取請求権を確認する。
- 事業用定期借地権(専ら事業用であり居住用は不可)など各種定期借地権の期間・用途要件を検討する。
- 建物譲渡特約付借地権消滅時における建物賃借人の保護規定(法定賃貸借の成立)に基づき誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 更新後の存続期間は、最初の更新では20年、2回目以降は10年が法定下限ですが、当事者の合意によりそれより長い期間(30年など)を定めることは有効です。
- 選択肢 2不正解
- 存続期間満了時に更新がされない場合、借地人は借地権設定者(土地所有者)に対して建物等を時価で買い取るよう請求することができます(建物買取請求権)。
- 選択肢 3不正解
- 事業用定期借地権等は専ら事業の用に供する建物に限られ居住用建物は対象外であり、一般定期借地権は50年以上、建物譲渡特約付借地権は30年以上であるため、存続期間20年の居住用定期借地権は設定できません。
- 選択肢 4正解
- 建物譲渡特約付借地権が消滅した場合、建物の賃借人が請求したときは土地所有者との間に期間の定めのない賃貸借が成立したものとみなされるため、土地所有者の承諾は不要です。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権等(10年以上50年未満)は「専ら事業の用」に供する建物に限られ、社宅や賃貸マンション等の居住用は対象外となる。
間違えやすいところ
- 借家人がいる建物譲渡特約付借地権において、借地権消滅時に土地所有者の承諾が必要と誤認しやすいが、借家人保護のため法定賃貸借が成立する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(借地借家法第4条、第13条、第23条、第24条)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(建築物の高さ制限)
不動産 · 建築基準法 / 斜線制限 / 道路斜線制限 / 隣地斜線制限 / 日影規制
建築基準法に規定する建築物の高さの制限に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
建築基準法では、日照・通風・採光等の都市環境を保つために建築物の高さ制限(絶対的高さ制限、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限、日影規制)を規定しており、制限ごとに適用される地域が異なります。
解き方
- 各斜線制限および高さ制限の適用地域・対象条件を整理する。
- 道路斜線制限はすべての用途地域および用途地域の指定のない区域にも適用される点を確認する。
- 記述のうち「用途地域の指定のない区域内における建築物には適用されない」としている選択肢2が不適切であると判定する。
- 選択肢 1不正解
- 第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域内では、建築物の高さは原則として都市計画で定められた10mまたは12mの限度を超えることができません(絶対的高さ制限)。
- 選択肢 2正解
- 道路斜線制限は、すべての用途地域内に加えて用途地域の指定のない区域内の建築物にも適用されます。
- 選択肢 3不正解
- 低層住居専用地域では絶対的高さ制限や北側斜線制限が課されているため、隣地斜線制限は適用されません。
- 選択肢 4不正解
- 日影規制は、原則として商業地域、工業地域、工業専用地域を除く用途地域や用途地域の指定のない区域のうち、地方公共団体の条例で指定する区域内の建築物に適用されます。
覚えるポイント
- 道路斜線制限は用途地域の有無を問わず全国(すべての用途地域+用途地域無指定区域)で適用される。
間違えやすいところ
- 隣地斜線制限が低層住居専用地域に適用されない点や、日影規制の適用対象外地域(商業・工業・工業専用)と混同しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(建築基準法第55条、第56条、第56条の2)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生産緑地法に基づく生産緑地の取扱い
不動産 · 生産緑地法 / 固定資産税 / 相続税評価
生産緑地法に規定する生産緑地に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
生産緑地地区は都市計画法および生産緑地法に基づく制度であり、良好な都市環境の形成のために農地等の保全が図られています。指定期間中は行為制限や買取り申出制度、固定資産税・相続税の優遇措置が講じられます。
解き方
- 生産緑地地区内における行為制限および買取り申出の要件(指定から30年経過や主たる従事者の死亡等)を確認します。
- 指定解除に伴う固定資産税の取扱いや、相続税評価上の減額率の基準を法令および通達に照らして正誤判定します。
- 選択肢 1不正解
- 生産緑地地区内において、建築物等の新築、改築または増築など一定の行為を行う場合は、原則として市町村長の許可が必要です。
- 選択肢 2不正解
