日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の概要
確定給付企業年金・確定拠出年金等のポータビリティ
ライフプランニングと資金計画 · 確定給付企業年金 / 企業型確定拠出年金 / 個人型確定拠出年金(iDeCo) / 中小企業退職金共済 / ポータビリティ
恵さんは、勤務先の退職金・退職年金制度について詳しく知りたいと思い、FPの鈴木さんに質問をした。退職年金制度における年金資産の移換(ポータビリティ)に関する資料の空欄(ア)~(エ)にあてはまる○(持ち運び可)または×(持ち運び不可)の組み合わせとして、最も適切なものを選択肢の中から1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
公的年金に上乗せされる企業年金等の各制度間では、離転職時等における受給権の保護を目的として年金資産の持ち運び(ポータビリティ)が整備されています。ただし、制度ごとに資産の移換ルートや要件が細かく規定されています。
解き方
- 移換前後の制度の組み合わせごとにポータビリティの可否を確認する。同種制度間(確定給付企業年金間、企業型DC間)は移換可能であるため(ア)は○、(ウ)は○となる。
- 確定拠出年金から確定給付企業年金への移換(イ)は受入規約等があれば可能(○)だが、中小企業退職金共済から個人型DC(iDeCo)への移換(エ)は制度上認められておらず×となることを判定する。
- 選択肢 1正解
- (ア)○、(イ)○、(ウ)○、(エ)×の組み合わせは正しく、これが本問の正解となります。
- 選択肢 2不正解
- 企業型DCから企業型DCへの移換(ウ)は可能(○)であり、中退共からiDeCoへの移換(エ)は不可(×)であるため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 企業型DCから確定給付企業年金への移換(イ)は受入先規約に基づき可能(○)であり、中退共からiDeCoへの移換(エ)は不可(×)であるため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 確定給付企業年金から確定給付企業年金への移換(ア)は可能(○)であり、中退共からiDeCoへの移換(エ)は不可(×)であるため誤りです。
覚えるポイント
- 中退共から移換できるのは確定給付企業年金または企業型DCのみであり、個人型DC(iDeCo)への移換は不可である点。
間違えやすいところ
- 中退共からiDeCoへも移換可能と誤認しやすい点や、企業型DCから確定給付企業年金への移換ができないと思い込んでしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等に基づく確定拠出年金法および確定給付企業年金法等のポータビリティ規定。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.jafp.or.jp)
住宅取得計画における借入可能額および購入可能物件価格の上限計算
不動産 · 住宅ローン / 返済負担率 / 元利均等返済 / 資金計画
三上さん夫妻は、マンションの購入を検討しており、FPの鈴木さんに住宅取得計画の相談をした。設例の年収および下記の条件に基づく購入可能な物件価格(消費税込み)の上限を計算しなさい。なお、住宅ローンの借入額および物件価格については10万円未満を切り捨てること。また、解答に当たっては、解答用紙に記載されている単位(万円)に従うこと。 <条件> ・自己資金500万円と智弘さんの父から贈与される100万円を住宅購入に充てる。これらの資金で不足する分については、住宅ローンを利用する。 ・住宅ローンは智弘さんが単独で借り入れるものとし、借入額については、住宅ローンの年間元利合計返済額が2020年分の智弘さんの年収(税込み600万円)の20%以内となるようにする。 ・住宅ローンの条件:金利年1.25%(全期間固定金利)、返済期間30年、元利均等返済、毎月返済(ボーナス返済なし)、借入額100万円当たりの元利合計返済月額3,332円 ・住宅購入のための諸費用(消費税込み)は物件価格の10%とし、上記で準備した資金の中から充当する。
解答・解説を表示
解答
3,270(万円)
解説
住宅取得計画において借入可能額を算出する際は、年収に対する年間返済額の割合(返済負担率)から毎月の返済可能額の上限を求め、100万円当たりの返済月額を用いて逆算します。また、物件取得にかかる諸費用を考慮する場合は、購入総資金を(1+諸費用率)で割ることで物件本体価格の上限を算出します。
解き方
- 智弘さんの年収600万円に返済負担率20%を乗じて年間返済額上限120万円、月額返済上限10万円を算出する。
- 10万円を100万円当たりの返済月額3,332円で除し、10万円未満を切り捨てて借入額上限3,000万円を求める。
- 自己資金500万円と贈与100万円を借入額3,000万円に加算し、準備可能な総資金3,600万円を算出する。
- 総資金額3,600万円を1.1で除し、得られた3,272.72...万円について10万円未満を切り捨てて購入可能物件価格上限3,270万円を導く。
覚えるポイント
- 端数処理条件(本問では借入額および物件価格について10万円未満切り捨て)を見落とさず、指定された段階で確実に処理すること。
間違えやすいところ
- 諸費用の10%を物件価格に上乗せせず総資金から直接引いてしまったり、10万円未満切り捨ての処理を途中の借入額計算で忘れてしまう誤りが多く見られます。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等に基づく住宅ローンの資金計画計算基準。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.4 ↗(www.jafp.or.jp)
マーケット情報と株価指標・チャートの読み取り
金融資産運用 · 新聞市況欄 / 債券利回りと価格 / TOPIXと日経平均株価 / 日経平均ボラティリティー・インデックス / ローソク足
智弘さんは将来の財産形成のため、資産運用の勉強を始めることにした。資料の新聞市況欄(2021年3月5日付朝刊)に関する次の記述(ア)~(エ)について、正しいものには○、誤っているものには×を解答しなさい。 (ア)この日の国内債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債の価格が上昇した。 (イ)この日の日経平均株価(225種)の前日比下落率は、東証株価指数(TOPIX)の前日比下落率の2倍より大きくなった。 (ウ)この日の日経平均株価(225種)の将来1ヵ月の予想変動率は、前日比で下落した。 (エ)この日の日経平均株価(225種)の動きを日足のローソク足でチャートにする場合、ローソク足は陰線になる。
解答・解説を表示
解答
(ア)× (イ)○ (ウ)× (エ)○
解説
新聞の市況欄には債券利回り、株式指標、ボラティリティ、株価四本値などの金融情報が集約されています。債券価格と金利の逆相関関係、日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)の意義、および始値と終値の大小関係によるローソク足の陽線・陰線の判定ルールを理解しておくことが重要です。
解き方
- 資料の新発10年物国債利回りの前日比変動(プラスかマイナスか)を確認し、債券利回りと価格の反比例の関係を適用して価格の上昇・下落を判定する。
- 日経平均株価の騰落率(下落率)とTOPIXの騰落率(下落率)を数値比較し、2倍を超えているかを計算して確認する。
- 日経平均VI(予想変動率)の前日比数値の増減符号を確認し、上昇か下落かを判定する。
- 日経平均株価の始値と終値を比較し、終値が始値より低いことからローソク足が陰線になることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 新発10年国債利回りは0.130%(+0.015)と前日比で上昇しています。債券の利回りと価格は逆の動きをするため、利回りの上昇は債券価格の下落を意味します。
- 小問 イ:○
- 資料記載の下落率(騰落率)を見ると、日経平均株価の下落率は2.127%(-2.127%)、TOPIXの下落率は1.039%(-1.039%)です。日経平均の下落率2.127%は、TOPIXの下落率の2倍(1.039%×2=2.078%)より大きくなっています。
- 小問 ウ:×
- 「日経平均VI(ボラティリティー・インデックス)」は、日経平均株価の将来1ヵ月の予想変動率(ボラティリティ)を示す指標です。資料では25.91(+2.68)となっており、前日比で上昇しています。
- 小問 エ:○
