日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の概要
株式の代表的な投資指標(PBR・PER・ROE)の計算と相互関係
金融資産運用 · PBR / PER / ROE / BPS
株式の評価尺度に関する次の文章の空欄(ア)~(エ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。 ・株式の代表的な評価尺度に、PBR(株価純資産倍率)およびPER(株価収益率)がある。このうちPBR(株価純資産倍率)は、株価を( ア )で除することにより求められる。 ・( イ )は、経営の効率性を判断する指標であり、株主資本を含む自己資本に対する収益力を測ることができる。この値が高いほど経営効率がよいと判断される。純資産を自己資本と同額とした場合、( イ )は、( ウ )を( エ )で除した値となる。
解答・解説を表示
解答
3
解説
PBR(株価純資産倍率)は「株価÷BPS」、PER(株価収益率)は「株価÷EPS」で求めます。ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本」で表します。純資産と自己資本が同じとみなせるなら、「PBR÷PER=(株価/BPS)÷(株価/EPS)=EPS/BPS=当期純利益/自己資本=ROE」という関係が成り立ちます。
解き方
- PBRの式(PBR=株価÷BPS)から、空欄(ア)がBPSだと分かります。
- 自己資本に対する当期純利益の割合を表す経営効率の指標がROE(自己資本利益率)なので、空欄(イ)はROEです。
- ROEとPBR、PERの関係「ROE=PBR÷PER」を確かめ、空欄(ウ)がPBR、(エ)がPERだと導きます。
- 選択肢 1不正解
- (ア)がEPS、(イ)がROA(総資産利益率)になっている点が誤りです。株価をEPSで割って求めるのはPERで、自己資本に対する収益力を示すのはROEです。
- 選択肢 2不正解
- (ア)がEPSになっている点と、(ウ)と(エ)の割り算が逆(PER÷PBR)になっている点が誤りです。正しくはPBR÷PER=ROEです。
- 選択肢 3正解
- (ア)BPS、(イ)ROE、(ウ)PBR、(エ)PERの組み合わせは、式と指標の定義・関係にすべて一致していて正しいです。
- 選択肢 4不正解
- (イ)が総資産を分母とするROAになっている点と、ROEの関係式が逆になっている点が誤りです。
覚えるポイント
- PBR=株価÷BPS(1株当たり純資産)、PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)
- ROE=当期純利益÷自己資本=PBR÷PER=EPS÷BPS
間違えやすいところ
- ROE=PBR÷PERの式で、分子と分母(PBRとPER)を逆にしないよう注意しましょう。
- BPS(1株当たり純資産)とEPS(1株当たり当期純利益)の意味を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の法令・金融商品取引実務に基づく指標定義
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.3 ↗(www.jafp.or.jp)
契約者・被保険者が同一である生命保険契約における給付金・保険金等の税務上の取扱い
リスク管理 · 生命保険の税務 / みなし相続財産 / 非課税限度額 / 前納保険料 / 入院給付金
正幸さん(被保険者・契約者・保険料負担者)が加入している定期保険(医療保障特約付・有配当、死亡保険金受取人:妻の優子さん、入院給付金受取人:正幸さん)に係る税務に関する次の説明のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
契約者と被保険者が同じ生命保険では、死亡保険金・配当金(剰余金)・未経過前納保険料をまとめて、みなし相続財産(死亡保険金)として扱います。そのため、死亡保険金の非課税金額(500万円×法定相続人の数)の対象になります。一方、被保険者本人が受け取るはずの入院給付金を請求しないまま死亡し、遺族が受け取った場合は、被相続人の本来の財産(未収金)として相続税の対象になり、保険金の非課税枠は使えません。
解き方
- 契約の形を確かめます(契約者=被保険者=正幸さん、死亡保険金受取人=優子さん、入院給付金受取人=正幸さん)。
- 給付金を生前に受け取ったときは非課税(所得税法第9条)だと確認します(選択肢1の判断)。
- 死亡保険金受取人が死亡保険金と一緒に受け取る未経過前納保険料と配当金の税金の扱いを確認します(選択肢2・3の判断)。
- 被保険者の死亡時に未請求だった入院給付金は、本来の相続財産(未収金)になることを確認します(選択肢4の判断)。
- 選択肢 1不正解
- 体のけがや病気が原因で受取人本人が受け取る入院給付金・通院給付金・手術給付金などは、非課税所得となり、所得税はかかりません。
- 選択肢 2正解
- 死亡保険金受取人が死亡保険金と一緒に受け取る未経過分の前納保険料は、死亡保険金に含めて、みなし相続財産として扱われます。生命保険金の非課税限度額の対象になるので、「含めずに」とするのは誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 死亡保険金受取人が死亡保険金と一緒に受け取る配当金(剰余金の分配額)は、死亡保険金に含めて、相続税の課税対象額(非課税限度額の計算対象)となります。
- 選択肢 4不正解
- 正幸さんが請求前に死亡し、優子さんが受け取った入院給付金は、被相続人(正幸さん)が本来受け取るはずだった権利として「本来の相続財産(未収金)」になるため、生命保険金の非課税金額の対象にはなりません。
覚えるポイント
- 死亡保険金受取人が受け取る「死亡保険金」「未経過前納保険料」「割戻金・配当金」はすべて死亡保険金として非課税枠の対象
- 被保険者本人が受け取るべき未請求の入院給付金を遺族が受領した場合は「本来の相続財産」となり非課税枠は使えない
間違えやすいところ
- 未経過前納保険料や配当金を本来の相続財産(預貯金などと同じ扱い)と勘違いし、死亡保険金の非課税枠から外してしまう誤りが多いです。
- 未請求の入院給付金について、生命保険会社から支払われるため、みなし相続財産(死亡保険金)の非課税枠が使えると勘違いしやすいので注意しましょう。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の相続税法・所得税法(相続税法基本通達3-8等)
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.3 ↗(www.jafp.or.jp)
損害保険を活用した家庭のリスク管理
リスク管理 · 個人賠償責任補償特約 / 団体長期障害所得補償保険(GLTD) / エコノミー車両保険 / 海外旅行傷害保険(携行品損害特約)
損害保険を活用した家庭のリスク管理に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を解答しなさい。 (ア)真紀さんがマンションのバルコニーから誤って物を落として通行人にケガをさせ、法律上の損害賠償責任を負った場合、火災保険加入時に個人賠償責任補償特約を付帯していれば、補償の対象となる。 (イ)大輔さんが病気やケガにより長期間休職後、復職したものの休職前の業務のうち一部に従事することができず、収入が減少した場合、所得喪失の割合にかかわらず、勤務先の団体長期障害所得補償保険(GLTD)に加入していれば、補償の対象となる。 (ウ)大輔さんが被保険自動車を運転中に誤ってガードレールに衝突する単独事故を起こし、被保険自動車に損害があった場合、自動車保険のエコノミー車両保険に加入していれば、補償の対象となる。 (エ)大輔さんが海外旅行中に、パスポートを不注意により紛失した場合、海外旅行傷害保険加入時に携行品損害補償特約を付帯していれば、補償の対象となる。
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解答
(ア) ○ (イ) × (ウ) × (エ) ×
解説
損害保険では、被保険者の範囲と、保険金が支払われる事由・支払われない免責事由を正しく押さえておくことが大切です。とくに、個人賠償責任補償特約の同居親族の扱い、GLTD(団体長期障害所得補償保険)の給付要件となる所得喪失率、車両保険のタイプごとの自損事故の補償、携行品特約の紛失・置き忘れの免責は重要です。
解き方
- 設問(ア)は、個人賠償責任特約の被保険者の範囲(同居親族)と、日常生活の賠償事故にあたるかを確かめ、適切(○)と判断します。
- 設問(イ)は、GLTDの給付要件にある所得喪失率の基準を確かめ、「割合にかかわらず」という記述の誤りを判断します(×)。
- 設問(ウ)は、エコノミー車両保険で単独事故(自損事故)が補償の対象外になる規定を確かめ、不適切(×)と判断します。
