日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の概要
仕組債の償還条件と価格推移シナリオの判定
金融資産運用 · 仕組債 / 早期償還(ノックアウト) / ノックイン / 満期償還
卓也さんは、以前に金融機関で案内された早期償還条項付ノックイン型日経平均リンク債の仕組みについてFPに相談した。提示された株価推移グラフ(シナリオ1~4)に基づき、次の空欄(ア)~(エ)にあてはまる組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。 「シナリオ1~4のうち、額面100%で満期償還されるのは、ノックイン事由が発生しないまま最終評価日を迎えた( ア )の場合と、ノックイン事由が発生したものの、最終評価日の日経平均株価が当初日経平均株価を上回った( イ )の場合です。また、( ウ )の場合、額面100%で早期償還され、( エ )の場合、額面割れ(日経平均株価の下落率に連動)で満期償還されます。」
解答・解説を表示
解答
3
解説
ノックイン型仕組債(対象株価などに連動する債券)は、ノックイン水準を下回らなければ満期に額面で償還されます。なぜなら、一度もノックインしなければ元本割れの条件が働かないからです。ただし、一度でもノックイン水準を下回ると、最終評価日に当初水準まで戻っていなければ、指標の下落率に応じて額面割れで満期償還されます。早期償還判定水準に達したときは、満期前でも額面100%で早期償還(ノックアウト)されます。
解き方
- 各シナリオの動きを資料グラフで確認し、早期償還判定水準を上回って早く償還されたシナリオ1を(ウ)と特定します。
- ノックイン水準を一度も下回らずに満期を迎えたシナリオ2を(ア)と特定します。
- 一度ノックイン水準を下回ったものの、最終評価日に当初株価を上回ったシナリオ3を(イ)と特定します。
- 一度ノックイン水準を下回り、最終評価日にも当初株価を下回って額面割れとなるシナリオ4を(エ)と特定します。
- 選択肢 1不正解
- (ア)にシナリオ1、(ウ)にシナリオ3が入っていて、早期償還と満期償還の判断が正しくありません。
- 選択肢 2不正解
- (ア)にシナリオ1が入っているなど、各シナリオのわり当てが誤っています。
- 選択肢 3正解
- (ア)シナリオ2、(イ)シナリオ3、(ウ)シナリオ1、(エ)シナリオ4となり、すべての条件にぴったり合っています。
- 選択肢 4不正解
- 早期償還の(ウ)がシナリオ4、額面割れで満期償還の(エ)がシナリオ1となっていて誤りです。
覚えるポイント
- ノックイン未発生なら満期額面償還、ノックイン発生でも最終株価が当初以上なら額面償還となる。
間違えやすいところ
- ノックイン事由が発生しても、最終評価日の株価が当初株価を上回っていれば額面で償還される点を見落とさないようにします。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令・出題条件に基づく
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.3 ↗(www.jafp.or.jp)
医療保険の給付金支払要件・解約返戻金・先進医療特約の判定
リスク管理 · 医療保険 / 給付金計算 / 解約返戻金 / 先進医療特約
浩二さんが加入している医療保険(2012年5月1日契約、保険期間終身、払込期間10年、死亡保険金不担保特則付加、入院日額10,000円、1入院60日限度、三大疾病通算無制限)に関する加瀬さんの次の(ア)~(ウ)の説明について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 (ア)浩二さんが2024年10月に脳血管疾患で65日間継続して入院し、その間に約款所定の手術(倍率40倍)を受けた場合、支払われる給付金の合計は105万円となる。 (イ)浩二さんが2024年10月に当契約を解約する場合、解約返戻金はない。 (ウ)浩二さんが2024年10月に先進医療による療養を受けた場合、その先進医療が厚生労働大臣の定める先進医療かつ施設基準適合の医療機関での療養で、契約日時点で規定されているものであれば給付金対象となる。
解答・解説を表示
解答
(ア)× (イ)× (ウ)×
解説
三大疾病無制限の特則は、通算の支払日数を無制限にするだけで、1入院あたりの限度日数は変わりません。なぜなら、1入院ごとの限度は別に定められているからです。また、短期払の医療保険では、保険料の払い込みが終わると少額の解約返戻金が出ることがあります。先進医療特約は、療養を受けた日現在で対象かどうかを判断します。
解き方
- (ア)では、脳血管疾患の通算限度が無制限でも1入院の限度は60日であることを確かめ、入院給付金60日分(60万円)+手術給付金40万円=100万円を計算して判定します。
- (イ)では、2012年5月契約で払込期間10年なので2024年10月は払込満了後です。日額10倍の解約返戻金があることを確かめます。
- (ウ)では、先進医療給付の対象を判断する日が「契約日時点」ではなく「療養を受けた日現在」であることを確かめて判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 脳血管疾患による入院は「通算無制限」ですが、「1入院60日限度」の支払限度は適用されるため、入院給付金は60日分(60万円)となります。手術給付金40万円と合わせて合計100万円となり、105万円ではないため不適切です。
- 小問 イ:×
- 契約日は2012年5月1日で保険料払込期間は10年であるため、2022年に払込期間が満了しています。払込期間満了後は入院給付金日額の10倍(10万円)の解約返戻金があるため、「解約返戻金はない」とする説明は不適切です。
- 小問 ウ:×
- 先進医療特約の給付対象となる先進医療は、「療養を受けた日現在」において厚生労働大臣により定められているものに限られます。契約日時点で規定されているか否かは関係ないため不適切です。
覚えるポイント
- 新三大疾病等無制限は「通算限度日数」が無制限となるだけで「1入院限度日数」は拡大されない場合が多い。
- 先進医療給付の対象は「療養を受けた時点」で厚生労働大臣が定めているものに限られる。
間違えやすいところ
- 通算無制限と1入院限度無制限を混同し、65日分すべてが支給されると誤って考えやすいです。
- 払込期間10年の満了時期を計算せず、「死亡保険金不担保特則があるので解約返戻金はない」と早合点しやすいです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令・出題条件に基づく
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.4 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.jafp.or.jp)
地震保険の制度概要と割引制度
リスク管理 · 地震保険 / 再保険 / 損害認定基準 / 建築年割引
卓也さんは将来のマンション購入後の地震保険加入について検討しており、FPの加瀬さんに相談をした。加瀬さんが行った地震保険に関する次の記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 (ア)「地震保険の保険料率は、建物の構造区分が同一であれば、都道府県ごとの差はありません。」 (イ)「地震保険は、損害保険会社が負う地震保険責任の一部を、各都道府県が再保険により引き受けることで成り立っています。」 (ウ)「地震保険の保険金が支払われる場合、損害の程度が大半損と判定されたときに支払われる保険金の額は、地震保険金額の50%です。」 (エ)「地震保険料の割引制度の一つである建築年割引の割引率は、一律10%です。」
- ア
- 地震保険の保険料率は、建物の構造区分が同一であれば、都道府県ごとの差はありません。
- イ
- 地震保険は、損害保険会社が負う地震保険責任の一部を、各都道府県が再保険により引き受けることで成り立っています。
- ウ
- 地震保険の保険金が支払われる場合、損害の程度が大半損と判定されたときに支払われる保険金の額は、地震保険金額の50%です。
- エ
- 地震保険料の割引制度の一つである建築年割引の割引率は、一律10%です。
解答・解説を表示
解答
(ア)× (イ)× (ウ)× (エ)○
解説
地震保険は、地震保険に関する法律に基づき、政府と民間の損害保険会社が共同で運営する公的な性格の強い補償制度です。なぜなら、巨額の地震被害を民間だけでは支えきれないからです。保険料率は建物の構造と所在地(都道府県)で決まり、損害区分(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて定まった割合の保険金が支払われます。
解き方
