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第171回 1級 商業簿記・会計学の概要
段階取得による子会社化に伴う開始仕訳
商業簿記 · 連結会計 / 段階取得 / 開始仕訳 / 投資と資本の相殺消去
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解答
(借) 資本金 500,000、利益剰余金 486,000、土地 20,000、のれん 74,200 (貸) 関係会社株式 770,000、繰延税金負債 6,000、非支配株主持分 304,200
解説
支配を獲得したときの連結手続では、子会社の資産・負債を時価評価し、投資と資本を相殺消去します。段階取得の場合は、以前から持っていた分を支配獲得日の時価に評価し直し、帳簿価額との差を段階取得に係る差益(損益)として処理します。個別で取得原価に含めた付随費用は、連結上は費用にします。翌年度の開始仕訳では、これら前期の修正と損益項目をすべて利益剰余金などに振り替えてまとめます。
解き方
- 支配獲得日(X3年度末)のS社純資産時価を算定する(資本金500,000千円+利益剰余金500,000千円+土地評価差額税引後14,000千円=1,014,000千円)。
- 連結上の投資原価784,000千円と持分70%相当額709,800千円から、のれん発生額74,200千円および非支配株主持分304,200千円を算定する。
- 個別の関係会社株式770,000千円と連結上の修正(段階取得差益28,000千円、付随費用△14,000千円)を考慮し、利益剰余金を純額相殺(500,000千円-14,000千円=486,000千円)して開始仕訳をまとめる。
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覚えるポイント
- 段階取得における旧保有分の時価評価差額および取得関連費用の連結上での費用処理
- 開始仕訳において同名科目を純額集約する指示(各科目1回のみ使用)の厳守
間違えやすいところ
- 個別上の関係会社株式に含まれている取得関連費用14,000千円を費用修正し忘れるミス
- 利益剰余金の借方(子会社資本消去分)と貸方(親会社段階取得差益純額分)を相殺せずに両建てしてしまうミス
出題の前提:企業結合に関する会計基準及び連結財務諸表に関する会計基準
出典:日本商工会議所『第171回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結損益及び包括利益計算書上の各金額算定
商業簿記 · 段階取得に係る差益 / のれん償却額 / 非支配株主に帰属する当期純利益 / その他の包括利益
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解答
① 28,000千円、② 7,420千円、③ 7,800千円、④ △4,900千円
解説
連結包括利益計算書では、段階取得差益は支配獲得年度の損益として計上し、のれんは決めた償却期間と開始時期に従って費用にします。非支配株主に帰属する当期純利益は、子会社自身の個別当期純利益(アップストリームなどの修正後)に、期中平均の非支配株主持分比率を掛けて求めます。その他の包括利益は、非支配株主持分に帰属する部分も含めた連結グループ全体の当期発生額を集計して表示します。
解き方
- X3年度末の旧保有株式の時価評価額と簿価の差額から段階取得差益を計算する。
- 支配獲得時に算定されたのれん74,200千円を10年定額法で除してX4年度の償却額を計算する。
- S社の利益剰余金推移および配当実績からS社当期純利益を算定し、非支配株主持分比率30%を乗じる。
- P社およびS社の個別貸借対照表のその他有価証券評価差額金の当期増減額を合算してその他の包括利益を求める。
答えの内訳
- ①:28,000千円
- 旧保有株式400株の支配獲得日における時価評価額は400株×@280千円=112,000千円です。個別財務諸表上の帳簿価額84,000千円(400株×@210千円)との差額である28,000千円(112,000千円-84,000千円)が段階取得に係る差益となります。
- ②:7,420千円
- X3年度末に計上されたのれん総額は74,200千円です。問題の指示により「発生年度の翌年度から10年間で定額法によって償却」するため、翌年度であるX4年度の償却額は74,200千円÷10年=7,420千円となります。
- ③:7,800千円
- S社のX5年度個別当期純利益は、利益剰余金の増減額18,000千円(538,000千円-520,000千円)に配当金支払額8,000千円を加算した26,000千円です。商品売買の未実現利益は親会社P社からのダウンストリーム取引であるため子会社損益の修正は不要です。S社株式の一部売却はX5年度末に行われているため期中の非支配株主持分比率は30%のままであり、非支配株主に帰属する当期純利益は26,000千円×30%=7,800千円となります。
- ④:△4,900千円
