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第162回 1級 商業簿記・会計学の概要
返品権付き販売・手形割引・固定資産買換等の決算整理
商業簿記 · 収益認識 / 返品権付き販売 / 手形割引 / 減価償却 / 減損会計 / 売上原価
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解答
(1) 4.0% (2) 1,247,295千円 (3) 6,616,189千円 (4) 9,282,000千円 (5) 886,415千円
解説
返品権付き販売では、受け取ると見込まれる変動対価の額で売上を認識し、返品を見込む分は返金負債として計上します。減損会計では、将来キャッシュ・フローの現在価値と正味売却価額の高い方を回収可能価額とし、帳簿価額との差額を減損損失とします。
解き方
- 期末整理事項等から試算表の未確定残高(仮受金、新車両取得原価、売上高)を確定する。
- 商品X・Yの売上高修正、棚卸減耗損・商品評価損および返品精算を反映して売上原価を算定する。
- 減価償却費、級数法による手形利息、貸倒引当金、為替予約振当、備品の減損損失を順次算定して当期純利益を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 (1):4.0%
- 2月末販売分は売価125,000千円のうち返品されない見積が120,000千円であるため、見積返品額は5,000千円となり、見積返品率は5,000千円÷125,000千円=4.0%です。3月販売分(105,000千円中100,800千円非返品見込)も4,200千円÷105,000千円=4.0%で一致します。
- 小問 (2):1,247,295千円
- 修正後X商品売上高は5,553,620千円-4,620千円=5,549,000千円です。通常の売上原価は5,549,000千円×(1-0.225)=4,300,475千円となり、棚卸減耗損350千円(73,200千円-72,850千円)および商品評価損880千円(72,850千円-71,970千円)を加算した修正後売上原価は4,301,705千円です。売上総利益は5,549,000千円-4,301,705千円=1,247,295千円となります。
- 小問 (3):6,616,189千円
- 試算表上の売上原価6,614,680千円に対し、X商品の棚卸減耗損350千円および商品評価損880千円を加算します。さらに2月末販売分の返品確定に伴い、返金負債の戻入差額に対応する売上原価修正額279千円(返品資産戻入3,100千円-商品受入2,821千円)を加算するため、6,614,680千円+1,230千円+279千円=6,616,189千円となります。
- 小問 (4):9,282,000千円
- 試算表の貸借差額より推定される期中売上高は9,286,170千円です。ここからX商品の誤計上売上4,620千円を減額し、2月末販売分の返品見込5,000千円と実際返品額4,550千円の差額450千円を売上に戻し入れるため、9,286,170千円-4,620千円+450千円=9,282,000千円となります。
- 小問 (5):886,415千円
- 売上総利益2,665,811千円から、販管費(販売費570,395千円、一般管理費435,990千円、追加減価償却費137,270千円、貸倒引当金繰入3,980千円)を控除して営業利益1,458,176千円を算出します。営業外損益(受取利息+30,000千円、為替差益+4,583千円、支払利息-2,913千円、手形売却損-306千円)を加減して経常利益1,489,540千円とし、特別損益(売却益+2,000千円、減損損失-30,125千円)を加減した税引前当期純利益1,461,415千円から法人税等575,000千円を控除して886,415千円となります。
覚えるポイント
- 返品権付き販売における返品見込差額の精算は、売上高および売上原価に反映される。
- 級数法による利息配分は、各期初の手形残高回数比率に応じて総利息を按分する。
間違えやすいところ
- X商品の前受金振替による売上減少を売上原価の修正と混同してしまうこと。
- 備品の減損判定において、割引前将来キャッシュ・フローと現在価値の比較順序を誤ること。
出題の前提:収益認識に関する会計基準、固定資産の減損に係る会計基準、金融商品に関する会計基準
出典:日本商工会議所『第162回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
会計基準に関する正誤判定
会計学 · 減損会計 / 金融商品会計 / 収益認識会計 / 企業結合会計 / 連結キャッシュ・フロー計算書 / 税効果会計
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解答
(1) エ (2) イ (3) ア (4) ウ (5) ア
解説
わが国の企業会計基準では、金融商品の不可逆的な減損、偶発債務の引当要件、企業結合の取得関連費用の発生時費用処理、連結キャッシュ・フロー計算書での資本取引の区分、税効果会計の全額固定区分表示が、それぞれ細かく定められています。各記述がこれらの規定に合うかを判断します。
