1級の年度別過去問と、2・3級の公式サンプル問題を区別しています。問題文・答案用紙は公式PDFで確認できます。日本商工会議所が案内する解答・解説へのリンクは公式サンプル問題ページにあります。
全15設問のうち14設問の解説を掲載しています。指定答案用紙などが確認できない設問は掲載していません。
第171回 1級 工業簿記・原価計算の概要
部門別計算における予定配賦率の算定
工業簿記 · 部門別計算 / 直接配賦法 / 予定配賦率
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解答
第1診療部門の予定配賦率: 2,800円/時間、第2診療部門の予定配賦率: 1,900円/時間
解説
部門別計算の直接配賦法では、補助部門どうしのサービスのやり取りは考えず、製造部門(本問では診療部門)が使った割合だけを基準に、補助部門費を配賦します。製造部門の予定配賦率は、補助部門費の配賦額を足した部門費予算総額を、各部門の予定配賦基準の数値(予定診療時間)で割って計算します。
解き方
- 直接配賦法に基づき、診療部門の予定消費量合計で各補助部門の予算額を除して予定配賦単価を求めます。
- 各診療部門に配賦される補助部門費予算を算出し、第1次集計の部門費予算に加算して各診療部門の予算合計を算出します。
- 各診療部門の予算合計をそれぞれの予定診療時間で除して、診療部門ごとの予定配賦率を算定します。
答えの内訳
- 第1診療部門の予定配賦率:2,800円
- A補助部門予定配賦単価は7,200,000円÷(4,200+3,000単位)=1,000円/単位、B補助部門予定配賦単価は4,800,000円÷(1,800+600単位)=2,000円/単位となります。第1診療部門への補助部門費配賦予算はA補助から4,200,000円、B補助から3,600,000円となり、第1次集計9,000,000円と合算した部門費予算合計は16,800,000円です。これを予定診療時間6,000時間で除して、予定配賦率は2,800円/時間となります。
- 第2診療部門の予定配賦率:1,900円
- 第2診療部門への補助部門費配賦予算はA補助から3,000,000円(3,000単位×1,000円)、B補助から1,200,000円(600単位×2,000円)となり、第1次集計5,300,000円と合算した部門費予算合計は9,500,000円です。これを予定診療時間5,000時間で除して、予定配賦率は1,900円/時間となります。
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覚えるポイント
- 直接配賦法では補助部門同士の用役消費割合を無視し、製造部門のみの比率で配賦します。
間違えやすいところ
- 補助部門の予定配賦単価を計算する際、自家消費分や他の補助部門への提供量を含めて割ってしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 工業簿記 出題条件(問題文記載の部門費予算および消費量データ)
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp)
部門別個別原価計算の勘定連絡と仕訳
工業簿記 · 部門別計算 / 補助部門費の配賦 / 配賦差異 / 仕訳
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解答
① (借) 第1診療部門費 4,080,000 / (貸) A補助部門費 4,080,000 ② (借) B補助部門費 250,000 / (貸) 配賦差異 250,000 ③ (借) 配賦差異 130,000 / (貸) 第2診療部門費 130,000
解説
部門別計算で予定配賦を使う場合、部門勘定の貸方には予定配賦額(各部門の実際消費基準量×予定配賦率)を記録します。実際発生額(借方)との差は配賦差異勘定に振り替えます。借方残高は配賦不足差異(不利差異)、貸方残高は配賦超過差異(有利差異)です。
解き方
- 補助部門費の予定配賦額は、診療部門の実際消費量に予定配賦単価を乗じて計算し、診療部門費借方・補助部門費貸方に記入します。
- 補助部門費勘定の実際発生額(借方)と予定配賦額(貸方)を対比し、残高を配賦差異勘定へ振り替えます。
- 診療部門費勘定の借方合計(第1次集計額+補助部門からの受入額)と貸方(診療時間×予定配賦率)を対比し、発生した配賦差異を配賦差異勘定へ振り替えます。
答えの内訳
- ①:(借) 第1診療部門費 4,080,000 / (貸) A補助部門費 4,080,000
- A補助部門の予定配賦単価1,000円に第1診療部門のAサービス実際消費量4,080単位を乗じて、予定配賦額は4,080,000円となります。第1診療部門費の借方、A補助部門費の貸方に計上します。
- ②:(借) B補助部門費 250,000 / (貸) 配賦差異 250,000
