日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2014年9月 1級 学科(応用編)の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 公的年金
Aさん(昭和39年6月12日生まれ)が60歳に達するまで国民年金の保険料を納付した場合について、65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(平成26年度価額・物価スライド特例措置基準)を計算しなさい。年金額の端数処理は50円未満切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げ、計算過程の端数処理は円未満四捨五入とすること。
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解答
① 778,500円 ② 282,900円
解説
老齢給付の額を算出する際は、基礎年金と厚生年金の加入月数を正確に整理することが重要です。20歳前の厚生年金加入期間は老齢厚生年金・経過的加算の計算対象には含まれますが、老齢基礎年金の納付済月数には含まれません。また、厚生年金の被保険者期間が240月未満の場合は配偶者加給年金の加算対象外となります。
解き方
- 加入履歴を整理し、20歳未満・20歳以上の厚生年金期間および第1号被保険者期間の月数を正しく区分して基礎年金の合算月数を計算する。
- 報酬比例部分の算式に平均標準報酬月額、給付乗率、物価スライド率、特例改定率を適用して算出する。
- 経過的加算額を計算し、報酬比例部分と合算したうえで端数処理規則(50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ)を適用する。
答えの内訳
- ①:778,500円
- 老齢基礎年金の満額は778,500円(平成26年度特例水準)です。Aさんの国民年金保険料納付済期間は、20歳以降の厚生年金被保険者期間124月(昭和59年6月~平成6年9月)と国民年金第1号被保険者期間356月(平成6年10月~平成26年8月の239月+平成26年9月~60歳到達前月の117月)の合計480月となり満額要件を満たします。したがって、778,500円×480月/480月=778,500円となります。
- ②:282,900円
- 老齢厚生年金は「報酬比例部分+経過的加算」で求めます(被保険者期間138月で240月未満のため加給年金は加算対象外)。報酬比例部分:260,000円×(7.125/1,000)×138月×1.031×0.978=257,783.55...円→257,784円。経過的加算額:1,676円×138月×0.978-778,500円×(124月/480月)=226,200円-201,113円=25,087円。合計額:257,784円+25,087円=282,871円となり、50円以上100円未満切上げ処理により282,900円となります。
覚えるポイント
- 平成26年度の物価スライド特例による老齢基礎年金満額は778,500円であること
- 経過的加算の第2項で控除する月数は20歳以上60歳未満の厚生年金期間であること
間違えやすいところ
- 昭和58年4月から昭和59年5月までの20歳未満の厚生年金被保険者期間(14月)を老齢基礎年金の月数に誤って算入してしまうこと
- 厚生年金の加入期間が240月未満であるにもかかわらず加給年金額を加算してしまうこと
出題の前提:2014年4月1日現在施行法令等および平成26年度年金額(物価スライド特例措置基準)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金基金の仕組みと給付
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 確定拠出年金 / 付加年金 / 繰上げ支給
国民年金基金に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「国民年金基金には、( ① )国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類があり、第1号被保険者は、該当するいずれか一方の国民年金基金に加入できます」 Ⅱ「国民年金基金への加入は口数制です。1口目は、保証期間のある終身年金A型、保証期間のない終身年金B型の2種類のなかからの選択となります。なお、終身年金A型の保証期間は( ② )年です。また、掛金の拠出限度額は月額( ③ )円となりますが、確定拠出年金の個人型年金に加入している場合は、その掛金と合わせて月額( ③ )円が上限となります」 Ⅲ「国民年金基金の老齢年金は、終身年金(A型、B型)の場合、65歳から支給が開始されます。ただし、老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合は、老齢基礎年金の支給開始時から、国民年金基金からも基金の加入員期間に係る( ④ )に相当する部分について、繰上げ請求時の年齢(月齢)に応じた額の年金が支給されます。なお、65歳になったときには、国民年金基金の年金額が改定されます」
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解答
① 地域型(または地域) ② 15 ③ 68,000 ④ 付加年金
解説
国民年金基金は、国民年金第1号被保険者の老後保障を手厚くするために設けられた公的性格をもつ任意加入の積立方式年金制度です。1口目は必ず終身年金から選択し、確定拠出年金の個人型年金との合算枠が設けられています。また、制度上は付加年金を代行・内包しているため、老齢基礎年金の繰上げ時には付加年金相当部分が連動して繰り上がります。
解き方
- 国民年金基金の組織形態(地域型と職能型)および1口目の給付形態(15年保証付終身A型、保証無終身B型)を確認する。
- 拠出限度額(月額68,000円、iDeCoとの合算枠)の数値を整理する。
- 老齢基礎年金繰上げ受給時に連動して支給される部分が付加年金相当部分であることを導き出す。
答えの内訳
- ①:地域型(または地域)
- 国民年金基金には、各都道府県に1つ設立される「地域型国民年金基金」と同種の事業・業務に従事する者を対象とする「職能型国民年金基金」の2種類があります。
- ②:15
- 国民年金基金の1口目で選択できる終身年金のうち、A型は15年の保証期間が付いた終身年金であり、B型は保証期間のない終身年金です。
- ③:68,000
- 国民年金基金の掛金上限額は月額68,000円であり、確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)と併用する場合も両者の合計額として月額68,000円が限度となります。
- ④:付加年金
- 国民年金基金の給付は付加年金相当部分と独自の上乗せ部分で構成されており、老齢基礎年金を繰り上げた場合は、基金からも加入期間に応じた付加年金相当額が繰上げ受給の対象となります。
覚えるポイント
- 国民年金基金とiDeCo(第1号被保険者)の拠出限度額は合算で月額68,000円
- 国民年金基金に加入している期間は国民年金の付加保険料を別途納付することはできない
間違えやすいところ