解き方
- 各設問のテーマ(棚卸資産・減損、引当金、企業結合、CF計算書、税効果・表示基準)に該当する規定を確認する。
- 各選択肢の記述と現行の会計基準の取扱いを照合し、正誤を判定する。
- 選択肢 ア正解
- アは正しいです。(3)と(5)の記述は、企業結合会計基準と税効果会計基準に合っています。
- 選択肢 イ正解
- イは正しいです。(2)の債務保証損失引当金の計上は、企業会計原則注解の規定に合っています。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。(4)の支配獲得後の子会社株式追加取得のキャッシュ・フローを財務活動に表示する記述は、連結CF基準に合っています。
- 選択肢 エ正解
- エは正しいです。(1)のその他有価証券の減損後の切下げ額は戻入れできないという記述は、金融商品会計基準に合っています。
答えの内訳
- (1):エ
- その他有価証券の時価が著しく下落して減損処理を行った場合、減損処理後の価額が新たな取得原価となり、翌期以降の戻入は認められません。
- (2):イ
- 保証債務等の偶発債務であっても、損失の発生可能性が高く金額を合理的に見積もることができる場合には、債務保証損失引当金を設定する必要があります。
- (3):ア
- 子会社株式の取得に係る取得関連費用は、個別財務諸表および連結財務諸表において発生した事業年度の費用として処理します。
- (4):ウ
- 親会社と非支配株主との間の持分変動取引(支配継続中の子会社株式の追加取得)に伴うキャッシュ・フローは、資本取引であるため財務活動によるキャッシュ・フローに区分されます。
- (5):ア
- 税効果会計基準の改訂により、繰延税金資産および繰延税金負債は投資その他の資産または固定負債の区分に表示し、同一納税主体のものは相殺して純額表示します。
覚えるポイント
- 支配継続中の子会社株式追加取得・一部売却によるキャッシュ・フローは「財務活動によるキャッシュ・フロー」に記載する。
- 繰延税金資産・負債はすべて固定資産(投資その他の資産)または固定負債に表示する。
間違えやすいところ
- 負ののれんを旧基準のように負債計上して規則的償却するものと混同すること。
- 新収益認識基準下で売上割戻引当金を設定できると誤解すること(現在は変動対価処理)。
出題の前提:企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」、企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等
出典:日本商工会議所『第162回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
収益認識・連結会計・新株予約権付社債の総合計算と語句穴埋め
商業簿記・会計学 · 収益認識会計基準 / 資本連結 / 新株予約権付社債
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解答
ア:履行義務、イ:販売価格、ウ:369,600、エ:契約、オ:70,400、カ:756、キ:包括利益、ク:84、ケ:2,616、コ:3,388、サ:14,967、シ:987,667、ス:201,196、セ:12,047、ソ:12,240
解説
収益認識会計基準では、契約のうち識別した履行義務に、独立販売価格の比で取引価格を配分します。連結会計では、子会社純資産の時価評価と、持分変動に伴う資本剰余金の修正が重要です。新株予約権付社債の区分法では、社債部分と新株予約権部分に分け、社債は利息法で償却原価を計算し、権利行使時には消滅する社債の帳簿価額と新株予約権の帳簿価額を払込資本に振り替えます。
解き方
- 問1:独立販売価格の比率(38:12)により取引価格440,000円を配分し、X1年度に履行完了した部分および期間按分したサービス部分を合算して収益を求め、未充足分を契約負債とする。
- 問2:X1年度末のS社時価純資産に基づき取得時ののれんを算定し、翌期からの定額償却を行う。追加取得時は時価純資産の追加取得割合と対価の差額を資本剰余金で調整し、連結利益剰余金は親会社個別利益剰余金に子会社獲得利益の持分を加え、のれん償却累計額を控除して算定する。
- 問3:区分法に基づき期首社債簿価に実効利子率を乗じて社債利息を求め、利息法により各期末の簿価を更新する。新株予約権行使時には権利行使割合に対応する社債簿価と新株予約権残高の合計額を払込資本に計上する。
小問ごとの答え
- 小問 ア:履行義務
- 収益認識に関する会計基準において、顧客との契約において識別される約束は「別個の履行義務」として扱われます。
- 小問 イ:販売価格
- 取引開始日における財またはサービスの「独立販売価格(スタンドアローン販売価格)」の比率に基づき、取引価格を配分します。
- 小問 ウ:369,600
- 独立販売価格の合計500,000円に対し、製品Aは380,000/500,000(76%)、サービスBは120,000/500,000(24%)を配分します。取引価格440,000円を配分すると製品Aは334,400円、サービスBは105,600円となります。X1年度に製品Aは全額引渡され収益認識(334,400円)、サービスBは3年の均等提供のため1年分(105,600円÷3=35,200円)が認識されるため、合計収益は334,400+35,200=369,600円です。