- 保険料率を決める要素(構造区分・都道府県別の危険度)と、再保険の仕組み(政府が引き受ける)を確かめます。
- 損害区分ごとの支払割合(全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%)と各種割引の割引率(建築年割引10%など)を照合して正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 地震保険の保険料率は、建物の構造区分(イ構造・ロ構造)のほか、所在地である都道府県別の危険度(等地)に応じて定められており、都道府県ごとの差があります。
- 小問 イ:×
- 民間損害保険会社が負う地震保険責任は日本地震再保険株式会社に再保険され、さらにその一部を政府(国)が再保険を引き受けています。都道府県が再保険を引き受ける仕組みではありません。
- 小問 ウ:×
- 地震保険において損害の程度が「大半損」と判定された場合に支払われる保険金の額は、地震保険金額の60%(時価の60%が限度)です。50%ではありません。
- 小問 エ:○
- 建築年割引は、1981年(昭和56年)6月1日以降に新築された建物であることを所定の書類で確認できた場合に適用され、割引率は一律10%です。
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覚えるポイント
- 地震保険の損害認定と支払割合:全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%
- 地震保険料の4つの割引制度(重複不可):建築年割引10%、耐震等級割引10%・30%・50%、免震建築物割引50%、耐震診断割引10%
間違えやすいところ
- 大半損の支払割合を50%と誤って覚えやすいですが、正しくは60%です。
- 再保険を引き受ける主体を都道府県と混同せず、政府(国)だと正確に覚えます。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等(地震保険に関する法律・地震保険基準料率)
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.6 ↗(www.jafp.or.jp)
育児休業および出生時育児休業(産後パパ育休)の制度要件
ライフプランニングと資金計画 · 育児・介護休業法 / 育児休業 / 出生時育児休業 / 産後パパ育休
米田さん夫婦がFPの加瀬さんに質問した「育児・介護休業法」に基づく育児休業や出生時育児休業(産後パパ育休)に関する下表の空欄(ア)~(エ)にあてはまる適切な語句を語群の中から選び、その番号を答えなさい。 【表の概要】 ・育児休業の対象期間:原則として子が1歳に達する日まで、最長( ア )に達する日まで ・出生時育児休業の対象期間:原則として子の出生日から起算して( イ )を経過する日の翌日までの期間内に4週間まで取得可能 ・育児休業の分割取得:分割して( ウ )まで取得可能(取得の際にそれぞれ申出) ・出生時育児休業の分割取得:分割して( エ )まで取得可能(初めにまとめて申し出ることが必要) <語群> 1.1歳6ヵ月 2.2歳 3.3歳 4.6週間 5.8週間 6.10週間 7.2回 8.3回 9.4回
- 1
- 1歳6ヵ月
- 2
- 2歳
- 3
- 3歳
- 4
- 6週間
- 5
- 8週間
- 6
- 10週間
- 7
- 2回
- 8
- 3回
- 9
- 4回
解答・解説を表示
解答
(ア)2 (イ)5 (ウ)7 (エ)7
解説
育児休業は原則として子が1歳に達するまで取れます。なぜなら、育児・介護休業法がそのように定めているからです。保育所に入所できないなどの要件を満たせば1歳6か月、さらに最長2歳まで延長できます。男性の育児休業を進める出生時育児休業(産後パパ育休)は、子の出生後8週間以内に最大4週間取れます。育児休業も出生時育児休業も、原則2回まで分けて取れます。
解き方
- 育児休業の延長の最長期間(1歳6か月、再延長で最長2歳)を確かめ、空欄(ア)に2(2歳)を入れます。
- 出生時育児休業(産後パパ育休)の対象期間(子の出生後8週間以内)を確かめ、空欄(イ)に5(8週間)を入れます。
- 育児休業と出生時育児休業の分けて取れる回数(どちらも2回まで)を確かめ、空欄(ウ)と空欄(エ)に7(2回)を入れます。
小問ごとの答え
- 小問 ア:2
- 育児休業は原則として子が1歳に達する日までですが、保育所に入所できない等の事由がある場合、まず1歳6か月まで、さらに特別な事情がある場合は最長「2歳」に達する日まで延長可能です。したがって「2」(2歳)が入ります。
- 小問 イ:5
- 出生時育児休業(産後パパ育休)は、原則として子の出生日(出産予定日前に出生した場合は出産予定日)から起算して「8週間」を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)まで取得できます。したがって「5」(8週間)が入ります。
- 小問 ウ:7
- 育児休業は、原則として子1人につき分割して「2回」まで取得可能です(取得の際にそれぞれ申出)。したがって「7」(2回)が入ります。
- 小問 エ:7
- 出生時育児休業(産後パパ育休)は、分割して「2回」まで取得可能です(初めにまとめて申し出ることが必要)。したがって「7」(2回)が入ります。
覚えるポイント
- 出生時育児休業(産後パパ育休):子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで取得可能、分割して2回まで取得可能
- 通常の育児休業:原則1歳まで(保育所に入所できない場合は1歳6か月、最長2歳まで延長可)、分割して2回まで取得可能
間違えやすいところ
- 育児休業の最長は1歳6か月までと思いやすいですが、再延長で最長2歳まで可能です。
- 出生時育児休業(産後パパ育休)の対象期間を「産後休業と同じ8週間」と結びつけずに、誤った週数を選びやすいです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.6 ↗(www.jafp.or.jp)
健康保険の傷病手当金の支給額計算
リスク管理 · 傷病手当金 / 待期期間 / 支給日数 / 標準報酬月額
全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者である米田卓也さんは、2024年7月に私傷病による療養のため労務不能となり、15日間欠勤して傷病手当金を請求した。次の<資料>に基づき、卓也さんが受給できる傷病手当金の合計額として、最も適切なものを1つ選びなさい。なお、欠勤日について報酬は支払われないものとし、支給要件はすべて満たしているものとする。 <資料> [卓也さんの2024年7月の勤務状況] ・7月1日:出勤 ・7月2日~3日:欠勤 ・7月4日:出勤 ・7月5日:欠勤 ・7月6日~7日:公休日 ・7月8日~12日:欠勤 ・7月13日~15日:公休日 ・7月16日~19日:欠勤 ・7月20日~21日:公休日 ・7月22日~24日:欠勤 ・7月25日~26日:出勤 ・7月27日~28日:公休日 ・7月29日~31日:出勤 [卓也さんの標準報酬月額の状況] ・2022年9月~2023年8月:410,000円 ・2023年9月~2024年8月:440,000円 [傷病手当金の1日当たりの額の計算式(円未満四捨五入)] (支給開始月以前の直近の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額×1/30〔10円未満四捨五入〕)× 2/3
解答・解説を表示
解答
3
解説
傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けないときに支給されます。なぜなら、仕事を休んだ間の生活を支えるためです。支給には、働けない状態が連続3日続く待期期間の完成が必要で、この3日には公休日も入ります。支給される日数にも公休日が入ります。1日分の額は、支給開始月の前の直近12ヵ月の標準報酬月額の平均を30で割った額(10円未満四捨五入)の3分の2です。
解き方
- 待期期間の判定:7月2日・3日の2日間では連続3日に足りず、待期はまだ完成しません。その後、7月5日(欠勤)、6日(公休)、7日(公休)の連続3日で待期が完成します(公休日も待期に入ります)。
- 支給対象日数の計算:待期が完成した翌日の7月8日から、働けない期間が終わる直前の7月24日までの17日間が対象です。期間中の公休日(13日~15日、20日~21日)も支給日数に入ります。
- 直近12ヵ月の標準報酬月額の平均の計算:支給開始月(2024年7月)の前の直近12ヵ月(2023年8月~2024年7月)は、410,000円×1月+440,000円×11月=5,250,000円で、12で割ると437,500円です。