- 設問(エ)は、携行品損害特約で「紛失・置き忘れ」が免責になる規定を確かめ、不適切(×)と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- 個人賠償責任補償特約は、日常生活における偶然な事故により他人にケガをさせたり他人の財物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。被保険者本人だけでなく同居の親族(未成年の子など)の行為による損害賠償責任も補償対象となります。
- 小問 イ:×
- 団体長期障害所得補償保険(GLTD)は、病気やケガで就労不能になった期間の所得減少を補償する保険ですが、部分復帰後の収入減少を補償する場合であっても、所得喪失率が所定の割合(通常20%超など)を超えていることが要件とされており、「割合にかかわらず」補償されるわけではありません。
- 小問 ウ:×
- 自動車保険のエコノミー車両保険(車対車+限定危険)では、他車との衝突や火災・盗難等は補償されますが、電柱やガードレールへの衝突といった単独事故(自損事故)や当て逃げによる損害は補償の対象外となります。単独事故を補償するには一般車両保険への加入が必要です。
- 小問 エ:×
- 海外旅行傷害保険の携行品損害補償特約は、携行品の盗難や偶然の事故による破損などを補償するものであり、本人の不注意による「紛失」や「置き忘れ」によって生じた損害は免責事由として補償の対象外とされています。
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覚えるポイント
- 個人賠償責任特約は同居親族も対象だが、業務中・受託品・自動車運転中の賠償事故は対象外。
- エコノミー車両保険は単独事故・自損事故・当て逃げが補償対象外となる。
- 携行品損害補償特約では「紛失」「置き忘れ」は免責事由である。
間違えやすいところ
- GLTDを全額・無条件で補償されると誤解し、定められた免責期間や所得喪失率の基準を見落とすこと。
- パスポートの盗難と紛失を混同し、紛失でも携行品損害補償の対象になると勘違いすること。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の各種保険約款および法令に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.4 ↗(www.jafp.or.jp)
健康保険の傷病手当金の計算
リスク管理 · 健康保険 / 傷病手当金 / 待期期間 / 標準報酬月額の平均額の計算 / 端数処理
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者である大輔さんは、私傷病による療養のため労務不能となり、2025年6月2日から6月22日まで連続21日間休業した。6月23日より職場に復帰したが、同一傷病の療養のため再度労務不能となり、2025年7月1日から7月15日まで連続15日間休業した。大輔さんの標準報酬月額が2023年9月1日以降34万円、2024年9月1日以降38万円である場合、大輔さんが受け取ることができる傷病手当金の合計額として正しいものはどれか。なお、休業期間中の報酬は支払われないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
健康保険の傷病手当金は、療養のため働けない日が続いて3日間の待期期間が終わった後、4日目から支給されます。同じ傷病で再び休むときは、待期期間はすでに終わっているので初日から支給されます。1日当たりの額は、支給開始日の属する月以前の直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額(10円未満四捨五入)に3分の2を掛けた額(円未満四捨五入)です。
解き方
- 支給開始月(2025年6月)以前の直近12か月間(2024年7月〜2025年6月)の標準報酬月額を合計します。34万円×2か月+38万円×10か月=4,480,000円です。
- 4,480,000円÷12÷30=12,444.44...円を10円未満四捨五入して、12,440円を出します。
- 12,440円×(2/3)=8,293.33...円を円未満四捨五入して、1日当たりの額8,293円を出します。
- 支給日数を計算します。1回目の休業(連続21日間)は待期3日間を除く18日間です。2回目の休業(連続15日間)は同じ傷病なので待期は不要で15日間です。合計は18+15=33日間です。
- 合計支給額を計算します。8,293円×33日=273,669円を求めて、選択肢4を選びます。
- 選択肢 1不正解
- 直近12か月間を支給開始月を含めず前月までの12か月とした誤った単価(8,220円)に、2回目の休業でも誤って待期3日を引いた30日間を掛けた計算結果(8,220円×30日=246,600円)なので誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 1日当たりの支給額(8,293円)は正しいですが、同じ傷病による2回目の休業から誤って再び待期3日を引いた30日間で計算した結果(8,293円×30日=248,790円)なので誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 支給日数33日(18日+15日)の計算は正しいですが、直近12か月の計算期間に支給開始月を含めず前月までとして出した誤った単価(8,220円×33日=271,260円)なので誤りです。
- 選択肢 4正解
- 正しく1日当たりの支給額8,293円に、1回目の休業18日と2回目の休業(待期不要)15日を合わせた合計支給日数33日を掛けた正しい金額(8,293円×33日=273,669円)です。
覚えるポイント
- 同一傷病により再度労務不能となった場合、すでに待期期間が完成していれば新たな待期は不要。
- 傷病手当金の算定基礎となる直近12か月は「支給を始める日の属する月以前の直近継続した12か月間」である。
- 端数処理は、平均額の1/30を「10円未満四捨五入」し、それに2/3を乗じて「円未満四捨五入」する。
間違えやすいところ
- 支給開始月を含めず、その前月より前の12か月間で平均額を間違えて計算してしまうこと。
- 同じ傷病で再び休んだときに、また3日間の待期期間を引いてしまうこと。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の健康保険法第99条に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.4 ↗(www.jafp.or.jp)
養育期間の標準報酬月額の特例
ライフプランニングと資金計画 · 厚生年金保険 / 養育期間の標準報酬月額の特例 / 標準報酬月額
明子さんは、現在、長女の真紀さん(1歳)の養育のため短時間勤務制度を利用しており、出産前と比べて給与が低くなっている。子を養育する期間についての年金額計算の特例に関する次の文章の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 <資料抜粋> ・( ア )未満の子を養育する方で養育期間中の各月の標準報酬月額が、養育を始めた月の( イ )と比べて低下した期間については、将来受け取ることになる年金額の計算に際して、子の養育を始めた月の( イ )の標準報酬月額(従前標準報酬月額)が当該養育期間(子が( ア )に達するまでの期間)の標準報酬月額とみなされます。 ・被保険者の申出があった日よりも前に養育期間がある場合、特例の対象となる期間は、申出日が含まれる月の前月までの( ウ )のうちにある養育期間に限られます。
解答・解説を表示
解答
4
解説
厚生年金保険の養育期間標準報酬月額の特例は、3歳未満の子を育てることで標準報酬月額が下がったとき、将来の老齢厚生年金が減らないようにする制度です。養育前の高い標準報酬月額を使って年金額を計算します。
解き方
- 対象となる子の年齢の基準を確かめます(原則として3歳未満)。
- みなし標準報酬月額(従前標準報酬月額)の基準月を確かめます(子の養育を始めた月の前月)。
- さかのぼって適用される申出前の期間の上限を確かめます(申出日の属する月の前月までの過去2年分)。
- (ア)3歳、(イ)前月、(ウ)2年間の組み合わせである選択肢4を選びます。
- 選択肢 1不正解
- (ア)は2歳ではなく「3歳」、(イ)は「前月以前1年間の平均」ではなく「前月」なので不適切です。
- 選択肢 2不正解
- (ア)は2歳ではなく「3歳」、(ウ)は1年間ではなく「2年間」なので不適切です。
- 選択肢 3不正解
- (イ)は「前月以前1年間の平均」ではなく「前月」、(ウ)は1年間ではなく「2年間」なので不適切です。
- 選択肢 4正解
- (ア)3歳、(イ)前月、(ウ)2年間は、どれも正しい規定に一致しています。
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覚えるポイント
- 養育特例の対象期間は子が3歳に達するまで。
- 従前標準報酬月額は「養育開始月の前月」の標準報酬月額。
- 申出遅れによる遡及限度は過去2年間。
間違えやすいところ
- 育児休業給付金の支給延長(2歳まで)と混同して、子の年齢を2歳未満としてしまうこと。
- 従前標準報酬月額を「過去1年間の平均」などと間違えること。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の厚生年金保険法等に基づく法令基準
