日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年1月 1級 学科(基礎編)の概要
公的介護保険の認定および利用者負担
ライフプランニングと資金計画 · 介護保険 / 要介護認定 / 自己負担割合 / 高額介護サービス費
公的介護保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
介護保険の保険者は市町村および特別区であり、要介護認定事務も市町村等が行います。要介護認定の効力は申請時に遡って生じます。また、2015年8月より一定以上の所得を有する第1号被保険者の利用者負担割合が2割(現在は3割区分も新設)へ引き上げられました。高額介護サービス費の現役並み所得者の上限額区分も正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 各選択肢の実施主体(市町村か国か)、効力発生日(申請日か通知日か)、利用者負担基準(280万円基準)、高額介護サービス費の上限額(44,400円等)を確認する。
- 規定と照らし合わせ、適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 要介護認定を行うのは厚生労働大臣ではなく、介護保険の保険者である「市町村(特別区を含む)」です。
- 選択肢 2不正解
- 要介護認定の効力は、通知のあった日ではなく「要介護認定の申請があった日」に遡って生じます。
- 選択肢 3正解
- 第1号被保険者本人の合計所得金額が160万円以上であり、公的年金等収入+その他の合計所得金額が単身で280万円以上(2人以上世帯は346万円以上)の場合、自己負担割合は2割となります。
- 選択肢 4不正解
- 高額介護サービス費において、課税所得145万円以上かつ年収383万円以上等の現役並み所得者世帯の上限額は月額44,400円です(4万8,000円ではありません)。
覚えるポイント
- 要介護認定の実施主体は市町村で、効力は申請日に遡及する点
- 高額介護サービス費の現役並み所得者負担限度額は月額44,400円である点
間違えやすいところ
- 要介護認定の効力発生日を「認定通知日」と誤認しやすい。
- 高額療養費(70歳以上一般等)の限度額と高額介護サービス費の限度額を混同しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の基本手当の受給資格と所定給付日数
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 基本手当 / 所定給付日数 / 特定受給資格者
雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれの場合も所定の手続はなされているものとし、各選択肢で記載のある事項以外は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
雇用保険の基本手当の所定給付日数は、離職理由(特定受給資格者、一般離職者等)、離職時の年齢、算定基礎期間(被保険者であった期間)により定められています。倒産・解雇等による特定受給資格者で「45歳以上60歳未満」かつ「被保険者期間20年以上」の場合の所定給付日数は330日です。また、一般離職者の所定給付日数や受給期間の制限にも留意が必要です。
解き方
- 各選択肢の離職理由・年齢・被保険者期間・離職後の経過日数を確認する。
- 選択肢1:再就職手当の受給歴があっても、新たな離職で受給資格要件を満たせば基本手当を受給できるか検討する。
- 選択肢2:受給期間(離職日翌日から原則1年)と給付制限(自己都合の3カ月)による受給可能日数を計算・判定する。
- 選択肢3:倒産による特定受給資格者、47歳、算定基礎期間20年以上の所定給付日数を給付日数表から確認する。
- 選択肢4:自己都合退職(一般離職者)、60歳以上65歳未満、被保険者期間20年以上の所定給付日数を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 再就職手当を受給した後に再就職先で1年以上勤務して一般被保険者としての被保険者期間を満たして自己都合退職した場合、再就職手当の受給から2年以内であっても基本手当を受給できます(2年経過を待つ制限はありません)。
- 選択肢 2不正解
- 自己都合退職のため3カ月の給付制限があり、待期期間(7日)と給付制限満了後に受給を開始しても、受給期間(離職日の翌日から1年=平成28年2月末まで)内に90日分を受給しきれず失権するため、最大90日を受給することはできません。
- 選択肢 3正解
- 会社の倒産による離職者は特定受給資格者に該当し、離職時年齢が「45歳以上60歳未満」で算定基礎期間が「20年以上」の場合の所定給付日数は最大330日となります。
- 選択肢 4不正解
- 自己都合退職(一般離職者)の場合、被保険者期間が20年以上であれば所定給付日数は最大で150日です(60歳以上65歳未満であっても240日にはなりません)。
覚えるポイント
- 特定受給資格者の45歳以上60歳未満・20年以上勤務の所定給付日数は330日
- 自己都合退職の一般離職者の所定給付日数の上限は150日(20年以上)
- 基本手当の受給期間は離職日の翌日から原則1年間である点
間違えやすいところ
- 自己都合退職の所定給付日数(一般離職者区分)に特定受給資格者の日数区分を適用してしまう。
- 離職日から受給期間満了日までの残日数が不足して全日数を受給できないケースを見落とす。
出題の前提:2015年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
在職老齢年金の支給停止の仕組みと高年齢雇用継続給付との調整
ライフプランニングと資金計画 · 在職老齢年金 / 高年齢雇用継続給付との併給調整 / 70歳以上被用者
厚生年金保険の適用事業所に常勤している者に支給される老齢厚生年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
在職老齢年金は、厚生年金保険の適用事業所で働きながら受ける老齢厚生年金について、月々の賃金と賞与に応じた総報酬月額相当額と基本月額の合計額が基準額を超える場合に一部または全額が支給停止される仕組みです。
解き方
- 対象者の年齢区分(60歳台前半か65歳以降か)および基本月額と総報酬月額相当額を確認します。
- 支給停止調整額と照らし合わせて支給停止額を計算し、全額支給か一部支給停止かを判断します。
- 選択肢 1不正解
- 総報酬月額相当額は20万円+60万円÷12=25万円です。基本月額10万円との合計が35万円となり28万円を超えるため、支給停止額は(35万円-28万円)×1/2=3.5万円となり、実際の支給額は10万円-3.5万円=6.5万円となります。
- 選択肢 2正解
- 総報酬月額相当額は22万円+48万円÷12=26万円、基本月額は20万円で合計46万円です。基準となる支給停止調整額(47万円)以下であるため、支給停止は行われず全額が支給されます。
- 選択肢 3不正解
- 70歳以上の者が厚生年金保険の適用事業所に勤務する場合(70歳以上被用者)、被保険者資格は喪失しますが、在職老齢年金の仕組みは適用され報酬に応じて支給停止が行われます。
- 選択肢 4不正解
- 高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金を同時に受ける場合の年金の支給停止額は、在職支給停止に加えて、毎月最大で標準報酬月額の「6%」に相当する額です(15%は雇用保険からの給付率の上限です)。
覚えるポイント
- 65歳以上の在職老齢年金は「基本月額+総報酬月額相当額 ≦ 支給停止調整額(47万円)」なら全額支給。
- 高年齢雇用継続給付による年金の支給停止率は最大で標準報酬月額の6%。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付の支給率の上限(15%)と年金の併給調整による支給停止率の上限(6%)を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(2015年度における65歳以上の支給停止調整額は47万円)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の各種加算(加給年金・振替加算・中高齢寡婦加算)
ライフプランニングと資金計画 · 加給年金額 / 振替加算 / 中高齢寡婦加算 / 障害厚生年金の加給年金
公的年金の各種加算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
公的年金には受給権者の家族構成や年齢条件等に応じて各種の加算給付(加給年金・振替加算・中高齢寡婦加算等)が設けられており、加算対象となる要件や受給権取得時点の定めが異なります。
解き方
- 各給付(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金)における各種加算の発生要件・支給要件を照合します。
- 被保険者期間中の死亡(短期要件)と受給資格期間満了等による死亡(長期要件)における被保険者期間要件(20年要件)の適用の有無を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 老齢厚生年金の加給年金額は、受給権を取得した「当時」に生計を維持していた配偶者や子がいる場合に加算されます。受給権取得後に婚姻した配偶者については加給年金の加算対象にはなりません。
- 選択肢 2不正解
- 妻が老齢基礎年金を繰上げ受給しても夫の加給年金は打ち切られず、妻が65歳に達するまで支給されます。また、妻への振替加算は65歳に達した時から加算され、繰り上げて加算されることはありません。
- 選択肢 3不正解
- 障害厚生年金に配偶者に係る加給年金額が加算されるのは、障害の程度が障害等級「1級または2級」に該当する場合のみであり、3級の障害厚生年金には加算されません。
- 選択肢 4正解
- 夫が厚生年金保険の被保険者期間中に死亡した場合(短期要件)、死亡した夫の被保険者期間が20年未満であっても、夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻が受ける遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されます。
覚えるポイント
- 老齢厚生年金の加給年金は「受給権取得当時」に生計維持関係が必要(事後重増なし)。
- 遺族厚生年金の中高齢寡婦加算は短期要件(被保険者中の死亡等)なら被保険者期間20年未満でも加算可能。
間違えやすいところ
- 中高齢寡婦加算の「被保険者期間20年以上」という要件は、老齢厚生年金の受給権者等の死亡(長期要件)の場合に求められる要件であり、短期要件には適用されない点に注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の課税関係および確定申告
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金等の課税関係 / 源泉徴収税率 / 確定申告不要制度 / 住民税の特別徴収
居住者が受け取る公的年金の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問において公的年金等は雑所得として課税されるものとし、非課税となるものは含まないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
公的年金等の雑所得は支払時に所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。扶養親族等申告書を提出した場合の税率は5.105%です。また、年金受給者の負担軽減のため、収入400万円以下かつ年金以外の所得20万円以下の場合は確定申告不要制度が設けられています。
解き方
- 公的年金等の源泉徴収税率および扶養親族等申告書提出時の基準を確認する。
- 確定申告不要制度の要件(年金収入400万円以下かつ他所得20万円以下)を確認する。
- 公的年金からの個人住民税の特別徴収対象年齢(65歳以上)を確認し、最も適切な肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 65歳未満の者については、年間の公的年金等の受給額が108万円を超える場合に源泉徴収の対象となるため、150万円受給する場合は源泉徴収されます。
- 選択肢 2正解
- 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出している場合、控除後の金額に乗じる源泉徴収税率は5.105%(所得税5%+復興特別所得税0.105%)となります。
- 選択肢 3不正解
- 公的年金等控除後の確定申告不要制度により、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ他の所得が20万円以下であれば、確定申告書を提出する必要はありません。
- 選択肢 4不正解
- 公的年金からの個人住民税の特別徴収(天引き)の対象となるのは、当該年度の初日(4月1日)において「65歳以上」の公的年金受給者です。
覚えるポイント
- 確定申告不要制度は年金収入400万円以下かつ他所得20万円以下
- 扶養親族等申告書提出時の公的年金源泉徴収税率は5.105%
- 住民税の年金特別徴収の開始対象年齢は4月1日現在で65歳以上
間違えやすいところ
- 確定申告不要制度の年金収入基準(400万円)を300万円などと誤認しやすい
- 住民税の年金特別徴収対象年齢を年金受給開始年齢の60歳と混同しやすい
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅金融支援機構のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)
ライフプランニングと資金計画 · 住宅金融支援機構 / リフォーム融資 / 高齢者向け返済特例制度
住宅金融支援機構のリフォーム融資における高齢者向け返済特例制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
住宅金融支援機構のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)は、満60歳以上の高齢者が居住住宅に一定のバリアフリー改修や耐震改修等を行う際に利用できる制度です。生存中は毎月利息のみを支払い、元金は死亡時に一括返済する仕組みとなっています。
解き方
- 高齢者向け返済特例制度の利用対象者の年齢要件(満60歳以上、上限なし)を確認する。
- 融資限度額(1,000万円または工事費のいずれか低い額、保証限度額以内)を確認する。
- 適用金利(借入申込時金利・全期間固定金利)および返済方法(利息のみ毎月返済、元金は死亡時一括返済)を確認し、不適切な選択肢を判定する。
- 選択肢 1正解
- 本制度を利用できるのは借入申込時に「満60歳以上」の者であり、上限年齢の定めはありません。「55歳以上70歳未満」とする記述は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 融資限度額は1,000万円またはリフォーム工事費のいずれか低い額で、かつ一般財団法人高齢者住宅財団の保証限度額の範囲内とされているため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 融資金利は借入申込時の金利が適用され、全期間固定金利となります(住宅金融支援機構のリフォーム融資の特徴です)。
- 選択肢 4不正解
- 毎月の支払いは利息のみで、主債務者および連帯債務者全員が死亡した時に、相続人による自己資金または担保不動産の処分代金等により一括返済する仕組みであるため適切です。
覚えるポイント
- 高齢者向け返済特例の申込年齢は満60歳以上で上限なし
- 融資金利は借入申込時金利の全期間固定
- 毎月利息のみ返済し元金は死亡時に一括返済
間違えやすいところ
- フラット35の金利適用時(資金受取時)と混同して借入申込時金利を誤りとしやすい
- 申込年齢制限を満55歳や上限70歳などと混同しやすい
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用関連助成金・奨励金の概要と受給要件
ライフプランニングと資金計画 · 助成金 / トライアル雇用 / 地域雇用開発奨励金 / キャリアアップ助成金
雇用保険適用事業主等に対する各種助成金・奨励金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
厚生労働省が所管する雇用関係各種助成金・奨励金は、労働者の雇入れ支援、雇用環境の改善、職業能力開発などを目的に事業主へ支給されます。それぞれの制度趣旨、対象事業主(大企業の可否)、対象労働者の要件、支給額等を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 各助成金・奨励金(トライアル雇用、地域雇用開発、キャリアアップ等)の制度概要と支給基準を確認する。