- 1日分の額と合計の計算:437,500円÷30=14,583.33...円を10円未満四捨五入して14,580円とし、これに2/3をかけると9,720円です。支給額は9,720円×17日=165,240円です。
- 選択肢 1不正解
- 公休日を除いた欠勤日数15日だけで計算した金額(9,720円×15日=145,800円)なので不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 平均額の30分の1を10円未満四捨五入する端数処理をせずに計算したときなどの端数誤差を含む金額なので不適切です。
- 選択肢 3正解
- 1日分の9,720円に、公休日を含む待期完成後の17日間をかけた165,240円であり、最も適切です。
- 選択肢 4不正解
- 待期期間を最初の7月2日・3日から誤って数えるなどして支給日数を19日とした金額(9,720円×19日=184,680円)なので不適切です。
覚えるポイント
- 傷病手当金の待期期間および支給対象期間には、会社の公休日や有給休暇も算入されます。
間違えやすいところ
- 待期完成後の支給日数を計算するとき、土日などの公休日を除いて欠勤日数だけで計算してしまう誤りに注意します。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の健康保険法
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.7 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
住宅ローンの借入可能額および購入可能物件価格の上限計算
不動産 · 住宅ローン借入可能額 / 返済負担率 / 資金計画 / 物件価格上限
米田さん夫婦の住宅取得計画に基づき、次の<条件>に従って購入可能な物件価格(消費税込み)の上限を計算しなさい。なお、計算過程において円未満の端数が生じた場合は円未満を四捨五入し、住宅ローンの借入額および物件価格については10万円未満を切り捨てること。また、贈与税については考慮しないものとし、単位「万円」に従って解答しなさい。 <条件> ・自己資金400万円と卓也さんの父から贈与される300万円を住宅購入に充てる。これらの資金で不足する分について住宅ローンを利用する。 ・住宅ローンは卓也さんが単独で借り入れ、借入額は住宅ローンの年間元利合計返済額が2023年分の卓也さんの年収(税込み700万円)の20%以内になるようにする。 ・住宅ローンの条件:金利年2.0%(全期間固定金利)、返済期間30年(360回)、元利均等返済・毎月返済(ボーナス返済なし)、借入額100万円当たりの元利合計返済月額3,696円。 ・住宅購入のための諸費用(消費税込み)は物件価格の8%とし、準備した資金の中から充当する。
解答・解説を表示
解答
3,560(万円)
解説
住宅ローンの借入可能額は、年収に上限返済負担率を乗じた年間返済可能額から毎月返済額を求め、借入額100万円当たりの返済月額で割って計算します。なぜなら、返済できる範囲を超えないように借入額を決めるからです。購入できる物件価格は、用意できる総資金(自己資金+親からの贈与資金+住宅ローン借入額)の範囲で、物件本体価格と諸費用(物件価格に対する一定割合)の合計をまかなえる上限として求めます。
解き方
- 住宅ローンの毎月返済額の上限を計算:卓也さんの年収700万円×返済負担率20%=年間返済額上限140万円。毎月返済額上限は140万円÷12月=116,666.66...円で、円未満四捨五入して116,667円です。
- 住宅ローン借入限度額の計算:借入額100万円当たりの返済月額が3,696円なので、借入可能額=116,666.66...円÷3,696円×100万円=31,565,656...円(116,667円で計算すると31,565,746...円)。条件より10万円未満を切り捨てて3,150万円です。
- 用意できる総資金の計算:自己資金400万円+贈与資金300万円+住宅ローン借入額3,150万円=総調達資金3,850万円です。
- 購入可能な物件価格の上限の計算:物件価格をPとすると、諸費用込みの総所要資金はP+0.08P=1.08Pです。1.08P≦3,850万円より、P≦3,850万円÷1.08=35,648,148.14...円となり、10万円未満を切り捨てて3,560万円です。
覚えるポイント
- 諸費用が物件価格の外枠(物件価格の○%)として資金内から充当される場合、総資金=物件価格×(1+諸費用率)という不等式を立てて物件価格を逆算します。
間違えやすいところ
- 住宅ローンの借入可能額の段階(3,150万円)と、最終的な物件価格の上限(3,560万円)の両方で「10万円未満切り捨て」の端数処理を忘れないようにします。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令および問題文の指定条件
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.8 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式模範解答 p.1 ↗(www.jafp.or.jp)
不動産登記法に基づく相続登記の義務化と手続き
不動産 · 相続登記の義務化 / 法定相続分による相続登記 / 相続人申告登記 / 登記申請代理業務
友美さんは、将来実家を相続する際の手続きについてFPの加瀬さんに相談した。不動産登記法に基づく相続登記等に関する記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
(ア)○ (イ)× (ウ)× (エ)○
解説
所有者不明土地の問題を減らすため、2024年4月1日から相続登記の申請が義務になりました。なぜなら、登記されないまま放置される土地が増えているからです。原則として3年以内に申請する必要があり、手続きの負担を軽くするため、1人でできる相続人申告登記が新しく作られました。
解き方
- 相続登記の義務化における申請期限(3年以内)と、いつから数えるかのルールを確かめます。
- 遺産分割前の法定相続分による登記(1人でできる保存行為)と、相続人申告登記(申し出た人だけ義務を果たしたとみなす)の特徴を整理します。
- 業としての登記申請の代理業務が資格者(司法書士・弁護士)に限られている法令の根拠を当てはめます。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- 2024年4月1日施行の改正不動産登記法により、相続人は自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務が課されています。
- 小問 イ:×
- 法定相続分による相続登記は保存行為に該当するため、共同相続人の全員が共同して申請する必要はなく、相続人のうちの1人が単独で全員分の登記を申請することができます。
- 小問 ウ:×
- 相続人申告登記は、申出をした相続人のみが登記申請義務を履行したものとみなされる制度であり、1人が申出をしても他の相続人全員が義務を履行したことにはなりません。
- 小問 エ:○
- 他人の求めに応じ、報酬を得て業として不動産等の登記申請の代理業務を行うことができるのは、原則として司法書士法または弁護士法で認められた司法書士や弁護士に限られます。
覚えるポイント
- 相続登記の申請義務は取得を知ってから3年以内、遺産分割成立による登記も成立から3年以内に行う必要があります。
- 相続人申告登記は申出をした者本人のみが申請義務を履行したものとみなされます。
間違えやすいところ
- 法定相続分による相続登記は相続人全員の同意や共同申請が必要と誤解しやすいですが、保存行為として1人で申請できます。
- 相続人申告登記を、代表者が1人すれば全員分の義務を果たしたことになると混同しがちです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の不動産登記法および関係法令
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.8 ↗(www.jafp.or.jp)
土地取得時の不動産取得税の計算
タックスプランニング · 不動産取得税 / 宅地の課税標準の特例 / 不動産取得税の軽減税率 / 固定資産税評価額
友美さんの父の重雄さんは、知人が所有する土地(課税明細書の地目:宅地、固定資産課税台帳の価格:11,180,000円)を貸駐車場事業の目的で2024年12月に購入することを検討している。資料に基づき計算される不動産取得税の額として最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
