1級の年度別過去問と、2・3級の公式サンプル問題を区別しています。問題文・答案用紙は公式PDFで確認できます。日本商工会議所が案内する解答・解説へのリンクは公式サンプル問題ページにあります。
全10設問のうち8設問の解説を掲載しています。指定答案用紙などが確認できない設問は掲載していません。
第167回 1級 商業簿記・会計学の概要
固定資産の減損会計における使用価値の算定
商業簿記 · 減損会計 / 使用価値 / キャッシュ・フローの見積り
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解答
使用価値:94,019千円
解説
使用価値とは、その資産や資産グループを使い続け、最後に処分するまでに生まれると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値です。毎期のキャッシュ・フローに年金現価係数を掛けた額と、処分見込額に複利現価係数を掛けた現在価値を足して求めます。
解き方
- 各期末に発生する将来キャッシュ・フロー15,000千円に8年・10%の年金現価係数5.33493を乗じて、使用期間中のキャッシュ・フローの現在価値を算出する。
- 8年後の最終処分価額30,000千円に8年・10%の現価係数0.46651を乗じて、処分価額の現在価値を算出する。
- 両者の現在価値を合算し、指示に従って千円未満を四捨五入して使用価値を決定する。
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覚えるポイント
- 使用価値は「継続使用による将来キャッシュ・フローの現在価値」と「使用後の処分によるキャッシュ・フローの現在価値」の合計額である。
間違えやすいところ
- 最終処分価額にも年金現価係数を誤って乗じてしまうミスや、四捨五入のタイミングを誤る計算ミスに注意する。
出題の前提:固定資産の減損に係る会計基準および問題文中の指示(千円未満四捨五入)に基づく。
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
会計基準および会計用語の穴埋め問題
会計学 · 金融商品会計 / 後発事象 / 収益認識会計基準 / リース会計 / 棚卸資産の評価
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解答
ア:保証債務、イ:後発事象、ウ:契約資産、エ:減価償却費(減価償却)、オ:総平均
解説
金融商品会計基準、企業会計原則(後発事象)、収益認識会計基準、リース会計基準、棚卸資産の評価基準に出てくる基礎概念と重要用語の定義を正確に押さえる問題です。
解き方
- 各設問の文章がどの会計基準・領域(金融商品、後発事象、収益認識、リース、棚卸資産)に該当するかを特定する。
- 基準で定められている固有の定義および文脈上の前後の接続(品詞や「〜法」などの接尾語)に合わせて適切な語句を補う。
答えの内訳
- ア:保証債務
- 手形の割引や裏書譲渡に伴って生じる二次的責任(遡及義務)は、金融負債として時価評価され「保証債務」勘定で認識されます。
- イ:後発事象
- 決算日後に発生し、企業の財政状態や経営成績、キャッシュ・フローに影響を及ぼす事象を「後発事象」と呼びます。
- ウ:契約資産
- 収益認識会計基準において、企業が顧客に移転した財・サービスと交換に対価を受け取る権利のうち、無条件の権利である債権以外の権利は「契約資産」として定義されています。
- エ:減価償却費
- セール・アンド・リースバック取引がファイナンス・リースの場合、物件売却益は繰り延べられ、リース資産の「減価償却費」の割合に応じて減価償却費から控除(加減)されます。
- オ:総平均
- 一定期間の期首在庫と仕入高の総額を総数量で除して全期間一律の平均単価を算出する方法を「総平均法」と呼びます。
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覚えるポイント
- 契約資産は「無条件の権利(時間の経過のみで支払期日が到来するもの)である債権」と明確に区別される概念である。
間違えやすいところ
- 契約資産を「売掛金」や「契約負債」と混同したり、セール・アンド・リースバックの繰延処理で減価償却費以外の科目と取り違えたりしないように注意する。
出題の前提:企業会計原則、金融商品会計基準、収益認識に関する会計基準、リース会計基準等の現行基準に基づく。
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
のれん等調整額の算定
会計学 · のれん等調整額 / 会社計算規則 / 分配可能額
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解答
2,301,000千円