- 日経平均株価の始値は29,198円42銭、終値は28,930円11銭です。終値が始値より低いため、日足のローソク足は陰線(黒または青の実体)となります。
覚えるポイント
- 債券利回り上昇=債券価格下落(逆相関)
- 日経平均VIは将来1ヵ月の変動率予想を示す
- 終値<始値は「陰線」、終値>始値は「陽線」
間違えやすいところ
- 債券の利回り上昇を価格上昇と混同してしまうミス
- 日経平均VIが何を示す指標かを把握していないことによる誤認
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および2021年3月5日付日本経済新聞朝刊市況面に基づく
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.5 ↗(www.jafp.or.jp)
企業の福利厚生制度としての各種保険の判別
リスク管理 · 団体定期保険(Bグループ) / 拠出型企業年金保険 / 団体長期障害所得補償保険(GLTD) / 財形年金積立保険
智弘さんは勤務先の福利厚生制度として導入されている保険について詳しく知りたいと思い、FPの鈴木さんに相談した。企業の福利厚生制度としての保険に関する次の記述の空欄(ア)~(エ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号を解答しなさい。 ・「( ア )は、万一の際の死亡および高度障害状態の保障確保に適しています。加入は任意で、保険料は給与および賞与から天引きされます。制度によっては配偶者や子どもが加入できる場合もあります。」 ・「( イ )は、将来の財産形成や老後資金準備に適しています。加入は任意で、保険料は給与および賞与から天引きされます。保険料は一般の生命保険料控除または個人年金保険料控除の対象となります。」 ・「( ウ )は、病気やケガにより働けなくなった場合の収入減少リスクに備えるのに適しています。損害保険の一種で、加入口数(保険金額)を月間平均所得額以下となるように設定して加入します。通常、一定の免責期間が設定されます。」 ・「( エ )は、老後資金準備に適しています。積立期間5年以上など所定の要件を満たせば、払込保険料累計額385万円まで利子差益が非課税となります。年金で受け取る場合は非課税ですが、年金以外の払い出しを行うと、差益について所得税が課税されます。」 <語群> 1. 総合福祉団体定期保険 2. 団体医療保障保険 3. 団体信用生命保険 4. 団体定期保険(Bグループ保険) 5. 財形年金積立保険 6. 団体長期障害所得補償保険(GLTD) 7. 団体就業不能保障保険 8. 拠出型企業年金保険
- 1
- 総合福祉団体定期保険
- 2
- 団体医療保障保険
- 3
- 団体信用生命保険
- 4
- 団体定期保険(Bグループ保険)
- 5
- 財形年金積立保険
- 6
- 団体長期障害所得補償保険(GLTD)
- 7
- 団体就業不能保障保険
- 8
- 拠出型企業年金保険
解答・解説を表示
解答
(ア)4 (イ)8 (ウ)6 (エ)5
解説
企業が導入する各種団体保険制度(福利厚生制度)には、会社負担全員加入型の死亡保険(総合福祉団体定期等)、従業員任意加入・給与天引きの死亡保険(団体定期Bグループ)、年金積立(拠出型企業年金、財形年金)、就業不能リスクに備える損害保険(GLTD)などがあり、それぞれの保障対象、保険料控除区分、税制優遇の違いを整理して識別する必要があります。
解き方
- 任意加入の死亡・高度障害保障で家族も加入できる特徴から(ア)を「団体定期保険(Bグループ保険)」と判定する。
- 任意加入の給与天引き型で一般または個人年金保険料控除が適用される老後資金積立制度から(イ)を「拠出型企業年金保険」と判定する。
- 「損害保険の一種」「月間平均所得額以下」「免責期間」という特徴から(ウ)を「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」と判定する。
- 「積立期間5年以上」「払込保険料累計額385万円まで非課税」「年金以外での払出は課税」という非課税要件から(エ)を「財形年金積立保険」と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:4
- 従業員が任意に加入し、給与天引きで保険料を支払い、配偶者や子供も対象にできる死亡・高度障害保障の制度は「団体定期保険(Bグループ保険)」です。なお、会社が保険料全額を負担する全員加入型はAグループ保険や総合福祉団体定期保険です。
- 小問 イ:8
- 従業員が任意に加入して将来の財産形成や年金準備を行う生命保険で、保険料が給与天引きされ、要件に応じて一般生命保険料控除または個人年金保険料控除の対象となる制度は「拠出型企業年金保険」です。
- 小問 ウ:6
- 就労不能時の収入減少を補償する「損害保険」で、加入金額を月間平均所得額以下に設定し、免責期間が設けられている制度は「団体長期障害所得補償保険(GLTD)」です。
- 小問 エ:5
- 積立期間5年以上、払込保険料累計額385万円(財形住宅積立保険と合わせて550万円)まで利子差益が非課税となり、年金以外の払い出しを行うと差益に一時所得等として課税されるのは「財形年金積立保険」です。
覚えるポイント
- 団体定期Bグループ:従業員任意加入・給与天引き・配偶者子も可
- GLTD:損害保険、長期就業不能の所得補償、免責期間あり
- 財形年金積立保険:385万円(住宅と併せて550万円)まで利子非課税
間違えやすいところ
- 団体定期のAグループ(会社負担全員加入)とBグループ(自己負担任意加入)を取り違えるミス
- GLTD(損害保険)と生命保険会社の就業不能保障保険を取り違えるミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の税法・保険業法・関連制度に基づく
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.6 ↗(www.jafp.or.jp)
損害保険契約者保護機構の業務および補償割合
リスク管理 · 損害保険契約者保護機構 / 保険契約の承継 / 補償割合 / 地震保険
損害保険契約者保護機構(保護機構)に関する次の記述(ア)~(エ)について、適切なものには○、不適切なものには×を解答しなさい。 (ア)保護機構は、破綻した損害保険会社の保険契約の移転等を受け入れる救済保険会社に、資金援助を行う。 (イ)破綻した損害保険会社の保険契約の移転等を受け入れる救済保険会社が現れる見込みがないときは、保護機構または保護機構が子会社として設立する承継保険会社が保険契約を引き継ぐ。 (ウ)自動車保険において、損害保険会社が破綻する前に生じた保険事故であっても保険金の支払い日が破綻後3ヵ月を超える場合、保護機構による補償割合は80%である。 (エ)家計地震保険において、損害保険会社が破綻して3ヵ月経過後に発生した保険事故の場合、保護機構による補償割合は80%である。
- ア
- 保護機構は、破綻した損害保険会社の保険契約の移転等を受け入れる救済保険会社に、資金援助を行う。
- イ
- 破綻した損害保険会社の保険契約の移転等を受け入れる救済保険会社が現れる見込みがないときは、保護機構または保護機構が子会社として設立する承継保険会社が保険契約を引き継ぐ。
- ウ
- 自動車保険において、損害保険会社が破綻する前に生じた保険事故であっても保険金の支払い日が破綻後3ヵ月を超える場合、保護機構による補償割合は80%である。
- エ
- 家計地震保険において、損害保険会社が破綻して3ヵ月経過後に発生した保険事故の場合、保護機構による補償割合は80%である。
解答・解説を表示
解答
(ア)○ (イ)○ (ウ)× (エ)×
解説
損害保険契約者保護機構は保険業法に基づき設立され、損保会社の破綻時に契約の移転支援や補償の実施を行います。保険金補償割合は、破綻前および破綻後3か月以内の事故や自賠責・地震保険は100%、一般の保険事故(破綻後3か月超に発生)は原則80%(自動車保険・火災保険等)となります。
解き方
- 保護機構の資金援助業務および承継保険会社を通じた契約引受けの規定を確認し、(ア)・(イ)の正誤を判断する。
- 自動車保険における事故発生日ごとの補償割合基準(破綻前事故は100%)と、地震保険の特例(期間に関わらず100%)を照らし合わせ、(ウ)・(エ)の誤りを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- 損害保険契約者保護機構は、破綻保険会社の保険契約の移転等を受ける救済保険会社に対して、資金援助(資金の贈与、貸付け等)を行う業務を実施します。
- 小問 イ:○
- 破綻保険会社について救済保険会社が現れない場合、保護機構自ら、または保護機構が設立する子会社である承継保険会社が保険契約を引き継ぐことができます。
- 小問 ウ:×