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.jafp.or.jp)
資金計画と購入可能物件価格の計算
不動産・ライフプランニング · 住宅ローン借入可能額 / 返済負担率 / 資金計画 / 諸費用
志賀さん夫婦は、FPの佐久間さんに住宅取得計画の相談をした。下記<条件>に基づき購入可能な物件価格(消費税込み)の上限を計算しなさい。なお、計算過程において円未満の端数が生じた場合は円未満を四捨五入し、住宅ローン借入額および物件価格については10万円未満を切り捨てること。また、贈与税については考慮しないものとし、解答に当たっては解答用紙に記載されている単位に従うこと。 <条件> ・自己資金500万円と大輔さんの父から贈与される300万円を住宅購入に充てる。これらの資金で不足する分については、住宅ローンを利用する。 ・住宅ローンは大輔さんが単独で借り入れるものとし、借入額については、住宅ローンの年間元利合計返済額が2024年分の大輔さんの年収(税込み:700万円)の20%以内になるようにする。 ・住宅ローンの条件:全期間固定金利年2.0%、返済期間35年(返済回数420回)、元利均等返済、毎月返済(ボーナス返済なし)。借入額100万円当たりの元利合計返済月額は3,312円。 ・住宅購入のための諸費用(消費税込み)は物件価格の7%とし、準備した資金の中から充当する。
解答・解説を表示
解答
4,030(万円)
解説
購入できる物件価格は、まず年収に返済負担率を掛けて住宅ローンの借入上限額を求め、自己資金などと合わせた総準備資金を出します。総所要資金には物件価格と諸費用(物件価格の一定割合)が含まれます。そこで、総準備資金を(1+諸費用率)で割ると、物件価格の上限が求まります。
解き方
- 年間の返済限度額を計算します。年収700万円 × 20% = 140万円です。
- 月額の返済可能額を計算します。1,400,000円 ÷ 12 = 116,666.666...円です。
- 借入上限額を計算します。116,666.666...円 ÷ 3,312円 × 100万円 = 35,225,442.8...円です。10万円未満を切り捨てて「3,520万円」です。
- 準備できる資金の合計を計算します。自己資金500万円 + 贈与300万円 + 借入3,520万円 = 4,320万円です。
- 諸費用(物件価格の7%)を考えて物件価格の上限を出します。4,320万円 ÷ 1.07 = 40,373,831.7...円です。10万円未満を切り捨てて「4,030万円」です。
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覚えるポイント
- 返済負担率は「年間返済額 ÷ 年収」で算出。
- 総所要資金 = 物件価格 + 諸費用(= 物件価格 × 1.07)。
- 指定された端数処理(10万円未満切り捨て、円未満四捨五入など)のタイミングを厳守する。
間違えやすいところ
- 住宅ローン借入額の段階で10万円未満の切り捨てを忘れ、最後にまとめて端数処理してしまうこと。
- 諸費用の7%を総資金から引くときに、4,320万円×(1-0.07)と間違えて計算してしまうこと(4,320万円÷1.07が正しい)。
- 解答欄の単位(万円)に従わず「40,300,000円」と書いてしまうこと。
出題の前提:問題文に指定された条件および2025年4月1日現在施行の法令基準
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.6 ↗(www.jafp.or.jp)
不動産の取得・保有等に係る税金(固定資産税の納税義務者・評価替え・軽減措置)
不動産運用設計 · 固定資産税 / 賦課期日 / 基準年度の評価替え / 新築住宅に対する減額措置 / 住宅用地の課税標準の特例
大輔さんの兄である正幸さんは、宅地建物取引業者で建設業者でもあるBX社から甲土地を購入し、請負契約を締結して甲土地上に自宅(BY建物)を新築・居住の用に供した。<資料>に基づき、不動産の取得や保有等に係る税金に関する記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 <資料> [甲土地の概要] ・面積:180.00㎡(登記記録) ・所有権移転日(正幸さん名義):2025年2月20日 ・売主:BX社(更地で購入) [BY建物の概要] ・構造等:軽量鉄骨造2階建(戸建住宅)、認定長期優良住宅に該当 ・床面積(登記記録):1階55.00㎡、2階45.00㎡、合計100.00㎡ ・請負契約日:2025年3月3日、竣工日:2025年8月20日、引渡日:2025年8月27日 ・2025年8月27日付で所有権保存登記を行い、同日からすべてを自己の居住の用に供している。
解答・解説を表示
解答
(ア) ○ (イ) × (ウ) ○ (エ) ○
解説
固定資産税は、毎年1月1日の時点で不動産を持っている人に課税されます。土地や家屋の評価額は、原則として3年ごとに見直されます。また、基準を満たす新築の認定長期優良住宅には税額を軽くする措置があり、住宅用の土地には課税標準を圧縮する特例があります。
解き方
- 甲土地の取得日(2025年2月20日)から、次の賦課期日である2026年1月1日に基づき、正幸さんが納税義務者になる年度が2026年度だと判断します。
- 固定資産税評価額の評価替えの周期が原則3年ごとであることを確かめます。
- BY建物の仕様(認定長期優良住宅・戸建)と新築時期(2025年)から、新築住宅の減額措置の期間が2026年度から5年度分であることを確かめます。
- 甲土地の面積180.00㎡が小規模住宅用地(200㎡以下)の範囲内なので、敷地全体について課税標準が6分の1になることを確かめます。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- 固定資産税の賦課期日は毎年1月1日であり、その日に固定資産課税台帳等に所有者として登録されている者が納税義務者となります。甲土地の所有権移転日は2025年2月20日であるため、2025年度の賦課期日(2025年1月1日)時点の所有者は売主であり、正幸さんが納税義務者となるのは翌年度である2026年度からとなります。
- 小問 イ:×
- 土地および家屋の固定資産税評価額(固定資産課税台帳登録価格)は、3年ごとに見直す評価替え(基準年度ごとの見直し)が行われ、毎年度原則として据え置かれるため、原則として毎年評価替えを行うわけではありません。
- 小問 ウ:○
- 新築された認定長期優良住宅である一般住宅(戸建)については、新築後5年度分にわたり、床面積120㎡相当分までの固定資産税額が2分の1に減額されます。2025年8月新築・居住開始であるため、翌年度である2026年度から5年度分にわたり本減額措置の適用を受けることができます。
- 小問 エ:○
- 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例により、住宅1戸につき200㎡以下の部分(小規模住宅用地)については課税標準となるべき価格の6分の1とされます。甲土地の面積は180.00㎡であり200㎡以下であるため、甲土地のすべてについて6分の1の特例が適用されます。
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覚えるポイント
- 固定資産税の賦課期日は1月1日であり、納税義務者はその年の4月1日以降の年度分を負担する。
- 土地・家屋の固定資産税評価額の評価替えは原則として3年に1回(基準年度)である。
- 新築された認定長期優良住宅の固定資産税減額期間は、戸建て住宅が5年度分、3階建以上の中高層耐火建築物は7年度分である。
間違えやすいところ
- 年の途中に買った土地の固定資産税について、その年度から買い主が法的な納税義務者になると間違いやすい点(公法上の納税義務者は1月1日時点の所有者)。
- 住宅用地は、小規模住宅用地(200㎡以下)は課税標準が6分の1、200㎡超の一般住宅用地は3分の1である点を取り違えないこと。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の地方税法および関連法令
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.7 ↗(www.jafp.or.jp)
相続時精算課税制度(届出の承継・受贈者の先死亡・期限後申告・災害減免)
相続・事業承継設計 · 相続時精算課税制度 / 相続時精算課税選択届出書 / 受贈者が先に死亡した場合の取扱い / 特別控除の要件 / 災害による特例
大輔さんは住宅取得を検討するに当たり、相続時精算課税制度(以下「本制度」という)について、FPで税理士でもある佐久間さんに相談をした。本制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
相続時精算課税制度は、贈与のときに一定の非課税や低い税率の扱いを受け、特定贈与者が亡くなった相続時に、その贈与財産を相続税の課税価格に足して精算する制度です。届出の手続きや、受贈者が亡くなったときの扱いには、はっきりした決まりがあります。
