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第159回 1級 商業簿記・会計学の概要
決算整理前残高試算表の推定(有価証券・繰延内部利益・退職給付・減価償却)
商業簿記 · 満期保有目的債券 / その他有価証券 / 繰延内部利益 / 退職給付引当金 / 減価償却累計額
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解答
① 55,775千円、② 46,660千円、③ 7,590千円、④ 250,000千円、⑤ 462,500千円
解説
決算整理前残高試算表は、当期首の再振替仕訳をした後、まだ決算整理仕訳をする前の状態を表しています。だから前期末の決算処理と当期首の再振替仕訳を正しく追いかけて、各残高の金額を出します。
解き方
- 各勘定科目について、前期末までの償却・評価状況と当期首の洗替仕訳の有無を確認する。
- 為替レートや未認識差異の償却年数、定率法の各期償却額を正確に計算し、当期決算整理前の帳簿残高を求める。
答えの内訳
- ①:55,775千円
- B社社債(5年満期)のドル建償却額は年5千ドル(差額25千ドル÷5年)であり、取得から前期末(2年経過)までのドル建帳簿価額は475+5×2=485千ドルです。外貨建満期保有目的債券は前期末に決算日レート(当期首レートと同じ1ドル=115円)で換算されているため、決算整理前残高は485千ドル×115円=55,775千円となります。
- ②:46,660千円
- その他有価証券は全部純資産直入法が採用されているため、前期末の評価替は当期首に洗替処理(振戻仕訳)が行われ、決算整理前残高は取得原価の円換算額となります。A社株式(230千ドル×116円=26,680千円)とC社株式(180千ドル×111円=19,980千円)の合計で46,660千円となります。
- ③:7,590千円
- 決算整理前残高試算表の繰延内部利益は期首残高(支店の期首商品棚卸高の本店仕入分に含まれる内部利益)を示します。支店期首棚卸高のうち本店仕入分は440千ドル×115円=50,600千円であり、円ベースの売上利益率15%を乗じると50,600千円×15%=7,590千円となります。
- ④:250,000千円
- 期首退職給付引当金は「期首退職給付債務(1,300,000千円)−期首年金資産(1,100,000千円)±期首未認識差異」で算定します。未認識数理計算上の差異は、20X3年度発生額の未償却残高△160,000千円(有利差異)と20X5年度発生額の未償却残高110,000千円(不利差異)の合計△50,000千円(貸方残)です。したがって引当金残高は200,000千円+50,000千円=250,000千円となります。
- ⑤:462,500千円
- 備品の減価償却は200%定率法(償却率0.250)で計算します。1年目償却額:800,000×0.250=200,000千円、2年目償却額:(800,000−200,000)×0.250=150,000千円、3年目償却額:(600,000−150,000)×0.250=112,500千円となり、前期末までの3年間の累計額は200,000+150,000+112,500=462,500千円となります。
覚えるポイント
- 外貨建満期保有目的債券は各期末の為替レートで換算し為替差損益を計上するため、期首帳簿価額は前期末レート換算値となる。
- その他有価証券を全部純資産直入法で処理している場合、翌期首に洗替処理を行うため期中および前T/Bの簿価は取得原価となる。
間違えやすいところ
- その他有価証券の前T/B残高を期末時価や前期末時価で計算してしまうミス。
- 退職給付の未認識数理計算上の差異の借方差異(損失)と貸方差異(利益)の符号を取り違えて引当金残高を加減算してしまうミス。
出題の前提:2021年度施行の企業会計基準(外貨建取引等会計処理基準、金融商品会計基準、退職給付会計基準等)に基づく出題。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.2 ↗(www.kentei.ne.jp) / 公式問題 p.3 ↗(www.kentei.ne.jp)
会計基準の基本知識(社債・新株予約権・資産除去債務・リース)
会計学 · 利息法 / 新株予約権付社債 / 資産除去債務の利息費用 / ファイナンス・リース取引
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解答
ウ
解説
資産除去債務の利息費用は、時間がたつほど債務が増える分の費用です。会計基準では、対象となる有形固定資産の減価償却費と同じ表示区分(売上原価、または販売費及び一般管理費)に計上すると定めています。
