日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年9月 1級 学科(基礎編)の概要
全国健康保険協会管掌健康保険における標準報酬月額および標準賞与額
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 標準報酬月額 / 標準賞与額 / 任意継続被保険者
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)における標準報酬月額および標準賞与額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
健康保険の標準報酬月額および標準賞与額は、保険料の算定や傷病手当金・出産手当金等の各種保険給付の基準となるものです。標準賞与額は年度(4月1日~翌年3月31日)ごとに累計573万円の上限が設定されています。
解き方
- 各選択肢における標準報酬月額の等級・定時決定の適用期間・任意継続被保険者の算定基準・標準賞与額の年度上限規定を確認する。
- 12月の標準賞与額の計算(上限573万円から7月支給分300万円を控除すると273万円)が正しいことを確認し、正解肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 健康保険の標準報酬月額は、第1級の5万8,000円から第50級の139万円までの「50等級」に区分されています(2016年4月1日改正施行)。最高121万円の47等級ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 定時決定により決定された標準報酬月額は、原則としてその年の「9月」から翌年「8月」までの各月の標準報酬月額となります。8月から翌年7月までではありません。
- 選択肢 3不正解
- 任意継続被保険者の標準報酬月額は、「資格喪失時の標準報酬月額」と「前年9月30日現在の全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額(協会けんぽの上限額)」の「いずれか少ない(低い)額」となります。いずれか多い額ではありません。
- 選択肢 4正解
- 健康保険の標準賞与額の上限は、同一年度内(4月1日から翌年3月31日まで)の累計額で573万円です。7月に300万円が支給された場合、12月の賞与300万円に対する標準賞与額は「573万円-300万円=273万円」となります。
覚えるポイント
- 健康保険の標準報酬月額は58,000円~139万円の50等級。
- 標準賞与額の年度累計上限は573万円(4月1日~翌年3月31日)。
- 任意継続被保険者の標準報酬月額は「本人の資格喪失時」と「全被保険者の平均額」のいずれか低い方。
間違えやすいところ
- 厚生年金保険(標準報酬月額31等級・上限62万円、標準賞与額は1か月あたり150万円上限)と健康保険の上限ルールを混同しないように注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令(健康保険法)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働者災害補償保険の業務災害および通勤災害の認定
ライフプランニングと資金計画 · 労災保険 / 業務災害 / 通勤災害 / 業務起因性 / 業務遂行性
労働者災害補償保険(労災保険)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
労災保険の保険給付対象となる「業務災害」は、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡をいい、業務遂行性と業務起因性の双方が認められる必要があります。事業場施設の不備・欠陥等による事故は、休憩時間中であっても業務災害と認められます。
解き方
- 各事案における「業務遂行性」「業務起因性」または「通勤」の該当性を検討する。
- 自社の事業場施設(エレベーター)の欠陥による休憩時間の負傷事故が業務災害として適切に扱われることを確認し、正解肢を決定する。
- 選択肢 1不正解
- 用便や飲水などの生理的行為は業務に付随する行為と認められ、事業場施設内において廊下の箱が崩れて負傷した場合は事業場施設の欠陥等による災害として業務災害に該当します。
- 選択肢 2正解
- 休憩時間中であっても事業場施設内にいる間は事業主の支配管理下にあり、自社ビルのエレベーターの誤作動など事業場施設の不備・欠陥に起因する災害については業務起因性が認められ、業務災害に該当します。
- 選択肢 3不正解
- 単身赴任者が配偶者等のいる自宅と赴任先の就業場所との間を移動する場合、要件を満たせば「住居と就業の場所との間の往復」として通勤と認められ、通勤災害に該当します。
- 選択肢 4不正解
- 出張中は、宿泊場所への往復を含めて全体として事業主の支配管理下にあるとされ、ホテルから取引先へ向かう途中の事故は「通勤災害」ではなく「業務災害」に該当します。
覚えるポイント
- 休憩時間中の事業場施設内の事故(施設の欠陥等によるもの)は業務災害となる。
- 生理的行為(トイレ、飲水等)は業務に付随し、業務逸脱とはみなされない。
- 出張中の移動や行動は原則として全体が事業主の支配管理下にあり、通勤災害ではなく業務災害となる。
間違えやすいところ
- 出張中の宿泊先からの移動を「住居からの通勤(通勤災害)」と誤認しないように注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令(労働者災害補償保険法・通達等)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の雇用継続給付の支給要件および給付内容
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 育児休業給付金 / 介護休業給付金 / 高年齢雇用継続給付
雇用保険の雇用継続給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
雇用保険の雇用継続給付には、育児休業給付、介護休業給付、高年齢雇用継続給付(基本給付金・再就職給付金)があり、就業の継続や円滑な復帰を支援するために所定の要件のもとで給付金が支給されます。
解き方
- 育児休業給付金の日数区分と支給率(180日を境に67%から50%)を確認する。
- 介護休業給付金の被保険者期間要件における「継続」不要(通算で12カ月)を確認する。
- 高年齢再就職給付金の受給要件(基本手当を受給し、所定給付日数が100日以上残っていること)を確認する。
- 高年齢雇用継続給付における支給限度額による支給停止(賃金が一定額以上の場合)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 育児休業給付金は、育児休業開始日から通算180日に達するまでは休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の67%、180日経過後は50%が支給されます。
- 選択肢 2不正解
- 介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が「通算して」12カ月以上あることが要件であり、「継続して」である必要はありません。
- 選択肢 3不正解
- 高年齢再就職給付金は、基本手当を受給した受給資格者が、算定基礎期間5年以上かつ基本手当の支給残日数を100日以上残して安定した職業に就いた場合に支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 高年齢雇用継続基本給付金には支給限度額(平成28年度基準では月額34万円程度)が設定されており、支給対象月に支払われた賃金が36万円である場合は支給限度額を超えるため、給付金は支給されません。
覚えるポイント
- 育児休業給付金は当初180日までは67%、180日経過後は50%が支給される。
- 高年齢再就職給付金は基本手当の支給残日数が100日以上あることが要件となる。
間違えやすいところ
- 受給資格要件において「通算12カ月」と「継続12カ月」を取り違えやすい。
- 高年齢雇用継続給付の低下率(61%未満で15%)のみに着目し、支給限度額による足切りを見落としやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の雇用保険法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢厚生年金の繰下げ支給の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 年金の繰下げ受給 / 加給年金額 / 併給調整
老齢厚生年金の繰下げ支給に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
老齢厚生年金の繰下げ支給は、65歳到達時に他の年金の受給権がない場合などに申出が可能であり、繰下げ月数に応じて報酬比例部分が増額されますが、加給年金額自体は増額されません。
解き方
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ申出が別々に選択可能であることを確認する。
- 65歳到達時に障害基礎年金のみの受給権を有する場合、老齢厚生年金の繰下げが制限されない点を確認する。
- 65歳到達時に遺族厚生年金の受給権を有している場合は、老齢厚生年金の繰下げ申出ができない点を確認する。
- 加給年金額は繰下げ増額の対象外であり、待機期間中も加算されない点を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 老齢厚生年金の繰下げと老齢基礎年金の繰下げは、それぞれ別々に申し出ることが可能です。
- 選択肢 2不正解
- 障害基礎年金の受給権者が65歳に達して老齢厚生年金の受給権を取得した場合、老齢厚生年金の繰下げ申出を行うことが可能です。
- 選択肢 3不正解
- 65歳に達した時点で遺族厚生年金の受給権を有している者は、老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができません。
- 選択肢 4正解
- 老齢厚生年金を繰り下げても、加給年金額は増額されず、繰下げ待機期間中も受給できないため、増額対象となるのは本体の年金額(報酬比例部分)のみとなります。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げの選択ができる。
- 加給年金額は繰下げによる増額率は適用されず、待機期間中も支給されない。
間違えやすいところ
- 基礎年金と厚生年金を同時に繰り下げなければならないと誤認しやすい。
- 繰下げ待機中に加給年金額が累積または増額されると誤認しやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の厚生年金保険法および国民年金法
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の受給要件および支給停止
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 労災補償との調整 / 受給権者
厚生年金保険の被保険者であるAさん(40歳)が死亡した場合の遺族厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、Aさんは遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしているものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
1
解説
遺族厚生年金は死亡した被保険者により生計を維持されていた一定の遺族に支給されますが、労働基準法の遺族補償との調整や受給対象者の範囲・失権事由が法律で厳格に定められています。
解き方
- 労働基準法による遺族補償との併給調整規定(支給停止期間)を確認する。
- 子のある配偶者における遺族厚生年金の失権要件(5年有期給付の適用条件)を確認する。
- 父母が受給権者となる場合の取扱い(同順位受給・按分支給)と受給対象遺族の範囲(兄弟姉妹の除外)を判定する。
- 選択肢 1正解
- 厚生年金保険法第64条により、被保険者の死亡につき労働基準法の遺族補償が行われるべきときは、死亡の日から6年間は遺族厚生年金の支給が停止されます。
- 選択肢 2不正解
- 30歳未満の妻に対する5年間の有期給付は子のない妻に適用されます。子がある妻は受給権取得から5年で消滅することはなく、30歳到達前に遺族基礎年金の受給権が消滅した場合などに消滅後5年で失権します。
- 選択肢 3不正解
- 受給権者が同順位の父母双方である場合、一方のみではなく双方が受給権を取得し、年金額はそれぞれの受給権者数で除した額が支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 遺族厚生年金の受給対象となる遺族は配偶者・子、父母、孫、祖父母に限られており、兄弟姉妹は対象に含まれません。
覚えるポイント
- 労働基準法の遺族補償が支給される場合の遺族厚生年金の支給停止期間は6年間である。
- 遺族厚生年金の対象親族に兄弟姉妹は含まれない(遺族基礎年金も同様)。
間違えやすいところ
- 30歳未満の妻の5年有期給付を、子の有無にかかわらず一律に適用されると誤解しやすい点。
- 同順位の受給権者(父母や祖父母など)について、代表者1人のみが受給権を得ると混同しやすい点。
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令(厚生年金保険法第59条、第60条、第63条、第64条等)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定給付企業年金の制度設計と給付要件
ライフプランニングと資金計画 · 確定給付企業年金 / 加入対象者 / 受給資格期間 / 給付要件
確定給付企業年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
確定給付企業年金は事業主が従業員と給付内容をあらかじめ約束する年金制度であり、受給資格期間の上限、支給開始年齢、年金給付の支給期間・回数などが確定給付企業年金法で定められています。
解き方
- 加入対象となる厚生年金被保険者の範囲(第1号厚生年金被保険者のみか公務員等も含むか)を確認する。
- 規約で設定できる老齢給付金の受給資格期間の上限年数を確認する。
- 老齢給付金の支給開始年齢の要件(原則および早期退職時)を確認する。
- 年金給付の支給形態に関する法定要件(期間および支給頻度)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 確定給付企業年金の加入対象者は第1号厚生年金被保険者に限られ、公務員等の共済組合員や私学教職員共済の加入者は対象に含まれません。
- 選択肢 2不正解
- 確定給付企業年金法第33条第2項により、老齢給付金の受給資格期間は規約で定めますが、20年を超える期間とすることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 確定給付企業年金法第32条により、早期退職時の支給開始は「50歳以上60歳未満」の規約で定める年齢に達した日以後に退職したときであり、「40歳以上」ではありません。
- 選択肢 4正解
- 確定給付企業年金法第34条第1項の規定通り、年金たる給付は終身または5年以上にわたり、毎年1回以上定期的に支給するものでなければなりません。
覚えるポイント
- 確定給付企業年金の受給資格期間は最長20年までしか定められない。
- 確定給付企業年金の年金給付は終身または5年以上で、年1回以上の定期支給が要件である。
間違えやすいところ
- 公的年金の受給資格期間(当時25年)と確定給付企業年金の上限(20年)を混同しやすい点。
- 早期退職時の支給開始可能下限年齢を40歳や45歳などと誤認しやすい点(正しくは50歳以上)。