- 生産緑地地区に関する都市計画の告示の日から30年を経過したとき、または主たる従事者が死亡等の場合は、市町村長に対して時価での買取り申出が可能です。
- 選択肢 3正解
- 買取り申出等により指定が解除されても、過去の減免分を遡って納付する義務はなく、翌年度から宅地並み課税が適用されるにとどまります。
- 選択肢 4不正解
- 課税時期において市町村長に対して買取りの申出をすることができる生産緑地の相続税評価額は、生産緑地でないものとして評価した価額の95%相当額(5%控除)となります。
覚えるポイント
- 生産緑地の固定資産税は指定解除後に翌年度から宅地並み課税となり、過去への遡及課税はありません。
間違えやすいところ
- 相続税の納税猶予が免除・打ち切りになった場合の利子税納付と、生産緑地の固定資産税の取扱いを混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の規定
不動産 · 区分所有法 / 共用部分の持分 / 共用部分の変更 / 敷地利用権の分離処分禁止
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
建物の区分所有等に関する法律では、専有部分・共用部分の権利関係や集会の決議要件、敷地利用権と専有部分の一体的な処分などが明確に定められています。
解き方
- 共用部分の持分割合における床面積の計算方法(内法計算)に関する規定を確認します。
- 重大変更の決議要件の緩和対象(規約で過半数まで減じられるのは区分所有者の定数のみ)や、敷地利用権の分離処分禁止、議決権行使者の定め等について各選択肢を検討します。
- 選択肢 1正解
- 区分所有法第14条に基づき、共用部分の持分は規約に別段の定めがない限り、壁その他の区画の内側線で囲まれた内法面積の割合によります。
- 選択肢 2不正解
- 共用部分の重大変更において規約で過半数まで減ずることができるのは「区分所有者の定数」であり、「議決権」を減ずることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 敷地利用権が共有持分である場合、規約に別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権とを分離して処分することは禁止されています。
- 選択肢 4不正解
- 専有部分が数人の共有に属する場合、共有者は議決権を行使すべき者「1人」を定めなければならず、規約で2人定めることはできません。
覚えるポイント
- 区分所有法における共用部分の持分算定の床面積は内法計算(壁の内側線)が原則です。
間違えやすいところ
- 重大変更の決議要件緩和で、規約により過半数まで減らせるのは「区分所有者数」のみであり、「議決権」は減らせない点を取り違えないように注意しましょう。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地収用法および収用等の特例
不動産 · 土地収用法 / 収用等の特別控除 / 代替資産の取得
土地収用法に基づく土地の収用および税務上の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
土地収用法では公共の利益と私有財産の調整を図るため、完全な補償(対価補償や通損補償等)を行うこととされています。また税制面では公共事業への協力を促すため、収用等に伴う対価補償金について5,000万円の特別控除や代替資産取得時の課税の特例が設けられています。
解き方
- 収用補償金額の算定基準(地価公示価格基準)および補償範囲(対価補償・通常生ずる損失補償等)を確認します。
- 収用に伴う租税特別措置法上の特例(5,000万円特別控除および代替資産取得時の100%繰延べ)を適用し、各選択肢の正誤を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 土地収用法における補償金額の算定は、地価公示法に基づく公示価格を規準として算定され、固定資産税評価額が規準となるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- 土地収用に伴う補償には、権利の対価補償だけでなく、建物の移転費用や営業上の損失、賃貸料の損失などの通常生ずる損失の補償(通損補償等)も対象に含まれます。
- 選択肢 3正解
- 収用等により土地等の対価補償金を取得した場合、所定の要件を満たすことで譲渡所得の計算上、最高5,000万円の特別控除を適用することができます。
- 選択肢 4不正解
- 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例では、取得価額が補償金額以上のときは譲渡がなかったものとみなされ、課税割合は80%ではなく全額(100%)繰り延べられます。
覚えるポイント
- 収用等による5,000万円特別控除と代替資産取得の課税特例は選択適用である点
- 土地収用法の土地評価は地価公示価格を規準とする点
間違えやすいところ
- 特定事業用資産の買換え特例(原則80%繰延べ)と収用等の代替資産取得特例(全額繰延べ)の繰延割合を混同しやすい
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例
