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全4設問のうち3設問の解説を掲載しています。指定答案用紙などが確認できない設問は掲載していません。
第161回 1級 商業簿記・会計学の概要
会計学 第1問(語句補充問題)
財務会計論 · 純資産の部 / 時価評価の戻入れ / 約定日基準と修正受渡日基準 / 売価還元法 / キャッシュ・フロー計算書
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解答
ア:評価・換算差額等、イ:切放し(切放)、ウ:修正受渡日、エ:売価還元、オ:直接
解説
財務会計の各基準(企業会計基準、金融商品会計基準、棚卸資産会計基準、キャッシュ・フロー計算書基準など)に出てくる基本用語と表示区分を答える問題です。基準ごとに用語の定義や表示のルールが決まっているので、用語の意味と表示場所を正しく覚えているかが問われます。
解き方
- 各文の文脈と会計基準上の定義を照合し、該当する専門用語を特定する。
- 個別財務諸表と連結財務諸表における表示区分名称の違い(評価・換算差額等とその他の包括利益累計額)や、制度上認められている代替基準の名称を正確に記述する。
答えの内訳
- ア:評価・換算差額等
- 個別貸借対照表の純資産の部では、株主資本の次に「評価・換算差額等」の区分が設けられ、その他有価証券評価差額金や繰延ヘッジ損益が計上されます。
- イ:切放し
- 時価による評価替の戻入れを行わず、評価替後の価額を翌期の帳簿価額とする方法を切放し法(切放法)と呼びます。
- ウ:修正受渡日
- 約定日基準の例外として、約定日における時価変動や損益のみを認識し、受渡日に現物の受払いを認識する方法を修正受渡日基準といいます。
- エ:売価還元
- 取扱品種が多い小売業等で用いられ、売価合計に原価率を乗じて期末棚卸資産の価額を算定する方法を売価還元法と呼びます。
- オ:直接
- 営業活動によるキャッシュ・フローにおいて、主要な取引区分ごとに収入・支出を総額で表示する方法を直接法といいます。
覚えるポイント
- 個別貸借対照表では「評価・換算差額等」、連結貸借対照表では「その他の包括利益累計額」と表記する。
- 営業活動によるキャッシュ・フローの表示方法には「直接法」と「間接法」がある。
間違えやすいところ
- 個別貸借対照表の区分である(ア)に、連結上の「その他の包括利益累計額」と誤答しないようにする。
- (ウ)の約定日基準の代替処理について、「受渡日基準」ではなく「修正受渡日基準」と書く必要がある点に注意する。
出題の前提:企業会計原則、会社計算規則、金融商品に関する会計基準、棚卸資産の評価に関する会計基準、連結財務諸表原則
出典:日本商工会議所『第161回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
会計学 第2問(リース会計・貸手の処理)
財務会計論 · 所有権移転ファイナンス・リース取引 / 貸手の会計処理 / 利息法
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解答
問1:700,686円、問2:259,314円、問3:960,000円、問4:113,607円
解説
所有権移転ファイナンス・リース取引の貸手(貸す側)の処理には、「売上高を計上する2つの方法(開始時計上・受領時計上)」と「売上高を計上しない方法(利息のみ配分)」があります。どの方法でも、利息相当額の配分は原則として利息法で計算します。
解き方
- 取引開始時における元本額(購入価額 3,989,452円)およびリース料年額 960,000円、計算利子率 6.5% を把握する。
- 利息法に従い、各年度の期首元本残高に利子率 6.5% を乗じて利息相当額を計算し、リース料との差額を元本回収額として元本残高を順次逓減させる。
- 各問で指定された会計処理方法(売上高・売上原価の計上時期、債権回収の記帳方法)に応じた勘定科目と金額を決定する。
答えの内訳
- 問1:700,686円
- リース料受領時に売上高と売上原価を計上する方法では、各期の売上総利益が利息配分額と一致するように売上原価を計上します。初回利息は 3,989,452円 × 6.5% = 259,314.38... → 259,314円となるため、売上原価は 960,000円 - 259,314円 = 700,686円となります。
- 問2:259,314円
- 初回リース料受領時(20X2年3月31日)における受取利息は、期首元本 3,989,452円に計算利子率 6.5% を乗じて算定します。3,989,452円 × 6.5% = 259,314.38... 円となり、四捨五入して 259,314円です。
- 問3:960,000円
- リース取引開始時に売上高と売上原価を計上する方法では、取引開始時にリース料総額 4,800,000円でリース債権を計上します。初回リース料受領時には回収した年額リース料全額である 960,000円をリース債権から減額(貸記)します。
- 問4:113,607円
- 各年度の利息法による元本残高の推移は以下の通りです。 ・1年目末残高:3,989,452 - (960,000 - 259,314) = 3,288,766円 ・2年目利息:3,288,766 × 6.5% = 213,770円、2年目末残高:3,288,766 - (960,000 - 213,770) = 2,542,536円 ・3年目利息:2,542,536 × 6.5% = 165,265円、3年目末残高:2,542,536 - (960,000 - 165,265) = 1,747,801円 ・4年目利息:1,747,801 × 6.5% = 113,607.065... → 113,607円。
覚えるポイント
- 所有権移転ファイナンス・リースの貸手側では債権科目として「リース債権」を用いる(所有権移転外は「リース投資資産」)。
- 利息法における受取利息の金額は「期首元本残高 × 計算利子率」で計算し、端数は四捨五入する。
間違えやすいところ
- リース料受領時に売上高と売上原価を計上する方法で、売上原価に単なる定額按分額(3,989,452÷5)を用いてしまうミスに注意する(利息法による元本回収額を原価とする)。
- 問3の貸記するリース債権額について、元本回収額ではなくリース料回収額そのものが貸記される点を見落とさないようにする。
出題の前提:企業会計基準第13号「リース取引に関する会計基準」および同適用指針第16号
出典:日本商工会議所『第161回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
在外子会社の外貨建財務諸表の換算および連結手続
