日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年9月 1級 学科(応用編)の概要
高年齢雇用継続基本給付金および在職老齢年金の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢雇用継続基本給付金 / 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 在職支給停止と併給調整
定年退職後も再雇用制度を利用して勤務する場合の高年齢雇用継続基本給付金および特別支給の老齢厚生年金に関する次の文章の空欄①〜④に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「Aさんが、60歳以後も雇用保険の一般被保険者としてX社に勤務し、かつ、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われた賃金額(みなし賃金額を含む)が、60歳到達時の賃金月額の75%相当額を下回る場合、一定の手続により、Aさんは、原則として、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。 高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに、その月に支払われた賃金額の低下率に応じて一定の方法により算定されますが、最高で賃金額の( ① )%に相当する額になります」 Ⅱ 「Aさんは、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を原則として( ② )歳から受給することができますが、Aさんが厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務している間、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ③ )万円(平成27年度、支給停止調整開始額)を超える場合には、その年金額の一部または全部が支給停止となります。 さらに、Aさんが特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)と雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を同時に受けることができる場合、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の年金額は、在職支給停止の仕組みに加えて、毎月、標準報酬月額の( ④ )%に相当する額を上限として支給停止となります」
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解答
① 15、② 62、③ 28、④ 6
解説
60歳以降の再雇用等に伴う賃金低下に対しては雇用保険から高年齢雇用継続給付が支給されます。また、厚生年金保険に加入しながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、在職老齢年金の基準による支給停止が行われるほか、高年齢雇用継続給付との併給調整により年金の一部がさらに支給停止となります。
解き方
- 高年齢雇用継続基本給付金の最大支給率(賃金額の15%)を確認する。
- 生年月日に基づいて男性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢(昭和31年7月生まれは62歳)を判定する。
- 60歳台前半の在職老齢年金における平成27年度の支給停止調整開始額(28万円)を特定する。
- 高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金の併給調整による年金支給停止の上限割合(標準報酬月額の6%)を特定する。
答えの内訳
- ①:15
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、受給資格を満たした者の賃金が60歳到達時等の賃金月額の61%未満に低下した場合、最高で各支給対象月に支払われた賃金額の15%に相当する額となります。
- ②:62
- 昭和31年7月20日生まれの男性(昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれ)における特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は62歳です。
- ③:28
- 60歳台前半の在職老齢年金において、年金の支給停止が開始される基準となる支給停止調整開始額(総報酬月額相当額+基本月額)は、平成27年度において28万円です。
- ④:6
- 特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を併給する場合、在職老齢年金の仕組みによる支給停止に加えて、毎月、標準報酬月額の最高6%に相当する額が年金から支給停止されます。
覚えるポイント
- 男性の報酬比例部分の開始年齢は昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれが62歳
- 高年齢雇用継続給付金の最高支給率は賃金の15%、年金併給停止の上限は標準報酬月額の6%
- 60歳台前半の低在老の支給停止調整開始額は28万円(平成27年度当時)
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付の支給率15%と年金停止率6%を取り違える。
- 生年月日から特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の区分を1年誤認する。
出題の前提:2015年4月1日現在施行法令(平成27年度基準)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
育児・介護休業法および雇用保険の介護休業給付金
ライフプランニングと資金計画 · 育児・介護休業法 / 介護休業の対象家族 / 介護休業給付金 / 支給申請手続