- 終身年金A型の保証期間(15年)を10年など他の私的年金の保証期間と混同すること
- 老齢基礎年金の繰上げ受給時に基金から支給される対象を「基金独自年金」や「基礎年金」と取り違えてしまうこと
出題の前提:2014年4月1日現在施行法令等(国民年金法・国民年金基金令)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済・付加年金・老齢年金の繰下げ支給
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 付加年金 / 老齢年金の繰下げ支給
FPのMさんがAさんに対して説明した次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済制度は,個人事業主または会社等の役員が,廃業や退職をした場合に必要となる資金を準備しておくための共済制度です。毎月の掛金は,1,000円から( ① )円の範囲内で,500円刻みで選択でき,その全額が所得控除の対象となります。共済金の受取方法には,『一括受取り』『分割受取り』『一括受取り・分割受取りの併用』がありますが,『分割受取り』を希望するには,共済金の額が300万円以上,請求事由が生じた時点の年齢が( ② )歳以上という要件を満たす必要があります。なお,共済契約者が受け取る共済金は,税法上,『一括受取り』のときは退職所得となり,『分割受取り』のときは雑所得として扱われます」 Ⅱ 「Aさんは,老後の年金収入を増やすために,国民年金の付加保険料を納付することができます。付加保険料は月額□□□円で,国民年金の定額保険料に上乗せして納付します。仮に,Aさんが付加保険料を117月納付し,65歳から老齢基礎年金を受け取る場合,当該老齢基礎年金の額に( ③ )円が上乗せされます」 Ⅲ 「仮に,Aさんが66歳に達する前に老齢基礎年金および老齢厚生年金の請求をしなかった場合,Aさんは66歳に達した日以後の希望するときから,老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。繰下げによる増額率は,『□□□%×繰下げ月数』となりますが,繰下げ月数が□□□月を超えるときは,当該月数は□□□月とされるため,繰下げによる増額率は最高で( ④ )%となります」
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解答
① 70,000 ② 60 ③ 23,400 ④ 42
解説
個人事業主の老後資金準備では、全額所得控除となる小規模企業共済や、年金額を増額させる付加保険料・年金の繰下げ受給制度などの仕組みと要件を正確に理解しておくことが重要です。
解き方
- 小規模企業共済制度の掛金限度額(月額1,000円〜70,000円)および分割受取りの要件(共済金額300万円以上かつ60歳以上)を確認します。
- 付加年金の受給額算定式「200円×納付月数」に117月を適用して計算します。
- 繰下げ増額率「月0.7%」と当時の上限月数「60月(70歳到達まで)」から最大増額率「42%」を算出します。
答えの内訳
- ①:70,000
- 小規模企業共済の毎月の掛金は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で自由に選択できます。
- ②:60
- 小規模企業共済の共済金を分割受取りとするには、請求事由が生じた時点で満60歳以上であり、かつ共済金の額が300万円以上である必要があります。
- ③:23,400
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。納付済月数が117月の場合、200円×117月=23,400円となります。
- ④:42
- 老齢年金の繰下げ支給による増額率は「0.7%×繰下げ月数」で算出されます。70歳まで繰り下げた場合の最大月数は60月となるため、上限となる増額率は0.7%×60月=42%です。
覚えるポイント
- 小規模企業共済の掛金上限は月額7万円(小規模企業共済等掛金控除)。
- 付加年金の年金額計算式は「200円×納付月数」(付加保険料は月額400円のため2年受給で元が取れる)。
- 繰下げ増額率は月あたり0.7%(最大60月繰下げで42%増額)。
間違えやすいところ
- 国民年金基金と付加年金は重複して加入・納付できない点に注意が必要です。
- 付加年金の受給額計算で、納付保険料である400円ではなく「200円」を乗じる点を取り違えやすいです。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
限界利益率および連結ROEの計算
金融資産運用 · 限界利益率 / 自己資本利益率(ROE) / 財務分析
設例の【財務データ】に基づいて,次の①,②を求めなさい。〔計算過程〕を示し,〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 ① 変動費が売上原価に等しいと仮定した場合のX社の限界利益率(貢献利益率) ② 有価証券報告書で開示されるY社の自己資本利益率(ROE)
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解答
① 25.41% ② 7.43%
解説
限界利益率は売上高に対する限界利益(売上高-変動費)の割合を示します。また、連結財務諸表における自己資本は純資産合計から新株予約権および少数株主持分を控除した金額(株主資本+その他の包括利益累計額)を用いてROEを算出します。
解き方
- X社について、変動費=売上原価の前提から、限界利益=売上総利益(229,700百万円)とし、売上高(904,100百万円)で除して限界利益率を算出して端数処理します。
- Y社について、純資産の部合計(140,000百万円)から少数株主持分(36,400百万円)を差し引いて自己資本(103,600百万円)を求めます。
- Y社の当期純利益(7,700百万円)を自己資本で除してROEを算出し、小数点以下第3位を四捨五入します。
答えの内訳
- ①:25.41%
- 変動費が売上原価に等しいと仮定する場合、限界利益は「売上高-売上原価=売上総利益」となります。X社の売上総利益は229,700百万円、売上高は904,100百万円であるため、限界利益率=(229,700÷904,100)×100=25.4064...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して25.41%となります。
- ②:7.43%
- 有価証券報告書等で開示される連結ROEにおける自己資本は、純資産の部合計から少数株主持分を控除して求めます。Y社の期末自己資本=140,000百万円-36,400百万円=103,600百万円です。当期純利益は7,700百万円であるため、ROE=(7,700÷103,600)×100=7.4324...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して7.43%となります。
覚えるポイント
- 限界利益=売上高-変動費(本問の前提では売上総利益と同額)。
- 連結ベースの自己資本=純資産合計-少数株主持分(新株予約権がある場合はそれも控除)。
間違えやすいところ