- 支給対象となる事業主規模(中小企業限定か否か)、支給上限額、労働時間要件等の誤りを個別に検証して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- トライアル雇用奨励金(助成金)の支給額は、対象者1人当たり月額最大4万円(対象者が母子家庭の母等である場合は月額最大5万円)であり、月額最大10万円ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 障害者トライアル雇用奨励金は原則週20時間以上が要件ですが、週10時間以上20時間未満から開始できる「障害者短時間トライアル雇用」も設けられており、25時間未満が一律に対象外となるわけではありません。
- 選択肢 3正解
- 地域雇用開発奨励金は、雇用機会が著しく不足する地域等で適用事業所を設置・整備し、地域求職者を雇い入れた事業主に、設置整備費用と増加人数に応じた金額を支給する制度であり記述は正しいです。
- 選択肢 4不正解
- キャリアアップ助成金は、中小企業だけでなく大企業も助成対象となります(中小企業と大企業で助成額や助成率に差異が設けられています)。
覚えるポイント
- トライアル雇用の支給額は月額原則4万円(特定対象者は5万円)で最長3カ月
- キャリアアップ助成金は大企業も対象(助成額・助成率に中小企業優遇あり)
間違えやすいところ
- 助成金は大企業には一切支給されないと思い込むこと
- トライアル雇用の支給額を過大に記憶してしまうこと
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被用者年金制度の一元化に伴う改正事項
ライフプランニングと資金計画 · 被用者年金一元化 / 特別支給の老齢厚生年金 / 未支給年金 / 転給制度
平成27年10月1日に施行された被用者年金制度の一元化に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
平成27年10月1日施行の被用者年金一元化により、公務員等の共済年金は厚生年金保険に統合されました。保険料率や給付の基本ルールは原則厚生年金に統一されましたが、共済組合員であった女性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢など、一部の経過措置は維持されています。
解き方
- 被用者年金制度一元化に伴う主要な変更点(職域加算の廃止と退職等年金給付の新設、遺族年金の転給制度廃止、未支給年金請求権者の統一など)を整理する。
- 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢における経過措置について、公務員等共済年金の女性は従前から男性と同じ引上げスケジュールであった点を確認し、選択肢2の誤りを見極める。
- 選択肢 1不正解
- 一元化前の共済年金の職域加算は廃止され、新たに半分を有期年金、半分を終身年金とする積立方式の「退職等年金給付」が創設されました。
- 選択肢 2正解
- 共済組合の加入期間を有する女性の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は、民間厚生年金の女性(男性より5年遅れ)には統一されず、従前どおり男性と同じスケジュールで引き上げられます。
- 選択肢 3不正解
- 未支給年金の請求権者の範囲は、広い共済年金側の規定に揃えられ、「配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはこれらの者以外の3親等内の親族」に統一されました。
- 選択肢 4不正解
- 遺族共済年金に存在していた転給制度(先順位者が死亡・再婚等で失権した際に次順位者に受給権が移る制度)は廃止され、民間厚生年金と同様の仕組みに統一されました。
覚えるポイント
- 公務員等共済期間を有する女性の支給開始年齢は、男性と同じスケジュールで引き上げられる
- 未支給年金の範囲は「3親等内の親族」まで拡大・統一された
- 職域加算は廃止され、退職等年金給付が新設された
間違えやすいところ
- 共済組合の女性の支給開始年齢が民間女性(5年遅れ)に揃えられたと誤認すること
- 未支給年金の範囲が従来の厚生年金基準(兄弟姉妹まで)に縮小されたと誤解すること
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険協会の動向データに基づく保険市場の現状
リスク管理 · 生命保険の動向 / 新契約件数 / 保有契約動向
一般社団法人生命保険協会が公表した「2015年版 生命保険の動向」に基づく近年の生命保険市場の動向に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
生命保険市場では、少子高齢化や死亡保障ニーズの多様化を背景に、従来の死亡保障を中心とした「保有契約高」は減少傾向にある一方、医療保険やがん保険など第三分野の需要拡大により「保有契約件数」は増加傾向が続いています。
解き方
- 個人保険の契約件数と契約高の全体的な推移(件数増・保障金額減の傾向)を確認する。
- 個人保険の新契約件数における商品種類別の順位(医療保険が最多、次いでガン保険、終身保険等)を確認する。
- 個人年金保険における定額年金と変額年金の割合および男女別構成比の傾向を整理し、不適切な肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 平成22年度から平成26年度までの5年間において、個人保険の保有契約件数は増加傾向を示している一方、死亡保障を中心とする保有契約高は減少傾向が続いており、記述のとおり適切です。
- 選択肢 2正解
- 平成26年度の個人保険の種類別新契約件数(転換後契約を除く)では、「医療保険」が最多であり、次いで「ガン保険」、「終身保険」の順となっているため、「ガン保険が最も多い」とする本記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 平成26年度の個人年金保険の新契約件数(転換後契約を除く)では、安定志向の需要等から定額年金保険が変額年金保険を大幅に上回っており、記述のとおり適切です。
- 選択肢 4不正解
- 平成26年度の個人年金保険の新契約件数の男女別構成比では、女性の契約件数が男性を上回っており、記述のとおり適切です。
覚えるポイント
- 個人保険の新契約件数は「医療保険」がトップで第2位が「ガン保険」
- 保有契約件数は増加傾向だが保有契約高(保障額合計)は減少傾向が継続
間違えやすいところ
- 第三分野で契約件数最多の保障を「医療保険」ではなく「がん保険」と取り違えないこと。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令および一般社団法人生命保険協会「2015年版 生命保険の動向」
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
改正保険業法における保険募集・代理店の規制
リスク管理 · 改正保険業法 / 情報提供義務 / 意向把握義務 / 乗合代理店 / 比較推奨販売
平成26年5月に成立・公布された「保険業法等の一部を改正する法律」の改正事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
平成26年改正保険業法(平成28年5月施行)では、顧客本位の募集活動を徹底するため、保険募集人に対して「情報提供義務」および「意向把握・確認義務」が新設され、保険代理店に対する「体制整備義務」が課されました。比較推奨販売においても選定理由の明示などのルールが定められています。
解き方
- 保険業法上の基本的な募集規制(情報提供義務、意向把握・確認義務、体制整備義務)の規定内容を確認する。
- 複数の保険会社を取り扱う乗合代理店における「比較推奨販売」のルールを確認する。
- 特定商品の提示・推奨が一律禁止されているわけではなく、適切な理由明示等の基準に従えば可能であることを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 保険業法第294条に基づき、保険募集人には保険契約締結等に際して顧客保護に資する契約内容等の参考情報の提供義務が課されており、記述のとおり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 保険業法第294条の2に基づき、保険募集人には顧客の意向を把握し、それに沿った保険契約の締結等を提案・確認する意向把握義務が課されており、記述のとおり適切です。
- 選択肢 3不正解
- 保険業法第294条の3に基づき、保険代理店は重要事項説明や顧客情報の管理、委託先管理など、業務の適正な運営を確保するための態勢を整備する義務があり、記述のとおり適切です。
- 選択肢 4正解
- 乗合代理店が特定の商品を提示・推奨すること自体は禁止されておらず、選定理由などの客観的な根拠を明示・説明した上であれば特定の商品の推奨が認められているため、「提示や推奨を行ってはならない」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 改正保険業法における三大柱は「情報提供義務」「意向把握義務」「体制整備義務」
- 乗合代理店による特定商品の推奨は、理由を適切に説明・開示すれば認められる(一律禁止ではない)
間違えやすいところ
- 乗合代理店では特定商品の推奨自体が一切禁止されていると誤解しないこと(選定理由を明示すれば可能)。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(平成26年法律第44号による保険業法等の一部を改正する法律)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の課税関係
リスク管理 · 個人年金保険 / 所得税 / 金融類似商品 / 源泉徴収 / 定期金に関する権利
個人年金保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、契約者(=保険料負担者)・被保険者・年金受取人は同一人であり、契約者は個人であるものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
個人年金保険に係る課税では、解約返戻金や満期一時金は原則として一時所得、年金受取時は雑所得となります。一時払契約を5年以内に解約した場合は金融類似商品として源泉分離課税される特例がありますが、生命年金(終身年金)などの一定の保険は金融類似商品から除外されます。
解き方
- 一時払契約の早期解約における金融類似商品の適用要件(生命年金が除外されていること)を確認します。
- 年金受取時の源泉徴収基準(年金年額から対応保険料を控除した額が25万円以上)および年金支払開始後の一括受取(雑所得)のルールを確認します。
- 年金受給権の承継時に生じる相続税課税と権利評価方式(定期金に関する権利の評価)を確認して正誤を判定します。
- 選択肢 1正解
- 一時払養老保険等で5年以内に解約されたものは金融類似商品として源泉分離課税の対象となりますが、終身年金(生命年金)は金融類似商品から除外されており、一時所得(総合課税)の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 年金受取人が年金を受け取る際、年金額からそれに対応する払込保険料を控除した金額が年間25万円以上である場合、原則として10.21%(復興特別所得税含む)が源泉徴収されます。
- 選択肢 3不正解
- 年金の受取開始後に保証期間分の年金を一括して受給する場合、年金の支払に代えて支給される一時金であるため、一時所得ではなく雑所得として所得税が課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 確定年金の年金支払期間中に受取人が死亡して残余期間の年金を遺族が引き継ぐ場合、その年金受給権は相続税法上の「定期金に関する権利の評価」により算定され、相続税の課税対象となります。
覚えるポイント
- 金融類似商品(20.315%源泉分離課税)の対象から一時払の終身年金(生命年金)は除外される点。
- 個人年金保険の源泉徴収基準は差引純年金額が年25万円以上である点。
間違えやすいところ
- 一時払個人年金保険はすべて金融類似商品になると誤解しやすいですが、終身年金は除外されます。
- 年金支払開始後に保証期間分を一括受領した一時金を「一時所得」と誤認しやすいですが「雑所得」です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の所得税法・相続税法および租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が加入する長期平準定期保険の税務
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 法人税 / 前払保険料 / 解約返戻金 / 現物支給
X株式会社(以下、「X社」という)は、以下の定期保険(無配当)に加入した。当該定期保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。 [保険の概要] ・保険の種類:無配当定期保険(特約付加なし) ・契約年月日:平成27年12月1日 ・契約者(=保険料負担者):X社 ・被保険者:代表取締役社長Aさん(40歳) ・死亡保険金受取人:X社 ・保険期間・保険料払込期間:100歳満了 ・死亡保険金額:1億円 ・年払保険料:220万円 ・65歳時の解約返戻金額:4,600万円
解答・解説を表示
解答
2
解説
被保険者の加入時年齢に保険期間の2倍を加えた数が105を超え、かつ保険期間満了時の年齢が45歳を超える定期保険は長期平準定期保険に該当します。前払期間(保険期間の当初6割相当期間)中の支払保険料は2分の1を損金算入、2分の1を資産計上(前払保険料)します。
解き方
- 加入時年齢40歳、保険期間60年より、40+60×2=160>105、かつ満了時100歳>45歳となるため、長期平準定期保険に該当することを判定します。
- 通達上の規定(保険期間の60%に1年未満の端数があるときは切り捨てること)を確認します。
- 25年後の解約時処理(解約返戻金4,600万円>資産計上累計額2,750万円により雑収入が発生)および退職金支給時の評価基準(解約返戻金相当額で評価)を検証します。
- 選択肢 1不正解
- 長期平準定期保険の前払期間においては、支払保険料の2分の1を損金に算入し、残りの2分の1を前払保険料として資産計上します。「4分の1損金・4分の3資産計上」ではありません。
- 選択肢 2正解
- 法人税基本通達9-3-5の2により、前払期間(保険期間の6割相当期間)の計算で1年未満の端数が生じた場合は、その端数を切り捨てた期間とされます。
- 選択肢 3不正解
- 25年後の資産計上額累計は2,750万円(220万円×1/2×25年)であり、解約返戻金4,600万円との差額1,850万円は「雑収入(益金)」として経理処理されます。
- 選択肢 4不正解
- 役員の退職時に保険契約を退職金として現物支給する場合、支給時における「解約返戻金相当額(本問では4,600万円)」が退職所得に係る収入金額となります。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の前払期間の計算における1年未満の端数は「切り捨て」となる規定。
- 保険契約を退職金として現物支給する場合の評価額は「解約返戻金相当額」となる点。
間違えやすいところ
- 解約返戻金が資産計上額を上回る場合は雑損失ではなく「雑収入」が発生する点を取り違えやすいです。
- 逓増定期保険の経理処理ルール(4分の1損金算入など)と長期平準定期保険(2分の1損金算入)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法人税基本通達9-3-5の2に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のフリート契約の仕組み
リスク管理 · 自動車保険 / フリート契約 / 保険料率の決定
自動車保険のフリート契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
自動車保険では、所有・使用する自動車の合計台数が10台以上である契約者をフリート契約者、9台以下をノンフリート契約者として区分します。フリート契約では契約者ごとに過去の保険金支払実績(損害率)等に基づいて割増引率(フリート料率)が算出され、保有全車両に一括して適用されます。
解き方
- フリート契約者とノンフリート契約者の区分基準(所有・使用台数10台以上かどうか)を確認する。
- フリート契約における料率の決定方法(事故件数による等級制度ではなく損害率方式)と適用単位をノンフリート契約と比較して判断する。
- 選択肢 1不正解
- フリート契約者とは、契約者が所有・使用する自動車で契約期間が1年以上の自動車保険の対象となる自動車の総台数が10台以上である契約者を指します。
- 選択肢 2不正解
- 所有・使用する自動車の総台数の算定にあたっては、他の保険会社で締結している自動車保険契約の車両も合算して判定されます。
- 選択肢 3正解
- 事故件数や事故内容に応じた等級制度により料率が決定されるのはノンフリート契約であり、フリート契約では損害率等に基づいて割増引率が決定されます。
- 選択肢 4不正解
- フリート契約者料率の割増引率は契約者が所有・使用する全車両に一括して同一割合が適用され、ノンフリート契約では自動車1台ごとに等級・割増引率が適用されます。
覚えるポイント
- フリート契約は10台以上、料率決定は損害率方式であり契約者単位で一括適用される。
間違えやすいところ
