アプリでの毎日の復習から、試験に向けた学習計画と仕上げまで。自分の学習段階に合うところから読み進めてください。
学習の始め方
おぼエルでの学習ステップ
1. まず全体像をつかむ(1周目)
- テキストや講義動画で1テーマ学んだら、おぼエルで該当分野を演習
- 1周目は完璧を目指さない。わからない問題は解説を読んで先へ進む
- 4科目を並行して進め、特定科目に偏らない
2. 反復で定着させる(2周目以降)
- おぼエルの復習機能(間隔反復)に従って毎日解く
- 間違えた問題は必ず解き直す。正解した問題も解説を読み、理由まで説明できるか確認する
- 習熟度の低い分野を重点的に、ただし全分野を毎週触れる
3. 過去問・答練で仕上げる
- 直前期は市販の過去問題集・答練で本試験形式(90分×2)に慣れる
- 過去問で見つけた弱点をおぼエルの該当分野に戻って補強
- 傾斜配点があるため、みんなが取れる基本問題を確実に取る練習を優先
合格後のキャリア
- 税理士試験の受験資格が得られる(資格要件のひとつとして認められている)
- 公認会計士・税理士への登竜門: 学習範囲が会計士試験の財務会計論・管理会計論、税理士試験の簿記論・財務諸表論と大きく重なる
- 経理・財務のスペシャリスト: 大企業の経理・財務部門、上場企業の連結決算担当などで高く評価される
- 就職・転職・社内評価: 資格手当や昇進要件の対象になることも多い
試験の仕組み
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 日本商工会議所・各地商工会議所主催 簿記検定試験 1級 |
| 実施団体 | 日本商工会議所・各地商工会議所 |
| 受験資格 | なし(学歴・年齢・実務経験不問。2級に合格していなくても受験可) |
| 試験形式 | 統一試験(ペーパー)のみ。2級・3級にあるネット試験(CBT)は1級にはない |
| 実施回数 | 年2回(6月・11月)※2月の統一試験では1級は実施されない |
| 受験料 | 8,800円(税込)※申込先によって別途事務手数料がかかる場合あり |
試験科目と時間割
試験は前半・後半の2部構成で、途中に休憩があります。
| 部 | 科目 | 試験時間 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 前半 | 商業簿記・会計学 | 90分 | 25点+25点 |
| (休憩) | |||
| 後半 | 工業簿記・原価計算 | 90分 | 25点+25点 |
- 商業簿記: 個別論点(収益認識・金融商品・リース等)や決算・連結の総合問題
- 会計学: 会計理論の穴埋め・正誤問題+個別論点の計算問題
- 工業簿記: 費目別・部門別・製品別計算、標準原価計算などの計算問題
- 原価計算: CVP分析、意思決定、予算管理などの管理会計
合格基準と足切り
- 合計70点以上(100点満点)
- かつ、各科目の得点が40%(10点)以上
また、1級は問題の難易度に応じて配点が調整される「傾斜配点」が行われていると言われています(公式に詳細は公表されていません)。難問に固執するより、多くの受験生が正解できる基本問題を確実に取ることが合格への近道です。
試験日程と申し込み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 年2回、6月と11月の日曜日(2026年度は第173回 6/14、第174回 11/15) |
| 申込方法 | 受験予定地の商工会議所ごとに異なる(窓口・郵送・Web など) |
| 申込期間 | 商工会議所ごとに異なる。おおむね試験日の約2ヶ月前から |
| 合格発表 | 商工会議所ごとに異なる(おおむね試験後数週間〜1ヶ月程度) |
持ち物・電卓のルール
- 筆記用具(HB以上の黒鉛筆・シャープペンシル、消しゴム)
- 電卓(計算機能のみのもの)または そろばん
- プログラム機能・辞書機能付きの電卓は不可
- 12桁表示・メモリー機能(M+/M-)・GT機能付きの実務電卓がおすすめ
- 身分証明書(受験案内の指示に従う)
効果的な勉強法
1級の学習は「長期戦」
日商簿記1級は合格率10%前後、年2回しか受験機会のない難関試験です。2級までとは学習の質と量が大きく異なります。
| 項目 | 2級 | 1級 |
|---|---|---|
| 学習期間 | 3〜6ヶ月 | 6ヶ月〜1年半 |
| 学習時間 | 250〜350時間程度 | 500〜1,000時間程度(2級合格者の場合) |
| 科目数 | 2科目 | 4科目(足切りあり) |
| 理論問題 | ほぼなし | 会計学で本格的に出題 |
| 受験機会 | 年3回+CBT随時 | 年2回のみ |
おぼエルを最大限活用する
1級におけるおぼエルの位置づけ
1級は「理解」と「反復」の両輪が必要です。おぼエルは個別論点の知識・仕訳パターン・理論の定着に最も効果を発揮します。
- 個別論点の定着: 収益認識、リース、税効果などの処理パターンを反復で体に染み込ませる
- 会計学の理論対策: 用語・定義・基準の考え方は、おぼエルの間隔反復が直接的に効く