不動産 · 空き家特例 / 譲渡所得の特別控除 / 耐震基準 / 適用期限
平成28年度税制改正により創設された「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
空き家の発生を抑制するための税制措置として、相続した旧耐震基準の居住用家屋またはその敷地等を一定期間内に譲渡した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例(空き家特例)が設けられています。譲渡時に現行の新耐震基準を満たしているか、または更地にして譲渡することが要件です。
解き方
- 被相続人居住用家屋の要件(昭和56年5月31日以前に建築されたこと、一人暮らしであったこと等)を確認します。
- 譲渡期限要件(相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで)を確認します。
- 譲渡時の家屋の耐震性要件および他の特例(取得費加算特例等)との適用関係を照合して判定します。
- 選択肢 1不正解
- 本特例の対象となる被相続人居住用家屋は、「昭和56年5月31日以前に建築されたもの」(旧耐震基準の建物)である必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 譲渡期限は「相続開始の日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで」であるため、平成28年10月1日相続開始の場合は平成31年12月31日までに譲渡する必要があります。
- 選択肢 3正解
- 耐震基準を満たしていない家屋は、耐震リフォームを行って新耐震基準に適合させてから譲渡するか、または家屋を取り壊して敷地等を譲渡すれば本特例の適用を受けられます。
- 選択肢 4不正解
- 本特例と「相続財産に係る譲渡所得の課税の特例」(相続税の取得費加算の特例)は重複して適用することはできず、いずれか一方を選択して適用することになります。
覚えるポイント
- 空き家特例の対象家屋は昭和56年5月31日以前に建築された旧耐震家屋であること
- 譲渡期限は相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までであること
間違えやすいところ
- 取得費加算の特例(相続税発生時に使える特例)との重複適用ができると誤解しやすい(選択適用である)
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
立体買換えの特例(既成市街地等内の中高層耐火建築物等の建設のための買換え)
不動産 · 立体買換えの特例 / 租税特別措置法第37条の5 / 中高層耐火共同住宅
Aさんは、所有する土地の一部をデベロッパーに譲渡し、デベロッパーがその土地上に建設した建築物の一部を取得することを検討している。「既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(立体買換えの特例。租税特別措置法第37条の5。以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、本特例の表二号(中高層の耐火共同住宅)に限定するものとし、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
立体買換えの特例(租税特別措置法第37条の5)は、既成市街地等の土地の有効高度利用を図るため、所有地を譲渡して中高層耐火建築物等を取得した場合に譲渡所得の課税を繰り延べる制度です。譲渡資産には用途制限(遊休地でも可)や所有期間要件がありませんが、買換資産となる建物には階数(地上3階以上)、構造(耐火建築物等)、用途(共同住宅の場合は居住部分が1/2以上)などの厳格な要件が定められています。
解き方
- 譲渡資産の要件(既成市街地等内にある土地等であり、遊休地や更地も対象となること)を確認し、選択肢1の当否を判断する。
- 買換資産の取得期限の原則(譲渡年の1月1日から翌年12月31日までの間であること)を確認し、選択肢2の誤りを判断する。
- 表二号の買換資産要件(地上階数3以上、耐火建築物または準耐火建築物、床面積の1/2以上が居住用)を確認し、選択肢3の記述が正しいことを判定する。
- 交換差金が生じた場合の課税関係(差額に対して課税されるだけであり、固定資産の交換特例のような20%制限はないこと)を確認し、選択肢4を排除する。
- 選択肢 1不正解
- 立体買換えの特例では、譲渡資産である土地等について事業用や居住用といった使途の制限はなく、遊休地や更地であっても対象となるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 買換資産の取得時期は、原則として譲渡した日の属する年の1月1日から翌年12月31日までの間であり、「譲渡した日から1年以内」ではないため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 表二号(中高層耐火共同住宅の新築)では、取得する建物が建築基準法に規定する耐火建築物または準耐火建築物に該当する地上階数3以上の建築物で、その床面積の2分の1以上が専ら居住の用に供されるものであることが要件とされており適切です。