解き方
- 受贈者が申告・届出の前に死亡した場合の手続きの引き継ぎの決まりの正誤を考えます。
- 受贈者が特定贈与者より先に死亡した場合、贈与財産を受贈者の相続時の課税価格に算入する義務(加算される)を確かめます。
- 特別控除(最大2,500万円)の適用要件として、期限内の申告が必要な点を確かめます。
- 災害を受けた場合の相続税加算額は、被害額をそのまま算入するのではなく、「贈与時の価額から被害額を控除した残額」が加算の対象になる点を確かめます。
- 選択肢 1正解
- 受贈者が選択届出書の提出期限前に提出しないまま死亡した場合、その受贈者の相続人が、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に提出すれば、本制度の適用を受けられます。
- 選択肢 2不正解
- 本制度を選んだ受贈者が特定贈与者より先に死亡した場合でも、特定贈与者から受贈した財産の価額は、その受贈者の相続に係る相続税の課税価格に算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 相続時精算課税の特別控除(累計2,500万円まで)は、原則として期限内の申告書を提出した場合に限り適用され、期限後申告では受けられません。
- 選択肢 4不正解
- 災害により被害を受けた場合、相続税の課税価格に算入される価額は「贈与時の価額から被害額を控除した残額」とすることができるため、被害額そのものではありません。
覚えるポイント
- 受贈者が届出書提出前に死亡したときは、その相続人が10カ月以内に届出書を提出可能。
- 相続時精算課税の特別控除(最大2,500万円)は期限内申告が原則要件(基礎控除110万円とは異なる)。
- 受贈者先死亡時でも受贈財産は受贈者の相続税の課税価格に算入される。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税を選んだ受贈者が先に死亡した場合、贈与財産が課税対象から外れると誤解しやすい点。
- 災害減免で、相続時に合算される金額は「贈与時価額-被害額」なのに、「被害額そのもの」と取り違える点。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の相続税法第21条の9等
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.8 ↗(www.jafp.or.jp)
相続税の物納に充てることができる財産の順位
資産承継・相続設計 · 物納適格財産 / 物納充当順位 / 物納劣後財産
相続税の物納に充てることができる財産の順位に関する表の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる適切な語句の番号を語群より選択しなさい。 【物納に充てることができる財産の順位】 第1順位: ① 不動産、船舶、国債証券、( ア )、( イ )等 ② 不動産および( イ )のうち物納劣後財産に該当するもの 第2順位: ③ ( ウ )等 ④ ( ウ )のうち物納劣後財産に該当するもの 第3順位: ⑤ 動産 <語群> 1.社債証券 2.地方債証券 3.金融債証券 4.上場株式 5.非上場株式 6.証券投資信託受益証券 7.貴金属(金、白金、銀)
- 1
- 社債証券
- 2
- 地方債証券
- 3
- 金融債証券
- 4
- 上場株式
- 5
- 非上場株式
- 6
- 証券投資信託受益証券
- 7
- 貴金属(金、白金、銀)
解答・解説を表示
解答
(ア) 2 (イ) 4 (ウ) 5
解説
相続税の物納に使える財産には、法律で順位が決められています。第1順位は不動産・船舶・国債証券・地方債証券・上場株式などです。第2順位は非上場株式など、第3順位は動産です。
解き方
- 相続税法における物納充当可能財産の優先順位(第1順位〜第3順位)を確認します。
- 第1順位の債券・株式として、国債証券・地方債証券・上場株式などを当てはめ、空欄(ア)に地方債証券(2)、(イ)に上場株式(4)を特定します。
- 第2順位に置かれている非上場株式などを空欄(ウ)に特定し、番号「5」を選びます。
小問ごとの答え
- 小問 ア:2
- 第1順位①の国債証券に並ぶ公債証券は「地方債証券」が入るため、語群の番号「2」が適切です。
- 小問 イ:4
- 第1順位に含まれる株式等の有価証券は「上場株式」等であるため、語群の番号「4」が適切です。
- 小問 ウ:5
- 第2順位として規定されているのは「非上場株式」等であるため、語群の番号「5」が適切です。
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覚えるポイント
- 物納の充当順位は第1順位(不動産・船舶・国債・地方債・上場株式等)、第2順位(非上場株式等)、第3順位(動産)である。
間違えやすいところ
- 上場株式と非上場株式で順位が異なり、換金しやすい上場株式が第1順位、非上場株式が第2順位となる点を取り違えやすい。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の相続税法第42条(物納の要件および充当順位)に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.8 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
個人情報保護法における義務と漏えい事案の報告・通知義務
関連業法・職業倫理 · 個人情報保護法 / 個人情報の定義 / 第三者提供 / 漏えい等の報告義務
個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)について、①「個人情報」の定義およびFPが顧客の個人情報を扱うに当たっての「取得・利用」または「第三者への提供」に係る留意事項について説明したうえで、②個人情報保護委員会への報告義務がある個人データ等の漏えい等の事案を一つ例示し、①と②を合わせて300字程度で述べなさい。
解答・解説を表示
解答
個人情報とは、生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日などにより、特定の個人を識別することができる情報や個人識別符号が含まれる情報をいう。なお、個人情報取扱事業者であるFPが、顧客の個人情報を取得・利用する場合、利用目的を特定して公表または通知することを要し、目的外で利用してはならず、税理士等の第三者に個人情報を提供する場合は、原則としてあらかじめ顧客の承諾を得なければならない。また、個人情報保護委員会への報告および本人への通知義務がある個人データ等の漏えい等の事案としては、不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがあるクレジットカード番号を含む個人データの漏えいなどがある。(297文字)
解説
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得するときに利用目的を決めて通知するなどし、原則として第三者に提供するときは本人の事前の同意が要ります。また、個人の権利利益を害するおそれが大きい一定の漏えいなどが起きたときは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が法律で義務づけられています。
解き方
- 個人情報保護法における「個人情報」の定義(生存する個人、特定の個人の識別可能性、個人識別符号)を書きます。
- FP実務での「取得・利用」の注意点(利用目的の特定・通知・公表、目的外利用の禁止)や「第三者提供」の注意点(本人の事前同意が必要)を書きます。
- 委員会への報告と本人への通知が義務づけられる漏えいなどの種類(不正利用による財産的被害のおそれがある要配慮個人情報やクレジットカード情報などの漏えい)を1つ示し、全体を300字程度にまとめます。
覚えるポイント
- 個人データ漏えい時、要配慮個人情報の漏えい、財産的被害が生じるおそれのある漏えい(クレカ情報等)、不正アクセス等故意による漏えい、1,000人超の漏えい等は報告・本人通知が義務化されている。
間違えやすいところ
- 第三者提供のときに本人の同意は原則不要だと間違えたり、亡くなった人の情報も個人情報保護法の対象に含まれると混同しやすい。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の個人情報の保護に関する法律(2020年・2022年施行改正を含む)に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.9 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
配当所得に係る総合課税と配当控除の計算
タックスプランニング · 所得税 / 配当所得 / 総合課税 / 配当控除