介護休業および雇用保険の介護休業給付金に関する次の文章ⅠおよびⅡの下線部①~③のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。 Ⅰ 「介護休業を希望する労働者は、希望どおりの日から休業するためには、いわゆる育児・介護休業法により、介護休業を開始しようとする日の①2週間前までに事業主に申し出る必要があるとされています。介護休業の対象となる家族は、要介護状態にある配偶者、父母および子であり、配偶者の父母は②対象となりません。 また、対象家族を介護するための休業をした雇用保険の一般被保険者で、かつ、原則として当該介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して③12カ月以上あること等の要件を満たした者に対しては、雇用保険の介護休業給付金が支給されます」 Ⅱ 「介護休業給付金の一支給単位期間の額は、原則として、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の①20%に相当する額です。ただし、支給単位期間中に事業主から賃金が支払われた場合、その賃金額が、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の②80%に相当する額未満であるときに限り、介護休業給付金が支給されます。 介護休業給付金の支給を受けようとするときは、原則として、介護休業終了日(介護休業期間が3カ月以上にわたるときは介護休業開始日から3カ月を経過する日)の翌日から起算して③2カ月を経過する日の属する月の末日までに所定の申請書を提出する必要があります」
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解答
Ⅰ:②(配偶者の父母も介護休業の対象家族となる) Ⅱ:①(給付額は原則として休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の40%相当額である)
解説
育児・介護休業法に基づく介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業であり、配偶者の父母も対象家族に含まれます。雇用保険の介護休業給付金は、休業中の所得補償として支給され、休業開始前賃金に応じた一定割合が給付されます。
解き方
- 文章Ⅰについて、介護休業の申出期限(2週間前)、対象家族の範囲(配偶者の父母の取扱い)、受給要件(休業前2年間に通算12か月以上のみなし被保険者期間)を精査し、不適切な記述(配偶者の父母が除外されている点)を特定する。
- 文章Ⅱについて、介護休業給付金の支給率(40%)、賃金が支払われた場合の調整(80%基準)、支給申請期限(終了日翌日から2か月経過月の末日)を精査し、不適切な記述(支給率が20%とされている点)を特定する。
- 不適切な下線部の番号を挙げ、それぞれ正しい制度内容を記述する。
答えの内訳
- Ⅰ:不適切な下線部:②、適切な内容:配偶者の父母も介護休業の対象家族に含まれる(対象となる)。
- 育児・介護休業法における介護休業の対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母のほか、同居・扶養している祖父母、兄弟姉妹、孫が含まれます。したがって、配偶者の父母は介護休業の対象家族となります。
- Ⅱ:不適切な下線部:①、適切な内容:介護休業給付金の一支給単位期間の額は、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の40%(平成27年4月時点基準)である。
- 介護休業給付金の一支給単位期間あたりの支給額は、原則として休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の40%に相当する額です(本問の法令基準日時点。なお平成28年8月以後は67%に引き上げられています)。
覚えるポイント
- 介護休業の申出期限は開始の2週間前まで(育児休業の1か月前と区別)
- 配偶者の父母は同居・扶養要件なしに対象家族となる
- 介護休業給付金の支給率は基準日時点で40%(現行は67%)
間違えやすいところ
- 育児休業給付金の旧支給率(50%)や高年齢雇用継続給付(15%)等の数値と混同する。
- 配偶者の父母が介護休業の対象外であると誤認する。
出題の前提:2015年4月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
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老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
Aさんが定年退職後もX社の再雇用制度を利用して勤務し、65歳で退職して再就職しない場合の、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額を計算しなさい。計算にあたっては平成27年度価額(本来水準)を用い、計算過程における端数は円未満四捨五入、年金額の端数は50円未満切捨て・50円以上100円未満切上げとすること。
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解答
1,779,500円
解説
65歳以降の老齢厚生年金は、報酬比例部分、経過的加算額、および要件を満たす場合に加算される加給年金額の合計により算出されます。
解き方
- 報酬比例部分を総報酬制導入前(平成15年3月以前)と導入後(平成15年4月以後)に分けて算定し合算する。
- 経過的加算額を、厚生年金の総被保険者月数(480月上限)に基づく額から、20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者月数に応じた老齢基礎年金相当額を差し引いて計算する。
- 被保険者期間20年以上の受給権者が65歳到達時に生計を維持する65歳未満の配偶者がいることを確認し、加給年金額を加算して端数処理を行う。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の月数は上限480月である点に注意する。
間違えやすいところ
- 経過的加算の老齢基礎年金控除部分の月数に60歳以降の被保険者月数を含めてしまう誤り。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(平成27年度価額・本来水準)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
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財務比率の分析(ROA、総資産回転率、配当性向)
金融資産運用 · 総資産経常利益率 / 総資産回転率 / 配当性向
設例の【財務データ】に基づき、X社およびY社の財務分析に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