- 選択肢 4不正解
- 差金が20%を超えると適用できないとする制限は「固定資産の交換の特例(所得税法第50条)」の要件です。立体買換えの特例では、差金(未買換額)について譲渡所得の課税が行われるだけであり、適用除外にはならないため不適切です。
覚えるポイント
- 立体買換えの特例の譲渡資産は、既成市街地等内にある土地等であれば用途不問(遊休地・更地でも適用可能)。
- 買換資産(中高層耐火共同住宅)は地上階数3以上、耐火建築物等、床面積の1/2以上が専ら居住用であることが要件。
間違えやすいところ
- 事業用資産の買換え特例(措置法37条)と混同して、譲渡資産が事業用でなければならないと誤認しやすい。
- 固定資産の交換の特例(所法50条)の「交換差金20%以内」という要件を買換えの特例に誤って適用してしまう。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の租税特別措置法第37条の5(既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
暦年課税における特例贈与財産と一般贈与財産が混在する場合の贈与税額の計算
相続・事業承継 · 贈与税の計算 / 暦年課税 / 特例贈与財産 / 一般贈与財産
Aさん(30歳)は、事業資金として、平成28年4月に父親(58歳)から現金400万円の贈与を受け、平成28年6月に叔父(56歳)から現金100万円の贈与を受けた。Aさんの平成28年分の贈与税額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、いずれも贈与税の課税対象となり、暦年課税を選択するものとする。また、Aさんは平成28年中にほかに贈与は受けていないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
直系尊属(父母や祖父母等)からその年の1月1日時点で20歳以上の子や孫への贈与は「特例贈与財産」(特例税率)が適用され、それ以外の親族等(叔父・叔母・配偶者の親等)からの贈与は「一般贈与財産」(一般税率)が適用されます。同一年に両方の贈与を受けた場合、課税価格の合計額から基礎控除(110万円)を控除した後の金額に対し、すべてを一般税率で計算した税額に一般贈与財産の割合を乗じた額と、すべてを特例税率で計算した税額に特例贈与財産の割合を乗じた額を合算して税額を算出します。
解き方
- 受贈財産の区分を判定する:父(直系尊属)からの贈与400万円は30歳の子への贈与であるため「特例贈与財産」、叔父からの贈与100万円は直系尊属ではないため「一般贈与財産」となり、合計受贈額は500万円である。
- 基礎控除後の課税価格を計算する:500万円 - 基礎控除110万円 = 390万円。
- 特例贈与財産分の税額を計算する:390万円全額に特例税率(速算表より15%、控除額10万円)を適用すると「390万円×15%-10万円=48万5,000円」。特例贈与財産の割合(400万円/500万円)を乗じて、48万5,000円×(400万円/500万円)=38万8,000円。
- 一般贈与財産分の税額を計算する:390万円全額に一般税率(速算表より20%、控除額25万円)を適用すると「390万円×20%-25万円=53万円」。一般贈与財産の割合(100万円/500万円)を乗じて、53万円×(100万円/500万円)=10万6,000円。
- 納付すべき贈与税額を合計する:38万8,000円 + 10万6,000円 = 49万4,000円。
- 選択肢 1不正解
- 基礎控除110万円を全額父からの贈与から差し引き、叔父からの贈与と別々に速算表を適用して合算した誤った計算(33.5万円+10万円=43.5万円)であるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 基礎控除110万円を贈与額の比率(4:1)で按分して別々に税額を計算した誤った計算(36.8万円+7.8万円=44.6万円)であるため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 混在する場合の規定に従い、基礎控除後の課税価格390万円について特例税率で按分計算した38万8,000円と、一般税率で按分計算した10万6,000円を合算した49万4,000円であり適切です。
- 選択肢 4不正解
- 基礎控除後の390万円や各贈与財産に対する正しい按分計算を行っていない誤った数値であるため不適切です。
覚えるポイント
- 特例贈与財産と一般贈与財産が混在する場合、基礎控除(110万円)後の課税価格全体にそれぞれの税率を適用した仮想税額を求め、受贈額の按分割合を掛けて足し合わせる。
間違えやすいところ
- 基礎控除110万円を特例贈与または一般贈与のどちらか一方のみから控除して別々に税額計算してしまう。
- 基礎控除110万円を贈与額の比率で按分してそれぞれの区分ごとに独立して税額を算定してしまう。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の相続税法第21条の7、租税特別措置法第70条の2の4(贈与税の税率の特例)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における特別受益の取扱い