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令(確定給付企業年金法第25条、第32条、第33条、第34条)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済制度
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 共済事由 / 契約者貸付制度
小規模企業共済制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者が退職金代わりに備える制度です。受給事由によって「共済金A」「共済金B」「準共済金」「解約手当金」に分類され、共済金額の返戻水準や税制上の取扱いが異なります。
解き方
- 共済金の受取事由ごとの区分(個人事業廃止は共済金A、親族への事業譲渡は準共済金)を確認する。
- 掛金納付月数に応じた給付率の序列(共済金A > 共済金B > 準共済金 > 解約手当金)から選択肢2が適切であると判断する。
- 選択肢 1不正解
- 掛金月額の減額は、一定の要件や経営悪化等の理由を問わず、契約者の申出により自由に行うことができます(1,000円から7万円の範囲内、500円単位)。
- 選択肢 2正解
- 個人事業主の廃業は「共済金A」、配偶者または子への事業の全部譲渡は「準共済金」に該当し、支給額の計算基準は共済金Aのほうが高くなります。
- 選択肢 3不正解
- 共済金の分割受取りにおける支給月は、公的年金と同様に偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の年6回です。
- 選択肢 4不正解
- 契約者貸付制度の「一般貸付け」の貸付限度額の上限は2,000万円であり、複数の貸付を合算した借入限度額も2,000万円です。
覚えるポイント
- 共済金額の高さの順位は「共済金A > 共済金B > 準共済金 > 解約手当金」となる。
間違えやすいところ
- 公的年金や共済金の偶数月支給と奇数月支給の月を混同しないように注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)
ライフプランニングと資金計画 · 経営セーフティ共済 / 掛金限度額 / 解約手当金
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産による連鎖倒産を防止するための無担保・無保証人の共済貸付制度です。任意解約手当金は掛金納付月数に応じて0%から最大100%まで段階的に引き上げられますが、運用益や利息が付利される制度ではないため100%を超えることはありません。
解き方
- 共済金の掛金月額(5,000円〜20万円)および積立上限(800万円)の正確性を確認する。
- 任意解約時の解約手当金は40か月以上で掛金全額(100%)となるが、掛金総額を上回ることはない点を確認して選択肢4を不適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 中小企業倒産防止共済制度は連鎖倒産を防ぐための制度であり、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
- 選択肢 2不正解
- 掛金月額は5,000円から20万円まで(5,000円刻み)で自由に選択でき、掛金積立限度額は800万円です。
- 選択肢 3不正解
- 取引先の倒産時には、掛金総額の10倍に相当する額(最高8,000万円)または回収困難となった被害額のいずれか少ない額の範囲内で無利息貸付けを受けられます。
- 選択肢 4正解
- 掛金納付月数が40か月以上であれば解約手当金は掛金総額の100%相当額となりますが、掛金総額を上回ることはありません。
覚えるポイント
- 倒産防止共済の解約手当金は40か月以上で100%支給となる(上回ることはない)。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済と倒産防止共済の掛金限度額(小規模企業共済は月額7万円、倒産防止共済は月額20万円・総額800万円)を混同しないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種共済(JA共済・全労済)の保障内容と商品仕組み
リスク管理 · 共済 / JA共済 / 全労済 / マイカー共済
各種共済(JA共済および全労済)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
共済事業者が提供する共済商品は民間の損害保険や生命保険と類似していますが、基本保障の範囲や剰余金の割戻し、一律掛金の設定など独自の設計ルールが定められています。
解き方
- JA共済の医療共済における入院日数の型や自動車共済の割戻金制度の有無を確認する。
- 全労済のこくみん共済の掛金体系およびマイカー共済の基本補償と選択補償(車両損害)の区分を検討して誤りを見出す。
- 選択肢 1不正解
- JA共済の医療共済では、1入院支払限度日数として60日型、120日型、200日型の3種類が設定されており適切です。
- 選択肢 2不正解
- JA共済の自動車共済は有配当方式であり、共済事業の決算により剰余金が生じた場合は利用分量配当金として割戻金が支払われます。
- 選択肢 3不正解
- 全労済の「こくみん共済」総合タイプは、満18歳から満64歳までの加入対象者であれば性別や年齢に関わらず掛金が一律となっています。
- 選択肢 4正解
- マイカー共済の基本補償は対人賠償・対物賠償・人身傷害補償であり、車両損害補償は希望に応じて任意付帯する補償であるため不適切です。
覚えるポイント
- マイカー共済の車両損害補償は基本補償ではなく任意付加の選択補償である点
間違えやすいところ
- JA共済の自動車共済にも決算剰余金による割戻金制度が存在するのを見落としがちです。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令・各種共済約款等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険会社の健全性・収益性指標(責任準備金・ソルベンシー・マージン比率・実質純資産額・EV)
リスク管理 · ソルベンシー・マージン比率 / 実質純資産額 / エンベディッド・バリュー / 責任準備金
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
保険会社の健全性を測る監督基準として、通常の予測を超えるリスクに対する支払余力を示すソルベンシー・マージン比率や実質的な債務超過を判断する実質純資産額などの定量的指標が用いられます。
解き方
- 責任準備金、ソルベンシー・マージン比率、実質純資産額、EVのそれぞれの正確な定義および算定式を確認する。
- 実質純資産額がマイナスとなった場合の監督上の措置(早期是正措置・業務停止命令)と合致している肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 保険業法に基づく標準責任準備金制度で義務づけられている積立方式は「平準純保険料式」等であり、チルメル式ではありません。
- 選択肢 2不正解
- ソルベンシー・マージン比率は、ソルベンシー・マージン総額を「リスクの合計額の2分の1(1/2)」で除して算出するため誤りです。
- 選択肢 3正解
- 実質純資産額は時価ベースの資産から資本性の高い負債(危険準備金等)を除いた負債を控除して算出し、債務超過時は業務停止命令の対象となります。
- 選択肢 4不正解
- EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産価値」と「保有契約価値」を合計して算出される指標であり、基礎利益との合計ではありません。
覚えるポイント
- 実質純資産額がマイナスになると業務停止命令を含む早期是正措置の対象となる点
間違えやすいところ
- ソルベンシー・マージン比率の分母は「リスクの合計額×1/2」であり、2倍ではない点に注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の保険業法・関連省令および監督指針
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険に係る雑所得の金額の計算
リスク管理 · 個人年金保険 / 雑所得の計算 / 余命年数
個人年金保険(10年保証期間付終身年金・定額型、契約者=年金受取人:Aさん、被保険者:妻Bさん、年金開始年齢:60歳、年金年額:60万円、既払込正味保険料総額:800万円)から平成28年中に年金を受け取ったAさんの雑所得の金額として、最も適切なものはどれか。なお、余命年数表における60歳女性の余命年数は23年、60歳男性の余命年数は19年とする。
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解答
3
解説
公的年金等以外の年金に係る雑所得の金額は、「総収入金額-必要経費」で計算します。終身年金等の必要経費は「その年中に受ける年金額×(支払保険料総額/年金支払総額見込額)」で求め、年金支払総額見込額の算定に用いる余命年数は「被保険者」の年齢・性別に応じたものを使用します。
解き方
- 被保険者である妻Bさん(支給開始時60歳女性)の余命年数を余命年数表から確認し、23年(保証期間10年より長いため23年を採用)を基準年数とします。
- 年金支払総額の見込額を「60万円×23年=1,380万円」と計算します。
- 必要経費割合を「800万円÷1,380万円=0.57971…」より、小数点以下第3位未満を切り上げて0.580と求めます。
- 必要経費を「60万円×0.580=34万8,000円」とし、雑所得の金額を「60万円-34万8,000円=25万2,000円」と算出します。
- 選択肢 1不正解
- 16万8,000円は誤りです。被保険者ではなく契約者Aさんの余命年数(男性60歳:19年)等を用いた誤った計算結果です。
- 選択肢 2不正解
- 23万4,000円は誤りです。経費率の端数処理や見込年数の選択を誤った場合の数値です。
- 選択肢 3正解
- 被保険者(妻・60歳)の余命年数23年を用いて必要経費割合を0.580と算定し、年金額60万円から必要経費34万8,000円を差し引いた25万2,000円が正しい金額です。
- 選択肢 4不正解
- 26万4,000円は誤りです。保証期間のみを基準にするなど誤った算定式による数値です。
覚えるポイント
- 年金支払総額見込額を計算する際の余命年数は、契約者や受取人ではなく「被保険者」の性別と年金開始日における年齢で判定します。
- 支払保険料総額を年金支払総額見込額で除した必要経費割合は、小数点以下第3位未満を切り上げます。
間違えやすいところ
- 年金受取人であるAさん(男性)の余命年数19年を誤って適用してしまうミス。
- 保証期間付終身年金において、保証期間の年数(10年)と余命年数(23年)のいずれか長い方を用いるルールを失念すること。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の所得税法および所得税法施行令(第82条の3、第183条)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建て保険の特徴および規制
リスク管理 · 外貨建て保険 / 市場価格調整(MVA) / 生命保険料控除 / 金融商品取引法準用
外貨建て保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
外貨建て保険の市場価格調整(MVA)機能は、解約時に市場金利の変動を反映させる仕組みです。市場金利が上昇すると運用資産である債券価格が下落するため解約返戻金は減少し、市場金利が低下すると債券価格が上昇するため解約返戻金は増加します。
解き方
- 各選択肢の制度や仕組み(税制上の特典、MVAの仕組み、ターゲット機能、募集時の行為規制)を順に検討します。
- 市場価格調整(MVA)において、金利上昇時は債券価格下落に対応して解約返戻金額が「減少」する点を確認し、記述の誤りを特定します。
- 選択肢 1不正解
- 外貨建て保険であっても、所得税の生命保険料控除や相続税の死亡保険金の非課税限度額の規定は円建て保険と同様に適用されます。
- 選択肢 2正解
- 市場金利が契約時と比較して上昇した場合には、運用債券の価格が下落するため、外貨建ての解約返戻金額は減少します。したがって不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 外貨建て一時払変額終身保険には、円換算の目標値に到達した時点で自動的に円建て定額終身保険に移行して運用成果を確保するターゲット型の商品があります。
- 選択肢 4不正解
- 外貨建て保険などの特定保険契約は為替リスク等を有するため、保険業法第300条の2により適合性の原則等の金融商品取引法の行為規制が準用されます。
覚えるポイント
- 市場価格調整(MVA)は「金利上昇=価格下落=解約返戻金減少」「金利低下=価格上昇=解約返戻金増加」となります。
- 外貨建て保険は為替リスクがある特定保険契約に該当し、金融商品取引法の行為規制(適合性の原則・書面交付義務等)が準用されます。
間違えやすいところ
- 金利が上昇したときに債券価格が上昇すると逆向きに誤認してしまうこと。
- 外貨建て保険は生命保険料控除の対象外であると誤解すること。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の保険業法および税法規定
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険業法改正における乗合代理店の募集ルール
リスク管理 · 保険業法 / 乗合代理店 / 意向把握義務 / 情報提供義務
平成26年5月に成立・公布された「保険業法等の一部を改正する法律」(平成28年5月施行)に基づく乗合代理店(複数の保険会社の商品を取り扱う代理店)の保険募集時のルールに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
保険業法等の改正により、保険募集人には顧客の意向を適切に把握・確認する「意向把握義務」や、比較推奨販売を行う際の客観的な理由説明を含む「情報提供義務」が課されています。これらは顧客保護のための基本的義務であり、顧客側からの指定があった場合でも意向把握・確認を完全に省略することは認められません。
解き方
- 意向把握・確認義務は原則としてすべての保険募集において適用され、顧客から商品の指定があった場合でも省略できないことを確認します。
- 比較説明や推奨販売を行う場合、比較基準や推奨理由を偏りなく説明する義務があることを確認します。
- 大規模特定保険募集人等(所属保険会社数15社以上など)に課される事業報告書の提出義務規定を確認し、誤りの選択肢を特定します。
- 選択肢 1不正解
- 複数の商品を提示・比較して募集を行う場合、顧客が適切に選択できるよう比較対象商品の重要事項を偏りなく公平に説明する必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 取扱商品の中から特定の商品を推奨して販売する場合には、どのような選別理由や基準によってその商品を推奨したのかを顧客に明示・説明しなければなりません。
- 選択肢 3正解
- 顧客があらかじめ特定の保険会社や商品を自ら指定した場合であっても、顧客の意向の把握および確認義務を省略することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 所属生命保険会社または所属損害保険会社が15社以上等の大規模特定保険募集人は、事業年度ごとに事業報告書を作成し、事業年度終了後3カ月以内に内閣総理大臣へ提出する義務があります。
覚えるポイント
- 顧客からの商品指定があっても「意向把握・確認義務」は省略不可
- 特定保険募集人(所属生保・損保15社以上等)は事業年度経過後3カ月以内に事業報告書を提出
間違えやすいところ
- 「顧客が商品を指名買いしたのだから意向確認は不要」と誤認しやすいが、指定された商品が意向に沿っているかの確認が必要である。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(保険業法第294条、第294条の2等)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