① 3.25 ② 総資産回転率(または総資本回転率) ③ 配当性向 ④ 33.33
解説
企業の収益性指標である総資産経常利益率は、売上高経常利益率(収益性)と総資産回転率(効率性)の積にデュポン分解して分析できます。また配当性向は利益還元の度合いを示します。
解き方
- X社の経常利益と総資産から総資産経常利益率を計算し、端数処理を行う。
- 総資産経常利益率の分解式から空欄②に入る効率性指標の名称を特定する。
- 当期純利益と配当金総額の関係から株主還元指標の名称(配当性向)を特定し、Y社の数値を算定する。
答えの内訳
- ①:3.25
- 総資産経常利益率(ROA)= 経常利益 / 総資産 × 100 = 46,000百万円 / 1,415,000百万円 × 100 = 3.2508…% → 小数点以下第3位を四捨五入して3.25%となる。
- ②:総資産回転率(または総資本回転率)
- 総資産経常利益率は「売上高経常利益率 × 総資産回転率(総資本回転率)」に分解することができる(単位が「倍」とあるため回転率が入る)。
- ③:配当性向
- 株主への利益還元度合いを測る指標であり、当期純利益に対する配当金の割合を示す指標は「配当性向」である。
- ④:33.33
- Y社の配当性向 = 配当金総額 / 当期純利益 × 100 = 11,000百万円 / 33,000百万円 × 100 = 33.333…% → 小数点以下第3位を四捨五入して33.33%となる。
覚えるポイント
- 配当性向 = 配当金総額 ÷ 当期純利益 × 100 である。
間違えやすいところ
- 総資産回転率の単位(回または倍)と売上高経常利益率のパーセント表示を混同する誤り。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率の計算
金融資産運用 · 財務分析 / サスティナブル成長率 / ROE / 内部留保率
設例の【財務データ】に基づき、X社のサスティナブル成長率を求めなさい。なお、計算過程を示し、解答は表示単位(%)の小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
3.13%
解説
サスティナブル成長率とは、企業が外部からの資本調達(増資など)を行わずに、内部留保とそれによって得られる利益のみで持続的に達成可能な売上高や純利益の成長率を示す財務指標です。
解き方
- X社の財務データから、当期純利益24,000百万円、配当金総額9,000百万円、自己資本(株主資本)480,000百万円を把握します。
- ROE(当期純利益÷自己資本)および内部留保率(1-配当性向)を算出し、それらを乗じてサスティナブル成長率を求めた上で指定の端数処理を行います。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)で算出します。
間違えやすいところ
- 分母の自己資本に少数株主持分を含めた純資産合計(496,000百万円)を誤って使わないように注意が必要です。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
インタレスト・カバレッジ・レシオの計算
金融資産運用 · 財務分析 / インタレスト・カバレッジ・レシオ / 事業利益 / 金融費用
設例の【財務データ】に基づき、X社のインタレスト・カバレッジ・レシオを求めなさい。なお、計算過程を示し、解答は表示単位(倍)の小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
13.67倍
解説
インタレスト・カバレッジ・レシオは、借入金等の利息支払能力を測定する指標であり、本業の儲けと金融収益からなる事業利益が、支払利息等の金融費用の何倍あるかを表します。倍率が高いほど財務的な安全性が高いと判断されます。
解き方
- 分子となる事業利益(営業利益+受取利息+受取配当金)を【財務データ】から抽出して合算します(38,000+300+2,700=41,000百万円)。
- 分母となる金融費用(支払利息3,000百万円)で事業利益を除算し、小数点以下第3位を四捨五入して倍率を求めます。
覚えるポイント
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+受取利息+受取配当金)÷(支払利息+手形売却損)で計算します。
間違えやすいところ
- 分子に営業外収益全体を加えてしまったり、経常利益を用いて計算したりしないように分子の構成要素を確認する必要があります。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の申告調整(略式別表四の作成)
タックスプランニング · 法人税別表四 / 交際費等の損金不算入 / 減価償却超過額の認容 / 納税充当金
製造業を営むX株式会社(資本金3,000万円、青色申告法人、中小企業者等)の平成28年3月期の資料に基づき、〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。
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解答
① 10,000、② 2,600,000、③ 12,200,000、④ 250,000、⑤ 30,630、⑥ 10,500,000
解説
法人税の別表四は、企業会計上の当期純利益(または当期純損失)を基礎として、税務上の損金・益金の相違を申告調整して法人税法上の所得金額を算出する明細書です。損金とならない費用は加算し、前期以前に加算された超過額の認容や納付した事業税などは減算します。
解き方
- 損益計算書に計上された費用項目のうち、損金不算入となる税金(納税充当金、利子割額)や交際費等の不算入額を加算項目として特定する。
- 減価償却超過額の当期認容額および納税充当金から支出した事業税等の減算項目を計算する。
- 所得税額控除の対象となる金額を加算し、最終的な所得金額を算出する。
答えの内訳
- ①:10,000(円)
- 預金の受取利子から特別徴収された道府県民税利子割額10千円(10,000円)は、損金経理により費用処理されているため、加算(留保)します。
- ②:2,600,000(円)
- 当期確定申告分の法人税等の見積納税額として損金経理した納税充当金2,600千円(2,600,000円)は、損金不算入となるため加算(留保)します。
- ③:12,200,000(円)
