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全10設問のうち9設問の解説を掲載しています。指定答案用紙などが確認できない設問は掲載していません。
第173回 1級 商業簿記・会計学の概要
その他の包括利益累計額の表示項目
連結会計 · その他の包括利益累計額 / 純資産の部 / 連結貸借対照表
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解答
ア
解説
連結貸借対照表の純資産の部で、その他の包括利益累計額には「その他有価証券評価差額金」「繰延ヘッジ損益(損失)」「為替換算調整勘定」「退職給付に係る調整累計額」などが入ります。
解き方
- 連結貸借対照表の純資産の部におけるその他の包括利益累計額の主な構成内訳項目を想起する。
- 選択肢のうち、その他の包括利益累計額に計上されない項目(損益項目等)を特定する。
- 選択肢 ア正解
- アは正しいです。臨時巨額の損失はその他の包括利益累計額の内訳ではなく、損益計算書の特別損失などに計上する項目です。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。繰延ヘッジ損失(繰延ヘッジ損益)は、その他の包括利益累計額に計上する代表的な項目です。
- 選択肢 ウ不正解
- ウは誤りです。その他有価証券評価差額金は、その他の包括利益累計額に計上する代表的な項目です。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。為替換算調整勘定は、在外子会社などの換算差額としてその他の包括利益累計額に計上する項目です。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。退職給付に係る調整累計額は、未認識の数理計算上の差異などを連結B/Sの純資産に計上するとき、その他の包括利益累計額に表示します。
覚えるポイント
- その他の包括利益累計額の内訳4項目(その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額)を正確に覚える。
間違えやすいところ
- 個別貸借対照表の評価・換算差額等と連結貸借対照表のその他の包括利益累計額の名称や内訳(特に退職給付に係る調整累計額の有無)を取り違えないように注意する。
出題の前提:企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」および連結財務諸表規則
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結損益計算書の表示区分(特別損益項目と営業費用)
連結会計 · 特別損益 / 取得関連費用 / 企業結合会計基準
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解答
ウ
解説
企業結合会計基準では、外部のアドバイザーなどに払った取得関連費用は、発生した事業年度の費用(販売費及び一般管理費)として処理し、特別損失にはしません。
解き方
- 各選択肢の項目が損益計算書上どの区分(特別損益か、それ以外の営業損益・営業外損益か)に計上されるかを確認する。
- 取得関連費用は発生年度の販売費及び一般管理費として処理される会計基準の定めに基づき、特別損益に表示されない項目を特定する。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。減損損失は臨時的・巨額の損失として特別損失に表示する代表的な項目です。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。段階取得に係る差益(損益)は、企業結合会計基準により特別利益(特別損失)として計上します。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。子会社などの取得に要した取得関連費用は発生時の販売費及び一般管理費にするので、特別損益には表示しません。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。災害による棚卸資産評価損は、異常かつ臨時的な原因の損失として特別損失に計上します。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。偶発的な事故や訴訟などによる損害補償損失引当金繰入額は、臨時巨額の損失として特別損失に表示します。
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覚えるポイント
- 企業結合における「取得関連費用」は、株式の取得原価に算入せず、発生した年度の費用(販売費及び一般管理費)として処理する。
間違えやすいところ
- 取得関連費用を特別損失や取得原価の一部として混同しやすいので、販売費及び一般管理費処理であることを確実に押さえる。
出題の前提:企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」および企業会計原則(損益計算書原則)