解説
のれん等調整額は原則として「のれん×1/2+繰延資産」で計算します。ただし、のれんの額が資本金と準備金の合計額を超える場合は、会社計算規則158条により、資本金と準備金の合計額の1/2に、のれんがその合計額を超える分を足し、それに繰延資産を加えて計算します。
解き方
- 資本金及び準備金の合計額を計算する(1,500,000千円+11,000千円+9,000千円=1,520,000千円)。
- のれんの額(3,000,000千円)が資本等の額(1,520,000千円)を超えていることを確認し、会社計算規則の例外算式を適用してのれん等調整額を算出する。
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覚えるポイント
- のれん>資本金+準備金の場合は、超過分が全額のれん等調整額に加算される。
間違えやすいところ
- のれんの額と資本金・準備金の合計額との大小関係を確認せず、単純に「のれん×1/2+繰延資産」としてしまう誤り。
出題の前提:会社計算規則第158条
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
分配可能額の算定
会計学 · 分配可能額 / 剰余金の配当 / 会社法
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解答
0円
解説
分配可能額は、剰余金の額から、自己株式の帳簿価額や、のれん等調整額が資本金・準備金の合計額を超える額などを引いて計算します。計算結果がマイナスになったら、分配できる剰余金がないので0円とします。
解き方
- 剰余金の額(その他資本剰余金+任意積立金+繰越利益剰余金)を合計して393,500千円を求める。
- 自己株式の帳簿価額110,250千円および、のれん等調整額から資本金・準備金の合計額を減じた781,000千円を剰余金の額から控除し、負の値になるため0円とする。
覚えるポイント
- 分配可能額の計算結果がマイナスとなった場合は0円(分配不可)となる。
間違えやすいところ
- 計算結果が負の数値となった際にそのままマイナスの金額を解答してしまう誤りや、のれん等調整額の超過控除を忘れてしまう誤り。
出題の前提:会社法第461条、会社計算規則第158条
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
一株当たり当期純利益の算定
会計学 · 一株当たり当期純利益 / 期中平均株式数
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解答
180円
解説
一株当たり当期純利益(EPS)は、普通株式に係る当期純利益を、普通株式の期中平均株式数で割って求めます。期中平均株式数は、期首と期末の発行済株式数からそれぞれ自己株式数を引いた数の平均です。
解き方
- 普通株式の期中平均株式数を計算する:期首の普通株式数は800,000株-5,100株=794,900株、期末の普通株式数は840,000株-4,900株=835,100株となるため、期中平均株式数は(794,900株+835,100株)÷2=815,000株となる。
- 一株当たり当期純利益を算定する:当期純利益146,700千円(=146,700,000円)÷815,000株=180円となる。
覚えるポイント
- 一株当たり当期純利益の分母は、自己株式を控除した普通株式の期中平均株式数を用いる。
間違えやすいところ
- 自己株式の控除を忘れて発行済株式数の平均だけで除算してしまうミスに注意する。
出題の前提:企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」に基づく。
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
潜在株式調整後一株当たり当期純利益の算定
会計学 · 潜在株式調整後一株当たり当期純利益 / 転換社債型新株予約権付社債
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解答
170円
解説
潜在株式調整後一株当たり当期純利益は、転換社債型新株予約権付社債などの潜在株式が期首(または発行時)に転換されたと仮定して計算します。分子には、転換で節約できる社債利息から税効果を引いた額を足し、分母には増える普通株式数を足します。
解き方
- 分子(当期純利益調整額)を計算する:当期首に発行された転換社債型新株予約権付社債に係る社債利息500,000円から税効果(実効税率30%)を控除した調整額は、500,000円×(1-0.30)=350,000円となる。調整後当期純利益は146,700,000円+350,000円=147,050,000円である。