- 事故件数や事故内容に応じた等級制度(ノンフリート等級制度)と、損害率に応じたフリート料率制度を混同しないように注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等および一般的な自動車保険約款に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社役員賠償責任保険(D&O保険)の商品性
リスク管理 · 損害保険 / 賠償責任保険 / 会社役員賠償責任保険(D&O保険)
会社役員賠償責任保険(D&O保険)の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、役員がその業務上の行為に起因して株主や第三者から損害賠償請求を受けた場合において、負担する法律上の損害賠償金や争訟費用(弁護士費用等)を填補する保険です。ただし、違法行為の抑止等の観点から罰金や課徴金などは免責とされています。
解き方
- D&O保険の補償範囲(法律上の損害賠償金および争訟費用)と免責事由を確認する。
- 刑事罰や行政処分に伴う罰金・課徴金、懲罰的損害賠償金が補償対象に含まれるかどうかを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 役員が業務上の行為に起因して損害賠償請求を提起されたことにより負担する法律上の損害賠償金や争訟費用は、本保険の補償対象となります。
- 選択肢 2正解
- 判決に基づく損害賠償金や和解金は補償対象となりますが、罰金、課徴金、過料、懲罰的損害賠償金などは補償の対象外(免責)とされています。
- 選択肢 3不正解
- 通常、会社のすべての役員が自動的に包括して被保険者となり、保険期間中に退任した役員(過去の行為が対象)や期中に新たに選任された役員も含まれます。
- 選択肢 4不正解
- 本問の基準日時点の実務において、基本補償部分の保険料は会社が負担し、株主代表訴訟担保特約部分の保険料は役員個人が負担するのが一般的です。
覚えるポイント
- D&O保険では罰金・課徴金・懲罰的損害賠償金は免責(補償対象外)である。
間違えやすいところ
- 和解金や争訟費用は補償対象に含まれるが、罰金や行政上の課徴金まで補償されると誤認しないように注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等および一般的な保険商品約款に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
火災による保険金で取得した固定資産の圧縮記帳(圧縮限度額の計算)
タックスプランニング · 法人税 / 圧縮記帳 / 保険差益 / 損害保険金
X株式会社(以下「X社」という)の工場建物が火災により全焼し、1カ月後にX社は契約損害保険会社から保険金を受領し、その受領事業年度中に工場建物を新築した。以下の資料に基づき、保険金で取得した固定資産の圧縮記帳における圧縮限度額として、最も適切なものを選びなさい。なお、保険契約者・被保険者・保険金受取人はいずれもX社とし、記載のない事項は考慮しないものとする。 〈資料〉 ・焼失した工場建物の帳簿価額:2,000万円 ・工場建物の焼失によりX社が支出した経費: 焼跡の整理費(片づけ費用):300万円 類焼者への賠償金:500万円 ・損害保険会社からの受取保険金: 火災保険(保険の対象:工場建物)の保険金:4,500万円 企業費用・利益総合保険の保険金:4,000万円 ・新築した代替建物(工場建物)の取得価額:8,400万円
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人の固定資産が滅失・損壊して受領した保険金等によって同一事業年度内に同一種類の固定資産を取得した場合、保険差益金について圧縮記帳が認められます。対象となる保険金は資産の損害を補填するものであり、利益や営業損失補填の保険金は含みません。また控除できる経費は焼跡の整理費など滅失に直接要した費用に限られます。
解き方
- 対象となる保険金および控除経費を判別し、差引受取保険金額を算出する(火災保険金4,500万円-焼跡整理費300万円=4,200万円。企業費用・利益総合保険金および類焼者賠償金は含めない)。
- 差引受取保険金額4,200万円から滅失資産の帳簿価額2,000万円を控除し、保険差益金2,200万円を算出する。
- 代替建物の取得価額8,400万円が差引受取保険金額4,200万円以上であるため、圧縮限度額は保険差益金の全額である2,200万円となる。
- 選択肢 1不正解
- 類焼者への賠償金500万円まで経費として控除してしまうと、差引保険金が3,700万円、差益が1,700万円と計算されてしまいますが、類焼者への賠償金は滅失等の直接関連経費には含まれないため不適切です。
- 選択肢 2正解
- 差引受取保険金4,200万円(4,500万円-300万円)から被災資産の帳簿価額2,000万円を差し引いた保険差益金2,200万円が圧縮限度額となるため、本記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 焼跡整理費300万円を控除せず4,500万円から帳簿価額2,000万円を控除した2,500万円などの誤った計算とも異なり、算定値として不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 固定資産の補填を目的としない企業費用・利益総合保険の保険金を合算して差益を算定した数値であり、圧縮記帳の計算として不適切です。
覚えるポイント
- 圧縮記帳の対象となるのは固定資産の滅失・損壊に対する損害保険金であり、利益補填等は除外される。
- 保険金額から控除できる直接経費は焼跡整理費等であり、類焼者への損害賠償金は直接経費に該当しない。
間違えやすいところ
- 企業費用・利益総合保険の保険金まで受取保険金等に含めて計算してしまう誤り。
- 類焼者への損害賠償金を、建物の滅失に直接要した経費に含めて控除してしまう誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法人税法第47条、法人税法施行令第84条・第85条、法人税基本通達
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
景気動向指数(CIとDI、構成系列、景気転換点)
金融資産運用 · 景気動向指数 / CI / DI / ヒストリカルDI
景気動向指数に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
景気動向指数には、構成系列の変化率を合成して景気変動のテンポや量感(大きさ)を表す「CI(コンポジット・インデックス)」と、変化方向を合成して景気拡張の波及度合い(波及度)を表す「DI(ディフュージョン・インデックス)」の2つがあります。現在はCIを中心とした公表・判断が行われています。
解き方
- 各選択肢の記述を確認し、公表元や採用系列数等の基礎事項の真偽を検証する。
- CIとDIのそれぞれの定義・目的(CIは変化率の合成で大きさ・テンポを測定、DIは変化方向の合成で波及度を測定)と選択肢3の記述を照合し、CIとDIの内容が混同されていることを見抜く。
- 選択肢 1不正解
- 景気動向指数は、内閣府が毎月作成・公表しており、景気の現状把握および将来予測等に利用されるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 景気動向指数の採用系列は第11次改定(平成27年6月分速報から適用)により、先行系列11、一致系列10、遅行系列9の合計30系列となっているため適切です。
- 選択肢 3正解
- 採用系列の変化方向を合成して景気拡張の波及度合いを測定する指数は「DI」です。「CI」は変化率を合成して景気変動の大きさやテンポを測定する指数であるため、本記述は最も不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 事後的な景気基準日付(景気転換点である山・谷)の判定には、一致系列の各指標の局面変化に基づき算出されるヒストリカルDIが用いられるため適切です。
覚えるポイント
- CI(コンポジット・インデックス)は「変化率」を合成し、景気変動の「大きさ(量感)」や「テンポ」を測定する。
- DI(ディフュージョン・インデックス)は「変化方向」を合成し、各部門への「波及度」を測定する。
間違えやすいところ
- CIとDIの役割(CI=量感・テンポ、DI=波及度・各系列の変化方向)を取り違えて記憶してしまう誤り。
- 景気転換点(景気の山・谷)の判定にヒストリカルDIが用いられることを失念してしまう誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在における内閣府「景気動向指数」の公表基準・解説
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種信託商品の特徴
金融資産運用 · 暦年贈与信託 / 教育資金贈与信託 / 後見制度支援信託 / 特定贈与信託
各種信託商品(暦年贈与信託、教育資金贈与信託、後見制度支援信託、特定贈与信託)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
信託を活用した資産承継商品には、税制上の優遇措置(非課税枠等)が適用される制度信託と、贈与手続を信託銀行が代行・支援する商品があります。暦年贈与信託は後者に該当し、基礎控除の枠組みに縛られず柔軟に金額を設定できます。
解き方
- 各信託商品(暦年贈与信託、教育資金贈与信託、後見制度支援信託、特定贈与信託)の目的と法的要件を確認する。
- 暦年贈与信託における給付額の制限の有無を精査し、110万円が上限であるとする記述の誤りを判定する。
- 選択肢 1正解
- 暦年贈与信託は毎年一定額を贈与する手続きを支援する商品であり、給付額を110万円以下とする決まりはなく、110万円を超える給付も可能です(超えた場合は贈与税申告が必要)。したがって本記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 祖父母等の直系尊属から30歳未満の直系卑属に対して信託等を通じて教育資金を一括贈与する場合、1,500万円まで贈与税が非課税となります。受益者は信託締結時に30歳未満である必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 後見制度支援信託は、被後見人の財産保護を目的としており、信託契約の締結・金銭の払戻し・変更・解約等の行為を行うには家庭裁判所が発行する指示書が必要となります。
- 選択肢 4不正解
- 特定贈与信託では、特別障害者を信託受益者とする場合は6,000万円まで、それ以外の特定障害者の場合は3,000万円まで、信託受益権の価額に対応する贈与税が非課税となります。
覚えるポイント
- 暦年贈与信託は110万円超の贈与設定も可能(非課税特例商品ではなく代行管理商品)。
- 特定贈与信託の非課税限度額は、特別障害者が6,000万円、特別障害者以外の特定障害者が3,000万円。
間違えやすいところ
- 暦年贈与信託は110万円非課税枠専用の商品と誤解しがちですが、110万円超の贈与にも利用できます。
- 特定贈与信託の限度額(6,000万円と3,000万円)を逆に取り違えないよう注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
他社株転換可能債(EB債)の仕組み
金融資産運用 · 他社株転換可能債 / EB債 / ノックイン / トリガー価格 / 償還条件
他社株転換可能債(EB債)に関する次の記述のうち、示された概要に基づいて判断した場合に最も適切なものはどれか。 〈他社株転換可能債(EB債)の概要〉 対象株式:X株式会社 利率:年率5.00%(ただし、参照日の終値が基準価格未満のときは、年率0.10%) 額面:額面100万円以上、100万円単位 ノックイン価格:900円(=組成時の時価×60%) 基準価格:1,200円(=組成時の時価×80%) 転換価格:1,500円(=組成時の時価×100%) トリガー価格:1,650円(=組成時の時価×110%) 参照日:各利払日の10営業日前 償還日:発行日から2年後の応当日(ただし、参照日の終値がトリガー価格以上のときは、直後の利払日に償還)
解答・解説を表示
解答
4
解説
他社株転換可能債(EB債)は、対象株式の価格変動に応じて適用利率が変動したり、早期償還されたり、満期時に額面金額ではなく対象株式の現物で償還されるリスクを内包する仕組債です。各判定は契約概要に定められた「参照日の終値」等の具体的基準に基づいて行われます。
解き方
- 問題に提示された各条件(利率判定、早期償還判定、満期償還判定)の適用ルールを読み解く。
- 利払いや繰上げ償還の条件が「期間中の値動き」か「参照日の終値」かを確認する(1と2の判定)。
- トリガー発生時・額面償還時の金額は額面(パー)であり、110%への増額償還ではないことを確認する(3の判定)。
- 終値がノックイン価格を下回っているケースでの現物株式交付による償還ルールを適用する(4の判定)。
- 選択肢 1不正解
- 利率が0.10%になる条件は「参照日の終値が基準価格(1,200円)未満のとき」であり、期間中に「一度でも値下がりしたか」で判定されるものではありません。
- 選択肢 2不正解
- 繰上げ償還される条件は「参照日の終値がトリガー価格(1,650円)以上のとき」であり、期間中に「一度でも値上がりしたか」で判定されるものではありません。
- 選択肢 3不正解
- 参照日の終値がトリガー価格以上となった場合の償還は額面金額(100万円につき100万円)で行われ、110万円が支払われるわけではありません。
- 選択肢 4正解
- 満期直前の参照日の終値が899円の場合、ノックイン価格(900円)を下回って権利行使水準を満たさないため、金銭ではなく対象株式および1株未満の端株売却代金により償還されます。
覚えるポイント
- EB債のノックイン判定やトリガー判定が「各参照日の終値」で行われるのか「期間中の常時観測」か条件定義を正確に読む。
- EB債の早期償還や満期額面償還は基本的に額面100%(パー)で行われ、株価上昇に伴って償還金が額面以上に増額されることはない。
間違えやすいところ
- トリガー価格(当初×110%)を達成した場合に、償還金自体が110%に増額されると誤認しやすいです。
- 「参照日の終値で判定」する条項と「期間中一度でもタッチしたか(ノックイン)」の条項の適用対象を混同しやすいです。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等・出題資料の記載条件
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オプション取引のプレミアム変動要因
金融資産運用 · オプション取引 / プレミアム決定要因 / ボラティリティ / 原資産価格 / 時間価値
一般的なオプション取引におけるプレミアム(オプション価格)の変動要因に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
オプション価格(プレミアム)は「本源的価値」と「時間価値」の合計で構成されます。原資産価格、権利行使価格、残存期間、ボラティリティ(価格変動率)、金利の5つの要素によって価格が決定されます。
解き方
- 各選択肢に示された要素(原資産価格・権利行使価格・残存期間・ボラティリティ)がコールおよびプットの価値に与える影響を確認する。
- 残存期間が長いほど原資産価格が動く機会が増加し時間価値が増大するため、プット・オプションのプレミアムも上昇するという原則に照らし、不適切な記述を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 原資産価格の上昇は、買う権利であるコール・オプションの本源的価値を高めるためプレミアムは上昇し、売る権利であるプット・オプションの本源的価値を下げるためプレミアムは下落します。
- 選択肢 2不正解
- あらかじめ設定された権利行使価格が高いほど、安く買える可能性が低くなるコール・オプションのプレミアムは下がり、高く売れる可能性が高くなるプット・オプションのプレミアムは上がります。
- 選択肢 3正解
- 満期までの残存期間が長いほど、価格が有利な方向へ大きく変動する機会(時間価値)が増大するため、コール・オプションだけでなくプット・オプションのプレミアムも高くなります。
- 選択肢 4不正解
- ボラティリティ(原資産価格の変動率)が上昇すると、満期時において有利な価格に達する確率が高まり時間価値が増大するため、コール・オプションおよびプット・オプションの双方のプレミアムが高くなります。
覚えるポイント
- ボラティリティの上昇と残存期間の長期化は、コール・プットの両方のプレミアムを押し上げる要因となる。
間違えやすいところ
- プット・オプションは原資産価格が下落すると上昇するため、残存期間が長くなると価格が下落すると混同しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等および一般的な金融理論に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオの実績収益率と標準偏差の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ運用 / 実績収益率 / 標準偏差 / 分散 / リスクの測定