不動産取得税の課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)です。なぜなら、その価格が税金を計算するもとになるからです。宅地を取得したときは価格を2分の1にする特例があり、土地の取得にかかる税率は本則4%から軽減されて3%になります。
解き方
- 課税明細書から、課税標準のもとになる土地の価格(評価額)11,180,000円を確かめます。
- 宅地等の取得なので、価格に2分の1をかけて課税標準額を出します(11,180,000円×1/2=5,590,000円)。
- 土地に適用される軽減税率3%を課税標準額にかけて不動産取得税額を計算します(5,590,000円×3%=167,700円)。
- 選択肢 1正解
- 宅地の課税標準2分の1の特例(5,590,000円)と軽減税率3%を正しく当てはめた計算結果(167,700円)です。
- 選択肢 2不正解
- 課税標準の2分の1の特例は使っていますが、税率に本則の4%をかけた金額(223,600円)なので誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 宅地等の2分の1の特例を使わず、価格11,180,000円に軽減税率3%をそのままかけた金額(335,400円)なので誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 2分の1の特例も軽減税率も使わず、価格11,180,000円に本則税率4%をかけた金額(447,200円)なので誤りです。
覚えるポイント
- 不動産取得税の課税標準は、固定資産税の課税標準額ではなく「固定資産課税台帳に登録された価格(評価額)」を用います。
- 宅地等の取得における課税標準は評価額の2分の1となり、土地・住宅の税率は2027年3月31日まで3%に軽減されています。
間違えやすいところ
- 課税明細書に書かれた「固定資産税当年度課税標準額」を、誤って計算のもとにしてしまうミスが見られます。
- 事業用(貸駐車場)としての購入でも、地目が宅地なら宅地の2分の1の課税標準特例が使える点を見落としやすいです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の地方税法および関係法令
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.9 ↗(www.jafp.or.jp)
住宅借入金等特別控除の所得税からの控除可能額の計算
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 連帯債務 / 所得税からの控除限度
米田さん夫婦が2024年10月に新築マンション(認定長期優良住宅、取得価額3,200万円、持分割合:卓也さん4/5、友美さん1/5)を購入して居住を開始した。資料の調達資金の内訳および所得税額に基づき、2024年分の所得税の計算上確定申告により受けることができる住宅ローン控除の夫婦合計額として、最も適切なものを選択肢の中から1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
住宅ローン控除は、住宅を取得するために民間金融機関などから借りた年末残高に、対象の控除率(0.7%)をかけて計算します。なぜなら、借入残高に応じて税金を軽くする制度だからです。ただし、親族からの借入金は控除の対象になりません。その年に所得税から控除できる金額は、実際の所得税額が上限です。
解き方
- 各人の控除対象となる住宅借入金等の年末残高を判定します。金融機関借入(連帯債務1,980万円)は持分割合で分け、卓也さんは1,980万円×4/5=1,584万円、友美さんは1,980万円×1/5=396万円です。卓也さんの勤務先社内融資(年利1.0%)490万円は対象ですが、卓也さんの父からの借入金190万円は親族間の借入なので対象外です。卓也さんの対象残高は1,584万円+490万円=2,074万円(取得対価3,200万円×4/5=2,560万円以下)。友美さんの対象残高は396万円(取得対価640万円以下)です。
- 各人の控除可能額と所得税からの控除額を計算します。卓也さん:2,074万円×0.7%=145,180円→100円未満切捨てで145,100円。卓也さんの所得税額は30万円なので145,100円全額が控除されます。友美さん:396万円×0.7%=27,720円→100円未満切捨てで27,700円。ただし友美さんの所得税額は2.5万円(25,000円)なので、所得税からの控除額は25,000円が限度です。夫婦合計は145,100円+25,000円=170,100円です。
- 選択肢 1不正解
- 控除の対象となる借入金の範囲か、持分割合の計算に誤りがあります。
- 選択肢 2正解
- 卓也さんの控除額145,100円と、友美さんの所得税額の上限25,000円を合わせた170,100円で、正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 友美さんの住宅ローン控除額27,700円を所得税額(25,000円)で頭打ちにせず、そのまま合算した金額(145,100円+27,700円=172,800円)なので誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 住宅ローン控除の対象にならない卓也さんの父からの借入金190万円を含めて計算した金額なので誤りです。
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覚えるポイント
- 親族からの個人的借入金は金銭消費貸借契約書があっても住宅ローン控除の対象外となる点に注意が必要です。
- 設問で問われているのが「所得税の計算上」控除できる金額である場合、実際の所得税額を超える部分は所得税から控除できません。
間違えやすいところ
- 友美さんの控除限度額27,700円を所得税額25,000円と比べずに、そのまま合算してしまうミス。
- 父からの借入金(公正証書あり)を、金融機関からの借入金と同じように扱って対象に含めてしまうミス。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の税制(租税特別措置法第41条)に基づく。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp)
消費者契約法における取消権と無効となる不当契約条項
ライフプランニングと資金計画 · 消費者契約法 / 意思表示の取消し / 不当条項の無効
消費者契約法において、①契約の取消しの事由となる事業者の行為、②無効となる契約条項について、2023年6月施行の改正内容も含めて合わせて300字程度で述べなさい。
解答・解説を表示
解答
事業者が、重要事項について事実と異なることを告げる、確実でない利益について断定的判断を提供する、不利益となる事実を故意に告げない、消費者が退去困難な場所へ同行して勧誘する、威迫する言動を交えて相談の連絡を妨害するなどして消費者を誤認または困惑させて契約を締結させた場合、消費者は契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができる。また、事業者の軽過失による一部免責条項で軽過失にのみ適用されることが明らかでないもの、消費者はどんな理由でもキャンセルできないとする条項、消費者が成年後見制度を利用することのみを理由として契約が解除される条項などは消費者にとって不利益な契約条項であるとして無効となる。
解説
消費者契約法は、消費者と事業者の情報量や交渉力の差に配慮した法律です。なぜなら、弱い立場の消費者を守る必要があるからです。不当な勧誘で契約させられたときは、申込みや承諾の意思表示を取り消せます。また、消費者の利益を一方的に害する不当な契約条項は無効です。
解き方
- 取消権の原因となる事業者の行為(誤認の類型:不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知など、困惑の類型:退去困難な場所への同行、威迫による第三者への相談妨害など)を整理します。
- 無効となる不当条項(事業者の責任を不当に免除する条項、消費者の解除権を不当に制限する条項、成年後見制度の利用だけを理由とする解除条項など)を整理し、指定の字数(300字程度)にまとめます。
覚えるポイント
- 2023年6月施行の消費者契約法改正では、退去困難な場所への同行勧誘や威迫による相談妨害が取消事由に追加されました。
- 成年後見制度等の利用のみを理由とする契約解除条項や、事業者の過失範囲が不明瞭な免責条項が無効条項として追加されています。
間違えやすいところ
- クーリング・オフ(特定商取引法)と消費者契約法の取消権を混同し、日数の制限などを書いてしまう誤り。
- 2023年6月の改正点(相談妨害、成年後見制度の利用による解除条項など)に触れず、一般論だけで文字数を満たそうとする誤り。