- B補助部門の予定配賦額は、単価2,000円×(第1診療1,850単位+第2診療570単位)=4,840,000円(貸方)です。実際発生額は4,590,000円(借方)であるため、貸方超過250,000円の配賦超過差異(有利差異)が生じています。これを配賦差異勘定に振り替えるため、借方にB補助部門費250,000円、貸方に配賦差異250,000円を計上します。
- ③:(借) 配賦差異 130,000 / (貸) 第2診療部門費 130,000
- 第2診療部門費勘定の借方合計は、実際部門費5,276,000円+A補助配賦2,910,000円(2,910単位×1,000円)+B補助配賦1,140,000円(570単位×2,000円)=9,326,000円です。一方、貸方の診療サービスへの予定配賦額は4,840時間×1,900円=9,196,000円です。差額130,000円は予定配賦不足差異(借方残高)であるため、借方に配賦差異130,000円、貸方に第2診療部門費130,000円を計上します。
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覚えるポイント
- 予定配賦額は「実際消費量×予定配賦率」で計算し、実際発生額との差額を配賦差異勘定へ振り替えます。
間違えやすいところ
- 配賦差異の振替仕訳において、借方・貸方の方向(配賦不足か配賦超過か)を取り違えないよう、勘定残高の向きを確認する必要があります。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 工業簿記 出題条件(部門勘定および実際データの条件に基づく仕訳処理)
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp)
補助部門の外部委託に伴う原価回避額および必要消費量の算定
工業簿記 · 部門別計算 / 差額原価収益分析 / 自家消費
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解答
① 1,600(円) ② 9,000(単位) ③ 720,000(円) ④ 100(単位) ⑤ 80,000(円) ⑥ 2,400(単位) ⑦ 400(単位)
解説
補助部門の外部委託を検討するときは、委託する部門の原価だけでなく、他の補助部門に提供していたサービスが減ることで回避できる原価や、自部門で使っていた分の減少も考えます。また、外部から買う正味のサービス量も正確につかみます。
解き方
- B補助部門の単位当たり予算額(①)およびAサービスの総消費量(②)を合計・除算により算定します。
- Aサービスの単位当たり変動費を求め、B補助部門向け提供の停止による直接的な回避可能変動費(③)を計算します。
- 他部門向け提供量に対する自家消費の比率に基づき自家消費減少分(④)とその変動費(⑤)を算定します。
- 診療部門で必要なBサービス量(⑥)と、A部門の活動量縮小に伴い減少した後のBサービス消費量(⑦)を求めます。
答えの内訳
- ①:1,600
- B補助部門の部門費予算4,800,000円を総消費量3,000単位で割ると、1単位当たり1,600円となります。
- ②:9,000
- Aサービスの消費量合計は、第1診療部門4,200+第2診療部門3,000+A補助部門900+B補助部門900=9,000単位です。
- ③:720,000
- Aサービスの単位当たり変動費は7,200,000円÷9,000単位=800円であり、B補助部門消費分900単位の回避可能額は900単位×800円=720,000円です。
- ④:100
- 自家消費以外の他部門提供量は8,100単位であり、自家消費比率は900÷8,100=1/9です。B補助部門への提供減少900単位に伴う自家消費の減少は900×(1/9)=100単位です。
- ⑤:80,000
- 自家消費の減少100単位に応じた回避可能変動費は、100単位×800円=80,000円です。
- ⑥:2,400
- 2つの診療部門におけるBサービス消費量の合計は、1,800単位+600単位=2,400単位です。
- ⑦:400
- Aサービスの総提供量が9,000単位から8,000単位へ減少するため、A補助部門のBサービス消費量も450単位×(8,000÷9,000)=400単位に減少します。
覚えるポイント
- 自家消費が他部門へのサービス提供量に比例する場合、他部門向け提供量に対する自家消費比率を用いて減少量を計算します。
- 他部門の変動費回避額は「削減される提供量×単位当たり変動費」で算出します。
間違えやすいところ
- 自家消費比率を総生産量(9,000単位)に対する割合(10%)と誤認して計算すること。
- 空欄⑦において減少後の数量(400単位)ではなく減少幅(50単位)を記入してしまうこと。
出題の前提:問題文中に記載された医療法人ニッショウ会の予算データおよび会話文の算定条件に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