- 破綻前に発生した事故、および破綻後3か月以内に発生した事故による保険金は、実際の支払時期にかかわらず100%補償されます。80%となるのは破綻後3か月を超えて発生した事故の場合です。
- 小問 エ:×
- 地震保険(家計地震保険)は、政府による再保険制度が設けられているため、破綻後3か月経過後に発生した事故であっても100%補償されます。
覚えるポイント
- 自賠責保険と家計地震保険は、破綻後いつでも100%補償される。
- 破綻前に発生した事故および破綻後3か月以内に発生した事故の保険金は100%補償される。
間違えやすいところ
- 保険金の「支払日」が破綻後3か月超かどうかでなく、「事故発生日」が破綻前または破綻後3か月以内かどうかで100%補償の適用が決まる点を見落としやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(保険業法、損害保険契約者保護機構制度)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.7 ↗(www.jafp.or.jp)
保険業法における情報提供義務・意向把握義務・禁止行為
リスク管理 · 保険業法 / 情報提供義務 / 意向把握義務 / 禁止行為
保険業法に定められている①「情報提供義務」の内容、②「意向把握義務」の内容、③保険業法において禁止されている一定の保険募集等に関する行為について、合わせて300字程度で述べなさい。
解答・解説を表示
解答
「情報提供義務」とは、保険募集の際に、保険金の支払条件や保険期間、保険金額、その他顧客に参考となるべき情報など、顧客が保険加入の適否を判断するために必要な情報を提供するものである。「意向把握義務」とは、顧客ニーズを把握し、当該ニーズに合った保険プランを提案し、顧客ニーズと提案プランの最終的な確認を行うことを求めるものである。また、顧客の判断に影響を及ぼす一定の保険募集等に関する禁止行為としては、「虚偽の説明」、「重要な事項について虚偽のことを告げるよう勧める行為」、「告知義務違反を勧める行為」、「不適切な乗換募集」、「特別の利益の提供」、「誤解させるおそれのある表示・説明」等が挙げられている。(300字)
解説
保険業法は保険募集の公正性を確保し保険契約者等の利益を保護するため、募集人に対して「情報提供義務」や「意向把握義務」を課すとともに、顧客の的確な判断を損なわせる虚偽説明や特別利益の提供等の不正な行為を厳格に禁止しています。
解き方
- 情報提供義務の内容(支払条件や保険期間・金額等の契約内容、参考となるべき情報等の提供)を整理する。
- 意向把握義務の内容(顧客意向の把握、適合するプランの提案、意向と契約内容の合致確認)を整理する。
- 保険業法第300条等に掲げられている主な禁止行為(虚偽説明、重要事項不告知教唆、不適切な乗換募集、特別利益提供等)を列挙し、指定文字数(300字程度)にまとめる。
覚えるポイント
- 情報提供義務:顧客が加入適否を判断するための情報(保険金の支払条件、保険期間等)の提供。
- 意向把握義務:顧客意向の把握、プラン提案、意向と提案プランの確認というプロセスの遵守。
- 禁止行為:虚偽説明、告知義務違反の教唆、特別の利益の提供、不当な乗換えなど。
間違えやすいところ
- 情報提供義務と意向把握義務の定義を取り違えたり、禁止行為について具体例を挙げずに抽象的な記述のみで終わらせて字数が不足してしまうミスが多い。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(保険業法第294条、第294条の2、第300条)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.7 ↗(www.jafp.or.jp)
特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
不動産 · 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 / 住宅ローン残高 / 損益通算
秋山さんは2021年中に自宅を2,000万円で売却(取得費4,500万円、譲渡費用90万円、売却契約前日の住宅ローン残高2,900万円)し、両親の家屋に同居した。2021年の給与所得が700万円、所得控除合計額が220万円である場合、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除」の適用により2022年に繰り越すことができる譲渡損失の金額として、正しいものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
住宅借入金等を有して居住用財産を譲渡した場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例では、通算・控除の対象となる損失額は、実際の譲渡損失の金額と「譲渡契約成立日の前日における住宅ローン残高から譲渡対価を控除した残額」のいずれか少ない金額を限度とします。給与所得などの他の所得と損益通算し、その年に控除しきれなかった金額が翌年以降(最長3年間)に繰り越されます。
解き方
- 実際の譲渡損失額を計算する:譲渡価額2,000万円-(取得費4,500万円+譲渡費用90万円)=▲2,590万円。
- 特例による通算対象限度額を計算する:住宅ローン残高2,900万円-譲渡価額2,000万円=900万円。
- 実際の譲渡損失(2,590万円)と限度額(900万円)のいずれか少ない額を選択するため、通算対象損失額は900万円となる。
- 2021年の給与所得700万円から通算対象損失900万円を損益通算し、控除しきれない200万円(900万円-700万円)が2022年への繰越控除額となる。
- 選択肢 1正解
- 特例による通算限度額900万円から給与所得700万円を控除した200万円が2022年に繰り越される損失額となるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 給与所得から所得控除220万円を差し引いた課税給与所得金額480万円と通算限度額900万円との差額(420万円)を繰越額とする誤りです。損益通算は所得控除前に行われます。
- 選択肢 3不正解
- 実際の譲渡損失額2,590万円から給与所得700万円を差し引いた金額(1,890万円)であり、住宅ローン残高に基づく限度額規制(900万円)を無視した誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 実際の譲渡損失額2,590万円から課税給与所得金額480万円を差し引いた金額(2,110万円)であり、限度額規制を適用していないため誤りです。
覚えるポイント
- 特定居住用財産の譲渡損失の限度額は「住宅ローン残高-譲渡対価」である点に注意が必要です。
- 損益通算は各種所得金額の段階で行われ、所得控除を差し引く前に行います。
間違えやすいところ
- 実際の譲渡損失全額を通算・繰越の対象として計算してしまうミス。
- 所得控除220万円を損益通算前に差し引いて繰越額を求めてしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第41条の5の2)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.8 ↗(www.jafp.or.jp)
貸家(賃貸用建物)の相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 財産評価 / 貸家 / 借家権割合 / 賃貸割合
恵さんの父が所有する賃貸用建物について、下記<資料>に基づき相続税評価額(円)を計算しなさい。 <資料> [建物に関する事項] ・固定資産税評価額:3,000万円 ・各独立部分の床面積の合計:400㎡ ・賃貸されていない空室部分の床面積の合計:50㎡(空室については、一時的なものとは認められない) ・賃貸部分は第三者に適正な賃料で、継続的に賃貸している。 [建物所在地域に関する事項] ・地区区分:普通住宅地区 ・借地権割合:60% ・借家権割合:30% ※上記以外の事項は考慮しない。
解答・解説を表示
解答
22,125,000円
解説
自用家屋の相続税評価額は固定資産税評価額そのものとなります。他人に賃貸している家屋(貸家)の相続税評価額は、「自用家屋としての価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」により計算します。賃貸割合は、各独立部分の延床面積の合計に対する実際に賃貸されている床面積の割合であり、一時的な空室と認められない部分は賃貸面積に含まれません。
解き方
- 賃貸割合を算出する:賃貸されている床面積は 400㎡-50㎡=350㎡ となるため、賃貸割合は 350㎡/400㎡=0.875(87.5%)である。