- 総合問題対策: おぼエルで固めた個別論点が土台になる。総合問題自体は過去問・答練で鍛える
毎日のルーティン例
朝(通勤中): おぼエル 20〜30問 昼休み: おぼエル 10〜20問 夜(帰宅後): テキスト or 講義動画 30〜60分 + おぼエル 20〜30問 休日: テキスト・過去問 2〜3時間 + おぼエル 50〜100問
復習の鉄則
- 間違えた問題は必ず解き直す。翌日・数日後にもう一度解けて初めて「定着」
- 正解した問題も解説を読む。「なぜ他の選択肢が誤りか」「なぜその処理になるか」を説明できるかを確認する
- 忘却曲線に従った復習タイミングはおぼエルが自動管理してくれるので、出題された問題を信頼して解く
4科目バランス学習法
1級には各科目40%の足切りがあるため、「得意科目に全振り」は通用しません。
- 商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算を毎週両方学習する(例: 平日は商会、週末は工原)
- おぼエルの分野別習熟度を毎週確認し、最も低い科目を翌週の重点にする
- 「捨て論点」は作ってよいが「捨て科目」は絶対に作らない
科目別の攻略ポイント
商業簿記
- 個別論点(収益認識・金融商品・リース・退職給付・税効果・外貨建取引)の処理パターンをおぼエルで反復
- 連結会計は毎回のように出題される最重要テーマ。タイムテーブル(資本連結の流れ)を書けるように
- 総合問題は「解ける論点から埋める」訓練を過去問で行う
会計学
- 理論は暗記だけでなく「なぜその基準になっているか」を理解すると応用が利く
- 概念フレームワーク、資産・負債の定義、包括利益と当期純利益の関係が頻出
- 計算問題は商業簿記の個別論点と重なるため、商業簿記の学習がそのまま活きる
工業簿記
- 2級の延長線上だが、部門別計算・総合原価計算(仕損・工程別)・標準原価計算の精度が問われる
- 勘定の流れ(材料→仕掛品→製品)を常に意識して解く
- 差異分析は図(シュラッター図など)を手で描いて解く習慣をつける
原価計算
- 直接原価計算・CVP分析・意思決定会計・設備投資の経済性計算が中心
- 「関連原価と埋没原価の区別」がすべての意思決定問題の出発点
- 問題文が長く読解力が問われるため、過去問での演習量がものを言う
過去問・答練の使い方
おぼエル(個別論点・理論の定着)
↓ これがベースになる
過去問・答練(90分×2の総合演習)
↓
弱点分野をおぼエルに戻って補強- 過去問は直前期だけでなく、全範囲を1周した時点で一度解いてみる(現在地の把握)
- 時間を計り、本試験と同じ「前半90分+休憩+後半90分」で解く日を作る
- 傾斜配点を意識し、難問は捨てて基本問題を確実に取る「取捨選択」の練習をする
- 会計基準の改正で古い過去問は現行ルールと異なる場合があるため、最新版の過去問題集の解説で確認する
長期学習のモチベーション維持
おぼエルのストリークを活用
- 連続学習日数を「見える化」してモチベーションに
- 体調不良の日・繁忙期でも10問だけ解いてストリーク維持
- 学習記録が半年積み上がっている状態が、合格ラインに近づいているサイン
マイルストーンを設定する
| 時期 | マイルストーン |
|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 商会または工原の主要論点を1周 |
| 4〜5ヶ月目 | 全範囲1周完了。過去問を1回解いて現在地を確認 |
| 直前2〜3ヶ月 | おぼエル全分野で習熟度を高めつつ過去問演習 |
| 直前1ヶ月 | 過去問・模試で合計60〜70点前後まで到達 |
挫折しそうになったら
- 1級は1回で受からないのが普通の試験。複数回の受験で合格する人が多数派
- 不合格でも、おぼエルに蓄積した学習履歴と定着した知識は次回にそのまま活きる
- 「全部わかってから進む」のではなく「進みながらわかる」が1級の正しい進め方。1周目で理解しきれなくても止まらない
学習計画
学習期間・一日の問題数は計画例です。経験や確保できる時間に合わせて調整し、解説を理解する時間と復習日も確保してください。
プランを選ぶ前に
1級は年2回(6月・11月)しか受験機会がないため、逆算が重要です。学習開始時期から「どの回を目標にするか」を決め、無理のないプランを選びましょう。
プラン A: 標準12ヶ月コース
対象: 2級合格から時間が経っている人、1日1〜1.5時間程度の学習時間の人。初めて1級に挑戦する人の標準プラン。
Phase 1: 1周目・全体像の把握(1〜5ヶ月目)
| 月 | 学習内容 | おぼエル目標 |
|---|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 商業簿記の個別論点(+2級の連結の復習) | 20〜30問/日 |
| 3ヶ月目 | 会計学の理論+工業簿記の費目別・部門別 | 30問/日 |
| 4ヶ月目 | 工業簿記の総合原価計算・標準原価計算 | 30問/日 |