新設備導入に伴う年々の差額キャッシュ・フローの算定
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 差額キャッシュ・フロー / タックス・シールド
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解答
18,500,000円
解説
設備投資の税引後キャッシュ・フローは、「(現金流入の増加額−現金支出の増加額)×(1−税率)+減価償却費×税率」、または「税引後増分営業利益+減価償却費」で計算します。減価償却費が税金を軽くする効果(タックス・シールド)を含める必要があります。
解き方
- 新設備の減価償却費を定額法により算出します:60,000,000円 ÷ 4年 = 15,000,000円/年。
- 増分売上高と増分現金支出費用の差額から減価償却費を控除し、税引前増分利益を求めます:30,000,000円 - 10,000,000円 - 15,000,000円 = 5,000,000円。
- 税引後利益を算定し減価償却費を加算して年々の差額CFを求めます:5,000,000円 × (1 - 0.30) + 15,000,000円 = 18,500,000円。
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覚えるポイント
- 税引後営業キャッシュ・フロー = (増分収入-増分現金支出)×(1-t) + 減価償却費×t
- 黒字企業である場合、減価償却費の全額に対してタックス・シールド効果が生じます。
間違えやすいところ
- 減価償却費のタックス・シールド(減価償却費×税率)の加算を忘れてしまうこと。
- 問で指示されている「1年分」ではなく、4年分の総額を計算して解答してしまうこと。
出題の前提:問題文に提示された投資条件(定額法、税率30%、黒字企業)に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
設備投資の経済性計算(正味現在価値法と投資判断)
原価計算 · 設備投資の意思決定 / 正味現在価値法(NPV法) / タックス・シールド
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解答
正味現在価値(NPV):5,601,000円、判断:導入すべき(導入する)
解説
正味現在価値法(NPV法)は、投資で将来得られるキャッシュ・フローの現在価値の合計から初期投資額を引いて正味現在価値を求めます。NPVが正(ゼロより大きい)なら採用し、負なら捨てるという投資決定の基準です。黒字企業では、減価償却費の計上によるタックス・シールド(減価償却費×税率)がキャッシュ・インフローを増やします。
解き方
- 毎期の減価償却費(60,000,000円÷4年=15,000,000円)を求め、税効果を考慮して毎年の税引後差額キャッシュ・フロー(18,500,000円)を計算します。
- 年金現価係数(5%、4年=3.5460)を乗じて毎年のキャッシュ・インフローの現在価値合計(65,601,000円)を算出し、初期投資額(60,000,000円)を控除してNPV(5,601,000円)を導きます。
- NPVが正(>0)であることから、投資案を採用(新設備を導入すべき)と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 正味現在価値(NPV):5,601,000円
- 毎年の営業差額CFは、税引後営業利益+減価償却費=(30,000,000円-10,000,000円-15,000,000円)×(1-0.3)+15,000,000円=18,500,000円となります。4年分の現価合計は18,500,000円×3.5460=65,601,000円であり、ここから初期投資額60,000,000円を差し引くとNPVは5,601,000円となります。
- 小問 新設備を導入すべきかどうかの判断:導入すべき(導入する)
- 計算された正味現在価値(NPV)が5,601,000円とプラス(0より大きい)であるため、資本コスト率を上回るリターンが得られると判断され、新設備を導入すべきとなります。

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覚えるポイント
- 税引後キャッシュ・フロー = (現金収入-現金支出)×(1-税率) + 減価償却費×税率
- NPV法では、NPV>0の投資案を採用し、複数の相互排他的投資案ではNPVが最大の案を選択する。
間違えやすいところ
- 減価償却費自体の現金の流出入はないが、タックス・シールド(減価償却費×税率)分のキャッシュ増加効果を忘れて計算してしまう誤り。
