日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年1月 1級 学科(応用編)の概要
特別支給の老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 加給年金額
X社を平成27年2月20日付けで退職し再就職しないAさん(昭和26年10月11日生まれ)が、退職後に受給できる特別支給の老齢厚生年金の年金額を求めなさい。年金額は平成26年度価額(物価スライド特例措置)に基づき、50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げとし、計算過程の端数は円未満を四捨五入すること。 〈厚生年金保険の被保険者期間〉 ・昭和45年4月~平成15年3月:396月 ・平成15年4月~平成27年1月:142月 〈平均標準報酬月額等〉 ・平均標準報酬月額:390,000円 ・平均標準報酬額:500,000円 〈給付乗率(1,000分の)〉 ・総報酬制導入前:新乗率 7.125、旧乗率 7.5 ・総報酬制導入後:新乗率 5.481、旧乗率 5.769 ※配偶者加給年金額は386,400円(要件を満たす場合のみ)
解答・解説を表示
解答
1,564,800円
解説
昭和28年4月1日以前生まれの男性に支給される特別支給の老齢厚生年金は、生年月日に応じて支給開始年齢および受給できる部分(定額部分と報酬比例部分)が定められています。報酬比例部分のみの受給権者には加給年金額は加算されません。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和26年10月11日)から、特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分のみの支給であり、定額部分および加給年金額が0円であることを判定する。
- 与えられた算式・旧乗率・スライド率等に基づき、平成15年3月以前および4月以後の報酬比例部分をそれぞれ算定し合算する。
- 算出額に物価スライド特例の率を乗じ、円未満四捨五入および50円未満切捨て・50円以上100円未満切上げの端数処理を行って年金額を確定する。
覚えるポイント
- 昭和26年4月2日〜昭和28年4月1日生まれの男性は、特別支給の老齢厚生年金として報酬比例部分のみ(61歳から)受給する。
- 特別支給の老齢厚生年金において、加給年金額は定額部分が支給されている場合にのみ加算対象となる。
間違えやすいところ
- 厚生年金の被保険者期間が20年以上あることから、報酬比例部分のみの受給時にも加給年金額を加算してしまうミス。
- 退職日(2月20日)の属する月(2月)を被保険者期間に算入してしまうミス(退職日翌日の属する月前月までが被保険者期間となる)。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等および平成26年度年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢給付の請求手続・繰下げ・経過的加算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 繰下げ支給 / 経過的加算
Aさんが65歳以後に受給できる公的年金制度からの老齢給付に係る説明文中の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。年金額は平成26年度価額(物価スライド特例措置)に基づき、年金額の端数処理は50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ、計算過程の端数は円未満四捨五入とする。 Ⅰ 「Aさんが65歳に達した日に特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんの場合、65歳から支給される老齢基礎年金の額は、年額( ① )円です。なお、Aさんが66歳に達する前に老齢基礎年金および老齢厚生年金の裁定請求をしていなかった場合は、原則として繰下げ支給の申出をすることができます。繰下げ月数は、( ② )月を超えるときは( ② )月とされるため、増額率は最高で□□□%となります。Aさんが( ② )月繰り下げた場合の老齢基礎年金の額は、年額( ③ )円になります」 Ⅱ 「65歳から支給される老齢厚生年金の額については、報酬比例部分の額に一定の算式で計算した額が加算されます。この加算額を( ④ )額といいます」
解答・解説を表示
解答
① 772,800(円) ② 60(月) ③ 1,097,400(円) ④ 経過的加算
解説
65歳以降は原則として老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付済月数等に基づき計算され、受給を遅らせる繰下げ支給を選択すると1月あたり0.7%(最大60月で42%)増額されます。また、厚生年金の定額部分相当と老齢基礎年金の差額を埋める仕組みとして経過的加算が設けられています。
解き方
- Aさんの20歳から60歳までの被保険者月数を集計し、480月の満額を満たすことから平成26年度の老齢基礎年金満額を特定する。
- 繰下げの上限期間(65歳から70歳までの5年間=60月)および増額率(1月あたり0.7%)を把握し、上限増額時の年金額を端数処理ルールに従って計算する。
- 65歳到達時に定額部分に相当する額と老齢基礎年金相当額との差額を調整する加算金の名称(経過的加算)を導く。
答えの内訳
- ①:772,800
- Aさんは20歳から60歳までの40年間(480月)すべて厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)であり、未納期間等がないため満額の老齢基礎年金を受給できる。平成26年度価額(物価スライド特例)の満額は772,800円である。
- ②:60
- 老齢基礎年金の繰下げ支給は65歳到達月から最大70歳到達月までの間で行うことができ、繰下げ月数の上限は60月である。
- ③:1,097,400
- 繰下げによる増額率は「1月あたり0.7%」であるため、上限の60月繰り下げた場合の増額率は 0.7% × 60月 = 42.0% となる。増額後の年金額は 772,800円 × (1 + 0.42) = 1,097,376円 となり、50円未満切捨て・50円以上100円未満切上げの端数処理により 1,097,400円 となる。
- ④:経過的加算
- 特別支給の老齢厚生年金の定額部分から老齢基礎年金への移行期において生じる差額を補填するため、65歳以降の老齢厚生年金に上乗せされる加算を「経過的加算」という。
覚えるポイント
- 繰下げ支給の増額率は1月あたり0.7%、70歳まで繰り下げた場合の最大月数は60月(最大42%増額)。