- 連結包括利益計算書上のその他の包括利益(税効果調整後)は、連結グループ全体のその他有価証券評価差額金の当期変動額となります。P社の当期変動額は17,500千円-28,000千円=△10,500千円、S社の当期変動額は12,600千円-7,000千円=+5,600千円であり、両者を合計すると△10,500千円+5,600千円=△4,900千円となります。
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覚えるポイント
- のれんの償却開始時期に関する指示(当期からか翌期からか)の確認
- ダウンストリーム取引の未実現利益消去は非支配株主に負担させない原則
- 期末売却取引における期中持分比率の適用
間違えやすいところ
- ダウンストリームの未実現利益をS社の当期純利益から控除してしまうミス
- その他の包括利益の集計時に非支配株主負担分を除外してしまうミス
- S社の配当金支払額を期末利益剰余金の増減に加算し忘れて当期純利益を見誤るミス
出題の前提:企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」及び連結財務諸表に関する会計基準
出典:日本商工会議所『第171回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
会計学の重要論点に関する用語の穴埋め
財務諸表論 · 株式報酬 / 収益認識 / 会計上の変更及び誤謬の訂正 / 税効果会計 / 外貨建取引等会計処理基準
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解答
ア:事前交付、イ:原価回収基準、ウ:修正再表示、エ:一時差異、オ:為替換算調整勘定
解説
企業会計基準や実務指針に定められた基本概念・専門用語を、定義どおり正確に覚えて書けるようにする問題です。
解き方
- 各設問文が言及している会計基準(株式報酬、収益認識、過年度遡及、税効果、外貨換算)の該当条文を特定する。
- 条文や指針における公式な定義や用語表記を前後の文脈に合わせて正確に補う。
答えの内訳
- ア:事前交付
- 「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」において、譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)を対象勤務期間の開始後速やかに割り当てる取引は「事前交付型」に分類されます。文脈上「型の株式無償交付」と続くため「事前交付」が入ります。
- イ:原価回収基準
- 「収益認識に関する会計基準」第45項において、一定の期間にわたり履行義務を充足する取引で進捗度を合理的に見積もることができないものの、発生原価の回収が見込まれる場合に適用される基準を「原価回収基準」と呼びます。
- ウ:修正再表示
- 「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第4項(8)において、過年度の財務諸表における誤謬の訂正を反映して過年度の財務諸表を修正して再表示することを「修正再表示」と定義しています。
- エ:一時差異
- 「税効果会計に係る会計基準」において、貸借対照表上の資産・負債の金額と課税所得計算上の資産・負債(税務上の簿価)との差額のうち、将来解消する差額を「一時差異」と定義しています。
- オ:為替換算調整勘定
- 「外貨建取引等会計処理基準」において、在外子会社等の財務諸表項目の換算によって生じる換算差額は、連結貸借対照表の純資産の部に「為替換算調整勘定」として計上することが定められています。
覚えるポイント
- 事前交付型と事後交付型の相違(譲渡制限付株式は事前交付型、事後交付型は株式交付信託等)
- 原価回収基準は発生原価と同額の収益を計上し利益をゼロとする認識法
- 修正再表示は過去の誤謬の訂正であり、会計方針の変更に伴う遡及適用と区別する
間違えやすいところ
- 「修正再表示」と「遡及適用」の用語の混同
- 「一時差異」の箇所に「永久差異」や「繰延税金」と解答する誤り
出題の前提:企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」、実務対応報告第41号「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い」等
出典:日本商工会議所『第171回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
市販用ソフトウェアの償却額の計算(見込販売収益基準)
個別会計 · 無形固定資産 / ソフトウェアの減価償却 / 見込販売収益基準
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解答
20X1年度:303,750千円、20X2年度:277,500千円
解説
市販用ソフトウェアの各期の減価償却額は、見込販売収益(または見込販売数量)に基づく償却額と、残存有効期間に基づく均等配分額(定額法)を比べ、大きい方の金額を計上しなければなりません。
解き方
- 20X1年度の見込販売収益基準の金額(取得原価×実績収益/総見込収益)と残存有効期間(3年)による定額配分額を計算し、大きい方を20X1年度の償却額とする。