- 小問 エ:契約
- 履行義務を充足する前に顧客から対価を受け取った義務は「契約負債」として貸借対照表の負債に計上されます。
- 小問 オ:70,400
- 受取額440,000円からX1年度に認識した収益369,600円を差し引いた未充足履行義務の金額(105,600円×2/3)である70,400円が契約負債として残高計上されます。
- 小問 カ:756
- X1年度末のS社時価純資産は1,000+500+評価差額100(400-300)=1,600百万円です。親会社持分60%は960百万円であり、取得原価1,800百万円との差額からのれんは840百万円と算定されます。翌年度(X2年度)から10年均等償却(年84百万円)を行うため、X2年度末の残高は840-84=756百万円です。
- 小問 キ:包括利益
- 純資産の部に計上される評価・換算差額等の区分は「その他の包括利益累計額」と呼ばれます。
- 小問 ク:84
- 親会社自身はその他有価証券を保有していないため、連結貸借対照表のその他有価証券評価差額金はS社の評価差額140百万円に対する親会社持分60%相当額(140×60%=84百万円)となります。
- 小問 ケ:2,616
- X4年度末のS社純資産時価は1,000+900+180=2,080百万円です。追加取得20%に対応する非支配株主持分の減少額は2,080×20%=416百万円であり、追加取得対価800百万円との差額(416-800=△384百万円)が資本剰余金の減少となります。個別資本剰余金3,000百万円から差し引いて、3,000-384=2,616百万円となります。
- 小問 コ:3,388
- 個別利益剰余金3,400百万円に、取得後のS社利益剰余金増加額(900-500=400百万円)の親会社帰属分(400×60%=240百万円)を加算し、X2〜X4年度ののれん償却費3期分(84×3=252百万円)を減額して、3,400+240-252=3,388百万円となります。
- 小問 サ:14,967
- 社債の期首簿価984,700千円に実効利子率1.52%を乗じて計算します。984,700×1.52%=14,967.44千円となり、四捨五入して14,967千円です。
- 小問 シ:987,667
- 当期クーポン支払額は1,000,000×1.2%=12,000千円です。利息配分による社債償却額は14,967-12,000=2,967千円となるため、X5年度末の社債簿価は984,700+2,967=987,667千円です。
- 小問 ス:201,196
- X6年度の社債利息は987,667×1.52%≒15,013千円、償却額は15,013-12,000=3,013千円となり、X7年3月31日時点の社債簿価は987,667+3,013=990,680千円です。行使された20%分の社債簿価は990,680×20%=198,136千円、新株予約権は15,300×20%=3,060千円となり、その合計額である198,136+3,060=201,196千円が払込資本(資本金および資本準備金)に計上されます。
- 小問 セ:12,047
- 権利行使後のX7年度期首(X7年4月1日)の社債残高は、行使されなかった80%相当額(990,680-198,136=792,544千円)です。これに実効利子率1.52%を乗じると792,544×1.52%=12,046.66…千円となり、四捨五入して12,047千円です。
- 小問 ソ:12,240
- 新株予約権の発行額15,300千円のうち20%(3,060千円)が行使されたため、残余80%相当額である15,300×80%=12,240千円が貸借対照表に残高として計上されます。
覚えるポイント
- 子会社株式の追加取得における追加取得原価と減少する非支配株主持分の差額は資本剰余金(資本取引)として処理する。
- 新株予約権の行使に伴い振り替えられる社債簿価は、直前までの利息法償却を反映した行使日時点の簿価である。
間違えやすいところ
- 収益認識の取引価格配分において、契約金額440,000円ではなく独立販売価格の合計500,000円から直接計算してしまうミス。
- 子会社のその他有価証券評価差額金に対する親会社の持分比率(60%)の乗戻しを忘れ、子会社の全額を連結上の評価差額金としてしまうミス。
- 新株予約権行使後の社債利息計算において、未行使割合(80%)への社債元本修正を忘れて前期と同じベースで利息を計算してしまう誤り。
出題の前提:収益認識に関する会計基準、連結財務諸表に関する会計基準、金融商品に関する会計基準
出典:日本商工会議所『第162回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第162回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第162回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