- 貸家の評価算式に数値を代入して評価額を計算する:30,000,000円×(1-0.30×0.875)=30,000,000円×(1-0.2625)=30,000,000円×0.7375=22,125,000円。
覚えるポイント
- 貸家の評価式:自用家屋評価額(固定資産税評価額)×(1-借家権割合×賃貸割合)。
- 建物の評価においては「借地権割合」は使用せず、「借家権割合」のみを用います。
間違えやすいところ
- 貸家建付地の評価式(自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合))と混同して借地権割合を乗じてしまうミス。
- 一時的でない空室部分の床面積を除外せずに賃貸割合を100%として計算してしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達93)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.9 ↗(www.jafp.or.jp)
雇用保険の育児休業給付金の支給要件と支給額
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 育児休業給付金 / 支給要件 / 給付率
恵さんは第2子の誕生を控え、雇用保険の育児休業給付金について確認したいと考えている。次の育児休業給付金に関する説明資料の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句を語群の中から選び、その番号を答えなさい。 <資料> 「育児休業給付金」は、次の要件を満たす人に支給されます。 ・育児休業取得時に、原則として1歳未満の赤ちゃんを育てている ・雇用保険の被保険者である ・育児休業に入る前の2年間のうちに11日以上働いた月が( ア )以上ある 1ヵ月ごとの給付金は、休業開始時から( イ )目までは賃金の( ウ )、それ以降は賃金の50%です。 <語群> 1.12ヵ月 2.18ヵ月 3.24ヵ月 4.90日 5.120日 6.180日 7.67% 8.75% 9.80%
- 1
- 12ヵ月
- 2
- 18ヵ月
- 3
- 24ヵ月
- 4
- 90日
- 5
- 120日
- 6
- 180日
- 7
- 67%
- 8
- 75%
- 9
- 80%
解答・解説を表示
解答
(ア) 1, (イ) 6, (ウ) 7
解説
雇用保険の育児休業給付金は、子の養育のために休業する被保険者の雇用の継続を支援する制度です。受給要件は休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上(または就労時間80時間以上)ある月が12ヵ月以上あることであり、給付率は当初180日間が67%、181日目以降が50%と規定されています。
解き方
- 育児休業給付金の受給要件である「休業前2年間の被保険者期間」として必要な月数(12ヵ月)を確認し、空欄(ア)に「1」を当てはめる。
- 育児休業給付金の日額算出における給付率の区分期間(休業開始から180日目まで)を確認し、空欄(イ)に「6」を当てはめる。
- 当初180日間に適用される給付率(67%)を確認し、空欄(ウ)に「7」を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ア:1
- 育児休業給付金の受給資格要件は、育児休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が通算して12ヵ月以上あることです。
- 小問 イ:6
- 育児休業給付金の支給額において、休業開始日から180日目までは高い給付率(67%)が適用されます。
- 小問 ウ:7
- 休業開始時から180日目までの支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」であり、181日目以降は50%となります。
覚えるポイント
- 受給資格:育児休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の月が12ヵ月以上
- 給付率:休業開始から180日目までは67%、181日目以降は50%
間違えやすいところ
- 給付金は非課税かつ社会保険料免除により実質手取り約8割となるが、制度上の給付率は80%ではなく「67%」である点に注意する。
- 算定対象期間の「2年間」と、必要な被保険者期間「12ヵ月」を混同しないようにする。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の雇用保険法第61条の7(育児休業給付)の規定に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.10 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.11 ↗(www.jafp.or.jp)
遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給額の計算
タックス・年金 · 遺族給付 / 遺族厚生年金 / 遺族基礎年金 / 子の加算 / 中高齢寡婦加算
智弘さんが第2子誕生後、厚生年金保険加入中に死亡した場合、死亡時点において妻の恵さんに支給される遺族厚生年金と遺族基礎年金の額の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、智弘さんの加入歴は国民年金第1号(学生納付特例期間36月)、厚生年金被保険者期間144月(すべて2003年4月以後、平均標準報酬額40万円)とし、第1子と第2子がいるものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
被保険者期間中の死亡等による遺族厚生年金の報酬比例部分は、加入月数が300月未満の場合、300月とみなして算出した額の4分の3相当額となります。また、遺族基礎年金は基本額に子の加算額(第1子・第2子は各224,700円)が加算されます。遺族基礎年金を受給できる間は中高齢寡婦加算は加算されません。
解き方
- 智弘さんの厚生年金被保険者期間144月は300月未満のため、短期要件における最低保障の300月を適用して報酬比例部分を計算する:400,000円×5.481/1,000×300=657,720円。
- 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3であるため、657,720円×3/4=493,290円 を算出する(中高齢寡婦加算は対象外)。
- 遺族基礎年金の額を計算する:基本年金額780,900円+子の加算(224,700円×2人=449,400円)=1,230,300円。
- 遺族厚生年金493,290円、遺族基礎年金1,230,300円の組み合わせである選択肢4を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 遺族厚生年金で3/4を乗じておらず、遺族基礎年金でも子が1人分しか加算されていない誤った組み合わせです。
- 選択肢 2不正解
- 遺族厚生年金の計算で報酬比例部分に3/4を乗じるのを忘れて657,720円としている点が誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 遺族厚生年金は正しいですが、遺族基礎年金の子の加算が第2子誕生後であるにもかかわらず1人分しか反映されていません。
- 選択肢 4正解
- 遺族厚生年金493,290円(300月みなし計算後の3/4)および遺族基礎年金1,230,300円(基本額+子2人分加算)がともに正しく計算されています。
答えの内訳
- 遺族厚生年金:493,290円
- 厚生年金被保険者期間が144月(300月未満)のため300月とみなして計算します。報酬比例部分の年金額は 400,000円×5.481/1,000×300月=657,720円 となり、遺族厚生年金額はその4分の3である 657,720円×3/4=493,290円 となります。また、遺族基礎年金を受給できるため中高齢寡婦加算は支給されません。
- 遺族基礎年金:1,230,300円
- 基本年金額780,900円に、生計を同一にする子2人分の加算額(第1子・第2子は1人あたり224,700円×2人=449,400円)を合算し、780,900円+449,400円=1,230,300円 となります。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の短期要件では被保険者期間が300月未満の場合300月みなしが適用され、報酬比例部分の3/4が支給額となる
- 遺族基礎年金の子の加算額は第1子・第2子は各224,700円(2021年度価額)