下記の〈過去4期間のポートフォリオの実績収益率〉から算出されるポートフォリオのリスク(標準偏差)として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈過去4期間のポートフォリオの実績収益率〉 第1期:10% 第2期:16% 第3期:▲20% 第4期:10%
解答・解説を表示
解答
2
解説
ポートフォリオのリスクを表す標準偏差は、各期の実績収益率の平均値からのバラツキ度合いを示し、偏差(各期実績値-平均値)の2乗の総和をデータ数で除した分散の正の平方根として算出します。
解き方
- 各期間の実績収益率を合計し、データ数(4)で割って相加平均収益率を算出する:(10+16-20+10)/4 = 4%。
- 各期の実績値から平均値を引いて偏差を求め、偏差の平方和を算出する:(10-4)^2 + (16-4)^2 + (-20-4)^2 + (10-4)^2 = 36 + 144 + 576 + 36 = 792。
- 平方和をデータ数4で除して分散を求め(792/4 = 198)、その平方根を計算して小数点以下第3位を四捨五入する:√198 ≒ 14.071...% → 14.07%。
- 選択肢 1不正解
- 計算結果は14.07%となるため、10.86%とする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- 相加平均収益率4%に基づき偏差の平方和(792)を期間数4で割った分散198の平方根を求めると約14.071%となり、四捨五入すると14.07%となります。
- 選択肢 3不正解
- 計算結果は14.07%となるため、16.19%とする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 計算結果は14.07%となるため、19.90%とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- FP試験における実績値からの分散・標準偏差の計算では、原則としてデータ数Nで割る母分散の計算式を使用する。
間違えやすいところ
- マイナスの収益率(▲20%)の偏差を計算する際、-20-4=-24の符号処理を誤ってしまうこと。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等および一般的な統計・ファイナンス理論に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオのリスク調整後収益率の評価尺度
金融資産運用 · シャープ・レシオ / トレイナーの測度 / ジェンセンのアルファ / インフォメーション・レシオ
国内ポートフォリオ運用におけるリスク調整後収益率の測定尺度に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものの組み合わせ(個数)として最も適切なものを1つ選びなさい。 (a) トレイナーの測度は、ベンチマークに対するポートフォリオの超過収益率を、トラッキングエラー(超過収益率の標準偏差)で除して求める。 (b) シャープ・レシオ(シャープの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、ポートフォリオの収益率の標準偏差で除して求める。 (c) ジェンセンのアルファ(ジェンセンの測度)は、ポートフォリオの収益率から安全資産利子率を差し引いた超過収益率を、CAPM(資本資産評価モデル)で算出されるポートフォリオのα(アルファ)で除して求める。
解答・解説を表示
解答
1
解説
ポートフォリオ運用における代表的なリスク調整後リターン指標には、総リスク(標準偏差)あたりの超過収益率を測るシャープ・レシオ、市場リスク(ベータ)あたりの超過収益率を測るトレイナーの測度、CAPMが提示する理論上の期待収益率をどれだけ上回ったかを測るジェンセンのアルファ、ベンチマークに対する超過収益率をトラッキングエラーで除したインフォメーション・レシオがあります。各指標がどのリスク尺度を用い、どのように算出されるかを正確に区別して理解することが不可欠です。
解き方
- 記述(a)を確認する。ベンチマークに対するポートフォリオの超過収益率をトラッキングエラーで除して求めるのは「インフォメーション・レシオ」であり、トレイナーの測度はポートフォリオの超過収益率をベータ値で除して求めるため不適切と判断する。
- 記述(b)を確認する。シャープ・レシオは(ポートフォリオの収益率-安全資産利子率)/ポートフォリオ収益率の標準偏差で求められるため適切と判断する。
- 記述(c)を確認する。ジェンセンのアルファは「ポートフォリオの収益率-CAPMにより算出される期待収益率」によって求められる差額そのものであり、アルファで除して求める比率ではないため不適切と判断する。
- 適切な記述は(b)の1つのみであるため、選択肢1を選択する。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(b)の1つだけであるため、本選択肢が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(b)の1つのみであるため、2つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- (a)と(c)が不適切であるため、3つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (b)が適切であるため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- シャープ・レシオ=(ポートフォリオ収益率-安全資産利子率)/標準偏差(トータルリスク)。
- トレイナーの測度=(ポートフォリオ収益率-安全資産利子率)/ベータ(市場リスク)。
- ジェンセンのアルファ=ポートフォリオ収益率-CAPMによる期待収益率。
間違えやすいところ
- トレイナーの測度(分母がベータ)とインフォメーション・レシオ(分母がトラッキングエラー)の定義を混同しやすい。
- ジェンセンのアルファを「割り算(レシオ)」による計算と誤認しやすいが、CAPM期待収益率との「引き算(差額)」である点に注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等および標準的なポートフォリオ理論に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融所得課税の一体化(平成28年1月1日改正)
金融資産運用 · 特定公社債 / 金融所得課税の一体化 / 損益通算 / 特定口座
平成28年1月1日から適用される金融商品の個人所得課税に係る改正事項に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
平成28年1月1日施行の税制改正(金融所得課税の一体化)により、公社債・公社債投信は「特定公社債等」と「一般公社債等」に区分されました。国債・地方債・公募公社債等の特定公社債等は、利子だけでなく譲渡益および償還差益も20.315%の申告分離課税の対象となり、上場株式等の配当・譲渡損益との損益通算および3年間の繰越控除が可能となりました。また、特定口座への受入れも可能となりました。一方で、上場株式等と一般株式等(非上場株式等)の損益通算はできなくなりました。
解き方
- 選択肢1を検討する。特定公社債の利子は申告分離課税の対象となり、確定申告により上場株式等の譲渡損失と通算可能となったため適切と判断する。
- 選択肢2を検討する。改正前は公社債の譲渡益は原則非課税であったが、平成28年1月1日以降は譲渡益も申告分離課税の対象に変更されたため、非課税とする本記述は不適切と判断する。
- 選択肢3を検討する。特定口座の受入対象に国債、地方債、公募公社債投資信託などが追加されたため適切と判断する。
- 選択肢4を検討する。金融所得課税の一体化に伴い、上場株式等グループと非上場株式等(一般株式等)グループ間の損益通算は廃止されたため適切と判断する。
- 最も不適切な選択肢として2を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 特定公社債の利子は原則として申告分離課税の対象となり、確定申告により上場株式等の譲渡損失との損益通算が認められているため記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 平成28年1月1日以降、特定公社債の譲渡益は原則非課税から申告分離課税(20.315%)に変更されたため、「従来どおり非課税とされる」とする本記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 税制改正により特定口座の受入範囲が拡大され、個人向け国債を含む国債や地方債、公募公社債投資信託を受け入れることができるようになったため記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 上場株式等と非上場株式等(一般株式等)は課税区分が分離され、双方の間で損益通算を行うことができなくなったため記述は適切です。
覚えるポイント
- 平成28年1月1日より、特定公社債等の利子・譲渡損益・償還損益は上場株式等と一体化され、20.315%申告分離課税・損益通算が可能となった。
- 公社債の譲渡益は改正前は非課税であったが、改正後は申告分離課税の対象となった。
- 上場株式等と一般株式等(非上場株式等)の間での損益通算は不可となった。
間違えやすいところ
- 公社債の譲渡益が改正前は原則非課税であった知識を引きずり、改正後も非課税のままと勘違いしやすい。
- 上場株式等と非上場株式等との損益通算が改正後も可能であると誤認しやすい。
出題の前提:平成28年1月1日施行の金融商品に係る所得税法等の改正規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金保険制度の保護対象と名寄せのルール
金融資産運用 · 預金保険制度 / 名寄せ / 仮払金制度 / 相殺
わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
預金保険制度では、預金等債権を形式的な口座名義ではなく実質的な権利帰属者(真の預金者)ごとに名寄せして、元本1,000万円とその利息を限度として保護します。
解き方
- 預金保険における仮払金の上限額および名寄せの基本的原則(実質所得者課税に準ずる実質判定)を確認します。
- 他人名義預金は真の拠出者(借主)の預金として合算されること、相続や相殺に関する手続要件を照合して正誤を判断します。
- 選択肢 1不正解
- 仮払金の支払制度において、支払われる金額の上限は普通預金等について1預金者当たり60万円(1口座当たり50万円ではない)と規定されています。
- 選択肢 2不正解
- 破綻金融機関に対する借入金と預金との相殺は、預金者の意思(申出)に基づいて行われる権利であり、預金者の意思にかかわらず強制的に相殺されるものではありません。
- 選択肢 3正解
- 名義を借りたにすぎない他人名義預金は、真の預金者である名義の借主の預金等として名寄せされるため、名義人の預金とは合算されず借主の他の預金等と合算されます。
- 選択肢 4不正解
- 破綻日より前に相続が開始した被相続人の預金は、遺産分割等により相続分が確定していない場合であっても、法定相続分に応じて各相続人に分割按分されたうえで相続人の他の預金等と合算されます。
覚えるポイント
- 預金保険の仮払金は1預金者当たり60万円が上限であること、名義預金は真の預金者に名寄せされることを整理しておきましょう。
間違えやすいところ
- 破綻前の相続預金は分割協議未了であっても法定相続分で按分名寄せされる点を見落としやすいので注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(預金保険法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融商品販売・取引関連法規の規定
金融資産運用 · 金融商品販売法 / 消費者契約法 / 金融商品取引法 / 適合性の原則 / 契約締結前交付書面
金融商品の販売および取引等に係る関連法規に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
金融商品取引法や金融商品販売法は投資家を保護するため、情報提供義務や適合性の原則などの厳格な行為規制を金融商品取引業者等に課しています。
解き方
- 各関連法規(金融商品販売法、消費者契約法、金融商品取引法)の主な保護規定と要件を整理します。
- 契約締結前交付書面の交付義務が顧客の不要申出によって免除される例外規定の有無を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 金融商品販売法では、重要事項の説明義務違反等があった場合の損害賠償責任(無過失責任)や、元本欠損額を損害額と推定する規定が設けられています。
- 選択肢 2不正解
- 本試験基準日における消費者契約法第7条の規定により、取消権は追認できる時から6カ月、または契約締結時から5年を経過したときに時効等により消滅します。
- 選択肢 3不正解
- 金融商品取引法第40条第1号(適合性の原則)において、顧客(一般投資家)の知識・経験・財産状況・契約目的に照らして不適当な勧誘を行ってはならないとされています。
- 選択肢 4正解
- 契約締結前交付書面の交付義務は顧客保護のための必須義務であり、顧客側から交付不要の意思表示があっても交付義務は免除されません。
覚えるポイント
- 金融商品取引法における契約締結前交付書面は、顧客が不要と言っても省略・免除されない強行規定であることを覚えましょう。
間違えやすいところ
- 「顧客の承諾や不要の申し出があれば書面交付を省略できる」という誤った思い込みをしないように注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(金融商品取引法、金融商品の販売等に関する法律、消費者契約法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の納税義務者と課税所得の範囲
タックスプランニング · 納税義務者の区分 / 居住者と非居住者 / 課税所得の範囲
所得税法における納税義務者および課税所得の範囲に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税の納税義務者は居住者と非居住者に大別され、居住者のうち日本の国籍を有しておらず、かつ過去10年以内に日本国内に住所・居所を有していた期間の合計が5年以下の者を「非永住者」、それ以外の居住者を「非永住者以外の居住者(永住者)」と定義します。
解き方
- 各選択肢における納税義務者の定義(居住者・非永住者の要件)および課税所得の範囲を確認する。
- 居住者の定義として「国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人」は国籍を問わないため、肢1が正しいと判定する。
- 選択肢 1正解
- 国内に住所を有するか、現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人は、国籍の有無に関係なく所得税法上の「居住者」に該当するため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 非永住者とは「居住者のうち日本国籍を有しておらず、かつ過去10年以内に国内に住所等を有していた期間の合計が5年以下である者」を指すため、日本国籍を有する者は非永住者にはなれず不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 非永住者の課税所得の範囲は、国内源泉所得に加え、国外源泉所得のうち「国内において支払われたもの」または「国外から送金されたもの」が含まれるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 同一年に非永住者以外の居住者期間と非永住者期間の双方が存在する場合、非永住者であった期間に生じた国外源泉所得で国内払込・国内送金以外のものは課税対象とならないため不適切です。
覚えるポイント
- 非永住者の要件は「外国籍」かつ「過去10年で通算5年以下の国内居住」の2つを満たすこと。
間違えやすいところ
- 日本国籍を有する者が一時帰国等で過去10年中5年以下の在留であっても非永住者には該当しない点に注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住者に係る配当所得の課税
タックスプランニング · 配当所得 / 申告不要制度 / 負債の利子控除 / 配当控除
居住者に係る所得税の配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
上場株式等の配当所得は、原則として総合課税、申告分離課税、確定申告不要制度のいずれかを選択できます(大口株主等を除く)。ただし、確定申告を行う場合は1回に支払を受ける配当等の全額について総合課税か申告分離課税のいずれかを選択する必要があり、銘柄ごとの併用はできません。
解き方
- 上場株式の確定申告不要制度の要件(持株比率3%未満)と金額要件の有無を確認する。
- 総合課税と申告分離課税の選択単位(申告する配当等の全額で一括選択)を確認する。
- 配当所得の計算における株式等を取得するための負債利子の控除計算を確認する。