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結キャッシュ・フロー計算書における財務活動によるキャッシュ・フローの表示区分
会計学 · 連結キャッシュ・フロー計算書 / 財務活動によるキャッシュ・フロー / 利息及び配当金の表示区分
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解答
エ
解説
キャッシュ・フロー計算書で利息と配当金のキャッシュ・フローを表示する方法には第1法と第2法があります。第1法では、利息と配当金の受取額、利息の支払額を営業活動、配当金の支払額を財務活動にします。第2法では、利息と配当金の受取額を投資活動、利息と配当金の支払額を財務活動にします。どちらの方法でも、受取配当金を財務活動にすることはありません。
解き方
- 各選択肢の取引がキャッシュ・フロー計算書のどの区分(営業・投資・財務)に該当するかを検討します。
- 利息及び配当金について、第1法(営業活動/財務活動)と第2法(投資活動/財務活動)の表示区分を確認し、財務活動に表示され得ない項目を特定します。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。利息の支払額は、第2法を採用した場合は財務活動によるキャッシュ・フローに表示します。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。配当金の支払額は、第1法でも第2法でも財務活動によるキャッシュ・フローに表示します。
- 選択肢 ウ不正解
- ウは誤りです。自己株式の処分による収入は資本の調達に伴う取引なので、財務活動によるキャッシュ・フローに表示します。
- 選択肢 エ正解
- エは正しいです。配当金の受取額は第1法では営業活動、第2法では投資活動に区分され、財務活動には表示しません。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却による収入は、連結上の資本取引として財務活動によるキャッシュ・フローに表示します。
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覚えるポイント
- 受取利息・受取配当金は営業活動(第1法)または投資活動(第2法)に区分され、財務活動には区分されません。
間違えやすいところ
- 配当金の支払額と配当金の受取額を混同し、支払額のみが財務活動に区分されることを見落としやすいです。
出題の前提:連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成基準
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結損益計算書における販売費及び一般管理費の表示項目
会計学 · 損益計算書 / 販売費及び一般管理費 / 営業外費用 / 繰延資産の償却
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解答
イ
解説
販売費及び一般管理費は、営業活動で発生した費用のうち売上原価以外のものです。社債発行費などの繰延資産の償却額は資金調達に係る財務費用なので、損益計算書では原則として営業外費用に計上します。一方、資産除去債務の利息費用は時間の経過による調整額として、関係する固定資産の減価償却費と同じ区分(売上原価または販管費)に表示します。
解き方
- 各勘定科目および費用項目が、損益計算書のどの区分(売上原価、販管費、営業外費用、特別損失)に該当するかを整理します。
- 社債発行費償却が資金調達に関する財務費用として営業外費用に計上されることを確認します。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。研究開発費は「研究開発費等に係る会計基準」により、一般管理費(または当期製造費用)として計上します。
- 選択肢 イ正解
- イは正しいです。社債発行費償却は資金調達に係る財務活動から生じる費用なので営業外費用に表示し、販管費には表示しません。
- 選択肢 ウ不正解
- ウは誤りです。のれん償却額は企業結合会計基準に基づき販売費及び一般管理費に表示します。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。取替資産で取替法を採用したときの取替費は、営業費用(売上原価または販売費及び一般管理費)に計上します。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。資産除去債務の利息費用(時間の経過による調整額)は、対象資産の減価償却費と同じ区分(売上原価または販管費)に計上します。
覚えるポイント
- 繰延資産の償却額(社債発行費償却、創立費償却、開業費償却等)は原則として営業外費用に計上されます。
間違えやすいところ
- 資産除去債務に係る利息費用という名称から営業外費用の支払利息等に分類されると誤認しやすいので注意が必要です。
出題の前提:企業会計原則、繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い、資産除去債務に関する会計基準