- ROEの計算で、分母に少数株主持分を含めた「純資産合計(140,000百万円)」をそのまま使ってしまう誤りに注意が必要です。
- 四捨五入の指定が「小数点以下第3位を四捨五入(=第2位まで表示)」であるため、桁数の指定を正しく確認する必要があります。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当性向・配当利回りおよび内部成長率の計算
金融資産運用 · 配当性向 / 配当利回り / 内部成長率 / 財務分析指標
設例の【財務データ】【株価データ】に基づいて、MさんがAさんに説明した次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 Ⅰ 「株主還元率としての配当性向の比較では、X社の約( ① )%に対してY社は約□□□%となります。また、配当利回りは、X社株式が約( ② )%に対してY社は約□□□%となります。いずれもY社がX社を上回る結果となっています」 Ⅱ 「『ROE×(1-配当性向)』の算式で算出される( ③ )は、企業の内部留保と利益率をベースに、今後の成長率を予測する際に用いる指標で、X社がY社を上回る結果となっています」
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解答
① 27.43 ② 1.54 ③ 内部成長率(またはサステナブル成長率)
解説
配当性向は利益のうちどの程度を配当に回したかを示す還元指標、配当利回りは株価に対する配当金の利回りです。また、当期純利益のうち社内に留保された割合(内部留保率=1-配当性向)に自己資本利益率(ROE)を乗じることで、内部留保の再投資によって達成可能な利益の伸び率(内部成長率)が算出されます。
解き方
- X社の財務データから配当金総額(4,800百万円)と当期純利益(17,500百万円)を抽出し、4,800÷17,500×100を計算して四捨五入する。
- X社の株価データから1株当たり配当金(10円)と株価(650円)を抽出し、10÷650×100を計算して四捨五入する。
- 「ROE×(1-配当性向)」という算式から、内部留保とROEに基づく成長予測指標の名称を特定する。
答えの内訳
- ①:27.43
- 配当性向は「配当金総額÷当期純利益×100」で求められます。X社の配当金総額は4,800百万円、当期純利益は17,500百万円であるため、4,800÷17,500×100≒27.428…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して27.43%となります。
- ②:1.54
- 配当利回りは「1株当たり配当金÷株価×100」で求められます。X社の1株当たり配当金は10円、株価は650円であるため、10÷650×100≒1.538…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.54%となります。
- ③:内部成長率(またはサステナブル成長率)
- 「ROE×(1-配当性向)」または「ROE×内部留保率」で算出される指標は、外部からの資金調達を行わずに企業が維持できる成長度合いを示す「内部成長率」(サステナブル成長率)です。
覚えるポイント
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100(または1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益×100)
- 内部成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)
間違えやすいところ
- 配当利回りの計算において、分母を株価ではなく1株当たり純資産や純利益と混同しないように注意する。
- 端数処理(小数点以下第3位を四捨五入)の指示を見落として第1位や第2位で切り捨ててしまわないようにする。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等および出題資料のデータに基づく。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISAの制度概要(非課税限度額・期間・枠の再利用・受取方式)
金融資産運用 · NISA / 非課税限度額 / 非課税期間 / 株式数比例配分方式
MさんがAさんに説明した「非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置(NISA)」の概要に関する文章について、空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「NISAは、平成26年1月にスタートした上場株式や公募株式投資信託などの配当や譲渡益等が非課税となる制度です。平成26年中にNISA口座内で上場株式や公募株式投資信託等を購入する場合、その購入額は非課税枠である( ① )万円が限度になります。また、( ② )年間の非課税期間終了後、NISA口座内の上場株式や公募株式投資信託などは、特定口座や一般口座への移管のほか、( ① )万円を上限に翌年の非課税枠を利用し、非課税保有を継続することもできます。 仮に、Aさんが平成26年中にNISA口座で株価650円のX社株式を1,000株購入し、同年中に株価750円で全株を売却した後の平成26年中の非課税枠の残額は( ③ )万円となります。また、NISA口座で受け入れたX社株式からの配当金を非課税で受け取る場合、配当金の受取方法を『( ④ )方式』にする必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 100 ② 5 ③ 35 ④ 株式数比例配分
解説
平成26年(2014年)に開始されたNISAは、毎年100万円(後に120万円)を上限に上場株式等を購入でき、最長5年間非課税となる制度です。非課税投資枠は一度購入すると途中売却しても枠が復活しない点、また上場株式の配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」の指定が必須である点に注意が必要です。
解き方
- 平成26年当時のNISAの制度要件(年間投資枠100万円、非課税期間5年)を確認し、①と②を特定する。
- 買付代金(650円×1,000株=65万円)を計算し、途中売却しても非課税枠が復活しない原則に基づき「100万円-65万円=35万円」を算出する。
- 上場株式の配当金非課税に必要な受取方式が「株式数比例配分方式」であることを確認し、④を特定する。
答えの内訳
- ①:100
- 導入当初(平成26年/2014年当時)のNISA口座の年間投資上限額(非課税投資枠)は、年間100万円でした(※平成28年より120万円に拡充)。
- ②:5
- NISA口座での株式・公募株式投信等の非課税保有期間は、最長で5年間と定められています。
- ③:35
- NISAの非課税投資枠は簿価ベース(買付代金基準)で管理され、売却しても非課税枠の再利用・復活はできません。650円×1,000株=65万円の買付を行ったため、売却後であっても当年中に利用できる残り非課税枠は「100万円-65万円=35万円」となります。
- ④:株式数比例配分
- NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」を事前に選択しておく必要があります。
覚えるポイント
- NISAの枠は簿価(購入金額)ベースで管理され、売却しても枠の再利用や復活はできない。
- 上場株式の配当金をNISAで非課税にするには「株式数比例配分方式」を選択する必要がある。
間違えやすいところ
- 売却したことで枠が元に戻る(100万円に戻る)と誤認して計算しないように注意する。
- 配当金受取方式について「登録配当金受領口座方式」や「従来方式(配当金領収証方式)」と取り違えないようにする。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の作成
タックスプランニング · 別表四 / 減価償却超過額 / 交際費等の損金不算入 / 納税充当金 / 所得税額控除
製造業を営むX株式会社(資本金3,000万円、青色申告法人、中小企業者等)の平成26年6月期(平成25年7月1日~平成26年6月30日)に係る資料に基づき、〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈資料〉 1. 交際費等:当期支出額8,550千円(全額損金経理)。このうち1人当たり5,000円以下の飲食費(要件充足)400千円が含まれる。その他は税法上の交際費等に該当。 2. 減価償却:損金経理額20,600千円。備品の減価償却費3,470千円(限度額3,150千円)。建物の減価償却費5,600千円(限度額5,790千円)、前期繰越償却超過額300千円あり。 3. 税金等:損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」は利子源泉所得税額15千円・復興特別所得税額315円・利子割額5千円、見積納税額2,640千円の計2,660,315円。貸借対照表の未払法人税等期末残高は2,640千円。当期中に未払法人税等から支出した前期確定申告分の事業税等は510千円。所得税額・復興特別所得税額は法人税額・復興特別法人税額から控除を選択。
解答・解説を表示
解答
① 320,000(円) ② 150,000(円) ③ 190,000(円) ④ 510,000(円) ⑤ 15,315(円) ⑥ 9,200,000(円)
解説
法人税の申告書別表四は、企業会計上の当期純利益から税法上の益金・損金の差異を加算・減算して所得金額を算出する明細書です。各勘定科目の税務上の取扱いを正確に反映する必要があります。
解き方
- 減価償却費について資産ごとに超過額(加算)および償却不足に伴う前期超過額の認容額(減算)を算定する。
- 交際費等について1人当たり5,000円以下の飲食費を除いたうえで、定額控除限度額(800万円)との差額を不算入額として算出する。
- 納税充当金(未払法人税等)からの事業税等の納付額、および税額控除対象となる源泉所得税・復興特別所得税額を整理し、当期純利益から最終的な所得金額まで集計する。
答えの内訳
- ①:320,000
- 備品の減価償却費3,470,000円から償却限度額3,150,000円を差し引いた減価償却超過額320,000円を加算(留保)します。
- ②:150,000
- 支出交際費8,550,000円から1人当たり5,000円以下の飲食費400,000円を除いた税法上の交際費等の額は8,150,000円です。中小企業者等の定額控除限度額8,000,000円を控除した超過額150,000円が損金不算入額として加算(社外流出)されます。
- ③:190,000
- 建物の償却不足額(限度額5,790,000円-会社計上額5,600,000円=190,000円)を限度として、前期繰越償却超過額300,000円のうち190,000円が当期認容額として減算(留保)されます。
- ④:510,000
- 前期確定申告分の事業税等について、当期中に未払法人税等(納税充当金)を取り崩して納付した金額510,000円を減算(留保)します。
- ⑤:15,315
- 税額控除を受ける預金利子の源泉所得税額15,000円および復興特別所得税額315円の合計額15,315円を加算(社外流出)します。
- ⑥:9,200,000
- 当期利益6,769,685円+加算小計3,115,000円(利子割5,000円+充当金2,640,000円+①320,000円+②150,000円)-減算小計700,000円(③190,000円+④510,000円)=仮計9,184,685円。これに⑤15,315円を加算して所得金額は9,200,000円となります。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費等の定額控除限度額は年800万円であり、超えた部分が損金不算入となる。
- 減価償却超過額は資産ごとに計算し、償却不足額が生じた資産についてのみ過去の超過額を限度として認容できる。
間違えやすいところ
- 交際費等から除外される「1人当たり5,000円以下の飲食費」を控除し忘れて計算してしまう誤り。
- 建物の償却不足額19万円を超えて前期繰越超過額30万円全額を認容減算してしまうミス。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定申告による納付すべき法人税額および復興特別法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人税率 / 復興特別法人税 / 所得税額控除
前問《問57》の計算結果に基づき、X社が当期の確定申告により納付すべき①法人税額および②復興特別法人税額をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
① 1,491,000円 ② 150,200円
解説
中小法人の法人税額は、課税所得800万円以下の部分に軽減税率(15%)、800万円超の部分に本則税率(25.5%)を適用して税額を算出した後、所得税額控除を差し引いて納付税額を求めます。復興特別法人税は控除前の基準法人税額に10%を乗じ、復興特別所得税額を控除して100円未満を切り捨てます。
解き方
- 問57で算出した所得金額(9,200,000円)を800万円以下と800万円超に区分し、それぞれ15%・25.5%を乗じて法人税額を計算する。
- 算出法人税額から控除対象の源泉所得税額(15,000円)を差し引き、納付すべき法人税額を求める。
- 所得税控除前の法人税額(基準法人税額)に復興特別法人税率10%を乗じ、復興特別所得税額(315円)を控除後、100円未満を切り捨てて復興特別法人税額を求める。
答えの内訳
- ①:1,491,000円
- 課税所得金額9,200,000円のうち、年800万円以下の部分は8,000,000円×15%=1,200,000円、年800万円超の部分は(9,200,000円-8,000,000円)×25.5%=306,000円となり、法人税額は合計1,506,000円。ここから源泉所得税額15,000円を控除すると、納付すべき法人税額は1,491,000円となります。
- ②:150,200円
- 基準法人税額(所得税額控除前の法人税額)1,506,000円×10%=150,600円。ここから復興特別所得税額315円を控除すると150,285円となり、100円未満を切り捨てて150,200円となります。