相続・事業承継 · 特別受益 / 持戻し免除 / 具体的相続分
民法における特別受益に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
特別受益制度は、共同相続人間の公平を図るため、一部の相続人が被相続人から婚姻・養子縁組のため、または生計の資本として受けた生前贈与や遺贈を相続分の前渡しとみなして計算上戻し入れる制度です。
解き方
- 特別受益の対象となる贈与の範囲および期間の定めの有無(民法上の遺産分割における特別受益には期間制限がない)を確認する。
- みなし相続財産の計算における特別受益の評価時点(相続開始時の時価)と、相続分の計算手順(持戻しによる控除)を確認する。
- 被相続人による持戻し免除の意思表示の有効性と、遺留分制限との関係を確認して適切な肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 遺産分割における特別受益の対象となる生前贈与については、原則として期間の制限は設けられていません。
- 選択肢 2不正解
- 持戻しの計算において、特別受益に該当する贈与財産の価額は受贈時ではなく「相続開始時」の価額で評価します。
- 選択肢 3不正解
- 特別受益者の具体的相続分は、みなし相続財産を基礎として算定した相続分から特別受益の価額を「控除」して求めます。
- 選択肢 4正解
- 被相続人が持戻しを免除する旨の意思表示を行った場合、その意思表示は遺留分に関する規定に違反しない限度で有効となります。
覚えるポイント
- 遺産分割の特別受益は原則として期間無制限、評価時点は相続開始時であること。
間違えやすいところ
- 特別受益の評価を受贈時の価額と誤認することや、相続分の算定で控除すべきところを加算と誤解すること。
出題の前提:特に指示のない限り、2016年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税額の2割加算の対象者判定
相続・事業承継 · 相続税額の2割加算 / 孫養子 / 代襲相続人
平成28年10月に死亡したAの親族関係(妻B、長女C、二男D、兄I、代襲相続人である孫E、代襲相続人かつ養子の孫F、二男の子で養子の孫G、二男の子である孫H)において、相続または遺贈により財産を取得した者のうち、相続税額の2割加算の対象となる者の組合せとして、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
相続または遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む)および配偶者以外の者である場合、相続税額の2割加算の対象となります。ただし、孫養子のうち代襲相続人でない者は一親等の血族であっても2割加算の対象となります。
解き方
- 各取得者の血族関係を確認し、配偶者(妻B)や一親等の血族(長女C、二男D)が2割加算の対象外であることを確認する。
- 被相続人より先に死亡した長男Jの子(孫E、孫F)について、孫Eは代襲相続人、孫Fは養子であると同時に代襲相続人でもあるため、いずれも2割加算の対象から除外されることを確認する。
- 生存している二男Dの子である孫G(養子縁組しているが代襲相続人ではない孫養子)、孫H(孫・遺贈取得者)、兄I(兄弟姉妹)がいずれも2割加算の対象となることを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 孫Gは被相続人の養子ですが、代襲相続人ではない孫養子であるため2割加算の対象に含まれる必要があり、不適切です。
- 選択肢 2正解
- 孫G(代襲相続人ではない孫養子)、孫H(遺贈により財産を取得した孫)、兄I(被相続人の兄弟姉妹)の3名が2割加算の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 孫Fは養子ですが、既に死亡している長男Jの代襲相続人でもあるため、2割加算の対象外となります。
- 選択肢 4不正解
- 孫Eおよび孫Fは被相続人の子の代襲相続人であるため、2割加算の対象には含まれません。
覚えるポイント
- 孫養子は一親等の血族となるが、代襲相続人でない限り相続税の2割加算の対象となること。
間違えやすいところ
- 代襲相続人である孫が養子縁組をしている場合(孫F)に、孫養子として2割加算の対象になると誤認すること。
出題の前提:特に指示のない限り、2016年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除の特例
相続・事業承継 · 医療法人 / 事業承継税制 / 納税猶予 / 持分の放棄
「医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
医療法人の持分に係る納税猶予特例は、持分あり医療法人から持分なし医療法人への円滑な移行を促すための制度であり、持分をすべて放棄して移行を完了した場合には猶予税額が免除されます。
解き方
- 各選択肢の特例適用要件(認定時期、提供すべき担保)と移行手続に伴う効果を確認する。