- 取得原価から20X1年度の償却額を控除して20X2年度期首の未償却残高を算出する。
- 改訂後の総見込販売収益と実績販売収益を用いて20X2年度の見込販売収益基準の金額を算定し、残存有効期間(2年)の均等配分額と比較して大きい方を20X2年度の償却額とする。
答えの内訳
- 20X1年度:303,750千円
- 見込販売収益に基づく償却額=720,000千円×(810,000千円/1,920,000千円)=303,750千円。残存有効期間に基づく均等額=720,000千円/3年=240,000千円。いずれか大きい額であるため、303,750千円となります。
- 20X2年度:277,500千円
- 20X2年度期首の未償却残高=720,000千円-303,750千円=416,250千円。見込販売収益に基づく償却額=416,250千円×(675,000千円/1,012,500千円)=277,500千円。残存有効期間2年に基づく均等額=416,250千円/2年=208,125千円。いずれか大きい額であるため、277,500千円となります。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 市販用ソフトウェアの償却限度額は「収益基準(または数量基準)による償却額」と「残存期間均等償却額」のいずれか大きい額である。
- 翌期の計算では、期首未償却残高を残存有効期間および見直された見積数値に基づいて配分する。
間違えやすいところ
- 残存有効期間に基づく均等配分額との比較(大きい方の選択)を失念すること
- 20X2年度の見積変更時に過年度の償却額まで遡及修正してしまう誤り(見積りの変更は将来に向かって適用する)
出題の前提:研究開発費等に係る会計基準四・2「市場販売目的のソフトウェアの減価償却」
出典:日本商工会議所『第171回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
市販用ソフトウェアの償却計算(見込販売数量基準)
会計学 · 無形固定資産 / 市販用ソフトウェア / 減価償却
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解答
20X1年度:240,000千円、20X2年度:270,000千円
解説
市場販売目的のソフトウェアの償却額は、見込販売数量(または見込販売収益)に基づいて計算します。ただし、各期の償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額(定額法の額)を下回ることはできません。そこで両者を比べ、大きい方の金額をその期の償却額にします。
解き方
- 20X1年度の数量比例償却額(720,000千円×4,400本/14,400本=220,000千円)と均等配分額(720,000千円/3年=240,000千円)を比較し、大きい240,000千円を当期償却額とする。
- 20X2年度期首の未償却残高(720,000千円-240,000千円=480,000千円)を算定する。
- 20X2年度の数量比例償却額(480,000千円×5,400本/9,600本=270,000千円)と残存期間の均等配分額(480,000千円/2年=240,000千円)を比較し、大きい270,000千円を当期償却額とする。
答えの内訳
- 20X1年度:240,000千円
- 見込販売数量に基づく償却額は720,000千円×(4,400本/14,400本)=220,000千円となりますが、残存有効期間(3年)に基づく均等配分額(定額法)720,000千円÷3年=240,000千円を下回ることはできないため、いずれか大きい額である240,000千円となります。
- 20X2年度:270,000千円
- 20X2年度期首の未償却残高は720,000千円-240,000千円=480,000千円です。見込販売数量に基づく償却額は480,000千円×(5,400本/9,600本)=270,000千円となります。残存有効期間(2年)に基づく均等配分額480,000千円÷2年=240,000千円と比較し、大きい額である270,000千円となります。
覚えるポイント
- 市場販売目的のソフトウェアの償却額は、実績比率による計算額と残存有効期間による均等配分額のうち、いずれか大きい方を採用する。
間違えやすいところ
- 販売数量比率だけで計算し、残存有効期間に基づく均等配分額(下限値)との比較を忘れてしまう誤り。
- 翌期の未償却残高を計算する際に、前期に計上した実際の償却額ではなく、数量比例で計算した金額を差し引いてしまう誤り。
出題の前提:研究開発費等に係る会計基準に基づき、市場販売目的のソフトウェアの償却限度(均等配分額を下回ることができない規定)に従って算出。
出典:日本商工会議所『第171回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第171回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第171回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