- 分母(普通株式増加数)を計算する:すべて転換されたと仮定した場合の普通株式増加数は50,000株(期首発行のため通年)である。調整後普通株式数は815,000株+50,000株=865,000株となる。
- 潜在株式調整後EPSを算定する:147,050,000円÷865,000株=170円となる。希薄化効果(170円<180円)を有するため、潜在株式調整後一株当たり当期純利益は170円となる。
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覚えるポイント
- 転換社債型新株予約権付社債の分子調整額は、社債利息に(1-実効税率)を乗じた税引後金額を加算する。
間違えやすいところ
- 分子に加算する社債利息調整額について、税効果(法定実効税率30%の控除)を反映し忘れるミスに注意する。
出題の前提:企業会計基準第2号「1株当たり当期純利益に関する会計基準」に基づく。
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
事業分離における個別財務諸表の会計処理(移転元企業および承継企業)
会計学 · 事業分離 / 投資の清算 / 投資の継続 / 個別財務諸表
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解答
(1) 11,000千円, (2) 3,000千円, (3) 2,000千円, (4) 65,500千円, (5) 350,000千円, (6) 230,000千円
解説
事業分離では、分離元企業が受け取る対価が子会社・関連会社株式以外なら「投資の清算」として事業移転損益を計上します。子会社株式などの場合は「投資の継続」として、移転する純資産の帳簿価額で株式を計上します。承継企業は、独立した第三者から事業を取得したものとして、交付した株式の時価などを基準に、受け入れた純資産とのれんを計上します。
解き方
- A事業分離について、受取株式が持分2%のその他有価証券であるため投資の清算として処理し、甲社株式を時価評価して事業移転益を算定する。
- 甲社においてパーチェス法を適用し、交付対価と時価純資産の差額からのれんを、払込資本増加額の1/2から資本剰余金を算定する。
- B事業分離について、乙社を子会社化するため投資の継続として移転簿価で乙社株式を計上し、乙社側では交付株式時価に基づく払込資本増加から資本剰余金を算定する。
答えの内訳
- (1) 日本商工社のその他有価証券:11,000千円
- 受け取った甲社株式(20,000株)は子会社株式にも関連会社株式にも該当しないため、その他有価証券として時価(公正価値)により計上します。20,000株 × 550円 = 11,000千円となります。
- (2) 日本商工社の事業移転損益:3,000千円
- 投資の清算に該当するため、受取対価である甲社株式の時価11,000千円と、移転したA事業の帳簿価額純資産(資産10,000千円 - 負債2,000千円 = 8,000千円)との差額3,000千円を事業移転益(事業移転損益)として認識します。
- (3) 甲社ののれん:2,000千円
- 承継企業である甲社はA事業をパーチェス法で受け入れます。交付株式の時価11,000千円(20,000株 × 550円)と、受け入れた純資産の時価9,000千円(資産時価11,000千円 - 負債時価2,000千円)との差額2,000千円をのれんとして計上します。
- (4) 甲社の資本剰余金:65,500千円
- 甲社の払込資本増加額は交付株式の時価11,000千円です。その2分の1である5,500千円を資本金とし、残額5,500千円を資本剰余金(資本準備金)とします。分離前の資本剰余金60,000千円に加算し、60,000 + 5,500 = 65,500千円となります。
- (5) 日本商工社の乙社株式:350,000千円
- 乙社株式の発行済株式総数の60%を取得して子会社化しているため、投資の継続と認められます。したがって個別財務諸表上、子会社株式の取得原価は移転したB事業の帳簿価額純資産(資産500,000千円 - 負債150,000千円 = 350,000千円)により計上します。
- (6) 乙社の資本剰余金:230,000千円
- 承継企業である乙社において、払込資本増加額は交付した株式の時価420,000千円(656,250株 × 640円)となります。その2分の1である210,000千円が資本剰余金(資本準備金)の増加額となります。分離前の資本剰余金20,000千円に加算して、20,000 + 210,000 = 230,000千円となります。
覚えるポイント
- 移転対価が子会社株式となる場合は「投資の継続」となり、個別上の株式取得原価は移転純資産の帳簿価額となること。
- 会社法および留意事項に基づき、払込資本増加額の1/2を資本金、残額を資本剰余金(資本準備金)とすること。