出題の前提:2023年6月1日施行の改正消費者契約法および2024年4月1日現在の法令基準に基づく。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.11 ↗(www.jafp.or.jp)
追加型株式投資信託の個別元本の計算
金融資産運用 · 追加型株式投資信託 / 個別元本 / 元本払戻金(特別分配金) / 加重平均
健一さんが保有する国内公募追加型株式投資信託(年1回決算、同一販売会社で同一口座取引)の取引推移に基づき、現在の1万口当たりの個別元本を求めなさい。 【取引等の内容】 ・2024年2月15日:50万口購入(基準価額10,550円) ・2024年3月21日:150万口購入(基準価額10,370円) ・2024年5月22日:決算(1万口当たり収益分配金500円、分配落ち前基準価額10,780円、分配落ち後基準価額10,280円) ・2024年6月13日:200万口購入(基準価額10,250円)
解答・解説を表示
解答
10,265(円)
解説
同じ口座で追加型株式投資信託を何回も買うと、個別元本(1口あたりの元本)は買ったときの基準価額を加重平均して求めます。分配金のあとの基準価額が個別元本より低いときは、その差額が元本払戻金(特別分配金)になります。この分だけ個別元本は引き下げられます。
解き方
- 2024年3月21日に買い足した後の個別元本を計算します。(50万口×10,550円+150万口×10,370円)÷200万口=10,415円です。
- 2024年5月22日の決算後の個別元本を計算します。分配落ち後の基準価額10,280円は個別元本10,415円より低いです。その差額の135円が元本払戻金(非課税)となり、決算後の個別元本は10,415円-135円=10,280円になります。
- 2024年6月13日に買い足した後の個別元本を計算します。(200万口×10,280円+200万口×10,250円)÷400万口=10,265円です。
覚えるポイント
- 同一ファンドを買い増した際の個別元本は加重平均で算出します。
- 分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る場合、下回った分が元本払戻金となり個別元本が下がります。
間違えやすいところ
- 分配金500円の全額が個別元本から引かれると考えてしまう間違いです。元本払戻金になるのは、分配落ち後の基準価額を下回る部分だけです。
- 分配落ち前の基準価額を使って元本払戻金を計算してしまう間違いです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.13 ↗(www.jafp.or.jp)
建築基準法における延べ面積の最高限度(特定道路緩和)
不動産 · 容積率 / 特定道路緩和 / 前面道路幅員による容積率制限 / 延べ面積の最高限度
下記条件の土地に建物を建築する場合、建築基準法に従い建築可能な延べ面積(床面積の合計)の最高限度として、正しいものを選択肢の中から1つ選びなさい。 【敷地および指定条件】 ・敷地全体の規模:間口18m(近隣商業地域10m+第二種住居地域8m)、奥行10mの長方形(全面積180㎡) ・近隣商業地域部分(100㎡):指定容積率400%、指定建蔽率80%、防火地域 ・第二種住居地域部分(80㎡):指定容積率300%、指定建蔽率60%、準防火地域 ・前面道路:南側が幅員6m市道、東側が幅員5m市道(2面道路) ・特定道路(幅員16m市道)までの距離:南側幅員6m市道を西へ49m(L=49m) ・特定道路加算値計算式:Wa=(12-Wr)×(70-L)/70(Wr:前面道路幅員、L:特定道路までの距離) ・特定行政庁による前面道路幅員制限の区域指定はない。
解答・解説を表示
解答
3
解説
敷地が2つ以上の用途地域にまたがるときは、地域ごとに基準容積率を決め、それぞれの敷地面積をかけます。その延べ面積を合計したものが全体の限度です。前面道路の幅員が6m以上12m未満で、70m以内に幅員15m以上の特定道路があるときは、特定道路緩和で幅員に加算があります。
解き方
- 特定道路緩和で加える幅員Waを計算します。Wa=(12-6)×(70-49)/70=1.8mです。南側道路の幅員は6m+1.8m=7.8mになります。
- 前面道路の幅員制限で使う幅員を決めます。南側道路7.8mと東側道路5mの広い方である7.8mを使います。
- 近隣商業地域(敷地100㎡)の基準容積率と延べ面積の上限を計算します。道路幅員による容積率は7.8m×6/10=468%です。指定容積率400%と比べて小さい400%を使います。延べ面積の上限は100㎡×400%=400㎡です。
- 第二種住居地域(敷地80㎡)の基準容積率と延べ面積の上限を計算します。道路幅員による容積率は7.8m×4/10=312%です。指定容積率300%と比べて小さい300%を使います。延べ面積の上限は80㎡×300%=240㎡です。
- 敷地全体の最高限度を合計します。400㎡+240㎡=640㎡です。
- 選択肢 1不正解
- 特定道路緩和を考えず、南側道路の幅員6mのまま計算した数値(100㎡×360%+80㎡×240%=552㎡)なので誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 第二種住居地域に道路幅員による容積率312%を使うなど、計算を間違えたときに出る数値なので誤りです。
- 選択肢 3正解
- 特定道路緩和後の道路幅員7.8mで計算すると、近隣商業地域400㎡と第二種住居地域240㎡の合計640㎡になるので正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 指定容積率を加重平均する((100×400%+80×300%)/180=355.5%)など、誤った手順で出した数値なので誤りです。
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覚えるポイント
- 特定道路緩和は、前面道路幅員が6m以上12m未満、特定道路(15m以上)までの距離が70m以内の場合に適用されます。
- 住居系地域の法定乗数は原則4/10、近隣商業地域・商業地域などの非住居系地域の法定乗数は原則6/10です。
間違えやすいところ
- 2面道路のうち、特定道路につながっていない東側道路の幅員を使ってしまう間違いです。
- 特定道路緩和を忘れて、もとの幅員6mのまま道路容積率を計算してしまう間違いです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.15 ↗(www.jafp.or.jp)
ふるさと納税の仕組みとワンストップ特例制度
タックスプランニング · ふるさと納税 / 寄附金控除 / ワンストップ特例制度
健一さんが2024年中に行った「ふるさと納税」に関する次の記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×をつけなさい。なお、健一さんの2024年分の所得は給与所得のみであり、年末調整の結果、所得税および住民税が課税されるものとする。
解答・解説を表示
解答
(ア)○ (イ)○ (ウ)○ (エ)×
解説
ふるさと納税は、自治体への寄附を税金から差し引ける制度です。自己負担2,000円を超える部分が、一定の上限まで所得税(所得控除)と個人住民税(税額控除)から引かれます。確定申告が不要な給与所得者などは、寄附先が5団体以内ならワンストップ特例を使えます。ただし確定申告をすると、この特例の申請は無効になります。
解き方
- 各記述の正誤は、ふるさと納税の税額の仕組み(所得控除と税額控除の区別)と、対象になる団体の指定制度で確認します。
- ワンストップ特例の要件(寄附先が5団体以内、確定申告をすると申請が無効になるルール)に当てはめて正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- ふるさと納税を行い確定申告をした場合、適用下限額2,000円を超える部分について、所得税では寄附金控除(所得控除)が適用され、住民税では基本控除額および特例控除額からなる寄附金税額控除(税額控除)が適用されます。
- 小問 イ:○
- 地方税法の規定に基づき総務大臣の指定を受けていない地方公共団体に対する寄附金については、特例控除を含むふるさと納税制度の対象外となり、ふるさと納税としての控除を受けることはできません。
- 小問 ウ:○
- ふるさと納税ワンストップ特例制度の申請を行っていた場合でも、医療費控除等を受けるために確定申告を行ったときは、ワンストップ特例の申請は全て無効となるため、確定申告書にすべての寄附金を記載して申告する必要があります。
- 小問 エ:×
- ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用できる寄附先自治体の数は「1年間に5団体以内」と規定されているため、寄附先が5団体である場合は同制度による控除の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用条件は寄附先の自治体が「5団体以内」であること。
- ワンストップ特例申請書を提出していても、確定申告をした場合は特例申請が無効となり再申告が必要になること。
間違えやすいところ
- 「5団体」と「5回」を混同し、同じ自治体に何回寄附しても1団体と数える点を見落とす間違いです。
- 所得税で税額控除、住民税で所得控除だと、税金の種類と控除のしかたを逆に覚えてしまう間違いです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の地方税法および所得税法に基づく。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.15 ↗(www.jafp.or.jp)
特約見直し・中途付加後の生命保険料控除額の計算
リスク管理 · 生命保険料控除 / 新旧契約の判定 / 特約中途付加
健一さんが加入している定期保険特約付終身保険の更新に伴い、特約を見直した後の2024年中に支払った生命保険料等に基づき、健一さんの2024年分の所得税の計算における生命保険料控除額(最も多くなるよう計算)の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
2011年12月31日までに結んだ古い契約でも、2012年1月1日以後に更新や特約の追加をすると、契約全体に新しい制度が適用されます。新制度の一般生命保険料控除は、年間の支払保険料が8万円を超えると所得税で一律4万円です。死亡保険金が出る特約(特定疾病特約や死亡時と同額が出る介護一時金特約)は一般生命保険料控除の対象です。一方、けがへの給付だけの傷害特約は対象外です。
解き方
- 契約の新旧を判定します。2004年の契約ですが、2024年に特約の追加と更新をしたので、契約全体に新制度が適用されます。
- それぞれの保険料の控除区分を分けます。主契約(終身120,000円)は一般、特定疾病保障特約(48,000円)は死亡保険金の前払いなので一般、介護一時金特約(32,000円)は死亡時も同額が出るので一般です。傷害特約(18,000円)は新制度では控除の対象外です。
- 控除額を計算します。一般生命保険料控除の対象になる支払保険料の合計は200,000円で、新制度の8万円超の計算式から控除額は40,000円です。介護医療保険料控除の対象は0円なので控除額も0円です。
- 選択肢 1正解
- 新制度が適用され、一般生命保険料控除は上限の40,000円、介護医療保険料控除は対象がないので0円となり正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 加えた介護一時金特約は死亡時も同額が出るので一般生命保険料控除の対象になり、介護医療保険料控除は0円なので誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 2012年以後に特約を追加しているので、旧制度(上限50,000円)ではなく新制度(上限40,000円)が適用され、誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 新旧制度の適用と介護一時金特約の区分の両方を取り違えているので誤りです。
覚えるポイント
- 平成24年(2012年)1月1日以後に更新・特約の中途付加・転換をした場合、契約全体が新制度に移行する。
- 介護一時金特約等であっても、死亡時に同額の保険金が支払われる形態のものは「一般生命保険料控除」の対象となる。
間違えやすいところ
- 主契約の最初の契約日(2004年)だけを見て、旧制度(上限5万円)が続いていると誤解してしまうことです。
- 「介護一時金特約」という名前にひかれて、すぐ「介護医療保険料控除」に分けてしまうことです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の所得税法(第76条)および所得税基本通達に基づく。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.16 ↗(www.jafp.or.jp)
育児・介護休業法における仕事と介護の両立支援制度
ライフプランニングと資金計画 · 介護休業制度 / 介護休暇制度 / 介護のための短時間勤務等の制度
健一さんは、遠方に住む両親に介護が必要となった場合に備え、仕事と介護の両立支援制度について確認している。育児・介護休業法に定められた介護休業、介護休暇、短時間勤務等の制度に関する次の文章の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。 「1.介護休業制度:要介護状態にある対象家族1人について、通算して( ア )まで、3回を上限として分割して休業できる制度である。 2.介護休暇制度:介護休業等とは別に、要介護状態にある対象家族が1人の場合は1年度に( イ )まで、対象家族が2人以上の場合は1年度に10日まで取得できる制度である。 3.介護のための短時間勤務等の制度:事業主は、要介護状態にある対象家族1人につき、利用開始日から連続する( ウ )以上の期間で原則として2回以上の利用が可能な制度を設けなければならない。」
解答・解説を表示
解答
3
解説
育児・介護休業法には、仕事と介護を両立するための制度があります。介護休業は通算93日まで、3回まで分けて取れます。介護休暇は年5日、対象家族が2人以上なら年10日です。短時間勤務などの措置は、連続3年以上の期間で使えるようにする決まりです。
解き方
- 介護休業で取れる日数を確認します。要介護状態の対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れます。よって(ア)は93日です。
- 介護休暇で取れる日数を確認します。対象家族が1人なら1年度に5日まで、2人以上なら10日まで取れます。よって(イ)は5日です。
- 短時間勤務などの制度の期間を確認します。利用開始日から連続3年以上の期間で、原則2回以上使える制度を作る義務があります。よって(ウ)は3年です。
- 選択肢 1不正解
- 介護休業の通算日数は93日で、90日ではありません。短時間勤務などの措置期間も3年以上で、1年ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 介護休業の通算日数は93日で、90日ではありません。対象家族1人の介護休暇も年5日で、10日ではありません。
- 選択肢 3正解
- (ア)93日、(イ)5日、(ウ)3年の組み合わせは、育児・介護休業法の規定とすべて一致しているので正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 対象家族1人の介護休暇は年5日で、10日ではありません。短時間勤務などの措置期間も3年以上で、1年ではありません。
覚えるポイント
- 介護休業:対象家族1人につき通算93日・最大3回分割取得可能
- 介護休暇:対象家族1人なら年5日、2人以上なら年10日まで(時間単位取得可能)
- 短時間勤務等:連続3年以上の期間で原則2回以上利用可能
間違えやすいところ
- 産後パパ育休(出生時育児休業)の出生後8週間や、育児休業の分割回数と日数を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等(育児・介護休業法)
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.17 ↗(www.jafp.or.jp)
公的年金における65歳時点の老齢給付額の計算
タックスプランニング · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 老齢基礎年金 / 加給年金額
健一さんが今後も現在の会社に勤務し続け、60歳に達した日に退職した場合の公的年金加入歴に基づき、65歳時点において受給できる公的年金の老齢給付の額として、正しいものはどれか。なお、計算過程および解答ともに円未満を四捨五入し、老齢厚生年金には配偶者加給年金額が加算されるものとする。 <条件等> ・20歳~就職前(1988年7月~1991年3月):公的年金未加入33月 ・2003年3月以前の厚生年金期間:144月、平均標準報酬月額35万円(乗率7.125/1,000) ・2003年4月以後の厚生年金期間:303月、平均標準報酬額55万円(乗率5.481/1,000) ・経過的加算:定額部分単価1,701円、老齢基礎年金相当額816,000円×(被保険者月数/480月) ・配偶者加給年金額:408,100円 ・老齢基礎年金の満額:816,000円