昭夫さんは上場株式およびJ-REITを保有しており、2025年分の配当所得すべてについて総合課税による確定申告を行うこととした。昭夫さんの課税総所得金額が1,032万円、2025年中の配当金・分配金の内訳が「XQ社(内国法人株式):26万円」「XR社(内国法人株式):23万円」「XS社(外国法人株式):10万円」「ZO投資法人(J-REIT):8万円」「ZP投資法人(J-REIT):9万円」である場合、所得税において適用を受けることができる配当控除の金額として最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
配当控除とは、法人税と所得税の二重課税を調整するための税額控除です。原則として、国内に本店のある内国法人からの配当にだけ使えます。外国法人の配当や、J-REIT(投資法人)の分配金は対象外です。課税総所得金額等から配当所得を引いた額が1,000万円以下でも、全体が1,000万円を超えるときは、1,000万円までの部分は10%、超える部分は5%の率を使います。
解き方
- 配当控除の対象になる配当所得を選びます。XQ社の26万円とXR社の23万円を合わせて49万円です。外国株式とJ-REITは対象外です。
- 課税総所得金額等1,032万円から対象の配当所得49万円を引くと983万円です。これは1,000万円以下だと確認します。
- 1,000万円以下の部分は17万円なので、これに10%をかけます。1,000万円を超える32万円には5%をかけます。合計は17,000円+16,000円で33,000円です。
- 選択肢 1正解
- 対象の配当所得49万円のうち、1,000万円以下の17万円には10%、1,000万円超の32万円には5%がかかります。合計33,000円が正しい金額です。
- 選択肢 2不正解
- 外国法人株式やJ-REITを配当控除の対象に含めたり、控除率の分け方を間違えたりしたときの金額で、誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 対象になる配当所得の見分けや、1,000万円を超える部分の計算が正しくできていないときの金額で、誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 配当と分配金の全額76万円に、控除率10%をそのままかけたときの金額で、誤りです。
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覚えるポイント
- 配当控除の対象は内国法人の配当等に限られ、外国法人株式やJ-REITの分配金は対象外となる点に注意する。
間違えやすいところ
- J-REIT(投資法人)の分配金を、株式の配当と同じように配当控除の対象にしてしまう間違いです。
- 課税総所得金額等が1,000万円を超えるときに、配当所得の全額に5%をかけてしまう間違いです。
出題の前提:特に指示のない限り、2025年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.11 ↗(www.jafp.or.jp)
定期保険特約付終身保険の保険金・給付金および特約請求額の計算
リスク管理 · 生命保険 / 定期保険特約付終身保険 / 特定疾病保障定期保険特約 / 医療総合特約 / リビング・ニーズ特約
裕太さんが加入している定期保険特約付終身保険(主契約終身500万円、定期特約本人1,500万円・妻6割、特定疾病保障特約300万円、傷害特約500万円、医療総合特約本人日額10,000円・妻6割、リビング・ニーズ特約付帯)に関して、以下の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を求めなさい。 ・裕太さんが2025年10月に膵臓がんと診断確定され、20日間入院し、所定の手術(倍率40倍)を受けた場合に支払われる保険金・給付金の合計は( ア )万円である。また、受取後の2025年11月に余命6か月以内と判断された場合、リビング・ニーズ特約を利用して請求できる最大金額は( イ )万円である。 ・早希さんが2025年10月に交通事故に遭い10日間入院し、所定の手術(倍率10倍)を受けた場合に支払われる保険金・給付金の合計額は( ウ )万円である。
解答・解説を表示
解答
(ア) 360(万円) (イ) 2,000(万円) (ウ) 12(万円)
解説
特定疾病保障特約は、がんなど決められた事由に当てはまると保険金が支払われ、その後は特約がなくなります。そのため、以後の死亡保険金には入りません。リビング・ニーズ特約は、余命6か月以内と診断されたときに、残った死亡保険金(ふつうは3,000万円まで)を前もって請求できる制度です。本人・妻型の特約では、妻の保障額が決まった割合(この問題では6割)になる点に注意します。
解き方
- 空欄(ア):裕太さんの膵臓がんの診断で特定疾病保険金300万円が出ます。入院は20日分で20万円、手術は40倍で40万円です。合計は360万円です。
- 空欄(イ):特定疾病保険金を受け取ると、特定疾病保障特約はなくなります。残りの死亡保険金は主契約500万円と定期特約1,500万円で、合わせて2,000万円です。これは3,000万円の範囲内です。
- 空欄(ウ):早希さん(妻)の医療日額は10,000円の6割で6,000円です。入院10日分は6万円、手術10倍分は6万円です。合計は12万円です。
小問ごとの答え
- 小問 ア:360
- 特定疾病保障定期保険特約の特定疾病保険金300万円、医療総合特約の入院給付金(10,000円×20日=20万円)、手術給付金(10,000円×40倍=40万円)の合計で360万円となります。
- 小問 イ:2,000
- 特定疾病保険金が支払われたことで特定疾病保障特約は消滅します。残存する死亡保険金は主契約(終身保険)500万円と定期保険特約1,500万円の合計2,000万円であり、リビング・ニーズ特約の請求限度額(通算3,000万円)の範囲内であるため、最大請求額は2,000万円となります。
- 小問 ウ:12
- 早希さん(妻)の医療総合特約の給付日額は本人の6割であるため6,000円です。入院給付金は6,000円×10日=6万円、手術給付金は6,000円×10倍=6万円となり、合計で12万円となります。
覚えるポイント
- 特定疾病保障特約で保険金が支払われると特約は消滅し、死亡保険金・リビングニーズ特約の対象額が減少する。
- 妻型保障における給付額の縮小割合(本人の6割など)を見落とさずに適用する。
間違えやすいところ
- 特定疾病保険金を受け取ったあとも、特約の死亡保障が残っていると勘違いして、リビング・ニーズの請求額を2,300万円としてしまう間違いです。
- 妻の給付日額を本人と同じ10,000円で計算して、合計を20万円としてしまう間違いです。
出題の前提:特に指示のない限り、2025年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.12 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.13 ↗(www.jafp.or.jp)
育児・介護休業法に基づく介護支援制度と介護休業給付金
ライフプランニングと資金計画 · 介護休業制度 / 介護休暇 / 時間外労働の制限 / 介護休業給付金
家族の介護を行う労働者が利用できる制度および公的給付に関する次の記述について、空欄(ア)~(エ)にあてはまる適切な語句の番号を語群より選択しなさい。 ・介護休業:労働者は、事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき通算93日まで、( ア )を上限として、分割して介護休業を取得することができる。 ・介護休暇:労働者は、要介護状態にある対象家族が1人の場合、1年度に( イ )まで、対象家族が2人以上の場合、1年度に10日まで、1日単位または時間単位で介護休暇を取得することができる。 ・時間外労働の制限:労働者は、1回の請求につき1ヵ月以上1年以内の期間で、1ヵ月につき( ウ )、1年につき150時間を超える時間外労働の制限を請求することができる。 ・介護休業給付金:雇用保険の被保険者は、要介護状態にある対象家族を介護するために介護休業を取得した場合、一定の要件を満たしたときは、1支給単位期間ごとに、原則として「休業開始時賃金日額×支給日数×( エ )」の額が支給される。 <語群> 1. 2回 2. 3回 3. 4回 4. 5日 5. 10日 6. 15日 7. 6時間 8. 24時間 9. 48時間 10. 50% 11. 67% 12. 75%
解答・解説を表示
解答
(ア) 2、(イ) 4、(ウ) 8、(エ) 11
解説
育児・介護休業法は、家族の介護と仕事を両立できるようにする法律です。介護休業(通算93日、3回まで分割)、介護休暇(年5日または10日)、時間外労働の制限(月24時間・年150時間)などの決まりがあります。また、雇用保険から、介護休業中の所得を補う介護休業給付金が出ます。金額は賃金日額の67%です。
解き方
- 育児・介護休業法で決まっている、介護休業を分けられる回数(最大3回)と、介護休暇の日数(対象家族1人につき年5日)を確認します。
- 時間外労働の制限は月24時間までです。介護休業給付金の支給率は67%です。この2つを当てはめて、語群から番号を選びます。
小問ごとの答え
- 小問 ア:2
- 育児・介護休業法に基づき、介護休業は対象家族1人につき通算93日まで、最大3回に分割して取得することができます。