覚えるポイント
- 中小法人の軽減税率は所得800万円以下に適用される。
- 復興特別法人税の課税標準となる基準法人税額は「所得税額控除前」の法人税額である点に注意する。
間違えやすいところ
- 復興特別法人税の計算において、所得税額控除後の法人税額に10%を乗じてしまう誤り。
- 最終的な納付税額における100円未満切捨て処理を忘れるミス。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地方法人税・所得拡大促進税制・生産性向上設備投資促進税制
タックスプランニング · 法人税 / 所得拡大促進税制 / 生産性向上設備投資促進税制 / 地方法人税
次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、空欄⑥については該当する語句のうち1つを記入すればよい。 Ⅰ 「平成26年10月1日以後に開始する事業年度から,法人住民税の法人税割の税率の引下げにあわせて,( ① )が創設されます。( ① )の税額は,各課税事業年度の基準法人税額(課税標準)に4.4%の税率を乗じて計算した金額となります」 Ⅱ 「平成26年度税制改正により,所得拡大促進税制が拡充・延長されました。仮に,X社が平成26年7月1日から開始する事業年度において,雇用者給与等支給額を基準事業年度と比較して( ② )%以上増加させるなどの要件を満たし,本制度の適用を初めて受けた場合,支給増加額の10%相当額を法人税額から控除できます。ただし,当該税額控除は,X社のような中小企業者等の場合は法人税額の20%相当額が限度額となります。なお,平成27年7月1日から開始する事業年度においては,雇用者給与等支給額を基準事業年度と比較して( ③ )%以上増加させないと,本制度の適用を受けることができません」 Ⅲ 「平成26年度税制改正により,生産性向上設備投資促進税制が創設されました。仮に,X社が平成26年7月1日から開始する事業年度において,生産性向上設備等に該当する一定の規模以上の『先端設備』または『生産ラインやオペレーションの改善に資する設備』を取得した場合,即時償却またはその取得価額の( ④ )%(建物および構築物は3%)相当額を法人税額から控除することができます。加えて,資本金3,000万円以下の法人の場合,取得した生産性向上設備等が中小企業投資促進税制の対象となる一定の設備に該当すれば,上乗せ措置として,その取得価額の10%相当額を法人税額から控除することができます。ただし,当該税額控除は法人税額の20%相当額が限度額となります。 なお,『生産ラインやオペレーションの改善に資する設備』は,投資計画における投資利益率が( ⑤ )%(中小企業者等は5%)以上であることが要件となります。また,当該設備に係る本制度の適用を受けるためには,投資計画について,( ⑥ )等の事前確認を受けたうえで,経済産業局へ申請する必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 地方法人税 ② 2 ③ 3 ④ 5 ⑤ 15 ⑥ 公認会計士(または税理士)
解説
法人の税負担軽減や賃上げ・投資促進を目的とした税制優遇措置(所得拡大促進税制や生産性向上設備投資促進税制)および地方財政格差是正のための地方法人税の導入について、各要件と控除率を正確に整理・把握することが重要です。
解き方
- 地方法人税が法人住民税法人税割の引き下げに伴い新設された国税であることを確認する。
- 所得拡大促進税制の事業年度ごとの給与増加率要件(平成26年度開始事業年度は2%、平成27年度開始事業年度は3%)を当てはめる。
- 生産性向上設備投資促進税制の特別控除率(5%)、B類型の利益率要件(原則15%)、および事前確認を行う専門家(公認会計士または税理士)を確認する。
答えの内訳
- ①:地方法人税
- 地域間の税収偏在を是正するため、平成26年10月1日以後開始事業年度より法人住民税法人税割の一部を国税化して創設された税目は「地方法人税」です。基準法人税額に4.4%を乗じて計算されます。
- ②:2
- 平成26年度税制改正後の所得拡大促進税制において、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に開始する事業年度における給与等支給総額の増加要件は、基準事業年度比で「2%」以上です。
- ③:3
- 平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度における所得拡大促進税制の給与等支給総額の増加要件は、基準事業年度比で「3%」以上です。
- ④:5
- 生産性向上設備投資促進税制では、一定規模以上の先端設備等の取得等をした場合、特別償却(即時償却)または取得価額の「5%」(建物・構築物は3%)の税額控除が認められます。
- ⑤:15
- 「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)」の投資利益率要件は、年平均で「15%」以上(中小企業者等の場合は5%以上)と定められています。
- ⑥:公認会計士(または税理士)
- B類型の適用にあたっては、投資計画における投資利益率の達成見込みについて、「公認会計士」または「税理士」による事前確認書を添付して経済産業局へ申請する必要があります。
覚えるポイント
- 地方法人税の税率は導入当初4.4%(基準法人税額に対して課税)。
- 所得拡大促進税制の給与等増加要件の推移(26年度2%、27年度3%、28・29年度5%)。
- 生産性向上設備投資促進税制B類型では公認会計士または税理士の事前確認が必要。
間違えやすいところ
- 地方法人税を地方税と混同しやすいが、国税として徴収されて地方交付税の財源とされる。
- 所得拡大促進税制の事業年度別の増加割合(2%と3%)を取り違えやすい。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法、地方法人税法等)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建ぺい率・容積率(建築面積・延べ面積の上限計算)
不動産 · 建築基準法 / 建ぺい率 / 容積率 / 2以上の前面道路 / 耐火建築物
設例の甲土地および乙土地に関して、次の①~③に答えなさい。それぞれ〔計算過程〕を示し、〈答〉は㎡表示とすること。 ① 甲土地に耐火建築物を建築する場合、建ぺい率の上限となる建築面積はいくらか。 ② 甲土地に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積はいくらか。 ③ 甲土地と乙土地とを一体とした土地に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積はいくらか。 【土地概要】 ・甲土地:間口20m×奥行16m、商業地域、指定建ぺい率80%、指定容積率400%、防火地域、北側が幅員20m県道に接道。 ・乙土地:間口20m×奥行22m、第一種住居地域、指定建ぺい率60%、指定容積率300%、準防火地域、南側が幅員6m市道に接道。 ・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
解答・解説を表示
解答
① 320㎡ ② 1,280㎡ ③ 2,564㎡