- 中小法人における交際費等の損金不算入額の計算は、定額控除限度額(年800万円)による方法と、接待飲食費の50%損金算入による方法の有利選択が可能です。 ・定額控除限度額選択時:20,700千円-8,000千円=12,700千円 ・接待飲食費50%選択時:20,700千円-(17,000千円×50%)=12,200千円 有利な(不算入額が小さくなる)接待飲食費の50%損金算入を選択するため、損金不算入額は12,200,000円を加算(社外流出)します。
- ④:250,000(円)
- 機械の当期償却不足額は償却限度額7,500千円-当期償却額7,200千円=300千円です。前期からの繰越償却超過額250千円は当期償却不足額の範囲内であるため、全額の250千円(250,000円)が当期認容額として減算(留保)されます。
- ⑤:30,630(円)
- 法人税額から控除される所得税額及び復興特別所得税額(30,000円+630円=30,630円)は、所得金額の計算上、加算(留保)します。
- ⑥:10,500,000(円)
- 当期欠損額▲3,360,630円+加算項目合計(10,000円+2,600,000円+12,200,000円)=小計11,449,370円。減算項目合計(250,000円+730,000円)=980,000円を差し引いた仮計は10,469,370円。これに法人税額から控除される所得税額等30,630円を加算した合計が10,500,000円となり、欠損金等当期控除額は0円のため、所得金額は10,500,000円となります。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費等は年800万円定額控除と接待飲食費50%損金算入の有利選択が可能であること
- 前期からの償却超過額は当期の償却限度超過枠(償却不足額)の範囲内で認容減算されること
間違えやすいところ
- 建物の償却不足額40千円を前期超過額のない機械と通算してしまわないこと(資産ごとに別々に判定する)
- 交際費の計算で定額控除800万円を機械的に適用し、接待飲食費の50%特例との比較検討を忘れること
出題の前提:2015年4月1日現在施行の税制・法令
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定申告により納付すべき法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 税額控除 / 端数処理
前問《問57》で求めた所得金額を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。なお、計算過程を示し、答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
1,566,800円
解説
資本金1億円以下の中小法人等については、所得金額のうち年800万円以下の部分に軽減税率が適用されます。算出された法人税額から、試験研究費等の特別控除や源泉徴収された所得税・復興特別所得税の額を税額控除した残額が申告納付税額となります。
解き方
- 所得金額10,500,000円を年800万円以下の部分と超える部分に区分し、それぞれ規定の税率(15%、23.9%)を乗じて合計税額を算出する。
- 算出税額から試験研究費の税額控除額200,000円および所得税額控除30,630円を差し引く。
- 100円未満の端数を切り捨てて最終的な納付税額を決定する。
覚えるポイント
- 資本金1億円以下の中小法人の軽減税率は年800万円以下の部分に対して適用されること
- 法人税額の確定申告における最終納付税額は100円未満切り捨て(国税通則法)となること
間違えやすいところ
- 試験研究費の税額控除や所得税額等の控除を差し引くのを失念すること
- 所得税額控除に復興特別所得税分(630円)を含め忘れること
出題の前提:2015年4月1日現在施行の税制・法令(平成27年度税率表)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地方法人税・研究開発税制・青色欠損金の繰越控除
タックスプランニング · 地方法人税 / 研究開発税制 / 欠損金の繰越控除
法人税等に関する以下の文章Ⅰ~Ⅲの下線部①~③のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。 Ⅰ 平成26年10月1日以後に開始する事業年度から、法人住民税の法人税割額の税率の引下げにあわせて、地方法人税が創設された。地方法人税の納税義務者は、①法人税の納税義務のある法人であり、その税額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に②10%の税率を乗じて計算した金額となる。 なお、地方法人税の確定申告書は、原則として、③各課税事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 Ⅱ 研究開発税制のうち、特別試験研究費の額に係る税額控除制度(以下、「本制度」という)は、損金の額に算入される特別試験研究費の額がある場合に、その特別試験研究費の額に税額控除率を乗じて計算した金額をその事業年度の法人税額から控除することができるものである。本制度の適用を受けることができる法人は、①青色申告書を提出する中小企業者に限られる。 平成27年度税制改正により、平成27年4月1日以後に開始する事業年度から、本制度が見直された。具体的には、特別試験研究機関等と共同して行う試験研究または特別試験研究機関等に委託する試験研究に係る特別試験研究費については②税額控除率が30%とされ、それ以外の特別試験研究費については税額控除率が20%とされた。また、控除税額の上限が、試験研究費の総額に係る税額控除制度および中小企業技術基盤強化税制とは③別枠で当期の法人税額の5%相当額とされた。 Ⅲ 平成27年度税制改正により、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度が見直された。具体的には、資本金が1億円を超える一定の法人が平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度において欠損金額を損金の額に算入する場合、損金の額に算入することができる欠損金額は、①繰越控除前の所得の金額の50%相当額が限度となる。また、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じる欠損金額について、現行9年である②繰越期間が10年に延長される。 なお、繰越控除の対象となる欠損金額がその事業年度開始日前の2以上の事業年度において生じている場合には、③最も古い事業年度において生じたものから順次損金の額に算入することとなる。
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解答