- 小問 イ:4
- 介護休暇は、要介護状態の対象家族が1人の場合は1年度に5日、2人以上の場合は1年度に10日まで取得可能です。
- 小問 ウ:8
- 介護のための時間外労働の制限(残業免除等)では、1ヵ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働が制限されます。
- 小問 エ:11
- 雇用保険から支給される介護休業給付金の給付率は、休業開始時賃金日額の67%(支給日数乗算)です。
覚えるポイント
- 介護休業は対象家族1人につき通算93日・最大3回まで分割可能
- 介護休暇は対象家族1人につき年5日、2人以上なら年10日
- 時間外労働制限は1ヵ月24時間・年150時間、介護休業給付金は67%
間違えやすいところ
- 介護休業給付金の率を、高年齢雇用継続給付の15%や、昔の育児休業の後半50%と間違えないようにします。
- 介護休暇の日数は、対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日です。ここを取り違えないようにします。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の育児・介護休業法および雇用保険法
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.13 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
公的年金の老齢給付額(老齢基礎年金および老齢厚生年金)の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 配偶者加給年金
裕太さん(1972年6月18日生)が今後も現在の会社に勤め続け、65歳に達した日に退職した場合の公的年金加入歴に基づき、65歳時点において受け取ることができる公的年金の老齢給付の額として、正しいものを次の選択肢の中から1つ選びなさい。 <条件等> ・20歳~1995年3月(34月):国民年金第1号被保険者(未納) ・1995年4月~2003年3月(96月):厚生年金被保険者(平均標準報酬月額32万円) ・2003年4月~60歳(350月):厚生年金被保険者(平均標準報酬額54万円) ・60歳~65歳(60月):厚生年金被保険者(平均標準報酬額54万円) ・老齢基礎年金満額:831,700円 ・経過的加算の定額部分単価:1,734円(上限480月) ・老齢厚生年金には配偶者加給年金額415,900円を加算する。 ・計算過程および解答は円未満四捨五入とする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
65歳から受け取れる公的年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。老齢基礎年金は、20歳から60歳までの保険料を納めた月数などに応じて決まります。老齢厚生年金は、報酬比例部分、経過的加算額、配偶者加給年金額からできています。経過的加算額は、定額部分と基礎年金相当額の差額です。配偶者加給年金額は、厚生年金に20年以上加入していた人に加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金を計算します。20歳から60歳までの納付済月数は、厚生年金の期間だけで96月+350月=446月です。831,700円×446月÷480月を計算し、円未満を四捨五入して772,788円です。
- 報酬比例部分を計算します。2003年3月以前は320,000円×7.125÷1,000×96月で218,880円です。2003年4月以後は540,000円×5.481÷1,000×410月で1,213,493円です。合計は1,432,373円です。
- 経過的加算額を計算します。定額部分相当額は1,734円×480月で832,320円です。厚生年金は通算506月ですが、上限の480月を使います。基礎年金相当額は772,788円です。差額は832,320円-772,788円で59,532円です。
- 老齢厚生年金の額を合わせます。報酬比例部分1,432,373円と経過的加算59,532円、配偶者加給年金額415,900円を足して1,907,805円です。
- 公的年金の老齢給付の総額を出します。老齢基礎年金772,788円と老齢厚生年金1,907,805円を足して2,680,593円です。
- 選択肢 1不正解
- 配偶者加給年金額415,900円を足し忘れるなど、年金の計算のしかたが間違っています。
- 選択肢 2不正解
- 経過的加算額59,532円などが正しく入っていないため、誤りです。
- 選択肢 3正解
- 老齢基礎年金772,788円と老齢厚生年金1,907,805円を合わせた2,680,593円で、正解です。
- 選択肢 4不正解
- 経過的加算の上限480月や、老齢基礎年金の月数の割り方に間違いがあります。
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覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の厚生年金被保険者期間には上限480月がある
- 基礎年金相当額および老齢基礎年金の月数には20歳以上60歳未満の期間のみを算入する
間違えやすいところ
- 60歳以降の厚生年金の期間60月を、老齢基礎年金や基礎年金相当額の月数に入れてしまう間違いです。
- 経過的加算の定額部分で、厚生年金の総月数506月をそのままかけ、上限の480月を忘れてしまう間違いです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法(出題資料の計算式・満額・加給年金基準)
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.15 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積の最高限度の計算
不動産運用設計 · 建蔽率の緩和 / 防火地域・準防火地域 / 角地緩和 / 建築面積の最高限度
裕太さんの友人の岡村さんは、店舗兼住宅(耐火建築物)を建築することを検討している。以下の資料に基づき、この土地に建物を建築する場合の建築面積の最高限度(㎡)を計算しなさい。 <敷地・地域の条件> ・敷地形状:南北の奥行き9m、東西の間口25m(第二種中高層住居専用地域部分が10m、商業地域部分が15m) ・第二種中高層住居専用地域:指定建蔽率50%、準防火地域 ・商業地域:指定建蔽率80%、防火地域 ・特定行政庁が指定する角地に該当する(南側幅員6m市道、東側幅員6m市道)。
解答・解説を表示
解答
198㎡
解説
建物が2つ以上の用途地域にまたがるときは、建築面積の最高限度を次のように出します。それぞれの地域の敷地面積に、その地域で使える建蔽率をかけます。その結果を足し合わせます。耐火建築物や角地による建蔽率の緩和を、それぞれの地域に正しく当てはめることが大切です。
解き方
- それぞれの地域の敷地面積を出します。第二種中高層住居専用地域は奥行き9m×間口10mで90㎡です。商業地域は奥行き9m×間口15mで135㎡です。合計は225㎡です。
- 第二種中高層住居専用地域の建蔽率を出します。指定の50%に、角地なので10%、準防火地域の耐火建築物なので10%が足され、合計70%です。
- 商業地域の建蔽率を出します。指定は80%ですが、防火地域内の耐火建築物なので、建築基準法第53条により制限がなくなり100%になります。
- それぞれの地域の建築面積の限度を出して足します。住専地域は90㎡×70%で63㎡、商業地域は135㎡×100%で135㎡です。合計は198㎡です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 指定建蔽率80%の地域かつ防火地域内の耐火建築物は建蔽率制限が適用除外(100%)となる。
- 特定行政庁が指定する角地緩和(+10%)と防火・耐火性に応じた緩和(+10%)は併用可能である。
間違えやすいところ
- 商業地域の建蔽率に角地の緩和を足して90%や110%と間違え、100%になる決まりを見落とす間違いです。
- 敷地全体が角地のとき、住専地域の部分に角地の緩和10%を足し忘れる間違いです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の建築基準法第53条(建蔽率、地域按分、緩和要件)
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.15 ↗(www.jafp.or.jp)
所得税における医療費控除の対象範囲および帰属年分等の判定
タックスプランニング · 医療費控除 / 人間ドックの費用 / 支払年分の原則 / インプラント治療費 / 通院交通費