解説
建築基準法における建ぺい率は防火地域内の耐火建築物に対する緩和(指定80%地域なら適用除外)を確認し、容積率は複数道路に接道する場合の建築基準法施行令第131条の2のルール(2倍かつ35m以内区域の最大幅員適用)に従って地域ごとに計算・合算します。
解き方
- 甲土地の敷地面積(320㎡)を求め、防火地域×商業地域(指定建ぺい率80%)による建ぺい率制限撤廃(100%)から建築面積上限を算出する。
- 甲土地の前面道路幅員(20m≧12m)を確認し、指定容積率400%を乗じて延べ面積上限を算出する。
- 甲乙一体敷地(奥行38m)について、最大幅員道路(20m)からの距離35mを境界として区域区分を行う。
- 35m以内の甲土地(320㎡・容積率400%)、35m以内の乙土地(380㎡・容積率300%)、35m超の乙土地(60㎡・容積率240%)の延べ面積をそれぞれ計算して合算する。
答えの内訳
- ①:320㎡
- 甲土地の面積:20m × 16m = 320㎡。商業地域で指定建ぺい率が80%であり、かつ防火地域内にある耐火建築物であるため、建築基準法第53条第6項第1号の規定により建ぺい率の制限が適用されず(100%)、建ぺい率の上限となる建築面積は 320㎡ × 100% = 320㎡ となります。
- ②:1,280㎡
- 甲土地の前面道路(県道)の幅員は20mであり、12m以上であるため前面道路幅員による容積率制限は適用されません。したがって、指定容積率400%がそのまま基準容積率となります。容積率の上限となる延べ面積は 320㎡ × 400% = 1,280㎡ となります。
- ③:2,564㎡
- 甲土地と乙土地を一体とした敷地(間口20m×奥行38m=760㎡)は2以上の前面道路を有します。最大幅員道路(県道20m)の境界線から「道路幅員の2倍かつ35m以内」の区域(本問では35mまで)は、最大幅員20mが前面道路とみなされます。 ・県道から35m以内の区域(甲土地320㎡+乙土地380㎡=700㎡):幅員20m≧12mのため道路幅員制限なし。 甲土地部分(320㎡):320㎡ × 400% = 1,280㎡ 乙土地・35m以内部分(20m×19m=380㎡):第一種住居地域で指定容積率300%が適用されるため、380㎡ × 300% = 1,140㎡ ・県道から35mを超える区域(乙土地の残り:20m×3m=60㎡):市道6mが前面道路となり、道路中心線から10m以内に入るため、住居系地域の法定乗数4/10を乗じた「6m × 4/10 = 240%」と指定容積率300%の小さい方(240%)が適用されます。 乙土地・35m超部分(60㎡):60㎡ × 240% = 144㎡ 以上より、延べ面積の上限合計は 1,280㎡ + 1,140㎡ + 144㎡ = 2,564㎡ となります。
覚えるポイント
- 建ぺい率80%地域かつ防火地域内の耐火建築物は建ぺい率制限が適用されない(実質100%)。
- 前面道路幅員が12m以上の場合は、道路幅員による容積率制限は適用されない。
- 2以上の前面道路がある場合、最大幅員道路から「幅員の2倍」かつ「35m以内」の区域では最大幅員が適用される。
間違えやすいところ
- 建ぺい率の緩和において、80%地域+防火地域+耐火建築物の場合は+10%ではなく100%(制限撤廃)となる点を見落とすミス。
- 2以上の前面道路がある場合、一体敷地全体に最大幅員が適用されると誤認し、35mを超える区域(市道幅員が適用される部分)の計算を忘れるミス。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の建築基準法および同法施行令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の保有および取得に係る税金等
不動産 · 固定資産税の住宅用地の特例 / 貸家建付地評価 / 不動産取得税の課税標準の特例
甲土地(賃貸アパート敷地)の有効活用および不動産取得税に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「賃貸アパートを取り壊して更地にし,駐車場として貸し出せば,安定した駐車場収入を得ることができ,管理のわずらわしさも減少すると思います。また,更地であれば資産処分や遺産分割が比較的容易にできるというメリットが考えられます。一方,更地にした場合,固定資産税は,住居1戸当たり( ① )㎡までの小規模住宅用地について,課税標準となるべき価格を6分の1とする特例の適用が受けられなくなります。また,賃貸アパートの敷地は,相続税法上,( ② )として評価されますが,駐車場の敷地は,自用地等として評価されます。土地の有効活用は,物件の収益性だけでなく,Aさんの相続等を含めて総合的に判断する必要があります」 Ⅱ「不動産取得税は,不動産の取得者に課される税金です。仮に,Aさんが,甲土地の賃貸アパートを撤去し,耐火建築物の賃貸マンション(認定長期優良住宅ではない)を建築した場合,居住の用に供するために独立的に区画された部分の床面積が( ③ )㎡以上240㎡以下であれば,課税標準の算定にあたり1戸につき( ④ )万円を住宅の価格から控除することができます」
解答・解説を表示
解答
① 200 ② 貸家建付地 ③ 40 ④ 1,200(または1200)
解説
住宅用地に対する固定資産税の減額特例や相続税の評価減、および新築住宅に対する不動産取得税の課税標準控除について、適用要件と控除限度を正確に把握することが重要です。
解き方
- 固定資産税の小規模住宅用地の面積上限が200㎡であることを確認する。
- アパート敷地が相続税の財産評価上「貸家建付地」に分類されることを確認する。
- 賃貸共同住宅の新築に係る不動産取得税の特例要件(床面積40㎡以上240㎡以下、控除額1,200万円)を適用する。
答えの内訳
- ①:200
- 固定資産税における住宅用地の特例では、住宅1戸当たり200㎡以下の部分を「小規模住宅用地」として課税標準が6分の1に軽減されます。
- ②:貸家建付地
- 自ら所有する土地に建築した建物を他に賃貸している場合、その土地は相続税法上「貸家建付地」として評価され、借地権割合・借家権割合・賃貸割合に応じた減額が受けられます。
- ③:40
- 不動産取得税の新築住宅特例において、一戸建て以外の賃貸共同住宅等で独立的に区画された部分の床面積要件は、1戸当たり40㎡以上240㎡以下と規定されています。
- ④:1,200(または1200)
- 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例控除額は、認定長期優良住宅以外の一般住宅の場合、1戸につき1,200万円です。
覚えるポイント
- 固定資産税の小規模住宅用地は200㎡以下が1/6、200㎡超の部分は一般住宅用地として1/3に軽減される。
- 不動産取得税の新築住宅控除は原則50㎡~240㎡だが、共同貸家住宅は40㎡~240㎡となる。
間違えやすいところ
- 不動産取得税の貸家共同住宅の床面積下限(40㎡)を通常の新築住宅の下限(50㎡)と混同しないよう注意する。
- 認定長期優良住宅の控除額(1,300万円)と一般住宅の控除額(1,200万円)を混同しないようにする。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(地方税法、財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡に係る各種特例の比較