失火責任法の適用範囲と賠償責任の有無
リスク管理 · 失火責任法 / 借家人賠償責任 / 不法行為責任 / ガス爆発事故
賃貸住宅に住む賃借人が失火等で借家や隣家を焼失・損壊させたことによる次の賠償責任のうち、失火の責任に関する法律(失火責任法)の適用により賠償責任を負わないものはいくつあるか。 (a) 賃借人が失火で借家を全焼させ、賃借人に重大な過失が認められない場合における家主に対する賠償責任 (b) 賃借人が失火で借家を全焼させ、賃借人に重大な過失が認められる場合における家主に対する賠償責任 (c) 賃借人が失火で隣家を全焼させ、賃借人に重大な過失が認められない場合における隣家の所有者に対する賠償責任 (d) 賃借人がガス爆発事故で隣家を損壊させ、賃借人に重大な過失が認められない場合における隣家の所有者に対する賠償責任
解答・解説を表示
解答
1
解説
失火責任法は、民法第709条の不法行為責任の特則として、失火者本人に「重大な過失」がない限り不法行為に基づく賠償責任を免除する法律です。ただし、賃借人の家主に対する善管注意義務違反等の「債務不履行責任」には適用されず、また火災を伴わない単なる「ガス爆発事故」等の損壊事故にも適用されません。
解き方
- 家主に対する責任((a), (b))を検討:賃貸借契約に基づく原状回復義務・善管注意義務違反(債務不履行責任)であるため失火責任法は適用されず、軽過失・重過失にかかわらず賠償責任を負います。
- 隣家に対する失火((c))を検討:契約関係のない第三者に対する不法行為責任であり、失火責任法が適用されるため、重大な過失がない場合は損害賠償責任を負いません。
- 隣家に対する爆発事故((d))を検討:失火責任法は「失火(火災)」にのみ適用され、ガス爆発事故等には適用されない(民法709条がそのまま適用され軽過失でも責任を負う)ため、賠償責任を負います。
- 賠償責任を負わないものは(c)の1つだけであることを確認し、選択肢1を選択します。
- 選択肢 1正解
- 失火責任法の適用によって賠償責任を免れるのは、第三者に対する重大な過失のない失火である(c)の1つのみであるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 免責されるのは(c)の1つのみであり、2つではありません。
- 選択肢 3不正解
- 免責されるのは(c)の1つのみであり、3つではありません。
- 選択肢 4不正解
- 免責されるのは(c)の1つのみであり、4つではありません。
覚えるポイント
- 失火責任法は不法行為にのみ適用され、賃借人の家主に対する債務不履行責任には適用されない
- 失火責任法は「失火」に適用され、「爆発(ガス爆発)」には適用されない
間違えやすいところ
- 借家人が家主に対して負う原状回復義務違反(債務不履行)にも失火責任法が及ぶと混同しやすい
- ガス爆発事故を失火と混同し、失火責任法が適用されて免責されると誤解しやすい
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(失火ノ責任ニ関スル法律、民法第415条・第709条、最高裁判所判例)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の補償内容と制度の仕組み
リスク管理 · 地震保険 / 損害区分 / 保険料率 / 保険の対象
地震保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき政府と損害保険会社が共同で運営する公的性格の強い保険です。居住用建物と生活用動産(家財)が対象であり、料率は地域や建物の構造等によって定められています。
解き方
- 各選択肢の保険料率の決定要素、時間の計算規定、対象外財産、支払損害区分の規定をそれぞれ確認する。
- 地震保険において72時間以内に連続して発生した地震等は一括して1回とみなされる規定の妥当性を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 地震保険の基本料率は、建物の構造区分(主としてイ構造・ロ構造)と所在地(都道府県)別に定められており、所在地によって保険料は異なります。
- 選択肢 2正解
- 72時間以内に発生した2以上の地震等は、被災地域が全く重複しない場合を除き、一括して1回の地震等とみなされます。
- 選択肢 3不正解
- 1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や書画・骨董品等は、火災保険とは異なり、明記しても地震保険の対象とすることはできません。
- 選択肢 4不正解
- 本問の基準日(2016年4月1日)における損害区分では、一部損の場合の保険金支払割合は保険金額の5%相当額(10%ではない)です。
覚えるポイント
- 地震保険の対象外:1個・1組30万円超の貴金属・宝石・書画・骨董、自動車、通貨など
- 72時間以内の複数地震は原則として一括して1回とみなされる
間違えやすいところ
- 火災保険で明記物件とされる30万円超の貴金属類は、地震保険では明記しても引き受け対象外となる点
- 地震保険の料率は全国一律ではなく、都道府県別の危険度に応じて差が設けられている点
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
主要な経済指標の定義と分類
金融資産運用 · GDP / 鉱工業指数 / 景気動向指数 / 完全失業率
経済指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
景気判断や経済分析に用いられる各種経済指標は、作成官庁・調査手法・計算式・景気変動に対する先行性・一致性・遅行性が厳密に定義されています。それぞれの指標の算出基礎の違いを正しく整理することが重要です。
解き方
- 各選択肢に記載された各経済指標(GDP支出系列、鉱工業指数、景気動向指数CI/DI、完全失業率)の定義および性質を確認する。
- 選択肢4の完全失業率の算出式が「有効求職者数」となっている誤り(総務省労働力調査の「完全失業者数」が正しい)を見抜く。
- 選択肢 1不正解
- GDP(支出側)は民間・政府消費、総固定資本形成、在庫品増加、純輸出で構成され、民間最終消費支出が過半(最も高い構成比)を占めています。
- 選択肢 2不正解
- 鉱工業指数は経済産業省が毎月公表する数量指数で、出題基準日時点では平成22年(2010年)が基準時とされています。
- 選択肢 3不正解
- 景気動向指数のCIは景気変動の大きさや量感(テンポ)を測定し、DIは景気拡張の各部門への波及度合いを測定することを目的としています。
- 選択肢 4正解
- 完全失業率は総務省「労働力調査」に基づく「完全失業者数÷労働力人口×100」で算出されます。有効求職者数を用いるのは厚生労働省の有効求人倍率に関する集計です。
覚えるポイント
- 完全失業率 = 完全失業者数 ÷ 労働力人口 × 100(総務省「労働力調査」、遅行系列)
- 有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数(厚生労働省「職業安定業務統計」、一致系列)
間違えやすいところ
- 有効求人倍率(厚生労働省公表)と完全失業率(総務省公表)の算出根拠データの混同
- 景気動向指数のCI(景気変動のテンポ・量感)とDI(波及度合い)の目的の取り違え
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金投資の特徴と取引手法
金融資産運用 · 金投資 / 純金積立 / 金ETF / 金先物取引
金投資に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
金地金等の実物投資は有価証券とは異なり消費税の課税対象取引ですが、購入時だけでなく売却時にも消費税相当額が上乗せされて支払われます。また、純金積立や金ETF、商品先物取引など、金投資には多様な投資手法と仕組みが存在します。
解き方
- 純金積立の毎日の買付方式(ドル・コスト平均法)の仕組みを確認します。
- 金の売買における消費税の取り扱い(売却時にも消費税相当額を受け取れる点)を確認し、誤りを特定します。
- 金ETFの取引形態および現物転換の可否、ならびに商品取引所における金先物・オプションの取引体系を照合します。
- 選択肢 1不正解
- 純金積立では、毎月の積立額を営業日数で均等に割り、日々の価格で少しずつ金を買い付けるドル・コスト平均法の仕組みが一般的です。
- 選択肢 2正解
- 金の実物取引では売却時にも消費税相当額が加算されて支払われるため、金価格が変動しない場合でも消費税分による損失は生じません。
- 選択肢 3不正解
- 金ETFは取引所の立会時間中に指値・成行注文で売買可能であり、一部の銘柄(「金の果実」シリーズなど)では一定口数以上で現物地金への交換が可能です。
- 選択肢 4不正解
- 東京商品取引所(TOCOM)の金先物には、標準取引(1kg単位)のほか、10分の1であるミニ取引(100g単位)や先物オプション取引が用意されています。
覚えるポイント
- 金地金の売買では購入時だけでなく売却(換金)時にも消費税相当額を受け取る。
間違えやすいところ
- 金地金の売買に消費税が課されることから、売却時には消費税を受け取れないと誤認しやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資信託の運用スタイル
金融資産運用 · グロース運用 / バリュー運用 / スマートベータ / ロング・ショート運用
株式投資信託の運用スタイル等に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) グロース運用は、一般に、PERやPBRなどの指標を用いて、企業の業績や財務内容等から株価が割安な水準にあると判断される銘柄を選定して運用するスタイルである。 (b) スマートベータ運用は、時価総額の大きい銘柄を選定して運用するスタイルであり、一般に、リターンがTOPIX等の市場平均を上回る傾向があるとされる。 (c) ロング・ショート運用は、一般に、株価が割安と判断される銘柄のロング・ポジションを取り、同時に株価が割高と判断される銘柄のショート・ポジションを取る運用手法である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
投資信託の運用スタイルには、企業の割安度に着目するバリュー運用、成長性に着目するグロース運用のほか、財務指標や株価ファクターに基づくスマートベータ運用、割安銘柄の買いと割高銘柄の売りを組み合わせるロング・ショート戦略などがあります。
解き方
- 記述(a)を検討:PERやPBR等の指標で割安銘柄を選ぶのはバリュー運用であり、グロース運用ではないため不適切と判定します。
- 記述(b)を検討:スマートベータは財務指標や価格変動特性などの特定ファクターに基づく指数運用であり、単に時価総額の大きい銘柄を選ぶ手法ではないため不適切と判定します。
- 記述(c)を検討:割安銘柄のロング(買い)と割高銘柄のショート(売り)を同時に行う手法であるため適切と判定します。
- 適切な記述は(c)の1つのみであるため、選択肢1を選択します。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(c)の1つのみであるため、選択肢1が正解となります。
- 選択肢 2不正解
- 記述(a)および(b)は不適切であり、適切な記述は2つではありません。
- 選択肢 3不正解
- 記述(a)および(b)は不適切であり、3つすべてが適切ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 記述(c)が適切であるため、適切な記述が0(なし)とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- PERやPBRで割安株を選ぶのは「バリュー運用」、スマートベータは「ファクター重視の非時価総額加重指数」。
間違えやすいところ
- グロース運用とバリュー運用の定義を混同したり、スマートベータを時価総額基準のインデックスと誤解したりしやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国債の仕組みと税制
金融資産運用 · 個人向け国債 / 物価連動国債 / 金融所得課税の一体化
国債に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
国債には個人向け国債や機関投資家向けの物価連動国債など多様な商品性があり、平成28年1月以降は公社債税制の抜本改定(特定公社債等の損益通算)が実施されています。
解き方
- 個人向け国債の初回利子や最低保証利率(年0.05%)の制度設計を確認する。
- 平成25年以降発行の新型物価連動国債の元本保証(フロア・ルール)の有無を判定する。
- 平成28年1月以後に支払われる公社債等の利子に対する課税方式(申告分離課税および損益通算)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 個人向け国債は原則として毎月15日に発行され、発行日が15日以外となる場合でも購入者が利子調整額を支払う仕組みではなく、初回の利子支払額で日数調整(日割り計算)が行われます。
- 選択肢 2不正解
- 変動金利型10年満期個人向け国債の最低保証利率は年0.05%であり、年0.10%ではありません。
- 選択肢 3正解
- 平成25年10月以降に発行が再開された新型物価連動国債にはフロア(元本保証)が設定されており、満期償還時の想定元金額が額面金額を下回る場合であっても額面金額で償還されます。
- 選択肢 4不正解
- 平成28年1月1日以後に個人が受け取る利付国債の利子は申告分離課税の対象となり、上場株式等の譲渡損失等と損益通算することが可能となっています。
覚えるポイント
- 個人向け国債(固定3年・固定5年・変動10年)の最低保証利率は年0.05%である。
- 新型物価連動国債は償還時の元本下限保証(額面金額での償還)が導入されている。
間違えやすいところ
- 物価連動国債のフロアの有無について、旧型(下限保証なし)と新型(満期時のみ下限保証あり)を取り違えないように注意する。
- 平成28年1月の税制改正以前に発行された既発債であっても、平成28年1月以後の利子や譲渡損益は新税制(損益通算可能)が適用される点に留意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式市場の各種株価指数
金融資産運用 · TOPIX / JPX日経インデックス400 / DAX / FTSE100
株式市場の各種指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
世界の主要株価指数は、算出の対象市場、採用銘柄数、加重方式(単純平均型、時価総額加重平均型など)によってそれぞれの特徴が定義されています。
解き方
- 各選択肢に記載された株価指数の対象市場・採用銘柄の母集団を確認する。
- TOPIXは東証一部のみ、JPX日経400は一部・二部・マザーズ・JASDAQが選定対象、DAXはドイツ市場であることを照合する。
- ロンドン市場の時価総額上位100銘柄を対象とするFTSE100の記述が合致することを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 出題基準日時点におけるTOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所市場第一部に上場する全銘柄を対象としており、市場第二部銘柄は含まれません。
- 選択肢 2不正解
- JPX日経インデックス400の選定対象は市場第一部銘柄に限られず、東証市場第二部、マザーズ、JASDAQに上場する銘柄も母集団に含まれます。
- 選択肢 3不正解
- DAXはドイツのフランクフルト証券取引所に上場する主要企業で構成される株価指数です。記述にある「米国の3市場から500銘柄」はS&P500指数の説明です。
- 選択肢 4正解