- 特別支給の定額部分と老齢基礎年金との差額を埋める老齢厚生年金の加算は「経過的加算」と呼ばれる。
間違えやすいところ
- 繰下げ増額率の計算で繰下げ月数を年数で誤認したり、端数処理(50円以上100円未満切上げ)を失念して1,097,376円のまま解答してしまうミス。
- 経過的加算の空欄に対して、文脈が「( ④ )額といい」となっているため「経過的加算額」と重複して書いてしまうミス(空欄には「経過的加算」と入れる)。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等および平成26年度年金額基準
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の額・振替加算・繰上げ支給
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 振替加算 / 繰上げ受給
妻Bさん(昭和33年8月12日生まれ)が受給できる老齢給付について、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した文章の空欄①~④に入る適切な語句または数値を求めなさい。なお、年金額は平成26年度価額(物価スライド特例措置による金額:満額772,800円)に基づき、年金額の端数処理は50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ、計算過程の円未満は四捨五入とする。 Ⅰ 「Bさんの場合、原則として特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は61歳であり、老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給開始年齢は65歳です。Bさんが65歳以後に受給する老齢基礎年金には、( ① )が加算されます。また、Bさんが60歳に達するまで第1号被保険者として保険料を納付し、65歳から受給する場合の老齢基礎年金の年額は、( ② )円に( ① )の32,700円を加算した額となります」 Ⅱ 「老齢基礎年金を60歳0カ月で繰上げ請求した場合、減額率は( ③ )%となり、老齢基礎年金の年額は( ④ )円になります。なお、65歳以後の年額は( ④ )円に( ① )の32,700円を加算した額になります」
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解答
① 振替加算、② 706,800、③ 30、④ 494,800
解説
老齢基礎年金の額は原則として20歳以上60歳未満の保険料納付済月数等を基に計算され、加給年金の対象配偶者が65歳に達すると振替加算が上乗せされます。また、繰上げ受給では請求月数に応じた減額率(平成26年時点では月0.5%)が生涯適用されます。
解き方
- 妻Bさんの公的年金加入歴から、20歳前(昭和53年7月以前の16月)を除いた20歳以上60歳未満の保険料納付済期間を439月と算出する。
- 平成26年度満額(772,800円)に月数比率(439/480)を乗じ、端数処理を行って老齢基礎年金の本来額(706,800円)を計算する。
- 60歳0カ月での繰上げ月数(60月)に1月あたりの減額率0.5%を掛けて減額率(30%)を求め、減額後の年金額を計算・端数処理する。
答えの内訳
- ①:振替加算
- 配偶者加給年金の対象となっている配偶者が65歳に達すると加給年金は打ち切られ、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」として加算されます。
- ②:706,800
- 20歳前(昭和52年4月~昭和53年7月の16月)を除く20歳以上60歳未満の納付済月数は439月(51月+100月+149月+97月+42月)です。年金額は772,800円×439月/480月=706,790円となり、50円以上100円未満を切上げて706,800円となります。
- ③:30
- 繰上げ請求時の減額率は月当り0.5%です。60歳0カ月から65歳到達前月までの繰上げ月数は60月となるため、60月×0.5%=30%となります。
- ④:494,800
- 30%減額後の年金額は、706,790円×(1-0.30)=494,753円(または706,800円×0.7=494,760円)となり、50円以上100円未満を切上げて494,800円となります。
覚えるポイント
- 厚生年金保険の被保険者期間であっても、老齢基礎年金の計算の基礎となる納付済月数に算入できるのは「20歳以上60歳未満」の期間に限られます。
間違えやすいところ
- 20歳未満で就職して厚生年金に加入していた期間(本問では16カ月)をそのまま老齢基礎年金の納付済月数に含めて計算してしまうミスが頻発します。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(平成26年度価額水準)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の配当・譲渡損益の課税
金融資産運用 · 配当所得の課税 / 上場株式等の譲渡所得 / 配当控除 / 損益通算と繰越控除
上場株式の配当や譲渡損益の課税上の取扱いについて、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を求めなさい。 ⅰ)『上場株式の配当の課税上の取扱い』 「特定口座で株式を購入して配当を受け取った場合、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせ、配当金額の( ① )%相当額が源泉徴収等されます。総合課税を選択して確定申告をした場合は( ② )の適用を受けることができ、( ③ )課税を選択して確定申告をした場合は適用がありません」 ⅱ)『上場株式の譲渡益の課税上の取扱い』 「特定口座で株式を売却して譲渡益が生じた場合、譲渡益の( ① )%相当額が源泉徴収等されます。控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額については、確定申告をすることにより翌年以降( ④ )年間の繰越控除が可能です」
解答・解説を表示
解答
① 20.315、② 配当控除、③ 申告分離、④ 3(または3)
解説
上場株式等の配当および譲渡所得は、原則として20.315%の税率で源泉徴収・申告分離課税されます。配当所得は総合課税を選択することで配当控除を受けられる一方、申告分離課税を選択した場合は譲渡損失との損益通算が可能となり、控除しきれない損失は3年間の繰越控除が認められます。
解き方
- 上場株式等の配当所得および譲渡所得に係る源泉徴収税率(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%)を確認する。