解答・解説を表示
解答
3
解説
65歳からもらえる老齢給付は、老齢基礎年金と老齢厚生年金からなります。老齢厚生年金は、報酬比例部分、経過的加算、要件を満たすときの配偶者加給年金額を足したものです。計算では被保険者期間の月数(2003年3月以前と4月以後、20歳以上60歳未満の月数)を正しく使います。
解き方
- 報酬比例部分を計算します。2003年3月以前は350,000円×(7.125/1,000)×144月=359,100円です。2003年4月以後は550,000円×(5.481/1,000)×303月=913,408.65円で、四捨五入して913,409円です。合計は359,100円+913,409円=1,272,509円です。
- 経過的加算額を計算します。厚生年金の加入月数は144月+303月=447月です(すべて20歳以上60歳未満)。定額部分は1,701円×447月=760,347円、老齢基礎年金相当額は816,000円×(447月/480月)=759,900円です。差は760,347円-759,900円=447円です。
- 老齢厚生年金の額を出します。報酬比例部分1,272,509円+経過的加算447円+配偶者加給年金額408,100円=1,681,056円です。
- 老齢基礎年金の額を計算します。816,000円×(447月/480月)=759,900円です。
- 老齢給付の合計額を出します。老齢厚生年金1,681,056円+老齢基礎年金759,900円=2,440,956円です。
- 選択肢 1不正解
- 配偶者加給年金額408,100円を足していない計算結果(2,440,956円-408,100円=2,032,856円)です。
- 選択肢 2不正解
- 経過的加算額447円を足し忘れたときの計算結果(2,440,956円-447円=2,440,509円)です。
- 選択肢 3正解
- 老齢厚生年金1,681,056円と老齢基礎年金759,900円を合計した、正確な受給額(2,440,956円)です。
- 選択肢 4不正解
- 老齢基礎年金を未加入期間33月分減らさず、満額816,000円で計算したときなどに出る誤った数値です。
覚えるポイント
- 報酬比例部分は2003年3月以前(7.125/1000)と4月以後(5.481/1000)で計算式が異なる
- 経過的加算=定額部分(1,701円×厚生年金月数[上限480])- 基礎年金相当額(満額×20歳以上60歳未満の厚生年金月数/480)
- 厚生年金被保険者期間が20年(240月)以上あれば配偶者加給年金の加算対象となる
間違えやすいところ
- 老齢給付の額を求めるときに、老齢基礎年金を足し忘れる間違いです。
- 老齢基礎年金を満額で計算してしまい、未加入期間33月の分を減らすのを忘れる間違いです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の法令等(2024年度年金額改定基準)
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.18 ↗(www.jafp.or.jp)
介護保険適用施設等の特徴と利用要件
ライフプランニングと資金計画 · 高齢者向け住まい / 介護保険施設 / 特別養護老人ホーム / 介護付き有料老人ホーム
介護保険適用施設等に関する次の各記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 (ア)サービス付き高齢者向け住宅の事業者は、状況把握(安否確認)サービスと一定の介護サービスを必ず提供しなければならない。 (イ)認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)は、原則として施設と同一の市区町村に住民票があり、65歳以上で要支援1以上の認知症の診断を受けた者が入居対象である。 (ウ)特別養護老人ホーム(特養)における居住費および食費は、負担限度額認定を受けていない場合、全額が自己負担となる。 (エ)介護付き有料老人ホームは、介護保険における特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームである。
- ア
- 「サービス付き高齢者向け住宅」の事業者は、状況把握(安否確認)サービスと一定の介護サービスを必ず提供しなければならない。
- イ
- 「認知症対応型共同生活介護施設(グループホーム)」は、原則として施設と同一の市区町村に住民票のある、65歳以上で要支援1以上の認知症の診断を受けた者が入居対象である。
- ウ
- 「特別養護老人ホーム(特養)」における居住費および食費は、負担限度額認定を受けていない場合、その全額が自己負担となる。
- エ
- 「介護付き有料老人ホーム」は、介護保険における特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームである。
解答・解説を表示
解答
(ア)× (イ)× (ウ)○ (エ)○
解説
高齢者向けの住まいや介護保険施設は、法律で区分が細かく決められています。義務づけられたサービス、入居できる要介護度、介護保険の給付範囲(自己負担の扱い)などがそれぞれ違います。
解き方
- それぞれの住まいや介護サービスの種類ごとに、法律上の必須要件と指定基準を確認します。
- 利用できる要介護状態の区分(要支援・要介護度)と、かかる費用の負担ルールを照らし合わせて正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- サービス付き高齢者向け住宅の必須サービスは「状況把握(安否確認)サービス」および「生活相談サービス」であり、介護サービスの提供は必須要件ではありません。
- 小問 イ:×
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の対象者は、原則として同一市区町村に住民票があり、要支援2または要介護1以上の認知症高齢者です。要支援1は対象外です。
- 小問 ウ:○
- 特別養護老人ホームの居住費および食費は全額自己負担が原則であり、負担限度額認定(補足給付)を受けていない場合は全額が自己負担となります。
- 小問 エ:○
- 都道府県等から介護保険法上の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた有料老人ホームのみが「介護付き有料老人ホーム」と表示できます。
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覚えるポイント
- サービス付き高齢者向け住宅の必須要件は「安否確認」と「生活相談」の2つである点。
- 認知症高齢者グループホームの対象は「要支援2以上」であり要支援1は入居不可である点。
間違えやすいところ
- サービス付き高齢者向け住宅で、介護サービスの提供まで義務だと誤解しやすいです。
- グループホームの対象に要支援1が入ると混同しやすいです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の介護保険法および高齢者住まい法
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.19 ↗(www.jafp.or.jp)
成年後見制度の類型と手続き・死後事務
相続・事業承継 · 成年後見制度 / 保佐 / 補助 / 後見制度支援信託 / 成年後見人の死後事務
法定後見制度等に関する次の各記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 (ア)資料の空欄(a)にあてはまる語句は、「必要」である。 (イ)補助開始の審判があった場合、補助人に代理権を付与するためには本人および補助監督人の同意が必要である。 (ウ)後見制度支援信託は、成年後見および保佐で利用することができるが、補助では利用することはできない。 (エ)成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合、家庭裁判所の許可を得て、成年被後見人であった者の遺体の火葬に関する契約の締結をすることができる。
- ア
- 空欄(a)にあてはまる語句は、「必要」である。
- イ
- 補助開始の審判があった場合、補助人に代理権を付与するためには本人および補助監督人の同意が必要である。
- ウ
- 後見制度支援信託は、成年後見および保佐で利用することができるが、補助では利用することはできない。
- エ
- 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合、家庭裁判所の許可を得て、成年被後見人であった者の遺体の火葬に関する契約の締結をすることができる。
解答・解説を表示
解答