間違えやすいところ
- 報酬比例部分を算出した後、遺族厚生年金の支給割合である「4分の3」を乗じ忘れるミスが多い。
- 問題文の「第2子誕生後」という前提を見落とし、子の加算を1人分だけで計算してしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法(2021年度年金価格)に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.2 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.12 ↗(www.jafp.or.jp)
サービス付き高齢者向け住宅の特徴と基準
不動産運用設計 · サービス付き高齢者向け住宅 / 高齢者住まい法 / 高齢者住宅の登録基準
文彦さんは、遠方に住む両親の将来の暮らし方の一つとして「サービス付き高齢者向け住宅」に関心を持ち、登録基準や契約内容について調べた。次の(ア)~(エ)の記述について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 (ア)サービス付き高齢者向け住宅の事業者は、入居者から家賃やサービスの対価を前払金で受け取ることを禁じられている。 (イ)賃貸借方式の契約の場合、サービス付き高齢者向け住宅の事業者は、入居時に敷金を入居者から受領することができる。 (ウ)サービス付き高齢者向け住宅の事業者は、状況把握(安否確認)サービスと一定の介護サービスを必ず提供しなければならない。 (エ)サービス付き高齢者向け住宅の各戸の専用部分の床面積については、原則として25㎡以上とされている。
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解答
(ア)× (イ)○ (ウ)× (エ)○
解説
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、単身高齢者や高齢者夫婦が安心して居住できるようバリアフリー構造を備え、安否確認や生活相談サービスを提供する賃貸住宅等です。高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)に基づき、ハード面(面積や設備)およびソフト面(提供必須サービスや契約要件)の登録基準が細かく定められています。
解き方
- 受領可能な金銭(敷金や保全措置を講じた前払金)の要件を確認し、(ア)および(イ)の正誤を判定する。
- 必須提供サービス(状況把握・生活相談であり介護は必須でない)を確認し、(ウ)の正誤を判定する。
- 住戸の専用部分の床面積基準(原則25㎡以上)を確認し、(エ)の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:×
- 高齢者の居住の安定確保に関する法律において、事業者が前払金を受領すること自体は禁止されていません。前払金を受領する場合には、返還債務の保全措置や返還ルールの明示が義務付けられています。
- 小問 イ:○
- 契約が賃貸借方式の場合、事業者は賃料やサービス対価のほか、入居時に敷金を受領することができます。ただし、権利金その他の名目による対価の受領は制限されています。
- 小問 ウ:×
- 必須とされるサービスは「状況把握(安否確認)サービス」および「生活相談サービス」の2つであり、介護サービスの提供までが義務付けられているわけではありません。
- 小問 エ:○
- 各戸の専用部分の床面積は、原則として25㎡以上と定められています(共用部分に共同利用する十分なリビングや食堂等がある場合は18㎡以上でも可)。
覚えるポイント
- サ高住の必須サービスは「状況把握(安否確認)」と「生活相談」の2点であること。
- 各戸の専用面積は原則25㎡以上(十分な共同利用スペースがある場合は18㎡以上)であること。
間違えやすいところ
- 有料老人ホームのように介護サービスまで常時必須提供と混同しやすい点に注意する。
- 前払金の受領が一律禁止されていると誤解しやすいが、所定の保全措置等を講じることで受領可能である。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の高齢者の居住の安定確保に関する法律等の規定に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.15 ↗(www.jafp.or.jp)
住宅ローンの返済額軽減型繰上げ返済額の計算
タックスプランニング · 住宅ローン / 返済額軽減型繰上げ返済 / 年金現価係数 / 係数の乗算利用
文彦さんは借入額2,800万円、借入金利年2.60%(全期間固定金利)、元利均等返済・毎月返済のみ、返済期間25年の住宅ローンを返済中である。借入れから10年が経過した時点(返済回数120回終了後)で、返済額軽減型の繰上げ返済を行い、1年間の返済額(元利合計)の合計額を30万円削減するために必要な繰上げ返済額を計算しなさい。なお、繰上げ返済手数料等は考慮せず、与えられた係数表を乗算で使用し、計算過程で生じた円未満は四捨五入、解答は万円未満を切り上げること。
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解答
373万円
解説
返済額軽減型の繰上げ返済では、残存返済期間を変えずに元本の一部を一括返済することで以後の毎月返済額を引き下げます。毎月の希望削減額から必要となる繰上げ返済元本を計算する際は、将来受け取る(または支払う)毎回の一定額の現時点での価値を求める「年金現価係数(1ヵ月用)」に残存期間を適用して算出します。
解き方
- 1年間の返済削減額30万円から、毎月の返済削減額を計算する(300,000円 ÷ 12ヵ月 = 25,000円)。
- 繰上げ返済時点における住宅ローンの残存期間を特定する(25年 - 10年 = 15年)。
- 係数表より期間15年・年利2.60%の「年金現価係数(1ヵ月用)」である148.91881を選択する。
- 毎月削減額に乗算して必要元本を算出する(25,000円 × 148.91881 = 3,722,970.25円)。
- 円未満を四捨五入して3,722,970円とし、設問の端数処理指示に従って万円未満を切り上げて373万円を求める。
覚えるポイント
- 年間の削減額から月額の削減額を求めるために12で割ること。
- 毎月均等返済額から現在価値(元本)を逆算する際は「年金現価係数」を乗算すること。
- 指定された端数処理(円未満四捨五入、万円未満切り上げ)を順序通り確実に適用すること。
間違えやすいところ
- 残存期間15年ではなく当初期間の25年や経過期間の10年の係数を選択してしまう。
- 乗算の指示があるにもかかわらず資本回収係数で除算しようとしたり、減債基金係数と混同してしまう。
- 端数処理において、四捨五入や切り捨てを行ってしまい、万円未満の「切り上げ」指示を見落とす。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および問題文・係数表の記載条件に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.16 ↗(www.jafp.or.jp)
法定後見制度(後見・保佐・補助)の権限と手続き
相続・事業承継設計 · 成年後見制度 / 保佐 / 補助 / 取消権 / 代理権
文彦さんは別居中の両親が将来認知症になった際に法定後見制度を利用することを検討している。問題文中の表を参考に、法定後見制度に関する次の記述(ア)~(エ)の正誤を判断しなさい。 (ア)後見人は、その事務を行うに当たり必要なときは、家庭裁判所の審判を得て、一定期間の成年被後見人宛の郵便物の転送を受けることができる。 (イ)後見人は法定代理人であり、成年被後見人のすべての行為について取消権を有する。 (ウ)被保佐人は、民法第13条第1項による所定の行為および家庭裁判所の審判で保佐人の同意を得なければならないとされた法律行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。 (エ)補助人の同意を得なければならない行為以外であっても、補助人の同意またはこれに代わる家庭裁判所の許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
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解答
(ア)○ (イ)× (ウ)○ (エ)×
解説
成年後見制度(後見・保佐・補助)は判断能力が不十分な者を保護・支援する制度です。後見人は包括的な代理権・取消権を有しますが、日用品の購入など日常生活に関する行為は取消しの対象外とされています。また保佐や補助では民法所定または家庭裁判所が定めた特定の行為に限り同意権・取消権が認められます。