- 配当所得の確定申告における課税方式(総合課税と申告分離課税)の特徴と、総合課税でのみ適用される二重課税調整制度(配当控除)を照合する。
- 譲渡損失の損益通算および翌年以降への繰越控除が認められる期間(3年間)を適用する。
答えの内訳
- ①:20.315
- 上場株式等の配当および譲渡益に対する税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)、住民税5%の合計で20.315%です。
- ②:配当控除
- 上場株式の配当所得について総合課税を選択して確定申告をした場合、法人税との二重課税を調整するための「配当控除」の適用を受けることができます。
- ③:申告分離
- 上場株式等の配当所得について申告分離課税を選択した場合、上場株式等の譲渡損失との損益通算は可能ですが、配当控除の適用は受けることができません。
- ④:3
- 上場株式等の譲渡損失の金額のうち、その年に控除しきれない金額については、確定申告を行うことで翌年以後3年間にわたり繰越控除を受けることができます。
覚えるポイント
- 上場株式の配当所得で申告分離課税を選択した場合や申告不要とした場合には、配当控除を適用することはできません。
間違えやすいところ
- 復興特別所得税を失念して税率を「20%」と答えてしまうミスや、損失の繰越控除期間を青色申告の純損失(9年または10年)等と混同してしまうミスに注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
X社の使用総資本事業利益率の計算
金融資産運用 · 使用総資本事業利益率 / 財務分析 / 収益性分析
《設例》の【財務データ】に基づいて、X社の使用総資本事業利益率を求めなさい。計算過程を示し、答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
12.28%
解説
使用総資本事業利益率は、企業が調達したすべての資本(総資本=総資産)を本業および財務活動に運用してどれだけ効率的に利益(事業利益)を稼ぎ出したかを示す総合的な収益性指標です。分子の事業利益は「営業利益+受取利息+受取配当金」(本業の利益に金融収益を加えたもの)で算出されます。
解き方
- 営業利益、受取利息、受取配当金を合算して、事業利益(417,000+6,600+8,500=432,100百万円)を計算します。
- 事業利益を資産の部合計(3,520,000百万円)で除し、100を掛けてパーセンテージを算出し、小数点以下第3位を四捨五入します。
覚えるポイント
- 事業利益=営業利益+受取利息+受取配当金(営業外収益全体ではなく金融収益のみを加算)
- 使用総資本事業利益率=事業利益÷総資本(総資産)×100
間違えやすいところ
- 事業利益の計算時に営業外費用(支払利息等)を差し引いてしまったり、営業外収益の全額を含めてしまうミス
- 端数処理で小数点第2位四捨五入と第3位四捨五入を取り違えるミス
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等および企業会計基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データおよび株式指標の比較・分析
金融資産運用 · 売上高当期純利益率 / 使用総資本回転率 / 財務レバレッジ / ROE / 配当性向 / 配当利回り
《設例》の【財務データ】【株式に関するデータ】に基づいて、MさんがAさんに対して説明した文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。
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解答
① 5.76、② 0.82、③ 2.78、④ Y、⑤ 配当性向、⑥ 1.68
解説
企業の総合的な収益性や株主還元を測るため、デュポンシステムによるROEの分解(売上高純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ)や、配当性向・配当利回りなどの投資指標が用いられます。連結自己資本は原則として純資産から新株予約権および少数株主持分(非支配株主持分)を除いて計算します。
解き方
- 各指標の計算式(売上高当期純利益率、総資本回転率、財務レバレッジ、ROE、配当性向、配当利回り)を確認します。
- 設例の数値からX社およびY社の該当値を計算し、指定された小数点以下第3位四捨五入を適用して解答を導き出します。
答えの内訳
- ①:5.76
- X社の売上高当期純利益率=当期純利益÷売上高×100=195,000百万円÷3,387,000百万円×100=5.7572…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して5.76%となります。
- ②:0.82
- Y社の使用総資本回転率=売上高÷総資産=741,000百万円÷904,000百万円=0.8196…回となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.82回となります。
- ③:2.78
- Y社の自己資本=純資産合計352,000百万円-少数株主持分27,100百万円=324,900百万円。財務レバレッジ=総資産÷自己資本=904,000百万円÷324,900百万円=2.7823…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して2.78倍となります。
- ④:Y
- ROE(自己資本利益率)は、X社が195,000÷1,753,900×100≒11.12%であるのに対し、Y社は43,000÷324,900×100≒13.23%であり、Y社のほうが上回っています。
- ⑤:配当性向
- 当期純利益に対する配当金総額の割合を示す株主還元指標は「配当性向」です(X社:48,600÷195,000×100=24.92%、Y社:10,000÷43,000×100≒23.26%)。
- ⑥:1.68
- X社株式の配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100=60円÷3,580円×100=1.6759…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.68%となります。
覚えるポイント
- ROE=売上高当期純利益率×総資本回転率×財務レバレッジ=当期純利益÷自己資本
- 配当利回り=1株当たり配当金÷株価×100
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100
間違えやすいところ
- 財務レバレッジの分母である自己資本に少数株主持分を含めてしまうミス