解き方
- 各選択肢の会計処理(利息法、区分法、資産除去債務の表示区分、リース資産計上額の計算)を照合する。
- 資産除去債務の利息費用の計上区分に関する基準の規定に合致する肢ウを正答と判断する。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。割引発行では償却額が毎期社債簿価に加算されていくので、期首簿価に実効利子率を掛けて求める社債利息は、後の期間ほど大きくなります。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。新株予約権付社債を区分法で処理すると、社債部分は負債ですが、新株予約権部分は純資産の部に計上します。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。資産除去債務の利息費用は除去する資産の減価償却費と同じ区分に計上するので、減価償却費が販売費及び一般管理費なら利息費用も同じ区分です。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。割引率が高くなるとリース料総額の現在価値(リース資産の計上額)が小さくなるので、各期に配分する減価償却費の合計も小さくなります。
覚えるポイント
- 資産除去債務の利息費用は営業外費用ではなく、対応する資産の減価償却費と同一の区分(製造原価または販管費)に計上する。
間違えやすいところ
- 利息費用という名称から、財務費用である営業外費用に計上すると誤認してしまうミス。
出題の前提:企業会計基準第18号「資産除去債務に関する会計基準」等の現行基準に基づく出題。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
個別・連結財務諸表および開示会計基準の正誤判定
会計学 · 取得関連費用 / 子会社株式の一部売却 / セグメント情報
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解答
ア
解説
企業結合・連結会計基準では、子会社取得時の取得関連費用は連結上その発生年度の費用にしますが、個別上は取得原価に付随費用を加算します。資本取引の処理やセグメント情報の開示要件も正確に押さえる必要があります。
解き方
- 各選択肢の論点(取得関連費用、支配継続下の一部売却、セグメントの集約基準、報告セグメントの開示項目)を確認する。
- 現行の日本の会計基準(企業結合会計基準、連結会計基準、セグメント情報等の開示に関する会計基準)に照らして正誤を判定する。
- 選択肢 ア正解
- アは正しいです。個別財務諸表では有価証券の取得原価に付随費用を加算しますが、連結財務諸表では取得関連費用を発生期間の費用にします。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。支配を失っていない子会社株式の一部売却の差額は資本取引として「資本剰余金」に計上し、当期の損益にはしません。
- 選択肢 ウ不正解
- ウは誤りです。経済的特徴が似ていて一定の集約基準を満たせば、複数の事業セグメントを1つにまとめることが認められています。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。報告セグメントの負債金額は、最高経営意思決定機関に定期的に提供されている場合だけ開示が求められ、一律に義務づけられてはいません。
覚えるポイント
- 子会社取得関連費用は、個別では取得原価に算入し、連結では発生時の費用として処理します。
- 支配継続下での子会社持分変動による差額は損益ではなく資本剰余金(資本取引)として処理します。
間違えやすいところ
- 支配継続下の一部売却損益を連結上の損益として処理してしまう誤り。
- セグメント負債の注記開示をセグメント資産や利益と同様に絶対的な開示必須事項と誤認すること。
出題の前提:企業結合に関する会計基準、連結財務諸表に関する会計基準、セグメント情報等の開示に関する会計基準に基づく出題です。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
損益項目および包括利益の計算影響に関する正誤判定
会計学 · 新株予約権戻入益 / 固定資産の減損損失 / 負ののれん発生益 / 包括利益
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解答
ウ
解説
損益計算書の各利益段階(営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益)の区分と、純資産の部(株主資本、その他の包括利益累計額など)とのつながりを押さえる問題です。包括利益では組替調整(リサイクリング)の仕組みも理解する必要があります。