解き方
- 成年後見人の郵便物転送に関する家庭裁判所の審判の規定を確認する。
- 成年被後見人の行為の取消権において日常生活に関する行為の例外を確認する。
- 被保佐人の同意を要する行為の範囲(民法13条1項および家裁の審判)を確認する。
- 補助人の同意を要しない行為に対する取消権の適用の有無を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:○
- 成年後見人は、成年後見人の事務を行うために必要があるときは、家庭裁判所の審判を得て、成年被後見人に宛てた郵便物等の配達(転送)を受けることができます。
- 小問 イ:×
- 日用品の購入その他日常生活に関する行為については、成年後見人であっても取り消すことができません。
- 小問 ウ:○
- 被保佐人が民法第13条第1項所定の行為や家庭裁判所の審判で定めた特定の法律行為を行う場合、保佐人の同意が必要です。
- 小問 エ:×
- 補助人の同意を要すると定められた特定の法律行為について同意や許可なく行ったものは取り消せますが、同意を要しない行為は取り消せません。
覚えるポイント
- 成年後見人であっても日常生活に関する行為(日用品の買出し等)は取り消せない点に注意する。
間違えやすいところ
- 「すべての行為を取り消せる」と誤解しやすいが、日常生活に関する行為は除外される。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の民法および家事事件手続法等
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.17 ↗(www.jafp.or.jp)
つみたてNISAの制度概要と要件
金融資産運用設計 · つみたてNISA / 投資信託 / 株式数比例配分方式 / 販売手数料
彩香さんはつみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)についてFPの北村さんに質問をした。北村さんの次の説明の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものを1つ選びなさい。 「つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。( ア )において20歳以上の国内に居住する個人は、つみたてNISAを利用することができます。対象商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たす公募株式投資信託とETFに限定されていて、公募株式投資信託については、購入時手数料が( イ )、信託契約期間が無期限または20年以上であることなどが要件となっています。つみたてNISAで買い付けたETFの分配金を非課税とするためには、( ウ )で受け取る必要があります。」
解答・解説を表示
解答
2
解説
つみたてNISAの利用対象者は口座を開設する年の1月1日現在で20歳以上(2021年当時)の国内居住者です。対象となる公募株式投資信託は購入時手数料がゼロ(ノーロード)である必要があります。また上場株式やETFの配当金・分配金を非課税とするには証券会社の口座で受け取る株式数比例配分方式を選択する必要があります。
解き方
- 年齢要件の判定基準日を確認する(その年の1月1日現在)。
- 公募株式投資信託の対象要件として購入時手数料が無料(ゼロ)であることを確認する。
- ETFの分配金を非課税で受け取るための受取方式が株式数比例配分方式であることを確認する。
- 条件を満たす選択肢(2)を選択する。
- 選択肢 1不正解
- 購入時手数料は「ゼロ(ノーロード)」であり、受取方式は「株式数比例配分方式」である必要があります。
- 選択肢 2正解
- 年齢判定は「その年の1月1日」、購入時手数料は「ゼロ」、ETF等の非課税受取方式は「株式数比例配分方式」であり適切です。
- 選択肢 3不正解
- 年齢要件の判定日は「その年の1月1日」であり、受取方式は「株式数比例配分方式」とする必要があります。
- 選択肢 4不正解
- 年齢要件の判定日は「その年の1月1日」であり、購入時手数料は「ゼロ」でなければなりません。
覚えるポイント
- NISA・つみたてNISAで株式等の配当・分配金を非課税にするには株式数比例配分方式の選択が必須。
間違えやすいところ
- 公募投信の購入時手数料を「一定水準以下」と誤認しやすいが、つみたてNISAでは「ゼロ(ノーロード)」が要件。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の租税特別措置法等
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.18 ↗(www.jafp.or.jp)
建蔽率の制限に基づく建築面積の最高限度の計算
不動産 · 建蔽率の計算 / 用途地域の跨ぎ / 防火規制による建蔽率緩和
寛子さんの兄の昭彦さんは自宅(戸建て)の建て替えを検討している。昭彦さんの自宅敷地について、資料に基づき準耐火建築物を建築する場合における、建蔽率の制限に基づく建築面積の最高限度を計算しなさい。なお、記載のない条件は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
144㎡
解説
建築基準法において、敷地が異なる用途地域にまたがる場合の建築面積の最高限度は、各地域ごとの敷地面積に適用される建蔽率を乗じて得た面積を合計(加重平均の考え方)して求めます。また、準防火地域内に耐火建築物または準耐火建築物を建築する場合、指定建蔽率に10%が加算される緩和措置が適用されます。
解き方
- 敷地各部分の面積を計算する:第二種住居地域部分は6m×15m=90㎡、第一種住居地域部分は9m×15m=135㎡。
- 準防火地域内での準耐火建築物の建築による建蔽率緩和(+10%)を各地域に適用し、第二種住居地域を70%、第一種住居地域を60%とする。
- 各地域の敷地面積に適用建蔽率を乗じて建築面積の上限を求め、合計する(90㎡×70%+135㎡×60%=63㎡+81㎡=144㎡)。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物は建蔽率が10%緩和される。
- 異なる用途地域にまたがる敷地の建築面積限度は、各地域ごとに算出して合計する。
間違えやすいところ
- 準防火地域における準耐火建築物の10%緩和を加算し忘れて、指定建蔽率のまま計算してしまう。
- 容積率と建蔽率の数値を混同して計算に用いてしまう。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の建築基準法第53条(建蔽率)の規定に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.19 ↗(www.jafp.or.jp)
生命保険の保険金・給付金および特約請求限度額の計算
リスク管理 · 生命保険の給付金計算 / 災害入院・疾病入院 / リビング・ニーズ特約
文彦さんが加入している生命保険証券(資料1:文彦さん被保険者、資料2:寛子さん被保険者)に基づき、以下の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる数値を求めなさい。なお、保険契約は有効に継続しており、これまで給付金等の請求はなく免責事由はないものとする。 ・文彦さんが心筋梗塞で30日間入院し、所定の手術(40倍)を受けた後に死亡した場合に支払われる保険金・給付金の合計額(ア) ・寛子さんが自転車転倒による骨折で10日間入院し、所定の手術(10倍)を受けた場合に支払われる保険金・給付金の合計額(イ) ・文彦さんががんで余命6ヵ月以内と判断された場合、リビング・ニーズ特約で請求できる最大金額(ウ)
解答・解説を表示
解答
(ア) 2,535万円、(イ) 10万円、(ウ) 2,500万円
解説
生命保険の保険金・給付金は、主契約および付帯特約の約款に定められた支払事由(疾病、災害、手術、死亡等)に応じて個別に算定されます。リビング・ニーズ特約は将来受取人に支払われる死亡保険金の一部または全部を生前に前払いで受け取る特約であり、契約ごとの死亡保険金額および通算上限額(一般に3,000万円)の範囲内で請求可能です。
解き方
- (ア)について、疾病による入院日数・手術倍率・死亡保険金(終身+定期)をそれぞれ算出して合算する。
- (イ)について、災害入院特約および手術特約の適用条件を確認し、該当する給付金を算出して合算する。
- (ウ)について、対象契約の死亡保険金額の総額とリビング・ニーズ特約の請求限度額(3,000万円)を比較し、最大請求可能額を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:2,535