会計学 · 在外子会社の財務諸表換算 / 為替換算調整勘定 / 外貨建てのれん / 未実現利益の消去 / 非支配株主持分
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解答
問1(1) 2,208,000円、問1(2) 560,000円、問1(3) 2,748,000円、問1(4) △300,000円、問1(5) 1,584,000円、問2(1) 1,023,120円、問2(2) 10,795,440円、問2(3) 1,032,440円
解説
在外子会社(海外の子会社)の財務諸表を円に換算するときは、資産・負債は決算日の相場(CR)、資本は取得時の相場(HR)、収益・費用は期中平均相場(AR)を使います。換算で生じた貸借の差額は為替換算調整勘定にします。のれんは外貨で計算して期末相場で換算し、その償却費との差額は為替換算調整勘定に含めます。
解き方
- S社の収益・費用を資料の指示に従って換算(P社向売上は111円、その他は114円)し、当期純利益および配当金、為替差損益を算定して期末利益剰余金を算出する。
- S社の資産・負債を決算時相場(116円)で換算し、資本等との貸借差額として為替換算調整勘定を算定する。
- 支配獲得日におけるドル建純資産(時価評価後)と取得原価から外貨建てのれんを求め、当期の償却後の残高を決算時相場で換算する。
- 未実現利益を取引日相場(111円)で消去し、税効果を認識した上で非支配株主持分および連結為替換算調整勘定を算定する。
小問ごとの答え
- 小問 問1(1):2,208,000円
- 収益合計は諸収益(550,000ドル×114円=62,700,000円)とP社向売上(100,000ドル×111円=11,100,000円)の計73,800,000円です。費用合計は売上原価(480,000ドル×114円=54,720,000円)、減価償却費(8,000ドル×114円=912,000円)、諸費用(140,000ドル×114円=15,960,000円)の計71,592,000円となります。したがって、当期純利益は73,800,000円-71,592,000円=2,208,000円です。
- 小問 問1(2):560,000円
- 剰余金の配当は配当決議時の為替相場(1ドル=112円)により換算するため、5,000ドル×112円=560,000円となります。
- 小問 問1(3):2,748,000円
- 期首利益剰余金は支配獲得時相場(1ドル=110円)により10,000ドル×110円=1,100,000円です。当期末残高は、期首1,100,000円-配当560,000円+当期純利益2,208,000円=2,748,000円となります。
- 小問 問1(4):△300,000円
- P社向売上高を期中平均相場(114円)ではなく親会社適用相場(111円)により換算したため、貸方収益が100,000ドル×(114円-111円)=300,000円減少します。この換算差額は借方残高の為替差損となるため、△300,000円と表示します。
- 小問 問1(5):1,584,000円
- 資産合計は237,000ドル×116円(CR)=27,492,000円です。諸負債は10,000ドル×116円=1,160,000円、資本金は200,000ドル×110円=22,000,000円、利益剰余金期末残高は2,748,000円です。貸借差額として為替換算調整勘定は27,492,000円-(1,160,000円+22,000,000円+2,748,000円)=1,584,000円(貸方残高)となります。
- 小問 問2(1):1,023,120円
- 支配獲得時の時価純資産は資本200,000ドル+利益剰余金10,000ドル+土地時価差額(税引後)7,000ドル=217,000ドルです。親会社持分60%は130,200ドルであり、ドル建てのれんは取得原価140,000ドル-130,200ドル=9,800ドルです。当期の償却額980ドル(10年定額法)を控除した期末のれんは8,820ドルであり、期末相場116円で換算して8,820ドル×116円=1,023,120円となります。
- 小問 問2(2):10,795,440円
- S社の時価評価後期末純資産は200,000ドル+27,000ドル+7,000ドル=234,000ドルです。非支配株主持分40%は93,600ドルであり、期末相場116円換算で10,857,600円となります。ここからアップストリームの未実現利益消去に伴う非支配株主負担額62,160円(未実現利益2,000ドル×111円×(1-0.3)×40%)を控除して、10,857,600円-62,160円=10,795,440円となります。
- 小問 問2(3):1,032,440円
- S社個別の為替換算調整勘定に対する親会社持分は1,584,000円×60%=950,400円です。土地時価評価差額の換算差額に係る親会社持分は7,000ドル×(116円-110円)×60%=25,200円です。のれんの換算差額は期末評価1,023,120円-(期首1,078,000円-当期償却111,720円)=56,840円です。これらを合計して950,400円+25,200円+56,840円=1,032,440円(貸方残高)となります。
覚えるポイント
- 在外子会社ののれんは発生時の外貨金額で認識し、決算時の為替相場(CR)で換算する。
- 親会社間取引を親会社の適用為替相場で換算した際の期中平均相場との換算差額は為替差損益として処理する。
- 連結貸借対照表の為替換算調整勘定には、子会社純資産の換算差額(親会社持分相当)に加えて、評価差額およびのれんの換算差額が含まれる。
間違えやすいところ
- のれんの円換算において、取得時の円換算額から円貨で定額償却してしまい、期末為替相場による換算替えを失念する。
- 未実現利益の消去計算で、原価に対する利益率(原価の25%)を売上高利益率と混同して利益額の計算を誤る(10,000ドル×25/125=2,000ドルが正しい)。
- 非支配株主持分の計算において、アップストリーム未実現利益の税効果調整後金額の負担分(40%)の控除を忘れる。
出題の前提:企業会計基準第4号「外貨建取引等会計処理基準」および企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」に基づく。
出典:日本商工会議所『第161回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第161回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第161回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