間違えやすいところ
- 子会社化するB事業の乙社株式を、移転資産の時価や交付株式の時価で計上してしまう誤り。
- 甲社や乙社の資本剰余金の算定において、分離前の既存の資本剰余金を加算し忘れる誤り。
出題の前提:企業結合に関する会計基準、事業分離等に関する会計基準(出題時点の基準)
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
子会社成立の事業分離における連結財務諸表の会計処理
会計学 · 事業分離 / 連結会計 / のれん / 資本剰余金 / 非支配株主持分
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解答
(1) 12,000千円, (2) 328,000千円, (3) 244,000千円
解説
事業を対価にして既存の会社を子会社にする場合、連結上は親会社が被取得企業(子会社)の支配を獲得した企業結合として処理します。移転した事業は親会社の持分について帳簿価額で引き継ぎます。非支配株主に実質的に渡した事業持分の簿価と、取得した子会社持分の時価との差額は資本剰余金にします。
解き方
- 乙社の支配獲得について、取得した乙社株式60%の時価と乙社時価純資産の60%との差額からのれん12,000千円を算定する。
- 乙社既存の時価純資産(260,000千円)と受入B事業の連結簿価純資産(350,000千円)の合計610,000千円に非支配株主持分割合40%を乗じて非支配株主持分244,000千円を算定する。
- 親会社の個別資本剰余金(300,000千円)に、引き渡したB事業持分簿価(140,000千円)と取得した乙社持分時価(168,000千円)の差額(28,000千円)を加算して連結資本剰余金328,000千円を求める。
答えの内訳
- (1) のれん:12,000千円
- 日本商工社が乙社を子会社化した企業結合において、被取得企業は乙社(既存部分)です。乙社の企業結合直前の株式時価総額は437,500株 × 640円 = 280,000千円であり、取得した60%持分の対価は280,000千円 × 60% = 168,000千円となります。一方、乙社の時価純資産は410,000千円 - 150,000千円 = 260,000千円であり、その60%は156,000千円です。差額である168,000千円 - 156,000千円 = 12,000千円が連結上ののれんとなります(乙社個別計上のB事業に係るのれんは連結上消去されます)。
- (2) 資本剰余金:328,000千円
- 日本商工社の個別資本剰余金は300,000千円です。連結上、乙社を取得するための実質的な対価として親会社はB事業の持分40%を引き渡しています。取得対価(取得した乙社株式60%の時価168,000千円)と引き渡したB事業持分40%の帳簿価額(350,000千円 × 40% = 140,000千円)との差額28,000千円が、親会社持分の変動に伴う差額として連結資本剰余金に加算されます。よって、300,000 + 28,000 = 328,000千円となります。
- (3) 非支配株主持分:244,000千円
- 乙社の連結上の純資産は、乙社既存の時価純資産260,000千円(資産時価410,000千円 - 負債時価150,000千円)に、連結簿価で引き継がれるB事業純資産350,000千円(資産500,000千円 - 負債150,000千円)を加えた610,000千円です。非支配株主持分割合は40%であるため、610,000千円 × 40% = 244,000千円となります。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 子会社が個別財務諸表で計上した受入事業に係るのれんや評価差額は、連結修正において消去されること。
- 非支配株主持分は、子会社既存の時価純資産と親会社から移転された事業の簿価純資産の合計額に対して非支配株主持分割合を乗じて求めること。
間違えやすいところ
- 乙社個別財務諸表で計上されたB事業に係るのれん60,000千円をそのまま連結貸借対照表に残してしまう誤り。
- 非支配株主持分の計算において、B事業を簿価純資産ではなく時価純資産で算定してしまう誤り。
出題の前提:企業結合に関する会計基準、事業分離等に関する会計基準、連結財務諸表に関する会計基準(出題時点の基準)
出典:日本商工会議所『第167回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第167回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第167回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