- 配当利回りと配当性向の計算式を混同してしまうミス
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等および企業会計基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の作成
タックスプランニング · 法人税別表四 / 減価償却超過額 / 役員給与の損金不算入 / 税引前当期純利益からの申告調整
製造業を営むX株式会社(資本金5,000万円、青色申告法人、同族会社かつ非上場会社、株主はすべて個人)の平成26年12月期(平成26年1月1日~平成26年12月31日)に係る確定申告資料に基づき、〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。 【前提資料の要約】 1. 減価償却費:全額損金経理18,600千円。備品の償却費2,750千円(限度額2,500千円)。建物の償却費6,400千円(限度額6,720千円、前期からの繰越償却超過額400千円)。 2. 役員給与:総額45,000千円。代表取締役Aさんに対し12月に支給した1,400千円(事前確定届出給与の届出なし)。また、Aさんに対して簿価13,000千円・時価12,000千円の土地を10,000千円で売却し、譲渡損3,000千円を計上。 3. 法人税等:預金利子から源泉徴収された所得税額18千円、復興特別所得税額378円、利子割額6千円、当期確定申告見積納税額4,640千円(合計4,664,378円)。未払法人税等から支出した前期確定申告分の事業税等は1,050千円。所得税額は法人税額から、復興特別所得税額は復興特別法人税額からそれぞれ控除を選択。
解答・解説を表示
解答
① 250,000 ② 3,400,000 ③ 320,000 ④ 1,050,000 ⑤ 18,378 ⑥ 12,400,000
解説
法人税法上の所得金額は、企業会計の当期純利益を出発点として、益金算入・損金不算入(加算項目)および益金不算入・損金算入(減算項目)の申告調整を別表四で行うことによって算出されます。
解き方
- 減価償却費について、資産ごとに償却超過額(加算)と償却不足額の範囲内での繰越超過額の認容(減算)を計算する。
- 役員給与について、届出のない役員賞与や役員への資産低額譲渡に伴う経済的利益の額を算出し、損金不算入額(加算)とする。
- 納税充当金(未払法人税等)からの事業税等の支出を損金算入(減算)し、法人税額控除等を受ける所得税額・復興特別所得税額を加算して別表四の所得金額を算出する。
答えの内訳
- ①:250,000
- 備品の減価償却費2,750千円から税法上の償却限度額2,500千円を控除した250千円(250,000円)が当期の減価償却の償却超過額(加算・留保)となります。
- ②:3,400,000
- 事前確定届出給与の届出をしていない賞与1,400千円と、土地の低額譲渡における時価12,000千円と譲渡対価10,000千円との差額(役員に対する経済的利益の供与額)2,000千円の合計3,400千円(3,400,000円)が役員給与の損金不算入額(加算・社外流出)となります。
- ③:320,000
- 建物の償却不足額(限度額6,720千円-償却額6,400千円=320千円)と前期からの繰越償却超過額400千円のうち、いずれか少ない方の金額である320千円(320,000円)が当期認容額(減算・留保)となります。
- ④:1,050,000
- 当期中に未払法人税等(納税充当金)から支出した前期確定申告分の事業税等の金額1,050千円(1,050,000円)を減算(留保)します。
- ⑤:18,378
- 法人税額から控除される所得税額18,000円と、復興特別法人税額から控除される復興特別所得税額378円の合計18,378円を加算(社外流出等)します。
- ⑥:12,400,000
- 当期利益5,455,622円に加算項目(利子割額6,000円+納税充当金4,640,000円+償却超過額250,000円+役員給与不算入3,400,000円)を加え、減算項目(償却認容額320,000円+事業税等1,050,000円)を差し引き、さらに税額控除加算18,378円を加算すると所得金額は12,400,000円となります。
覚えるポイント
- 役員に対する資産の低額譲渡では、時価と譲渡対価の差額が役員への賞与(損金不算入)として扱われます。
- 減価償却超過額の当期認容は、当期の償却限度超過ではなく償却不足額が生じた場合に前期繰越額の限度で行われます。
間違えやすいところ
- 土地の売却損3,000千円全体を否認するのではなく、時価と簿価の差額1,000千円は適正な譲渡損として損金となり、時価と売却価額の差2,000千円のみが役員給与の損金不算入となる点に注意が必要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税額および復興特別法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 復興特別法人税 / 所得税額控除
《問57》で求めた所得金額(12,400,000円)に基づき、X社(資本金5,000万円の中小法人)が当期の確定申告により納付すべき①法人税額および②復興特別法人税額をそれぞれ求めなさい。なお、計算過程を示し、答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
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解答
① 納付すべき法人税額:2,304,000円、② 納付すべき復興特別法人税額:231,800円
解説
資本金1億円以下の中小法人の法人税額は、年800万円以下の所得金額部分に軽減税率(15%)、年800万円超の部分に本則税率(25.5%)を適用して算出し、所得税額控除等を差し引いて求めます。復興特別法人税は控除前の基準法人税額の10%から復興特別所得税額を控除して計算します。
解き方
- 所得金額12,400,000円を年800万円以下の区分(税率15%)と年800万円超の区分(税率25.5%)に分割して法人税額を計算し、所得税額控除を差し引いて納付税額(①)を求める。
- 所得税額控除前の法人税額に10%を乗じて復興特別法人税額を算出し、復興特別所得税額控除を適用後、100円未満を切り捨てて納付税額(②)を求める。
答えの内訳
- ①:2,304,000円
- 年800万円以下の部分:8,000,000円×15%=1,200,000円。年800万円超の部分:(12,400,000円-8,000,000円)×25.5%=1,122,000円。算出法人税額=1,200,000円+1,122,000円=2,322,000円。所得税額控除18,000円を差し引くと、納付すべき法人税額は2,322,000円-18,000円=2,304,000円となります。
