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第164回 1級 商業簿記・会計学の概要
企業会計基準等の正誤判定と用語訂正
会計学 · 会計上の変更 / 新株予約権付社債 / 棚卸資産の評価 / キャッシュ・フロー計算書 / 繰延資産
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解答
(1) Ⅰ欄: (c), Ⅱ欄: 会計上の見積りの変更(または、会計上の見積りの変更と同様に取り扱う) / (2) Ⅰ欄: (b), Ⅱ欄: 区分法(または、区分法の処理しか認められていない) / (3) Ⅰ欄: (c), Ⅱ欄: 期末実地棚卸数量(または、実地棚卸数量) / (4) Ⅰ欄: (c), Ⅱ欄: 投資活動によるキャッシュ・フロー / (5) Ⅰ欄: (a), Ⅱ欄: 販売費及び一般管理費(または、販売費及び一般管理費として処理しなければならない)
解説
会計基準や各種実務指針の細かい規定を正確に覚えているかを問う問題です。会計上の変更の区別、新株予約権付社債(複合金融商品)の処理、棚卸資産の減耗損と評価損で対象になる数量の違い、キャッシュ・フロー計算書での利息・配当金の2通りの表示区分、繰延資産(創立費・開業費)の表示と償却方法を、原則と容認の違いまで押さえる必要があります。
解き方
- 各設問の下線部(a)~(d)について、会計基準や実務指針の条文・取扱いに照らして正誤を検討する。
- 誤りを含む下線部を特定し、その記号をⅠ欄に記入するとともに、文脈に適合する正しい会計用語をⅡ欄に導き出す。
答えの内訳
- (1) Ⅰ欄:(c)
- 会計基準第24号第19項により、会計方針の変更と会計上の見積りの変更を区別することが困難な場合は「会計上の見積りの変更」と同様に取り扱います。
- (1) Ⅱ欄:会計上の見積りの変更
- 区別困難な場合は過去に遡及せず、将来に向かって処理を行う会計上の見積りの変更と同様に処理します。
- (2) Ⅰ欄:(b)
- 発行者側において転換社債型以外の新株予約権付社債は、社債と新株予約権を別個のものとして区分法のみが認められます。
- (2) Ⅱ欄:区分法
- 転換社債型以外の新株予約権付社債の発行者は、区分法による処理しか認められていません。
- (3) Ⅰ欄:(c)
- 棚卸資産の評価基準において、商品評価損は(取得原価-正味売却価額)に実地棚卸数量を乗じて算定します。
- (3) Ⅱ欄:期末実地棚卸数量
- 棚卸減耗損を控除した後の実際の数量である期末実地棚卸数量に基づいて評価損を計算します。
- (4) Ⅰ欄:(c)
- キャッシュ・フロー計算書における利息及び配当金の第2法では、受取利息及び受取配当金は「投資活動によるキャッシュ・フロー」に区分されます。
- (4) Ⅱ欄:投資活動によるキャッシュ・フロー
- 投資の果実である受取利息・受取配当金は投資活動、資金調達に伴う支払利息・配当金は財務活動とする区分方法です。
- (5) Ⅰ欄:(a)
- 開業費は会社成立後営業開始時までの準備費用であり、支出時に原則として「販売費及び一般管理費」として処理します。
- (5) Ⅱ欄:販売費及び一般管理費
- 創立費(営業外費用)と異なり、開業費は営業開始前の販売・管理体制の構築に係る費用であるため原則として販売費及び一般管理費となります。
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覚えるポイント
- 区別困難な会計上の変更は「会計上の見積りの変更」として取り扱う。
- 商品評価損の計算に用いる数量は「期末実地棚卸数量」である。
- 開業費の支出時原則費用処理は「販売費及び一般管理費」である(創立費は営業外費用)。
間違えやすいところ
- 商品評価損の算定で帳簿数量と実地数量を混同する。
- 創立費(原則:営業外費用)と開業費(原則:販売費及び一般管理費)の原則表示区分を混同する。
出題の前提:企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」、企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」等
出典:日本商工会議所『第164回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
連結財務諸表の作成(在外子会社を含む連結・包括利益)
会計学 · 在外子会社の連結 / 包括利益 / その他有価証券評価差額金 / のれんの償却 / 非支配株主持分