- 認定移行計画の期限内に持分をすべて放棄したときの効果が「納税猶予額の免除」であることを確認し、最も適切な記述を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 移行計画の認定は、相続の開始前から相続税の申告期限までの間に受ければよいため、「相続開始前」に限定されていません。
- 選択肢 2不正解
- 提供すべき担保は納税猶予を受ける相続税額および利子税に見合う担保であり、「持分のすべて」を担保提供するわけではありません。
- 選択肢 3不正解
- 持分の払戻しを受けた場合は持分なし医療法人への移行要件から外れ、猶予期限はその事由が生じた日から2カ月を経過する日となります。
- 選択肢 4正解
- 認定移行計画の移行期限までに相続人が有する認定医療法人の持分のすべてを放棄した場合、納税猶予されていた相続税額は全額免除されます。
覚えるポイント
- 持分あり医療法人から持分なしへの移行で持分を全額放棄すると納税猶予額が全額免除される。
間違えやすいところ
- 厚生労働大臣による移行計画の認定は相続開始後から相続税申告期限までの間に行われても適用可能である点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第70条の7の9)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の申告義務の要否
相続・事業承継 · 相続税の申告義務 / 小規模宅地等の特例 / 配偶者の税額軽減 / 相続時精算課税 / 未成年者控除
次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、被相続人は平成28年中に死亡したものとし、相続人は相続または遺贈により財産を取得したものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を下回っているが、相続人が被相続人から生前に贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合 (b) 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることにより、相続税の課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を下回る場合 (c) 相続人が被相続人の配偶者のみであり、配偶者が「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額がゼロとなる場合 (d) 相続人が被相続人の子のみであり、子が未成年者控除の適用を受けることにより納付すべき相続税額がゼロとなる場合
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続税の申告は原則として課税価格の合計額が基礎控除額を超え納付税額がある場合に必要ですが、特例適用の要件として申告書提出が定められている制度(小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減など)や相続時精算課税の適用者がいる場合は、税額がゼロであっても申告義務があります。
解き方
- (a)から(d)の各制度について、税額がゼロまたは基礎控除以下となった場合でも申告書の提出が法律上義務付けられているか(特例の適用要件となっているか)を個別判定する。
- (a)は相続時精算課税適用財産があるため申告が必要、(b)は小規模宅地等の特例の適用要件として申告が必要、(c)は配偶者の税額軽減の適用要件として申告が必要、(d)は未成年者控除で納付税額がゼロとなるため申告不要であることを判定し、該当数(3つ)を数える。
- 選択肢 1不正解
- 申告が必要なケースは(a)、(b)、(c)の3つ存在するため、1つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 申告が必要なケースは(a)、(b)、(c)の3つ存在するため、2つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 3正解
- 申告義務があるのは(a)相続時精算課税適用者がいる場合、(b)小規模宅地等の特例を受ける場合、(c)配偶者の税額軽減を受ける場合の3つです。
- 選択肢 4不正解
- (d)の未成年者控除により納付税額がゼロとなる場合は申告義務がないため、4つすべてが申告を要するわけではありません。
覚えるポイント
- 小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は税額がゼロでも申告が必要だが、未成年者控除や障害者控除により税額ゼロとなる場合は申告不要である。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税の適用者は基礎控除以下であっても申告書の提出が必要である点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(相続税法第19条の2、第19条の3、第27条、租税特別措置法第69条の4)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺産未分割の場合の申告・納付および分割後の手続き