- ②:231,800円
- 基準法人税額(所得税額控除適用前の法人税額)2,322,000円×10%=232,200円。控除される復興特別所得税額378円を差し引くと、232,200円-378円=231,822円となり、100円未満を切り捨てて231,800円となります。
覚えるポイント
- 中小法人の軽減税率は年800万円以下の所得部分に対して15%(平成24年4月1日以後開始事業年度)が適用されます。
- 復興特別法人税の計算の基礎となる法人税額は、所得税額控除を差し引く前の金額です。
間違えやすいところ
- 復興特別法人税の計算において、所得税額控除後の納付法人税額に10%を乗じてしまう誤りが多いため、必ず控除前の基準法人税額を用いる点に注意します。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の特別税額控除(雇用促進税制・生産性向上設備投資促進税制)
タックスプランニング · 法人税 / 雇用促進税制 / 生産性向上設備投資促進税制 / 税額控除
中小企業者等に該当する法人における法人税の税額控除等(雇用促進税制および生産性向上設備投資促進税制)に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「平成26年度税制改正により,雇用促進税制が延長されました。仮に,中小企業者等に該当するX社が平成27年1月1日から開始する事業年度において,期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数と比較して( ① )人以上増加していること,基準雇用者割合が10%以上であることなどの要件を満たす場合,『基準雇用者数(当期末の雇用者数-前期末の雇用者数)×( ② )万円』の式により算出される金額を法人税額から控除することができます。ただし,当該税額控除は,X社のような中小企業者等の場合は法人税額の( ③ )%相当額が限度額となります」 Ⅱ「平成26年度税制改正により,生産性向上設備投資促進税制が創設されました。仮に,X社が平成27年1月1日から開始する事業年度において,生産性向上設備等に該当する一定の規模以上の『先端設備』または『生産ラインやオペレーションの改善に資する設備』を取得して国内における事業の用に供した場合は,( ④ )をすること,またはその取得価額の5%(建物および構築物は3%)相当額を法人税額から控除することができます。なお,『先端設備』は,最新モデルであり,かつ,旧モデルと比較して生産性指標が年平均( ⑤ )%以上向上していることが要件となります。なお,資本金5,000万円のX社の場合,取得した生産性向上設備等が中小企業投資促進税制の対象となる一定の設備に該当すれば,上乗せ措置として,その取得価額の( ⑥ )%相当額を法人税額から控除することができます。ただし,当該税額控除は法人税額の( ③ )%相当額が限度額となります」
解答・解説を表示
解答
① 2(人) ② 40(万円) ③ 20(%) ④ 即時償却 ⑤ 1(%) ⑥ 10(%)
解説
法人の設備投資や雇用意欲を促進するため、租税特別措置法に基づく特別償却や税額控除の優遇措置が設けられており、適用要件や控除上限額を正確に把握することが重要です。
解き方
- 雇用促進税制の中小企業者等向け要件(雇用者増加数2人以上、控除額1人あたり40万円、控除上限20%)を確認する。
- 生産性向上設備投資促進税制の償却方法(即時償却)、先端設備の要件(年平均1%以上の向上)、中小企業向け上乗せ控除率(10%)を確認する。
答えの内訳
- ①:2
- 雇用促進税制において、中小企業者等の適用要件は雇用者の増加数が2人以上(中小企業者等以外は5人以上)かつ基準雇用者割合が10%以上とされています。
- ②:40
- 平成26年度税制改正により、雇用促進税制の税額控除額は基準雇用者1人あたり20万円から40万円へと拡充されました。
- ③:20
- 雇用促進税制や生産性向上設備投資促進税制による税額控除の限度額は、その事業年度の法人税額の20%相当額です。
- ④:即時償却
- 生産性向上設備投資促進税制では、要件を満たす設備を取得した場合に「即時償却(特別償却)」または一定割合の税額控除のいずれかを選択適用できます。
- ⑤:1
- 先端設備(A類型)の要件として、最新モデルであることおよび旧モデルに比べて生産性向上(年平均1%以上)が求められます。
- ⑥:10
- 中小企業投資促進税制の上乗せ措置では、対象となる生産性向上設備等を取得した場合、即時償却または取得価額の10%(建物・構築物等は7%)の税額控除を選択できます。
覚えるポイント
- 雇用促進税制:中小企業は増加数2人以上・基準雇用者割合10%以上・1人あたり40万円控除・上限は法人税額の20%。
- 生産性向上設備投資促進税制:即時償却または税額控除、中小企業の上乗せ措置は10%税額控除。
間違えやすいところ
- 雇用促進税制の雇用者増加要件について、中小企業者等の「2人以上」と大企業等の「5人以上」を混同しないように注意が必要です。
- 即時償却と特別償却の用語表現について、本問の文脈では取得価額全額を償却する「即時償却」が適切です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(平成26年度税制改正後の租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限の計算
不動産 · 建築基準法 / 建ぺい率 / 容積率 / 2項道路 / セットバック
《設例》の甲土地に耐火建築物を建築する場合の次の①および②を求めなさい。 ① 建ぺい率の上限となる建築面積 ② 容積率の上限となる延べ面積 〈甲土地の概要〉 ・敷地面積:300㎡(間口20m、奥行15m) ・用途地域:第一種中高層住居専用地域 ・指定建ぺい率:60%、指定容積率:200% ・防火規制:準防火地域 ・接道:南側に幅員6mの市道(間口20m)、東側に幅員2mの道路(奥行15m、建築基準法第42条第2項道路、反対側はがけ地や川等ではない) ・甲土地は建ぺい率の緩和に関する角地の指定は受けていない ・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない
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解答
① 171㎡ ② 570㎡
解説
建築基準法において、幅員4m未満の2項道路に面する敷地は中心線から2mの後退(セットバック)が必要であり、後退部分は敷地面積から除外して建ぺい率および容積率を計算します。
解き方
- 東側の2項道路の後退距離を計算する:(4m-2m)÷2=1m。後退部分の面積は15m×1m=15㎡であり、有効敷地面積は300㎡-15㎡=285㎡となる。