- FTSE100は、ロンドン証券取引所に上場する銘柄のうち時価総額上位100銘柄を対象として算出される時価総額加重平均型(浮動株調整後)の株価指数です。
覚えるポイント
- JPX日経インデックス400の母集団は東証一部・二部・マザーズ・JASDAQの銘柄である。
- DAXはドイツ(フランクフルト)、FTSE100は英国(ロンドン)の代表的な株価指数である。
間違えやすいところ
- JPX日経400は東証一部上場銘柄だけでなく新興市場等も含めた中から選定される点を見落としやすい。
- DAX指数を米国市場の指数(ダウ平均やS&P500)と混同しないように整理する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オプション取引による各種リスクヘッジ手法
金融資産運用 · オプション取引 / 金利キャップ・フロア / スワップション / リスクヘッジ
オプション取引を用いた一般的なリスクヘッジに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
オプション取引では、価格や金利の上昇による損失を防ぐためにコール(買う権利)を、下落による損失を防ぐためにプット(売る権利)を購入します。金利オプションにおいては、金利コールに相当する「キャップ」が金利上昇ヘッジ、「フロア」が金利低下ヘッジとなり、スワップションでは固定受取・変動支払の「レシーバーズ・スワップション」が金利低下ヘッジとなります。
解き方
- 各取引(原資産のプット買い、通貨コール買い、金利キャップ買い、レシーバーズ・スワップション買い)の権利内容と損益構造を確認する。
- それぞれの取引が原資産価格や金利の上昇・下落のどちらのリスクを防御(ヘッジ)するものかを照合し、誤っている記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- プット・オプションの購入は原資産を所定の権利行使価格で売却する権利を得ることであるため、株価指数の下落リスクをヘッジする適切な手法です。
- 選択肢 2不正解
- ドル・コール/円・プットの購入は、円を売ってドルを買う権利を取得することであるため、将来のドル高・円安による為替差損リスクのヘッジになります。
- 選択肢 3正解
- キャップの購入は金利の上限を設定する金利のコールオプションであり、金利が上昇した際のリスクをヘッジするための手段であるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- レシーバーズ・スワップションは固定金利を受け取るスワップに入る権利であり、市場金利(スワップ金利)が低下した際に高い固定金利を確保できるため、金利低下ヘッジとして機能します。
覚えるポイント
- キャップ購入は金利上昇ヘッジ、フロア購入は金利低下ヘッジであること。
- レシーバーズ・スワップション(固定受取)は金利低下ヘッジ、ペイヤーズ(固定支払)は金利上昇ヘッジであること。
間違えやすいところ
- 金利キャップを上限に頭を抑えるイメージから「金利低下を防ぐもの」と誤解しやすいので注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の金融商品取引・デリバティブ取引の一般的な理論および実務慣行に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2資産の相関係数の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ理論 / 相関係数 / 共分散 / 標準偏差
下記の〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉から算出されるA資産とB資産の相関係数として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉 ・A資産:期待収益率 6.35%、標準偏差 7.40% ・B資産:期待収益率 7.20%、標準偏差 9.65% ・A資産とB資産の共分散:40.65
解答・解説を表示
解答
3
解説
2資産間の相関係数(ρ)は、両資産の共分散をそれぞれの標準偏差の積で除することで求められます。期待収益率は相関係数の計算には直接使用しません。標準偏差の単位(%表記のまま扱うか小数で扱うか)は、共分散の単位と整合させて計算します(本問ではそのままの数値同士で計算可能)。
解き方
- A資産の標準偏差(7.40)とB資産の標準偏差(9.65)の積を計算する:7.40 × 9.65 = 71.41。
- 共分散(40.65)を標準偏差の積(71.41)で除算する:40.65 ÷ 71.41 = 0.569248…。
- 小数点以下第3位を四捨五入して0.57を導出し、該当する選択肢を選ぶ。
- 選択肢 1不正解
- 計算結果は0.57であり、0.06は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 計算結果は0.57であり、0.35は誤りです。
- 選択肢 3正解
- 共分散40.65を標準偏差の積(7.40×9.65=71.41)で割ると約0.5692となり、四捨五入して0.57となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 計算結果は0.57であり、0.89は誤りです。
覚えるポイント
- 相関係数 = 共分散 ÷ (資産Aの標準偏差 × 資産Bの標準偏差)。
- 相関係数は必ず -1 以上 +1 以下の値をとること。
間違えやすいところ
- 不要なデータである期待収益率を計算式に混入させてしまわないように注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在の現代ポートフォリオ理論・統計公式に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
資本資産評価モデル(CAPM)の理論と指標
金融資産運用 · CAPM / ベータ(β) / 安全資産利子率 / ジェンセンのアルファ
資本資産評価モデル(CAPM)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、β(ベータ)値は、すべて1より大きいものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
CAPM(資本資産評価モデル)における期待収益率E(Rp)は、「安全資産利子率Rf + β × (市場全体の期待収益率E(Rm) - 安全資産利子率Rf)」で算出されます。安全資産利子率は元利金の回収が確実視される国債等の利回りを用います。
解き方
- CAPMの計算式「E(Rp) = Rf + β(E(Rm) - Rf)」における各変数の定義を確認する。
- 安全資産利子率に何が採用されるかを検討し、ポートフォリオ自体の過去平均収益率ではないことを確認して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 安全資産利子率には、無リスクで運用できる資産として短期国債や10年物国債の利回りなどが用いられます。組み入れる資産の過去の平均収益率を用いるわけではありません。
- 選択肢 2不正解
- CAPMの計算式はE(Rp) = (1 - β)Rf + βE(Rm)と変形できます。RfとE(Rm)がともに2倍になれば、全体を2で括り出せるため、期待収益率も2倍になります。
- 選択肢 3不正解
- β値は市場全体に対する感応度を示します。βが1より大きい場合、市場全体の変動幅よりも大きく価格が変動するため、相対的リスクが高いことを示します。
- 選択肢 4不正解
- ジェンセンのアルファは、ポートフォリオの実際の超過収益率とCAPMに基づく期待収益率との差(超過リターン)を測るリスク調整後パフォーマンス評価指標です。
覚えるポイント
- CAPMの計算式:期待収益率 = 安全資産利子率 + β × (市場期待収益率 - 安全資産利子率)
- 無リスク金利(安全資産利子率)には国債等の利回りを用いる
間違えやすいところ
- 安全資産利子率をポートフォリオ固有の過去リターンと取り違えないようにする
- β=1が市場平均並み、β>1が市場よりハイリスク・ハイリターンであることを混同しない
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)の仕組み
金融資産運用 · ジュニアNISA / 非課税限度額 / 贈与税 / 払出し制限 / 課税口座移管
「未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当該非課税口座を「ジュニアNISA口座」という。
解答・解説を表示
解答
4
解説
ジュニアNISAは、日本国内に居住する0歳から19歳の未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。年間の投資限度額は80万円、非課税期間は5年間で、18歳(高校3年生の年末)までの払出し制限等の要件が設けられています。
解き方
- ジュニアNISAの年間投資限度額(80万円)、拠出金の贈与税上の性質(贈与に該当)、払出し制限の年齢(18歳)を確認する。
- 5年間の非課税期間終了後に課税口座へ移管する際の取得日および取得価額の税務上の取扱いを検討する。
- 選択肢 1不正解
- ジュニアNISA口座に受け入れることができる上場株式等は、1人当たり年間「80万円」までです。100万円ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 口座名義人である未成年者に帰属する資金となるため、法定代理人が拠出した資金は贈与とみなされ、年間の基礎控除額(110万円)を超えれば贈与税が課税されます。
- 選択肢 3不正解
- 払出し制限の基準となる年齢は、3月31日時点において「18歳」である年の前年12月31日(高校卒業年の前年末)までです。20歳ではありません。
- 選択肢 4正解
- 非課税期間満了後に課税口座(特定口座等)へ移管する場合、取得日は非課税管理勘定が設けられた年の1月1日から5年を経過した日となり、取得価額はその日における終値等の時価となります。
覚えるポイント
- ジュニアNISAの年間非課税枠は80万円(非課税期間5年)
- 原則として3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで払出し制限がある
- 拠出金は口座開設者への贈与として扱われる
間違えやすいところ
- 一般NISA枠(当時120万円)とジュニアNISA枠(80万円)の混同に注意する
- 払出し制限の年齢を成人年齢(20歳)と取り違えないようにする(18歳基準)
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
減価償却資産の償却方法と特例
タックスプランニング · 減価償却 / 建物附属設備・構築物 / 少額減価償却資産 / 償却方法の変更
所得税における減価償却に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税における減価償却資産の償却方法は原則として法定償却方法(個人は原則定額法)が定められていますが、平成28年4月1日以後取得の建物附属設備および構築物は定額法のみが適用されます。
解き方
- 平成28年度税制改正による建物附属設備および構築物の償却方法の制限(定額法への一本化)を確認する。
- 一括償却資産の任意適用、中小企業者等の少額減価償却資産の限度額(年間300万円)、償却方法の変更承認申請書の提出期限(新たな償却方法を採用しようとする年の3月15日まで)の各規定を照合して正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- 平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物については、定率法が廃止され定額法のみとなったため、届出書の提出の有無にかかわらず定率法を選択することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 取得価額10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産として3年間で均等償却することを選択できますが、必須(義務)ではなく通常の減価償却を行うことも可能です。
- 選択肢 3不正解
- 青色申告者である中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入特例において、対象となる取得価額の合計額の上限は年間300万円です(500万円ではありません)。
- 選択肢 4不正解
- 減価償却資産の償却方法を変更しようとする場合、変更承認申請書の提出期限は、新たな償却方法を採用しようとする年の3月15日までです(前年の12月31日ではありません)。
覚えるポイント
- 平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物は定額法のみ適用可能であること。
間違えやすいところ
- 減価償却方法の変更承認申請期限(その年の3月15日)と、青色申告承認申請などの他の申請期限を混同しないこと。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の所得税法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得の計算および特定支出控除の特例
タックスプランニング · 給与所得 / 特定支出控除 / 通勤手当非課税限度額 / 給与所得控除限度額
所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
給与所得控除額は収入金額に応じて概算計上されますが、給与所得者が自ら職務に関する一定の支出を行った場合、その合計額が給与所得控除額の2分の1を超えたときに特定支出控除として上乗せ控除が認められます。
解き方
- 各選択肢の通勤手当非課税限度額、給与所得控除の上限規定、特定支出控除の要件・対象費目を順次確認する。
- 特定支出控除の適用要件における判定基準が「給与所得控除額全額」ではなく「給与所得控除額の2分の1相当額」である点を検証して不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 交通機関利用者の通勤手当の非課税限度額は、平成28年1月1日以後に支払われるべきものから月額10万円から15万円に引き上げられました。
- 選択肢 2不正解
- 当時の税制において、給与所得控除の上限額は平成28年分が230万円(収入1,200万円超)、平成29年分以後が220万円(収入1,000万円超)と段階的に引き下げられました。
- 選択肢 3正解
- 特定支出控除の特例は、特定支出の額の合計額が「給与所得控除額の2分の1相当額」を超える場合に適用され、その超える部分の金額を給与所得控除後の金額から控除します。「給与所得控除額を超えた場合」とする記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 特定支出には、通勤費、転居費、研修費、資格取得費、帰宅旅費、勤務必要経費が含まれ、職務の遂行に直接必要な資格を取得するための支出も対象となります。
覚えるポイント
- 特定支出控除の基準額は「給与所得控除額の2分の1(50%)」相当額であること。
間違えやすいところ
- 平成25年分以降の改正により特定支出控除の基準額が「全額」から「2分の1」に引き下げられた点を見落とさないこと。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の所得税法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の計算と手続き
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 源泉徴収 / 勤続年数
所得税の退職手当等(特定役員退職手当等を除く)に係る退職所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