Ⅰ:②(税率は4.4%)/Ⅱ:①(青色申告書を提出するすべての法人が対象)/Ⅲ:①(控除限度額は繰越控除前の所得金額の65%相当額)
解説
法人税法および租税特別措置法における重要改正項目(地方法人税の創設、研究開発税制の拡充、大法人に対する欠損金繰越控除限度額の段階的縮小と繰越期間の延長)に関する正確な要件の理解を問う問題です。
解き方
- 文章Ⅰについて:地方法人税は国税であり、基準法人税額に対して4.4%(当時)が課される点を確認し、誤りを特定する。
- 文章Ⅱについて:研究開発税制のうち特別試験研究費税額控除はオープンイノベーション推進のため大企業を含む全法人が対象である点を確認し、誤りを特定する。
- 文章Ⅲについて:平成27年度改正時における大法人欠損金控除限度額の経過措置(平成27年・28年度は65%、平成29年度以降に段階的引下げ)を確認し、誤りを特定する。
答えの内訳
- Ⅰ:不適切なもの:②
- 地方法人税の税率は、各課税事業年度の課税標準法人税額に対して「4.4%」です(平成26年10月1日以後開始事業年度)。10%ではありません。
- Ⅱ:不適切なもの:①
- 特別試験研究費に係る税額控除制度の適用対象となる法人は、中小企業者に限られず、青色申告書を提出する法人(大企業等を含むすべての法人)です。
- Ⅲ:不適切なもの:①
- 平成27年度税制改正により、資本金1億円超等の法人が平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度において控除できる欠損金の限度額は、繰越控除前の所得金額の「65%」相当額とされました(50%ではありません)。
覚えるポイント
- 地方法人税は国税(申告先は所轄税務署)であり、創設当初の税率は4.4%であること
- 大企業の欠損金控除限度額は段階的に引き下げられ(27年度改正時は65%)、繰越期間は10年へ延長されたこと
間違えやすいところ
- 地方法人税を地方税と混同して都道府県税事務所へ申告すると誤認すること
- 研究開発税制の中小企業技術基盤強化税制と特別試験研究費税額控除の対象法人範囲を混同すること
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(平成27年度税制改正を含む)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途・防火)およびサービス付き高齢者向け住宅
不動産 · 用途地域の制限 / 防火地域・準防火地域 / サービス付き高齢者向け住宅
甲土地と乙土地とを一体とした土地に係る建築基準法上の規制および高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく「サービス付き高齢者向け住宅」に関する以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ 甲土地と乙土地とを一体とした土地の上に建築物を建築する場合、その建築物またはその敷地の全部について、( ① )地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 また、甲土地と乙土地とを一体とした土地の上に建築物を建築する場合、原則として、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。建築基準法上、防火地域内においては、原則として、階数が( ② )以上、または延べ面積が( ③ )㎡を超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物または( ④ )としなければならないとされている。 Ⅱ サービス付き高齢者向け住宅は、平成23年度の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の改正により創設された制度であり、( ⑤ )と国土交通省との共管で運用されている。 サービス付き高齢者向け住宅は、原則として、各居住部分の床面積が25㎡以上であること、バリアフリー構造であること、状況把握(安否確認)サービスや生活相談サービスが提供されることなどの基準を満たして都道府県知事等の登録を受け、少なくとも10年間は登録された状態が継続される場合には、当該住宅の建設は国による補助事業の対象となる。 また、所定の要件を満たすサービス付き高齢者向け住宅を新築して賃貸の用に供する場合、税制面での各種優遇措置が設けられており、所得税および法人税では( ⑥ )年間の割増償却、固定資産税では( ⑥ )年間の減額措置の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① 商業/② 3(3階)/③ 100/④ 準耐火建築物/⑤ 厚生労働省/⑥ 5(5年)
解説
敷地が異なる用途地域や防火地域等にまたがる場合の建築基準法上の適用ルール、防火地域内の建築制限、およびサービス付き高齢者向け住宅の法的枠組みと税制優遇措置を正確に把握している必要があります。
解き方
- 敷地全体500㎡(甲土地300㎡+乙土地200㎡)における用途地域の内訳を計算する。第一種住居地域が100㎡、商業地域が400㎡となり過半が商業地域であるため、用途制限は商業地域が適用される。
- 敷地が防火地域と準防火地域にまたがる場合は原則として全体に防火地域の規定が適用される。防火地域内の耐火義務基準(階数3以上または延べ面積100㎡超は耐火建築物、それ以外は耐火建築物または準耐火建築物)を確認する。
- サービス付き高齢者向け住宅の所管官庁(国土交通省と厚生労働省)および税制特例(割増償却・固定資産税減額の適用年数5年)を当てはめる。
答えの内訳
- ①:商業
- 敷地が複数の用途地域にまたがる場合、建築物の用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用されます。一体敷地500㎡中、商業地域が400㎡(過半)を占めるため商業地域の用途規定が適用されます。
- ②:3(または3階)
- 防火地域内においては、階数が3以上、または延べ面積が100㎡を超える建築物は原則として耐火建築物としなければなりません。
- ③:100
- 防火地域内において耐火建築物としなければならない延べ面積の基準は100㎡超です。
- ④:準耐火建築物
- 防火地域内において耐火建築物以外の建築物を建築する場合、原則として「準耐火建築物」としなければなりません。
- ⑤:厚生労働省
- 「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づくサービス付き高齢者向け住宅は、国土交通省と厚生労働省が共管して運用しています。