- 心筋梗塞(疾病)による入院・手術および死亡であるため、疾病入院給付金(日額5,000円×30日=15万円)、手術給付金(日額5,000円×40倍=20万円)、主契約の終身保険金(500万円)、定期保険特約(2,000万円)が支払われます。傷害特約は不慮の事故等が対象のため対象外です。合計は15万円+20万円+500万円+2,000万円=2,535万円となります。
- 小問 イ:10
- 自転車転倒による骨折(不慮の事故)による入院・手術です。災害入院給付金(日額5,000円×10日=5万円)が支払われます。また手術給付金付疾病入院特約は約款により「不慮の事故で所定の手術を受けたとき」も対象となるため、手術給付金(日額5,000円×10倍=5万円)が支払われます。傷害特約は死亡・所定の障害状態が対象のため該当せず、合計で5万円+5万円=10万円となります。
- 小問 ウ:2,500
- リビング・ニーズ特約は被保険者の余命が6ヵ月以内と判断されたときに、死亡保険金額の範囲内かつ通算3,000万円を限度として請求できます。文彦さんの死亡保険金額は終身保険500万円+定期保険特約2,000万円の合計2,500万円であり、上限3,000万円に収まるため、請求できる最大金額は2,500万円となります(傷害特約は対象外)。
覚えるポイント
- 傷害特約は不慮の事故等による死亡または所定の障害状態が対象であり、入院・手術や病気死亡では支払われない。
- リビング・ニーズ特約の請求限度額は通算3,000万円と契約の死亡保険金額のいずれか小さい方となる。
間違えやすいところ
- 病気による死亡時に傷害特約(災害死亡保険金)を含めて計算してしまうミス。
- リビング・ニーズ特約の上限額3,000万円をそのまま答えとし、実際の契約死亡保険金額(2,500万円)の制限を見落とすミス。
出題の前提:2021年4月1日現在の一般的な生命保険約款および出題資料に示された契約内容に基づく。
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.20 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.21 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.22 ↗(www.jafp.or.jp)
総所得金額の計算(不動産所得の損益通算の制限および譲渡損失)
タックスプランニング · 総所得金額 / 損益通算 / 土地負債利子 / 生活に通常必要でない資産 / 青色申告特別控除
寛子さんの兄である直人さんの2021年における所得等の状況が次の通りである場合、2021年分の所得税の計算上、総所得金額に算入すべき金額として正しいものはどれか。なお、直人さんは65万円の青色申告特別控除の適用要件を満たしており、記載のない事項は考慮しない。 <資料> ・事業所得:売上高 1,200万円、必要経費 650万円 ・不動産所得:貸家貸付けによる収入金額 450万円、必要経費 580万円(必要経費の中に土地の取得に要した負債の利子20万円が含まれている) ・譲渡所得:別荘の売却による譲渡損失 ▲280万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
不動産所得の赤字のうち土地取得に要した負債利子分は損益通算の対象外となり、別荘等の生活に通常必要でない資産の譲渡損失も損益通算できません。青色申告特別控除は損益通算後の所得から控除します。
解き方
- 事業所得の金額(控除前)を計算する:売上高1,200万円-必要経費650万円=550万円。
- 不動産所得の損失額および通算可能額を判定する:収入450万円-経費580万円=▲130万円。土地取得利子20万円分は損益通算対象外となるため、通算可能損失は130万円-20万円=110万円。
- 譲渡所得の損益通算の可否を判定する:別荘は生活に通常必要でない資産に該当するため、売却による譲渡損失280万円は他の所得と通算できず切り捨てとなる。
- 損益通算を行い青色申告特別控除を適用する:事業所得550万円-不動産損失110万円=440万円。ここから青色申告特別控除65万円を差し引き、総所得金額は375万円となる。
- 選択肢 1不正解
- 別荘の譲渡損失280万円を全額損益通算して計算した誤りです(440万円-280万円-65万円=95万円)。別荘の譲渡損失は損益通算の対象外です。
- 選択肢 2不正解
- 不動産所得の損失全額130万円(土地負債利子20万円を含む)を通算して計算した誤りです(550万円-130万円-65万円=355万円)。土地負債利子分は通算できません。
- 選択肢 3正解
- 土地負債利子20万円を除いた不動産損失110万円のみを事業所得から通算し、青色申告特別控除65万円を控除した正しい金額(375万円)です。
- 選択肢 4不正解
- 青色申告特別控除額65万円を控除し忘れた金額(550万円-110万円=440万円)です。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち土地取得に係る借入金利子相当額は損益通算の対象外となる
- 別荘や競走馬、骨董品など「生活に通常必要でない資産」の譲渡損失は他の所得と損益通算できない
間違えやすいところ
- 不動産所得の損失全額を損益通算に回してしまうミス
- 別荘の譲渡損失を総合譲渡所得の損失として損益通算してしまうミス
- 青色申告特別控除を損益通算前に各所得から個別に控除しようとするミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(所得税法、租税特別措置法)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.23 ↗(www.jafp.or.jp)
未分割時の相続税の申告手続きと期限後の分割に伴う手続き
相続・事業承継 · 相続税の申告期限 / 未分割申告 / 修正申告 / 更正の請求の特則
相続財産が遺産分割協議未了のときの相続税の申告および分割後の手続きに関する次の文章の空欄(ア)~(エ)に入る語句・数値の組み合わせとして、正しいものはどれか。 相続税の申告と納税は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から( ア )以内に行わなければならず、相続財産の分割がされていない場合であっても同様である。 上記期限後に相続財産の分割が行われ、申告した税額とその分割に基づき計算した税額とが異なる場合は、次の手続きを行うことができる。 ・申告した税額より、分割に基づき計算した税額が多い場合 ( イ ) ・申告した税額より、分割に基づき計算した税額が少ない場合 ( ウ ) 上記( ウ )ができるのは、分割のあったことを知った日の翌日から( エ )以内である。
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。申告後に遺産が分割され、税額が増える場合は修正申告を行い、税額が減る場合は分割を知った日の翌日から4ヵ月以内に更正の請求を行うことができます。
解き方
- 空欄(ア):相続税の法定申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から「10ヵ月」以内である。
- 空欄(イ):当初申告した税額より実際の税額が多くなる場合に行う手続きは「修正申告」である。
- 空欄(ウ):当初申告した税額より実際の税額が少なくなり税金の還付を求める手続きは「更正の請求」である。
- 空欄(エ):相続税法第32条の規定により、未分割財産が分割された場合の更正の請求の期限は、分割のあったことを知った日の翌日から「4ヵ月」以内である。
- 選択肢 1不正解
- 税額が増加する場合は修正申告、減少する場合は更正の請求であり、また更正の請求期限は分割を知った日の翌日から4ヵ月以内であるため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 相続税の申告期限は12ヵ月ではなく10ヵ月以内であり、修正申告と更正の請求の対応も逆になっているため誤りです。
- 選択肢 3正解
- (ア)10ヵ月、(イ)修正申告、(ウ)更正の請求、(エ)4ヵ月と、すべての空欄の記述が正しく合致しています。
- 選択肢 4不正解
- 申告期限は12ヵ月ではなく10ヵ月以内であり、分割後の更正の請求の期限は6ヵ月ではなく4ヵ月以内であるため誤りです。
覚えるポイント
- 相続税の申告・納付期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内
- 未分割財産の分割後の更正の請求特則は「分割があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内」