解き方
- 各選択肢に記載された損益取引の計上区分(営業損益、営業外損益、特別損益)と当期純利益への影響を分析する。
- 純資産の部(株主資本や包括利益)への最終的な影響額をそれぞれ比較・判定する。
- 選択肢 ア不正解
- アは誤りです。固定資産の減損損失は原則として特別損失に計上するので、営業利益には影響せず、小さくなることはありません。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。負ののれん発生益は特別利益に計上するので、経常利益には影響せず、大きくなることはありません。
- 選択肢 ウ正解
- ウは正しいです。新株予約権戻入益は特別利益に計上し、当期純利益を増やして最終的に株主資本(繰越利益剰余金)を増やします。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。その他有価証券売却益は当期純利益を増やしますが、組替調整でその他の包括利益が同額減るので、包括利益の合計は変わりません。
覚えるポイント
- 減損損失および負ののれん発生益は特別損益項目であり、営業利益や経常利益には影響しません。
- その他有価証券の売却益計上時は組替調整が生じるため、当期の包括利益総額は増加しません。
間違えやすいところ
- 減損損失を営業費用(減価償却費と同様)として営業利益を減少させると混同すること。
- 有価証券売却益を純利益が増加するからといって包括利益も同額増加すると誤認すること(リサイクリングの見落とし)。
出題の前提:企業会計原則、固定資産の減損に係る会計基準、包括利益の表示に関する会計基準、新株予約権等の会計処理に基づく出題です。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
会社法および金融商品取引法における開示制度
会計基準・開示制度 · 会社法 / 金融商品取引法 / 財務諸表 / 開示制度
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解答
ア
解説
会社法と金融商品取引法では守る対象が違います。会社法は会社財産の維持や債権者保護、金商法は投資者保護を目的とします。そのため必要な開示書類の範囲が異なり、連結キャッシュ・フロー計算書は金商法では必須ですが、会社法の計算書類には含まれません。
解き方
- 会社法上の計算書類・連結計算書類に含まれる書類の範囲を確認する。
- 金融商品取引法における開示書類(財務諸表・包括利益計算書・四半期財務諸表)の制度上の規定と照合して正誤を判断する。
- 選択肢 ア正解
- アは正しいです。会社法の連結計算書類は連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書などで、連結キャッシュ・フロー計算書は含まれません。
- 選択肢 イ不正解
- イは誤りです。金融商品取引法の財務諸表等規則では、株主資本等変動計算書も個別財務諸表の構成要素に含まれます。
- 選択肢 ウ不正解
- ウは誤りです。包括利益の表示に関する会計基準では、1計算書方式と2計算書方式のどちらかを選べます。
- 選択肢 エ不正解
- エは誤りです。金融商品取引法の四半期連結財務諸表では、期首からの四半期連結累計期間の四半期連結損益計算書の開示が求められます。
覚えるポイント
- 会社法上の連結計算書類には「連結キャッシュ・フロー計算書」は含まれない。
間違えやすいところ
- 金商法と会社法で要求される財務諸表(計算書類)の構成の違いや、包括利益計算書の方式選択(1計算書・2計算書選択可)を混同しやすい。
出題の前提:問題用紙に準拠(金融商品取引法・会社法・各種企業会計基準)。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.4 ↗(www.kentei.ne.jp)
市場販売目的のソフトウェアの制作費および減価償却
無形固定資産・研究開発費等 · ソフトウェア / 研究開発費 / 減価償却 / 生産高比例法
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解答
ア:研究開発、イ:無形、ウ:22,500、エ:12,750
解説
市場販売目的のソフトウェアは、製品マスターが完成するまでの制作費を研究開発費として費用にし、完成後の制作費を無形固定資産に計上します。減価償却は原則として見込販売数量に基づく償却額で行いますが、毎期の償却額は残存有効期間に基づく均等配分額を下回ることはできません。
解き方
- 制作費60,000千円のうち、研究開発費12,000千円を費用、残額48,000千円を無形固定資産のソフトウェアとして認識する。