- ⑥:5(または5年)
- 一定のサービス付き高齢者向け住宅を新築した場合、所得税・法人税で5年間の割増償却、固定資産税で5年間の税額減額措置が講じられています。
覚えるポイント
- 用途地域の制限は敷地の「過半」が属する地域の規定が適用されること
- 防火地域と準防火地域等にまたがる場合は最も厳しい地域の規定(防火地域)が敷地全体に及ぶこと
- サ高住は国交省・厚労省共管であり、新築時の税制優遇期間は5年であること
間違えやすいところ
- 用途地域を用分加重平均(按分)で計算する建ぺい率・容積率のルールと混同すること
- 防火地域の耐火建築物基準である「階数3以上・延べ面積100㎡超」を準防火地域の基準と混同すること
出題の前提:2015年4月1日現在施行の建築基準法および高齢者の居住の安定確保に関する法律等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数地域にまたがる敷地の一体利用における建築面積・延べ面積の上限計算
不動産 · 建ぺい率 / 容積率 / 耐火建築物 / 角地緩和 / 道路幅員制限
甲土地(面積300㎡:第一種住居地域・準防火地域100㎡、商業地域・防火地域200㎡)と乙土地(面積200㎡:商業地域・防火地域、特定行政庁指定の角地)を一体とした敷地に耐火建築物を建築する場合における、①建ぺい率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。なお、前面道路は幅員8mの県道である。
解答・解説を表示
解答
① 470㎡ ② 2,220㎡
解説
建築物の敷地が異なる用途地域や防火規制の地域にまたがる場合、建ぺい率および容積率は各地域ごとの上限面積を計算して合算します。建ぺい率80%の地域で防火地域内に耐火建築物を建てる場合は制限が撤廃(100%)されます。また、前面道路の幅員制限と指定容積率のいずれか小さい方が基準容積率となります。
解き方
- 敷地全体(500㎡)を用途地域別(第一種住居地域100㎡、商業地域400㎡)に区分し、角地緩和や耐火建築物の緩和を判定して各適用建ぺい率を求め、建築面積の上限を合算する。
- 前面道路幅員(8m)に各地域の法定乗数を乗じた値と指定容積率を比較し、小さい方の基準容積率を用いて各地域の延べ面積上限を計算・合算する。
答えの内訳
- ①:470㎡
- 敷地全体が角地緩和(+10%)の対象となる。商業地域(防火地域)の400㎡部分は、指定建ぺい率80%かつ防火地域内の耐火建築物であるため建ぺい率の制限がなくなり100%が適用される(400㎡×100%=400㎡)。第一種住居地域(準防火地域)の100㎡部分は、指定建ぺい率60%に角地緩和10%を加えた70%が適用される(100㎡×70%=70㎡)。したがって、上限となる建築面積の合計は400㎡+70㎡=470㎡となる。
- ②:2,220㎡
- 前面道路幅員8mによる容積率制限は、第一種住居地域が8m×4/10=320%(指定300%より低いため300%を採用)、商業地域が8m×6/10=480%(指定500%より低いため480%を採用)となる。延べ面積の上限は、第一種住居地域部分が100㎡×300%=300㎡、商業地域部分が400㎡×480%=1,920㎡となり、合計で300㎡+1,920㎡=2,220㎡となる。
覚えるポイント
- 指定建ぺい率80%地域+防火地域+耐火建築物の組み合わせでは建ぺい率の制限がなくなり100%になる。
- 前面道路幅員による容積率制限は住居系地域が幅員×4/10、非住居系地域が幅員×6/10(特定行政庁の指定がない場合)。
間違えやすいところ
- 2015年試験時点では準防火地域における耐火建築物の+10%緩和制度は未施行(2019年施行)であるため、第一種住居地域には角地緩和のみを適用することに注意する。
- 商業地域の前面道路制限(8m×6/10=480%)を見落とし、指定容積率500%をそのまま掛けて計算してしまうミスが多い。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の建築基準法
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の3,000万円特別控除および軽減税率の特例による譲渡所得税額等の計算
タックスプランニング · 長期譲渡所得 / 居住用財産の3000万円特別控除 / 所有期間10年超の軽減税率の特例 / 概算取得費
Aさんが自宅の建物および敷地(所有期間50年、譲渡価額1億1,000万円、取得費不明、譲渡費用500万円)を譲渡し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率)」の適用を受けた場合における、①課税長期譲渡所得金額、②所得税および復興特別所得税の合計額、③住民税額をそれぞれ計算しなさい(100円未満切捨て)。
解答・解説を表示
解答
① 69,500,000円 ② 7,580,900円 ③ 2,875,000円
解説
所有期間が10年を超える居住用財産を譲渡した場合、3,000万円の特別控除を適用した後の課税長期譲渡所得金額について、6,000万円以下の部分は所得税10%・住民税4%、6,000万円超の部分は所得税15%・住民税5%の軽減税率が適用されます。所得税には2.1%の復興特別所得税が加算されます。
解き方
- 譲渡価額から概算取得費(5%)と譲渡費用を差し引いて譲渡益を算出し、3,000万円特別控除を控除して課税長期譲渡所得金額を求める。
- 課税長期譲渡所得金額を6,000万円以下の部分と6,000万円超の部分に区分し、それぞれの軽減税率を適用して基準所得税額を求め、復興特別所得税(2.1%)を加算して100円未満を切り捨てる。
- 同様に6,000万円以下(4%)と6,000万円超(5%)の部分に住民税率を適用して住民税額を算出し、端数処理を行う。
答えの内訳
- ①:69,500,000円
- 概算取得費は譲渡価額の5%で1億1,000万円×5%=550万円。譲渡益は1億1,000万円-(550万円+500万円)=9,950万円。居住用財産の3,000万円特別控除を適用し、課税長期譲渡所得金額は9,950万円-3,000万円=69,500,000円となる。
- ②:7,580,900円
- 課税長期譲渡所得金額69,500,000円のうち6,000万円以下の部分の税率は10%(6,000万円×10%=6,000,000円)、6,000万円超の部分(950万円)の税率は15%(950万円×15%=1,425,000円)となり、基準所得税額は合計7,425,000円。復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を加えると7,425,000円×102.1%=7,580,925円。100円未満を切り捨てて7,580,900円となる。