間違えやすいところ
- 所得税の確定申告(翌年3月15日)や贈与税申告期限と混同して申告期限を誤るミス
- 納税額が増加するときに行う「修正申告」と減少するときに行う「更正の請求」を取り違えるミス
- 相続税の更正の請求の特則期限(4ヵ月以内)を、国税通則法の原則(5年)や他の特則期間と混同するミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等(相続税法第27条、第31条、第32条)
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.14 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.24 ↗(www.jafp.or.jp)
退職後の公的医療保険(任意継続組合員・任意継続被保険者制度)
ライフプランニングと資金計画 · 任意継続被保険者制度 / 任意継続組合員制度 / 公的医療保険 / 標準報酬月額
公務員共済組合の組合員である文彦さんが退職後の医療保険について相談した際の説明である、次の<資料>の空欄(ア)~(ウ)に入る適切な語句・数値を語群の中から選びなさい。なお、任意継続組合員制度の内容は記載のない部分については協会けんぽの任意継続被保険者制度と同一であるものとする。 <資料> [任意継続組合員制度について] 退職の日の前日まで引き続き1年以上組合員だった方が、任意継続組合員になることを申し出ることにより、退職後( ア )、在職中とほぼ同様の短期給付を受けることができます。 任意継続組合員になるためには、退職の日から( イ )以内に申し出て、任意継続掛金を納入することが必要です。 [任意継続掛金の算出方法] 任意継続掛金は、掛金の標準となる額×掛金率となります。掛金の標準となる額は次のうちいずれか低い額となります。 ① 退職時の月の標準報酬月額 ② 当共済組合全組合員の前年度9月30日における標準報酬月額の( ウ ) <語群> 1. 1年間 2. 1年6ヵ月間 3. 2年間 4. 7日 5. 14日 6. 20日 7. 平均額 8. 平均額の2分の1相当額 9. 平均額の3分の1相当額
- 1
- 1年間
- 2
- 1年6ヵ月間
- 3
- 2年間
- 4
- 7日
- 5
- 14日
- 6
- 20日
- 7
- 平均額
- 8
- 平均額の2分の1相当額
- 9
- 平均額の3分の1相当額
解答・解説を表示
解答
(ア)3、(イ)6、(ウ)7
解説
健康保険や共済組合等の任意継続制度は、退職により被保険者資格を喪失した者が、一定の要件のもとで退職後も最長2年間にわたり従前の保険制度の給付を継続して受けられる制度です。申出期限は資格喪失日から20日以内であり、保険料(掛金)算出の基礎となる標準報酬月額は、本人の退職時の額と制度全体の全被保険者の平均額のいずれか低い方が上限として適用されます。
解き方
- 空欄(ア)の任意継続組合員制度の最長加入期間を確認する。法制上、期間は「2年間」であるため語群の「3」を選択する。
- 空欄(イ)の資格喪失後の申出期限を確認する。退職の日(資格喪失日)の翌日から起算して「20日以内」であるため語群の「6」を選択する。
- 空欄(ウ)の掛金計算の標準報酬月額の上限規定を確認する。全組合員(全被保険者)の前年度9月30日時点の「平均額」であるため語群の「7」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:3
- 任意継続組合員(任意継続被保険者)として資格を継続できる期間は、最長で退職後「2年間」と定められています。
- 小問 イ:6
- 任意継続の申出は、退職の日(資格喪失日)から原則として「20日以内」に行う必要があります。
- 小問 ウ:7
- 掛金の算定基準となる標準報酬月額は、「退職時の標準報酬月額」と「全組合員(全被保険者)の前年度9月30日時点の標準報酬月額の平均額」のいずれか低い額とされます。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の加入可能期間は最長2年間
- 申出期限は資格喪失日から20日以内
- 標準報酬月額の上限は全被保険者の前年9月30日時点の平均額
間違えやすいところ
- 国民健康保険の加入届出期限である14日と任意継続の20日を取り違えるミス
- 標準報酬月額の上限を「最高等級の額」や「平均額の1/2」などと誤解するミス
出題の前提:2021年4月1日現在施行の健康保険法・地方公務員等共済組合法等の法令
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.25 ↗(www.jafp.or.jp) / 公式問題 p.26 ↗(www.jafp.or.jp)
老齢基礎年金の受給額の計算(学生納付特例期間と厚生年金期間)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 年金額の計算 / 学生納付特例制度 / 国民年金第2号被保険者
潤太さんの公的年金加入歴が次のとおりである場合、潤太さんに支給される老齢基礎年金の年金額として正しいものはどれか。なお、学生納付特例期間について保険料の追納は行わないものとし、計算過程・解答ともに円未満を四捨五入すること。 <資料:潤太さんの公的年金加入歴(仮定)> ・2020年8月(20歳)~2023年3月(就職前):国民年金第1号被保険者(学生納付特例期間)32月 ・2023年4月(就職)~2060年8月(退職・60歳):厚生年金保険被保険者期間 448月 [老齢基礎年金の満額]780,900円
解答・解説を表示
解答
1
解説
老齢基礎年金の額は、原則として「満額 × (保険料納付済月数 + 全額免除月数×国庫負担割合等) ÷ 480月」で算出されます。学生納付特例制度による承認期間は、受給資格期間(10年)には算入されますが、追納を行わない限り年金額の計算においては月数に算入されず、受給額には反映されません(国庫負担割合分も反映されません)。また、20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間は国民年金の第2号被保険者期間として保険料納付済月数として扱われます。
解き方
- 加入月数の内訳を整理する。20歳から60歳までの480月のうち、学生納付特例期間が32月、20歳以上60歳未満の厚生年金保険期間が448月である。
- 学生納付特例期間の取扱いを確認する。追納を行わない場合、年金額の計算対象月数には算入されない(反映割合は0)。
- 保険料納付済月数となる厚生年金期間(448月)のみを用いて年金額を計算する:780,900円 × (448月 ÷ 480月) = 728,840円。
- 選択肢 1正解
- 学生納付特例期間の32月は年金額に反映されず、納付済月数448月のみが算入されるため、780,900円×448/480=728,840円となり正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 学生納付特例期間に一般の全額免除と同様の国庫負担割合(2分の1)が反映されると誤認して計算した数値(780,900円×(448+32×1/2)/480=754,870円)であり、誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 学生納付特例期間の一部を免除期間と誤認した誤った計算結果であり、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 学生納付特例期間を通常の納付済期間として480月満額受け取れると誤認した数値であり、誤りです。
覚えるポイント
- 学生納付特例期間は受給資格期間に算入されるが、追納しないと年金額には反映されない(国庫負担分もなし)
- 20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間は国民年金の保険料納付済月数になる
間違えやすいところ
- 学生納付特例期間を通常の保険料全額免除期間(国庫負担割合1/2が年金額に反映される)と混同して計算してしまうミス
- 受給資格期間への合算と年金額への反映を同一視してしまう誤解
出題の前提:2021年4月1日現在施行の国民年金法等の法令
出典:日本FP協会『2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)』
公式問題 p.27 ↗(www.jafp.or.jp)
2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)
参照した公式資料
日本FP協会が公開した2021年9月 1級 実技(資産設計提案業務)の問題・解答資料です。