- 配当控除の適用対象(総合課税のみ対象、申告分離課税は対象外)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 発行済株式総数等の3%以上を保有する大口株主等に該当しない限り、上場株式の配当等は金額にかかわらず確定申告不要制度を選択できるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 確定申告を行う上場株式等の配当等については、申告する配当等の全額について総合課税または申告分離課税のいずれかを選択しなければならず、銘柄ごとの選択は認められないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 配当所得の金額は配当等の収入金額の合計(40万円)から元本取得のための負債利子(30万円)を差し引いた10万円となるため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 配当控除の適用を受けることができるのは総合課税を選択した場合のみであり、申告分離課税を選択した配当所得については配当控除が適用されないため不適切です。
覚えるポイント
- 配当控除は総合課税を選択した場合のみ適用可能で、申告分離課税では適用できない。
間違えやすいところ
- 上場株式等の配当所得の申告において、1銘柄ごとに総合課税と申告分離課税を使い分けることはできない点に注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の所得税法および租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額の計算(損益通算・ゴルフ会員権・土地負債利子・一時所得)
タックスプランニング · 総所得金額 / 損益通算 / 譲渡所得 / 不動産所得の損失 / 一時所得
居住者であるAさんの平成27年分の各種所得等の金額が以下のとおりである場合、総所得金額として最も適切なものはどれか。なお、▲が付された金額は損失を意味し、記載のない事項は考慮しないものとする。 ・事業所得の金額:650万円(物販事業、青色申告特別控除後の金額) ・短期譲渡所得に係る譲渡益の金額:200万円(金地金を譲渡したもの) ・長期譲渡所得に係る譲渡損失の金額:▲250万円(正常に経営されているゴルフ場のゴルフ会員権を譲渡したもの) ・不動産所得の金額:▲100万円(土地の取得に要した負債の利子20万円を含む) ・一時所得の金額:120万円(保険期間30年の生命保険の満期保険金受取によるもの)
解答・解説を表示
解答
2
解説
総所得金額を求める際は、各種所得の計算、生活に通常必要でない資産(ゴルフ会員権等)の譲渡損失の損益通算制限、不動産所得における土地取得利子の損益通算対象外規定、および一時所得の2分の1算入ルールを正しく適用する必要があります。
解き方
- ゴルフ会員権の譲渡損失(▲250万円)は生活に通常必要でない資産の損失ですが、同一年に生じた他の総合譲渡所得の黒字(金地金の短期譲渡益200万円)との内部控除は可能です。200万円から200万円を控除して譲渡所得は0円となり、控除しきれない残りの損失50万円は他の所得と損益通算できず切り捨てられます。
- 不動産所得の損失▲100万円のうち、土地取得に要した負債の利子20万円は損益通算の対象外となるため、損益通算できる損失額は▲80万円(100万円-20万円)です。事業所得650万円から80万円を控除すると570万円になります。
- 一時所得の金額120万円は、総所得金額に算入する際に2分の1を乗じるため、算入額は60万円となります。
- 経常所得グループの570万円(事業所得650万円-不動産損失80万円)に、一時所得の算入額60万円を加えて、総所得金額は630万円(570万円+60万円)となります。
- 選択肢 1不正解
- 土地取得に要した負債の利子20万円を控除制限せず、不動産所得の損失100万円全額を事業所得から差し引いた場合に算出される誤った金額です。
- 選択肢 2正解
- 不動産所得の損失から土地負債利子を除いた80万円を通算し、一時所得の金額の2分の1(60万円)を加算した630万円が正しい総所得金額です。
- 選択肢 3不正解
- 一時所得の金額120万円に2分の1を乗じる計算を失念し、全額を加算してしまった場合に算出される誤った金額です。
- 選択肢 4不正解
- 不動産所得の損失を全く通算せず、かつ一時所得の2分の1算入を行わないなどの誤った計算をした場合の金額です。
覚えるポイント
- 生活に通常必要でない資産の譲渡損失は、他の総合課税の譲渡益から内部控除できるが、他の所得との損益通算は不可。
- 不動産所得の損失のうち、土地等の取得に要した負債の利子相当額は損益通算の対象外。
間違えやすいところ
- ゴルフ会員権の譲渡損失が同一グループの譲渡所得からも控除できないと誤解すること。
- 一時所得の金額を総所得金額へ合算する際に2分の1を掛け忘れること。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除の要件と計算
タックスプランニング · 医療費控除 / 生計を一にする親族 / 出産育児一時金 / 傷病手当金
居住者に係る所得税の医療費控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
医療費控除は、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が対象であり、親族の所得要件はありません。また、補てんされる金額として差し引くのは医療費そのものを補填する給付であり、休業補償等は除かれます。
解き方
- 対象となる親族の範囲を確認する:生計を一にしていれば所得金額や青色事業専従者であるか否かを問わず対象となります。
- 生計を一にする判定時期を確認する:医療費の支出事由が生じた時、または実際に支払った時のいずれかの時点で生計を一にしていれば対象となります。
- 保険金等で補てんされる金額を確認する:出産育児一時金のように医療費の補てんを目的として支給される金銭は控除対象となりますが、傷病手当金や出産手当金のような所得保障・休業補償は差し引く必要がありません。
- 選択肢 1不正解
- 医療費控除の対象となる親族には所得要件がないため、事業専従者である配偶者や合計所得金額が38万円を超える配偶者の医療費であっても生計を一にしていれば対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 医療費を支出すべき事由が生じた時、または現実に医療費を支払った時のいずれかの現況において生計を一にしていれば医療費控除の対象となります。
- 選択肢 3正解
- 健康保険法等から支給される出産育児一時金は医療費を補てんする保険金等に該当するため、妻が受け取ったものであっても夫が支払った医療費から差し引く必要があります。
- 選択肢 4不正解
- 傷病手当金は病気やケガによる休業中の生活保障(所得補償)として支給されるものであり、医療費を補てんする性質のものではないため、医療費控除の計算上差し引く必要はありません。
覚えるポイント
- 医療費控除の親族要件には所得制限がない(生計を一にしていればよい)。
- 出産育児一時金や高額療養費は補てん金として差し引くが、傷病手当金や出産手当金は差し引かない。
間違えやすいところ
- 配偶者控除や扶養控除の要件(所得38万円以下など)と混同して、医療費控除にも親族の所得制限があると誤解すること。
- 健康保険から支給される給付のうち、医療費補てん給付と所得補償給付(手当金)を取り違えること。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ふるさと納税ワンストップ特例制度
タックスプランニング · ふるさと納税 / ワンストップ特例制度 / 住民税の寄附金税額控除
平成27年度税制改正により創設された「ふるさと納税ワンストップ特例制度」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
ふるさと納税ワンストップ特例制度は、確定申告を行う必要のない給与所得者等が、確定申告を行わずに寄附金税額控除を受けられるように設けられた制度です。特例が適用された場合は、所得税の控除相当額を含めた全額が翌年度の個人住民税から控除されます。
解き方
- ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用対象者(確定申告を要しない者、寄附先が5団体以内)を確認する。
- 特例の申請手続き(申請書の提出先が寄附先自治体であること)および控除の仕組み(全額が翌年度の住民税から減額されること)を各選択肢に照合する。
- 選択肢 1不正解
- ワンストップ特例制度の適用を受けることができるのは、寄附を行う自治体(市町村または特別区等)の数が1年間に「5団体以内」の場合です。2以上の自治体であっても5団体以内であれば適用可能です。
- 選択肢 2正解
- 年中の給与等の収入金額が2,000万円を超える給与所得者は所得税の確定申告書を提出する義務があるため、確定申告不要な者を対象とするワンストップ特例制度の適用を受けることができません。
- 選択肢 3不正解
- 「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」の提出先は、自身の住所地の自治体ではなく、ふるさと納税(寄附)を行ったそれぞれの「寄附先の地方自治体」です。
- 選択肢 4不正解
- 本制度の適用を受けた場合、所得税の還付は行われず、所得税控除相当分を含めた控除限度額までの全額が「翌年度分の個人住民税」から減額(税額控除)されます。
覚えるポイント
- ワンストップ特例の対象は「確定申告が不要な給与所得者等」かつ「寄附先が5自治体以内」です。
- 特例申請書は住所地ではなく寄附先の自治体に提出し、控除は全額が翌年度の住民税から控除されます。
間違えやすいところ
- 寄附先の自治体数が5自治体以内であれば、寄附回数自体が5回を超えていても適用可能である点に注意が必要です。
- 医療費控除等で確定申告を行った場合は、ワンストップ特例の申請が無効となり確定申告で寄附金控除を含める必要があります。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(平成27年度税制改正)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業税の課税関係および所得計算
タックスプランニング · 個人事業税 / 事業主控除 / 事業用資産の譲渡損失 / 法定業種
地方税法における個人事業税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
個人事業税は、都道府県が法律で定められた第1種から第3種までの法定業種(70業種)を営む個人に対して課す地方税(普通税)です。事業所得の計算においては、一律年290万円の事業主控除や事業用資産の譲渡損失の控除などの特有の控除規定があります。
解き方
- 個人事業税の課税対象となる所得(法定業種に係る事業所得・不動産所得であり、山林所得は含まれない)を確認する。
- 事業の所得計算における各種控除(事業主控除額は年290万円、事業用資産の譲渡損失の控除要件)を照合する。
- 個人事業税の徴収方法(普通徴収であり、通常8月と11月の2回に分けて納付する)を検討する。
- 選択肢 1不正解
- 個人事業税は、地方税法に規定された法定業種から生じる事業所得や不動産所得に対して課税され、山林所得は課税対象に含まれません(林業は法定業種外)。
- 選択肢 2正解
- 事業用資産を事業の用に供しなくなった日の翌日から1年以内に譲渡したことによる損失の金額は、申告を要件として、事業の所得の計算上控除(および3年間の繰越控除)が認められます。
- 選択肢 3不正解
- 個人事業税の事業主控除の額は、一律で年間290万円です(営業期間が1年未満の場合は月割り)。250万円ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 個人事業税の申告期限は原則として翌年3月15日ですが(確定申告書提出者は申告不要)、納税は都道府県から送付される納税通知書により原則として8月と11月の年2回に分けて行われます。
覚えるポイント
- 個人事業税の事業主控除額は一律年間290万円(月割計算あり)です。
- 個人事業税の納期は原則として8月と11月の年2回(普通徴収)です。
間違えやすいところ
- 所得税の青色申告特別控除(最大65万円)は、個人事業税の所得計算上は適用されません(控除前の所得から計算)。
- 申告期限が3月15日であっても、納税期限が3月15日ではない点に注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の地方税法
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社設立に伴う税務および社会保険等の届出
タックスプランニング · 会社設立の手続き / 法人税の届出 / 労働保険・社会保険の届出
株式会社(内国法人である普通法人)を設立した場合の各種届出に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人の設立時には、税務署への税務関連の届出(法人設立届出書、青色申告承認申請書等)に加え、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)、年金事務所への労働保険・社会保険の加入手続をそれぞれの法令で定められた期限内に行う必要があります。
解き方
- 労働保険(労災保険・雇用保険)の成立手続の提出先と提出期限(原則10日以内)を確認する。
- 雇用保険適用事業所設置届の提出期限(設置日の翌日から起算して10日以内)を確認する。
- 法人税関連の「法人設立届出書」(設立後2カ月以内)および設立1期目の「青色申告の承認申請書」(設立後3カ月経過日と期末のいずれか早い日の前日まで)の要件を確認する。
- 選択肢 1正解
- 労働保険の保険関係が成立したときは、保険関係が成立した日(事業を開始した日等)から起算して10日以内に、「労働保険保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署(または公共職業安定所)に提出しなければなりません。「5日以内」とする本記述は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 労働者を雇用して雇用保険の適用事業所となったときは、事業所を設置した日の翌日から起算して10日以内に、「雇用保険適用事業所設置届」を所轄の公共職業安定所に提出する必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 内国普通法人を設立したときは、設立の日(設立登記の日)以後2カ月以内に、定款等の写し、登記事項証明書、設立時貸借対照表、株主名簿等を添付して「法人設立届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 法人の設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合、設立の日以後3カ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうち、いずれか早い日の前日までに「青色申告の承認申請書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。
覚えるポイント
- 労働保険保険関係成立届は10日以内、雇用保険適用事業所設置届は翌日から10日以内。
- 設立第1期の青色申告承認申請期限は「3カ月経過日」と「第1期末」のいずれか早い日の前日。
間違えやすいところ
- 労働保険関係成立届の期限(10日以内)を、健康保険・厚生年金の新規適用届(事実発生から5日以内)と混同しやすいので注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(労働保険徴収法、雇用保険法、法人税法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
タックスプランニング · 租税特別措置法 / 特別償却 / 税額控除 / 地域再生法
平成27年度税制改正により創設された「地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除制度」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除(オフィス減税)は、東京23区からの本社機能移転(移転型)または地方における本社機能拡充(拡充型)を行う計画の認定を受けた青色申告法人を対象に、設備投資に対する特別償却または税額控除の選択適用を認める制度です。
解き方
- 計画の認定主体(都道府県知事)および対象者(青色申告法人)を確認する。
- 中小企業者における投資下限額(1棟あたり合計1,000万円以上)を確認する。
- 計画区分(移転型・拡充型)に応じた特別償却限度額(移転型25%、拡充型15%)を確認する。
- 計画区分(移転型・拡充型)に応じた税額控除限度額(移転型7%、拡充型4%、いずれも法人税額の20%が上限)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 本制度の適用対象法人は、地域再生法に基づき都道府県知事から地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けた青色申告法人です。