退職所得控除額は勤続年数(1年未満の端数切り上げ)に応じて計算され、障害者退職の場合は100万円が加算されます。病気休職等の期間があっても退職給与規程上勤続年数に含まれる場合は算入されます。申告書未提出時は収入金額の20.42%が一律に源泉徴収されます。
解き方
- 選択肢1の控除額を計算する(勤続31年:800万円+70万円×11年+100万円=1,670万円となり不適切)。
- 選択肢2について、通達に基づき休職期間が勤続年数に含まれ得る取扱い(所得税基本通達30-8ただし書)を確認する。
- 選択肢3について、同一年中の2以上の退職金は合算し勤続期間の重複を調整して計算することを確認する。
- 選択肢4について、申告書未提出時の源泉徴収は支払金額全額に20.42%を乗じる点を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 勤続年数は30年5カ月を切り上げて31年となります。通常の退職所得控除額は800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円であり、障害者退職による加算額100万円を加えると1,670万円となるため、1,770万円とする記述は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 病気欠勤や休職等の期間につき退職手当等の支給基準が定められていないこと等により結果として退職手当の額に反映されていない場合であっても、退職給与規程等において勤続年数に算入することとされているときは、退職所得の勤続年数に含まれます(所得税基本通達30-8ただし書)。
- 選択肢 3不正解
- 同一年中に2カ所以上から退職手当等の支払を受ける場合、それぞれの支払金額を合算し、勤続期間の重複部分を排除して通算した勤続年数により退職所得控除額を計算するため、個別に計算した退職所得の金額を単純に合算する記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 「退職所得の受給に関する申告書」の提出がない場合、支払われる退職手当等の支払金額(収入金額)の全額に対して20.42%の税率による源泉徴収が行われます。退職所得控除額の控除や2分の1を乗じる計算は行われません。
覚えるポイント
- 障害者になったことに直接基因して退職した場合は、通常の退職所得控除額に100万円が加算される。
- 退職所得申告書の提出がない場合は、退職手当の支払金額全額に20.42%が源泉徴収される。
間違えやすいところ
- 勤続年数の端数は1カ月でもあれば1年に切り上げる点に注意する。
- 申告書未提出時に控除や2分の1の計算を行った後に源泉徴収すると誤認しやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雑損控除および災害減免法
タックスプランニング · 雑損控除 / 災害減免法 / 所得控除 / 税額免除
所得税の雑損控除および災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律(災害減免法)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
自然災害等で被災した納税者は所得税法上の「雑損控除」(所得控除)と「災害減免法」(税額免除等)のいずれか有利な方を選択適用できます。災害減免法は合計所得金額1,000万円以下かつ住宅・家財の損害が時価の50%以上の場合に適用され、所得500万円以下なら全額免除となります。
解き方
- 選択肢1の雑損控除の原因(地震・噴火等の自然現象による異変も含まれる)を確認し誤りを除外する。
- 選択肢2の雑損控除額の計算式(災害関連支出なしの場合は差引損失額-総所得金額等の10%)を確認する。
- 選択肢3の雑損失の繰越し(青白問わず翌年以後3年間繰越控除可能、前年繰戻し還付は不可)を確認する。
- 選択肢4の災害減免法の免除要件(所得500万円以下で全額免除)を確認し正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 雑損控除の対象となる災害には、震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの自然現象による異変が含まれるため、地震や噴火による損失も対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 災害関連支出がない場合の雑損控除額は「差引損失額-総所得金額等の合計額×10%」により算出されるため、5%相当額とする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 雑損控除で控除しきれなかった金額(雑損失の金額)は翌年以後3年間にわたって繰越控除できますが、青色申告者であっても前年分の所得へ繰り戻して還付を受ける制度はありません。
- 選択肢 4正解
- 災害減免法では、住宅・家財の損害額が時価の2分の1以上で合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用され、合計所得金額が500万円以下のときは所得税額の全額が免除されます。
覚えるポイント
- 雑損控除の足切り額は「総所得金額等×10%」または「災害関連支出-5万円」。
- 災害減免法は所得500万円以下で全額免除、500万円超750万円以下で半額軽減、750万円超1,000万円以下で4分の1軽減。
間違えやすいところ
- 雑損失の金額は「繰戻し還付」ではなく「翌年以後3年間の繰越控除」の対象となる。
- 雑損控除と災害減免法は重複適用できず、比較して有利な方を選択適用する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当控除の控除額の計算
タックスプランニング · 税額控除 / 配当控除 / 課税総所得金額
居住者であるAさんの平成28年分の所得の金額等が、給与所得970万円、配当所得(東証上場の国内株式配当、総合課税を選択)200万円、所得控除の額の合計額120万円であった場合における所得税の配当控除の控除額として、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
配当控除は、総合課税を選択した国内株式の配当所得について法人税との二重課税を調整するための税額控除です。課税総所得金額等が1,000万円以下の部分に対応する配当所得には原則10%、1,000万円を超える部分に対応する配当所得には5%の控除率が適用されます。
解き方
- 総所得金額から所得控除額を差し引いて課税総所得金額を算出します(970万円+200万円-120万円=1,050万円)。
- 課税総所得金額1,050万円のうち、1,000万円を超える50万円と1,000万円以下の配当所得150万円に区分します。
- それぞれの控除率(1,000万円以下部分は10%、1,000万円超部分は5%)を乗じて合算し、配当控除額を求めます。
- 選択肢 1不正解
- 配当所得200万円全体に5%を乗じた計算であり、誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 区分計算が正しく行われておらず、誤りです。
- 選択肢 3正解
- 150万円×10%+50万円×5%=17万5,000円となり適切です。
- 選択肢 4不正解
- 配当所得200万円全体に10%を乗じた計算であり、1,000万円超の逓減を考慮していないため誤りです。
覚えるポイント
- 課税総所得金額等が1,000万円を超える場合、超える部分に属する配当所得の控除率は半減(5%)します。
間違えやすいところ
- 課税総所得金額の判定において、配当以外の所得から先に1,000万円枠を埋める順序を間違えないように注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度
タックスプランニング · 青色申告 / 現金主義 / 棚卸資産の評価 / 事業承継
所得税の青色申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
所得税の青色申告制度は、一定水準の記帳を行い帳簿書類を保存する納税者に対して、各種控除や特例を認める制度です。小規模事業者に対する現金主義の特例や、棚卸資産の評価方法、相続時の承認申請手続きなど細かな規定が設けられています。
解き方
- 棚卸資産の法定評価方法は最終仕入原価法による原価法であることを確認します。
- 小規模事業者の現金主義特例の適用対象が不動産所得または事業所得を有する青色申告者であることを確認します。
- 複数業務がある場合の貸借対照表の作成単位や、相続承継時の青色申告承認申請書の提出義務について検証します。
- 選択肢 1不正解
- 棚卸資産の評価方法の届出をしていない場合の法定評価方法は、「最終仕入原価法による原価法」です。
- 選択肢 2正解
- 小規模事業者の要件を満たす場合、事前の届出により不動産所得についても現金主義による計算が認められます。
- 選択肢 3不正解
- 損益計算書は業務の区分ごとに作成しますが、貸借対照表は事業主全体で1つ作成します。
- 選択肢 4不正解
- 相続人が青色事業専従者であったとしても、業務を承継して青色申告を行うには新たに青色申告承認申請書を提出する必要があります。
覚えるポイント
- 棚卸資産の法定評価方法は「最終仕入原価法による原価法」であり、低価法ではありません。
間違えやすいところ
- 被相続人が青色申告者であっても相続人に効力は自動承継されないため、期限内の申請書提出が必要である点を見落としやすいです。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)
タックスプランニング · 法人税 / 寄附金控除 / 地方創生応援税制
平成28年度税制改正により創設された地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄附を行った場合に税制上の優遇措置を受けられる制度です。通常の全額損金算入による軽減効果に加えて税額控除が併用できる点が特徴です。
解き方
- 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の制度要件(寄附の下限額10万円、本社所在地の地方公共団体への寄附除外、返礼品等経済的利益供与の禁止)を確認する。
- 損金算入と税額控除の関係を確認し、損金算入に代えて税額控除を受ける制度ではなく併用する仕組みであることを見極める。
- 選択肢 1不正解
- 認定地域再生計画に記載された寄附活用事業に対する寄附金が対象となり、1事業当たり10万円以上かつ事業費の範囲内と規定されているため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 寄附を行う法人の主たる事務所または事業所(本社)が立地する地方公共団体への寄附は、対象外とされているため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 寄附の代償として法人へ経済的な利益を供与すること(返礼品の贈呈等)は禁止されているため適切です。
- 選択肢 4正解
- 寄附金全額の損金算入が認められることに加え、さらに税額控除が適用される仕組みであり、「損金算入に代えて」税額控除を受けるわけではないため不適切です。
覚えるポイント
- 企業版ふるさと納税は、損金算入(約3割)+税額控除が重なる仕組みである。
間違えやすいところ
- 個人版ふるさと納税のような返礼品の提供は、企業版ふるさと納税では禁止されていることに注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における貸倒損失の取扱い
タックスプランニング · 法人税 / 貸倒損失 / 債権償却
法人税における貸倒損失の取扱いに関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。なお、各記述において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 (a) 取引先への貸付金について、取引先の債務超過の状態が相当期間継続し、事業好転の見通しもなく、その貸付金の弁済を受けることができないと認められるため、内容証明郵便により貸付金の全額を免除する旨を通知した場合、債務免除をした金額の全額が貸倒損失として認められる。 (b) 取引先への貸付金について、取引先の資産状況、支払能力等からその全額が回収できないことが明らかとなった場合に、当該貸付金に係る担保物があるときには、当該貸付金から担保物の処分可能見込額を控除した残額が貸倒損失として認められる。 (c) 継続的な取引を停止した取引先に対して有する売掛債権について、当該取引先の最後の弁済期または最後の弁済の時のいずれか遅い時から1年以上経過した場合、当該売掛債権に係る担保物があるときを除き、その全額が貸倒損失として認められる。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人税法における貸倒損失には、法律上の貸倒れ(金銭債権の消滅)、事実上の貸倒れ(回収不能の明らかな債権)、形式上の貸倒れ(一定期間取引停止後の売掛債権等)の3類型があり、それぞれ要件が厳格に定められています。
解き方
- (a)の法律上の貸倒れ(債務免除通知等による貸付金の消滅)の要件を判定する。
- (b)の事実上の貸倒れにおいて担保物がある場合の処分要件を判定する。
- (c)の形式上の貸倒れにおける備忘価額(1円)控除の要否を判定する。
- 適切な選択肢の個数を集計して正答番号を選ぶ。
- 選択肢 1正解
- 適切なものは(a)の1つのみであるため、選択肢1が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切なものは(a)の1つのみであるため、2つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切なものは(a)の1つのみであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (a)が適切であるため、0(なし)とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 形式上の貸倒れ(取引停止後1年経過等)では、備忘価額1円を残す必要がある。
間違えやすいところ
- 事実上の貸倒れは担保物を実際に処分した後でなければ残額を貸倒処理できない点を見落としやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税申告書の各種別表
タックスプランニング · 法人税申告書 / 別表一 / 別表四 / 別表二 / 別表十六
法人税申告書の各種別表の記載内容に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人税の確定申告書は複数の別表から構成されており、会計上の当期純利益(純損失)から税務上の申告調整を行って課税所得を計算する「別表四」と、その所得金額を基礎として法人税額等を計算する総括表である「別表一」との役割の違いを理解することが重要です。
解き方
- 各別表(別表一、別表二、別表四、別表十六)の本来の役割と記載対象事項を確認する。
- 「当期利益または当期欠損の額」から税務調整を始める表が別表四であり、別表一(一)の記載項目ではないことを判定して誤りを見出す。
- 選択肢 1正解
- 「別表一(一)」は法人税額や地方法人税額等の税額計算を行う総括表ですが、「当期利益または当期欠損の額」を記載するのは確定決算の数値をスタートとする「別表四」であり、別表一(一)の記載項目ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 「別表二」は同族会社等の判定に関する明細書であり、株主等の氏名、所有株式数、議決権数等を記載して同族会社に該当するかどうかを判定するために用いられます。
- 選択肢 3不正解
- 「別表四」は所得の金額の計算に関する明細書であり、確定決算上の当期利益(欠損)に税務上の加算・減算項目を調整し、所得金額または欠損金額を算出します。
- 選択肢 4不正解