相続・事業承継 · 未分割遺産の申告 / 更正の請求 / 修正申告 / 申告期限後3年以内の分割見込書
相続税の申告期限までに遺産の全部または一部について遺産分割協議が成立していない場合の相続税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
申告期限までに遺産分割が調わない場合、民法上の法定相続分等に従って取得したものとして仮申告・納付を行います。その後の分割確定に伴い、税額が減少した者は更正の請求、増加した者は修正申告を行いますが、未分割申告が適正であれば加算税等のペナルティは免除されます。
解き方
- 未分割遺産に対する申告期限後3年以内の分割見込書の効力(特例適用のための書類であり納付猶予効果はない)を確認する。
- 遺産分割協議成立後の手続きについて、税額減少者の更正の請求期間(事由が生じた日の翌日から4カ月以内)と税額増加者の修正申告時のペナルティ免除規定を照合して適切な肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 申告期限後3年以内の分割見込書は、後日分割された際に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けるための届出書であり、相続税の納付を猶予する効果はありません。
- 選択肢 2不正解
- 相続税の納税義務は各相続人ごとに個別にあるため、申出書の提出により税務署を介さず共同相続人間で税額の増差額を精算することは認められず、各自が修正申告や更正の請求を行う必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 遺産分割協議が成立したことにより納付税額が減少した相続人が更正の請求をする場合、その請求期間は遺産分割協議が成立したことを知った日の翌日から「4カ月以内」です。
- 選択肢 4正解
- 未分割申告後に遺産分割が確定して税額が増加した場合に行う修正申告では、当初の未分割申告が適正であれば、原則として過少申告加算税や延滞税は課されません。
覚えるポイント
- 未分割遺産が確定した後の更正の請求期限は「分割の事実を知った日の翌日から4カ月以内」である。
間違えやすいところ
- 更正の請求の一般期限(5年)や通則法上の後発的事由(2カ月)と混同しないように注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の相続税法および国税通則法
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融資産等の相続税評価
相続・事業承継 · 上場不動産投資信託(J-REIT)の評価 / 上場株式の評価 / 個人向け国債の評価 / 貸付金債権の評価
個人が相続により取得した金融資産等の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
相続税における金融資産の評価は原則として課税時期における時価によります。上場されている有価証券は市場性があるため、上場株式と同様に取引所価格を基に評価し、純資産価額方式は非上場株式等に用いる方式です。
解き方
- 上場されている不動産投資法人の投資証券(J-REIT)の評価方法が上場株式に準じた市場価格基準であるかを確認する。
- 複数市場上場株式の選択方式、個人向け国債の中途換金価額方式、貸付金債権の元本+既経過利息方式の各規定と照合して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 上場投資証券(J-REIT等)は、1口当たりの純資産額ではなく、上場株式の評価方法に準じて課税時期の最終価格や直近3カ月の月別平均額のうち最も低い価額で評価します。
- 選択肢 2不正解
- 国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式は、納税義務者が選択した取引所が公表する終値または当月・前月・前々月の月平均終値のうち最も低い価額で評価します。
- 選択肢 3不正解
- 個人向け国債は、課税時期において中途換金した場合に支払を受けることができる価額(額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額)により評価します。
- 選択肢 4不正解
- 貸付金債権の価額は、原則として返済されるべき元本の金額と、課税時期現在の既経過利息として支払を受けるべき金額の合計額によって評価します。
覚えるポイント
- 上場されている不動産投資信託(J-REIT)の投資証券は「上場株式の評価方法」に準じて評価する。
間違えやすいところ
- 非上場株式の評価で用いられる「純資産価額方式」を上場証券に適用してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定同族会社事業用宅地等 / 貸付事業用宅地等 / 限度面積の完全併用
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
小規模宅地等の特例は、事業用や居住用の宅地について要件を満たす場合に課税価格を一定割合減額する制度であり、取得者の資格・保有継続等の要件が厳格に定められています。