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結株主資本等変動計算書の表示項目
商業簿記・会計学 · 連結株主資本等変動計算書 / 純資産会計
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解答
ウ
解説
株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部が1会計期間でどう変わったかを表す計算書です。純資産の項目ごとに、その期の変動額と変動の理由(増減の事由)を表示します。純資産の項目に当たらないものや、会計処理上そもそも生じない変動事由は記載しません。
解き方
- 各選択肢の取引事由が純資産項目の増減変動として計上・表示されるかを検討する。
- 株式の無償交付(無償割当て)は株主資本の計数の変動を伴わず、「株式引受権の増加」という変動項目自体が存在しないことを確認して正答を特定する。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。任意積立金の取り崩しによる繰越利益剰余金の増加は、株主資本の利益剰余金区分の変動事由として表示します。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。減資で生じる資本剰余金の増加は、株主資本の資本剰余金区分の変動事由として表示します。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。株式の無償割当て(無償交付)は純資産の内訳や株式引受権を動かさないので、表示項目にはなりません。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。連結子会社が連結範囲から外れたことに伴う利益剰余金の減少額は、連結株主資本等変動計算書の利益剰余金区分に表示します。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。ストック・オプションが権利行使されず失効したときの新株予約権の減少額は、新株予約権の変動区分に表示します。
覚えるポイント
- 株主資本等変動計算書は純資産の部各項目の変動事由を網羅的に開示する諸表であること
間違えやすいところ
- 株式無償割当て(無償交付)と新株予約権行使による払込を混同しないように注意する
出題の前提:企業会計基準第6号「株主資本等変動計算書に関する会計基準」および会社計算規則
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結財務諸表における退職給付の会計処理
商業簿記・会計学 · 退職給付会計 / 連結貸借対照表 / その他の包括利益 / 数理計算上の差異
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解答
ア:数理、イ:108,000、ウ:26,800、エ:△6,000
解説
連結財務諸表の退職給付会計では、個別財務諸表で未認識の数理計算上の差異を、税効果調整後(本問は指示なし)の額をその他の包括利益として認識します。貸借対照表では、積立状況(退職給付債務と年金資産の差額)をそのまま負債(または資産)として計上します。
解き方
- 個別貸借対照表の差異勘定の名称より【ア】が「数理」であることを判定する。
- 20X3年度末の退職給付に係る負債について、A社・B社それぞれの(退職給付債務-年金資産)を合算して【イ】を求める。
- 20X4年度の連結退職給付費用として、A社およびB社の損益計算書計上額を合算して【ウ】を計算する。
- 20X4年度のその他の包括利益(退職給付に係る調整額)として、当期発生額(B社:△10,000千円)に組替調整額(A社:+4,000千円)を加減算して【エ】を算出する。
答えの内訳
- ア:数理
- 年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異や退職給付債務の計算に用いた仮定と実績との乖離から生じる差異は「数理計算上の差異」と呼ばれます。
- イ:108,000
- 連結貸借対照表では未認識差異を即時認識するため、積立状況(退職給付債務-年金資産)が負債計上額となります。A社(308,000-212,000=96,000)+ B社(102,000-90,000=12,000)= 108,000千円です。
- ウ:26,800
- 連結損益計算書上の退職給付費用は個別財務諸表上の費用の合算額となります。A社(18,380千円)+ B社(8,420千円)= 26,800千円です。
- エ:△6,000
- 当期のその他の包括利益(退職給付に係る調整額)は、未認識数理計算上の差異の当期発生額と組替調整額(当期費用処理額)の合計です。B社新規発生△10,000千円 + A社費用処理による組替調整4,000千円 = △6,000千円となります。
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覚えるポイント
- 連結貸借対照表の退職給付に係る負債・資産は未認識差異を加減せず退職給付債務と年金資産の純額で計上されること
間違えやすいところ