- 建ぺい率の上限を計算する:準防火地域の耐火建築物に対する緩和(10%加算)は試験施行時(2014年10月)には導入されておらず、角地指定もないため、指定通りの60%を適用する。285㎡×60%=171㎡。
- 容積率の上限を計算する:広い方の道路幅員6mを用い、道路幅員制限は6m×0.4=240%。指定容積率200%<240%より、適用容積率は200%となる。285㎡×200%=570㎡。
答えの内訳
- ①:171㎡
- 東側道路は幅員2mの建築基準法第42条第2項道路であり、中心線から2m後退(セットバック)が必要です。反対側ががけ地等ではないため後退幅は(4m-2m)÷2=1mとなり、セットバック面積は15m×1m=15㎡です。有効敷地面積は300㎡-15㎡=285㎡となります。本試験時点(2014年10月現在)の法令では準防火地域内の耐火建築物に対する建ぺい率緩和はなく、角地指定もないため、適用建ぺい率は指定建ぺい率そのままの60%です。したがって、建築面積の上限は285㎡×60%=171㎡となります。
- ②:570㎡
- 前面道路の幅員は、2つの道路のうち広い方の6mを採用します。住居系用途地域における道路幅員制限の乗数は4/10(0.4)であるため、道路幅員制限による容積率は6m×0.4=240%となります。指定容積率200%と道路幅員制限240%のうち小さい方である200%が適用容積率となります。したがって、延べ面積の上限は有効敷地面積285㎡×200%=570㎡となります。
覚えるポイント
- 2項道路のセットバック部分は建ぺい率・容積率の計算対象となる敷地面積から除外される。
- 2つ以上の道路に面している場合、道路幅員制限には最も幅員の広い道路の幅員を採用する。
間違えやすいところ
- セットバック面積(15㎡)を除外せずに敷地面積300㎡のまま計算してしまうミスが多いです。
- 準防火地域内の耐火建築物に対する建ぺい率10%緩和は2019年施行の改正法であるため、試験基準日(2014年10月)時点では緩和を適用してはいけません。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の建築基準法
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
バリアフリー改修工事および居住用財産の買換えの特例
不動産 · 住宅特定改修特別税額控除 / 固定資産税の減額措置 / 特定の居住用財産の買換え特例
Aさんの検討事項に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ 「Aさんが平成29年12月31日までの間に一定の要件を満たすバリアフリー改修工事を自己資金で行った場合,『改修工事の標準的な費用の額×10%』の算式で計算した金額を所得税額から控除することができます。なお,改修工事の標準的な費用の額は,( ① )万円が限度となります。また,平成28年3月31日までの間に一定のバリアフリー改修工事を行った場合,固定資産税について,改修工事が完了した年の翌年度分に限り,住宅1戸当たり床面積100㎡までの部分に対する税額の( ② )相当額が減額されます」 Ⅱ 「Aさんが平成27年12月31日までに自宅とその敷地を譲渡し,戸建て住宅を購入した場合,所定の要件を満たすことを条件に『特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例』の適用を受けることができます。譲渡資産の所有期間が譲渡の年の1月1日において( ③ )年超であること,譲渡資産の譲渡価額が1億円以下であること等の要件を満たすことが必要です。また,買換資産の建物については,その床面積(居住用部分)が( ④ )㎡以上,土地についてはその面積が( ⑤ )㎡以下であること等の要件を満たすことが必要になります」
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解答
① 200 ② 3分の1(1/3) ③ 10 ④ 50 ⑤ 500
解説
住宅の改修工事に係る所得税・固定資産税の特例措置および居住用財産の買換え特例には、所有期間・床面積・敷地規模など所定の客観的要件が細かく規定されています。
解き方
- 住宅のバリアフリー改修工事に係る所得税額控除の工事費用限度額(200万円)と固定資産税の減額割合(3分の1)を確認する。
- 特定の居住用財産の買換え特例における譲渡資産の所有期間要件(10年超)、買換建物の床面積要件(50㎡以上)、敷地面積要件(500㎡以下)を当てはめる。
答えの内訳
- ①:200
- 自己資金で行うバリアフリー改修工事に係る投資型減税(住宅特定改修特別税額控除)において、対象となる標準的な費用の額の限度額は200万円(最大控除額20万円)です。
- ②:3分の1(または1/3)
- 一定のバリアフリー改修工事を行った場合、完了年の翌年度分の固定資産税について、住宅1戸当たり床面積100㎡までの部分に対応する税額の3分の1が減額されます。
- ③:10
- 特定の居住用財産の買換え特例を適用するためには、譲渡資産の所有期間が譲渡した年の1月1日現在で10年を超えていること(かつ居住期間が通算10年以上)が必要です。
- ④:50
- 特定の居住用財産の買換え特例において、買換資産となる建物の床面積(居住用部分)は50㎡以上であることが要件とされています。
- ⑤:500
- 買換資産となる土地等の面積については、敷地面積が500㎡以下であることが要件とされています。
覚えるポイント
- バリアフリー改修の投資型減税は限度額200万円・税額控除率10%(最大20万円)。
- 買換え特例の要件:譲渡資産は所有期間10年超かつ居住期間10年以上・譲渡価額1億円以下、買換資産は家屋床面積50㎡以上・土地面積500㎡以下。
間違えやすいところ
- 居住用財産の3,000万円特別控除や軽減税率の特例では床面積要件がないのに対し、買換え特例では床面積50㎡以上・敷地500㎡以下の要件があるため混同しないようにする。
- 所有期間の判定は「譲渡の年の1月1日現在」で行う点に注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の税法基準
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の買換え特例および3,000万円特別控除・軽減税率の税額計算
不動産 · 特定の居住用財産の買換えの特例 / 居住用財産の3,000万円特別控除 / 居住用財産の長期譲渡所得の軽減税率
以下の〈条件〉に基づき、次の①および②に答えなさい(100円未満切捨て)。 ① Aさんが「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額を求めなさい。 ② Aさんが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額を求めなさい。 〈条件〉 ・譲渡資産の譲渡価額:8,000万円 ・譲渡資産の所有期間:16年 ・譲渡資産の取得費:不明 ・譲渡費用:400万円 ・買換資産の取得価額:5,500万円