- 年金現価係数を掛け合わせた現在価値合計から初期投資額を差し引くのを忘れて、現在価値合計そのものをNPVとしてしまう誤り。
出題の前提:問題文中に提示された条件(実効税率30%、加重平均資本コスト率5%、資料末尾の年金現価係数表)に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
設備投資の経済性計算(内部利益率の推定)
原価計算 · 設備投資の意思決定 / 内部利益率法(IRR法) / 年金現価係数
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解答
ウ
解説
内部利益率(IRR)とは、将来のキャッシュ・インフローの現在価値の合計と初期投資額が等しくなり、正味現在価値(NPV)がゼロになる割引率です。毎年のキャッシュ・フローが同じ額なら、初期投資額を毎年のキャッシュ・フローで割った値が、対応する年金現価係数になります。それを年金現価係数表と比べてIRRの範囲を特定します。
解き方
- 初期投資額60,000,000円を年々のキャッシュ・フロー18,500,000円で除し、IRRに対応する年金現価係数(60,000,000÷18,500,000≒3.2432)を求めます。
- 資料の年金現価係数表(4年)を参照し、7%の値(3.3872)と9%の値(3.2397)を比較します。
- 割引率が大きくなると年金現価係数は小さくなるため、3.2397<3.2432<3.3872より、IRRは7%と9%の間にあると特定します。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。5%の年金現価係数は3.5460で、計算した3.2432より大きいため、この範囲には入りません。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。5%は3.5460、7%は3.3872で、計算値3.2432はどちらより小さいため当てはまりません。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。7%の係数3.3872と9%の係数3.2397の間に計算値3.2432があるので、IRRは7%超9%未満です。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。9%は3.2397、11%は3.1024で、計算値3.2432はどちらより大きいため当てはまりません。
- 選択肢 オ不正解
- オは誤りです。11%の年金現価係数は3.1024で、計算した3.2432より小さいため、この範囲には入りません。
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覚えるポイント
- IRRを求める等式:初期投資額 = 毎年のCF × 年金現価係数(n年, IRR)
- 割引率が上昇すると年金現価係数は減少するという逆相関関係を正確に把握しておく。
間違えやすいところ
- 割引率と現価係数の大小関係を混同し、係数が3.2432となった際に7%未満または9%超と逆に判断してしまう誤り。
出題の前提:問題文中に提示された条件および資料末尾の年金現価係数表(4年)に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
設備取替における初期投資時点(2025年度末)の差額キャッシュ・フロー
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 設備取替の意思決定 / 差額キャッシュ・フロー / タックスシールド
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解答
△14,000,000円
解説
設備の取替投資で投資時点の差額キャッシュ・フローは、新設備の取得支出から、旧設備を売って得た手取り額を引いて求めます。旧設備の売却損益が出る場合、黒字企業では売却損による税金の減少(タックスシールド)がキャッシュ・インフローに加わり、売却益による税金の増加はキャッシュ・アウトフローとして引きます。
解き方
- 旧設備の2025年度末時点における帳簿価額を算定します(取得原価120,000,000円-減価償却費15,000,000円×4年=60,000,000円)。
- 旧設備の売却損を算定します(帳簿価額60,000,000円-売却価額40,000,000円=売却損20,000,000円)。
- 旧設備の売却損に伴う節税効果を求めます(20,000,000円×実効税率30%=+6,000,000円)。
- 初期時点のキャッシュ・フローを合算します(新設備取得支出△60,000,000円+旧設備売却収入+40,000,000円+節税額+6,000,000円=△14,000,000円)。
覚えるポイント
- 既存資産の売却損は「売却損×税率」の節税インフローをもたらす