- 「別表十六(一)」および「(二)」は、それぞれ定額法・定率法による減価償却資産の償却額の計算に関する明細書であり、取得価額、償却限度額、当期償却額などを記載します。
覚えるポイント
- 別表一は税額計算の総括表、別表四は当期純利益から所得金額を導く調整明細書である。
間違えやすいところ
- 別表一と別表四の役割を混同し、決算書の利益がどちらの表に最初に登場するかを取り違えやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の税法および法人税申告書別表の規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における専任媒介契約・専属専任媒介契約
不動産 · 宅地建物取引業法 / 媒介契約 / 専任媒介契約 / 専属専任媒介契約
宅地建物取引業法に規定する専任媒介契約および専属専任媒介契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地建物取引業法では、媒介契約のうち専任媒介契約と専属専任媒介契約について、有効期間(3カ月以内・自動更新不可)、指定流通機構(レインズ)への登録義務日数、業務処理状況の報告義務頻度、および自己発見取引の可否に関して明確な法的規制を設けています。
解き方
- 専任媒介契約と専属専任媒介契約の相違点(有効期間の更新要件、指定流通機構への登録期限、報告義務の頻度、自己発見取引の可否)を整理する。
- 各選択肢の要件(自動更新の不可、登録期限7日と5日の違い、報告義務1週間に1回以上、自己発見取引の禁止)と照合して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 専任媒介契約の有効期間は3カ月を超えることができず、有効期間満了時の更新は依頼者からの申出によってのみ可能であり、自動更新の特約は無効とされます。
- 選択肢 2不正解
- 指定流通機構(レインズ)への物件情報登録は、専任媒介契約の場合は契約締結日から7日以内(休業日を除く)です。5日以内(休業日を除く)が義務付けられているのは専属専任媒介契約です。
- 選択肢 3正解
- 専属専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、依頼者に対して1週間に1回以上、業務の処理状況を報告する義務があります(専任媒介契約の場合は2週間に1回以上)。
- 選択肢 4不正解
- 専属専任媒介契約では他の宅地建物取引業者への重ねての依頼だけでなく、依頼者が自ら見つけた相手方と直接売買契約を締結すること(自己発見取引)も禁止されています。
覚えるポイント
- 専属専任は登録5日以内・報告1週間に1回以上・自己発見取引不可。専任は登録7日以内・報告2週間に1回以上・自己発見取引可。
間違えやすいところ
- 指定流通機構への登録日数(7日と5日)や報告頻度(2週間に1回と1週間に1回)を専任と専属専任で逆に取り違えやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の宅地建物取引業法第34条の2に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産売買における売主の瑕疵担保責任
不動産 · 瑕疵担保責任 / 宅地建物取引業法 / 住宅品質確保法
不動産売買における売主の瑕疵担保責任に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか(法令基準日:2016年4月1日現在)。
解答・解説を表示
解答
4
解説
不動産売買における瑕疵担保責任(2016年当時の民法規定)は任意規定ですが、宅地建物取引業法や品確法などの特別法により、買主保護を目的とした強行規定的な規制や責任期間の特例・伸長が定められています。
解き方
- 民法の瑕疵担保責任が任意規定であることおよび売主の無過失責任であることを確認する。
- 宅地建物取引業法における自ら売主規制(引渡しの日から2年以上)と品確法の責任期間(原則10年・最長20年まで伸長可)の規定を照合して正誤を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 民法の瑕疵担保責任の規定は任意規定であるため、売主が知りながら告げなかった事実を除き、責任を負わないとする特約も原則として有効です。
- 選択肢 2不正解
- 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、瑕疵担保責任を負う期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約を除き、民法より不利な特約は無効です。「売買契約の締結日」ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 民法の瑕疵担保責任は無過失責任であるため、買主は売主の責めに帰すべき事由(過失など)を立証する必要はありません。
- 選択肢 4正解
- 住宅品質確保法(品確法)では、新築住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵担保責任期間(10年)を、特約により引渡しの日から最長20年まで伸長できます。
覚えるポイント
- 宅建業法の自ら売主制限では「引渡しの日から2年以上」とする特約のみ民法より不利でも有効。
- 品確法の瑕疵担保責任期間は10年義務付けだが、特約で最長20年まで伸長可能。
間違えやすいところ
- 宅建業法の特約期間の起算点を「引渡しの日」ではなく「契約締結日」と読み違えないように注意する。
- 当時の民法における瑕疵担保責任は過失責任ではなく無過失責任である点に注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の民法、宅地建物取引業法、住宅の品質確保の促進等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における容積率の制限
不動産 · 容積率 / 指定容積率 / 道路幅員による制限 / 敷地が異なる地域にわたる場合
建築基準法における容積率に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか(法令基準日:2016年4月1日現在)。
解答・解説を表示
解答
2
解説
建築物の容積率は、都市計画で定められた指定容積率と前面道路幅員に応じた制限のうち厳しい方(小さい方)が適用され、敷地が複数地域にまたがる場合は面積按分(加重平均)で計算されます。
解き方
- 前面道路幅員制限、複数地域にわたる場合の按分計算ルールを確認する。
- セットバック部分の敷地面積からの除外、共同住宅の共用廊下・階段等の延べ面積不算入(限度なし)の特例と選択肢を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 前面道路幅員が12m未満の場合、指定容積率と前面道路幅員に法定乗数を乗じた数値の「いずれか小さいほう(低いほう)」が上限となります。
- 選択肢 2正解
- 敷地が異なる容積率の地域にわたる場合は、各地域の容積率にそれぞれの敷地面積割合を乗じた加重平均によって敷地全体の容積率限度を算出します。
- 選択肢 3不正解
- 建築基準法第42条第2項による道路後退(セットバック)部分は道路とみなされるため、容積率や建ぺい率を算定する基礎となる敷地面積には算入できません。
- 選択肢 4不正解
- 共同住宅の共用廊下や共用階段の用に供する部分の床面積は、限度なくその全額が容積率算定の基礎となる延べ面積に算入されません。
覚えるポイント
- 敷地が異なる指定容積率の地域にまたがる場合は「加重平均(面積按分)」で算出する。
- 共同住宅の共用廊下・階段は限度なく容積率算定用延べ面積から除外される。
間違えやすいところ
- 前面道路制限との比較は「いずれか小さい方(厳しい方)」であり、「高い方」ではない。
- 2項道路のセットバック部分は敷地面積から除外される点を忘れないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の建築基準法第42条、第52条
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地法および農地所有適格法人の要件
不動産 · 農地法 / 農地転用 / 農地所有適格法人
農地法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
農地法は農地の適正な利用と権利移動を規制しています。平成28年4月1日施行の改正により農業生産法人は「農地所有適格法人」に改称され、常時従事者である役員のうち農作業に従事すべき人数要件が従来の過半から「1人以上」へと緩和されました。
解き方
- 相続による農地取得届出の期間制限(おおむね10カ月以内)の規定を確認する。
- 市街化区域内農地の転用届出特例(面積不問・農業委員会への事前届出で許可不要)および無許可転用時の罰則規定を確認する。
- 農地所有適格法人の役員要件(過半が農業常時従事者、そのうち1人以上が農作業従事)を確認し、誤りのある選択肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 相続等により農地の権利を取得した者は、その権利を取得したことを知った時点からおおむね10カ月以内に、農業委員会へその旨を届け出る必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 市街化区域内にある農地を自己転用する場合、面積にかかわらず、あらかじめ農業委員会に届出を行えば都道府県知事等の転用許可は不要となります。
- 選択肢 3不正解
- 農地法に違反して許可を受けずに転用した場合の罰則は、個人は3年以下の懲役または300万円以下の罰金、法人は1億円以下の罰金が科されます。
- 選択肢 4正解
- 農地所有適格法人の役員要件は、役員の過半が農業の常時従事者であり、かつそのうち「1人以上」が農作業に従事することとされており、「過半」ではありません。
覚えるポイント
- 農地所有適格法人の役員要件:役員の過半が農業常時従事者(原則150日以上)、農作業従事はそのうち「1人以上」(原則60日以上)。
- 市街化区域内の農地転用(4条・5条)は農業委員会への事前届出で足り、許可は不要。
間違えやすいところ
- 市街化区域内の農地転用届出に面積要件がある(例:〇〇㎡未満のみ)と誤認しやすいが、面積に関係なく届出で足ります。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の農地法および関連法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
マンションの建替え等の円滑化に関する法律(マンション敷地売却事業等)
不動産 · マンションの建替え等の円滑化に関する法律 / 要除却認定マンション / 敷地売却決議 / 売渡請求
マンションの建替え等の円滑化に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
マンションの建替え等の円滑化に関する法律では、耐震性不足の認定を受けたマンションについて、各5分の4以上の多数決による「マンション敷地売却決議」や、建替えに伴う容積率制限の緩和特例などが設けられています。反対者に対しては事業側から「売渡請求」が行われます。
解き方
- 敷地売却決議の要件(要除却認定、各5分の4以上の賛成、認定買受計画)を確認する。
- 売却決議に反対した区分所有者に対する手続き(組合・買受人等による反対者への売渡請求権であり、反対者からの買取請求権ではない)を確認する。
- 容積率制限の緩和特例(特定行政庁の許可による緩和)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 耐震性不足等により除却認定を受けたマンションについて、区分所有者、議決権および敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上の賛成により敷地売却決議を行うことができます。
- 選択肢 2不正解
- 売却決議で定める買受人は、あらかじめ都道府県知事等から買受計画の認定を受けた者でなければなりません。
- 選択肢 3正解
- 反対した区分所有者が組合に対して買取請求を行う権利は規定されておらず、組合等の側から反対者に対して時価での売渡しを請求する「売渡請求権」が定められています。
- 選択肢 4不正解
- 耐震性不足の要除却認定マンションの建替えにおいて、一定の条件を満たし特定行政庁の許可を受けた建築物については、容積率制限が緩和されます。
覚えるポイント
- 要除却認定マンションの敷地売却決議要件:区分所有者、議決権、敷地利用権の持分の価格の各「5分の4以上」。
- 反対者に対して行使されるのは賛成者・組合側からの「売渡請求権」(反対者側の買取請求権ではない)。
間違えやすいところ
- 区分所有法の建替えや敷地売却において、反対者が組合等に対して買取請求ができると誤解しやすいですが、事業円滑化のため賛成者側から反対者へ「売渡請求」を行います。
出題の前提:2016年4月1日現在施行のマンションの建替え等の円滑化に関する法律に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
家屋の建替えに伴う固定資産税の課税関係
不動産 · 固定資産税 / 住宅用地の特例 / 家屋建替え時の特例
Aさんは、平成28年9月に20年間居住してきた家屋を取り壊し、同一敷地(200㎡、東京都23区内)で新たな家屋の建築に直ちに着手した。家屋および敷地の所有者はAさんであり、新家屋は平成29年5月に完成予定である。敷地は平成28年度分において「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」の適用を受けていた。この建替えに伴う平成29年度分の固定資産税の課税関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
固定資産税は賦課期日(毎年1月1日)の現況で課税判断が行われます。未完成の家屋には課税されず、敷地については既存住宅の建替え中であるなど一定要件を満たす場合に住宅用地の課税標準の特例が認められます。
解き方
- 平成29年度の賦課期日(平成29年1月1日)における新家屋の完成状態を確認し、未完成であるため家屋課税の対象外と判断します。
- 敷地について、前年度に住宅用地特例を受けており同一敷地・同一所有者で建替えに着手している事実から、住宅用地の建替え特例の適用対象と判断します。
- 選択肢 1正解
- 賦課期日(平成29年1月1日)時点で建築中の家屋には課税されず、敷地は建替え等の所定要件を満たすことで住宅用地の特例の対象となるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 敷地については、前年賦課期日に住宅用地であったことや着工済みであること等の所定要件を満たせば住宅用地の特例の対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 新たな家屋は平成29年1月1日現在で完成していないため、平成29年度分の固定資産税は課税されず不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 建築中の家屋には固定資産税が課されず、敷地については所定要件を満たせば住宅用地特例が適用されるため不適切です。
覚えるポイント
- 固定資産税の賦課期日は1月1日であり建築中の家屋は非課税となる
- 建替え中の住宅敷地は一定要件を満たせば住宅用地特例が継続する
間違えやすいところ
- 1月1日時点で建物が建っていなくても建替え特例で住宅用地特例が適用できることを見落とす誤り
出題の前提:2016年4月1日現在施行の地方税法等の法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の軽減税率の特例と家屋の増改築
不動産 · 譲渡所得 / 軽減税率の特例 / 居住用財産の買換え・譲渡