解き方
- 各選択肢に記載された小規模宅地等の特例の適用要件や限度面積の適用関係を法令に基づいて照合する。
- 特定同族会社事業用宅地等の親族・役員要件について、役員たる時期の基準が正しいか判定する。
- 選択肢 1正解
- 特定同族会社事業用宅地等の適用を受けるためには、宅地を取得した親族が「相続開始時から申告期限まで引き続きその法人の役員であること」等が必要であり、申告期限において役員であることが求められます。相続開始直前に役員でなかった場合でも、相続開始後に役員に就任して申告期限まで役員であれば適用対象となり得るため、「相続開始の直前において役員でなければならない」とする本肢は誤り(最も不適切)です。
- 選択肢 2不正解
- 貸付事業用宅地等については、配偶者が取得した場合であっても申告期限までの保有継続要件および事業継続要件を満たす必要があるため、申告期限までに売却した場合は適用を受けることができず、正しい記述です。
- 選択肢 3不正解
- 特定事業用宅地等および特定同族会社事業用宅地等(合算で限度面積400㎡まで)と、特定居住用宅地等(限度面積330㎡まで)は完全併用が可能であるため、300㎡+200㎡+200㎡=700㎡のすべてについて本特例の適用を受けることができ、正しい記述です。
- 選択肢 4不正解
- 特例対象宅地等を取得した者が複数人いる場合、どの宅地に本特例を適用するかについての選択は、特例対象宅地等を取得したすべての個人の同意が必要であると定められており、正しい記述です。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等(最大330㎡)と事業用宅地等(特定事業用・特定同族会社事業用合わせて最大400㎡)は完全併用により最大730㎡まで適用可能。
- 特定同族会社事業用宅地等の役員要件は「申告期限において役員」であること。
間違えやすいところ
- 配偶者の税額軽減と混同し、貸付事業用宅地等の配偶者取得において保有継続要件が免除されると誤認しやすい。
- 事業用宅地等の限度面積(400㎡)と居住用(330㎡)が併用可能である点を、按分調整が必要と誤解しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
経営承継円滑化法における遺留分に関する民法の特例
相続・事業承継 · 経営承継円滑化法 / 遺留分に関する民法の特例 / 除外合意 / 固定合意 / 後継者要件
中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律による「遺留分に関する民法の特例」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
経営承継円滑化法に基づく遺留分特例は、後継者に贈与された自社株式等を遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)または評価額を合意時の時価に固定(固定合意)することで、円滑な事業承継を支援する制度です。
解き方
- 各選択肢の要件(対象企業、後継者要件、付随合意、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可の手続き)を照合する。
- 後継者の範囲に関する記述(「旧代表者の推定相続人に限られる」)の当否を法令に基づいて判定する。
- 選択肢 1不正解
- 特例の対象となる特例中小企業者は、中小企業基本法の定義に基づく規模要件を満たし、かつ3年以上継続して事業を行っている非上場会社であるため、正しい記述です。
- 選択肢 2正解
- 平成28年4月施行の改正により、後継者は旧代表者の推定相続人だけでなく、推定相続人以外の親族外後継者も対象とすることができるよう拡充されたため、「推定相続人に限られる」とする本肢は誤り(最も不適切)です。
- 選択肢 3不正解
- 除外合意または固定合意と併せて、後継者以外の推定相続人が旧代表者から受けた生前贈与財産(非自社株財産)を遺留分算定基礎財産から除外する合意も認められているため、正しい記述です。
- 選択肢 4不正解
- 特例合意は書面で行い、合意をした日から1カ月以内に経済産業大臣の確認申請を行い、確認を受けた日から1カ月以内に家庭裁判所の許可の申立てをして許可を得ることで効力が生じるため、正しい記述です。
覚えるポイント
- 遺留分の特例の手続き期間:合意から1カ月以内に経済産業大臣の確認申請、確認から1カ月以内に家庭裁判所へ申立て。
- 特例中小企業者は3年以上の事業継続実績がある非上場会社が対象。
間違えやすいところ
- 除外合意・固定合意の対象が自社株式等だけでなく、後継者以外の者が受けた贈与財産の除外も併せて合意できる点を見落としやすい。
- 確認申請と家庭裁判所申立ての各1カ月以内の期限を混同しやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2017年1月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2017年1月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