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解答
(1) 69,440千円(または親会社株主に帰属する当期純利益として58,860千円) / (2) 10,580千円 / (3) 1,974千円 / (4) 6,460千円(円貨固定の場合は6,400千円) / (5) 75,654千円(円貨固定の場合は74,574千円)
解説
在外子会社の財務諸表の換算では、資産・負債は決算日相場(CR)、純資産のうち資本金などは取得時相場(HR)、費用・収益は期中平均相場(AR)で換算し、貸借差額は為替換算調整勘定にします。子会社が持つその他有価証券の評価差額金や為替換算調整勘定は、親会社持分と非支配株主持分に分け、連結貸借対照表の純資産の部(その他の包括利益累計額)には親会社持分だけを載せます。親会社株主に係る包括利益は、親会社株主に帰属する当期純利益に、親会社株主に係るその他の包括利益を加減して求めます。
解き方
- 各社の個別利益剰余金の増減より当期純利益を算定し、S2社については期中平均相場(AR123円)で円換算する。
- 支配獲得日におけるS1社およびS2社ののれんを算定し、10年定額法による当期の償却額を計算する。
- 連結損益計算書における当期純利益および非支配株主に帰属する当期純利益を算定する。
- その他有価証券の評価差額(税効果控除後)を算定し、子会社分は親会社持分比率分のみを合算する。
- S2社の純資産およびのれんの換算から為替換算調整勘定の親会社持分額を算定し、包括利益を求める。
答えの内訳
- (1) 当期純利益:69,440
- 日本商工の当期純利益31,000+S1社の当期純利益8,000+S2社の当期純利益36,900(300千ドル×AR123円)-のれん償却額6,460=69,440千円。※親会社株主に帰属する当期純利益を指す場合は58,860千円(69,440-10,580)。
- (2) 非支配株主に帰属する当期純利益:10,580
- S1社の非支配株主負担額8,000×40%=3,200千円、S2社の非支配株主負担額36,900×20%=7,380千円。合計して10,580千円となります。
- (3) その他有価証券評価差額金の残高:1,974
- 日本商工保有分:(160千ドル×126円-150千ドル×120円)×(1-0.3)=1,512千円。S1社保有分:(12,600-11,500)×(1-0.3)=770千円のうち親会社持分60%=462千円。合計1,512+462=1,974千円。
- (4) のれん償却額:6,460
- S1社のれん=277,000-395,000×60%=40,000千円、償却額40,000÷10=4,000千円。S2社のれん=2,360-2,700×80%=200千ドル、償却額20千ドル×AR123円=2,460千円。合計6,460千円(取得時レート120円適用の場合は6,400千円)。
- (5) 親会社株主に係る包括利益:75,654
- 親会社株主に帰属する当期純利益58,860千円+その他有価証券評価差額金1,974千円+親会社持分に係る為替換算調整勘定14,820千円(純資産換算差額17,100×80%+のれん換算差額1,140)=75,654千円。
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覚えるポイント
- 在外子会社の損益項目は原則として期中平均相場(AR)で円換算する。
- 子会社に生じたその他有価証券評価差額金および為替換算調整勘定は持分比率に応じて非支配株主持分へ按分される。
- 包括利益=当期純利益+その他の包括利益。
間違えやすいところ
- 子会社のその他有価証券評価差額金について非支配株主持分への按分を行わずに全額加算してしまう。
- 在外子会社ののれん償却額の換算レート(ARまたはHR)の扱いや為替換算調整勘定の加算漏れ。
出題の前提:企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」、企業会計基準第25号「包括利益の表示に関する会計基準」、「外貨建取引等会計処理基準」
出典:日本商工会議所『第164回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第164回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第164回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