松尾裕太さんは、2025年分の所得税の確定申告における医療費控除について税理士に相談した。医療費控除に関する次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 (ア)裕太さんが、2025年5月に人間ドックを受診し、支払った検査料は、異常が見つからなかった場合でも、裕太さんの2025年分の医療費控除の対象になる。 (イ)美佳さんが2024年12月にスノーボード中に骨折して入院し、裕太さんが2025年1月に支払った入院費は、裕太さんの2025年分の医療費控除の対象になる。 (ウ)裕太さんが、2025年7月に失った歯の機能回復を目的に行ったインプラント治療を受け、支払った費用は、保険外診療(自費診療)であった場合でも、一般的に支出される水準であれば裕太さんの2025年分の医療費控除の対象になる。 (エ)早希さんが2025年8月に膝の治療を受け、通院のために裕太さんが支払った交通費が、電車代が2,000円、自家用車のガソリン代と駐車場代が3,000円の場合、電車代の2,000円のみが裕太さんの2025年分の医療費控除の対象になる。
解答・解説を表示
解答
(ア) × (イ) ○ (ウ) ○ (エ) ○
解説
医療費控除は、自分や、生計を一緒にする配偶者・親族のために払った決まった医療費について受けられる所得控除です。対象になるかは、治療のためかどうかと、社会通念上ふつうの金額かどうかで判断します。また、実際に支払った年の分として扱います(現金主義)。
解き方
- (ア)人間ドックなどの健康診断の費用は、異常が見つからず治療につながらなかったときは、医療費控除の対象外だと判断します。
- (イ)医療費控除は、治療を受けたときではなく、実際にお金を払った年の分です。なので2025年1月に払った分は2025年分の対象になります。
- (ウ)インプラント治療は自費診療でも、歯の機能回復を目的としたふつうの治療費の範囲なら、医療費控除の対象になると判断します。
- (エ)通院の費用のうち、電車などの公共交通機関の運賃は対象になります。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 人間ドックや健康診断の費用は、疾病の治療を伴うものではないため原則として医療費控除の対象外です。検査の結果、重大な疾病が発見され引き続き治療を行った場合に限り対象となります。
- 小問 イ:○
- 医療費控除は実際に支払った年分の控除対象となる現金主義が適用されるため、前年中の治療であっても2025年1月に支払った生計を一にする親族の医療費は2025年分の対象となります。
- 小問 ウ:○
- インプラント治療費は保険外診療(自由診療)であっても、歯の機能回復を目的として一般的に支出される水準の範囲内であれば医療費控除の対象と認められます。
- 小問 エ:○
- 通院のために支出した電車やバス等の公共交通機関の運賃は医療費控除の対象になりますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金は対象外となるため、電車代の2,000円のみが対象です。
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覚えるポイント
- 医療費控除の帰属年は「現実に支払った年」で判断する(現金主義)。
- 人間ドックは異常発見後の治療継続がなければ控除対象外となる。
- 自家用車通院のガソリン代・駐車料金は通院費として認められない。
間違えやすいところ
- 入院や治療を受けた年と、実際に医療費を払った年が違うときに、治療した年の控除だと間違えるミスです。
- インプラント治療などの自由診療(自費診療)を、すべて医療費控除の対象外だと間違えるミスです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の所得税法第73条(医療費控除)および所得税基本通達73-3~73-8
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.16 ↗(www.jafp.or.jp)
不動産所得の減価償却費の計算
タックスプランニング · 減価償却費 / 不動産所得 / 定額法 / 建物・建物附属設備・構築物
天野さんが父から相続した土地に賃貸アパートを建設し、2025年7月1日より事業の用に供している。資料の条件(必要経費が最大になる方法を選択し、定率法が選択できる減価償却資産は定率法を選択して届け出ているものとする)に基づき、天野さんの2025年分の所得税における不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入すべき減価償却費の金額として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税法では、1998年4月1日以後に取得した建物と、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備・構築物の償却方法は、すべて定額法だけです。定率法は選べません。また、年の途中から業務に使い始めた資産の減価償却費は、その年に業務で使った月数で月割りして計算します。
解き方
- それぞれの資産の取得時期を確認します。2016年4月1日以後に取得した建物・建物附属設備・構築物は、すべて定額法だけだと確認します。
- 2025年7月1日から事業に使い始めたので、2025年分の使用月数は7月から12月までの6か月です。6/12で月割り計算します。
- 建物は48,000,000円×0.046×6/12で1,104,000円です。建物附属設備は5,000,000円×0.067×6/12で167,500円です。構築物は1,800,000円×0.100×6/12で90,000円です。合計は1,361,500円です。
- 選択肢 1正解
- 建物・建物附属設備・構築物のすべてに定額法を使い、6か月分の減価償却費を合わせた1,361,500円なので、適切です。
- 選択肢 2不正解
- 構築物に間違えて定率法(償却率0.200)を使ったときの金額1,451,500円で、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 建物附属設備と構築物の両方に間違えて定率法(償却率0.133、0.200)を使ったときの金額1,616,500円で、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 間違えて定率法を使ったうえ、年の途中の月割り計算(6/12)を忘れて1年分で計算したときの金額などで、不適切です。
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覚えるポイント
- 2016年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物の減価償却方法は定額法のみ。
- 年の途中で事業の用に供した資産の減価償却費は月割計算を行う。
間違えやすいところ
- 問題文に「定率法を選べる資産は定率法を選ぶ」とあっても、2016年4月以降に取得した建物附属設備・構築物は定率法を選べません。ここを見落としやすいです。
- 事業に使い始めたのが7月1日なのに、月割り計算(6/12)を忘れて1年分で計算してしまう間違いです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の法令等
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.16 ↗(www.jafp.or.jp)
養子縁組・相続放棄と代襲相続における法定相続分
相続・事業承継 · 法定相続分 / 代襲相続 / 相続放棄 / 養子縁組
2025年8月に被相続人・和彦さんが死亡した。和彦さんの相続人等関係図において、配偶者・玲子さんがおり、子として正隆さん、照美さん(死亡)、清江さん、義文さん(相続放棄)がいる。照美さんは1995年に普通養子となり2023年に死亡、その子である洋平さん(1997年生)と理沙さん(2000年生)は照美さんの相続を放棄している。この場合における洋平さんの民法上の法定相続分として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続を放棄した人は、初めから相続人ではなかったとみなされます。そのため、その子には代襲相続が起きません。被相続人より先に亡くなった子がいる場合は、その直系卑属が代襲相続人になります。養子縁組の後に生まれた養子の子は代襲相続権を持ちます。その子が被代襲者の相続を放棄していても、被相続人の代襲相続権は失いません。
解き方
- 相続放棄の影響を考えます。義文さんが相続放棄したので、義文さんは相続人から外れます。その子の徹さんへの代襲相続も起きません。
- それぞれの血族の相続分を決めます。配偶者の玲子さんが1/2、子全体で1/2です。有効な子は正隆さん・照美さん・清江さんの3系統なので、1系統あたりは1/2÷3で1/6です。
- 代襲相続人の資格と相続分を出します。洋平さんと理沙さんは養子縁組の後に生まれています。照美さんの相続を放棄していても、和彦さんの代襲相続人になれます。照美さんの相続分1/6を2人で等分するので、洋平さんは1/6×1/2で1/12です。
- 選択肢 1不正解
- 被代襲者(母・照美)の相続を放棄していても、被相続人(祖父・和彦)の代襲相続人になる権利は失いません。なのでゼロは不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 照美さんの系統全体の相続分1/6のままで、代襲相続人の洋平さんと理沙さんの2人で分けていないため、不適切です。