- 初期投資の差額CFは新設備取得額だけでなく旧設備処分に伴うCFを含める
間違えやすいところ
- 旧設備の売却損による節税効果(タックスシールド)を計上し忘れる
- アウトフローであるにもかかわらず指示された△符号を付け忘れる
出題の前提:問題用紙4ページ(共通条件および問題2)の記載条件に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
設備取替における年々の差額キャッシュ・フロー
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 設備取替の意思決定 / 年々の差額キャッシュ・フロー / 差額減価償却費
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解答
14,000,000円
解説
取替投資の毎年の差額キャッシュ・フローは、「(差額現金流入−差額現金流出)×(1−税率)+(差額減価償却費×税率)」で計算します。旧設備を使い続けた場合に発生したはずの減価償却費と、新設備の減価償却費との差(増分減価償却費)を正しくつかむことが大切です。
解き方
- 税引前の年間差額現金営業利益を計算します(売上増加30,000,000円-現金支出増加10,000,000円=20,000,000円)。
- 新設備と旧設備の年間減価償却費を比較します(新設備:60,000,000円÷4年=15,000,000円、旧設備:120,000,000円÷8年=15,000,000円、差額減価償却費=0円)。
- 差額キャッシュ・フローの算式「20,000,000円×(1-0.30)+0円×0.30」により、14,000,000円を算出します。
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覚えるポイント
- 取替投資の減価償却費タックスシールドは新旧設備の「差額減価償却費」に基づく
- 差額CF=(増分現金営業利益)×(1-t)+(増分減価償却費)×t
間違えやすいところ
- 旧設備を継続使用した場合の減価償却費(15,000,000円)を考慮せず、新設備の減価償却費全額を差額としてしまう
- 4年間の累計キャッシュ・フローを答えてしまい、1年分の指示を見落とす
出題の前提:問題用紙4ページ(共通条件および問題2)の記載条件に基づく。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
設備取替投資案の正味現在価値(NPV)の計算
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 正味現在価値法(NPV) / 設備取替の差額キャッシュ・フロー
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解答
35,644,000円
解説
取替案の正味現在価値(NPV)は、取り替えた場合と取り替えなかった場合(現状維持)の差額キャッシュ・フローを出します。それを資本コスト率で現在価値に割り引いた合計から、投資時点の差額支出を引いて求めます。
解き方
- 2025年度末の差額CF:新設備取得支出△60,000,000円+旧設備売却収入40,000,000円+旧設備売却損に伴う節税効果(簿価60,000,000円-売却価額40,000,000円)×30%=△14,000,000円を算定する。
- 年々の差額CF:営業利益差額の税引後(売上増30,000,000円-費用増10,000,000円)×(1-0.3)=14,000,000円。減価償却費は新旧ともに15,000,000円/年で差額が0円のためタックスシールドの差額は生じず、年々差額CFは14,000,000円となる。
- NPVの計算:年々差額CFの現在価値合計14,000,000円×3.5460=49,644,000円から初期投資14,000,000円を控除し、35,644,000円を求める。

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覚えるポイント
- 旧設備売却損が生じる場合は「売却損×実効税率」の節税効果(インフロー)が発生する点に留意する。
- 取替投資の営業CFでは、新旧設備の減価償却費の「差額」に対してタックスシールドを計算する。
間違えやすいところ
- 旧設備の期末帳簿価額(120,000,000円-15,000,000円×4年=60,000,000円)の減価償却計算を誤る。
- 新設備の減価償却費と旧設備の減価償却費が同額(15,000,000円)であり差額が0となることを見落とし、二重に減価償却費を計上してしまう。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 原価計算 問題2共通条件および問題文の指示
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