- 選択肢 2不正解
- 対象資産(特定建物等)の取得価額要件は、中小企業者等の場合は1つの建物・附属設備・構築物の合計額が1,000万円以上(中小企業者等以外は合計2,000万円以上)とされています。
- 選択肢 3不正解
- 特別償却限度額は、移転型計画の場合は特定建物等の取得価額の25%相当額(拡充型計画の場合は15%相当額)とされています。
- 選択肢 4正解
- 税額控除限度額は、移転型計画の場合は特定建物等の取得価額の7%相当額(当期の法人税額の20%を上限)とされています。本肢の「10%相当額」は誤りです。
覚えるポイント
- 地方活力向上地域の税制:移転型は特別償却25%・税額控除7%。
- 拡充型は特別償却15%・税額控除4%、税額控除の上限はいずれも法人税額の20%。
間違えやすいところ
- 税額控除率において、他の税額控除制度でよく見られる10%や特別償却の25%と数値を混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第42条の11の2)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員と会社間の取引に係る法人税・所得税の取扱い
タックスプランニング · 役員間取引 / 低額譲渡 / 高額譲渡 / 借地権認定課税 / 役員への無利息貸付け
X株式会社とその役員との間で行われる取引に係る法人税および所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人と役員間の取引は恣意的な利益移転が行われやすいため、税法上は適正な時価を基準として取引価額との差額につき受贈益・役員給与(寄附金)やみなし譲渡課税等の調整が行われます。
解き方
- 法人が役員へ高額譲渡した場合は、時価譲渡と差額の受贈益受入れとして益金算入されることを確認する。
- 役員が法人へ時価の2分の1未満で低額譲渡した場合、所得税法第59条第1項により時価によるみなし譲渡所得課税が行われ、給与所得課税は生じない点を確認する。
- 無償返還届出書のない土地賃貸借における借地権認定課税や、無利息貸付けに伴う認定利息・経済的利益(給与所得)の取扱いを確認して不適切肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 法人が役員に時価より高い価額で資産を譲渡した場合、法人側は時価で譲渡したものと扱われ、受領した対価と時価との差額は受贈益として益金の額に算入されるため適切です。
- 選択肢 2正解
- 個人である役員が法人へ時価の2分の1未満で譲渡した場合、所得税法上は時価で譲渡があったものとみなされて譲渡所得が課税されます。差額が給与所得として課税されるわけではないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 権利金授受の慣行がある地域で権利金や相当の地代の支払がなく、無償返還届出書も提出されていない場合、法人側で借地権の贈与を受けたとみなされ借地権相当額が受贈益として認定課税されるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 法人が役員へ無利息で資金を貸し付けた場合、法人側では適正利息が益金算入(同時に同額が役員給与とされ損金不算入)され、役員側では利息相当の経済的利益が給与所得として課税されるため適切です。
覚えるポイント
- 個人から法人への時価2分の1未満の著しい低額譲渡は所得税法第59条により時価でのみなし譲渡所得課税となる。
- 役員への無利息貸付は法人側で認定利息益金算入、役員側で給与所得課税となる。
間違えやすいところ
- 役員から法人への低額譲渡において、役員側に受贈益や給与所得が生じると混同しやすい(法人が利益を受け役員は譲渡所得の対象)。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の税法(法人税法・所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記制度の手続および登記事項
不動産 · 不動産登記 / 登記原因証明情報 / 印鑑証明書の有効期限 / 買戻しの特約 / 仮登記に基づく本登記
不動産登記に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産登記における権利部の甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外の権利(抵当権等)が記録されます。買戻し特約は所有権の効力を制限する付記登記として甲区に記載されます。
解き方
- 登記原因を証する情報は「登記原因証明情報」であり、「登記識別情報」ではないことを確認する。
- 登記義務者の印鑑証明書の有効期限が作成後3カ月以内であることを確認する。
- 買戻特約の登記は所有権移転登記と同時に行われ、その付記登記として甲区に記録される規定を確認する。
- 抵当権設定の仮登記に基づく本登記では、後順位権利者を職権抹消するわけではないため利害関係人の承諾書は不要である点を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 登記原因を証するものとして提供するのは「登記原因証明情報」です。「登記識別情報」は申請人の本人確認および登記意思を確認するために提供するものであるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 所有権の登記名義人が登記義務者として登記申請する際に添付する印鑑証明書は、作成後「3カ月以内」のものでなければならないため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 所有権移転登記と同時に申請される買戻しの特約の登記は、主登記である所有権移転登記に対する付記登記として権利部甲区に記録されるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 所有権に関する仮登記に基づく本登記では利害関係第三者の承諾が必要ですが、抵当権などの所有権以外の権利の仮登記に基づく本登記では第三者の権利が抹消されないため承諾書添付は不要であり不適切です。
覚えるポイント
- 登記申請で提出する印鑑証明書の有効期限は作成後3カ月以内である。
- 買戻特約の登記は所有権移転登記の付記登記として権利部甲区に記録される。
間違えやすいところ
- 所有権の仮登記に基づく本登記(利害関係人の承諾が必要)と、抵当権等の所有権以外の仮登記に基づく本登記(利害関係人の承諾は不要)の要件を混同しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令(不動産登記法、不動産登記令)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における手付金の制限
不動産 · 宅地建物取引業法 / 解約手付 / 手付の額の制限
宅地建物取引業者が自ら売主となり、宅地建物取引業者ではない個人が買主となる不動産の売買取引における手付金に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
宅地建物取引業法では、宅建業者が自ら売主となり非宅建業者が買主となる場合、買主保護の観点から手付金の額を代金の2割以内に制限し、手付を解約手付とみなして買主に不利な特約を無効と定めています。
解き方
- 宅建業法第39条における手付金の性質(解約手付としての法的効力)と上限規制(代金の2割)を確認します。
- 売主が手付解除を行う際の要件(倍額の現実の提供)および買主に不利な特約の効力(無効)に照らして各肢の正誤を判断します。
- 選択肢 1不正解
- 宅地建物取引業者が自ら売主となる場合、代金の2割を超える手付金を受領することは禁止されています。
- 選択肢 2不正解
- 手付解除は「相手方が履行に着手するまで」可能であるため、自ら(買主)が着手していても売主が着手していなければ手付放棄により解除できます。
- 選択肢 3不正解
- 手付金を違約手付とする特約があっても解約手付の性質は排除されず、買主保護の観点から手付放棄による解除が認められます。
- 選択肢 4正解
- 売主からの手付解除には「手付倍額の現実の提供」が必要であり、手付金の返還のみで解除できるとする特約は買主に不利であるため無効です。
覚えるポイント
- 宅建業者が自ら売主の場合の手付金上限は売買代金の2割まで
- 売主側の手付解除要件は「手付の倍額の現実の提供」であり単なる返還特約は無効
間違えやすいところ
- 「当事者の一方が履行に着手するまで」と「相手方が履行に着手するまで」を取り違えて自らの着手で解除不能と誤認すること
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(宅地建物取引業法第39条)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建ぺい率・容積率等の制限
不動産 · 建築基準法 / 建ぺい率 / 容積率 / 道路幅員制限
建築基準法における建ぺい率や容積率に関する規制についての記述として、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建築基準法では、敷地の指定地域や前面道路の幅員に応じて建ぺい率および容積率の最高限度が規定されており、都市環境の確保と安全性が図られています。
解き方
- 建ぺい率の緩和・適用除外の要件(商業地域かつ防火地域の耐火建築物等)を確認します。
- 容積率における前面道路の幅員制限の基準数値(12m未満)を照合して誤りを特定します。
- 選択肢 1不正解
- 商業地域(建ぺい率80%)内で防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率の制限が撤廃(100%)されます。
- 選択肢 2不正解
- 敷地が異なる建ぺい率の地域にまたがる場合は、敷地面積に応じた加重平均によって敷地全体の建ぺい率限度を算出します。
- 選択肢 3正解
- 道路幅員による容積率制限が適用される前面道路の基準は幅員「12m未満」であり、15m未満ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 地階住宅部分で天井が地盤面から1m以下にあるものは、住宅用途床面積の3分の1を限度に延べ面積への算入から除外されます。
覚えるポイント
- 前面道路による容積率制限の対象は「12m未満」の道路
- 建ぺい率80%地域かつ防火地域内の耐火建築物は建ぺい率制限なし(100%)
間違えやすいところ
- 道路幅員制限の適用基準である「12m」と、他の特定道路要件などで登場する「15m」の数値を混同すること
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(建築基準法第52条、第53条)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の規定
不動産 · 区分所有法 / 集会の招集 / 建替え決議 / 管理組合法人
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建物の区分所有等に関する法律において、管理者の選任・解任や集会の招集手続、権利義務の承継等の基本ルールが定められています。特に建替え決議は区分所有者に重大な影響を及ぼすため、通常の集会招集通知(原則1週間前)よりも厳格に2カ月前とされ、規約による短縮は禁止されています。
解き方
- 管理者の選退任に関する集会決議原則と規約による別段の定めの可否を確認する。
- 特定承継人(買主)に対する滞納管理費等の承継義務および前所有者(売主)の責任範囲を把握する。
- 建替え決議を目的とする集会招集通知期間(2カ月前)における規約変更の制限(伸長のみ可・短縮不可)を照合する。
- 管理組合法人における必置機関(理事・監事)の設置義務を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の普通決議によって管理者を選任・解任できますが、規約で別段の定めを置くことも認められています。
- 選択肢 2不正解
- 共用部分の管理費等の債権は特定承継人(買主)に対しても行使可能であり、従来の区分所有者(売主)も債務を免れるわけではないため、管理組合は双方に対して請求できます。
- 選択肢 3正解
- 建替え決議を目的とする集会の招集通知は会日より少なくとも2カ月前に発する必要があり、この期間は規約で伸長することはできますが、短縮することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 管理組合法人には代表・執行機関である理事とともに、財産状況や業務執行を監査する職務を担う監事を必ず置かなければなりません。
覚えるポイント
- 建替え決議の招集通知は2カ月前までに発出が必要で、規約で伸長は可能だが短縮は不可である点。
間違えやすいところ
- 通常の集会招集通知(会日より1週間前、規約で伸縮可能)と、建替え決議の集会招集通知(2カ月前、伸長のみ可)の規約変更の可否を混同しやすい点。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(建物の区分所有等に関する法律)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産取得に係る登録免許税および不動産取得税の軽減特例
不動産 · 登録免許税 / 不動産取得税 / 住宅用家屋の所有権保存登記 / 宅地の課税標準の特例
Aさんは平成27年4月に土地(宅地、200㎡)を購入して所有権移転登記を受けた後、平成27年8月にその土地の上に戸建住宅(床面積150㎡、認定長期優良住宅等ではない)を新築して所有権保存登記を行い、同月中に自己の居住の用に供した。この場合の登録免許税および不動産取得税に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
住宅用の土地および建物を取得した場合、登録免許税と不動産取得税の双方において負担軽減のための特例措置が設けられています。土地の所有権移転登記における登録免許税率の軽減、宅地に係る不動産取得税の課税標準を2分の1とする特例、住宅新築に伴う住宅用土地の税額軽減措置が代表的です。
解き方
- 土地の取得について、売買による移転登記の登録免許税軽減税率の適用有無を確認する。
- 土地に係る不動産取得税の課税標準2分の1の特例および住宅用土地の税額減額措置の適用条件を検証する。
- 新築住宅に対する不動産取得税の課税標準の控除限度額(一般住宅は1,200万円)を精査する。
- 所有権保存登記の軽減申請期限(新築後1年以内)や不動産取得税の申告期日(各都道府県の条例で定める期日)の要件を確認する。
- 選択肢 1正解
- 土地の売買による所有権移転登記には軽減税率が適用され、宅地の不動産取得税では固定資産税評価額を2分の1とする特例と住宅用土地の税額減額措置がともに適用されます。
- 選択肢 2不正解
- 新築した一般住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例控除額は最大1,200万円(認定長期優良住宅等は1,300万円)であり、最大1,500万円ではありません。
- 選択肢 3不正解
- 新築住宅の所有権保存登記に係る登録免許税の軽減措置の適用を受けるための登記期限は、新築後1年以内であり、1カ月以内ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 不動産取得税の申告期限は各都道府県の条例(取得日から原則一定期間内など)で定められており、翌年3月15日ではありません。
覚えるポイント
- 一般住宅新築時の不動産取得税の控除額は1,200万円、所有権保存登記の軽減要件は新築後1年以内である点。
間違えやすいところ
- 不動産登記法上の表題登記申請義務(新築後1カ月以内)と、登録免許税の軽減適用要件(新築後1年以内の保存登記)を混同しやすい点。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法、地方税法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続により取得した土地の譲渡所得における取得費の計算
不動産 · 取得費 / 相続税の取得費加算 / 譲渡所得
Aさんは、平成22年2月に死亡した父親から相続により取得した自宅の敷地(土地)を平成27年10月に売却した。下記の〈売却した土地の購入価額等〉の資料に基づき、当該土地に係る譲渡所得の金額の計算上の取得費(最も多額になるよう計算した額)として、最も適切なものを1つ選びなさい。 〈売却した土地の購入価額等〉 ・昭和50年2月 父親が購入 購入価額:2,000万円 登記関係費用(登録免許税、司法書士手数料):50万円 仲介手数料:66万円 ・平成22年2月 父親から相続(単純承認)により取得 当該土地の相続税評価額:3,000万円(他に相続した土地なし) Aさんの相続税の課税価格:6,000万円(債務控除前) Aさんが納付した相続税額:800万円 登記関係費用(登録免許税、司法書士手数料):40万円 ・平成27年10月 譲渡 譲渡価額:8,000万円 仲介手数料:265万円
解答・解説を表示
解答
1
解説