- 選択肢 3正解
- 義文さんの相続放棄により、子の相続分1/2を3系統で分けた1/6を、代襲相続人2人で等分した1/12なので、適切です。
- 選択肢 4不正解
- 義文さんの相続放棄を考えずに、子を4系統として計算したときの数値(1/8×1/2=1/16)で、不適切です。
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覚えるポイント
- 相続放棄した者の子には代襲相続は発生しない。
- 被代襲者の相続を放棄していても、被相続人の相続における代襲相続権は失われない。
- 養子の子が代襲相続人になれるのは、養子縁組後に生まれた子に限られる。
間違えやすいところ
- 被代襲者の相続を放棄した子は代襲相続人になれないと勘違いして、ゼロを選んでしまう間違いです。
- 相続放棄した子を人数から外すのを忘れて、子を4人として計算してしまう間違いです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の法令等
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.17 ↗(www.jafp.or.jp)
遺留分の割合と遺留分侵害額の計算
相続・事業承継 · 遺留分算定の基礎財産 / 総体的遺留分 / 遺留分侵害額請求権
泰三さんの遺言作成および遺留分に関する大地さんの説明について、空欄(ア)~(エ)にあてはまる適切な語句・数値を語群から選びなさい。 <資料> ・相続人:配偶者、長男、二男 ・遺留分を算定するための財産の価額:2,800万円 ・指定相続分に基づく財産の価額:配偶者2,100万円、長男400万円、二男300万円(生前贈与なし) <説明> ・兄弟姉妹以外の相続人には遺留分が認められており、直系尊属のみが相続人である場合は遺留分を算定するための財産の価額に( ア )を乗じた価額が、それ以外の場合は( イ )を乗じた価額が総体的遺留分となります。 ・各人の個別の遺留分は、遺留分権利者が複数いる場合、総体的遺留分に法定相続分を乗じた価額となり、遺留分権利者およびその承継人は、受遺者または受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する( ウ )を請求することができ、これを遺留分侵害額請求権といいます。遺留分侵害額の負担の順序は定められており、受遺者と受贈者があるときは、受遺者が先に負担するとされています。 ・<資料>のケースでは、二男が他の相続人等に対して請求することができる遺留分侵害額に相当する額は( エ )です。 <語群> 1. 2分の1 2. 3分の1 3. 4分の1 4. 金銭の支払い 5. 遺産の分割 6. 50万円 7. 75万円
- 1
- 2分の1
- 2
- 3分の1
- 3
- 4分の1
- 4
- 金銭の支払い
- 5
- 遺産の分割
- 6
- 50万円
- 7
- 75万円
解答・解説を表示
解答
(ア) 2 (イ) 1 (ウ) 4 (エ) 6
解説
遺留分とは、決まった法定相続人に保障された、最低限の遺産取得割合です。相続人に配偶者や子がいるときの総体的遺留分は、被相続人の財産の2分の1です。直系尊属だけのときは3分の1です。遺留分侵害額は、お金で支払うよう請求します。
解き方
- 相続人が配偶者と子だと確認します。このとき総体的遺留分は2分の1です。
- 遺留分算定の基礎財産2,800万円に、総体的遺留分1/2と二男の法定相続分1/4をかけます。二男の個別遺留分額は350万円です。
- 二男の個別遺留分額350万円から、遺言で取得した300万円を引きます。遺留分侵害額は50万円です。
小問ごとの答え
- 小問 ア:2
- 相続人が直系尊属のみである場合、総体的遺留分の割合は被相続人の財産の「3分の1」となります。
- 小問 イ:1
- 直系尊属のみが相続人である場合を除き、配偶者や子などの相続人がいる場合の総体的遺留分は「2分の1」です。
- 小問 ウ:4
- 民法改正により、遺留分侵害額請求権の行使によって生じる権利は、目的財産の物権的返還請求ではなく「金銭の支払い」を請求する金銭債権化されました。
- 小問 エ:6
- 総体的遺留分は2,800万円×1/2=1,400万円であり、二男の法定相続分は1/4であるため二男の遺留分額は350万円となります。二男の取得財産は300万円であるため、侵害額は350万円-300万円=50万円です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 直系尊属のみが相続人の場合は総体的遺留分1/3、それ以外(配偶者・子)は1/2となる。
- 民法改正により遺留分減殺請求権は金銭債権である遺留分侵害額請求権へと改められた。
間違えやすいところ
- 兄弟姉妹には遺留分が認められていません。ここに注意します。
- 遺留分の請求は、物を返してもらうのではなく、お金で払ってもらう請求です。ここを取り違えないようにします。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の民法第1042条、第1046条等の規定に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.18 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
死亡保険金の非課税限度額と課税価格算入額の計算
相続・事業承継 · 生命保険金の非課税限度額 / 相続を放棄した者の受取保険金 / 非課税枠の按分計算
被相続人の死亡に伴い、各受取人が生命保険金を受け取った。被相続人の配偶者が受け取った死亡保険金2,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額(生命保険金の非課税金額控除後の金額)として、正しいものはどれか。 <資料> ・相続人の構成:配偶者、長男、二男、長女(相続放棄) ・生命保険契約(契約者・被保険者はいずれも被相続人): LA保険:受取人 配偶者、金額 2,000万円 LB保険:受取人 長男、金額 1,500万円 LC保険:受取人 二男、金額 1,500万円 LD保険:受取人 長女、金額 3,000万円
解答・解説を表示
解答
1
解説
死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算します。この法定相続人の数には、相続放棄をした人も入れます。ただし、非課税の適用を受けられるのは相続人だけで、放棄した人は受けられません。各相続人の非課税額は、放棄していない相続人が受け取った保険金の合計を分母にして分けます。
解き方
- 法定相続人の数を確認します。長女が相続放棄しても、法定相続人の数には入れます。配偶者・長男・二男・長女の4人です。
- 全体の非課税限度額を計算します。500万円×4人で2,000万円です。
- 非課税の適用を受けられる相続人の保険金を合計します。放棄した長女を除き、配偶者2,000万円と長男1,500万円、二男1,500万円で5,000万円です。
- 配偶者の非課税額を分けて計算します。2,000万円×(2,000万円÷5,000万円)で800万円です。
- 配偶者の課税価格に入る額を出します。2,000万円-800万円で1,200万円です。
- 選択肢 1正解
- 配偶者の受取額2,000万円から、非課税額800万円を引いた1,200万円なので、適切です。
- 選択肢 2不正解
- 按分の分母に長女の保険金額を入れるなど、計算を間違えた金額で、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 法定相続人の数から相続放棄した人を外して計算したときなどの金額で、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 受け取った人全体で保険金を分けるなど、当てはめ方を間違えた金額で、不適切です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 生命保険金の非課税限度額の「法定相続人の数」には、相続放棄をした者も含まれる。
- 相続を放棄した本人は非課税の適用を受けられず、按分計算の分母(取得合計額)にも含まれない。
間違えやすいところ
- 相続放棄した人を法定相続人の数から外して、3人で計算してしまう間違いです。
- 非課税枠を分けるときの分母に、相続権を失った放棄者の受取保険金額を入れてしまう間違いです。
出題の前提:2025年4月1日現在施行の相続税法第12条第1項第5号および第15条第2項の規定に基づく。
出典:日本FP協会『2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.19 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)
参照した公式資料
日本FP協会が公開した2025年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の問題・解答資料です。