- 個別貸借対照表計上額(引当金)を単純合算してしまい、未認識差異の即時認識を忘れてしまうミス
出題の前提:企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
1株当たり当期純利益および潜在株式調整後1株当たり当期純利益の算定・開示
会計学 · 1株当たり情報 / 潜在株式調整後1株当たり当期純利益 / 希薄化効果
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解答
【オ】親会社(または普通) 【カ】潜在 【キ】希薄化(または希薄)
解説
1株当たり当期純利益に関する会計基準では、普通株主の持分に対応する純利益を、普通株式の期中平均株式数で割って求めます。潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、投資家保護の観点から普通株式の潜在的な価値の低下を示すものですが、希薄化効果がない場合(利益が増える、または損失が減る逆希薄化の場合)は開示しません。
解き方
- 連結損益計算書における分子の利益概念が「親会社株主に帰属する当期純利益」および「普通株主に帰属する当期純利益」であることを確認し【オ】を導く。
- 普通株式に転換・行使される権利を有する株式の名称が「潜在株式」であることを特定し【カ】を導く。
- 開示基準において、1株当たり利益を減少させる効果である「希薄化効果(希薄効果)」の有無が開示要件となっていることから【キ】を導く。
答えの内訳
- オ:親会社(または普通)
- 連結財務諸表における1株当たり当期純利益の計算では、連結損益計算書上の「親会社株主に帰属する当期純利益」から普通株主に帰属しない額を控除して算定するため、「親会社」または「普通」が入ります。
- カ:潜在
- 新株予約権や転換社債型新株予約権付社債のように、行使等により普通株式を取得し得る権利を表す株式を「潜在株式」と呼びます。
- キ:希薄化(または希薄)
- 潜在株式が存在しても、1株当たり当期純利益を減少させる効果(希薄化効果)を有しない場合には、潜在株式調整後1株当たり当期純利益の開示は行われません。
覚えるポイント
- 潜在株式調整後1株当たり当期純利益は、希薄化効果を有しない場合には開示が不要である。
間違えやすいところ
- 【キ】に「減資」や「消却」などの無関係な用語を入れてしまう。
- 【オ】に単なる「株主」や「少数」などを誤って入れてしまう。
出題の前提:企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
税効果会計(一時差異の区分、連結未実現利益、税率変更時の法人税等調整額)
会計学 · 税効果会計 / 将来減算一時差異 / 売手法 / 税率変更 / 法人税等調整額
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解答
【ク】減算 【ケ】売手 【コ】13,650 【サ】2,400 【シ】回収可能(または回収)
解説
税効果会計では、貸借対照表の繰延税金資産・負債に、解消年度に見込まれる予定実効税率を使います。税率が変わったとき、純資産に直接計上する項目(その他有価証券評価差額金など)に係る繰延税金の修正額は純資産の部で調整します。損益から生じた一時差異に係る修正額は、その期の法人税等調整額として処理します。
解き方
- 一時差異の性質から将来減算一時差異【ク】および未実現利益の会計処理基準である売手法【ケ】を特定する。
- 20X5年度末の繰延税金資産残高を、全一時差異の差額39,000千円に予定実効税率35%を乗じて13,650千円【コ】と算定する。
- 20X6年度において、純資産直入項目(その他有価証券評価差額金)を除いた損益関連の一時差異について期首残高(16,800千円)と期末残高(14,400千円)の差額を求め、法人税等調整額2,400千円【サ】を導く。
- 繰延税金資産の計上要件を表す「回収可能性(回収性)」から空欄【シ】を埋める。
小問ごとの答え
- 小問 ク:減算
- 貸倒引当金や減価償却費の限度超過額、未実現利益の消去など、将来解消時に課税所得を減額する効果を持つ差異は「将来減算一時差異」です。
- 小問 ケ:売手
- 連結会社間の資産の譲渡に伴い生じた未実現損益を消去する場合、当該未実現損益に対して課税された税額を調整するため、売手側の実効税率を用いる「売手法」が適用されます。
- 小問 コ:13,650
- 20X5年度末の将来減算一時差異の合計は108,000千円、将来加算一時差異の合計は69,000千円です。相殺後の純将来減算一時差異は39,000千円(=108,000-69,000)であり、予定実効税率35%を乗じることで繰延税金資産13,650千円が算定されます。
- 小問 サ:2,400
- その他有価証券評価差額金に係る税効果は純資産直入されるため、P/Lの法人税等調整額の対象となる損益関連一時差異のみを考慮します。損益関連の純将来減算一時差異は20X5年度末が48,000千円(繰延税金資産純額=48,000×35%=16,800千円)、20X6年度末が48,000千円(繰延税金資産純額=48,000×30%=14,400千円)となります。繰延税金資産純額が2,400千円減少するため、借方計上される法人税等調整額は2,400千円となります。