| 5ヶ月目 | 原価計算(CVP・意思決定)+連結会計 | 30〜40問/日 |
Phase 2: 2周目・定着(6〜9ヶ月目)
| 月 | 学習内容 | おぼエル目標 |
|---|---|---|
| 6〜7ヶ月目 | 商会2周目+工原の復習ローテーション | 40〜50問/日 |
| 8ヶ月目 | 苦手分野の集中補強+過去問1回目(現在地確認) | 50問/日 |
| 9ヶ月目 | 全分野ローテーション+連結・意思決定の強化 | 50問/日 |
Phase 3: 直前対策(10〜12ヶ月目)
| 月 | 学習内容 | おぼエル目標 |
|---|---|---|
| 10ヶ月目 | 過去問演習(時間を計って本番形式) | 50〜60問/日 |
| 11ヶ月目 | 過去問2周目+予想問題・答練 | 60問/日 |
| 12ヶ月目 | 弱点の最終補強+体調管理 | 40〜50問/日 |
1日の学習時間の目安: 60〜90分(直前期は+30分)
プラン B: 集中8ヶ月コース
対象: 2級合格直後で知識が鮮明な人、1日2時間程度確保できる人。
| 月 | 学習内容 | おぼエル目標 | 1日の時間 |
|---|---|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 商業簿記+会計学の1周目 | 30問/日 | 2時間 |
| 3〜4ヶ月目 | 工業簿記+原価計算の1周目 | 40問/日 | 2時間 |
| 5ヶ月目 | 連結・意思決定の強化+全範囲2周目開始 | 50問/日 | 2時間 |
| 6ヶ月目 | 2周目完了+過去問1回目 | 60問/日 | 2.5時間 |
| 7ヶ月目 | 過去問演習+苦手分野の集中補強 | 60〜80問/日 | 2.5時間 |
| 8ヶ月目 | 予想問題・模試+最終仕上げ | 60問/日 | 2.5時間 |
プラン C: 短期6ヶ月コース
対象: 1日3時間以上確保できる人(学生・受験に専念できる人)、または公認会計士・税理士の学習経験がある人。
| 月 | 学習内容 | おぼエル目標 | 1日の時間 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月目 | 商業簿記の主要論点を速習 | 40問/日 | 3時間 |
| 2ヶ月目 | 会計学+連結会計 | 50問/日 | 3時間 |
| 3ヶ月目 | 工業簿記 | 50問/日 | 3時間 |
| 4ヶ月目 | 原価計算+意思決定会計 | 60問/日 | 3時間 |
| 5ヶ月目 | 全範囲2周目+過去問開始 | 80問/日 | 3.5時間 |
| 6ヶ月目 | 過去問・模試の反復+弱点補強 | 80問/日 | 3.5時間 |
不合格だった場合のリカバリープラン
1級は複数回の受験で合格する人が多数派です。不合格でも学習資産は失われません。
次の試験(約半年後)までの過ごし方
- おぼエルは止めない。ペースを落としてでも(1日10〜20問)継続する。復習の蓄積が次回の土台になる
- 成績票でどの科目で足切り・失点したかを分析する
- 最初の1〜2ヶ月は弱点科目の集中補強、その後は通常のローテーションに戻す
原因別の対策
| 原因 | 対策 |
|---|---|
| 特定科目で足切り | その科目を毎日のおぼエルに必ず含める。テキストの再読も検討 |
| 合計点が届かない | 基本問題の取りこぼしを分析。おぼエルの習熟度が低い分野を潰す |
| 時間切れ | 電卓スピード・下書きの書き方を過去問演習で改善 |
試験直前の1ヶ月
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4週前 | 過去問・模試を本番形式(前半90分+休憩+後半90分)で1回 |
| 3週前 | 弱点分野の集中復習+おぼエルで理論の総確認 |
| 2週前 | 本番形式でもう1回。時間配分と取捨選択の最終調整 |
| 1週前 | 暗記事項(理論・公式)の最終確認。新しい問題集には手を出さない |
| 3日前 | おぼエルで軽い復習のみ。体調管理を優先 |
| 前日 | 持ち物(電卓・筆記用具・受験票)確認。早めに就寝 |
| 当日 | 前半90分→休憩→後半90分の長丁場。休憩中は工原の公式を軽く確認 |
教材の使い分け
教材を選ぶ基準
受験級と適用年度の出題区分表に合うテキスト・問題集を組み合わせます。おぼエルで仕訳や用語を反復したら、紙や試験形式に近い画面で帳簿・試算表・財務諸表を自分で完成させましょう。電卓操作と集計を含めて時間を計り、部分的な知識を総合問題につなげます。
理解・反復・実戦を組み合わせる
- 初めての範囲は教本や解説で全体像をつかみます。
- おぼエルでは少量ずつ解き、誤答の理由と正しい考え方を確認します。
- 一巡後は時間を計った演習で、知識を自力で使えるかを確かめます。
- 教材を増やしすぎず、同じ教材の解き直しと弱点の補強に時間を使います。
出典・参考資料
試験の公式案内と、この記事の参考にした学習資料です。
編集:Pinternet Works · 更新日:
教材の編集方針・訂正について