Aさんは平成15年に戸建住宅(建物・土地)を購入して居住を開始し、平成25年に建物の一部を取り壊して改造(改造部分と既存部分は内部で行き来可能、床面積の増加なし)し、現在まで居住している。Aさんが平成28年中にこの住宅を売却した場合の「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」(軽減税率の特例)の対象範囲として、最も適切なものはどれか。なお、他の適用要件はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例は、譲渡の年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用財産に適用されます。家屋を増改築した場合でも、大部分を取り壊して建て替えたような場合を除き、家屋全体の所有期間は従前の取得日から起算されます。
解き方
- 土地および当初建物の取得年(平成15年)から譲渡年の1月1日(平成28年1月1日)までの所有期間が10年超であることを確認します。
- 平成25年の改造が床面積を増加させない一部改造であることを確認し、通達に基づき建物全体(改造部分aおよび既存部分b)の取得日を従前の取得日と判定します。
- 建物と土地のすべての部分(a、b、c、d)が10年超所有の居住用財産として特例適用対象となると結論付けます。
- 選択肢 1正解
- 床面積が増加しない建物の改造では家屋全体の取得日が当初取得日(平成15年)となるため、建物・土地の全部分が軽減税率の特例の対象となり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 土地および建物はいずれも譲渡年の1月1日において所有期間10年超の要件を満たしているため、適用対象外とする記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 改造部分(a)やそれに対応する敷地部分(c)を特例の対象外と按分・除外する必要はなく、全体が対象となるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 改造部分(a)についても当初の家屋取得日を基準に所有期間を判定するため、既存部分(b)だけでなく改造部分も特例の対象となり不適切です。
覚えるポイント
- 居住用財産の軽減税率特例の所有期間要件は譲渡年の1月1日において10年超
- 家屋の増改築等は床面積の大部分を占める等の例外を除き当初の取得日で判定する
間違えやすいところ
- 増改築した部分の所有期間を増改築時から個別に計算して10年未満としてしまう誤り
出題の前提:2016年4月1日現在施行の租税特別措置法および関連通達
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人間における土地の低額譲渡と課税関係
不動産 · 低額譲渡 / 譲渡所得 / みなし贈与 / 財産評価基本通達
Aさんは、所有する更地(時価2,000万円、路線価方式による相続税評価額1,600万円、取得価額不明)を、長男に対して800万円で譲渡する予定である。Aさんは長男の資力喪失による譲渡ではないものとする場合、Aさんの譲渡所得および長男の贈与税の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
個人間の資産譲渡では、所得税法上のみなし譲渡課税(時価課税)は法人に対する低額譲渡に限定されているため、個人間譲渡では実際の譲渡価額が総収入金額となります。一方、相続税法上は著しく低い価額で財産の譲渡を受けた場合、相続税評価額(通達評価額)による時価と実際の対価との差額がみなし贈与として贈与税の課税対象となります。
解き方
- 譲渡人A(個人から個人への譲渡)の所得税法上の取扱いを確認し、みなし譲渡課税が適用されず実際の譲渡価額800万円が総収入金額となることを把握する。
- 受贈者(買主)である長男の贈与税の取扱いを確認し、相続税法第7条のみなし贈与における土地の時価は原則として相続税評価額(1,600万円)が基準となることを適用する。
- 長男に対するみなし贈与額を「相続税評価額1,600万円 - 譲渡価額800万円 = 800万円」と算出し、双方の課税関係が合致する選択肢4を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 所得税法上のみなし譲渡所得課税は法人に対する譲渡に限定されるため、個人間の譲渡であるAさんの総収入金額は時価2,000万円ではなく実際の譲渡価額800万円となります。また、長男の贈与税計算上の時価は通常の取引価額ではなく相続税評価額が用いられます。
- 選択肢 2不正解
- Aさんの譲渡所得の計算基準は譲渡価額800万円で適切ですが、長男に対するみなし贈与の計算において基準となる土地の時価は原則として財産評価基本通達に基づく相続税評価額(1,600万円)であるため、差額は1,200万円ではなく800万円となります。
- 選択肢 3不正解
- 長男のみなし贈与の計算は適切ですが、Aさんの譲渡所得の計算において個人間の譲渡に所得税法59条のみなし譲渡課税は適用されないため、時価2,000万円ではなく実際の譲渡価額800万円で計算します。
- 選択肢 4正解
- 個人から個人への低額譲渡では所得税法のみなし譲渡課税は適用されず譲渡価額800万円で計算され、買主である長男には相続税評価額1,600万円と対価800万円の差額800万円に贈与税が課されるため正しい記述です。
覚えるポイント
- 個人から個人への低額譲渡では所得税のみなし譲渡課税は生じず、実際の対価で譲渡所得を計算する。
- 相続税法第7条の低額譲受によるみなし贈与では、土地の時価は原則として財産評価基本通達による相続税評価額による。
間違えやすいところ
- 個人から法人への低額譲渡(時価の1/2未満)に適用される「みなし譲渡所得課税」を個人間譲渡にも適用してしまう誤り。
- みなし贈与の計算において、土地の時価を通達評価額(路線価評価等)ではなく通常の取引価額(実勢価格)で計算してしまう誤り。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(所得税法第59条、相続税法第7条、相続税法基本通達7-1)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の申告および納付手続き
相続・事業承継 · 贈与税の申告 / 更正の請求 / 延納 / 連帯納付義務
贈与税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
国税の納税申告において過大に税額を申告した場合、国税通則法により法定申告期限から5年以内であれば更正の請求を行い税額の是正を求めることができます。一方、申告義務者の死亡に伴う贈与税申告の提出期限、延納却下時の延滞税の免除・軽減特例、連帯納付義務の成立手続きなど、各制度ごとに詳細な法的要件が規定されています。
解き方
- 更正の請求期限に関する国税通則法の一般規定(法定申告期限から原則5年以内)を確認し、贈与税にも適用されることを確認する。
- 死亡した受贈者の申告期限(相続開始を知った翌日から10カ月以内)、延納申請却下時の延滞税特例、連帯納付義務における督促等の手続要件などの各誤り肢を排除する。
- 選択肢 1不正解
- 贈与税の申告書を提出すべき者が提出期限前に提出せずに死亡した場合、相続人は「その相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」に提出しなければなりません(4カ月以内は所得税の準確定申告の期限です)。
- 選択肢 2正解
- 国税通則法第23条第1項により、申告した税額が過大である場合の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に行うことができるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 延納申請が却下された場合、申請書の提出期限の翌日から却下通知が発せられた日までの期間等については延滞税の免除等の特例(利子税割合への軽減等)が適用されるため、全期間にわたり通常の延滞税が課されるわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 受贈者が納付していないという事実だけで直ちに連帯納付義務が生じるわけではなく、受贈者に対して督促が行われ、督促状を発した日から1カ月を経過しても完納されないこと等の一定の手続きを経て初めて連帯納付義務が発生します。
覚えるポイント
- 国税の更正の請求期間は原則として「法定申告期限から5年以内」である。
- 受贈者が申告前に死亡した場合の贈与税申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」である(所得税の準確定申告の4カ月と混同しない)。
間違えやすいところ
- 納税者が死亡した場合の贈与税申告期限を、所得税の準確定申告と同じ「4カ月以内」と誤認してしまう。
- 更正の請求の期限を旧法の「1年以内」と混同してしまう。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(国税通則法第23条、相続税法第28条、第34条、第51条)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の普通養子縁組の要件と効果
相続・事業承継 · 普通養子縁組 / 縁組の要件 / 実親との親族関係 / 死後離縁
民法における普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
普通養子縁組は養親と養子の合意等により成立し、養子は養親の嫡出子の身分を取得するとともに実親との親子関係もそのまま継続します。未成年者の福祉を保護するため、自己や配偶者の直系卑属(孫や連れ子など)以外を養子にする際は家庭裁判所の許可が義務付けられています。
解き方
- 養親となる者の年齢要件について尊属・年長者養子禁止の原則(民法793条)を確認する。
- 未成年者を養子とする場合の家庭裁判所の許可の要否(民法798条)を判定する。
- 普通養子縁組における実方との親族関係の存続および養親死亡時の親族関係終了の要件(離縁手続の要否)を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 民法上、尊属又は年長者を養子とすることは禁じられているため、夫婦がともに養親となる場合は双方とも養子より年長である必要があります。
- 選択肢 2正解
- 未成年者を養子とするには原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は許可を要しないと規定されています。
- 選択肢 3不正解
- 普通養子縁組が成立しても実方の父母との親族関係は終了しません。実親との親族関係が終了するのは特別養子縁組の場合です。
- 選択肢 4不正解
- 養親が死亡しても当然には親族関係は終了せず、終了させるには家庭裁判所の許可を得て死後離縁をする必要があります。
覚えるポイント
- 未成年者養子は原則家裁許可が必要だが、自己・配偶者の直系卑属なら許可不要。
- 普通養子は実親との親子関係が存続し二重の相続権を持つ。
間違えやすいところ
- 普通養子縁組と特別養子縁組の実親との親子関係終了効果を混同しやすい。
- 養親の死亡によって養子関係や法定血族関係が当然に終了すると誤解しやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の民法
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
成年後見制度の申立て・権限・登記制度
相続・事業承継 · 成年後見制度 / 補助開始の審判 / 居住用不動産の処分 / 登記されていないことの証明書
成年後見制度等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
成年後見制度は判断能力が不十分な者を保護・支援する制度であり、本人の自己決定権の尊重と保護の調和が図られています。居住用不動産の処分には家裁の許可が必要とされるなど厳格な財産保護規定が置かれる一方、成年後見登記に関する証明書の交付請求権者は本人・配偶者だけでなく一定の親族にも認められています。
解き方
- 後見・保佐・補助における開始申立ての本人の同意要件(民法15条2項)を確認する。
- 成年後見人の選任直後の義務(財産調査・目録作成等)および居住用不動産処分の許可要件(民法859条の3)を確認する。
- 成年後見登記制度において「登記されていないことの証明書」を請求できる者の範囲を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 本人以外の者が補助開始の申立てを行う場合には本人の同意が必要ですが、後見および保佐の開始申立てでは本人の同意は不要です。
- 選択肢 2不正解
- 成年後見人は就任後、遅滞なく被後見人の財産を調査し、財産目録や年間収支予定表を作成して家庭裁判所に提出する義務があります。
- 選択肢 3不正解
- 成年被後見人の居住用不動産の売却や賃貸借の解除等の処分行為について家庭裁判所の許可を得ずに行った場合、その行為は無効となります。
- 選択肢 4正解
- 「登記されていないことの証明書」は、本人やその配偶者だけでなく、四親等内の親族等も交付を請求することができます。
覚えるポイント
- 補助開始の審判を本人以外が申し立てるには本人の同意が必須。
- 居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要で、無許可の処分は無効。
- 登記されていないことの証明書は本人・配偶者のほか四親等内の親族も請求可能。
間違えやすいところ
- 保佐開始の申立てにも本人の同意が必要であると誤認しやすい。
- 登記されていないことの証明書の請求権者を本人や配偶者のみに限定されていると誤解しやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の民法および後見登記等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法定相続分および相続税の計算
相続・事業承継 · 法定相続分 / 代襲相続 / 遺産に係る基礎控除額 / 相続税額の加算
被相続人A(平成28年8月死亡)の親族関係に基づく法定相続分や相続税の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、親族関係は以下のとおりである。 ・被相続人Aには配偶者Bがいる。 ・AとBの間には子C、D、Eの3人がいるが、EはAの相続開始前にすでに死亡しており、Eの子としてHとIがいる。 ・Aには、婚姻外で生まれ、認知した子Fがいる。 ・Aには普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)であるGおよびMがいる。 ・Gは、Aから相続により財産を取得し、相続税額が算出されるものとする。
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解答
1
解説
民法上、配偶者と子が相続人となる場合、配偶者が2分の1、子が2分の1を相続します。認知された非嫡出子や普通養子も実子と同等に扱われます。子が先に死亡している場合はその子が代襲相続し、代襲相続人が複数いるときは被代襲者の持分を頭数で按分します。
解き方
- 民法上の法定相続人の系統を確認する。配偶者Bに加え、子としてC、D、E(代襲H・I)、F、G、Mの計6系統が存在する。
- 配偶者の法定相続分は1/2、子全体の法定相続分は1/2となり、子1系統当たりの法定相続分は「1/2 × 1/6 = 1/12」となる。
- Eの相続分1/12を代襲相続人HとIで等分するため、Iの法定相続分は「1/12 × 1/2 = 1/24」と算出される。
- 選択肢 1正解
- 配偶者Bの法定相続分は2分の1であり、残る2分の1を子6系統(実子C・D、被代襲者E、認知された子F、養子G・M)で均等分割すると各1/12となります。Iは死亡したEをHとともに代襲相続するため、持分は「1/12 × 1/2 = 1/24」となり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 相続を放棄した者は初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。相続放棄による代襲相続は発生せず、またHはEの子であってDの子ではないため、Dに代わって相続人になることはありません。