相続により取得した資産を譲渡した場合、被相続人の取得費および取得時期をそのまま引き継ぎます。相続時に要した所有権移転の登記費用等は取得費に算入できません。また、相続税額の取得費加算の特例は、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した場合に限り適用されます。
解き方
- 被相続人が取得した際の取得費を計算する:購入価額2,000万円+登記関係費用50万円+仲介手数料66万円=2,116万円。
- 相続時に相続人が支出した登記費用40万円は所得税基本通達38-9により取得費に算入できないことを確認する。
- 相続税額の取得費加算の特例の適用要件を確認する。平成22年2月相続開始による申告期限は平成22年12月であり、その翌日以後3年を経過する日は平成25年12月であるため、平成27年10月の譲渡では特例を適用できない。
- 概算取得費(8,000万円×5%=400万円)と実額取得費(2,116万円)を比較し、多額となる実額取得費2,116万円を選択する。
- 選択肢 1正解
- 被相続人の購入価額2,000万円、登記関係費用50万円、仲介手数料66万円の合計2,116万円が引き継ぐ実額取得費となり、これが最も多額となります。
- 選択肢 2不正解
- 相続時に支払った登記関係費用40万円は取得費に含めることができないため、2,156万円とするのは誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 譲渡日が相続税の申告期限の翌日以後3年を経過しているため相続税額の取得費加算の特例は適用できず、2,516万円とするのは誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 相続税評価額や相続税額を考慮した計算結果であり、取得費の算定方法として誤りです。
覚えるポイント
- 相続による取得資産の登記費用は取得費に算入できない(所基通38-9)。
- 相続税額の取得費加算の適用期限は「申告期限の翌日以後3年以内」である。
間違えやすいところ
- 相続時の登記関係費用を取得費に含めてしまうミス。
- 譲渡時の仲介手数料(譲渡費用)を取得費と混同してしまうミス。
- 譲渡時期が申告期限後3年を経過していることを見落として取得費加算を計算してしまうミス。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の適用可否
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 譲渡所得 / 所得税
次の各ケースのうち、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用を受けることができるものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 (a) 平成26年1月に居住の用に供していた自宅(建物とその敷地)の建物を取り壊し、空き地のまま所有していた敷地を、平成27年12月に譲渡契約を締結して譲渡した場合 (b) 平成26年4月に勤務先からの転任命令により単身赴任をして社宅に入居した夫が、その転任前に居住の用に供していた自宅(建物とその敷地)にその妻子が引き続き居住した後、平成27年10月に当該自宅を譲渡した場合 (c) 協議離婚した者が、離婚に伴う財産分与として、その者が居住の用に供していた自宅(建物とその敷地)を相手方に引き渡した場合
解答・解説を表示
解答
2
解説
居住用財産の3,000万円特別控除は、居住の用に供している家屋やその敷地等を譲渡したときに適用されます。家屋取り壊し後の敷地譲渡は「取壊しから1年以内の譲渡契約締結」等の要件があります。また、配偶者等の親族間での譲渡には適用できませんが、離婚成立後の財産分与は親族外への譲渡となるため適用が認められます。
解き方
- ケース(a)を判定する:家屋を取り壊して敷地を譲渡する場合、取壊しの日から1年以内に譲渡契約が締結されている必要がある。本問では平成26年1月取壊しから平成27年12月契約締結まで1年を超えているため適用対象外(不適切)。
- ケース(b)を判定する:転任等のやむを得ない事由により単身赴任した場合でも、生計を一にする妻子が居住を継続していれば本人の居住用財産として取り扱われるため適用対象となる(適切)。
- ケース(c)を判定する:協議離婚成立後に離婚に伴う財産分与として居住用財産を引き渡す場合、受取人は既に配偶者(特別の関係がある者)ではないため適用対象となる(適切)。
- 適用可能なケースが(b)と(c)の2つであることを確認し、該当する選択肢を選ぶ。
- 選択肢 1不正解
- 適用可能なケースは(b)と(c)の2つであるため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 適用可能なケースは(b)と(c)の2つであるため正しいです。
- 選択肢 3不正解
- ケース(a)は取壊しから契約締結まで1年を超えており適用できないため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- ケース(b)と(c)は適用可能であるため誤りです。
覚えるポイント
- 建物取壊し後の敷地譲渡は「取壊しの日から1年以内の契約締結」および「住まなくなってから3年目の年の12月31日までの譲渡」が要件。
- 離婚成立「後」の財産分与による居住用財産の譲渡は親族間譲渡の除外規定に該当せず特例適用可能。
間違えやすいところ
- 建物取壊し後3年目の年末までならいつでもよいと誤認し、1年以内の契約要件を見落とすミス。
- 離婚による財産分与は配偶者間取引として特例除外になると誤認するミス(離婚成立後であれば元配偶者となり適用可能)。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
貸宅地の整理と税務・法律上の取扱い
不動産 · 貸宅地 / 固定資産の交換の特例 / 物納 / 定期借地権
貸宅地の整理等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、借地人はいずれも地主と親族等の特別の関係にないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
底地と借地権の等価交換において所得税法上の「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」を適用する場合、交換する資産は適正な時価で評価される必要があり、路線価割合に拘束されるものではありません。
解き方
- 底地と借地権の交換における固定資産の交換の特例要件(時価評価および差額20%以内等)を確認する。
- 底地の第三者への売却価格水準、物納適格性、旧法借地契約から定期借地権への切替えに関する法的有効性をそれぞれ検証する。
- 選択肢 1正解
- 固定資産の交換特例では、交換資産の価額は適正な時価によることが求められますが、路線価図の借地権割合による必要はなく、当事者間で合意した合理的な時価割合に基づき他の特例要件を満たせば適用を受けられます。
- 選択肢 2不正解
- 底地を借地人以外の第三者に売却する場合、利用上の強い制限があるため、一般に更地時価から借地権割合を控除した価額よりも大幅に低額(10〜20%程度など)で取引されます。
- 選択肢 3不正解
- 貸宅地であっても、賃貸借契約書が存在し権利関係や境界が明確であるなど管理処分不適格事由に該当しなければ、相続税の物納財産(第2順位)に充てることができます。
- 選択肢 4不正解
- 借地借家法施行前の借地契約(旧法借地権)を定期借地権へ切り替えるには、借地権者の同意による合意が必要であり、地主からの申入れを借地人が正当事由なく拒絶できないわけではありません。
覚えるポイント
- 固定資産の交換特例では、双方が1年以上所有した固定資産で同種資産同士の等価交換であること等が求められる。
間違えやすいところ
- 路線価図の借地権割合は相続税評価基準であり、実際の不動産取引における時価割合と必ずしも一致するわけではない点に注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
暦年課税における贈与税額の計算(特例贈与財産と一般贈与財産の混合)
相続・事業承継 · 贈与税の計算 / 特例贈与財産 / 一般贈与財産 / 基礎控除後の課税価格の按分
Aさん(26歳)は、平成27年4月に父親(50歳)から自動車の購入資金として現金200万円の贈与を受け、平成27年8月に伯父(55歳)から住宅取得資金として現金300万円の贈与を受けた。Aさんの平成27年分の贈与税額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、いずれも贈与税の課税対象となり、暦年課税を選択するものとする。また、Aさんは平成27年中にほかに贈与は受けていないものとする。 〈贈与税の速算表(一部抜粋)〉 [特例贈与財産] 基礎控除後の課税価格200万円超300万円以下:税率15%、控除額10万円 基礎控除後の課税価格300万円超400万円以下:税率15%、控除額10万円 基礎控除後の課税価格400万円超600万円以下:税率20%、控除額30万円 [一般贈与財産] 基礎控除後の課税価格200万円超300万円以下:税率15%、控除額10万円 基礎控除後の課税価格300万円超400万円以下:税率20%、控除額25万円 基礎控除後の課税価格400万円超600万円以下:税率30%、控除額65万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
同一年中に特例贈与財産(直系尊属から20歳以上の子・孫への贈与)と一般贈与財産の両方がある場合、基礎控除後の合計課税価格に対してそれぞれ全額該当すると仮定して税額を算出し、受贈額の割合に応じて按分合算して計算します。
解き方
- 受贈財産の区分を行う。父親(直系尊属)からの200万円は特例贈与財産、伯父(傍系親族)からの300万円は一般贈与財産となり、合計受贈額は500万円となる。
- 基礎控除後の課税価格を計算する。500万円-110万円=390万円。
- 全額が特例贈与財産である場合の税額を算定する。390万円×15%-10万円=48.5万円。特例贈与財産に対応する税額は48.5万円×(200万円/500万円)=194,000円。
- 全額が一般贈与財産である場合の税額を算定する。390万円×20%-25万円=53万円。一般贈与財産に対応する税額は53万円×(300万円/500万円)=318,000円。
- 按分した税額を合算する。194,000円+318,000円=512,000円(51万2,000円)。
- 選択肢 1不正解
- 課税価格390万円に対して単に特例税率の10%等を誤用した計算結果などであり、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 基礎控除110万円を財産比率で控除してから個別に速算表を適用するなどの誤った計算方法による数値です。
- 選択肢 3正解
- 按分計算により特例税率分が19万4,000円、一般税率分が31万8,000円となり、合計税額は51万2,000円となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 全額を一般贈与財産とみなした場合の税額53万円とも一致せず、計算手順に誤りがあります。
覚えるポイント
- 直系尊属(父母・祖父母等)から贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上(現行法は18歳以上)の場合に特例税率が適用される。
間違えやすいところ
- 伯父(叔父)は直系尊属ではなく傍系親族であるため、特例税率ではなく一般税率の対象となる点に注意が必要である。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 相続時精算課税との併用 / 増改築等の要件 / 受贈年中の贈与者の死亡
次の各ケースのうち、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けることができるものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 (a) 相続時精算課税の適用を受けているAさん(40歳)は、その特定贈与者である父親(70歳)から平成27年1月に現金1,000万円の贈与を受け、平成27年12月にその資金を充当して住宅用家屋を取得し、居住の用に供した。 (b) Bさん(35歳)は、祖父(85歳)から平成27年4月に現金200万円の贈与を受け、平成27年8月にその資金により自己が居住の用に供している家屋に工事費200万円の一定の耐震改修工事を行った。 (c) Cさん(45歳)は、父親(80歳)から平成27年2月に現金1,000万円の贈与を受け、平成27年3月にその資金を充当して住宅用家屋を取得し、居住の用に供したが、平成27年10月に父親が病気により死亡し、当該相続により相続財産を取得した。
解答・解説を表示
解答
3
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の特例は、受贈者が20歳以上かつ合計所得金額2,000万円以下などの人的要件を満たし、居住用家屋の新築・取得または一定の増改築等(工事費100万円以上等)に充てて所定期限までに居住した場合に適用されます。本特例は相続時精算課税と併用可能であり、贈与の年中に贈与者が死亡した場合でも期限内申告を行うことで適用が認められます。
解き方
- ケース(a)について、相続時精算課税の適用中であっても住宅取得等資金の非課税特例と重複適用が可能であるかを確認する。
- ケース(b)について、新築・取得だけでなく工事費100万円以上の一定の耐震改修工事等の増改築も非課税特例の対象に含まれるかを確認する。
- ケース(c)について、贈与年中に贈与者が死亡した場合であっても期限内申告を行うことで本非課税特例が適用できるかを確認する。
- 適用可能なケースの個数を数え、正答肢を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 適用を受けることができるケースは3つすべてであるため、1つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 適用を受けることができるケースは3つすべてであるため、2つとする本選択肢は不適切です。
- 選択肢 3正解
- (a)は相続時精算課税と住宅取得等資金の非課税は併用可能であるため適用可、(b)は工事費100万円以上の耐震改修工事も対象となるため適用可、(c)は年中に贈与者が死亡しても所定の申告等を行うことで適用可であるため、3つすべて適用でき適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適用を受けることができるケースは3つ存在するため、0(なし)とする本選択肢は不適切です。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金の非課税特例は、暦年課税・相続時精算課税のいずれとも併用可能である。
- 増改築等の場合、工事費用が100万円以上であることなどの要件が求められる。
- 贈与年中に贈与者が死亡しても、所定の手続きを行えば住宅取得等資金の非課税の適用を受けられる。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税を選択している特定贈与者からの贈与には住宅取得等資金非課税が使えないと誤認しやすい。
- 贈与者がその年中に死亡した場合に、非課税特例が使えずに生前贈与加算されてしまうと勘違いしやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における遺言の方式および効力・証人適格
相続・事業承継 · 公正証書遺言の証人欠格事由 / 遺言の撤回 / 秘密証書遺言の検認 / 受遺者の死亡による失効
民法における遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
遺言の証人・立会人の欠格事由(民法974条)には、未成年者、推定相続人・受遺者並びにそれらの配偶者および直系血族が掲げられています。傍系血族である兄弟姉妹は、推定相続人や受遺者に該当しない限り証人となることができます。また、遺言の形式(公正証書・自筆証書等)に関わらず、抵触する遺言がある場合は日付が新しい遺言が優先して前の遺言を撤回したものとみなされます。
解き方
- 公正証書遺言の証人欠格事由(民法974条)を確認し、推定相続人や受遺者でない兄弟姉妹(傍系血族)が証人になれるかを判断する。
- 前の遺言と後の遺言が抵触する場合の撤回擬制(民法1023条)の規定を確認する。
- 秘密証書遺言の保管者が負う家庭裁判所への検認請求義務(民法1004条)を確認する。
- 遺言者死亡以前に受遺者が死亡していた場合の遺贈の失効(民法994条)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 遺言者の兄弟姉妹は傍系血族であり、推定相続人や受遺者(およびこれらの配偶者・直系血族)に該当しない場合には公正証書遺言の証人となることができるため、本記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 前の遺言と後の遺言の内容が抵触するときは、方式の如何を問わず後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされるため、本記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 秘密証書遺言の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求しなければならないため、本記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときはその効力を生じない(無効となる)ため、本記述は適切です。