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 居住用財産の軽減税率の特例 / 特定の居住用財産の買換えの特例
自宅(居住用建物とその敷地である乙土地)の譲渡に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を答えなさい。また、空欄④については『Ⅰ』または『Ⅱ』のいずれかを選びなさい。 Ⅰ「Aさんが自宅を7,000万円で譲渡し,居住用財産を譲渡した場合の□□□万円の特別控除の特例の適用を受けた場合,譲渡所得の金額の計算上,□□□万円を控除することができます。また,居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合,課税長期譲渡所得金額が( ① )万円以下の部分については,□□□%の軽減税率が適用されます。なお,この2つの特例は,それぞれの要件を満たしていれば,重複して適用を受けることができます」 Ⅱ「Aさんが自宅を譲渡し,シニア向け分譲マンションを購入した場合,譲渡した年の1月1日における自宅の所有期間が( ② )年を超えること,譲渡資産の譲渡価額が( ③ )億円以下であること等,所定の要件を満たしていれば,特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けることができます」 Ⅲ「Aさんが自宅を譲渡し,シニア向け分譲マンションを3,850万円で購入した場合,上記『Ⅰ』および『Ⅱ』の各特例の適用を受けるために必要とされる要件を満たしていることを前提として,自宅の譲渡に係る取得費を500万円,譲渡費用を200万円と仮定すると,譲渡所得に係る税額は( ④ )を選択したほうが少なくなります」
解答・解説を表示
解答
① 6,000(または6000) ② 10 ③ 1(または1) ④ Ⅰ
解説
居住用財産の譲渡では、「3,000万円特別控除+軽減税率」と「買換え特例」は選択適用となり、実際の譲渡価額・買換資産価額・取得費・譲渡費用から税額を試算して有利判定を行います。
解き方
- 軽減税率の適用限度額が課税長期譲渡所得金額6,000万円以下であることを確認する。
- 居住用財産の買換え特例の要件(所有期間10年超、居住期間10年以上、譲渡価額1億円以下)を確認する。
- 特例Ⅰ適用時の課税譲渡所得=7,000万-(500万+200万)-3,000万=3,300万円、税率14%を適用して税額を計算する。
- 特例Ⅱ適用時の課税譲渡所得=(7,000万-3,850万)-(500万+200万)×(3,150万/7,000万)=2,835万円、税率20%を適用して税額を計算・比較する。
答えの内訳
- ①:6,000(または6000)
- 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例では、課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分に軽減税率(所得税10%、住民税4%)が適用されます。
- ②:10
- 特定の居住用財産の買換えの特例の適用要件として、譲渡した年の1月1日において譲渡資産の所有期間が10年を超え、かつ居住期間が10年以上であることが定められています。
- ③:1(または1)
- 特定の居住用財産の買換えの特例を適用するためには、譲渡資産の譲渡対価が1億円以下でなければなりません。
- ④:Ⅰ
- 特例Ⅰを適用した場合の税額は、課税長期譲渡所得3,300万円に対して軽減税率14%(復興特別所得税除く)を乗じた462万円となります。特例Ⅱを適用した場合は、収入金額3,150万円から必要経費315万円を控除した2,835万円に一般の長期譲渡所得税率20%を乗じた567万円となるため、特例Ⅰを選択したほうが税額が少なくなります。
覚えるポイント
- 居住用財産の3,000万円特別控除と軽減税率の特例は重複適用が可能である。
- 居住用財産の買換え特例の要件は所有期間10年超・居住期間10年以上・譲渡価額1億円以下である。
間違えやすいところ
- 軽減税率の特例の適用上限額(課税長期譲渡所得6,000万円以下)と買換え特例の譲渡価額上限(1億円以下)を混同しないようにする。
- 買換え特例における必要経費の按分計算(譲渡価額に対する差額の比率)を忘れて全額控除しないよう注意する。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第31条の3、第35条、第36条の2)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準方式による株式評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式
非上場会社であるX社(機械器具製造業、規模区分は大会社)の株式について、類似業種比準方式により、①1株(50円)当たりの年配当金額、②1株(50円)当たりの年利益金額、③1株当たりの類似業種比準価額をそれぞれ求めなさい。なお、株価の算定にあたり複数の方法がある場合はできるだけ低い価額となる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 6円 ② 40円 ③ 2,970円
解説
類似業種比準方式は、類似する上場会社の株価を基準とし、評価会社の1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額の3要素を比準して株価を算出する評価手法です。大会社の評価において原則として適用されます。
解き方
- 資本金等の額を50円で除して50円換算の発行済株式数を算出する。
- 記念配当を除外した直前2年間の平均配当金額から1株(50円)当たりの年配当金額を求める。
- 直前期と直前2年平均の利益金額を比較し、株価が低くなる金額を選択して1株(50円)当たりの年利益金額を求める。
- 配当・利益・純資産の各比準割合を計算して平均し、類似業種株価、斟酌率(大会社は0.7)、額面倍率を乗じて株価を算出する。
答えの内訳
- ①:6円
- 1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式数は、5,000万円÷50円=100万株です。配当金額は直前期から非経常的な記念配当300万円を除外した700万円と直前々期の500万円の2年間の平均(年配当金額600万円)を用います。したがって、600万円÷100万株=6円となります。
- ②:40円
- 年利益金額は、直前期の金額(4,600万円÷100万株=46円)または直前2年間の平均((4,600万円+3,400万円)÷2÷100万株=40円)のうち、株価が低くなる方を選択するため、40円となります。
- ③:2,970円
- 配当比準割合は6÷5.8=1.034…→1.03、利益比準割合は40÷29=1.379…→1.37、純資産比準割合は292÷278=1.050…→1.05です。比準割合の平均は(1.03+1.37+1.05)÷3=1.15となります。大会社の斟酌率は0.7であるため、50円当たりの株価は369円×1.15×0.7=297.045円→297.0円(10銭未満切捨て)です。X社の実際の1株当たりの資本金等の額は500円(5,000万円÷10万株)なので、10倍して2,970円となります。