- X2年度の償却費を計算する:数量基準額 48,000 × (1,500 / 3,200) = 22,500千円と均等額 48,000 / 3 = 16,000千円を比較し、大きい22,500千円を採用する。
- X3年度の償却費を計算する:期首未償却残高 25,500千円に対し、数量基準額 25,500 × (400 / 1,200) = 8,500千円と残存2年の均等額 25,500 / 2 = 12,750千円を比較し、下限ルールに基づき12,750千円を採用する。
- X3年度末未償却残高を算出する:25,500 - 12,750 = 12,750千円。
小問ごとの答え
- 小問 ア:研究開発
- 市場販売目的のソフトウェアにおいて、製品マスター完成までの制作費は「研究開発費」として発生時に費用処理します。
- 小問 イ:無形
- 製品マスター完成後の適正な制作費用は、貸借対照表の「無形」固定資産の区分に資産計上します。
- 小問 ウ:22,500
- X2年度の数量基準償却額は48,000千円×(1,500個/3,200個)=22,500千円です。均等配分額48,000千円/3年=16,000千円と比較し、いずれか大きい額となるため22,500千円となります。
- 小問 エ:12,750
- X2年度末未償却残高は48,000-22,500=25,500千円。X3年度の数量基準額は25,500千円×(400個/1,200個)=8,500千円ですが、残存期間2年の均等配分額25,500千円/2年=12,750千円を下回ることはできないため、X3年度償却費は12,750千円となり、X3年度末未償却残高は25,500-12,750=12,750千円となります。
覚えるポイント
- 市場販売目的のソフトウェアの償却額は、残存有効期間に基づく均等配分額を下回ることができない。
間違えやすいところ
- X3年度の償却計算で均等配分額(下限)との比較を忘れ、単純に生産高比例法のみで8,500千円を償却して未償却残高を17,000千円としてしまう誤り。
出題の前提:研究開発費等に係る会計基準四 3 (2) に準拠。
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
剰余金の分配可能額と配当に伴う準備金の積立
会計学 · 分配可能額 / のれん等調整額 / 準備金の積立
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解答
オ:定時株主総(または定時株主総会)、カ:294,000、キ:31,250、ク:225,250
解説
会社法の剰余金の分配可能額は、剰余金(その他資本剰余金+その他利益剰余金)から、自己株式の帳簿価額やのれん等調整額の超過額などを引いて求めます。剰余金の配当をするときは、資本金の4分の1に達するまで、配当額の10分の1を準備金として積み立てる必要があります。
解き方
- 剰余金の総額を算定し、のれん残高の2分の1と(資本金+準備金合計)を比較してのれん等調整額の超過控除額を求め、分配可能額を算出する。
- 準備金の積立限度額(資本金の4分の1-既存の準備金残高)を確認し、配当総額の10分の1と比較して要積立額を決定する。
- 要積立額を各配当財源の比率で按分して資本準備金・利益準備金への積立額を計算し、配当後の各勘定残高を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 オ:定時株主総
- 各事業年度の終了後に計算書類の承認等を行うために開催される機関は「定時株主総会」であり、問題文の「( オ )会」という表現に合わせると「定時株主総」が入ります(「定時株主総会」と解答する場合もあります)。
- 小問 カ:294,000
- 剰余金の額はその他資本剰余金30,000千円+繰越利益剰余金289,000千円=319,000千円です。のれん等調整額はのれん540,000千円÷2=270,000千円であり、資本金200,000千円+準備金45,000千円=245,000千円を25,000千円超過するため、分配可能額は319,000千円-25,000千円=294,000千円となります。
- 小問 キ:31,250
- 配当合計80,000千円の1/10は8,000千円ですが、資本金の1/4(50,000千円)に達するまでの限度額は50,000千円-45,000千円=5,000千円です。配当額の比率(その他資本剰余金20,000:繰越利益剰余金60,000=1:3)で按分し、資本準備金積立額は5,000千円×(20/80)=1,250千円となり、配当後の残高は30,000千円+1,250千円=31,250千円となります。
- 小問 ク:225,250