- 小問 シ:回収可能(または回収)
- 将来減算一時差異に係る繰延税金資産は、将来の課税所得等によって税金負担軽減効果が発現すること、すなわち「回収可能性」が認められる範囲で計上されます。
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覚えるポイント
- その他有価証券評価差額金に係る税効果およびその税率変更差額は、法人税等調整額ではなく直接純資産で調整する。
間違えやすいところ
- 法人税等調整額【サ】の計算において、その他有価証券評価差額金を含めて計算してしまう。
- 税率変更に伴う繰延税金資産の減少(費用計上)をマイナス符号で答えてしまう。
出題の前提:企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」および「税効果会計に係る会計基準」
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
固定資産の減損会計(資産グループの減損損失と帳簿価額の配分)
会計学 · 固定資産の減損 / 資産のグルーピング / 使用価値の算定 / 減損損失の配分
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解答
ス:認識、セ:750,361、ソ:223,444
解説
資産グループに減損の兆候があるときは、帳簿価額と、主要な資産の残存使用年数に基づく割引前将来キャッシュ・フローを比べて「認識の判定」をします。認識が必要なら、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額と使用価値の高い方)まで減らし、減損損失は各資産の減損前帳簿価額の比率などで配分します。
解き方
- 2026年度末の各資産の帳簿価額を計算する(土地E:500,000千円、建物F:800,000-80,000×5=400,000千円、建物G:1,200,000-80,000×5=800,000千円、合計1,700,000千円)。
- 主要な資産(建物G)の残存年数10年に基づき、割引前将来CF(150,000×10-900,000+600,000=1,200,000千円)を求め、簿価1,700,000千円を下回るため減損損失を認識することを判定する。
- 使用価値(150,000×8.530203-900,000×0.862609+600,000×0.744094=949,639千円)と正味売却価額(800,000千円)を比較し、回収可能価額を949,639千円と決定して減損損失総額750,361千円を算定する。
- 建物Fの帳簿価額比率(4/17)に基づき減損損失176,556千円を配分し、減損処理後の帳簿価額223,444千円を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ス:認識
- 減損の兆候がある資産グループについて、帳簿価額と割引前将来キャッシュ・フローの総額を比較して減損損失を認識するかどうかを判断する手続きを「減損損失の認識の判定」といいます。
- 小問 セ:750,361
- 2026年度末の帳簿価額合計は1,700,000千円、割引前将来CFは1,200,000千円で減損を認識します。使用価値は150,000×8.530203-900,000×0.862609+600,000×0.744094=949,638.75千円(四捨五入して949,639千円)となり、正味売却価額800,000千円より高いため回収可能価額は949,639千円です。減損損失総額は1,700,000-949,639=750,361千円となります。
- 小問 ソ:223,444
- 減損処理前の帳簿価額は土地Eが500,000千円、建物Fが400,000千円、建物Gが800,000千円(合計1,700,000千円)です。建物Fへの減損損失配分額は750,361千円×(400,000/1,700,000)=176,555.5…千円より176,556千円となり、減損処理後の建物Fの帳簿価額は400,000-176,556=223,444千円となります。
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覚えるポイント
- 資産グループの使用価値算定期間は主要な資産の経済的残存使用年数とし、耐用年数が到来する構成資産の更新投資支出をキャッシュ・フローに織り込む必要があります。
間違えやすいところ
- 建物Fの代替建物の取得予定支出(900,000千円)は将来キャッシュ・フローから控除すべきキャッシュ・アウトフローですが、これを加算したり現在価値計算の割引年数(5年後)を間違えたりしやすいです。
出題の前提:固定資産の減損に係る会計基準および同適用指針
出典:日本商工会議所『第173回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第173回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第173回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