(ア)× (イ)× (ウ)× (エ)○
解説
法定後見制度には、判断能力の程度に応じて「後見・保佐・補助」の3つの類型があります。本人の自己決定を尊重するため、同意が必要かどうかが類型ごとに違います。また、法改正により、成年後見人は家庭裁判所の許可を得て、死後の一定の事務(火葬の契約など)も行えるようになりました。
解き方
- 後見・保佐・補助のそれぞれで、開始の要件と同意の要件の違いを整理します。
- 代理権を付けるときの同意の要件、支援信託が使える範囲、民法の死後事務の規定を照らし合わせて正誤を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 保佐開始の審判申立てそのものには本人の同意は不要であるため、空欄(a)には「不要」が入ります(特定の行為について代理権を付与する審判には本人の同意が必要です)。
- 小問 イ:×
- 補助人に代理権を付与する審判には本人の同意が必要ですが、補助監督人の同意は要件とされていません。
- 小問 ウ:×
- 後見制度支援信託および後見制度支援預金は、成年後見だけでなく保佐や補助でも利用することが可能です。
- 小問 エ:○
- 民法第873条の2の規定に基づき、成年後見人は成年被後見人が死亡した場合、必要があるときは家庭裁判所の許可を得て、遺体の火葬や埋葬に関する契約締結等を行うことができます。
覚えるポイント
- 開始の審判で本人の同意が必要なのは「補助」のみであり、後見と保佐は申立てに本人の同意は不要である点。
- 成年後見人は本人の死亡後、家庭裁判所の許可を得て遺体の火葬・埋葬の契約や相続財産の保存行為が可能である点。
間違えやすいところ
- 保佐開始の申立て自体に本人の同意が必要だと、代理権付与の同意要件と混同しやすいです。
- 成年後見人の権限は本人の死亡で全部なくなり、火葬の手続きもできないと誤解しやすいです。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の民法
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.19 ↗(www.jafp.or.jp)
民法上の法定相続分(養子と代襲相続人の二重資格)
相続・事業承継 · 法定相続分 / 養子縁組 / 代襲相続 / 相続放棄 / 遺留分放棄
2024年8月に被相続人・田端昭人さんが死亡した。親族関係および状況は以下のとおりである。昭人さんの相続に係る修一さんの民法上の法定相続分として最も適切なものを1つ選びなさい。<親族関係・状況>・昭人さんの配偶者は和子さんである。・昭人さんの子として富夫さん(すでに死亡)、郁子さん、靖子さんがいる。・富夫さんの子として修一さん、徹二さん、春江さんがいる。・郁子さんには子の沙織さんがいる。・郁子さんは家庭裁判所に申述して相続放棄をしている。・靖子さんは家庭裁判所の許可を得て遺留分を放棄している。・修一さんは昭人さん夫婦の普通養子となっている。・修一さんと徹二さんは、すでに死亡した富夫さんの相続に関して相続放棄をしている。また徹二さんは他家の普通養子となっている。
解答・解説を表示
解答
2
解説
民法では、被相続人の子が先に亡くなっていると、その直系卑属(子や孫)が代襲相続人になります。代襲される人の相続を放棄していても、被相続人の代襲相続人である地位は失いません。相続放棄をした人の子は代襲相続人になれませんが、遺留分を放棄した人は相続人の地位を失いません。被相続人の養子で代襲相続人でもある人は、両方の資格で法定相続分を持ちます。
解き方
- 相続人と枠の数を決めます。配偶者和子さんは1/2です。郁子さんは相続放棄をしたので相続人から外れ、代襲も起きません。靖子さんは遺留分だけを放棄したので相続人の地位は残ります。富夫さんは死亡しているので代襲相続が起きます。修一さんは養子として独立した子の枠を持ちます。よって子の枠は富夫枠・靖子枠・修一枠の3つで、各1/6です。
- 修一さんの相続分を計算します。修一さんは養子として1/6を取り、さらに富夫の代襲相続人として1/6×1/3=1/18を取ります(富夫の相続放棄や他家への養子縁組があっても代襲権はあり、修一・徹二・春江の3人で均等に分けます)。合計は1/6+1/18=4/18=2/9です。
- 選択肢 1不正解
- 1/6は修一さんが養子としてだけ取る相続分で、富夫の代襲相続人としての1/18を足していないので誤りです。
- 選択肢 2正解
- 養子としての1/6と、富夫の代襲相続人としての1/18を合計した2/9になるので正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 1/4は子の枠の数を間違えて数えたときなどの数値で、正しく計算した相続分ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 3/8は配偶者や他の相続人の持分、代襲相続分の計算を間違えた結果なので誤りです。
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覚えるポイント
- 被代襲者の相続放棄をしていても被相続人の代襲相続人になれる点と、養子と代襲相続人の二重資格者は両方の相続分を合算できる点を押さえましょう。
間違えやすいところ
- 相続放棄した郁子さんの子に代襲相続が起きると考えたり、遺留分を放棄した靖子さんの相続権がなくなると思い込んだりしないよう注意しましょう。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の民法規定に基づきます。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.20 ↗(www.jafp.or.jp)
相続税の課税価格の計算における債務控除額の計算
相続・事業承継 · 相続税 / 債務控除 / 葬式費用 / 相続放棄 / 特定遺贈
2024年6月11日に死亡した被相続人の相続において、資料に記載された債務および葬式等に要した費用のうち、相続税の課税価格の計算上、債務控除をすることができる金額の合計額を計算しなさい。<資料>・相続関係:配偶者、長女(相続放棄をしたが特定遺贈で財産を取得)、長男・各人の負担金額は相続または遺贈により取得した財産の価額の範囲内である。・銀行借入金60万円(債務者は被相続人、負担者:配偶者)・自宅に係る固定資産税30万円(2024年度の被相続人名義の自宅未払い分、負担者:長男)・別荘に係る固定資産税10万円(2024年度の被相続人名義の別荘未払い分、負担者:長女)・遺言執行費用20万円(遺言執行者の弁護士報酬、負担者:長女)・通夜・葬式費用270万円(通常費用、配偶者・長女・長男で各90万円負担)
解答・解説を表示
解答
360万円
解説
相続税法では、被相続人の債務を差し引けるのは相続人と包括受遺者だけです。相続を放棄した特定受遺者は、被相続人の債務を差し引けません。ただし、相続を放棄しても遺贈で財産を取得した人が負担した葬式費用は、取得した財産の価額から差し引けます。また、被相続人の死亡後に生じる遺言執行費用は債務控除の対象外です。
解き方
- 各費用や債務が控除できるかを判定します。銀行借入金60万円と2024年度分の固定資産税(賦課期日1月1日が過ぎている)は、被相続人の確実な債務です。遺言執行費用は相続財産に関する費用で、債務控除の対象外です。通夜・葬式費用は通常の費用として控除できます。
- 負担した人ごとに控除できるかを当てはめます。配偶者は借入金60万円+葬式費用90万円=150万円が控除できます。長男は自宅固定資産税30万円+葬式費用90万円=120万円が控除できます。長女は相続放棄で債務(別荘の固定資産税)は控除できませんが、遺贈で財産を取得しているので葬式費用90万円は控除できます。合計は150万円+120万円+90万円=360万円です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 相続放棄した特定受遺者は債務の控除は受けられませんが、負担した葬式費用は控除できるという例外規定を確実に覚えましょう。
間違えやすいところ
- 遺言執行費用を債務控除に入れたり、相続放棄した長女が負担した葬式費用まで控除から外したりしないよう注意しましょう。
出題の前提:2024年4月1日現在施行の相続税法第13条・第14条の規定に基づきます。
出典:日本FP協会『2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.21 ↗(www.jafp.or.jp)
2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)
参照した公式資料
日本FP協会が公開した2024年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の問題・解答資料です。