- 利益準備金の積立額は限度額5,000千円×(60/80)=3,750千円となります。繰越利益剰余金の配当後残高は、配当前残高289,000千円から配当額60,000千円および利益準備金積立額3,750千円を控除した225,250千円となります。
覚えるポイント
- のれん等調整額は「のれん÷2+繰延資産」であり、資本金+準備金を超過した額を分配可能額から控除します。
- 準備金の積立限度額は資本金の4分の1であり、配当財源の比率に応じて資本準備金と利益準備金に按分して積み立てます。
間違えやすいところ
- のれん等調整額をのれん全額として計算してしまったり、資本金+準備金との比較超過額ではなく全額を控除してしまうミスに注意が必要です。
- 準備金の要積立額(配当の1/10)が限度額を超えている場合に、限度額による頭打ちを行わずに計算してしまう誤りが多いです。
出題の前提:会社法第445条、第446条、第461条および会社計算規則第158条
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
共同新設分割における企業結合と連結会計処理
会計学 · 共同新設分割 / 取得企業の識別 / 個別上の株式計上 / のれん及び非支配株主持分
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解答
ケ:Q、コ:100,000、サ:10,000、シ:120,000
解説
複数の企業が事業を持ち寄って新設分割する共同新設分割では、議決権比率などでどちらが取得企業かを決めます。事業を分離した企業(被取得企業側)では、受け取った株式が関連会社株式になる場合は帳簿価額を引き継ぎます。取得企業の連結財務諸表では、受け取った事業をパーチェス法で時価評価し、取得対価との差額から、のれんを認識します。非取得企業に交付した株式は非支配株主持分として計上します。
解き方
- 新設会社の交付株式数から議決権比率を計算し、過半数を支配する取得企業(Q社)を判定する。
- 非取得企業(P社)の持分比率(30%)から関連会社株式への該当を確認し、個別財務諸表での受入簿価(移転事業の簿価)を決定する。
- 取得企業(Q社)の連結上、被取得事業(p事業)の事業価値を取得対価とし、識別可能純資産時価との差額でのれんを算出する。
- 新設会社が非支配株主(P社)に交付した株式の対価相当額(事業価値)を非支配株主持分として算定する。
小問ごとの答え
- 小問 ケ:Q
- 新設されたR社の総株式数800株(240株+560株)のうち、Q社は560株(議決権比率70%)を保有して過半数の支配を獲得するため、取得企業はQ社と識別されます。
- 小問 コ:100,000
- 分離元企業であるP社にとって、受領したR社株式は議決権比率30%の持分法適用関連会社株式となります。投資が継続しているとみなされるため、移転したp事業の適正な帳簿価額である100,000千円で計上されます。
- 小問 サ:10,000
- 取得企業であるQ社の連結上、被取得事業であるp事業の取得対価(事業の価値120,000千円)と、受け入れた識別可能純資産の時価110,000千円との差額がのれんとして認識されるため、120,000千円-110,000千円=10,000千円となります。
- 小問 シ:120,000
- 共同新設分割において取得企業が識別された場合、被取得企業の事業に関して新設会社が交付した株式の額は連結上非支配株主持分として計上され、その金額は被取得事業の取得対価として算定された金額である120,000千円となります。
覚えるポイント
- 事業分離で対価として受け取った株式が子会社株式や関連会社株式となる場合、投資が継続しているとみなされ帳簿価額で測定します。
- 共同新設分割の連結財務諸表において、被取得企業の事業に係る対価相当額は非支配株主持分として計上されます。
間違えやすいところ
- P社の個別財務諸表において、関連会社株式を取得したにもかかわらず時価(事業価値120,000千円)で計上してしまう誤りに注意が必要です。
- 連結上ののれん算定において、取得企業の事業(q事業)の時価や含み益を混同して計算してしまう間違いが見られます。
出題の前提:企業結合会計基準第39条、事業分離等会計基準第17条、および企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針第233条〜第235条
出典:日本商工会議所『第159回 1級 商業簿記・会計学』
公式問題 p.5 ↗(www.kentei.ne.jp)
第159回 1級 商業簿記・会計学
参照した公式資料
日本商工会議所が公開した第159回 1級 商業簿記・会計学の問題・解答資料です。
- 公式問題 ↗ — www.kentei.ne.jp(PDF・5ページ)