赤字企業における加重平均資本コスト率(WACC)の算定
原価計算 · 資本コスト / 加重平均資本コスト(WACC) / 負債コストの節税効果
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解答
5.24%
解説
加重平均資本コスト率(WACC)は、負債コストと株主資本コストを、それぞれの資本構成の割合で加重平均して求めます。通常、負債コストには支払利息の節税効果(1−実効税率)を反映させます。ただし、赤字企業で節税効果が得られない前提なら、税引前の利子率をそのまま使います。
解き方
- 前提条件より、C社は赤字脱却の見込みがなく節税効果を無視するため、負債コストは額面の支払利子率2%をそのまま適用する。
- 負債構成比40%と普通株資本コスト7.4%(構成比60%)を乗じて加重平均し、2%×0.40+7.4%×0.60=5.24% を計算する。
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覚えるポイント
- 企業が恒常的赤字で課税所得がない場合、支払利子や減価償却費に伴う税金の軽減効果(タックスシールド)は生じない。
間違えやすいところ
- 機械的に実効税率30%を適用して負債コストを 2%×(1-0.3)=1.4% と計算してしまうミス。
- 問題文に明記された「節税効果は無視して考えるものとする」という指示を読み飛ばしてしまうこと。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 原価計算 問題3の前提条件および設問指示
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
赤字企業における設備取替の投資時点差額キャッシュ・フロー
原価計算 · 設備投資の意思決定 / 差額キャッシュ・フロー / タックス・シールド
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解答
△20,000,000円
解説
取替投資の投資時点の差額キャッシュ・フローは、新設備の取得支出、旧設備の売却収入、売却損益に伴う税金の影響を足し合わせて求めます。ただし、企業が赤字で節税効果が出ない前提なら、売却損によるタックス・シールドは考えません。
解き方
- 新設備の取得に伴う支出(60,000,000円のアウトフロー)を確認する。
- 旧設備の売却に伴う収入(40,000,000円のインフロー)を確認する。
- 問題の指示に基づき節税効果を無視して合算し、差額キャッシュ・フローを△20,000,000円と求める。
覚えるポイント
- 赤字が継続し節税効果を無視する条件では、資産除却損や売却損によるタックス・シールドを考慮しない。
間違えやすいところ
- 黒字企業の設問と同様に旧設備の売却損20,000,000円に税率30%を乗じた節税効果(6,000,000円)を加算してしまうミス。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 原価計算 問題3
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
赤字企業における設備取替の年々の差額キャッシュ・フロー
原価計算 · 設備投資の意思決定 / 差額キャッシュ・フロー / 営業キャッシュ・フロー
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解答
20,000,000円
解説
毎年の営業活動からの差額キャッシュ・フローは、基本的に(現金売上収入の増加額−現金支出費用の増加額)−追加の納税額+減価償却による節税額で計算します。ただし、ずっと赤字で節税効果を無視する場合は税金の影響がまったく出ないので、現金収入の増加額から現金支出の増加額を引いた純現金流入額がそのまま差額キャッシュ・フローになります。
解き方
- 設備の取替に伴う年々の現金収入増加額(30,000,000円)と現金支出費用増加額(10,000,000円)を把握する。
- 赤字脱却が想定されず節税効果を考慮しないため、法人税等による調整を行わずに純現金流入額20,000,000円を算定する。
覚えるポイント
- 節税効果が無視される場合、減価償却費の差額があっても年々のキャッシュ・フローには影響しない。
間違えやすいところ
- 黒字企業の場合の算式(税引後営業利益+減価償却費など)を機械的に適用して、税率30%を反映した14,000,000円としてしまうミス。
出題の前提:第171回日商簿記検定1級 原価計算 問題3
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
取替投資案の正味現在価値(NPV)の算定