- ③:2,875,000円
- 住民税率は6,000万円以下の部分が4%(6,000万円×4%=2,400,000円)、6,000万円超の部分(950万円)が5%(950万円×5%=475,000円)となり、合計で2,400,000円+475,000円=2,875,000円となる。
覚えるポイント
- 取得費不明の場合は譲渡価額の5%を概算取得費として控除できる。
- 所有期間10年超の軽減税率は6,000万円以下(所得税10%・住民税4%)、6,000万円超(所得税15%・住民税5%)。
間違えやすいところ
- 課税長期譲渡所得金額が6,000万円を超える場合に、全額に高い税率を適用したり、区分計算を忘れたりするミスが多い。
- 所得税の計算時に復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)の加算や100円未満切捨ての端数処理を忘れてしまうこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の租税特別措置法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準方式による非上場株式の評価(中会社の大)
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準価額 / 配当要素・利益要素の修正
非上場会社であるX社の代表取締役社長Aさん(所有株式120,000株)は、専務取締役である長男Cさんに株式を贈与することを検討している。与えられた〈X社の概要〉および決算データに基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額について、①1株(50円)当たりの年配当金額、②1株(50円)当たりの年利益金額、③1株当たりの類似業種比準価額の順序に従って求めなさい。なお、計算過程における端数処理は設問の指示に従い、複数の方法がある場合はできるだけ低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 5.7円(5円70銭)、② 30円、③ 2,051円
解説
類似業種比準方式は、事業内容が類似する上場会社の株価を基礎とし、1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素を比準して評価額を算定する方式です。臨時的な記念配当や固定資産売却等の非経常的な利益は要素の計算から除外します。
解き方
- 資本金等の額から1株50円換算の株式数を算定し、記念配当を除いた過去2年間の平均配当金額から1株(50円)当たりの年配当金額を算出する。
- 非経常的な利益を除いた直前期および直前々期の所得金額を比較し、直前期と2年平均のうち有利(低額)となる年利益金額を算定する。
- 最も低い類似業種の株価を選択し、各比準要素の比準割合および中会社の斟酌割合0.6を乗じて50円当たりの価額を求め、X社の1株当たりの資本金等の額(500円)に応じて換算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:5.7円(5円70銭)
- 直前期の配当金額から記念配当150万円を除いた900万円と、直前々期の配当金額825万円の2年平均配当金額は、(900万円+825万円)÷2=862.5万円となる。これを1株50円換算の株式数1,500,000株(資本金等の額7,500万円÷50円)で除すと、8,625,000円÷1,500,000株=5.75円となる。10銭未満を切り捨てるため、5.7円となる。
- 小問 ②:30円
- 直前期の所得金額は4,680万円、直前々期の所得金額から非経常的な利益1,050万円を除いた額は4,400万円となる。直前期のみ(4,680万円)と2年平均((4,680万円+4,400万円)÷2=4,540万円)を比較し、低い価額となる2年平均4,540万円を選択する。これを1株50円換算の株式数で除すと、45,400,000円÷1,500,000株=30.266…円となり、円未満を切り捨てて30円となる。
- 小問 ③:2,051円
- 類似業種の株価は最も低い前年平均の278円を選択する。各比準割合は、配当:5.7÷4.7=1.212…→1.21、利益:30÷24=1.25、純資産:376÷305=1.232…→1.23。比準割合は(1.21+1.25×3+1.23)÷5=1.238→1.23。中会社の斟酌割合は0.6であるため、1株50円当たりの比準価額は278円×1.23×0.6=205.164円→205.1円。1株500円換算で205.1円×(500円÷50円)=2,051円となる。
覚えるポイント
- 記念配当や特別配当等の非経常的な配当、固定資産売却益等の非経常的な利益は除外する
- 比準要素の年利益金額は直前期単年度と直前2年平均のうち納税者に有利な方(株価が低くなる方)を選択できる
- 斟酌割合は大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5(出題当時基準)
間違えやすいところ
- 記念配当や非経常的利益を控除せずに計算してしまうミス
- 1株当たりの資本金等の額が50円ではなく500円であることを見落とし、10倍の換算を忘れるミス
- 比準割合や端数処理の指示(10銭未満切捨て、小数点第2位未満切捨てなど)を誤るミス
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
取引相場のない株式の相続税評価額(中会社の大における併用方式)
相続・事業承継 · 中会社の株式評価 / 類似業種比準方式と純資産価額方式の併用 / Lの割合
長男Cさんが代表取締役社長AさんからX社株式の贈与を受けた場合における、贈与税の課税上のX社株式の1株当たりの相続税評価額を求めなさい。なお、前問《問63》で求めた類似業種比準価額(2,051円)を用い、計算にあたり複数の方法がある場合はできるだけ低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
2,298円
解説
同族株主が取得する取引相場のない株式について、会社規模区分が「中会社」に該当する場合は、原則として類似業種比準価額と1株当たり純資産価額を「Lの割合」に応じて按分する併用方式によって評価します。また、純資産価額方式単独を選択することも可能ですが、通常は類似業種比準価額を併用した方が低額となります。