覚えるポイント
- 証人の欠格事由は「未成年者」「推定相続人・受遺者およびこれらの配偶者・直系血族」であり、傍系血族である兄弟姉妹は(自らが推定相続人等でない限り)証人になれる。
- 後の遺言は前の遺言に優先し、自筆証書遺言であっても前の公正証書遺言を撤回できる。
- 公正証書遺言以外の遺言書(自筆証書遺言・秘密証書遺言)は、原則として家庭裁判所の検認が必要である。
間違えやすいところ
- 遺言者の親族であれば一律に証人になれないと勘違いし、傍系血族である兄弟姉妹も欠格事由に含まれると誤解しやすい。
- 公正証書遺言は自筆証書遺言よりも強い形式効力があるため、自筆証書遺言によって公正証書遺言を撤回することはできないと誤認しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の放棄および算定
相続・事業承継 · 遺留分 / 遺留分の放棄 / 遺留分算定の基礎 / 遺留分減殺請求権の消滅時効
遺留分に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
遺留分は一定の相続人に保障された最低限の遺産取得割合です。共同相続人の一部が遺留分を放棄しても他の相続人の遺留分割合は増加せず、遺留分算定の基礎や時効期間は法律の定めに従います。
解き方
- 相続人が子のみの場合の遺留分割合(全体で2分の1、子各自で等分)を確認する。
- 共同相続人の1人が遺留分を放棄した場合に、他の相続人の遺留分に影響が及ばない(増加しない)民法の規定を適用して各人の遺留分額を算定する。
- 選択肢 1不正解
- 相続開始前1年以内にされた贈与は、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたかどうかにかかわらず、遺留分算定の基礎財産に算入されます。
- 選択肢 2不正解
- 相続開始前における遺留分の放棄は、被相続人等からの不当な干渉を防ぐため、家庭裁判所の許可を受けなければ効力を生じません。
- 選択肢 3正解
- 共同相続人の1人のした遺留分の放棄は他の共同相続人の遺留分に影響を及ぼさないため、二男・三男の遺留分額はそれぞれ5,000万円(3億円×1/2×1/3)のままです。
- 選択肢 4不正解
- 遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始および減殺すべき贈与・遺贈を知った時から1年、または相続開始の時から10年を経過すると時効等により消滅します。
覚えるポイント
- 遺留分の生前放棄には家庭裁判所の許可が必要である。
- 1人の遺留分放棄は他の相続人の遺留分に影響を及ぼさない(他者の取り分は増えない)。
間違えやすいところ
- 相続放棄と遺留分の放棄を混同し、遺留分の放棄によって他の共同相続人の遺留分が増加すると誤認しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の民法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の課税財産と非課税・所得税対象財産の区分
相続・事業承継 · 本来の相続財産 / 未支給年金 / 未払給与 / 準確定申告による還付金
相続税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続税の課税対象となる財産には、被相続人が死亡時に所有していた本来の相続財産および法律上みなし相続財産とされるものが含まれます。遺族固有の権利に基づいて支給される未支給年金は相続税の課税対象外となります。
解き方
- 各選択肢の財産が、本来の相続財産(債権・不動産等)、みなし相続財産、または遺族固有の財産(所得税課税対象等)のいずれに該当するかを識別する。
- 未支給年金は遺族固有の権利に基づく請求権であり相続税の課税財産とならないことを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 相続開始時点で登記が完了していなくても、売買契約によって被相続人が実質的に所有していた不動産は、本来の相続財産として相続税の課税対象となります。
- 選択肢 2正解
- 被相続人の死亡に伴い遺族が受け取った公的年金の未支給分は、遺族の固有の権利として受給するものであり、相続税ではなく受給した遺族の一時所得として所得税の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 死亡後に支給期の到来する給与等は、本来の相続財産(給与請求権)または退職手当金等(みなし相続財産)として相続税の課税対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 被相続人の準確定申告によって還付される所得税額は、相続開始時点において潜在的に有していた公法上の債権であり、本来の相続財産として相続税の課税対象に含まれます。
覚えるポイント
- 公的年金の未支給年金は遺族固有の権利であり、相続税の対象ではなく受給した遺族の一時所得となる。
- 準確定申告による所得税の還付金は被相続人に帰属する債権として相続税の課税財産となる。
間違えやすいところ
- 未支給年金を死亡退職金のような「みなし相続財産」と混同して相続税の対象と考えてしまう誤りが多い。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の相続税法および所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の税額控除等の適用要件
相続・事業承継 · 相続時精算課税 / 配偶者の税額軽減 / 未成年者控除 / 相次相続控除
相続税の税額控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続税の計算では、二重課税の防止や相続人の生活保障、税負担の公平を図るため、各種の税額控除(配偶者控除、未成年者控除、相次相続控除、相続時精算課税分の贈与税額控除など)が規定されています。
解き方
- 配偶者の税額軽減の限度枠は『1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額』であることを確認する。
- 相続時精算課税制度における既納付贈与税額控除の還付規定(控除不足額の還付)を確認する。
- 未成年者控除の適用判定では民法の成年擬制が適用されず、実年齢で判断される点を確認する。
- 相次相続控除の適用期間が『前回の相続から10年以内』であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 配偶者に対する相続税額の軽減において、納付税額がゼロとなる基準は『1億6,000万円』と『配偶者の法定相続分相当額』のいずれか『多い金額』までです。「少ない金額」とする点が誤りです。
- 選択肢 2正解
- 相続時精算課税の適用を受けた贈与財産に係る贈与税相当額は相続税額から控除され、控除しきれない税額がある場合は税額の還付を受けることができます。
- 選択肢 3不正解
- 相続税法上の未成年者控除の適用判定においては、民法上の婚姻による成年擬制は適用されず、実年齢(当時の法令基準では満20歳未満)で判定するため、控除の適用を受けることができます。
- 選択肢 4不正解
- 相次相続控除は、今回の相続開始前『10年以内』に被相続人が相続税を課されていた場合に適用されます。『15年以内』とする点が誤りです。
覚えるポイント
- 配偶者の税額軽減は1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか大きい金額まで非課税
- 相次相続控除の期間要件は前回の相続から10年以内
- 未成年者控除の判定には民法の成年擬制は考慮しない
間違えやすいところ
- 暦年課税の贈与税額控除は還付されないが、相続時精算課税の贈与税額控除は還付されるという相違点の混同
- 配偶者の税額軽減の「いずれか多い金額」を「いずれか少ない金額」と取り違えるミス
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の純資産価額方式
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 純資産価額方式 / 特定評価会社 / 株式保有特定会社
取引相場のない株式の評価方法における純資産価額方式に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
取引相場のない株式の純資産価額方式は、会社を清算した場合に株主に帰属する正味財産価値に着目して評価する手法です。資産から負債および評価差額に対する法人税額等相当額を控除した純資産額を、課税時期の発行済株式数で除して1株当たり評価額を求めます。
解き方
- 純資産価額の計算で除する株式数は「直前期末」ではなく「課税時期」の発行済株式数(自己株式を除く)である点を確認する。
- 駆け込み取得を防止するための土地・家屋の評価特例の期間が「3年以内」であることを確認する。
- 課税時期後に確定した死亡退職金が純資産価額計算上の負債として計上できる点を確認する。
- 株式等の割合が50%以上の特定評価会社(株式保有特定会社)の原則的評価方式が純資産価額方式であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 1株当たりの純資産価額の計算では、控除後の金額を『課税時期における発行済株式数(自己株式を除く)』で除します。「直前期末における発行済株式数」とする点が誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 課税時期前『3年以内』に取得した土地等や家屋等について、課税時期における通常の取引価額(帳簿価額等)相当額で評価します。「5年以内」とする点が誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 被相続人の死亡により支給することが確定した死亡退職金(課税時期後遅滞なく確定したものを含む)は、純資産価額の計算上、負債として計上することができます。
- 選択肢 4正解
- 課税時期において総資産価額に占める株式等の割合が50%以上の会社は「株式保有特定会社」となり、同族株主が取得した株式は会社規模にかかわらず原則として純資産価額方式で評価します。
覚えるポイント
- 純資産価額方式で除する株式数は課税時期における発行済株式数(自己株式を除く)
- 課税時期前3年以内に取得した土地・家屋は通常の取引価額で評価
- 株式保有特定会社の判定基準は株式等の保有割合50%以上
間違えやすいところ
- 類似業種比準方式の発行済株式数(直前期末)と純資産価額方式の発行済株式数(課税時期)の混同
- 取得土地等の取引価額評価ルールの期間「3年以内」を「5年以内」と混同する誤り
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の減額限度額
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 特定事業用宅地等 / 貸付事業用宅地等 / 完全併用
Aさんは平成27年8月に父親が死亡したことに伴い、下記のX土地(特定居住用宅地等)、Y土地(特定事業用宅地等)、Z土地(貸付事業用宅地等)を相続により取得した。「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受ける場合、課税価格から減額される最大の金額として最も適切なものはどれか。 〈資料〉 ・X土地:特定居住用宅地等、宅地面積400㎡、自用地評価額6,000万円 ・Y土地:特定事業用宅地等、宅地面積200㎡、自用地評価額3,000万円 ・Z土地:貸付事業用宅地等、宅地面積200㎡、自用地評価額8,000万円、借地権割合60%、借家権割合30%、入居率100%
解答・解説を表示
解答
3
解説
平成27年1月1日以後の相続では、特定居住用宅地等(限度面積330㎡、80%減額)と特定事業用宅地等(限度面積400㎡、80%減額)は完全併用が可能であり、合計最大730㎡まで適用できます。一方、貸付事業用宅地等(限度面積200㎡、50%減額)を併用する場合は限度面積の調整計算が必要です。
解き方
- 各土地の1㎡当たりの減額効果を比較する。X土地は15万円/㎡×80%=12万円/㎡、Y土地は15万円/㎡×80%=12万円/㎡。Z土地(貸付事業用宅地等の評価額=8,000万円×(1-0.6×0.3×1.0)=6,560万円)は32.8万円/㎡×50%=16.4万円/㎡となるが、面積調整枠あたりの効率および完全併用のメリットを考慮する。
- 特定事業用宅地等と特定居住用宅地等を完全併用する場合、Y土地200㎡全量(3,000万円×80%=2,400万円)と、X土地のうち限度330㎡(6,000万円×330/400×80%=3,960万円)を合算でき、減額合計は2,400万円+3,960万円=6,360万円となる。貸付事業用宅地等を含める他の組み合わせよりも減額金額が最大となる。
- 選択肢 1不正解
- 3,960万円は、X土地(特定居住用宅地等)についてのみ限度面積330㎡まで適用した場合の減額金額であり、Y土地との完全併用を考慮していないため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 4,000万円は、貸付事業用宅地等を含む不適切な組み合わせまたは計算に基づく数値であり、誤りです。
- 選択肢 3正解
- 特定事業用宅地等のY土地(200㎡、減額2,400万円)と特定居住用宅地等のX土地(330㎡、減額3,960万円)を完全併用することで、最大の減額金額である6,360万円が算出されます。
- 選択肢 4不正解
- 7,200万円は、X土地の全体(400㎡)について限度面積を超えて減額計算を行うなど、誤った計算による数値です。
覚えるポイント
- 平成27年1月以降、特定居住用宅地等(330㎡・80%)と特定事業用宅地等(400㎡・80%)は最大730㎡まで完全併用可能です。
間違えやすいところ
- 貸付事業用宅地等を選択した場合は完全併用ができず、按分による限度面積制限を受ける点に注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(平成27年1月1日施行の相続税法改正)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例(事業承継税制)
相続・事業承継 · 事業承継税制 / 納税猶予の特例 / 非上場株式 / 認定手続 / 後継者要件
平成27年中の相続に係る「非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
事業承継税制における非上場株式等の相続税の納税猶予制度(従来からの一般措置)では、後継者が取得した議決権株式のうち、発行済議決権株式総数の3分の2に達するまでの部分について、対応する相続税額の80%が納税猶予されます。
解き方
- 各選択肢の手続期間、後継者要件、株式数要件、納税猶予割合を確認する。
- 認定申請期限は相続開始を知った日の翌日から8カ月以内(5カ月ではない)、親族外承継も認められているため親族要件は撤廃済み、猶予割合は80%(全額ではない)であることから、3が適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 経済産業大臣の認定を受けるための認定申請書の提出期限は、原則として相続開始を知った日の翌日から「8カ月以内」と定められており、5カ月ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 平成25年度税制改正により親族外承継も特例の対象とされたため、後継者が被相続人の親族である必要はありません。
- 選択肢 3正解
- 本特例の対象となる議決権株式数は発行済議決権株式総数の3分の2までとされているため、相続開始前に既に3分の2以上を保有していた場合、特例の対象となる株式はありません。
- 選択肢 4不正解
- 本特例(一般措置)において猶予される相続税額は、特例の対象となる非上場株式に対応する相続税の「80%」相当額であり、全額(100%)ではありません。
覚えるポイント
- 事業承継税制(一般措置)の適用上限は発行済議決権株式総数の3分の2まで、納税猶予割合は80%です。
間違えやすいところ
- 親族要件は平成25年度改正で撤廃された点、認定申請期限は8カ月以内である点(5カ月は役員要件の判定時期)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(経営承継円滑化法および租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年1月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年1月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