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 正味現在価値法(NPV) / 加重平均資本コスト(WACC) / タックスシールドなし
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解答
50,526,000円
解説
正味現在価値(NPV)は、将来の各期の差額キャッシュ・フローを資本コストで現在価値に割り引いた合計から、初期投資額を引いて求めます。赤字が続き節税効果を無視する前提なら、減価償却や売却損益による税金の軽減効果(タックス・シールド)はなく、負債利息の税効果も考えないので、負債利子率をそのまま使ってWACCを計算します。
解き方
- C社の資本コスト率(WACC)を計算する:2% × 0.4 + 7.4% × 0.6 = 5.24%。
- 取替に伴う2025年度末の初期投資差額CFを計算する:△60,000,000円 + 40,000,000円 = △20,000,000円。
- 取替後の年々の差額CFを計算する:30,000,000円 - 10,000,000円 = 20,000,000円(節税効果なし)。
- 割引率5.24%・期間4年の年金現価係数(3.5263)を用いてNPVを求める:20,000,000円 × 3.5263 - 20,000,000円 = 50,526,000円。

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覚えるポイント
- 節税効果が無視される場合、負債コストの節税効果(1-実効税率)や減価償却によるタックスシールドは考慮しません。
間違えやすいところ
- 初期投資額において旧設備の売却収入40,000,000円の控除を忘れて新設備取得額全額を引いてしまうミス。
- 節税効果を考慮して負債コストに(1-30%)を乗じてしまう誤り。
出題の前提:問題文に提示された投資条件および年金現価係数表(割引率5.24%、期間4年で3.5263)に基づきます。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
相互排他的投資案の選択
原価計算 · 設備投資の経済性計算 / 相互排他的投資案 / 正味現在価値法(NPV) / 内部利益率法(IRR)
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解答
Y
解説
どれか1つしか選べない投資案(相互排他的な投資案)の優先順位は、企業価値を最大化する観点から、正味現在価値(NPV)法で決めるのが最も適切です。内部利益率(IRR)法は投資の規模の違いを無視するため、相互排他的な案の選択に使うと誤った判断をすることがあります。
解き方
- 資料より割引率5%・年数4年の年金現価係数「3.5460」を確認する。
- 案XのNPVを計算する:5,000,000円 × 3.5460 - 10,000,000円 = 7,730,000円。
- 案YのNPVを計算する:8,000,000円 × 3.5460 - 20,000,000円 = 8,368,000円。
- 案ZのNPVを計算する:10,000,000円 × 3.5460 - 30,000,000円 = 5,460,000円。
- NPVが最も大きい案Yを選択すると判断する。
- 選択肢 X不正解
- Xは誤りです。IRRは約34.9%で最も高いですが、投資規模が小さく、NPVは7,730,000円で案Y(8,368,000円)を下回ります。
- 選択肢 Y正解
- Yは正しいです。年金現価係数3.5460を使って計算したNPVが8,368,000円で、3案の中で最大になります。
- 選択肢 Z不正解
- Zは誤りです。年金現価係数3.5460を使ったNPVは5,460,000円で、案Y(8,368,000円)を下回ります。
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覚えるポイント
- 相互排他的投資案の意思決定では、IRRの高低ではなくNPVが最大となる投資案を選択するのが基本原則です。
間違えやすいところ
- IRRが一番高い案X(約34.9%)を誤って選んでしまうミス(相互排他的投資案におけるIRR法の限界)。
出題の前提:問題文に示された投資データおよび年金現価係数表(割引率5%、期間4年で3.5460)に基づきます。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 工業簿記・原価計算』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第171回 1級 工業簿記・原価計算
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第171回 1級 工業簿記・原価計算の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