解き方
- X社の規模区分「中会社の大」に応じたLの割合(0.90)を確認する。
- 類似業種比準価額2,051円と純資産価額4,530円を用いて併用方式の計算(2,051円×0.90+4,530円×0.10)を行う。
- 得られた価額と純資産価額を比較し、低い方の価額について指示に従い円未満を切り捨てる。
覚えるポイント
- 中会社のLの割合:大会社寄りの「大」は0.90、「中」は0.75、「小」は0.60
- 中会社は「類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)」と「純資産価額単独」のいずれか低い方を選択可能
間違えやすいところ
- 中会社の大のL値(0.90)を取り違えて計算してしまうミス
- 純資産価額方式単独との比較検討を考慮せず、併用方式のみを機械的に計算してしまうミス
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言および事業承継税制・遺留分に関する民法の特例
相続・事業承継 · 公正証書遺言 / 事業承継税制(贈与税の納税猶予) / 遺留分に関する民法の特例
遺言および長男Cさんに対するX社株式の贈与に係る特例等に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ 民法に定める遺言の方式には普通方式と特別方式があり、普通方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言がある。公正証書遺言とは、証人( ① )人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものである。 Ⅱ 長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「非上場株式等についての贈与税の納税猶予」の適用を受けた場合、長男Cさんが納付すべき贈与税額のうち、猶予対象株式等に対応する贈与税の全額の納税が猶予されるが、納税猶予の対象となる株式の限度数は( ② )株となる。 長男Cさんが本特例の適用を受けるためには、贈与時においてX社の代表権を有し、かつ、役員等の就任から( ③ )年以上経過しており、特別の関係がある者と合わせた議決権数の合計がX社の総議決権数の( ④ )%を超え、かつ、これらの者のなかで最も多くの議決権数を有していなければならない。 Ⅲ 長男Cさんが、Aさんから贈与を受けるX社株式について「遺留分に関する民法の特例」の適用を受けた場合、贈与を受けたX社株式について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しない、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を( ⑤ )の時における価額に固定することができる。 長男Cさんが本特例の適用を受けるためには、妻Bさんおよび長女Dさんと書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受けたうえで、( ⑥ )の許可を受ける必要がある。
解答・解説を表示
解答
① 2(または二) ② 80,000 ③ 3(または三) ④ 50 ⑤ 合意 ⑥ 家庭裁判所
解説
事業承継対策では、生前贈与による自社株式の移転を円滑に進めるため、納税猶予制度(税制上の支援)と遺留分に関する民法の特例(民法上の紛争防止措置)を併用します。遺言作成要件や特例の適用要件、手続き(合意や家庭裁判所の関与)を正確に把握することが重要です。
解き方
- 民法上の遺言方式(公正証書遺言の証人数)の規定を確認する。
- 事業承継税制の対象株式上限(発行済株式の3分の2から既保有分を控除)を計算し、受贈者要件(役員就任期間・議決権割合)を判定する。
- 遺留分特例の除外合意・固定合意の制度趣旨および経済産業大臣と家庭裁判所による手続要件を確認する。
答えの内訳
- ①:2
- 公正証書遺言を作成するにあたっては、2人以上の証人の立会いのもとで遺言者が公証人に遺言趣旨を口授する必要があります。
- ②:80,000
- 事業承継税制(一般措置)において納税猶予の対象となる議決権株式数の上限は、受贈者が既に保有している株式と合わせて発行済株式総数の3分の2までとなります。X社の発行済株式総数150,000株の3分の2は100,000株であり、長男Cさんは既に20,000株を所有しているため、限度数は「100,000株-20,000株=80,000株」となります。
- ③:3
- 事業承継税制における後継者(経営承継受贈者)の要件として、贈与時において会社の代表権を有し、かつ贈与時まで引き続き3年以上役員として従事していることが必要です。
- ④:50
- 後継者の同族関係者要件として、贈与時において受贈者および同族関係者の保有する議決権の合計が総議決権数の50%超(過半数)であり、かつ受贈者が同族関係者の中で最も多くの議決権を保有している必要があります。
- ⑤:合意
- 経営承継円滑化法に基づく遺留分に関する民法の特例において、固定合意を選択した場合、算入すべき株式の価額を「合意」の時における価額に固定することができます。
- ⑥:家庭裁判所
- 遺留分に関する民法の特例の適用を受けるためには、推定相続人全員の書面による合意後、1カ月以内に経済産業大臣の確認を受け、確認を受けた日から1カ月以内に家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
覚えるポイント
- 公正証書遺言の作成に必要な立会い証人は2人以上である。
- 事業承継税制の猶予対象上限は発行済株式等の2/3(既保有株式を控除した数)である。
- 遺留分の特例手続きは経済産業大臣の確認を受けたうえで家庭裁判所の許可が必要である。
間違えやすいところ
- 贈与税の納税猶予限度株数を計算する際、既に保有している株式数を控除し忘れて100,000株としてしまうミス。
- 役員就任期間の要件(3年以上)を、他の役員要件等と混同して5年や2年と誤答するミス。
- 家庭裁判所の許可を、地方裁判所や法務局等と誤認するミス。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(民法、租税特別措置法、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年9月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年9月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