解答・解説を表示
解答
① 4,570,800円 ② 5,968,200円
解説
居住用財産を譲渡した際、買換え特例では譲渡価額が買換価額を上回る場合にその差額と対応する経費から譲渡所得を計算して通常の長期譲渡所得税率(20.315%)を乗じます。一方、3,000万円特別控除と軽減税率の特例を併用する場合は、譲渡益から3,000万円を控除した後の所得(6,000万円以下部分)に軽減税率(14.21%)を適用します。
解き方
- 取得費が不明のため、譲渡価額8,000万円の5%である400万円を概算取得費として算定し、譲渡費用400万円との合計800万円を必要経費とする。
- 【小問①】買換え特例における収入金額(差額2,500万円)と按分後の必要経費(250万円)から課税長期譲渡所得金額2,250万円を求め、一般の税率20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)を乗じて100円未満を切り捨てる。
- 【小問②】譲渡益7,200万円から特別控除3,000万円を差し引き課税長期譲渡所得金額4,200万円を求め、全額が6,000万円以下のため軽減税率14.21%(所得税・復興特別所得税10.21%、住民税4%)を乗じる。
答えの内訳
- ①:4,570,800円
- 譲渡価額8,000万円>買換価額5,500万円の差額課税となる。収入金額とみなされる額=8,000万円-5,500万円=2,500万円。概算取得費は8,000万円×5%=400万円、譲渡費用400万円、必要経費合計は800万円。課税対象に対応する必要経費=800万円×(2,500万円/8,000万円)=250万円。課税長期譲渡所得金額=2,500万円-250万円=2,250万円。所得税・復興特別所得税=2,250万円×15.315%=3,445,875円、住民税=2,250万円×5%=1,125,000円。合計税額=3,445,875円+1,125,000円=4,570,875円。100円未満を切り捨てて4,570,800円。
- ②:5,968,200円
- 概算取得費400万円、譲渡費用400万円。控除前譲渡益=8,000万円-(400万円+400万円)=7,200万円。3,000万円特別控除後の課税長期譲渡所得金額=7,200万円-3,000万円=4,200万円。課税長期譲渡所得金額4,200万円は6,000万円以下の部分であるため軽減税率が適用され、所得税・復興特別所得税率は10.21%、住民税率は4%。所得税・復興特別所得税=4,200万円×10.21%=4,288,200円、住民税=4,200万円×4%=1,680,000円。合計税額=4,288,200円+1,680,000円=5,968,200円。
覚えるポイント
- 買換え特例適用時の必要経費は「(取得費+譲渡費用)×(譲渡価額-買換価額)/譲渡価額」で按分計算する。
- 買換え特例と「3,000万円特別控除」「軽減税率の特例」は重複適用できない。
- 所有期間10年超の軽減税率(課税長期譲渡所得6,000万円以下部分):所得税10%(復興特別所得税0.21%)、住民税4%の合計14.21%。
間違えやすいところ
- 買換え特例の差額課税における必要経費の按分計算を忘れ、経費全額を差し引いてしまうミスに注意する。
- 買換え特例による課税所得に対して、軽減税率(14.21%)を誤って適用しないように注意する(買換え特例には軽減税率は適用不可)。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の税法基準
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の類似業種比準方式による株価の算定
相続・事業承継 · 非上場株式の評価 / 類似業種比準価額 / 事業承継
次の資料に基づき、類似業種比準方式によるX社株式の1株当たりの株価を、①1株(50円)当たりの年配当金額、②1株(50円)当たりの年利益金額、③1株当たりの類似業種比準価額の順に求めなさい。 〈X社の概要等〉 ・資本金等の額:5,000万円(発行済株式総数100,000株、すべて普通株式) ・規模区分:「中会社の中」、特定の評価会社に該当しない ・類似業種の比準要素(1株50円当たり):配当5.5円、利益27円、簿価純資産372円 ・X社の1株(50円)当たり簿価純資産価額:410円 ・類似業種の株価(1株50円当たり):課税時期の属する月302円、前月287円、前々月291円、前年平均257円 ・過去3年間の実績: 直前期:所得金額3,900万円、配当金額700万円(記念配当200万円含む) 直前々期:所得金額4,400万円(非経常的利益700万円含む)、配当金額500万円 直前々期の前期:所得金額3,500万円、配当金額500万円 ・端数処理:資本金50円当たり年配当金額は10銭未満切捨て、同利益金額は円未満切捨て、要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満切捨て、50円当たり類似業種比準価額は10銭未満切捨て、X社株式1株当たり類似業種比準価額は円未満切捨て。複数の計算方法がある場合は最も低くなる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 5.0円(5円) ② 38円 ③ 1,912円
解説
類似業種比準方式は、類似する上場企業の配当・利益・簿価純資産の3要素と評価会社の数値を比準して評価額を算定する手法です。配当や利益の算定において特別配当等の非経常的な要素は除外し、直前期末以前2年間の平均と直前期のいずれか低い方を選択できます。
解き方
- 1株当たり資本金等の額50円ベースの発行済株式数を求め、配当金額と利益金額から非経常的な額を除いて1株(50円)当たりの数値を計算する。
- 類似業種株価(最も低いもの)に各要素の比準割合(配当1:利益3:純資産1)と会社の規模に応じた斟酌割合(中会社は0.6)を乗じ、最後に実際の1株当たりの資本金等の額に応じて調整する。
答えの内訳
- ①:5.0円(5円)
- 資本金等の額50円当たりの株式数は5,000万円÷50円=1,000,000株。記念配当200万円を除いた直前期の普通配当は700万円-200万円=500万円、直前々期は500万円であり、2期平均・直前期いずれも500万円。500万円÷1,000,000株=5.0円となります。
- ②:38円