覚えるポイント
- 類似業種比準方式の配当計算では特別配当や記念配当などの非経常的な配当を除外する。
- 大会社の類似業種比準方式における斟酌率は0.7である。
間違えやすいところ
- 記念配当を差し引かずに配当金額を計算してしまう誤り。
- 利益金額の有利選択(直前期と直前2年平均の低い方)を失念して直前期の数値を使ってしまう誤り。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額方式による株式評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 純資産価額方式 / 評価差額に対する法人税額等相当額
X社の直前期の資産・負債の状況に基づき、純資産価額方式によるX社の1株当たりの株価を求めなさい。なお、純資産価額の算出に際して適用される「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の算出にあたっては、平成26年4月1日現在の基準によるものとし、円未満は切り捨てること。
解答・解説を表示
解答
3,650円
解説
純資産価額方式は、課税時期において会社が解散した場合に株主に分配される正味財産の価値に着目した評価手法です。相続税評価額による純資産額から、資産の含み益に対する法人税額等相当額を控除して1株当たりの価額を求めます。
解き方
- 相続税評価額による資産合計から負債合計を控除して相続税評価額による純資産額を計算する。
- 資産の相続税評価額と帳簿価額の差額(評価差額)を求め、平成26年4月1日現在の法人税等相当額の割合(42%)を乗じて法人税額等相当額を算出する。
- 純資産額から法人税額等相当額を控除し、発行済株式総数で除して円未満を切り捨てる。
覚えるポイント
- 平成26年4月1日基準における評価差額に対する法人税額等相当額の率は42%である。
- 純資産価額方式では、評価差額に対する法人税等相当額を控除した後の金額を発行済株式数で除す。
間違えやすいところ
- 評価差額に対する法人税等相当額の計算において、資産だけでなく負債の差額も誤って考慮してしまうミス(本問では負債の帳簿価額と評価額は同額)。
- 1株当たりの計算時に端数処理(円未満切捨て)を忘れてしまうミス。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達186)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の納税猶予および住宅取得等資金の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 事業承継税制 / 非上場株式等についての贈与税の納税猶予 / 住宅取得等資金の贈与税の非課税
Aさんの事業承継および資金援助に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「長男CさんにX社株式を移転する方法として,『非上場株式等についての贈与税の納税猶予』の活用が考えられます。長男Cさんが本特例の適用を受ける場合,納税猶予の対象となる株式の限度数は( ① )株となります」 Ⅱ 「二男Dさんに住宅取得資金を援助する方法として,『直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税』の活用が考えられます。本特例の適用を受けるためには,二男Dさんの贈与を受けた年分の合計所得金額が( ② )万円以下であること,取得する家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下であること等,所定の要件を満たす必要があります。仮に,二男Dさんが平成26年中に地震に対する安全性に係る基準に適合する住宅を取得して本特例の適用を受けた場合,贈与税の非課税限度額は( ③ )万円です」
解答・解説を表示
解答
① 46,667(または46,666) ② 2,000 ③ 1,000
解説
事業承継税制(一般措置)では後継者が保有済みの株式と合わせて発行済議決権株式総数の最大3分の2までが納税猶予の対象となります。住宅取得等資金の贈与税の非課税特例では、受贈者の所得要件や住宅の性能・契約年に応じた非課税限度額が規定されています。
解き方
- X社の発行済株式数100,000株の3分の2(66,667株または66,666株)から、長男Cさんが既に保有している20,000株を控除して空欄①の上限株数を算出する。
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税における受贈者の合計所得金額要件(2,000万円以下)を確認して空欄②を導く。
- 平成26年における耐震性基準に適合する良質な住宅用家屋の非課税限度額(1,000万円)を確認して空欄③を導く。
答えの内訳
- ①:46,667(または46,666)
- 事業承継税制(一般措置)における贈与税の納税猶予の対象となる議決権株式数は、発行済完全議決権株式総数の3分の2に達するまでとなります。X社の発行済株式総数は100,000株であり、その3分の2は66,666.6…株となります。1株未満の端数を切り上げる場合は66,667株、切り捨てる場合は66,666株となります。長男Cさんは既に20,000株を所有しているため、特例の対象となる限度数は、66,667株-20,000株=46,667株(切り捨ての場合は46,666株)となります。
- ②:2,000
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けるためには、受贈者の贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。
- ③:1,000
- 平成26年中に住宅取得等資金の贈与を受けた場合、省エネ性や耐震性等の基準に適合する良質な住宅用家屋の取得等に係る贈与税の非課税限度額は1,000万円(一般住宅の場合は500万円)となります。
覚えるポイント
- 事業承継税制の一般措置における納税猶予の上限は発行済議決権株式総数の3分の2(既保有分を含む)。
- 住宅取得等資金の贈与税非課税の受贈者の所得要件は合計所得金額2,000万円以下(贈与を受けた年分)。
間違えやすいところ
- 空欄①で後継者が既に所有している20,000株を控除し忘れて、66,667株(または66,666株)と解答してしまう。
- 空欄③で一般住宅の限度額(500万円)と良質な住宅用家屋の限度額(1,000万円)を混同してしまう。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第70条の7、第70条の2)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2014年9月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2014年9月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