- 選択肢 3不正解
- 相続税の基礎控除額の計算(3,000万円+600万円×法定相続人の数)において、実子がいる場合の養子の数は1人までしか算入できません。本問の算入対象は配偶者B(1人)、実子C・D・F(3人)、代襲相続人H・I(2人)、養子(1人)の計7人となり、基礎控除額は「3,000万円+600万円×7人=7,200万円」となります。
- 選択肢 4不正解
- 被相続人の養子であっても、被相続人の直系卑属である孫を養子にした場合(代襲相続人を除く、いわゆる孫養子)は、相続税額の2割加算の対象となります。親族関係図においてGは子の子である孫養子に該当するため、2割加算の対象になります。
覚えるポイント
- 非嫡出子(認知済)の法定相続分は嫡出子と同じである。
- 実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に含められる養子は1人までである。
- 代襲相続人ではない孫を養子にした場合、相続税額の2割加算の対象となる。
間違えやすいところ
- 相続の放棄があった場合、代襲相続は生じない点に注意する。
- 養子の人数制限は相続税法の計算上の規定であり、民法上の法定相続分の計算では全ての養子が頭数に含まれる点と混同しないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
死亡保険金の非課税限度額の取扱い
相続・事業承継 · 死亡保険金 / みなし相続財産 / 生命保険金の非課税限度額 / 相続の放棄
相続税法における死亡保険金の非課税金額の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
被相続人の死亡に伴い支払われる生命保険金は、民法上は受取人の固有財産ですが、相続税法上はみなし相続財産として課税されます。相続人が受け取った死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額が適用されます。ただし、相続放棄をした者は非課税枠の適用を受けられません。
解き方
- 死亡保険金および関連する権利・配当金の相続税法上の課税関係と非課税適用の可否を整理する。
- 遺産分割協議で他の財産を取得しない場合であっても、相続放棄をしていない限り相続人の身分を有しており、非課税規定の適用を受けられることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 死亡保険金とともに支払われる剰余金の配当(積立配当金等)は死亡保険金と一体として取り扱われ、みなし相続財産として相続税の課税対象となり、死亡保険金の非課税規定の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 被相続人が保険料を負担していた「生命保険契約に関する権利」はみなし相続財産として課税されますが、死亡保険金そのものの受取りではないため、死亡保険金の非課税金額の規定は適用されません。
- 選択肢 3不正解
- 相続を放棄した者が受け取った死亡保険金は遺贈により取得したものとみなされますが、税法上の「相続人」ではなくなるため、死亡保険金の非課税規定は適用されません。
- 選択肢 4正解
- 死亡保険金受取人である相続人が、遺産分割により本来の相続財産を一切取得しなかった場合でも相続人であることに変わりはないため、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」である。
- 非課税規定を適用できるのは「相続を放棄していない相続人」に限られる。
- 遺産分割で他の相続財産を一切取得しない場合でも、相続放棄でなければ非課税規定は適用される。
間違えやすいところ
- 「遺産分割で他の財産を取得しないこと」と「家庭裁判所で相続放棄をすること」を混同しないようにする。前者は相続人としての地位を維持しているため非課税枠が適用できる。
- 解約返戻金相当額で評価される「生命保険契約に関する権利」には死亡保険金の非課税枠は使えない点に注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価における中心的な同族株主の判定
相続・事業承継 · 中心的な同族株主 / 取引相場のない株式の評価 / 同族株主の判定
非上場会社であるX社(発行済株式総数300株、うち自己株式50株、議決権を有する普通株式)における株主A~Gの所有株式数は次のとおりである。E、F、Gがそれぞれ中心的な同族株主に該当するか否かの判定として、最も適切なものを1つ選びなさい。 ・A(本人、代表取締役社長):113株 ・B(妻、監査役):30株 ・C(父、代表取締役会長):40株 ・D(長男、取締役営業部長):30株 ・E(弟、役職なし):9株 ・F(叔父・Cの弟、役職なし):13株 ・G(甥・Eの長男、経理部長):15株
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解答
3
解説
中心的な同族株主とは、同族株主のうち、本人ならびにその配偶者、直系血族、兄弟姉妹および1親等の姻族が有する議決権の合計数が、その会社の議決権総数(自己株式を除く)の25%以上である場合のその株主をいいます。
解き方
- 発行済株式総数300株から自己株式50株を控除し、議決権総数が250株(議決権割合の分母)であることを算出する。
- Eから見た対象親族(本人9株+父C40株+子G15株+兄A113株=177株)の割合を計算すると177/250=70.8%となり、25%以上のため該当すると判定する。
- Fから見た対象親族(本人13株+兄C40株=53株。甥Aや大甥Gは兄弟姉妹・直系血族等に含まれない)の割合を計算すると53/250=21.2%となり、25%未満のため非該当と判定する。
- Gから見た対象親族(本人15株+父E9株+祖父C40株=64株。叔父A等は含まれない)の割合を計算すると64/250=25.6%となり、25%以上のため該当すると判定する。
- 選択肢 1不正解
- Fグループの有する議決権はF本人(13株)と兄C(40株)の計53株(21.2%)にとどまり、25%未満であるためFは中心的な同族株主には該当しません。
- 選択肢 2不正解
- Gグループの有する議決権はG本人(15株)に直系血族である父E(9株)および祖父C(40株)を加えた計64株(25.6%)となり、25%以上を満たすためGも中心的な同族株主に該当します。
- 選択肢 3正解
- Eグループ(177株=70.8%)およびGグループ(64株=25.6%)はいずれも25%以上を満たして中心的な同族株主に該当し、Fグループ(53株=21.2%)は25%未満のため該当しません。
- 選択肢 4不正解
- E(70.8%)およびG(25.6%)は判定基準となる議決権割合25%以上を満たしているため、中心的な同族株主に該当します。
覚えるポイント
- 中心的な同族株主の判定範囲は「本人・配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族」であり、甥・叔父などの傍系血族(兄弟姉妹を除く)は相互に対象親族へ含まれません。
間違えやすいところ
- 議決権総数の計算において、会社が保有する自己株式を控除し忘れて分母を300株のまま計算してしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達188)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
経過措置型医療法人の出資の評価
相続・事業承継 · 経過措置型医療法人 / 出資の評価 / 類似業種比準価額 / 純資産価額方式
経過措置型医療法人(社団たる医療法人で持分の定めのあるもの)の出資の評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
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解答
3
解説
持分の定めのある社団医療法人の出資は、原則として一般の取引相場のない株式の評価方法に準じて評価しますが、医療法により剰余金配当が禁止されていることや社員の議決権が「1人1個(頭数)」であるといった制度的特質に応じた修正が行われます。
解き方
- 各選択肢における医療法人出資評価の特殊ルール(配当要素の除外、業種目判定、議決権構造)を確認する。
- 財産評価基本通達185本文ただし書(議決権割合50%以下の同族株主の80%斟酌)について、医療法人の社員の議決権が出資額と連動しない性質上、適用されない旨を確認し誤り(不適切)と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 医療法人の規模判定においては「小売・サービス業」の判定基準を用い、類似業種比準方式を適用する際の業種目は「その他の産業」を適用します。
- 選択肢 2不正解
- 医療法人は剰余金の配当が禁止されているため配当要素をゼロとし、「利益」の比準割合を3倍、「純資産」を1倍して合算し、分母を4として比準割合を計算します。
- 選択肢 3正解
- 医療法人は出資口数にかかわらず各社員の議決権が1人1個とされているため、株式会社のように議決権割合が50%以下の場合に純資産価額を80%相当額とする取扱いは適用されません。
- 選択肢 4不正解
- 医療法上、剰余金の配当が一切認められていないため、出資持分の取得者が同族関係者以外の者であっても配当還元方式は適用されず、原則的評価方式により評価します。
覚えるポイント
- 医療法人では配当が禁止されているため「類似業種比準価額の比準要素は利益と純資産の2要素(分母は4)」「配当還元方式は適用不可」となります。
間違えやすいところ
- 株式会社における同族株主の議決権50%以下の場合の純資産価額80%評価(斟酌率80%)が、社員1人1議決権である医療法人にも適用できると混同しがちです。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達・医療法人出資評価の取扱い)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
二世帯住宅における小規模宅地等の特例の適用要件
相続・事業承継 · 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 特定居住用宅地等 / 二世帯住宅 / 区分所有建物登記
配偶者に先立たれたAさんは、自己が所有する宅地(300㎡)の上に、生計を別にする長男家族と同居するための一棟の二世帯住宅(2階建て、外階段で内部で行き来できない構造、1階と2階の床面積は同一)の建築を検討している。将来Aさんの相続開始時に敷地を長男が取得し、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けたいと考えている。建物の所有形態等に関する記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、地代や家賃の授受はなく、他に要件は満たすものとする。
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解答
2
解説
二世帯住宅における特定居住用宅地等の判定では、平成25年度税制改正により、区分所有建物登記がされておらず一棟の建物(単独所有または共有)である場合には、内部で行き来ができない構造(構造上独立)であっても同居親族として敷地全体に特例が適用されます。ただし、区分所有登記を行った場合は同居親族として認められなくなります。
解き方
- 二世帯住宅の構造(内部で行き来ができない独立型)と各所有登記形態(単独所有、共有、区分所有)を確認する。
- 共有登記または被相続人単独所有の場合、一棟の建物であれば別生計であっても同居として敷地全体に特例が適用可能であることを確認し、肢2の「2分の1のみ」という誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- Aさんが単独所有で登記した場合、区分所有登記ではないため、内部で行き来ができない構造であっても同居親族として扱われ、敷地の全部分について特例適用が可能です。
- 選択肢 2正解
- Aさんと長男の共有登記とした場合でも、区分所有登記ではないため一棟全体について同居扱いとなり、敷地の2分の1に限らず敷地全体について本特例の適用を受けることができます。
- 選択肢 3不正解
- 建物を区分所有登記してしまうと、長男の居住部分は「別個の建物に住んでいる」扱いとなり同居親族と認められません。また持家があるため家なき子特例も適用できず、敷地全体について特例の適用を受けることができません。
- 選択肢 4不正解
- 長男が建物を単独所有する場合であっても、区分所有登記ではなく、かつAさんがその建物の一部に無償で同居していれば同居親族要件を満たすため、敷地の全部分について特例の適用が可能です。
覚えるポイント
- 二世帯住宅は「区分所有登記」にすると特例適用の対象外となるが、「単独所有」または「共有登記」であれば内部で行き来できなくても敷地全体に適用できる。
間違えやすいところ
- 共有登記にすると建物の持分割合に応じて敷地の適用面積も按分されると誤認しやすいが、区分所有でない限り敷地全体に適用可能です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成25年度税制改正による小規模宅地等特例の改組)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特別支配株主の株式等売渡請求制度
相続・事業承継 · 会社法 / 特別支配株主の株式等売渡請求 / スクイーズ・アウト
会社法における特別支配株主の株式等売渡請求制度に関する記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
会社法第179条に基づく株式等売渡請求制度は、議決権の10分の9以上を有する「特別支配株主」が、株主総会の決議を経ることなく対象会社の承認(取締役会設置会社では取締役会決議)のみで、他の少数株主全員に対して株式を売り渡すよう請求できるキャッシュ・アウト(スクイーズ・アウト)の制度です。
解き方
- 会社法上の「特別支配株主」の定義要件(総株主の議決権の90%以上)を確認する。
- 肢1の「発行済株式総数の3分の2以上」という記述が誤りであることを判定する。
- 選択肢 1正解
- 特別支配株主の株式等売渡請求制度において、対象となる特別支配株主は総株主の議決権の「10分の9以上」を保有する株主であり、「3分の2以上」ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 会社法第179条の4第1項および第179条の5に基づき、会社は取得日の20日前までに売渡株主に通知等をしなければならず、特別支配株主は取得日に株式の全部を取得します。
- 選択肢 3不正解
- 会社法第179条の7第1項に基づき、買取価格が著しく不当であり株主が不利益を受けるおそれがある場合、売渡株主は取得差止め請求を行うことができます。
- 選択肢 4不正解
- 対象会社が売渡請求を承認した時点で、会社法第179条の3に基づき、譲渡制限株式の譲渡承認があったものとみなされます。
覚えるポイント
- 特別支配株主の株式等売渡請求制度を行使できるのは、議決権の「10分の9(90%)以上」を有する株主である。
間違えやすいところ
- 株主総会の特別決議要件である「議決権の3分の2以上」と、特別支配株主の要件である「10分の9以上」を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の会社法第179条等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年9月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年9月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