- 直前期の所得金額は3,900万円。直前々期は非経常的利益700万円を除き4,400万円-700万円=3,700万円。2期平均は(3,900万円+3,700万円)÷2=3,800万円。株価が低くなる2期平均を採用し、3,800万円÷1,000,000株=38円(直前期単年39円より有利)となります。
- ③:1,912円
- 類似業種の株価は最も低い前年平均257円を採用。比準割合は各要素を小数点第2位未満切り捨てて、配当5.0÷5.5=0.90、利益38÷27=1.40、純資産410÷372=1.10。(0.90+1.40×3+1.10)÷5=1.24。中会社の斟酌割合0.6を乗じて、50円当たり類似業種比準価額=257円×1.24×0.6=191.20円。1株当たり(500円当たり)は191.20円×(500円÷50円)=1,912円となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準価額の計算で記念配当や非経常的利益は除外する。中会社の斟酌割合は0.6(旧方式)。
間違えやすいところ
- 記念配当や固定資産売却益をそのまま含めて計算してしまうこと。
- 資本金等の額を50円とした場合の株数への換算(10倍調整)を忘れること。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中会社における取引相場のない株式の相続税評価額の算定
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 中会社の評価方式 / 類似業種比準価額と純資産価額の併用
長男Cさんが代表取締役社長AさんからX社株式の贈与を受けた場合における、贈与税の課税上のX社株式1株当たりの相続税評価額となる株価を求めなさい(計算過程を示し、円未満切捨て)。 〈条件〉 ・X社の規模区分:「中会社の中」 ・類似業種比準価額:1,912円(問63で算定した金額) ・X社の1株当たりの純資産価額:5,120円 ・評価額の算定にあたり複数の方法がある場合は、できるだけ低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
2,714円
解説
中会社の株式を原則的評価方式により評価する場合、類似業種比準価額と1株当たり純資産価額の併用方式、または1株当たり純資産価額単独による評価のいずれか有利な方(低い方)を選択できます。中会社のL(類似業種比準価額を適用する割合)は、中会社の大が0.90、中会社の中が0.75、中会社の小が0.60です。
解き方
- 会社の規模区分(中会社の中)から比準割合L(0.75)を決定する。
- 併用方式による算式「類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)」に各数値を代入して計算し、純資産価額単独と比較して低い方を選択する。
覚えるポイント
- 中会社の併用割合Lは、大が0.90、中が0.75、小が0.60であることを確実に記憶する。
間違えやすいところ
- 純資産価額単独の選択肢との比較を失念すること(本問では併用方式の方が低いが、比較検討の過程を把握することが重要)。
- 中会社の中のLの割合を0.60や0.90と取り違えてしまうこと。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の自己株式の取得に係る税務と相続人に対する売渡請求
相続・事業承継 · みなし配当 / 資本金等の額 / 売渡請求 / 会社法
非上場会社であるX社が兄Dさんから自己株式を買い取る場合の税務上の取扱い、および相続人に対する株式の売渡請求に関する以下の文章の空欄①〜③に当てはまる最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ 「X社がDさんから自己株式を買い取るためには、X社の株主総会の特別決議が必要となります。Dさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、譲渡価額のうち当該株式に対応する( ① )の額を超える部分の金額については、( ② )所得として総合課税の対象となります」 Ⅱ 「仮に、Dさんが死亡し,Dさんの相続人がX社株式を承継した場合、X社がDさんの相続人に対してX社株式の売渡請求を行う場合、X社は相続があったことを知った日から( ③ )年以内に相続人に対して売渡しを請求しなければなりません」
解答・解説を表示
解答
① 資本金等(の額) ② 配当 ③ 1(年)
解説
法人が自己株式を取得する際、株主への交付対価のうち資本の払戻しに相当する部分(資本金等の額に対応する部分)は譲渡所得の収入金額となり、利益の分配に相当する部分は「みなし配当」として配当所得を構成します。また、会社法において定款で定めた相続人等に対する株式の売渡請求は、権利関係の早期安定を図るため「相続等を知った日から1年以内」に行使する必要があります。
解き方
- 自己株式の取得対価の税務上の区分を整理し、資本金等の額を超える部分が「みなし配当」として配当所得(総合課税)に分類されることを確認する。
- 会社法における譲渡制限株式の相続人等に対する売渡請求の行使期限が、承継の事実を知った日から「1年以内」である規定を確認する。
答えの内訳
- ①:資本金等(または資本金等の額)
- 法人が株主から自己株式を取得した場合、株主に交付された対価の額のうち、その法人の「資本金等の額」のうちその株式に対応する部分の金額は株式の譲渡対価とされ、それを超える部分は利益の配当とみなされます。
- ②:配当
- 譲渡対価のうち発行法人の資本金等の額を超える部分は「みなし配当」となり、所得税法上は配当所得として総合課税の対象(非上場株式の場合)となります。
- ③:1(または1)
- 会社法第176条第1項の規定により、会社が相続その他の一般承継により株式を取得した者に対して売渡請求を行う場合、相続等のあったことを知った日から「1年」以内に請求を行わなければなりません。
覚えるポイント
- 非上場会社の自己株式買取対価は「資本金等の額対応部分=譲渡所得」「超過部分=配当所得(みなし配当)」に区分される。
- 相続人等に対する売渡請求(会社法174条・176条)の期限は、相続等を知った日から「1年以内」である。
間違えやすいところ
- 譲渡対価全額が株式等に係る譲渡所得になると誤解しやすいが、非上場会社への自己株式譲渡ではみなし配当課税が生じる点に注意する。
- 売渡請求の期限を「相続開始日から1年」と誤認しやすいが、正しくは「相続があったことを知った日から1年」である。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(会社法第176条、所得税法第25条・第24条・第33条)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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